2010年09月23日
レッスンと私【9】「アレクサンダーテクニックと私(後編)」
ヨガのレッスンに初めて行ったとき、
とっても驚いたのを覚えています。
私にとって、それより前に受けた
あらゆるレッスン、習い事の数々は、
「さらに上を目指す」「さらに上手くなる」
「さらに努力する」「さらに評価されるようになる」
ためのものばかりだったのです。
ところが、先生の言葉に体をあずけて
ヨガをおこなっていた1時間半、
それは、
一生懸命自分の体を愛でてやる、
ただただ自分のためだけの時間だったわけです。
なんという贅沢!
いつも心の中に、
「私はまだまだダメな人間だ」
「許されない人間だ」っていう感覚が
どこか強かった私は、
ヨガを通して
良い意味で「身の丈」を知った感覚がありました。
限界を知るという意味ではなく、
自分の等身大を心でも受け止めてやる気持ちに
なったのです。
アレクサンダーテクニックのレッスンでも
これと同じことを強く感じました。
上昇志向を強く持ちすぎるために
自分で体を縛り付けていた部分、
がんばらねばという意識の強さが
残念なことに体を萎縮させていた部分、
そういったジレンマを解きほぐしてくれるものでした。
「体の使い方」というと
具体的に背骨をどう保つのか、
頭蓋をどう感じるのか、
もちろんそういった物理的な要素を
研究するものなのですけれども、
それを真摯にコントロールするためには
やはり精神の保ち方、心の置き所を
まっすぐに観察することが必要になるのです。
人間て、おもしろい(笑)
犬やネコはこんなこと考えないでしょう。
自意識っていうものの不思議を感じます。
アレクサンダーテクニックのレッスンが
私の音楽活動に、レッスンに与えた影響は
はかりしれません。
レッスンと私【8】「アレクサンダーテクニックと私(前編)」
折しも、
日本にもアレクサンダーテクニックの書籍が
チラホラ現れだした頃。
縁あって素晴らしい先生と出会う事ができました。
ルカス・ロレンツィ先生でした。
アレクサンダーテクニックがどういったものか。
非常に乱暴に簡単な言い方をしてしまえば、
「体の使い方」の理論です。
四肢、そして体全体を活かすための理論です。
書籍はいっぱいあるんですけど、
読んでもなかなか体感する事はできずにいた私は、
一体どんだけのものか、半信半疑のまま
レッスンを受け始めました。
どんなレッスンだったかは・・・
とても言葉で表現するのは難しいです(笑)
ただ、先生との静かな静かな
1時間〜1時間半ほどの取り組みの中で、
自分が自分で体にかけている無駄な要素を
どんどん取り除いていくレッスン。
または、
自分の身の程を知るレッスン。
私にとってはそういったレッスンでした。
それは、それ以前に3年ほど通っていた、
ヨガのレッスンと似通った感覚を持つものでした。
レッスンと私【7】「レッスン近況(2010年秋)」
ちょっと最近のレッスンの様子を
リポートしたいと思います。
5年前ぐらいまでは、
大学生の生徒さんがほとんどでした。
学校でバンドを組んでいて、
そのための声を磨きたい人。
音楽が大好きで大好きで、
これから自分の歌を歌っていきたくて
そのための声作りをしたい人。
が、
何故か今は、
私よりずーっっと(笑)年上の
マダム?おばちゃん?
いや、パワフルお母さん達がほとんどなんです。
お子さんがもう高校生大学生、社会人!
ゴスペルを10年ほども続けておられ、
そのための声をボトムアップさせたい。
バンド活動もノリノリの今、
さらにレベルアップを目指したい。
シャンソンをこれまた10年ほど続けておられるけど、
歌いたいように歌えないジレンマを解消したい。
そんなお母さん達がガンガン通っておられます。
若い子達も元気いっぱい
いつもパワーもらってましたが、
お母さん達もすごい!
自分自身がまだまだこれから、
楽しいことがいっぱいあるんだなぁと
思わせてもらえる毎日です。
レッスン自体は、
シンプルな発声のみを延々続けていた
最初の半年〜1年ほどを軽く超えた皆さん、
今はコールユーブンゲンを丁寧にクリアに歌うことや、
取り組んでいるバンドの音楽やゴスペル曲を
もっと鳴らすこと、歌を前へ届けることにも
チャレンジしておられます。
「歌いたいのに、しんどい」って悩み、
もしお持ちだったら、
しばらく通ってみませんか?
