2010年09月07日
THE WONDERLAND'S HERITAGE
奇妙な紀行に心惹かれるこの頃。
先日の、珍名の地を訪ねる『世界でもっとも阿呆な旅』(→過去記事)に引き続き、『奇界遺産』の旅です。
世界のオカシナ景色・人・モノを目指して旅するのは、超常現象をとりあげるサイトx51orgを運営することでも知られる佐藤健寿さん。美術大学を出て、写真家としてお仕事をされているようです。
佐藤さんの出発点は、オカルトや芸術という、人間にとって<本当に必要なのか>と疑問に思う<余計なこと>が、ラスコーの壁画の昔から存在していること。絵を描いたところで、おなかが満たされるわけでもなく、むしろエネルギーの浪費に思えるようなこと。そんな<余計なこと>が、なぜに必要なのか。
まえがきにこう書かれている。
こんな考えを出発点に、”現代のラスコー”を探すべく旅に出たということらしい。
ポルトガルのモンサントの岩と同化した家々。これもポルトガルだけど、奇人大富豪が創り上げたキンタ・ダ・レガレイラのゴシック庭園。イエスをエンターテインメントにしてしまったアルゼンチンのティエラ・サンタ。
いわずと知れたサイババさんや、太陽エネルギーで光合成するから食べなくていいというヒラ・ラタン・マネクさん。絶滅してしまった、パタゴニアの謎多き民族ヤマナ。
本物の兵馬俑の隣に、兵馬俑のレプリカをはじめピラミッドやスフィンクスなんかを並べちゃった中国の世界八大奇蹟館。人々の全人生が預言されているというインドのアガスティアの葉。
さまざまな奇界遺産が並ぶ中、私にとって一番印象的だったのは、ナンマドール遺跡。
太平洋に浮かぶ、謎だらけのこの遺跡は、”呪いの遺跡”として有名なのだそうで、発掘者や現地の協力者が相次いで怪死しているという。
佐藤さんも、ナンマドール遺跡を写したカメラの写真データが2台同時に消失。半分は復旧したものの、原因不明。遺跡に入る直前の写真は、多重露光したようにグチャグチャに乱れていたという…。
最大で重さ約10tもある巨石は、島とは別のどこかから運ばれてきたものだということで、海上をどうやって運んだものか謎のままだとか。「西からきた魔法使い2人が呪文を唱えると、岩は空を飛んだ」という伝説が残るのみ。
中国の三星堆遺跡も面白い。目が出ちゃってる縦目王の仮面のビジュアルは見たことがあったけれども、黄河文明とはかけはなれた謎の文明であることは知らなかった。
宇宙を象徴するとされる神樹も、面白くて、美しい。
そして、アンティキティラの機械。
ギリシアで発見された、無数の歯車で構成された塊は、世界最古のコンピューターではないかと言われているそうだ。天体の運行を予測する天文予測システムだったのではないかという説があるとか。
最後に解説として、編集者の加藤直徳さんが書かれている中に、『世界でもっとも阿呆な旅』を読んで私が思ったことと同じようなことがあった。
佐藤さんのこの奇界を巡る旅は、”現地で感じた空気感を嘘なく伝える”だけのものであり、”彼自身が見たいものを見に行っているだけ”だと。
そこに、”センチメンタルな自己顕示欲や、誰かに思想を押し付けようとする旅人特有の使命感はみじんも感じられない”と。
自分では出かけたいとは思わないけれども、こういう旅を疑似体験させてくれる本はありがたい。
この本は写真集の部類に入ると思うのだけれども、観ていて吹き出す写真集というのも珍しい。
小さな文字で書かれているので目立たないけれど、それぞれの写真に対するコメントがまた面白い。
世界には知らないことがたくさんあることを、あらためて教えてくれながら、楽しませてくれた良い写真集でした。
先日の、珍名の地を訪ねる『世界でもっとも阿呆な旅』(→過去記事)に引き続き、『奇界遺産』の旅です。
世界のオカシナ景色・人・モノを目指して旅するのは、超常現象をとりあげるサイトx51orgを運営することでも知られる佐藤健寿さん。美術大学を出て、写真家としてお仕事をされているようです。
佐藤さんの出発点は、オカルトや芸術という、人間にとって<本当に必要なのか>と疑問に思う<余計なこと>が、ラスコーの壁画の昔から存在していること。絵を描いたところで、おなかが満たされるわけでもなく、むしろエネルギーの浪費に思えるようなこと。そんな<余計なこと>が、なぜに必要なのか。
まえがきにこう書かれている。
最初に岩に絵を描いて槍で熱心に突ついていた奴は、多分、仲間内から狂(猿)人扱いされていたはずである。しかし結果的には、この絵を描くという狂気じみた行動を通じて、狩猟の成功がただの運任せから期待を伴う予知的なものとなる。やがてそれがある段階で自然の因果と同調し、制度化したものが、祈りや儀式となった。その結果、このホモ・サピエンスは儀式を通じて未来を想像する力(ヴィジョン)を獲得し、安定した狩猟の成功や、自然の変化に対応することが出来たから、現代まで生き残ったというわけである。つまりはじめは<究極の無駄>として生まれた呪術的想像力こそが、他の動物たちを押しのけて、生存と進化へ向かう道を切り開いたというわけだ。
こんな考えを出発点に、”現代のラスコー”を探すべく旅に出たということらしい。
ポルトガルのモンサントの岩と同化した家々。これもポルトガルだけど、奇人大富豪が創り上げたキンタ・ダ・レガレイラのゴシック庭園。イエスをエンターテインメントにしてしまったアルゼンチンのティエラ・サンタ。
