2012年02月01日

31年ぶりの貿易赤字に思う事 !

 31年前の“貿易赤字”は、第二次石油危機での原油価格の上昇が大きな原因でした。
今回は、前回と同様、石油などの資源・エネルギー価格の上昇もあるが、注目しなければならないのは前回と異なり、“円高”による製造業の海外移転の結果、海外で製造した製品輸入の増加や為替レート上昇での輸出製品価格の上昇によって輸出の減少が起きたことでの貿易赤字だ。

 そもそも、この“円高”は、製品の国際競争力の強さを良い事に、現在の中国の様に、輸入国の需給増加や相手国のことを考えずドシドシ輸出した結果、円高を齎し、その後の円高基調により、海外生産を迫られることとなった。
 1月24日、この「31年ぶりの貿易赤字」について、経団連の米倉会長は“円高が長期化され貿易赤字が定着する事もあり得る”と述べたが、この貿易赤字をもたらす円高は“産業界が自分で自分の首を絞めたものである”のに、他人事のように云っている。
経済界は、今持って良く理解していない様だ( この詳しい経緯は、当ブログ「08・12・14、続、大企業や高額所得者への減税反対の理由」等を再読して下さい )。

同じ“貿易赤字”であっても、今回の方が性質が悪いし、一時的なものでなく、今後このような傾向が将来に亘って続く可能性が大きくなった事です。
 この傾向を打破しょうとすると、国内の製造業が海外製品に負ける事の無い適切な為替レートに円レートを持ってゆくしか無い。
今後も、あまり意味の無い通常の為替介入の為替政策を執り、何もせずにこの円高を放置すると素材産業も海外移転し“貿易収支”は完全に慢性的な赤字になる。
この状態を改善しようとすると、生半可な為替レート操作では間に合わず、本格的な強引と思われる適切な為替レートを睨んだ、為替管理による固定相場を執るしか無い。
 これをやれば国際間での相当な圧力を覚悟しなければならず、それでなくとも当事者能力の無い政府では到底できはしない。
 以上の様な事で、今後の“貿易赤字”は、容認するしかない。

 今後は、資本力による外債の利子や外国株式の配当などや、現在、大きく海外移転している企業の海外での収益から得られる“所得収支の黒字”に、依存するしかありません。
 しかし、これも最終的には数10年後、アジア地域の現地企業が、日系企業より技術力が上がり、日系企業が太刀打ちできなくなる( 韓国のサムスンや台湾の巨大電子機器受託生産サービス会社の様な会社がタケノコのように現れる )。
 そうすると、資本力や産業力が失われ、海外からの所得収支も減少、“経常収支も慢性的に赤字”になって来る。

 現在、日本の企業はアメリカナイズされ、企業全体が多国籍企業化しようとして本社機能を国外に移し、外人社員を大量に採用、社員の多国籍化をしている。
 本社機能を他国に移し、トップや役員が外国人になれば、利益を国内に還流させ日本経済を守るなどの考えや行為は、将来しなくなる。

 これは米国が良い例だ。
IBM、マイクロソフト、グーグル、アップルなどの一流企業は、海外で多く稼ぎながら米国自身への経常収支や国内の雇用などの増加にあまり役にたってない。
それは。
「 米国本社で戦略立案などし、生産は海外委託や海外生産、新規出店も海外中心、稼いだ利益は米国に送金されず海外に留まる。本社においても外国人社員が多い。
海外での委託・生産や販売で、米国系の企業が潤っても米国経済を支える事は無い。 」
この様な事で、自国内の雇用や経常黒字に貢献せず、トップや役員や企業自身の利益のみ考え行動するようになっている。

 米国はこの様な事で、けっこう海外で稼ぎながら経常黒字に貢献していない為、慢性的な経常赤字から抜け出せない。
 オバマ大統領が、いくら米国企業の競争力を高め雇用の増加につなげようとしても、根底に、この様な企業行動があれば、米国経済の復活はありえない。
 日本が、米国を見習って同じような事をしていると、直ぐに米国経済の様になり、将来、経常収支も慢性的に赤字になるだろう。
 製造業が失われつつあり、米国の様に、サービス産業に職を探すしか無くなって来ている今日、ユニクロなどの日本企業の経営が、米国のウォル・マートの経営形態に似て来ている。
「 海外で製造し出店、海外で稼ぎ、収益はトップや役員や企業が享受、社員やパート従業員は安い給料や時給。 」

 この様に日本企業がなって、経常収支も慢性的に赤字になると。
英米の様に、ウォール街やシティーの様な世界的な金融街を持ってない日本は、経常収支が慢性的に赤字になり、資本力が無くなり債権国から転落すると、海外の資本を利用する事も出来なくなる。

 “経常収支(貿易収支など)の慢性的な赤字国英米”が、現在、何とか国家を維持できているのは。
この国際的な金融街を持っているため、他国の資本を利用出来、この資金を利用し世界中に投資して、何とか国家(国民経済)を維持しているからだ( 米国は基軸通貨国の恩恵の方が大きい )。
 要するに。
現在の英米が資本力無く、慢性的な経常収支赤字国でありながら、国債の暴落も無く何とかやっているのは、国際的なウォール街やシティーの金融センターを持つことによって、世界の投資家の投資資金を引き寄せ、金融市場の場所代やその投資資金を借り、自国の国債などに運用又、運用させ、金利の上昇を防いでいるからだ。

