さて、プレスカンファレンスの感想は一通り書き終えたので、まあWebの情報のみですが、今年のE3についての雑感を書いておこうと思います。この時は自分はこんなことを感じていた、という備忘録も兼ねて。
■PS3について
う〜ん、今回は失敗だったんじゃないでしょうか。もう少しインパクトのある展示を予想していました。自分で触っていないので確かなことは言えませんが、去年の360より少し良い程度、というように感じます。
プレイアブルタイトルでは「Heavenly Sword」が当たりタイトルで、「Resistance」も良かったみたいですね。サプライズタイトルが「Eye of Judgement」でした。ただ前2者はゲームとしてはとても良く出来ているようにプレイムービーからは伺えましたし、Eye of Judgementも非常に興味深いタイトルなのですが、いわゆる「次世代」を分かりやすく提示するタイトルでは無かったように思えます。
というか、今回、ショウ全体で最も分かりやすく「次世代」を感じさせたのは、「Far Cry」で一躍名を上げたCryteckの最新作「Crysis」ですね。
Crysisの詳細については4Gamer.netさんを参照してください。
※Cryteckのゲームのネーミングは面白いですよね。「ああCryteckの新作か」ということが`凄く分かりやすいです。今回、パブリッシャーがUBIからEAに移っているのですが、パブリッシャーよりもCryteckのネームバリューの方が全然前に出てきています。
E3開幕前の記事にも書きましたが、今回SCEがすべきだったのは、ただ単にタイトルの数を揃えることではなく、去年来場者の度肝を抜いたPS3のシアター展示から1年が経った今、その片鱗だけでもプレイアブル出展で実証することでした。それはたとえばCrysisのようなタイトルです。もしCrysisレベルのゲームが1本でもあったら、あとは粒よりタイトルが脇を支えれば、プレイアブル出展は5本ぐらいだったとしても、PS3に対しての印象は随分と違った物になっていたはずです。
しかし今回は、平林さんが「火消し」と「火付け」という巧い言い回しでSCEと任天堂を表現したように、単に「開発が遅れている」という世評を打つ消すことだけに気を取られすぎた感がありました。皆は「PS3は順調だ」ということを確認しにSCEブースに来るのではなく、「PS3って凄い」ということを期待して訪れたと思うのですが・・・。2chで「PS3クオリティ」という単語が流行りましたが、正にPS3クオリティのタイトルしか、ブースには並べてはいけなかったと思います。
そして多分そのようなAAAクラスのタイトルは、本来はファーストパーティーが用意しなければいけなかったのだと思います。「Eye of Judgement」のようなタイトルはありましたが、PS3はとにもかくにもまずは「圧倒的にパワフルな次世代機」というのがアイデンティティなのですから、そこを来場者に感じてもらうべきでした。極端な話、多少のトリックを使ってでも、です。あえて言えば「グランツーリスモHD」がそれだったのでしょうが(1080pでプレイアブル)、ショウ全体で言うと、「なんだ単に高解像度になっただけか」と、場を白けさせる効果しか与えなかったように思います。あれだったらむしろ出さない方が良かったのではないでしょうか。
※ただ先日の記事で、SCEJは開発力が落ちたと書きましたが、今回のE3で、僕はむしろSCEJを見直しました。Eye of Judgement、Africa(映像のみでしたが)など、ゲームの枠を広げてくれそうなタイトルを期待できそうです。
※あとWarhawkのプレイムービーを見ましたが、思っていたよりも次世代機らしさを感じない内容だったようですね。Warhawkはかなり次世代機らしさを感じる物になると予想していたので(敵機の数など)、これは予想が外れました。しかし2週間でモーションセンサーに対応したのは立派でした(笑)
[PS3] 『PS3』のコントローラは、開発者も驚きだった - ゲーマーホリック
「『Warhawk』は、任天堂のWiiのコントローラを真似た機能を使用するはじめてのタイトルです。『Warhawk』の開発チームの一人が、2週間前を切ってから新しいコントローラを手にしたという事実は、残念ながらソニーが土壇場で任天堂のコントローラに対抗すべく、傾き検知を加えただけに見えるという印象、を強めただけとしか思えません」
■Wiiについて
Wiiについては、プレイムービーを見ても分からないことが多く、やはり各タイトルの手応えは実際に触ってみないと何とも言えなそうです。E3から帰ってきた人に聞いてみる他無さそうです。
ただWiiについては、元々去年のTGSや今年のGDCで「UIを変えることでゲームを変える」とあらかじめ宣言していた訳ですから、それをプレイアブル出展で証明しなければならなかったのが今年のE3だったと言えます。そしてどうやら、それはある程度達成できたようです。
ただ先日の記事でも書きましたが、今回のE3で提示されたタイトルのほとんどは、従来のゲーマー層にしかアピールしないものです。というか「ヌンチャク」を付属させて使っているタイトルは、皆ゲーマー向きと言っても過言では無いと思います。そういう意味でゲーム人口拡大を狙えるのは、Wiiリモコンしか使わないタイトルだけになると思います。
