2010年01月27日

閉店

大通りにある老舗の電気店兼CDショップが閉店することになった。

郊外型の大規模店に押され多くの店舗が閉店を余儀なくされ、その大通りもすっかり飲食店街に様変わりしており、さらに音楽市場の縮小にネット通販の影響も加わるとなれば、その電気店が閉店するのも時間の問題だったに違いない。むしろ最後の砦としてよく粘ったほうであり、それだけ町の人たちに愛され支えられていたのだとも思う。実際、閉店セールを聞きつけた客で久しぶりに賑わった店内では、「残念だ」「ありがとう」と閉店を惜しむ声が聞かれた。


個人的にもめったに利用することがなくなり、最近では2ヶ月ほど前に蛍光灯を買ったくらいのものだったので、閉店したところで特に困ることもない。それを閉店が決まった途端、残念がり寂しがるのは愚なことだし、お店に対しても失礼なことなのだが、それでもどうしても寂しい。


確かに、音楽の守備範囲も広がりとっくにその店の品揃えでは物足りなくなっていたし、郊外型ショッピング・モールにある大型CDショップの品揃え、そしてインターネット通販の便利さには抗えなかったわけだが、大型CDショップおよびインターネット以前には、僕の生活圏内ではその店が最も頼りになる存在だったのだ。近所のCDショップでは見つからないものも必ず見つかったその店へ、電車で1時間ほどかけて向かう時の喜びと興奮は相当なものだった。現在でも年のわりに音楽に興奮しているとはいえ、あの感覚には遠く及ばない。


海外との時間差もなく家にいながらにして、しかも1曲150円で入手できてしまうダウンロードの手軽さも当たり前になり、もはやその有り難味さえ忘れがちである昨今、例えばその電気店で欲しかったCDシングルを手にした時の記憶もいつのまにか薄れつつある。

その電気店の閉店が、そういった不便さゆえのシンプルかつ強力な喜びや興奮の記憶を忘れ去ることと重なり合うのは、僕に限らずその当時を知る世代にとっては決して無理矢理でありがちなノスタルジーではないはずである。



早速ダウンロードしたgorillazの新曲styloを聴き、bobby womackのソウルフルな唸りにクラクラしながらも、そんなことをしみじみと思ったりした。

Posted by atonsdemo at 18:37  |Comments(0)TrackBack(0) | 音楽 , 80年代 , 90年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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