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    <title>韓国ドラマちょびかじり</title>
    <link>http://blogs.dion.ne.jp/d_nose00/</link>
    <description>韓国ドラマのあらすじなどで～す☆  ※コメント・トラックバックの受付は現在しておりませんのでご了承下さい。。</description>
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    <itunes:summary>韓国ドラマのあらすじなどで～す☆  ※コメント・トラックバックの受付は現在しておりませんのでご了承下さい。。   </itunes:summary>
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      <title>韓ドラちょびかじ更新情報　5/25</title>
      <pubDate>Tue, 01 May 2012 00:00:46 +0900</pubDate>
      <description>トンイ（長いあらすじ）５７話　5/25トンイ長いあらすじ　ちょびかじオリジナル小説スタート☆設定は架空の国です。打ち切りにならなければ半年連載予定…「「ケトンの月」　１３話　5/12１章１話　琥珀の秘宝２話　アン・チボク３話　チボクの返事４話　尊い袋、忘れ水５話　月のほくろと伝説６話　パク尚宮の予感７話　アン・チボクの賭け８話　伝説の復活９話　逃亡１０話　不思議なばあさん１１話　雌井戸、雄井戸１２話　捨て子の行方これまでの主な登場人物パン・ダン…悪役。王様の娘婿。博学。酒癖悪..</description>
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<br />トンイ（長いあらすじ）５７話　5/25<br /><A Href="http://blogs.dion.ne.jp/d_nose00/archives/cat_359122-1.html">トンイ長いあらすじ<br /></A><br /><br />　<br /><br /><a href="http://hb.afl.rakuten.co.jp/hsc/0e48aaf2.0356df2c.0aa10916.ef9b0324/" target="_blank"><img src="http://hbb.afl.rakuten.co.jp/hsb/0e48aaf2.0356df2c.0aa10916.ef9b0324/" border="0"></a><br><br><br />ちょびかじオリジナル小説スタート☆<br /><br />設定は架空の国です。打ち切りにならなければ半年連載予定…<br /><br />「<A Href="http://blogs.dion.ne.jp/d_nose00/archives/cat_369542-1.html">「ケトンの月」</a>　１３話　5/12<br /><br /><iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=utukuspoodled-22&o=9&p=20&l=ur1&category=amazonrotate&f=ifr" width="120" height="90" scrolling="no" border="0" marginwidth="0" style="border:none;" frameborder="0"></iframe><br /><br />１章<br /><br />１話　琥珀の秘宝<br />２話　アン・チボク<br />３話　チボクの返事<br />４話　尊い袋、忘れ水<br />５話　月のほくろと伝説<br />６話　パク尚宮の予感<br />７話　アン・チボクの賭け<br />８話　伝説の復活<br />９話　逃亡<br />１０話　不思議なばあさん<br />１１話　雌井戸、雄井戸<br />１２話　捨て子の行方<br /><br /><br />これまでの主な登場人物<br /><br />パン・ダン…悪役。王様の娘婿。博学。酒癖悪い。<br />アン・チボク…出世を夢見る非力な若者<br />モスリ…ケトンの乳母。美しい容姿に美しい歌声を持つ。<br />イ・オン…モスリの夫。学者。いつも前向き。<br />トリトル王子…ケトンの兄　とても賢いうえ性格が良い。<br />王様…ケトンの父<br />シル…ケトンの実の母親。画家の娘<br /><br /><br /><br />リンク<br /><A Href="http://blogs.dion.ne.jp/d_nose00/archives/cat_306547-1.html">イサン長いあらすじ</a><br /><br /><A Href="http://blogs.dion.ne.jp/d_nose00/archives/cat_306915-1.html">イサン短いあらすじ</a><br /><br /><A Href="http://blogs.dion.ne.jp/d_nose00/archives/cat_348723-1.html">トンイ短いあらすじ</a><br /><br /><a name="more"></a>

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      <author>d_nose00</author>
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      <link>http://blogs.dion.ne.jp/d_nose00/archives/10768694.html</link>
      <title>「トンイ」あらすじ　５７話　５月２７日放送予定</title>
      <pubDate>Tue, 10 Apr 2012 00:57:45 +0900</pubDate>
      <description>赤鼻の男がヨンギのところに巻物を持って来た。兵の訓練を指導していたヨンギは、その場で巻き物を広げ、不意打ちを食らったような顔になった。査閲式を取り消すとの命だ。「何カ月も訓練をしてきたのにどういうことでしょう…？」部下は不思議がったが、ヨンギもまったく理由を思いつかなかった。それだけでない。便殿会議の延期や経筵など、数日分の王様の日程が取り消された。どこか具合でも悪くされたのかと怪しみ、シム・ウンテクが内医院まで聞き込みに足を運んだほどであった。そのうち王様より重要な決断があ..</description>
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赤鼻の男がヨンギのところに巻物を持って来た。兵の訓練を指導していたヨンギは、その場で巻き物を広げ、不意打ちを食らったような顔になった。<br />査閲式を取り消すとの命だ。<br />「何カ月も訓練をしてきたのにどういうことでしょう…？」<br />部下は不思議がったが、ヨンギもまったく理由を思いつかなかった。<br />それだけでない。便殿会議の延期や経筵など、数日分の王様の日程が取り消された。<br />どこか具合でも悪くされたのかと怪しみ、シム・ウンテクが内医院まで聞き込みに足を運んだほどであった。<br />そのうち王様より重要な決断があるとの知らせがあり、便殿へ招集がかかった。<br />玉座のそばに用意された木彫りの椅子に、世子が座っているのを見た重臣らは、何か世子と関係のある事なのだと薄々勘付き、場に緊張が走った。<br />重大な決意を胸に、王様は最初から怒った口調になった。<br />「我が国の王位継承者はここにいる世子のみである！　よって将来のため便殿会議には世子を同席させ、礼曹と工曹の業務について、まずは世子の意見を聞くこととする」<br />これはヨニン君が王位を狙っているとの噂を、王様がきっぱり否定されているのだ…。重臣たちは、それぞれの反応を表情に浮かべた。王様はさらに続けた。<br />「もう一つ公表することがある。淑嬪は宮廷外のイヒョン宮で暮らす！」<br />この瞬間、少論派の右相の口元がニヤリと上がった。<br />王様は工曹にイヒョン宮の修繕を、礼曹判書は出宮の準備をするよう言いつけ、この日の発表を締めくくったのだった。<br />便殿の石段を下りて来る右相ととりまきの重臣らは、皆してほっと胸をなでおろした。