道路脇に、湯煙が上がっているのが見えた。
不思議に思い近づいてみると、
なんと岩陰の向うに、天然の露天風呂があった。
今まで、幾度となく通っているのに、これには全く気付かなかった。
丁度、運転も疲れて来た頃だったので、少し休んで行くか。
そう思って浸かってみると、これがまたなんとも良い湯加減で
ついつい湯の中で、ウトウトしてしまいそうになる。
だが、ふと辺りを見ると、なんと夜が明け掛かっているではないか。
時計を見ると、既に5時半。
集合時間にはとても間に合いそうにない。しまった・・・・
と、思った所で夢から覚め、時計を見ると
まだ2時を少し過ぎた所で、一安心。
しかし、ここでまたウトウトしてしまっては、夢の再現になりかねないので
少々早いが、支度をする事に。
案の定、集合時間の6時には、まだ1時間以上あるが
まあ、この余裕が好釣果に繋がるというもの。
そう思い、ゆったりと準備に取り掛かる。
6時少し前にDプロが到着された時には、既に準備万端。
過去2回の釣行とは違い、落ち着いた足どりで、料金所へ向かう。
管理人のおじさんに、声を掛けると
「1300円、頂きます」との事。
過去2回は、いずれも
「釣れていないので800円で良い」と言われたが
これは期待出来そうだ。
このおじさんにポイントを聞くと、一番奥が良いと言う事なので
そこを目指す。
3回目にして、初めてヘッドライトが活躍。
危なげなく、ポイントに到着。
フフフ、何もかもが計画通り。これは大漁の予感。
さあ、余呉湖のワカサギを、全てさらえてやるぞ!・・・
と思ったが、餌が・・・ない。
しまった、車に置いて来てしまった。
ここで、15分ほどのタイムロス。
おまけに、久しぶりの仕掛けに、てこずる。
なんせこの仕掛け、細かい鈎が無数に付いている為、非常に絡まりやすい。
更に、自身の体にすぐ引っ掛かってしまう。
ズボンに掛かり、外れたと思ったら、今度は靴ひも、
で、その次は手袋、その次は背中・・・
そんなこんなで、折角あった7本バリが、みるみる内に、間引かれる。
まあ、3本は残っているし、却ってこの方がスッキリして具合が良い。
(なら、初めから欲張るなよ)
で、結局第一投は7時・・・。
しかし、この頃から雨脚が強まる。
でも、ご安心。こんな事は初めから分かっていた事なので
特製の、直径150cmもある傘を取り出す。
フフフッ、周りの人は何も言わないが、きっと度肝を抜かれているに違いない。
ところが、雨脚と共に風も強くなって来て
傘が大きいだけに、却って支えるのがキツイ。
しかも、次の瞬間、まるで台風のニュースの映像のように
一瞬にして傘が裏返り、ホネが4〜5本折れた。
(フフフッ、周りの人は何も言わないが、きっと笑いをこらえているに違いない)
でも、ご安心。私は常に車に3本の傘を積んでいる。
難なく、再スタートを切る。
それにしても、風雨が強い。早くも撤収に掛かっておられるアングラーも、チラホラ。
私も一応竿を握ってはいるが、今一つテンションが上がって来ない。
ところが、餌の確認のつもりで、竿を上がてみると
なんと、鈎先に小さな魚影が見えるではないか。
夢にまで見たワカサギが、手応えもなく無造作に釣れてしまった。
しかも、見事な背掛かり。(・・・餌要らんやん。)
僅か5cmほどの小さな銀影を、暫し眺めていたが
時は今。
この時合いを逃してはならない。
2匹目を狙う為に、すぐに新しい餌に代えなければ。
しかし、これは単なるまぐれ当たりで、事態が好転している訳ではなかった。
依然として、風雨が強いまま。
野生のヘビは、用心深いと思われている。
いや実際、その獲物を狙う目つきは、全くスキがない。
ところが、唯一の弱点は、食事中にある。
獲物を捕らえたヘビは、それを丸呑みにする。
ゆっくりとゆっくりと、時間をかけて。
だが、この時、人間がかなり近づいても、逃げる事はない。
いや、恐らく動けないのだろう。
この時は非常に無防備で、もし猛禽類に見つかれば
たちどころに、その餌食となるであろう。
見事、ワカサギを釣る事に成功したが、
この状況では傘を手放す事が出来ない。
しかし、餌を付けるためには、左手で鈎を、
右手で餌を掴まなければならない為、傘を支える事が出来ない。
仕方ないので、不安定は承知の上で、柄の部分を小脇に抱える事にした。
だが、悲しいかな、この瞬間突風が。
傘の柄が、脇をスルリと抜けて行く感触に、「別れ」を覚悟した。
しかし、なんと傘の「Uの字」型になっている手元が、
左耳に引っ掛かり、九死に一生を得た。
(とても、人に見せられない姿でした。でも向かいのおっちゃん。釣ってる場合ちゃうで。これ撮らな、どうすんにゃな)
こんな事もあり、既にタオルも体もズクズクなので
開き直って、傘を放置。
そのまま、釣りに挑んだ。
ところが皮肉なもので、この頃(9時半)から雨が小降りになり
風も収まって来た。
そして、その後も大きな時合いはなかったが、パラパラ釣れ
なんと、4時の納竿の時に数えると、59匹も釣る事が出来ていた。
しかし、この漁獲量は、1パック購入分と酷似している為
家に持って帰っても、釣ったとは思ってもらえないかもなぁ・・・。



