12月10日。
先日の一日に解禁となった余呉湖へ、ワカサギという幻の魚を求めて、
N山・N瀬の両プロと、私の父の4人で、釣行した。
定刻通りの4時出発。思ったより、天気は良いようだ。
ところが、北上するにしたがって、雨が降り出す。
まあ、事前の天気予報でも、この地域は雨と言っていたので、想定内。
少々、雨脚が強くなって来たが、何という事はない。
しばらくして、車が余呉湖町内に差し掛かると
道路脇にある気温計は「1℃」と表示されていて、残雪も見られたが
道路が凍て付いていないだけでも、ありがたいと思わなければならない。
そうだ!ありがたいと思わなければならない。
この時点で、既に「おうちに帰りたい」
と、一瞬思った弱い自分を戒めながら、運転に集中する。
何故、こんなに早く家を出たかと言うと
両プロの話では、開門は6時でも、
その1時間前ぐらいには、たくさんの人が同地を訪れる為
ゆっくりしていると、釣り座がなくなるとの助言があったからだ。
たしかに以前、ドライブで同地を訪れた時、
たくさんの釣り人で、桟橋を埋め尽くされていたのを、目にした事がある。
行くとなったら、やはり万全を期する必要がある。
ところが、6時前に駐車場に着いたのだが、そこには4〜5台の車しかなかった。
もしや皆さん、徒歩で来られるのかと思って、辺りを見回したが
人の気配そのものが、全く感じられなかった。
この瞬間、なんか拍子抜けして、気が緩んでしまったが
2人のプロの素早い支度を見て、気合いを入れ直す。
しかし、何分初めて。
防寒具も弟の借り物。(しかも無断)
カイロも、体中に仕込まなければならず
作業は思いの他、困難を極めた。
仕方ないので、プロ達には先行してもらう事にして追走する事に。
しかし数分後、これが取り返しのつかない失敗だった事に気付く。
ワカサギ釣りは、余呉湖に作られた桟橋の上から行うのだが
この桟橋の広さが尋常ではない。
なんせ、収容人数は600人。
しかも、この季節の朝6時は、まだ真の闇。
当然、ポイントに辿り着くには、懐中電灯が欠かせない。
しかしその点、私は鮎の場所取り時に使用するものが
車に常備してるため、心配ない。
ただ、いざという時に限って点かないのが、懐中電灯の最大の特徴である。
結局、明かり無しの行軍を余儀なくされた。
ここは、有料釣り場のため、
まず桟橋の入り口に設けられている受付で、1300円払う。
ところが、本日は子供料金の800円で良いと言われた。
しかし、これを「ラッキーやな・・」などと、羨んではいけない。
まさに、「タダより高いものはない」訳で(タダではありませんが)
釣れないから、申し訳なくて正規の料金を徴収する事が出来ない、というのだ。
「でも、まさか一匹も(釣れない)言う事はないやろ」
と、冗談交じりに言うと
「うーん・・・」
・・・うーんって、ちょっと待ってえなぁ、おっちゃん。
それでも、今更引き返す事も出来ないので
2人のプロの釣り座まで辿り着いて、支度を始める。
そして、6時30分頃、なんとか第一投。
しばらくして明るくなり出し、周りを見回すと、
他の釣り人さんも続々と入場して来られていて、桟橋も賑わい出し
(と言っても、50人ぐらいですが)
やっと、気分が盛り上がって来た。
なんせ、プロの話では、この時間帯が一番良いらしい。
指先に神経を集中させて、アタリを待つ。
そして、10時20分
(そしてって、アンタ、もう10時なんかい!)