小鳥のさえずりの中に重臣らの笑い声まで混じった。ヨニン君はこれで王にならないし、そのうえ王様はトンイを宮廷から追い出そうとしている。めでたしめでたしだ。<br />一方、シム・ウンテクと一緒にいた老論派のイングクは、今にも泣きそうな声をあげた。<br />「これはいったい、どういうことなのだっ！」<br /><br />王様の発表は監察府のチャン尚宮や、トンイの味方である人々を衝撃の渦に巻き込んだ。<br />チャン・ムヨルは随分と焦った様子で宮中を駆けずり回るチョンスを見かけた。<br />どうやら王様に取り次ぎを願い出て、断られたらしかった。<br />「王様は淑嬪を寵愛しておられたのではありませんか…？」<br />チョンスの後ろ姿を遠く眺めながら、ムヨルの部下が不思議そうに本音を吐いた。<br />「あぁ。だから怪しいのだ。誰もが納得できない決定の中には隠された真意があるのかもしれぬ…」<br />ムヨルはぎらぎらとした目で、チョンスを睨みつけるように答えた。<br />案の定、部下に調べさせたところ、王様は発表のあと都承旨に新たな教旨を下していることがわかった。<br />どこの部署へ下されたのか極秘にしており、詳しいことは何もわからない。そう言って戻って来た部下を、ムヨルはひきつづき調査にあたらせた。<br />ムヨルにはこれらの王様の行動が、どうも不気味に思えた。<br /><br />薄板を何枚も立てかけた高床式のお堂を、あごヒモつきの黒ずきんと丸首の長い衣姿の役人が、はしごでのぼっていった。<br />お堂の２階で待っていた役人は、ベッドの柵のようなものを下にいる男から受け取った。<br />高床の土間のようなところでは、角材を２人がかりで運び込んでいる。イヒョン宮の修繕作業は淡々と進んでいた。<br />朝もやに包まれたお堂は、通りの家々の瓦屋根を頭２つも突き抜けて、ぼんやり浮かび上がっている。通りは静かであったが、背荷物をかついだ麦わら帽の男や、見物人など、人通りは賑やかだった。<br /><br />修繕が終わった夜、王様はトンイを誘いに来た。なぜかとても懐かしそうにトンイを見つめ、微笑む顔は、厳しい処分を下した人というより、悲しみを秘めた者のようだった。<br />王様はトンイを連れて、イヒョン宮を見に出掛けた。<br />イヒョン宮の母屋は右に折れた造りで、石積みの土台に太い柱が並んで、テラスのようになっていた。瓦屋根が暗い夜空にずっしりと沈み込み、全部屋の障子から白い明かりが漏れている。<br />王様とトンイは木々の少ない殺風景な土の庭へ立った。ひとけが無く、虫の声だけがして夢の跡のようだった。<br />自分が暮らすには大き過ぎるようです、とトンイは呟いた。<br />すると王様は哀しそうに言い返した。<br />「そうやって平気な顔で答えるのだな。私家に送ると言っておいて、ずうずうしくそなたに接する余を見て、なぜ何も聞かないのだ？」<br />「それは…怖いからです。王様が何を申されるのか…」<br />トンイは強張った顔でごくりと息をのみ込んだ。発表を聞いてから、ずっと何か理由があるのだろうと覚悟はしていた。その理由が告げられる日まで、ただ待つしかないと思っていたのが、でもこうして王様の眼差しを見て、それが想像以上に難しく恐ろしいことなのだと今気付いたのだ。<br />それまで夜空を眺めていた王様が、急にトンイの正面に立って目を見て告げた。<br />「トンイ、そなたはここで暮らす。しかし一人ではない。余もまた一緒にここで暮らすのだ…」<br />　<br />東宮殿の庭でトンイに鉢合わせた王妃は、一体何の用事で来たかと問い詰めた。<br />「世子様に届ける粥です。王妃様」<br />トンイの女官エジョンが手にした朱塗りの膳には、四角い模様になるようぐるぐるはぎ合わせた布がかけられている。<br />王妃は怪しむように盆に近寄り、無断で布をめくった。<br />ところが中身はなんてことのない奈良漬のようなのと、醤油の器、菜っ葉のあえもの、黄色い粥の真ん中に削り粉のようなのが振りかけたものであった。<br />「世子の安危に関わります。すぐ下げなさい」<br />それでも王妃は厳しく命じた。すると声を聞きつけた世子が御殿から庭の石畳へ下りて来た。<br />「恐れ入りますが、そんな言い方はおやめください。淑嬪様は私が宮廷で最も信頼する方です。ですからどうか淑嬪様を誤解しないでください」<br />世子に懇願されて、王妃は内心びっくりしたのである…。母親の宿敵であるはずのトンイをかばうとは、よほどのことなのだろう。<br />もう一つ、腑に落ちない点があった。<br />ヨニン君の妃に名門家ではく、トンイが進士の娘を選んだことだ。もし噂通りトンイが世子の座を狙うような人間ならば、王気の流れる家にそのままヨニン君を住まわせたはずだ。<br />それがどうもつじつまが合わず、おかしいと思ったのだ…<br /><br />清に行かせた奏請使が戻ったとの知らせがあり、王様はすぐ面会することにした。清国の密使が王様の要請を受け、すでに温陽へ到着しているとのことだ。<br />王様は明日から心火症で静養に行くとの発表を出し、温陽へ出掛けていった。心火症とは神経性の心臓病の一種である。<br />これにはソ・ヨンギ率いる内禁衛が同行した。<br />現地についたヨンギは、陣営に集めた兵士らに、警備を徹底するよう命じたのであるが、ふと夜空を見上げて、メダカのような星が落ちていくのを目撃した。<br />「星が尽きるのは悪いことの予兆だろう…？」<br />ヨンギは長年、自分に尽してくれている武官に呟いた。そうして何か疲れたような穏やかにも見える笑みを薄っすら浮かべた。<br />「チャ・チョンス都事が宮廷にいるではありませんか。あまりご心配なさらないように…」武官はヨンギをいたわったが、ヨンギの不安はその表情からやはり消えなかった。<br /><br />部下の調べで、ムヨルはこの４日間に王様が出した密命を把握した。それは弘文館、司諫院、礼曹、春秋館の４か所で、さらに詳しく調べさせたところ、春秋館では太祖大王と太宗大王の記録を再編纂しろとの命がされていた。<br />ムヨルはその２つの書物を手にすると、至急、右相の屋敷へ馬を走らせた。<br />２人の大王の共通点…どちらも退位し、王座を譲っているのである。<br />王様の真意はこれだった！　<br />世子を王位に上げ、ヨニン君を世弟にするつもりなのだ。<br />いつかヨニン君が王となりトンイが権勢を握ったら、まず息の根を止められるのは自分であろう。<br />そう直感して、ムヨルは直ちに動き出した。<br />王様の計画を阻止するのに、もはや一刻の猶予もならない。<br />トンイを倒すのには、王様のいない今がちょうど良い。<br />きっとこれには王妃の手を借りることができるだろう。そう読んでいたのである。<br /><br />夜の宮廷の警備には、かがり火と兵士の持つたいまつの炎が揺らめいた。<br />兵士３人と巡回していたチョンスが異変に気付いたのは、春秋館の兵士の姿がぱったり消えたことからはじまった。<br />怪しいと考え込みながら義禁府に帰り、部下にトンイ周辺の警護を強化するよう告げると、若い武官の２人がお互い顔を見合わせ、困ったように言った。<br />「実はあなた様に従うなとの命が下されております。我々は軍曹参判チャン・ムヨル様に従うようにと。そう判義禁大監様からのご指示ですので」<br />これは一体どういうことか…！？　チョンスは思わずうろたえた。とにかく大変な事態が起きているのは確かだ。<br />急いで赤鼻の男に事情を調べに行かせたところ、しばらくして戻って来て、チョンスに早口でささやいた。<br />「どこも同じです！　兵曹判書も全権をチャン・ムヨルに一任しました」<br />ヨンギの内禁衛が留守の今、宮廷にいるすべての兵力は、すでにチャン・ムヨルの手中におさまっていたのである。<br /><br /><br />2012/5/25更新<a name="more"></a>

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            <category>トンイ（長いあらすじ）</category>
      <author>d_nose00</author>
          </item>
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      <link>http://blogs.dion.ne.jp/d_nose00/archives/10759416.html</link>