 わが国は、この旧家の権威ともいえる世界的な金融センターなど持ってはいない。日本は、英米のこの様な事が出来ない。
将来、資本力の無くなった日本は、英米の様に他国の資金を利用する事も出来ず八方ふさがりになるだろう。
経常収支黒字も失われる数十年後の日本は、この覚悟をしなければならないのだ。







「後記」

 英米の対外直接投資残高の投資額や収益率は、日本に比べはるかに大きい。
 英米は、これらの対外投資によって、経常収支は慢性的に赤字でも、その中の、所得収支は今でも黒字。
その所得収支の黒字(その収益)の実態は、世界的な金融センター(ウォール街、シティー)に世界から集まる資本を利用している。
 英米は、世界的な金融センターを利用し、現在も“他人のフンドシで相撲をとっている”。
「 旧家のドラ息子が旧家の権威を利用し、金持から金を借りまくり、それを自己の借金に充てたり、ギャンブル場での場所代やこの投資資本をうまく利用し、運用益で何とか生活している姿 」である。
 これはまともな姿では無く、今後、更なる通貨危機や世界経済崩壊によって、この生活様式(経済政策)もまた破綻するだろう。将来、英米経済は完全に破たんする。

 日本が、経常収支の中の所得収支の黒字で稼ぐようになり、貿易黒字での稼ぎが無くなれば、国内の企業に対する“法人税の減額”や“TPP”を進めてもあまり意味が無くなります。
 国内の企業は円高で、よほど優秀かそれなりの企業だけになってしまうのですから、この円高で稼げる優秀な企業は、法人税など下げなくても稼ぎが大きく必要ありません。
それなりの企業は、輸出能力などありませんから、倒産を防ぐことがその法人税の目的になる位です。
 TPPを締結しても、この円高では、輸出競争力のある企業であっても、海外に出て行きます。海外からの投資は、この円高では、日本に来る企業なんてありませんから、TPP(さらなる自由化)は、意味をなさない。
 逆に、農業などの弱い分野が更なる不利を被り、弱い産業保護の為の更なる政府支出を免れ無くなり“何の為のTPP締結だったのか”となってしまう( これを諺で云うと、“骨折り損のくたびれ儲け”と云う )。
 政府は、一番二番の大きな問題を放置して、三番四番的問題に政治努力をして何の意味があるのかな?

 「50年後、高齢者4割、1億人割れ」などと厚生労働省発表を受け、マスコミが騒いでいますが、どうしょうもない役人の感覚や予測で騒ぐのは、やめたらどうですか。
 50年後の世界は、我々が予測するのとまったく異なる社会になるでしょう。
まずエネルギーは、既成のエネルギーの延長線上になく。肉体的な労働問題は、ロボットなどが代行する( バイオテクノロジーによる肉体の再生可能等 )。
人間は、正常な頭脳があれば良く。エネルギーや人口比率は何ら問題なくなる。
“この様になるか、それとも”。
この地球に住む者がほとんどいなくなり、原始的な状態の一歩手前までに現代文明が破壊される。
このどちらかなのです。
我々は、それほどの“時代の転換点”にあるのです。

 1月15日、NHKスペシャル知られざる放射能汚染「深刻化する魚の汚染」放送で、群馬の湖(赤城大沼)のワカサギから断定基準値500ベクレル以上の数値が検証された、とありました。
 私の予測が当たりました。栃木や群馬北部の湖でとれた魚は、危険です。
 江戸川や荒川の河口付近も、上流から流れて集まった汚染物質で断定基準値以上の汚染が計測され、コンピュータ・シミュレーション予測によると、今後、東京湾全体に汚染物質が拡散されるとの事。
東京湾の“江戸前魚”も、今後10数年間、注意が必要でしょう。

 容量の小さいパソコンで、動きが悪くなった人は、タスクマネージャ( キーのCtrI、AIt、DeIeteを同時に押す )からCPUやシステムメモリの使用状態を見て容量以上の使用状態であれば、パソコン専門店で部品を購入、容量の増設をすれば見違えるように動きが良くなり、買い替える必要はありません。
 私の場合、ネットに入るだけでメモリの容量を使ってしまって、これにウイルスソフトが入ると、完全に容量オーバーで動かなくなってしまっていました。
 パソコン専門店で、部品を購入、メモリの容量を増やしたところ、動きが非常に良くなりました( メモリの容量が三倍になった。ノートは、ギッシリ詰まっており交換や増設は、メモリなら裏蓋の一番上にあり、ちょっと器用な人なら設置できます。CPUは、ちょっと難しいので、パソコン店に依頼すると良いでしょう。HDDの場合は、USB端子に外付け出来るのが販売されています )。
 早く、容量増すればよかったと、後悔しきりです。

Posted by 松下 功 at 18:45  |Comments(0)TrackBack(0) | 政治・経済・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする