October 07, 2006
Stags Leap District 初めてのAVA認定地域
スタッグス・リープ・ディストリクトのワインを2本紹介したが、ここでAVA(American Viticultural Area)のことに少々触れておこう。政府認定栽培地域と呼ばれるこのAVAは、1978年に定められ、1983年に制定したワイン法でアメリカ政府認定となったワインの栽培地域のことである。フランスのAOC(appellation d'origine contrôlée)ほど厳格ではないが、ぶどうの産地、品種や収穫年度の表示が決められている。現在は、30州173地域が指定されていて、そのうち97地域がカリフォルニア州にある。スタッグス・リープ・ディストリクトは、そのカリフォルニア州で最初にAVAの認定を受けた地域で、ナパの中心街から北東に位置し、Silverado Trailに沿って広がっている。ここで作られるカベルネ・ソーヴィニヨンが、ナパ地区のカベルネ・ソーヴィニヨンの代表と言っても良いだろう。この地区では、これまで紹介したスタッグス・リープやクロ・デュ・ヴァルの他にも良いワインを造るワイナリーが多い。この地区で私がこれまで飲んだことのあるワインの中で印象に残っているものを挙げておこう。
Hillside Select Cabernet Sauvignon, Shafer Vineyards
Cabernet Sauvignon, Silverado Vineyards
Stags Leap District Cabernet Sauvignon, Pine Ridge Winery
この中では、Silverado Vineyardsのカベルネ・ソーヴィニヨンが印象に残っている。正確に言うと50%しかこの地区のカベルネ・ソーヴィニヨンを使っていないので、スタッグス・リープ・ディストリクトのワインと名乗ることは出来ないのだが、柔らかな香りとバランスの良い濃くがあって、気軽に飲めるワインだった。
ここしばらくアメリカのワインが続いたので、次回は他の国のワインに目を向けた見たい。
September 18, 2006
Stags Leap ナパの極上カベルネ

スタッグス・リープ・ディストゥリクト(AVA)の名が出てきたので、同名のワイナリーであるStags Leap Wine Cellarsスタッグス・リープ・ワインセラーズを挙げておこう。このワイナリーは、シカゴ大学の教授だったウォーレン・ウィナースキーが現在のスタッグス・リープ地区にある畑を1970年に買い、ぶどうやプラムを植えた時から始まる。ウィナースキーは、この畑にカベルネ・ソーヴィニヨンやメルローをさらに植えて、1972年に畑の近くにワイナリーを設立する。
今や伝説になっているのは、1976年5月24日にパリで開催されたフランス対アメリカのブラインド・テイスティング大会での優勝である。わずか樹齢3年のカベルネ・ソーヴィニヨンから造られたスタッグス・リープが、ボルドーの名門ワインを抑えてトップに輝いたのである。ちなみにその時のランクは以下の通りである。
1.Stag's Leap Wine Cellars 1973 127.5
2.Château Mouton-Rothschild 1970 126
3.Château Haut-Brion 1970 125.5
4.Château Montrose 1970 122
5.Ridge Cabernet Sauvignon 'Mountain Range' (Montebello) 1971 105.5
6.Château Leoville-Las-Cases 1971 97
7.Mayacamas 1971 89.5
8.Clos Du Val 1972 87.5
9.Heitz Cellars 'Martha's Vineyard' 1970 84.5
10.Freemark Abbey 1969 78
わずかな評点差とは言え、アメリカのワインがトップに輝いたことで、ナパの名は世界に知れ渡ることになる。しかも、10年後に行われた同じヴィンテージによるテイスティング大会では、既に紹介したクロ・デュ・ヴァルがトップとなっている。
私が開けたのは1997年のヴィンテージだが、カベルネ・ソーヴィニヨンの持つ深いルビー色と時間とともに立ち上がってくる濃厚な香りが、とても印象的だった。クロ・デュ・ヴァルが長期熟成タイプであるのと対照的に、早くても十分に濃くと旨みが味わえるタイプと言って良いだろう。
なお、スタッグス・リープ・ワインセラーズとStags’ Leap Wineryスタッグス・リープ・ワイナリーは別のワイナリーなので、間違えないようにして欲しい。
Stags Leap WCの心「ボルドーのワインより良い評価を得たことで、その実力がわかったでしょ。ナパのカベルネの良さを堪能してね」