      <title>「トンイ」あらすじ　５６話</title>
      <pubDate>Tue, 10 Apr 2012 00:56:07 +0900</pubDate>
      <description>ヨニン君の婚礼の話を進めようと、王様の客間へ王妃が挨拶にやって来た。「これは宮廷に広がる噂を慎め、世子の座を正すことなのです。どうがご理解くださいませ…」王妃や少論派は、もっともらしい名分を考えたものだ…と王様は思った。クムはまだ幼い。しかし王様も同じ年齢で嘉礼を挙げたのであった。それで一応、了承はしたものの、気分はどうもクサクサした。クムを私家に送り出せば、いつかの放火のときみたいに外的に狙われやすくなろう。何とかならないものだろうか…？トンイが相談にやってきたとき、王様は..</description>
            <content:encoded><![CDATA[
ヨニン君の婚礼の話を進めようと、王様の客間へ王妃が挨拶にやって来た。<br />「これは宮廷に広がる噂を慎め、世子の座を正すことなのです。どうがご理解くださいませ…」<br />王妃や少論派は、もっともらしい名分を考えたものだ…と王様は思った。<br />クムはまだ幼い。しかし王様も同じ年齢で嘉礼を挙げたのであった。<br />それで一応、了承はしたものの、気分はどうもクサクサした。<br />クムを私家に送り出せば、いつかの放火のときみたいに外的に狙われやすくなろう。何とかならないものだろうか…？<br />トンイが相談にやってきたとき、王様はてっきり自分と同じ考えだと思って、今ちょうど対策を考えているところだよと説明した。<br />するとトンイは言った。<br />「いいえ、王様。王様がヨニン君のために動けば、噂に油をそそぐことになりましょう。それに世子様もまた傷つくはず。どうか私にお任せください。何としても解決してみせます」<br />「だが、どうやって…？」<br />王様は腑に落ちない顔をした。<br /><br /><br />女官のエジョンから説明を聞いて、クムはびっくり仰天した。<br />「では　私は婚礼を挙げるのか？」<br />あぐらを掻いた小さなクムには、長座布団がじゅうたんのように大きかった。屏風には白菊が、花びら１枚ずつ細い線で描かれ、一方で葉っぱの輪郭と葉脈が黒々と荒々しかった。「私は母上、父上、世子様と一緒にいたいのです」<br />優しく、また力強くもある絵を背に、クムは目のふちを赤くして涙目になった。<br />「明日には揀擇令が下りるかと…」エジョンが気の毒そうに答える。<br />揀擇令とは王や王子や王女の配偶者を選ぶ命であった。<br />トンイ母さんがちょうど部屋に様子を見に来て、不安で目をとろんとさせたクムを抱きしめた。　<br />「心配しないで。この母がそうはさせません」<br />不安でたまらないクムは、母さんにしがみついて小さな手の平をあてた。<br /><br />トンイは庭へ移動中に、青衣の役人に出くわした。<br />役人は盆に揀擇令の書かれた巻き物を載せている。すでに王妃が命を出したのだろう。<br />急いで監察府の書庫から儀軌を持って来るようポン尚宮を走らせると、トンイは王室の主要行事について手当たり次第に確認した。<br />調べによるところでは、世子以外の王子は母親が揀擇令に関与した例が古くからある。<br />この裏付けを手に、トンイは儀軌を持って王妃の部屋を訪ねた。<br />「婚礼の件は王妃様に従います。でもその相手は私に選ばせてください」<br />王妃は不服そうな顔をした。トンイの方が古株なだけに王宮には詳しい。トンイが王妃に就くことを辞退したおかげで、王妃になれたなど陰口をたたく者さえいた。<br />しかし王妃は渋々これを認めてやった。要はクムを追いだすために、婚礼させれば良いのであった。<br /><br />城壁そばの大きな賑いの通りに、揀擇令のビラが貼られるなり、オ・テプンと息子のホヤンは強引に人だかりの前へ押しのけて出た。<br />漢字の説明書きの最後に、庚年年　禮曹参議と書かれてある。<br />うちの家系が起死回生する最後の機会だ。処女単子を出そう。　<br />そう鼻息を荒くして帰って来たテプンに、妻はあきれたように言った。<br />「娘もいないのにどうするのです？！」<br />処女単子とは王室の配偶者の候補の家門があげる報告のことだった。　<br />「遠縁の親族の娘がいる」<br />テプンは何とかコネを作ろうと、またホヤンと一緒に大慌てで出掛けていった。<br /><br />老論派イングクが持って来た資料に目を通したトンイは、ため息をついた。<br />そのどうも気に入らない様子に、イングクはやきもきした。<br />「資憲大夫や礼曹参判の家系は、名門家で娘も気品があるそうですよ」<br />これでも老論派が立てた最善の案を持って来たつもりだったのだ。<br />すっかり肩を落としたイングクは、帰り道、首を長くして待っていた仲間の重臣らに囲まれた。<br />「どうもよくない」<br />「本当ですか…？　でもこれ以上の家門だともっと問題になりますよ」<br />仲間の指摘はイングクも十分わかっている。とてつもない名門を後ろ盾にしたら、きっと今度こそ王妃が黙っていないからだ…<br /><br />房付きのお盆に色とりどり並べられた角封筒を、青衣がトンイの執務室へ運び込んだ。<br />応募のあった処女単子のすべてに目を通し、いよいよトンイが最後の封筒の中の手紙を引き出すのを見て、ポン尚宮と女官のエジョンは期待を膨らませ、息をのんだ。<br />やがてトンイはガッカリした厳しい表情で、青衣の男に言った。<br />「この中にはいません。私が直接、選びます。１人心当たりがある」<br /><br />「いったいその相手とは誰なのだ…？！」<br />「そ、それが…」<br />ハン内官は、王様に聞かれて、切羽詰まったような顔になった。あまりに意外な例だけに口に出し辛かったのだ。<br />トンイにはきっと何か考えがあるのだろうとは思ったが、王様もそわそわ気持ちが落ち着かなかった。<br /><br />前大提学パク・ドンジュ宅にトンイが向かったと聞いて、チャン・ムヨルや少論派の間でも大変な騒ぎが起こった。「ふふんっ！」と右相などは、あきれ果てて怒った。<br />なにしろパク前大提学は都でも指折りの名家なのである。<br />儒林で影響力があり、亡き父は少論の長のような立場にある、そんな大人物と婚姻関係を結んで後ろ盾にしようとは…！<br /><br />トンイはパク・ドンジュの屋敷を訪問したが、果たしてそれは大臣らの想像とは違い、別の棟に住んでいるソ・ジョンジェに会うためであった。<br />ジョンジェは雲鶴の弟子だった。司馬試に合格した進士なのに、朝廷とは無縁の生活を送っている。屋敷で弟子の教育係を受けもっていた。労賃が約束よりも５両多いと、その場で銭袋に手を突っ込み、銭束を１本、雇い主へ返してしまうという正直者だ。<br />そのドンジュの娘が、クムより何歳か年上だった。<br />「むさくるしいところで申し訳ございません」とドンジュが頭をさげたわら屋根の家で、トンイはその娘に会った。ひすい色の茶器で、お茶を入れてくれた娘は、恐れずトンイを真っすぐに見て、小さく微笑んだ。謙虚でりりしい、申し分のない娘だった。<br /><br />敷地内に大木がある。<br />あの敷地は王気の流れる場所にあるそうだ。<br />ヨニン君と婚姻を結ぶと聞いて、わら屋根の粗末な家を見に、村人たちがどっと押し寄せ、塀から顔を出してのぞいた。<br />その中には悔しそうにするテプン親子の姿もあった。<br />薄汚い衣の男は誇らしげに大木を見上げ、テプンに手の平で５を作って見せた。<br />「この木はウィギョン世子様が自ら植えた樹齢２５０年の木だよ！」<br />何やら先代王の成宗大王の父親、ウィギョン世子様が一時住んでいたところで、宣祖大王もこの書院で学んだというのだ。<br />２人とも王位に継げない王子から王になった人物であった。<br /><br />少論派の右相、チャン・ムヨル、重臣らが大慌てで対策会議を開いた。<br />民心ほど恐ろしいものはない。もしもヨニン君があのわら屋根の家で暮らすようになったら、いまに民がヨニン君を崇めだすことだろう…<br />便殿での会議がはじまるぎりぎりまで、内輪での対策会議は続いた。<br /><br />いよいよ便殿に老論派、少論派、南人、王様が集まった。その席で重々しく頭を垂れ、発言したのはチャン・ムヨルであった。<br />「その昔、中宗大王の次子、福城君様が嘉礼の２年後に宮中を出た例があります。