2008年07月12日

真夜中のカーボーイ 1969 ダスティン・ホフマン

 第42回アカデミー賞受賞作品。名優ダスティン・ホフマンが役者として「卒業」のイメージが固まるをさけて勝負に出た作品と言われています。60年代後半から70年代にかけてアメリカで起きた反体制的な映画つくりアメリカンニューシネマの代表作品の一つです。

080712真夜中のカーボーイ.jpg真夜中のカーボーイ
★★★★★

 先般亡くなった水野晴郎さんが、ユナイトの宣伝部長時代にカウボーイに都会的な響きをつけるためにモターリゼーションのカーとした逸話が残っています。
この時代のアメリカは、ヴェトナム敗戦による国家威信の低下と社会の荒廃で麻薬など荒れた時代でした。日本では東大安田講堂紛争が、起きています。
感覚的には、バブルの崩壊といまだに上向かない景気と格差の拡大と言った日本の現況と重なるものがあります。

 テキサスから都会にあこがれ、手始めに金持ちの女の遊び相手で金を稼ごうとしたジョー(ジョン・ヴォイト)。所詮は田舎者、NYでは遊ばれる側の人間です。反対に女に金を巻き上げられ落ち込んだ時に、足の悪いペテン師ラッツオ(ダスティン・ホフマン)と出会います。また騙されます、ラッツオが客を見つけるマネジメント(客引き)を引き受けますが、相手はホモやゲイ。
ジョーは怒りますが、同じように社会の底辺で生きるラッツオに心を許します。
都会の孤独が、二人の絆を強めたのです。

 二人はラッツオが住み着いている取り壊し寸前のビルに同居しますが、食事にも事欠くありさまでした。冬にもかかわらず、暖房もありません。ジョーの最後の財産、60年代のソニーのトランジスターラジオを5ドルで売って飢えをしのぎます。怪しげな仕事はやや上向いてきますが ・・・・・

 ラッツオには、夢がありました。フロリダで、生活することでした。
ラッツオの病は、進行していて先行き不安なことはジョーにも理解できていました。
深夜バスで二人は、フロリダに向かいます。ラッツオは、尿を漏らすまでになっていました。自分をなじるラッツオは、「ちょっと早めに、トイレタイムをとっただけじゃん」と笑わせます。新品のズボンに代えてもらったラッツオに、ジョーは「女じゃ食っていけないフロリダに着いたら、仕事を見つける」と声掛けます。ジョーの返事は、あませんでした ・・・

 日本にも同じような状況が生まれていて、胸が痛みます。二人の演技は、秀逸でした。息を引き取ったラッツオを抱くジョーの顔が、忘れられません。

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