2008年12月29日
東京ダモイ
東京ダモイ鏑木 連[著]/講談社
自費出版を手がける出版社に勤める槙野の元に、抑留体験を綴った俳句集を出したいとの話が入った。条件は本を出すにあたり、「自費出版ではあるが売れているために重版したとの広告を出してほしい。」とのことだった。自費出版は売れなくとも作っただけで出版社は儲かるため是が非でもその話をまとめてこいと言う。
取り敢えずその日は原稿の半分をもらって来た。
中身は抑留の過酷な体験が綴られ、要所要所に俳句が納められている。その頃、舞鶴港で、ロシア女性の水死体が上がった。
捕虜収容所での殺人事件と現在の殺人事件がからむ。
平成18年 第52回江戸川乱歩賞受賞作
2008年12月27日
ザ・ロード
The Roae ザ・ロードコーマック・マッカーシー[著]/黒原 敏行[訳]/早川書房
たぶん、核戦争によって崩壊したアメリカ。核の冬を乗り切るために南に向かう、父と子。ショッピングカートに荷物を乗せて、荒廃した町を抜け、住人の居なくなった民家などに入り食料や衣類などを探しやっとのこと南への旅を続ける。途中で略奪者に襲われたりしながらも、心優しい息子を守り高い倫理観を保とうとしながら旅を続ける。
2007年度ピューリッツァー賞受賞作
’05年の「血と暴力の国」は’07年度米アカデミー賞の「ノーカントリー」の原作となっている。
2008年12月21日
荒野
荒野桜庭 一樹[著]/文藝春秋
山野内 荒野 12歳 大人、以前。
内に居る時はユラユラと揺れている蜻蛉みたいな人。恋愛小説家。
中学校の入学式の日、学校に行く電車の中で、着慣れないセーラー服の襟を電車のドアに挟んでしまった、じたばたする荒野に無言で襟を外してやる男の子、始めて遭った男の子。同じ中学の神無月 裕也だった。
父、山野内 正慶は女の出入りが激しい人だった、常に何人かの愛人が居た。そこに、突然、「結婚することにかった。」話しがあった。
中学1年12歳〜高校2年16歳まで、子供から少女・大人になる荒野の物語。
2008年12月17日
庵堂三兄弟の聖職
庵堂三兄弟の聖職真藤 順丈[著]/角川書店
久就は久しぶりに実家に帰って来た、親父の七回忌をするため。家業を継ぐ長兄正太郎、家業と付き合いの深い葬儀屋のオジキ四万木さんの手伝いをする、弟毅巳。
ブツブツと独り言を言いながら仕事を続ける、正太郎。汚言性というつねに汚い言葉を発する毅巳。
家業は遺族が常に一緒に居たい思う人の依頼を受けて、遺体を加工し日用品に作り替えるもの。
七回忌を前に急ピッチで加工を進めるところに、急な依頼が入る、過去に先代が関わった人物の事故で亡くなった娘を生前のように復元するもの。
平成20年第15回日本ホラー大賞 受賞作
2008年12月13日
東京島
東京島桐野 夏生[著]/新潮社
世界一周をクルーザーで出かける清子と隆夫婦、彼らは出港し南の海で遭難し無人島にたどり着いた、程なく与那国島で野生馬の生育調査にやって来たアルバイト達が与那国島を逃げ出し遭難し無人島にたどり着いた。清子はこの島の唯一の女として、君臨していた。そこに新たに中国人グループが島に捨てられていった。
無人島に取り残された集団がそれぞれに気の会う者同士でグループを組んで、トウキョウ、キタセンジュ、ジュクなど自分たちがかつて住んでいた町の名をつけ救助を待ちながら住み着いた。
それぞれのグループが協力したり反目したりして暮らす、やがて隆が死に清子が若い男の子を宿す。
ゴールディングの「蠅の王」を連想させる小説。
2008年12月10日
傍聞き
傍聞き長岡 弘樹[著]/双葉社
他人同士が話をしていることが聞こえてしまう。すると同じ内容であっても知り合いが面と向かって話すよりも信憑性があるように聞こえる。これが”傍聞き”という。強行犯係の女性刑事、彼女の隣の家に窃盗が入った。近くを不審人物がうろついていたと言う目撃証言がある、その特徴に聞き覚えがあった、昔、ストーカー犯罪で逮捕した男だ。表題作で、平成20年度第61回日本推理作家協会賞短編部門受賞作「傍聞き」
作者は山形県出身
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2008年12月05日
人類が消えた世界
人類が消えた世界アラン・ワイズマン[著]/鬼澤 忍[訳]/早川書房
突然人類が消える、生活の跡をそのまま残したまま、忽然と姿を消したらその後の世界はどのように変化するだろうか?。そのような考えで思考した本。
ニューヨーク、マンハッタン島は地下鉄の排水ポンプが止まり水没し頑強に思えるコンクリートは隙間に入った水や植物によって破壊される。各国に点在する原子力発電所は核爆弾の放射能の影響は?プラスチックゴミは分解されるのか?。
2008年11月25日
地図男