※実はWiiのタイトルでは、事前に情報が出ていたコナミの「Elebits」にかなり期待していたのですが、これもヌンチャクを使う操作のようですね。この時点で僕的にはかなり減点です・・・。片手でお手軽に遊べるようにした方が良いと思います。
E3というゲーマーが多く集まる場でのアピールには、一定の成功を収めました。後は本当の勝負であるところの、ノンゲーマー層にいかにアピールするか、アピールできるタイトルを揃えられるかにかかってきます。タッチジェネレーションを成功させた岩田氏のことですから、当然そのことを最重要視はしていると思いますが・・・。
■Xbox360について
E3のプレイアブルタイトルとして一番の期待作だったGears of Warは、一般展示ではなくVIPにのみのプレイアブルだったのが残念でしたが、それ以外はライオットアクトやToo Human、カプコンの2作など粒よりのタイトルもプレイアブルで出展し、またHALO3、GTA4も発表され、年末、そしてそれ以降に向けて良い準備ができていると言えそうです。
マイクロソフトブースは、ハイクオリティーの50タイトル近くを出展! / ファミ通.com
あと個別のタイトルについてですが、様々なところで注目作として取り上げられていましたが、僕も「WORLD SERIES OF POKER TOURNAMENT OF CHAMPIONS」には今後に大注目です。米国でポーカーのテレビが大人気ということは聞いていたのですが、それをそのままストレートにゲーム化してきましたね。このフットワークの軽さは凄く良いと思います。GTAのロックスターゲームズが、超リアルな卓球のゲームを出してきたことも話題になっていますが、僕はこういう方向性は凄く良いと思っています。別に高性能になったからと言って、広大な世界を描かなければいけないって縛りがある訳でもありませんし。
■PCについて
GDCでDirectX10について発表がされ、PCゲームもにわかに活気付いてきましたが、今回のE3で改めてPCゲームがまだまだ底堅く、なおかつVistaの登場を期に逆に盛り返してくるかもしれなくなってきた、という風に感じました。ファミ通が取り上げるぐらいですからね。
ゲームに特化したマイクロソフトの新OS"ウインドウズVista"の詳細が判明 / ファミ通.com
360とPCの親和性は、CPUがx86で無くなってしまったことにより、一時的に下がってしまったのですが、今後はXNAという施策により、旧Xboxと同レベルにまで回復させたい意向のようです。360の周辺機器をPCでも使えるようにすることによるUIの統一も含めて(それでもPCではマウスとキーボードが標準UIとして君臨すると思いますが)、MSは着実に布石を打っています。急速にではありませんが、一歩一歩着実なのが、逆に将来性を感じさせます。
注目ソフトの方も、先ほど取り上げたCrysisだけでなく、去年のGDCで世界中の関係者を仰天させた「Spore」が、いよいよ完成に近い状態でプレゼンテーションされたようで、ゲームの最先端はPCだ!という以前のイメージが蘇ってきました。Half Life2がずっこけたため、一時的にPCゲームの先進性への期待が薄れたのですが、今後もゲームを未来へ引っ張っていってくれそうです。
■携帯ゲーム機について
当然ながら、今回はビッグニュースも無く、淡々としていましたね。ただDS、PSP共に良作が出展されていたようですので、これだけ据置機の話題で盛り上がりながらも、今年の年末を制するのは結局携帯ゲーム機でした、というオチも充分あり得そうです。特に日本はポケモンがありますし(笑) 一昨年の年末商戦で、DQ8という大作がありながらも、DS、PSPはうまく市場を盛り上げることに成功しましたが、同じことが今年も求められるということですね。
携帯ゲーム機については、来年がまた山場になるでしょうね。MSが新携帯ゲーム機を発表するでしょうし、SCEもPSPに対して何らかのテコ入れ策を行うでしょう(PSP改良版?)。任天堂はGBA2を出してくる可能性があったのですが、対外的な発言を信じるならその可能性は無さそうです。
GBAの後継機は当分なし、Wiiのロンチタイトル数は2ケタ−岩田社長 - Nintendo iNSIDE
■携帯電話ゲームについて
今年はほとんどニュースが無いですね。スクエニのFF13アギトの発表ぐらいでしょうか。去年のE3では、携帯電話ゲームの出展が非常に目立ったことを良く記憶しているのですが。あまりに他にニュースがありすぎて、目だっていないのかもしれません。Live Anywhereによって、クロスプラットフォームで、ゲームデータが連動するタイトルは今後増えていくことが予想されますから、今後、重要性が高まることはあれ、低くなることは無いと思われます。
■まとめ。そして今後について
今回のE3ではWiiが成功しました。DSとPSPの時のアピール合戦の時(一昨年)と比べても、今回はWiiの方が評判が良かったと思います。一昨年のE3では、PSPはまともなプレイアブルソフトは無かったものの、ハードそのものに対する評価(液晶の綺麗さやデザイン)が非常に高かったのを記憶していますから。