いわずと知れたサイババさんや、太陽エネルギーで光合成するから食べなくていいというヒラ・ラタン・マネクさん。絶滅してしまった、パタゴニアの謎多き民族ヤマナ。
本物の兵馬俑の隣に、兵馬俑のレプリカをはじめピラミッドやスフィンクスなんかを並べちゃった中国の世界八大奇蹟館。人々の全人生が預言されているというインドのアガスティアの葉。
さまざまな奇界遺産が並ぶ中、私にとって一番印象的だったのは、ナンマドール遺跡。
太平洋に浮かぶ、謎だらけのこの遺跡は、”呪いの遺跡”として有名なのだそうで、発掘者や現地の協力者が相次いで怪死しているという。
佐藤さんも、ナンマドール遺跡を写したカメラの写真データが2台同時に消失。半分は復旧したものの、原因不明。遺跡に入る直前の写真は、多重露光したようにグチャグチャに乱れていたという…。
最大で重さ約10tもある巨石は、島とは別のどこかから運ばれてきたものだということで、海上をどうやって運んだものか謎のままだとか。「西からきた魔法使い2人が呪文を唱えると、岩は空を飛んだ」という伝説が残るのみ。
中国の三星堆遺跡も面白い。目が出ちゃってる縦目王の仮面のビジュアルは見たことがあったけれども、黄河文明とはかけはなれた謎の文明であることは知らなかった。
宇宙を象徴するとされる神樹も、面白くて、美しい。
そして、アンティキティラの機械。
ギリシアで発見された、無数の歯車で構成された塊は、世界最古のコンピューターではないかと言われているそうだ。天体の運行を予測する天文予測システムだったのではないかという説があるとか。
最後に解説として、編集者の加藤直徳さんが書かれている中に、『世界でもっとも阿呆な旅』を読んで私が思ったことと同じようなことがあった。
佐藤さんのこの奇界を巡る旅は、”現地で感じた空気感を嘘なく伝える”だけのものであり、”彼自身が見たいものを見に行っているだけ”だと。
そこに、”センチメンタルな自己顕示欲や、誰かに思想を押し付けようとする旅人特有の使命感はみじんも感じられない”と。
自分では出かけたいとは思わないけれども、こういう旅を疑似体験させてくれる本はありがたい。
この本は写真集の部類に入ると思うのだけれども、観ていて吹き出す写真集というのも珍しい。
小さな文字で書かれているので目立たないけれど、それぞれの写真に対するコメントがまた面白い。
世界には知らないことがたくさんあることを、あらためて教えてくれながら、楽しませてくれた良い写真集でした。
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この記事へのコメント
仕事柄、人智を超えたさまざまの不思議を見聞きしています。
宇宙人の存在がなければ成り立たない、ハハ…
このようなお話の事々が恐らく神を語り、宗教を生むのでしょうね。
それにしても、人類は偉大です、何千年前も前に現代人に近い発想をする人たちが居たのですから…
個人的には、ナンマドール遺跡ですね、当然連想はモアイになります、あの不思議も近年謎が解かれつつあり、いずれこの遺跡もそうなるのかもしれませんが…
宇宙人の存在がなければ成り立たない、ハハ…
このようなお話の事々が恐らく神を語り、宗教を生むのでしょうね。
それにしても、人類は偉大です、何千年前も前に現代人に近い発想をする人たちが居たのですから…
個人的には、ナンマドール遺跡ですね、当然連想はモアイになります、あの不思議も近年謎が解かれつつあり、いずれこの遺跡もそうなるのかもしれませんが…
Posted by 草人 at 2010年09月08日 11:01
草人 様
> 宇宙人の存在がなければ成り立たない、ハハ…
草人さんがこんなことをおっしゃるんですね。
宇宙人かどうかはわかりませんが
今のこの人類とは別の文明を持った人(?)たちが
かつて存在したと思わせるような事物はたくさんありますね。
今まで、こんな風に深い人間の根源的な次元から
オカルトや芸術を考えたことがなかったので
目に見えないものを想像し、畏敬の念を感じるに至る過程を
初めて具体的に意識させてくれた写真集でした。
芸術とオカルトとが、そんな奥底でつながっていたのかぁって
とても新鮮な思いがしました。
ナンマドール遺跡のことは、初めて知りました。
この写真集では、当然イースター島もとりあげていました。
モアイはイースター島内の石で作られてるんですよね?
でも、ナンマドールは別の場所から海上を運ばれてきたというのが不思議です。
> 宇宙人の存在がなければ成り立たない、ハハ…
草人さんがこんなことをおっしゃるんですね。
宇宙人かどうかはわかりませんが
今のこの人類とは別の文明を持った人(?)たちが
かつて存在したと思わせるような事物はたくさんありますね。
今まで、こんな風に深い人間の根源的な次元から
オカルトや芸術を考えたことがなかったので
目に見えないものを想像し、畏敬の念を感じるに至る過程を
初めて具体的に意識させてくれた写真集でした。
芸術とオカルトとが、そんな奥底でつながっていたのかぁって
とても新鮮な思いがしました。
ナンマドール遺跡のことは、初めて知りました。
この写真集では、当然イースター島もとりあげていました。
モアイはイースター島内の石で作られてるんですよね?
でも、ナンマドールは別の場所から海上を運ばれてきたというのが不思議です。
Posted by nbm at 2010年09月09日 09:03