地図男真藤 順丈[著]/メディアファクトリー・ダヴィンチブックス
第3回ダヴィンチ文学賞大賞受賞作
映画製作に関わる仕事をしている僕は、一人の浮浪者に出会った。しかし彼は一般の浮浪者のように汚い格好はしていなかった、奇麗に洗濯をした服を着ている訳でもないが、汚れてはいないし、特有の汗臭い臭いも無かった。そして彼は関東地方の地図帳を持っていた。地図帳の中には多くの書き込みがしてあって元々余白の少ない地図帳の上には付箋紙がいっぱい貼付けられ余白に入りきらない書き込みがしてあった。その書き込みは書き込まれた地点で展開する物語、物語の場所が移動すれは付箋紙も移動する、余白を飛び付箋紙を飛び物語が展開していく。
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2008年11月24日
千年前の人類を襲った大温暖化
千年前の人類を襲った大温暖化ブライアン・フェイガン[著]/東郷 えりか[訳]/河出書房新社
16世紀〜18世紀の産業革命の前までは小氷期とも言われ寒冷な時期が続きロンドンのテムズ川も氷結したと言われている。しかし、西暦800年〜1300年にかけて地球が温暖化した時期があった。人類の歴史書や堆積物、年輪等によってそれはほぼ間違いないようだ、一部の学者・政治家はこの事実で現在の温暖化は地球の温度変化の繰り返しとも言うが現在の平均気温の上昇はその時代を超え、温室効果ガスによる温暖化は確実のようだ。
千年前は何が起こったのか、ヨーロッパでは、気温上昇により作物の収量が上昇し都市化・分業化を後押しし、氷結しない北極海にノルウェーの住民が進出し、アイスランド・グリーンランド、その先北米大陸まで乗り出していって、今日のヨーロッパの繁栄のキッカケをつくった。
しかし、その他の地区では、干ばつ・多雨による洪水が起こっている、気候変化だけではないだろうがその時代の政治情勢か変化し国が滅び国が誕生している。
その千年前の出来事を元に現在の温暖化は今後の干ばつの発生の危険性の上昇を危惧している。
2008年11月12日
少女には向かない職業
少女には向かない職業桜庭 一樹[著]/東京創元社 ミステリ・フロンティア
山口の小さな島に住む大西葵13歳は、母と義父の三人暮らし、漁師の義父は怪我をして船に乗れなくなってから酒ばかり呑んで暴れている。母は娘を見て、この娘がいなれればもっと自由だったとこぼしている。そんな葵の元に地元の網元の孫娘が、すりこぎ棒と油があれは簡単に殺せると言う。
偶然とも言える義父の死で、新たな殺人に追い込まれていく。
2008年11月09日
野球の国のアリス
野球の国のアリス北村 薫[著]/講談社ミステリーランド
小学六年生のアリスは少年野球のエース、しかし、中学では大好きな野球を続けられない。所属するチームがないのだ、中学生になれば男女の体力差の関係で男子と一緒にはできないし、中学生の女子チームはない。そんなアリスの元に宇佐木という新聞記者が取材に来た。ある日、その宇佐木氏が「大変だー、大変だー。」と走っていた、ウサギのようにピヨンピョン跳ねるようにして。
講談社”ミステリーランド”書き下ろし本。
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2008年11月06日
クマムシ?! 小さな怪物
クマムシ?! 小さな怪物鈴木 忠[著]/岩崎書店・岩波科学ライブラリー
乾くと”たる型”に変身し真空や放射線にも耐え電子レンジでチンしても平気と、噂されるクマムシ。不死身伝説の真相、日本のクマムシ研究者による、日本初のクマムシ本。
そこいらにあるコケを採取して来て、シャーレで水に浸ける、コケを静かに取り出して、中に残った物を丹念に観察すると、1ミリ以下の小さな虫が見つかる、その中で、四本脚のクマが八本脚になったような形状の虫が見つかる、これがクマムシ。
この仲間は世界中いたるところに生息している、コケの中で見つかるクマムシはゆっくりと乾燥させればタル状になる、そしてこの状態で水に戻すともとの形になり活動し始める。
このクマムシの研究の歴史等を綴った本
2008年11月03日
白夜の大岩壁に挑む クライマー山野井夫妻
白夜の大岩壁に挑む クライマー山野井夫妻NHK取材班[著]/NHK出版
平成19年12月、平成20年1月、NHKの衛星と総合で放送された、グリーンランドのミルネ島の人跡未踏の岩壁を登るクライマー夫妻の番組を同行ディレクターがまとめたもの。
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2008年11月01日
岬
岬中上 健次[著]/文春文庫