しかし任天堂的に言うなら「次世代機」戦争、あれれ的に言うなら「ハイエンド」カテゴリーの競争の勝者は、今回はXbox360です。Wiiは任天堂的に言うなら「新世代」のアピール、あれれ的に言うなら「ミドルレンジ」カテゴリーでのアピールに成功したと表現するのが妥当です。ですので360とWii、両方ともに勝者と言えるでしょう。そしてSCEは、ハイエンド、ミドルレンジ、モバイルの3カテゴリー全てで劣勢という、非常に危険な状態に陥ってしまいました。2正面作戦ではなく、3正面作戦を迫られている状態です。
MSは噂されていた値下げの必要すら無いかもしれませんが、駄目押しでPS3にぶつける形で値下げをして、PS3の息の根を止めようとしてくると予想します。もしくは得意のソフト同梱パックで、買い得感をアピールしてくるかもしれません。ともかく、とりあえず360の北米での勝利はもう確定したと思います。HALO3とGTA4という、キラータイトル2本を手にしましたから。DQとFFを手にしたようなものです。次のターゲットは欧州、そしてその次にアジアですね。
任天堂は、DSの時のように、Wiiは初速は良いことが期待されますから、あとはその最初の勢いが衰えない内に、タッチジェネレーションシリーズのような、ノンゲーマー層の掘り起こしに成功するかどうかですね。普通に考えて、携帯機よりも据置機の方がノンゲーマーにとっては敷居が高いと思われますから、DSの時よりも掘り起こしは難しくなると予想します。その高い壁を任天堂がいかに乗り越えることができるかが、来年以降問われてくると思います。
SCEは、E3での不評を受けて、サードパーティーが360、Wiiに雪崩れ込まないよう、何らかの引き止め策を打ってくると予想します。開発機材やツール、ミドルウェアの値下げやロイヤリティの値下げなど、パブリッシャーにとって有利になる何かです。そうしたことは余り表舞台には出てこないでしょうが、非常に活発な駆け引きが展開されるようになるでしょう。
あと対Wiiについては、PS2の値下げで対抗してくるだろうと予想します。Wiiがかなり安い値付けをしたとしても、PS2がガツンと値下げをしてきたら、さすがに対抗できないでしょうから。
PSPは値下げはしないと思いますので、とにかくシステムソフトウェアのバージョンアップにより、ハード単体の魅力を上げることでDSに対抗していく戦略を継続するのではないかと予想します。
まあプラットフォーム3社については、大体こんな所でしょうか。ソフト開発については、PS3と360のマルチ、PS2とWiiのマルチが増えるのではないかと思います。
■おまけ:答え合わせ
ちなみに今回のE3については、先日下記のような予想をしていましたが、答え合わせをしてみますと、だいたいその通りになったのではないかなと思います。
しかしそれでも、実際にプレイアブル出展タイトルを遊んでみて「なんだ、PS3ってこんな程度か」と思われた瞬間に、まさに去年同じように思われてしまった360が、評価が一転して、逆に再評価される側に回ることになります。そしてその可能性が高いというのが、僕の現時点での予想です。
これはSCEの、というよりクタタンの悪癖なのですが、事前期待を煽るのは非常に上手いのですが、煽りすぎたため、実際にプレイアブルになった時に期待を下回り、ガッカリ感を感じさせてしまうということがあります。そして今回は、360という強力なコンペティターを相手に、「360より2倍パワフル」「こちらこそが真のHD時代の次世代機」など威勢の良い言葉を並べてきたことが、自分の首を絞めつつあります。BD再生機能や、PS1、2との互換性などは、ユーザーの期待に応えられそうですが・・・。
まとめますと、ゲームが充実してきた360、年末発売に向けて一抹の不安を残したPS3、ネットメディア上での両者の評価はこんなところになるのではないでしょうか。
しかし一抹の不安どころか、株価にまで影響してしまいました(笑) さすがにそこまでは予想できませんでした。僕はE3では価格発表をしないと思っていましたので、僕の悪い意味での予想すら下回る結果になってしまいました。
任天堂は価格の発表を夏にする予定だそうですし、MSも噂される値下げについて、E3ではカードを切りませんでした。完全にSCEの勇み足になってしまったと言えそうです。
※ちなみに岩田さんの「夏」発言のソースは2chです。誤報かもしれません。
1 :名無しさん必死だな :2006/05/12(金) 13:43:08 ID:hPCMY1ZF
岩田社長インタビュー
Q: ソニーのモーションセンサー付きコントローラについて
A: 両手で持つものと片手で持つのとでは違いが
彼らが我々のものをコピーしたと世界中のブロガーが書いているがそうは全く思わない
Wii のアドバンテージが失われたとも思わない
似たようなことをするということはそれに価値があるという外部からの表明
怒るよりも祝うべきこと
Q: 価格は?
A: 夏頃に発表したい
http://seattlepi.nwsource.com/business/269772_e3iwata11.html