私家で命を狙われたことを考えると、安全のためにも宮廷にいるべきかと」<br /><br />結婚しても宮中にいられるとわかって、クムは心配が晴れ、すっかり元気を取り戻した。<br />結婚式当日、部屋で控えていたクムに、チョンスは本当の伯父さんらしく励ましの声をかけた。<br />「実感が沸きますか？」<br />「まだよくわかりません。私が本当に結婚するのですか？」<br />クムはつまらなそうにうつむいた。<br />「そうですよ。婚姻するとは私よりも大人なのですね」と笑顔でからかわれ、クムは本当に驚いた顔をした。<br />「クム。嘉礼を挙げる意味は知っているわね？」とトンイが優しく聞いた。<br />「はい。真の大人になり考えを深めることです」<br />クムはハキハキ答えた。<br />「そう。守る人ができ、また多くの人を労わる必要があるのよ」<br />そう聞いたら、クムも急に明るい希望がわいてきた。<br /><br />栗、柿、梨、リンゴは尻を逆さに盛り、すべて金の器に飾られた。<br />小豆、黒豆は脚付きの四角い器に、豆腐のような餅は金のお盆へ２段に重ねてある。<br />白い花瓶に緑の葉をさし、燭台には青い蝋燭を灯した。<br />庭の石橋から赤いじゅうたんを敷きつめた両側に、金の冠をかぶり、杓子を持った重臣らが立ち並んだ。祭壇は４段の石段をあがったデッキに設けられていた。<br />赤衣のクムが座布団にかがみこんで、丁寧に祭壇にお辞儀をした。綿入りの青い絹布を着せられたカモの木彫りはクムの方へ、赤い布を着たカモは、新婦の方へくちばしを向けている。<br />クムの様子を、王様、王妃、トンイが金の龍の背もたれが屏風のように広がった玉座について見守った。王様は平たい冠のすだれで顔が隠れ、王妃は台型のかつら、トンイは丸型のかつらをかぶり、手を隠したまま幅広の袖を三角おにぎりのように合わせた。そのそばに鮮やかな黄色の衣に赤と青のすそをのぞかせた女官らが並んだ。<br />新婦はリボンの形をしたかつらを頭にのせ、何色もの袖を垂らして、両脇の尚宮に袖を支えられながら、少しずつゆっくりと座り、お辞儀をした。<br />そのうつむく新婦の顔を、クムは初めて見たのだった。<br /><br />夜になり、クムがようやく眠ってくれたとポン尚宮がトンイに知らせに来た。<br />なかなか寝ないで子守のエジョンが大変だったと言うのだ。<br />新婦が母上のように美しかったと、クムが興奮してあれこれ喋っていたのが原因らしい。<br />「ヨニン君様が早く１５才になればいいのに！　寝床を共にして子を授かるなら淑嬪様に似た娘がいいですね」<br />早くもポン尚宮は大喜びだった。<br /><br /><br />2012/5/18更新<a name="more"></a>

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            <category>トンイ（長いあらすじ）</category>
      <author>d_nose00</author>
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        <item>
      <link>http://blogs.dion.ne.jp/d_nose00/archives/10749433.html</link>
      <title>「トンイ」あらすじ　５５話</title>
      <pubDate>Tue, 10 Apr 2012 00:55:06 +0900</pubDate>
      <description>監察府では庭に女官が集められた。チャン・ヒジェらが孤島に送られ処刑されること。禧嬪の服毒刑が未の刻に行われることが尚宮より報告されると、それに従い直ちに準備が進められていった。細かな石タイルの露店の通りには大勢の野次馬の姿があった。人ごみを掻き分け、オ・テプンの妻は一番前に出て来て鼻息を荒くした。「あなた。来ましたよ！　ユン氏とヒジェです。石を投げましょうよ！」首根っこにリヤカーを引っかけた茶色い牛が２匹近づいて来る。肩にあてた鞍に、手綱とリヤカーの持ち手をくさびで留め、それ..</description>
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監察府では庭に女官が集められた。<br />チャン・ヒジェらが孤島に送られ処刑されること。禧嬪の服毒刑が未の刻に行われることが尚宮より報告されると、それに従い直ちに準備が進められていった。<br /><br />細かな石タイルの露店の通りには大勢の野次馬の姿があった。<br />人ごみを掻き分け、オ・テプンの妻は一番前に出て来て鼻息を荒くした。<br />「あなた。来ましたよ！　ユン氏とヒジェです。石を投げましょうよ！」<br />首根っこにリヤカーを引っかけた茶色い牛が２匹近づいて来る。肩にあてた鞍に、手綱とリヤカーの持ち手をくさびで留め、それぞれの檻を引いていた。<br />テプンの妻の掛け声につられて、周りの男らがそうだそうだと口々に言って、石ころを拾いあげ、檻が目の前を通り過ぎるのを待ち構えた。<br />いよいよ射程距離に入り、大きな石が檻の丸太棒めがけて次々に飛んだ。石がもろに顔にぶち当たってもヒジェは避けようともせず、いまだ無念の気持ちで頭がいっぱいの様子であった。<br />先頭を行く兵士が手綱を引っぱり、牛を歩かせようとする。しかしの檻は重たく、のそりのそりゆっくりと進んだ。<br />ヒジェの閉じた目に涙のあとが光った。オクチョンの母ユン氏も罵声を浴びるなか、悲嘆に暮れた顔でうつむいた。<br /><br />オクチョンの処刑を進める一行が、監察府の尚宮らを迎えに行った。<br />赤衣の男のそばで、青衣の男が宣旨の巻き物の盆を抱え立っている。<br />準備を終えた監察府のチョンイムも、盆を手にして加わった。かぶせた布の下には毒薬の器があった。<br />赤衣の役人を先頭に、監察府の女性がぞろぞろと続いて、そのあとをチョンス率いる義禁府の兵がついた。彼らは２階をつなげた廊下の下の道をくぐり、就善堂へと向かった。<br />オクチョンは自分の部屋でじっとそのときを待っていたのだった。近しい役人が、刑が実施される未の刻になったことを、一足先に告げに来た。<br />その男にオクチョンはある伝言を託した。最期の伝言はハン内官から王様へと知らされた。ただでさえ自分の下した判決に、もだえ苦しむような痕のあらわれた王様の顔はさらに青ざめた。<br />オクチョンは自分の死に際を見に来て欲しいというのであった。<br /><br />「禧嬪チャン氏は王命を授けよ！」<br />到着した役人の声を部屋の中から聞いて、オクチョンはハッと少し驚いたような顔になった。ついにこのときがやって来たのだ。<br />外へ出て皆の前に姿を現したオクチョンの覚悟は、しかしすでに決まっていた。<br />芝生の上のむしろには、すでに器をのせたお膳が用意してある。オクチョンはその前へすとんと正座すると、武官が読み上げる罪状を聞き入った。<br />役人や女官が大勢、見守るなか、オクチョンの目は白い器に注がれた醤油色の液体を見つめた。庭にはいつも通り、赤い大きな牡丹が咲いている。トンボがスーッと水平に遮り、赤い欄干へとまった。<br />文書を読み終わった武官が、くるくると罪状を巻き納めて一歩後ろへとさがった。<br />オクチョンは立ち上がって、手を額の前で丸くかかげ、お辞儀をはじめる。<br />座り込み、また立ちあがっては会釈する。それがあたかも天に向かって挨拶をしているように周囲には見えた。しかしオクチョンの気持ちは王様に呼びかけた。<br />（王様、約束通りどこかで見てくれていますか…？<br />あの言葉は嘘だったのです。お慕いしたことを悔むと言ったのは嘘でした。私が愚かだったとわかっています。その愚かな私の最期の欲として、私の姿を覚えておいて欲しかったのです）<br />オクチョンはついに毒薬の白磁器を手に取った。<br />王様はハン内官と一緒に山を望む楼閣から、その一部始終を見ていたのだった。じっと堪えるように眺めていたが、オクチョンが毒薬を飲んだのを見て、思わず「あっ」と驚き手を伸ばしかけた。王様の目に遠く映るオクチョンは、みそぎのようにしめやかな姿だった。次の瞬間、オクチョンは口から血を吐いて倒れた。<br />王様は大きくて華麗な牡丹が好きだと言ったオクチョンの明るい笑顔を思い出した。力強くオクチョンの手を握って歩いたことや、重臣らが金の冠で大広場に集結した豪華な婚礼。我が子を抱いてあやした親子水入らずの幸せな日々。