2009年03月08日

山桜 2008 田中麗奈/東山紀之


 2度目の鑑賞です。全国の女性を魅了させたNHK内野聖陽の「蝉しぐれ」も悪くはなかった。真田広之の「たそがれ清兵衛」も原作を離れるとよい作品です。
でもいつも原作と映像のはざまで、「違うな」と言う印象を持ち続けてきました。

090308山桜2-b.jpg山桜

 本読みの悪い癖でしょうか?でもこの作品は、役者の過ぎた気負いもなく藤沢作品の中では、大変穏やかな美しい作品です。藤沢周平さんの短編23Pに凝縮された東北小藩の武士の世界を、描き切ったように思えます。東山紀之のきれいな殺陣と悪に立ち向かった不退転の正義感、大丈夫かなと心配した田中麗奈の武家娘役も好演でした。また藤沢周平の美しい言葉が生かされています。

 手塚(東山)は、浦井野江(田中)のことが好きだった。野江は初婚で間もなく夫に先立たれ、武士でありながら金貸しに精を出す磯村の家に再度嫁いでいました。ある日叔母の墓参りで実家に帰る途中、手塚に桜の枝を手折ってもらいます。運命の山桜です。手塚は浦井の野江さんですね、今はお幸せかと尋ねます。手塚は、嫁に来てもらうのを断られていましたが、野江のことをずっと思い心配していました。野江にとっては、初めての出会いです。

 脇役 ・・・ 母役の檀ふみ、手塚の母役冨司純子がいいですネ。
手塚は、新田開発で農民の苦しさも顧みず暴利を得ようとする藩の重臣を切ります。取り巻きにはみねうち、ただ一人を切り捨てました。野江は実家に戻ります。
檀ふみももう母親役が似合う人になってしまいました(笑)。母は野江に言います、「あなたは少し、遠回りしているだけ」「今度あなたがこの家を出てゆく時は、本当に幸せになるときです」。家を出て自活の道をと言う野江の言葉を、引き取った言葉です。
何の弁解もせず大目付の屋敷で囚われてる手塚。野江は手塚の実家を訪ねます。富司純子扮する手塚の母親は、「あれ以来誰も訪ねてこなくなりました」「あなたが初めてです」「弥一郎から、あなたのことは聞いていました」「私はいつかあなたが来ると思っていました」と野江が持参した山桜を活けながら話します。

 このシーンを、一青窈の歌が流れいやがうえにも余韻を残します。言葉を大切にする藤沢周平作品を映像でしっかり再現しました。

 藤沢作品の根底をなす、少し早目ですが「海坂藩」の桜はいかがですか?

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