September 05, 2006
Clos Du Val ナパの長熟シャルドネ
ナパのワインはこれまでにもいくつか取り上げたが、まだ紹介していないおいしいワインがいくつかある。まず、Clos Du Val(クロ・デュ・ヴァル)を挙げておこう。ニューヨークのビジネスマンだったジョン・ゴーレットとフランスの醸造家ベルナール・ポルテが1972年に設立したワイナリーである。ボルドー・スタイルのワイン造りを目指して、スタッグス・リープ・ディストリクト(AVA)の畑にカベルネ・ソーヴィニヨンを植え、1974年に最初のヴィンテージ(1972)をリリースする。さらに、1978年にピノ・ノワール、その翌年にはジンファンデルをリリースする。濃くが深く、重厚なワイン造りをすることで定評があり、Wine & Spirits Magazineでは1999年からの5年間で4度のワイン・オブ・ザ・イヤーを取っている。
私が開けたなかでは、カーネロス地区の畑で採れた1987年のシャルドネが印象深かった。シャルドネは1986年がファースト・ヴィンテージなので、2年目のものだが、どっしりとした果実味と濃厚な樽香で飲みでのある味わいに驚いたことを覚えている。ナパでも長熟タイプのシャルドネがあることを初めて知ったワインの一つと言っていいだろう。もちろんカベルネ・ソーヴィニヨンは、今やナパを代表するワインの一つで、是非とも味わっておきたい一品である。
Clos Du Valの心「ボルドーの精神が宿った正統派のワインを味わうことなく、ナパを語らないでね」
July 26, 2006
Havens Merlot ナパの甘み
先日、新宿のMARUGOで飲みたいと思っていたワインに出会った。ナパのHavens Merlot(ヘーヴンズ・メルロー)である。Havens Wine Cellarsは、何回かナパを訪れていながらまだ行ったことのないワイナリーの一つで、設立は1984年と比較的新しい。最近になってそのメルローが注目されていることから、是非とも味わってみたかったワインである。注目されているのはReserve Merlot(リザーブ・メルロー)の方だが、今回味わったのはスタンダードな「メルロー」の2000年のヴィンテージである。この年のぶどうの出来が良いこともあるのだが、ナパらしくメルローの甘い香りと濃くがあり、かと言って甘すぎないぎりぎりの線でバランスしているワインだ。早飲みが出来るタイプのようで、このヴィンテージでも十分に楽しむことが出来た。
このワイナリーではメルローのほかにもカベルネ種やシラーなど様々な品種を植えて、いろいろなタイプのワインを精力的にリリースしている。年間生産量が1万ケース前後と多いため、ナパではポピュラーなワインなのだが、まだまだ日本では知名度が低いので価格も手ごろだ。リザーブ・メルローも含めて近いうちにいくつかを飲んでみたいと思っている。
Havens Merlotの心「まだ有名ではないけど、十分に楽しめるワインを造ってるの。ナパのおいしいメルローとして覚えて欲しいわ」
July 07, 2006
Asinone 繊細なモンテプルチアーノ
もう1本ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノを紹介しておこう。ポリッツァーノが造るAsinone(アジノーネ)である。このワイナリーは、1961年にDino Carletti(ディノ・カルレッティ)がモンテプルチアーノ地区に22haと土地を買い、ぶどうを栽培し始めたことに始まる。1980年から現在のオーナーである息子のフェデリコ・カルレッティが近代的な醸造法と設備を導入し、スティニャーノなどスーパー・トスカーナを手がけていたカルロ・フェリーニを醸造責任者に招いてワイナリーは一新する。なかでもアジノーネはポリッツァーノが造るトップブランドのワインで、最初のヴィンテージは1983年である。ぶどうの出来の良い年だけ造られるアジノーネは、ブルニョーロ・ジェンティーレ(サンジョヴェーゼのクローン種)100%という構成だが、年によりコロリーノやメルローが加えられる。近年になってイタリアのワインガイド「ガンベロ・ロッソ」や「ヴェロネッリ」で数々の賞を受け、2001年のヴィンテージは、ワインスペクテーター誌で92ポイントを獲得するなど、評価はうなぎ登りに上がっている。
私が開けたのは1995年で、評価が高まりだした頃のヴィンテージである。濃いルビー色で香りは柔らかく、サンジョベーゼの濃くとタンニンのバランスが絶妙の味わいだった。最近は少し値が上がっているようだが、このクラスのワインとしては出色の出来だろう。
Asinoneの心「モンテプルチアーノで今は十分に認められているワインよ。その繊細な味わいを楽しんでね」