そういった光景が急に浮かんで、これですべてが終わってしまったのだと気付いた。<br /><br />オクチョンが亡くなってから、慌ただしく雷雨が起こった。<br />東宮殿では雨に目をしばたかせ、世子の様子を見に行く内官や女官の姿が行き交った。<br />世子は水を飲むことさえ拒んで、授業にも出ていない。<br />そういうわけでクムもまた前みたいに、世子と遊んだり勉強したりしたいのに、ただじっと待つだけの日々が続いた。<br />らんたんをさげた執事らに案内されて、足元の暗い石段を数段のぼった重臣らは、前庭から長屋つきの門をくぐった。歩きながらも熱心な討論が絶えない。新しい王妃を誰にすべきか、その思いが同じであることをそれぞれが確かめあった。<br />部屋で待ち構えていた右相は、王妃の座は賎人出身のトンイとは違う誰か別の者にすべきだと、改めて強い決意のほどを誓った。<br />その一方で、西人派のイングクの屋敷の集まりには、トンイの側近シム・ウンテクも参加した。<br />翌日の便殿の会議では、両派は真っ向から対立することになった。<br />互いを非難するばかりの重臣らを、王様が怒鳴りつける一幕さえあった。<br />すると右相は不本意な顔で、次のように王様に訴えたのだった。<br />「都が噂で騒いでおります。そんなときに淑嬪様を王妃にすれば世子様の座が危ないと民たちに宣言するようなものではございませぬか！　王様、ここはぜひとも新しい王妃が必要なのです」<br /><br />両派のいざこざはトンイの耳にも届いた。<br />相談を兼ねてトンイの部屋に集まったシム・ウンテクとチョンスは、やはりここはクムを守るためにも、当然トンイが王妃になるのが良いという考えを伝えた。<br />「世子もクムのどちらも王にならねば」<br />トンイは意外なことを口にした。<br />ヨンギには薄々その真意がわかったが、シムやチョンスにはまだピンと来なかったようだ。<br />「どういう意味でしょうか…？」と思わず聞き返したシム・ウンテクに、ヨンギは世子様の後で王位を継ぐ世弟のことを言っておられる、と補足した。<br /><br />その晩、トンイは王妃になる意志のないことを王様へ正式に伝えた。それに伴い、新しい王妃として若く美しい金桂臣の娘が王宮へ迎えられた。<br />王様との婚礼の儀が終わると、仁元王妃は部屋にあった贅沢な調度品を、次々に引き揚げさせた。<br />金の取っ手の引き出しが３つ並んだ家具を、男らが抱えて外へと運び出すのを見ながら、満足した気持ちになった。<br />自分の手で規律を徹底させよう。<br />若い王妃は自分の役割を与えられ、やる気に満ちていた。<br />漢城府の兵曹参判チャン・ムヨルが、王妃の父、金桂臣と一緒に、部屋へ挨拶にあがった。<br />王妃の父とムヨルは、数年前に全羅道に暗行御史で派遣されて以来の知り合いだった。<br />「一つお願いがあります」<br />王妃はムヨルに親しい笑みを浮かべた。<br />相談を持ちかけられるくらいだから、信頼されているのだろう。ムヨルはトンイのときとは違い、この訪問に対して良い感触を得たと思った。<br />王妃の頼みごととは、トンイが王様の寵愛を後ろ盾にヨニン君を世継ぎにしようとしているのか、その噂の真相を調査して欲しいという依頼であった。<br /><br />監察府のユ尚宮は、今度の内人式で新しく内人に昇格する者の名簿をトンイに差し出した。<br />王妃のために成績の優れた者の中から少し増員したという。準備はいつも通り順調に進んでいるようだ。<br />任命式の当日、監察府や各部署の女官、尚宮、緑衣の内官、楽師たちが渡り廊下に囲まれた内庭へと集まった。<br />トンイはこの度、内人に昇格する若い女官らに、ねぎらいとお祝いの言葉を丁寧にかけて回った。<br />式がはじまりますので着席なさいますようにと、ユ尚宮が石畳に立つトンイを、朱色の柱が並ぶ楼閣の方へとうながした。中央の石段の両側には、豪華な花を飾った花瓶が置かれ、赤い帽子の両側に尾羽を突き立てた警備兵が立っていた。<br />とつぜん王妃がお供を連れ、その場へあらわれたのは、全くの予想外だった。任命式が行われていると誰かから吹き込まれて確かめに来たらしい。<br />「どうやら自分が内命府の長と思っているようですね」<br />王妃はトンイの前に立ち、ちくりと釘を刺した。<br />ユ尚宮はハッと顔色をかえた。内命府の長はおきてでは王妃と決まっている。それなのに王妃に連絡しなかったのは、イニョン王妃が生前、内命府の長の役をトンイに一任していたために、うっかり今回も同じつもりでいたのだ。<br />「これからは私の手で１つずつ正していくつもりです」<br />と王妃はトンイに忠告した。腹を立てているようではあったが、その中にも絶対の自信をみなぎらせていた。<br /><br />任命式のあと、監察府のチョン尚宮は、トンイのおつきのポン尚宮にこの件を伝え、心配を口にした。<br />「大ごとになりそうよ。王妃様が誤解されているの」<br />まずいのは王妃がますますトンイに悪い印象を持ったことだ。<br />その悪い予感はまもなく的中することになった。王妃がとつぜん幼いヨニン君を結婚させ、王宮の外へ追放する命を出したのである。<br /><br /><br /><br />2012/5/10更新<br /><a name="more"></a>

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            <category>トンイ（長いあらすじ）</category>
      <author>d_nose00</author>
          </item>
        <item>
      <link>http://blogs.dion.ne.jp/d_nose00/archives/10739320.html</link>
      <title>「トンイ」あらすじ　５４話　</title>
      <pubDate>Tue, 10 Apr 2012 00:54:32 +0900</pubDate>
      <description>世子は書庫にいて無事だ。そうハン内官から聞いて、王様は天にも昇るような気分で大きく胸をなでおろした。火もだいぶ弱くなり、草むらの虫の音が耳に入るほど騒ぎは落ち着いた。それでもまだオレンジ色の白い煙の中を、桶を片手に門の中へと駆けこむ兵士を、ちらほら見かけた。ところが都承旨が随分と慌ててやって来て、すぐに宝慶堂へ行って下さいと頭をさげたのであった。今度は一体何事かと困惑の表情を浮かべた王様に、都承旨は悲痛な顔でワケを話した。「淑嬪様が危篤だそうでございます！」宝慶堂ではチョンス..</description>
            <content:encoded><![CDATA[
世子は書庫にいて無事だ。そうハン内官から聞いて、王様は天にも昇るような気分で大きく胸をなでおろした。<br />火もだいぶ弱くなり、草むらの虫の音が耳に入るほど騒ぎは落ち着いた。それでもまだオレンジ色の白い煙の中を、桶を片手に門の中へと駆けこむ兵士を、ちらほら見かけた。<br />ところが都承旨が随分と慌ててやって来て、すぐに宝慶堂へ行って下さいと頭をさげたのであった。<br />今度は一体何事かと困惑の表情を浮かべた王様に、都承旨は悲痛な顔でワケを話した。<br />「淑嬪様が危篤だそうでございます！」<br /><br />宝慶堂ではチョンスが武官の帽子をかぶったまま、うろたえたように四つん這いになってトンイの容態を見守っていた。医女が肩の出血を布で抑えているのだが、布もトンイの白い衣もみるみる赤に染まった。<br />医官がもう一人の医女に、「早蓮草と黄連解毒湯を用意しろ」と激を飛ばした。<br />刀の傷が血管まで達していて出血が続けば危ないという。<br />王様が部屋に駆けつけると、その役割を譲るようにチョンスは刀をきつく握りしめ、刺客を捕まえに宝慶堂を去った。<br /><br />トンイの暗殺未遂事件の処理において、ヨンギの指示は冷静かつ迅速であった。すべての城門を閉鎖し、赤鼻と武官が兵士を率いて城内を捜索に回った。<br />一方、刺客たちは建物の基礎部分に沿って城内をひた走りながら、逃げ口を探し回っていた。<br />あずき色の板門の前で、２人の槍兵が互いを指さしながら楽しそうに笑っている。<br />扉は開いているし、他に人陰もなかったが、あの小さな門を抜けるのは無理だ。しかも義禁府軍が足音をたててあらわれ、上官らしき男が門の扉を直ちに締めるよう命じた。