2005年02月02日

ショーン・オブ・ザ・デッド

皆様お勧めのこの映画をやっと観た。
いや、すっかり堪能した。
さすがに評判だけのことはあって、これほど、正当なロメロへのオマージュはかつてなかったと思う。
アメリカで制作されたならただのお馬鹿映画で終わっただろうが、確かにコメディとしては作られていて、主人公たちはボンクラどもには違いないが、シニカルなユーモアを湛えながらも映画としては破綻の少ないごくごく真っ当な出来上がりだ。実際、こういった理解不能な大惨事に出会った人間たちと言うものは、もしかするととんでもなく喜劇的状況に置かれてしまうのではないのだろうか。
ドーン・オブ・ザ・デッドは一瞬のうちに世界が崩壊していたことを見事なカット割で切り取って見せたが、この映画は、世界がゆっくりと崩壊に向かっていても普通に暮らしている人たちはなかなか気が付かない、という全く逆の状態をこれまた見事なカット割で描写している。ほぼ同時期に制作された映画がこれほどの全く違ったアプローチを同じジャンル映画で見せているのはなにかシンクロニティのようなものを感じる。主人公がこの状況にあっても知り合いたちがゾンビになっていると一瞬たりとも想像しないのがおかしい。それに、日本人が共感できるのは、銃がない社会がゾンビ化したらどうなると言った点だろう。
根底に横たわるユーモアはイギリスらしくモンティ・パイソンの系譜を継いでいる。シリアスな展開になっても、終末観が漂わないのは人間の強靭さをどこかで作り手たちが信じているのだろう。なにせ、ショッピング・モールの代わりがパブなんだから。
結末は、シニカルながらも一応コメディだったんだと安心させてくれてニヤッとさせられる。
何よりも感心させられるのは、ツボにはまった音楽の使い方。百聞は一見にしかず。せひご覧になってその妙技をご堪能ください。音楽ファンなら”レコード投げ”のシーンには大爆笑だろう。
ボンクラがヒーローになっていくというごく伝統的な展開なのだが、そのヒーロー性が本来的なサバイバルに役に立っていないことが笑わせる。避難者たちが出会っても至極普通に挨拶を交わして何事もなかったように別れるし、イギリスらしく、避難計画を立てるときに結末がいつも”しばらくお茶を飲んで全部終わってしまうのを待つ”という非日常的ななかの日常の描写はさすがモンティ・パイソンの国。
作り手たちも充分に愉しみながら撮っているのが嬉しい。
特典(僕が持っているので英盤の)で、ジョンとポールの物真似で1シークエンスをやってしまうとか、ファッキングを全部ファンキーに言い換えてまるまる1シーンを通すとか、とにかく面白かった。プロット・ホールという特典があって視聴者が疑問に思うような物語上省略された部分をアメコミ風に再現するというものだが、これはアイデアものだ。
いちばん困ったのは、ロンドンの訛。perfikがperfectだなんて前後関係がなければわかりっこない。
最後の最後が全く正当な音楽で締めくくられ、ロメロへの賛歌となっている。
あと、やっぱりゾンビが走らないからこれだけ面白かったんだ、と主張したい。
 

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この記事へのコメント
はじめまして。

トラバいただいていたの今更気づきました(苦笑)
ありがとうございます!

今後もよろしければ覗いてやってください。
意味不明なブログですが(笑)

トラバ返しさせていただきますね。

それでは。
Posted by the dark one at 2005年02月16日 03:18