あと3人ほど生徒さんが増えたら、
発表会したいなぁ・・・なんて考えてます。
学生さんも、社会人の方も、
お母さん達も、お父さん達も、
多くの方との新たな出会いを楽しみにしています。
レッスンと私【6】「発表会(後編)」
もともと、私はあくまでも
「素材」作りのお手伝いだと自負してますので、
発表会のためとは言え、
ひとつの曲をどう歌えば「かっこいい」のか
とか、「さまになるのか」とか、
こちらから提示すべきものではありません。
生徒さんがひとつの曲に対して
どんな印象を持っているのか、
どう表現することが自分らしいと思っているのか、
それを私なりに一生懸命汲み取って
それを形にすることを
発表会に向けて一緒に取り組みました。
曲に取り組み始めて3ヶ月ほどの間。
たくさんの方に劇的な変化が起こってきました!
見ててドキドキするほどでした。
まだ人前で一度も歌ったことない生徒さんも
おられたのです。
それが、発表会直前には、
レッスン時でさえ
生徒さんの前にいないお客さん達が、
私にも見え始めました。
本番は・・・ちょっとジーンとくるほど、
みんな素敵でした!
その時点での精一杯、
歌うことへの謙虚な気持ちと自信と感謝と、
そんなものが溢れ続けた時間でした。
それをきっかけに
突然オリジナル曲をガンガン書き始めて、
今は自分のユニットを持って
ライブ活動をしておられる奥さんなんかも
おられます。
私自身にとっても
歌うことって、厳しくて幸せでキラキラで、
やっぱりキリがなくおもしろい!って
思い直させてもらった体験でした。
レッスンと私【5】「発表会(前編)」
レッスンで「素材」(声)作りにはげんでも、
うまくそれを「料理」(ライブなど)する場に恵まれない
生徒さんもいました。
その気持ちがあっても、
なかなか良い出会いや機会に恵まれないのです。
そういった生徒さん達が多かった時期に、
初めての発表会を企画してみました。
「お客さんの前で歌う。歌の世界を届ける」ってことは、
それまでレッスンで得た発声のセオリーなんかを
ある種ぶっとばしてしまうほどの心のパワーが必要です。
姿勢を正しく、口や咽の開け方はこんな感じ、
ピッチを美しく・・・
そういったことだけに集中したからと言って、
お客さんを前に、
力のある歌を歌えるわけではないのです。
発声のセオリーと、表現の場は
私の中では
二本の長い長い、並行して走っている道です。
それがいつの日か
沢山経験を積んで、だんだん近寄ってきて、
一つの道になってくれるのです。
そのギャップを感じてもらうためにも
発表会は大切な機会でした。
レッスンと私【4】「レッスン生の方に望むこと」
レッスンを始めて、最初の生徒さんは、
とっても魅力的な女子大生ちゃんでした。
いつも彼女のゆるぎない個性が存分にあらわれた服を着て、
おもしろい経験をたくさんしておられました。
かつ、声に対してもガンコでした(笑)
「自分の声は、こんだけのもん」と
無意識の中に決めてかかっているところが
あるのかなぁと、一緒に試行錯誤しました。
そんな中で、彼女が彼氏もレッスンを受けさせたいと
紹介してきてくれました。
彼もまた!ゆるぎない個性が爆発してるタイプの
滅多に見ないカッコいい、そして謙虚な(笑)
ロックミュージシャンでした。
素敵なカップルでした。
ふたりとも声へのガンコさは似たものがありましたが、
ゆるがない部分も持ちつつ、
少しずつ発声そのものが楽なものになってきたようでした。
彼女は自分で作った映像作品に
自分で歌声を載せてみたり、活動を開始しました。
彼は以前から組んでいたロックバンドでの活動を
さらに充実させてゆきました。
懐かしいです。
彼らのように切磋琢磨する中で、
レッスンで得た声の扱いを
自分の表現のステージでどう活かすか、
そこに自分の居場所がある、
その形が本来だと思いますし、
それが理想的です。
ときどき、
私のレッスンに通っていることで
その人の「歌」のすべてが
完結してしまっている場合があります。
でも、
レッスンで育てているのはあくまでも「素材」。