<br />そのまま軍が警備に加わったのを見て、刺客のリーダーは悔しそうに鼻にしわを寄せた。<br />「迎秋門へ行くしかないな…」<br />脱出ルートの変更を余儀なくされ、刺客らは大きなブロックアーチ門の前へ辿り着いた。<br />ところがこちらの門には消火活動をした市民らが大勢いて、武官を取り囲んで、門を閉めたことに抗議を申し立てているところだった。それに対し、命令が下されるまで誰も外に出すわけにはいかないと武官は一点張りだ。<br />刺客たちは集団を掻き分け、武官の前に出て行った。そしてまるで市民の代表のような顔で、「さぁ。みんな帰ろうぜ！」と挑発的な態度を取った。すると民衆もこぶしをあげて賛同をはじめたので、武官はたじたじになった。<br />そこへ駆けつけて来たのはチョンス率いる義禁府の兵士であった。<br />「宝慶堂を襲撃した刺客だ。捕えろぉ！」<br />チョンスは市民の中にまぎれこむ刺客の顔を一発で見破り、声をあげた。<br />驚いた市民は左右に分かれて逃げ、門の前に目をぎろりと光らせた３人の刺客が残った。<br />「我々が刺客だなんて…何をおっしゃるので？」<br />刺客のリーダーはまだ市民のフリをしてとぼけ、一方では油断のならない目つきで攻撃の隙をうかがった。<br />しかしチョンスは靴先とかかと、底の部分が毛皮で覆われふわふわした足元を指して叫んだ。<br />「お前の靴。毛麻蛙を履いた靴だ！」<br />もはやこれまでと悟った刺客たちは、とつぜん兵士の槍を奪い取って、いよいよ本性をあらわにした。兵士対刺客の対決に、辺りはたちまち騒然となった。<br />槍の攻撃をかわしながらチョンスは石段へのぼりつめ、くるくると飛び降りその回転力で強い足蹴りを食らわした。<br />地面に倒れた刺客のリーダーは、自分の胸元へ手を忍ばせた。<br />捕まりそうなときは自害を選ぶよう言われてある。<br />エメラルドグリーンの包み紙を素早く口に入れようしたそのときチョンスの投げた棒に遮られ、毒薬がぽろりと地面へ転がり落ちた。腰を抜かし、あっけに取られるリーダーの胸ぐらを、チョンスは乱暴につかみ上げて言った。<br />「黒幕を吐くまでお前らは死なせん！」<br /><br />義禁府が捕えた刺客はチャン・ヒジェの部下であった。その報告がチョンスから王様にされ、翌日には宮中の掌楽院にまで噂が広まった。<br />おぞましい事件ながら、幸い傷が浅くて淑嬪が助かったこと。指図したのがヒジェと禧嬪だということなど、かなり詳しいところまでが宮中の人間たちの間で語られた。<br />便殿には重臣が集められ、王様による声明が発表された。<br />トンイの私家に放火した罪。イニョン王妃を呪い殺そうとした罪。トンイとクムを殺害未遂の罪について、必ず真相を暴くというものであった。<br />王様の強い決意を目の当たりにした重臣らには動揺が走った。<br />それに伴い、チャン・ヒジェ、オクチョンの母ユン氏、関係者の拷問がはじまったのである。<br /><br />拷問は三方を赤い柱の建物に囲まれた義禁府の細長い庭で行われた。芝生には赤いロープで体が縛れるよう背もたれつきの硬い椅子が並べられた。その背後に黒のとんがり帽子の男らが拷問に使う槍を持って立っている。黒に白の格子柄の衣、ズボンとブーツまで白黒の組み合わせなのは、いかにも不吉な感じがした。<br />台の上には拷問道具がある。鉄製の足輪。木の足かせ、焼きごては熱い持ち手を白布でくるんで、様々の大きさのものを用意した。<br />チャン・ヒジェ、その母ユン氏が、拷問を受けて罪を認めることはなかった。<br />そこでうかがいをたてに行ったヨンギに、王様はオクチョンを捕えて拷問せよとの許可を出した。<br />その指示がとても辛い思いで決断されたことは、ヨンギにも想像がついた。<br /><br />ついに就善堂へと乗り込んだ義禁府に、オクチョンは連行を拒否して、自らの足で拷問場へ出向くと言い放った。<br />拷問場までの道のりを、オクチョンは先頭を堂々と歩き、チョンスと大勢の兵士たちが後に続いた。その光景は女官や内官たち、青衣や赤衣の役人たちの多くが目にした。<br />漢城府のムヨルも、オクチョンを見放すまでの過程を思い返しながら見守った。<br />ポン尚宮は病床で安静にしていたトンイのもとへ慌てて駆けつけ、オクチョンがいよいよ拷問されることを伝えた。<br /><br />拷問場へ入り、兄や母の疲労した姿を見たオクチョンは、さすがに動揺した。<br />ヒジェはぐちゃぐちゃに乱れながらも、死んで怨霊となるだろうと声をあげてソ・ヨンギを睨みつけ、母ユン氏も私の身を引き裂くがいいと泣き叫んだ。<br />なおも自分のために尽くそうとする２人をオクチョンは深く哀れんだ。そうしてその分の怒りをヨンギめがけて絶叫した。<br />「誰だと思っている！　私はこの国の嬪であり世子の母だ。そうだ。すべて私が指図した。これで気が済んだか？　だから母上と兄上を解放しろ。早く！　早くっ！」<br />ヨンギは困惑して顔色をちらりと変えたが、急に前方に向かって会釈をした。<br />他の兵士や拷問係らも会釈しているのに気付き、オクチョンがハッと白い顔で振り返った。ちょうど王様が義禁府の門を入って、今の告白を耳にしたようだった。<br />オクチョンは返って覚悟が固まり、開き直った。そうして今度は王様にあてつけるように、歯をむき出し、肩で息をするほど怒りをぶちまけた。<br />「ええ。王様！　これが真実です。王妃を殺そうとし、淑嬪とヨニン君を狙いました。満足ですか？　これがお望みの答えではありませんかっ」<br />王様はがく然とオクチョンを見つめた。かつては凛と輝いて見えたオクチョンがこうなったことは、そばにいた自分の罪であるような気がしていた。<br />ショックのあまり、そのままふらふらした足取りで、王様は義禁府を出ていった。<br />石畳から足を踏み外しそうになり、ハン内官が急いで支えてやらなければならないほどだった。<br /><br />世子は３日間、仁政殿の広い石階段をのぼったところにある何枚もの扉に向かって、母上の命だけはどうか助けて欲しいと、ひざまづいた。<br />それは夜になっても続き、食事もぜんぜん取らずに、とうとう力つきて気を失うと、そばに控えていた内官ら４名が慌てて助け起こし、尚宮と女官たちも大勢で心配して石段を右往左往する姿が見られた。<br />幸い、医官の診察ではそう心配はないとわかった。見舞いに飛んで来た王様に、世子は「母上を…どうか母上を…」とうわごとを言った。世子もまた母上がこうなったのは息子である自分のせいだと思っているようだ。<br />そんな世子を抱きしめてやることしかできず、王様は本当に申し訳なく思った。<br /><br />このあとの取り調べで王様はオクチョンに面会し、最後の言葉を伝えた。<br />「悪いのはそなただけではなかった。しかし余は許すことはできない。あまりにも遠くへ来すぎた。自決しなさい」<br />オクチョンはやはり凛としたまま黙っている。少し笑ったようにも見えたが、やがて挑戦的な大きな目から、涙をこぼして言い返した。<br />「いいえ王様。私は王様の手によって死にます。たった一つ私が後悔したこと。それは王様を本気でお慕いしたことです。しかしほんの一瞬でも私を想ってくださったなら、私を殺す苦痛から逃れずに、少しは苦しむべきではありませんか？」<br /><br />日付が変わり、王様が今から便殿で処罰を発表なさるというので、重臣らが再び集まった。<br />女官のエジョンは発表が行われることをトンイにいち早く伝えようと走り、チョンスに知らされたソ・ヨンギはそのときを覚悟して待った。<br />以下は王様が発表した内容である。<br />～余は辛巳年１０月８日　罪人たちの処決を下す。チャン・ヒジェとユン氏を含む関与した者のすべてを死刑と流刑に処す。そして禧嬪チャン氏を剥奪し、本日…毒殺を命じる～<br /><br /><br />2012/5/3更新<br /><a name="more"></a>

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            <category>トンイ（長いあらすじ）</category>
      <author>d_nose00</author>
          </item>
        <item>
      <link>http://blogs.dion.ne.jp/d_nose00/archives/10729731.html</link>
      <title>「トンイ」あらすじ　５３話</title>