義父と母と義兄と暮らし、姉の旦那が営む土建屋に仕事に行く彼、秋幸。母と身体の弱い姉は、最初の夫、姉の父親の法事の準備で張り切っていた。彼、秋幸の父親は詐欺で服役したこともあった。秋幸は父を避けていた。名古屋に嫁いだ姉と自殺した兄は、始めの子供三人を捨てて、後から産まれた秋幸だけを連れて、今の夫の元に嫁いだと非難をしていた。
この作家自身の故郷・紀州を舞台に、逃れられがたい血のしがらみに、癒せぬ渇望、愛と憎しみを描いた、表題作の、芥川賞受賞作「岬」の他「黄金比の朝」「火宅」「浄徳寺ツアー」
2008年10月20日
夏なら夏へ
夏から夏へ佐藤 多佳子[著]/集英社
高校生の100×4リレーを描いた小説「一瞬の風になれ」の取材が縁で世界陸上大阪大会のリレーメンバーにインタビューをした、ドキュメンタリーリポート。
第一部 世界陸上大阪大会
大阪大会の実況を交え、レース前の各選手の状態を、レース直前の心境とかも描写した内容。
第二部 スプリンター
大阪大会後の各選手への取材状況、各選手のこれまでの成り立ち、練習環境・メニューを綴っている。
2008年10月07日
したたかな生命
したたかな生命進化・生存のカギを握るロバストネスとはなにか
北野 宏明+竹内 薫[著]/ダイヤモンド社
南国の嵐に翻弄される椰子の木。煉瓦やコンクリートのように固くはない。しかしポキッと折れてしまうことなく、辛抱強く耐えている。椰子の木は「しなやかな強さを」そなえている。それが「強靭さ」ロバストネスと言うことなのだ。
ロバストネスをキーワードに生命や社会システム等を著者が対談しまとめた本。続きを読む
2008年10月02日
スポーツオノマトペ
スポーツオノマトペ -なぜ一流選手は「声」を出すのか藤野 良孝[著]/小学館
ハンマー投げの室伏広治選手は、ハンマーを投げ終わった後に「ンッガーアァァァァァー」と、声を出す。卓球の福原愛選手もスマッシュが決まった時に「シャー」と声を出す。これはなぜなのか。一つは、力を出す時のリズムを取るため、一つはシャウトし力を溜めるため。一つは威嚇の意味もある。などなど。オノマトペとは何か、元々は擬音語・擬態語のことである。野球の長島監督などが指導をするとき、感覚的な言葉を使うが、これが同じスポーツをする人には、以外と良く伝わる。スポーツは数値だけで指導できる物ではなく感覚で伝えることも大切と溶いている本。
2008年09月26日
トンデモ仮説の世界
まだ9割の人がだまされている トンデモ仮説の世界竹内 薫[著]/徳間書店
何事もはじまりは仮説だ!
それを定説や常識と思い込んでしまったら、もう新しい物は生み出せない。
世界には本当か嘘かまだわからない仮説がいっぱいある、それを、紹介した本。
2008年09月22日
兄弟/Brothers
兄弟 / Brothers [上・下]余 華[著]/泉 京鹿[訳]/文藝春秋
劉鎮のスーパーリッチ李光頭は、厠で女の尻を覗こうとして、肥だめに落ちて死亡した父を持ち、自分も15の時に、厠で女の尻を覗こうとして捕まった経験がある。彼の、義理の兄弟、宋鋼は誠実で善良。2人は少年時代を常に一緒にすごし、血のつながった兄弟以上に仲良く育った。しかし、2人が兄弟になってすぐにおこった文化大革命に依って、たよりの義理の父親、宋凡平は中学校の教師をしていたが地主階級の出身と言うことで撲殺されてしまう。幼い2人は、近くの悪ガキにいじめられ惨めな生活をしながらも成長していく。成人する頃に文革の嵐も漸くおさまり、改革開放政策が打ち立ていられる。宋鋼は地道に公営工場で仕事をするが、要領は好いが失敗の多い李光頭は食うや食わずの生活をしていた。しかし、食うや食わずの生活の中で、ゴミを扱う商売を始め、いつの間にか事業を大きくし中国全土やアジア・世界へ事業を進める勢いを持つようになる。そのころ公営企業が成り立たなくなり、宋鋼は失業してしまう。
2008年09月15日
幽談
幽談京極 夏彦[著]/メディアファクトリー
7年前、汽船に乗って海を渡りたどり着いた宿に、もう一度行ってみた。7年前は妻と一緒だった。庭が自慢だと言う宿が気に入った2人は、もう一度一緒に来ようと言ってたが、3年前に別れてしまった。庭の石灯籠の横には、なぜか小石が円錐状に積んである。7年前に思いを馳せながら、何の気なしに、円錐状に積んだ小石を一つ一つ持ち上げてみた、四つ目の石を持ち上げたとき、下に丸くて白くて小さい物を見つけた。よく見ると指だった。細い、白い、奇麗な、にんげんの指だった。人間が埋まっていると思いあわてて掘ってみるが、埋まっていたのは女性の右の手首だけだった、爪の先も整って指のバランスも良い、生きている様な肌触りの皮膚。私は手首も小石も元のように積み上げ元に戻した。「手首を拾う」
他「ともだち」「下の人」「成人」「逃げよう」「十万年」「知らないこと」「こわいもの」。雑誌「幽」に掲載した物を中心に集めた短編集。