それを使ってどう表現するのか。
皆さんには「料理」をちゃんとおこなってほしいのです。
レッスンと私【3】「今度は私がアドバイスを!」
ある先生は、
たったひとりで練習する時間さえ、
いつもお客さんを想定する事、
広いホールで一番うしろのお客さんに
自分のメッセージを伝えられるように
一生懸命歌詞を話すことを
教えてくださっていたのです。
ある先生は、
鍛えれば鍛えただけ
声は成長する事。
最終的にあなたがどんな表現をしたいかは自由だけど、
クラシックのいわゆる「音楽美学」のように、
ポップスであってもジャズであっても、
一定の「“声”美学」が存在することを
教えてくださっていたのです。
ある先生は、
あなたの体はこんな声も出せる、
あんな声も出せる、
いっぱい可能性がある、
全部使って歌えばきっと楽しいはずだって
伝えてくださっていたのです。
そのどれもが体の中で自覚的に有機的に
動き始めた頃。
歌を習い始めて、習うのをやめ、
ライブを積み重ねて
気づけば10年経った頃、
「あぁ、こういうことを
私も誰かにアドバイスできるのかもしれない。」
という気持ちになりました。
そして、できるなら、
私は私の毎回のレッスンのリアルタイムで、
今やっていることが生徒さんの歌の
どの部分にどう影響してくるのか、
今つみかさねていることが
後々どういったことにつながるのか、
全部わかりやすく説明しながら
種明かししながら(笑)
アドバイスできたらなぁと考えました。
これが、私のヴォイストレーニングレッスンの
特徴でもあり、自信を持てるところだと思っています。
レッスンと私【2】「レッスンを受けはじめて」
レッスンは、正直、
しばらくの間は雲をつかむような内容でした(笑)
歌唱そのものを教えてくださる先生が1人、
ヴォイストレーニングの先生が2人、
3つのレッスンを同時に受けていましたが、
当時の私には3人ともに違うことを言われてるとしか
思えませんでした。
そのうち、
単に“歌うこと”だけに興味があった私も、
ありがたいことに人前で歌う機会を
少しずつ持つようになってきました。
もともと、
「歌で何かを伝えたい!」というような
歌への動機がなかった私は、
そこで初めての、恐ろしい体験をたくさんしました(笑)
とにかく指導された通りに歌う、
トレーニングで会得した声を活かして歌う、
でもそれだけではどうにもならない。
お客さんの胸までしっかり届かせる歌なんて
どこにも見えませんでした。
毎回、恥をかくためにステージに立つ、
そんなピリピリした気持ちのみでしか
歌うことができませんでした。
客観的になること、でも、
自分が「好き」と思える音楽をまっすぐ届けること。
このバランスはとても難しく、
今でもまだ求め続けている命題です。
しかし、そうやって
ライブ経験を積んでいくうち、
または録音の経験を積んでいくうち、
レッスンで教えてもらっていたことが
だんだんクリアに理解できるようになってきたのです。
レッスンと私【1】「私がレッスンを受けるまで」
私が「歌いたいんだ!」と自覚したのは、
大学に入学したころでした。
小さな頃から音楽とは近い環境にいましたし、
その流れにのっかって音大に入学しました。
しかし当時の、肝っ玉が小さく視野の狭い私は
大学の空気にどうしてもなじめず、
アイデンティティを見失うほどに
大学に通う事自体が苦痛になってしまいました。
(後に恩師に助けられ、大学時代の後半は
とても充実した大学生活を送る事ができたのですが。)
そこで、
「何か自分が本当に心からやりたいと思えることを
すぐに始めないと、
おかしなってしまうー!」と感じ、
それが何か・・・気づかされたのです。
“歌うこと” だと。
高校生の頃から、好きなアーティストが
一体どう歌っているのか、
同じように歌ってみることができるものなのか、
とても興味を持っていましたし、
自分でもいろいろ試していましたが、
自分で試していることの裏付けみたいなもの、
もっと多くの経験を持っている人からの
アドバイスをもらいたくなりました。
そこで、レッスンを受け始めたのです。