      <pubDate>Tue, 10 Apr 2012 00:53:28 +0900</pubDate>
      <description>東宮殿の入口に立ってオクチョンが世子の帰りを待っていた。世子がとつぜん王様のいる大殿へ行ったという嫌な噂を聞いたのだ。母の姿に気付いた世子は庭の廊下から階段をあがり、静かに母の前に立った。「まさか、王様に病のことを話していませんね？」母は殺気だっている。世子は苦しそうに目をそらした。沈黙の間、小鳥のさえずりがした。それから涙声で答えた。「母さん。隠すべきではなかったのです。私にも、父上にも…」世子はもう取り返しのつかない深い悲しみから、遠い目でうつむいた。その瞬間、オクチョン..</description>
            <content:encoded><![CDATA[
東宮殿の入口に立ってオクチョンが世子の帰りを待っていた。<br />世子がとつぜん王様のいる大殿へ行ったという嫌な噂を聞いたのだ。<br />母の姿に気付いた世子は庭の廊下から階段をあがり、静かに母の前に立った。<br />「まさか、王様に病のことを話していませんね？」<br />母は殺気だっている。世子は苦しそうに目をそらした。沈黙の間、小鳥のさえずりがした。それから涙声で答えた。<br />「母さん。隠すべきではなかったのです。私にも、父上にも…」<br />世子はもう取り返しのつかない深い悲しみから、遠い目でうつむいた。<br />その瞬間、オクチョンはすべてを悟って、激しいショックを受けたのである。<br />母は慌てている。怒りで狂気じみている。世子が王になることに全力を賭けて、そのすべてが壊れたと知った今、目の縁を赤くし震えた。<br />世子はそんな母と、今この場にいるのが辛かった。息子のためを思う母についても、起こってしまった事件についても、何とも痛ましい複雑な思いがした。<br />母は涙で顔を乱して、世子を責めたてる。<br />「命がけで秘密にしたことを、話してしまったというのですか！」<br />「どうか私のためと言わないでください。私はこの国の世子です。王になれないと思ったことはありません。父のような王に、真の聖君になりたかったのに、母上は私を罪人に、情けない王にしようとしたのです」<br />世子は胸の内を吐き出した。そうしてまだ話があるという母を振り切って、逃げるように御殿へ駆けこんだ。<br /><br />王様からは何らかの反応があるだろうとはオクチョンも予期していたが、かなり息巻いて部屋へ乗り込んできた。<br />王様が主に確かめたかったのは２点である。<br />世子の病状が現れたのはいつからか…？<br />これに対しオクチョンは、１年前に熱病を患ったあとからだと正直に答えた。<br />病状を隠すためにナム医官を担当にしたことや、私家から取り寄せた薬剤でこっそり治療を試みたことまで、世子はすでに王様にうちあけたようだ。<br />「病が治らなければ世子の座が危うい。そう考えヨニン君を陥れようとしたのか…？」<br />これは質問というよりも、もはや王様は完全に疑っていた。<br />１年もの間、ひた隠しにしてきた罪。幼いクムに罪を着せようと、大臣たちは未だ処罰を求めていた。<br />王様は腹が立って仕方がない様子で、早々に部屋を去った。それをオクチョンは玄関先の渡り廊下まで追いかけた。<br />清国で調達した薬だ。だからもうちょっと治るまで待って欲しい。そう泣き叫び、王様の足元にとりすがってまでした言い訳は、しかし今の王様には全く聞く価値のないものであった。<br /><br />便殿前の石デッキで、クムの処罰を訴えていた重臣たちが、何やら急に慌てふためいてその場を解散した。<br />西人のイングクはこの光景を奇妙に思ったが、座り込みをやめた右相本人たちでさえ、まだ事情がよくつかめてはいなかったのだ。<br />右相たちは中止を指図したチャン・ヒジェと落ち合った。<br />「何かあったのか！？」<br />「まさか。ただ今は時機でないのです。ですからもうしばらくお待ちください」<br />ヒジェは曖昧な返事をするばかりだ。<br />ヒジェが去ったあと、総すかんを食らったような顔で突っ立っていた重臣らに声をかけてきたのは、漢城府のムヨルであった。<br />「理由が気になりますか…？　それなら私が説明できますが」<br /><br />このあと宮廷では水面下で異様な空気が流れ始めた。<br />世子を見かけた女官たちはヒソヒソ話をした。<br />「世子様って病気なんでしょ」<br />「最近世子様は気力がないようだ」<br />「近々、東宮殿で訃報があるだろう…」<br />そんな噂まで掌楽院のファンとヨンダルの耳にも入ってきた。<br />ムヨルの言ったことが本当か確かめようと、ついには右相がオクチョンの部屋へ現れた。<br />「世子に問題はありません。ムヨルの策略ではありませんかっ！」<br />オクチョンは強気で否定したが、右相は何度か食い下がって同じ質問を繰り返した。そうして考え込んだ挙句、とうとう捨てぜりふを残して、引き揚げていったのである。<br />「もし噂が事実なら、我々も手の施しようがありませんぞ！」<br />ムヨルの告白は宮廷内の各地に波紋を広げたのだった。<br /><br />集落の小さな港に、チョンス率いる義禁府の官軍が集まった。<br />たった一人の犯人を捕えるにしては、相当の数が用意された。<br />雇い人３人と一緒にちょうど子船に乗り込んだ犯人は、桟橋からロープをほどき、まさに都を脱出する寸前のところで、捕えられたのである。<br />この逮捕劇の決め手となったのは、故オ・テソクの甥であるオ・ホヤンが訴えた事件による。<br />最近ゴロツキに命を狙われはじめたというホヤンは１日中布団にもぐりこんで怯えて暮らすようになった。その息子の姿に父テプンが猛然と立ちあがり、執念でそのゴロツキどもを捕まえたというのである。<br />なぜ息子を狙うのかワケを問い詰めたテプンは、すぐに捕盗庁に行き、裏でゴロツキに指示を出していたという黒幕を訴えた。<br />逮捕されたのは、前府夫人ユン氏ことオクチョンの母である。<br />その詳細はソ・ヨンギが王様へ報告にあがった際、明らかにされた。<br />逮捕されたゴロツキが、オクチョンの母親からトンイとクムの私家へ放火するよう指示されたことと、それをオ・ホヤンの仕業と見せかけようと殺害を企んだ事実を自白したという。<br /><br />王様からはユン氏への拷問の命が下った。<br />監察府では関連者の洗い出しも始まり、オクチョンの住む就善堂の尚宮、女官が拘束される事態となった。<br />知らせを受け、今までヒジェに協力していた少論派などが続々とそばを離れていった。<br />ヒジェにそれを非難された重臣の一人は、泣きっ面に蜂とでも言うような顔でこう反論した。<br />「我々が裏切り者ですと？　この事態を招いたのは禧嬪様ですよ！」<br /><br />残ったのは一握りの南人だけであった。一度は見放された少論派を説得してみようと、オクチョンは自ら立ち上がった。<br />夜になるのを待ち、おつきの尚宮と女官２人を連れてこっそり右相の屋敷を訪ねた。<br />外出するのに、かんざしは飾りのないべっ甲で、先端の棒が銀のものに取り替えた。緑色の衣は夜の闇にまぎれた。<br />屋敷の敷地へ入ると、顔を隠していた外套を折り畳んで腕にかけた。神々しい黄色のスカートはお月様のようにたっぷり膨らみ、堂々としたオクチョンらしさを失ってはいなかった。<br />しかし面会を伝えた執事は、右相の部屋へうがかいに行ったきり、なかなか戻って来ない。<br />態度をころりとひるがえし、禧嬪様を放ったらかしにするとはあまりに無礼ではないか。尚宮は思わず愚痴を吐いた。<br />オクチョンだってわかっている。それでもなお心臓をも差し出す覚悟でやって来たのだ。<br />ようやく姿を現した執事は断りを告げた。<br />「申し訳ありませんが大監は眠っておられます…」<br />部屋の明かりは漏れている。恐らく右相を囲んで重臣らが会合を開いているのだろう。<br />「お願いだ。急用なのだ。もう一度、取り次いでくれ」<br />オクチョンは食い下がった。<br />すると執事らしき男は、とても言いにくそうな顔で、仕方なく本当の理由を口にしたのだった。<br />「それが…今はすべてが終わった深い夜だと。そうお伝えしろと申されたのでございます」<br /><br />宮廷に戻ったオクチョンは、トンイとクムの殺害計画をヒジェに指示した。<br />それに伴って、２名の兵士が燈燭房（トゥンチョクパン）へ忍び込むことになった。