待望の1匹目をゲット!・・・・N山プロが。
実は、この時まで、私達はおろか、周りでもほとんど魚信が無かった。
それだけに、この1匹の意味は大きかった。
ワカサギと言う魚は回遊魚で、通常群れで、行動している。
従って、1匹釣れると連続する可能性が高い。
しかし、この時N山プロは、最初のポイントから移動して、
私達から離れて釣っていた為、必ずしも私達に有利な出来事とは言えない。
しかも、このまま1匹差の状況で推移しても、相手にはJFKがいる。
なにか手を打たなければ、このまま押し切られる可能性が高い。
私はデビュー戦のため、そうでもなかったが
N瀬プロの動揺は激しかった。
鮎釣りでは「動かざるは山の如し」の同プロが
見違えるような素早さで、ポイント移動。
周りを見ると、他の釣り人も移動しながら釣っている人が多かった。
だが、しばらくして、必ずしも移動が功を奏するとは限らない事を学んだ。
そして試合は投手戦の様相を呈し、坦々と時は流れたが
昼過ぎ、本日最大の見せ場がやって来た。
(ここで笑わへんかったら、もう今日は笑うとこ、あらへんで)
この時間になると、釣り人さんの半数近くは諦めて納竿され
私たちにも、諦めムードが漂っていた。
ところが桟橋の遥か向こうに、10人ほどのおじさんの群れを発見した。
手に缶ビールを持った、ホロ酔い気分の背広姿で、
明らかに観光旅行の最中に立ち寄った感じ。
そして、急に思い立って購入されたのか、
受付で買って来たと思われる、釣具セットを持っておられた。
他の釣り人の「魚籠(魚を入れるものです)」を
順番に覗きながら、こちらに向かって来る、おじさんの群れ。
その表情は、既に夢心地だったが、N山プロのバケツに目が留まった瞬間
更にテンションは上がった。
「おーっ、ここ見てみいや。ワカサギ入っとんで」
「おーっ、ほんまや、ほんまや。ほな、ここで”しょう”(釣りをするという意)か?」
ここでするってアンタ、なんでこんなにピッタリ引っ付くのん?
(ほとんど肩スレスレでした)
まあ、それは良いとして、次の行動に目を疑った。
なんと、持っていた道具を、N山プロのシートの上に並べ
「うぃ〜」と言いながら、缶ビールをN山プロのクーラーの上に”コン”と置き、
釣り支度を始めるおじさんの群れ。
そして、当然のように仕掛けもメチャクチャ。
(まあ、素人のわたしが言うのも何ですが)
小さなジンタン(オモリの事です)で
10cmはありそうな棒ウキのバランスを取ろうとしておられた。
「アカンわ。立たへんわ。ここ思ったより、浅いんやろか?」と言って、
(ちゃうねん。オモリが軽すぎるねん)
強引に浮き下を調節するおじさん。
そして、次の瞬間、当然のようにウキが真っ二つに折れた。
だが、幸か不幸か、これでバランスが取れ
「おーっ、立った立った、丁度ええわ」と言いながら
破損したウキで釣りを始めるおじさん。
だが、竿を持っていないおじさんは、すぐに退屈し出して
辺りに散らばり出した。
すると、注目されなくなった唯一の竿持ちおじさんも、
寂しくなったのか飽きたのか、
「これ、使って下さい」と言って、2匹しか使わなかった赤虫(餌です)を
私達に差し出して、サッサと納竿された。
そして間もなく、辺りに散らばったおじさん達も、帰って行かれた。
(最後にもう一度、N山プロのバケツを見て
「なんや、まだ増えとらんわ」の熱いメッセージを残して)
そして、桟橋は再び静寂を取り戻す。
私もやる事がなくなって(アホ、釣りがあるやろ)
ラーメン作りに従事した。
ところが、なんとこの時、N瀬プロの竿に魚信が。
この時まで、ブラックバスと桟橋のロープに仕掛けを2本も取られ
意気消沈していたN瀬プロが、にわかに活気付いた。
やはり、こういう展開は一発が怖い。
いくらJFKと言えど、この時期、
契約更改やらV旅行に追われ、調整不十分。
一気に同点に。
私もこれを見て、長い竿を取り出したが、時既に遅し。
結局、初のワカサギ挑戦は、ボウズで終わった。
・・・それにしても、4人で2匹とは、ここにはワカサギはいないという事なのか。
だが、帰りに立ち寄ったお店には、たくさん売られておりました。
しかも、冷凍ではなく、本日獲れたものが89匹も入っていました。
これでお値段は800円。
きっちり、本日の入場料と同じでした。
やっぱり、買った方が安かったです・・・。

これが
N山プロのワカサギです。しかし、注目すべきはこの専用の魚籠(びく)。一見、百均で調達して来た物のように見えますが、よく見ると、プロならではのセンスとこだわりが感じられます。
【追記】
この魚籠はN山プロのものと記しましたが、正しくはN瀬プロのものです。N山プロはもっと上等の880円ぐらいの物を愛用されています。N山プロのプライドを著しく汚してしましました。お詫びして訂正いたします。それと、この写真もN山プロの提供品です。なんせ、携帯のカメラが不調で。

これが、現地の民家で売られていたものです。これで800円でした。