<br />燈燭房とは宮中の燈を灯す場所のことである。<br />兵士はそれぞれの手に油壺を抱え、たくさん並んだ赤い観音扉の一番左から出て来た。壺にはそれぞれ油と書いた赤と黄色の紙が貼られ、ふたにかぶした紙を、ひもでくくって空気を遮断してある。<br />扉の前で待っていた上官が聞いた。<br />「量は十分か？」<br />「火力が最も強いものを盗みました」兵士はささやいた。<br />兵士らは燈燭房の前庭から、少しかがむようにして門を出ていった。<br />上官も準備が整ったことをヒジェに伝えに行くことにした。<br /><br />トンイの御殿へヨンギとチョンスが訪ねたのは、今や窮地に追いやられたオクチョンとヒジェが、何をしでかすかわからないと思ったからである。<br />「刺客が必ずここへ来るでしょう。ですから警護しやすい殿閣にお移りください」<br />急きょ予定が決まり、トンイはクムの手を引いて、母のそばを絶対に離れないようよく言い聞かせた。クムはまだ何があったかと、びっくりまなこだ。<br />ところが御殿の門を出ようとしたとき、騒ぎ声が聴こえた。<br />ヨンギ、チョンス、トンイが驚いて塀の向こうを見上げると、夕焼けのように広がるオレンジ色が３人の顔に映った。しかしゆっくりと渦を巻いているのは雲ではなく煙だった。<br />ヨンギらの意表を突いて、なんと世子のいる東宮殿から火災が発生したのだった。<br /><br />東宮殿の入口では、すでに女官や監察府の女たちも駆けつけ、大騒ぎになっていた。<br />炎が幕のように吹き上がった。桶を持った兵士らが何十人も緑色をした観音扉の門をぐぐり、レンガ塀のすぐの突きあたりで左へ曲がって姿を消した。<br />東宮殿の尚宮や内官たちが門の外へいったん出て来たものの、世子が見つからないというので、また戻って行った。<br />ハン内官が泣きそうな顔で、世子の安否が未確認であることを王様に伝え、王様もすぐさま現場へ飛んだ。<br /><br />殿閣に火が燃え移り、避難がダメになった。それで別のルートが確保されるまでの間、トンイは暇になったのだ。<br />クムは早くもトンイ母さんから離れて、御殿の庭をうろついたりしている。<br />大勢の兵士を率いるチョンス兄さんには、自分たちに付き添って貰うよりかは、世子の救出を優先すべきだ。そうトンイは素早く決断を下した。<br />それでチョンスはためらいつつも、持ち場を離れることに決めたのだ。<br />トンイの御殿に兵士を２人だけ残し、直ちに兵を率いて東宮殿へと向かった。<br />ゴーン…ゴーン…<br />武官は巨大な吊り鐘のかかった楼閣に立って、太い棒をブランコのように揺らしながら、銅鏡風の花と渦捲き紋様の中央めがけて突いた。<br />東宮殿へ向かう間、チョンスはふと天をあおいだ。少なくともゆっくりと６度は鳴ったのだ。<br />近隣の民に火災の鎮圧を呼び掛ける合図である。<br /><br />ブロックアーチの大門が解放され、民がなだれ込んだ。女たちはエプロンをつけたまま洗面器を抱えて走った。男たちは空の風呂桶を積んだリヤカーをガラガラと引いた。禁火司の上官は、現場へ急げと民を怒鳴り散らす。<br />禁火司の兵士は、耳と後ろにフードがついたヘルメットに、着物と袴、リボンを後ろで結ぶタイプの袖なしの衣に、とんがりブーツを履いている。火消し棒はてっぺんにカマが突き出た十字の長い棒の下に、のれんのヒモが何本も垂れたものである。<br />目つきの怪しい４人の男たちは、門から入場したあと、真っすぐ突き進んでいく民衆を横目に、リヤカーをくるりと回転させ、建物と建物の隙間の道へ入り込んだ。<br />そうして顔を隠すような姿勢で、回廊に沿ってひたひたと走った。建物をつなぐ石橋の下の道をくぐり抜ける途中で、チョンスと一度すれ違いになった。<br />「どうかされたのですか？」<br />東宮殿へ急いでいるにも関わらず、後ろ髪を引かれるように立ち止まったチョンスに、部下が心配そうに聞いた。<br />チョンスは男たちの足元をじっと目で追い、「あれは毛麻蛙だ…」と呟いた。<br />甲からかかとにかけてヒモで結ぶタイプの上靴で、底に毛を貼ってある。<br />足音を消すときに履く盗賊用の靴だ…<br /><br />トンイは塀向こうの災を熱心に見つめて、立ち尽くすばかりだった。風が強くて火の回りが早いらしい。<br />ふとクムがいないのが気になり、庭を回って見ると、なんと女官らが背中を切られて倒れているではないか！<br />一人っきりでいたクムの目の前には、とつぜん影のような４人の男が現れた。<br />クムは慌てて走り出した。体が小さいので御殿の高床の下だって簡単にくぐり抜けられる。ところが驚いたことに４人の男らも同じように平然と高床の下をくぐって追ってきた。<br />ついには裏庭の端まで行きつき、横並びで４本の刀を突き出し、じりじりとクムに近寄ってきたのだった。<br />男らが刀を振り上げたそのとき、トンイが滑り込むように目の前へあらわれた。そうしてクムをとっさに抱きしめた瞬間、うめき声をあげた。<br /><br /><br />2/12/4/26更新<br /><a name="more"></a>

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            <category>トンイ（長いあらすじ）</category>
      <author>d_nose00</author>
          </item>
        <item>
      <link>http://blogs.dion.ne.jp/d_nose00/archives/10718152.html</link>
      <title>「トンイ」あらすじ　５２話</title>
      <pubDate>Tue, 10 Apr 2012 00:52:57 +0900</pubDate>
      <description>２人は恐らく橋で踏板の遊びをしたのだろう。しかしその後で何かあったのだ…チョンスはこの一帯にある警守所をあたってみることにした。警守所の入口は角材の柱と白壁の２階建てで、窓の戸板はすべて閉まっていた。槍を持った兵士が道の両脇にかがり火を立て、１人だけで番をしている。後ろは扉を開けたままで、頭の上の軒先に“警守所”と彫られた文字を白で塗った木の額がかけてあった。チョンスが役職と名前が金の文字で書かれた木札を出し、捜査日誌を見せるよう命じると、門番はきびきびした態度で専用の槍立て..</description>
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２人は恐らく橋で踏板の遊びをしたのだろう。しかしその後で何かあったのだ…<br />チョンスはこの一帯にある警守所をあたってみることにした。<br />警守所の入口は角材の柱と白壁の２階建てで、窓の戸板はすべて閉まっていた。槍を持った兵士が道の両脇にかがり火を立て、１人だけで番をしている。後ろは扉を開けたままで、頭の上の軒先に“警守所”と彫られた文字を白で塗った木の額がかけてあった。<br />チョンスが役職と名前が金の文字で書かれた木札を出し、捜査日誌を見せるよう命じると、門番はきびきびした態度で専用の槍立てが両側に並んだ通路からチョンスを導いた。<br />再び通路から外へ出て来たチョンスは、入口の前でトンイが待っているのを見て、酉の刻に捕らわれたスリの少年の人相が、どうも世子に似ているようだと言った。<br /><br />両親の名を白状し、金を弁償するなら釈放してやる。そう言われて、世子はとりあえず体罰をまぬがれるために、家へ案内するふりをしたのだった。<br />世子を連行した２人の兵士は、別れ道へ来るたびに、世子がこっちの方だと指し示す方へ言う通りに歩いた。片側は人の３倍もある高い石垣、民家に面した方は低い石積の塀で囲んだ狭い道がどこまでも続く。そうして深みにはまるように、村の奥へと迷い込んでいった。<br />そのうちとうとう道が行きどまりになり、「ここが家か？」と兵士に聞かれ、世子が「そうだ」と答えた。<br />兵士が先に塀から敷地へと入り、家の外から声をかけた。そこに出て来た家の主人と戸口で話をしている隙に、世子はじりじりと後退し、くるりと後ろを向き逃げ出したのだった。<br />無我夢中で来た道をたどるうち、額のハチマキから汗がにじんで流れた。<br />行き場を失って再び通りへ飛び出し、真っ暗な道へと逃げ込んだとき、背後で何者かに口をふさがれ、廃屋の影に体を押しやられた。<br />さっきの兵士たちが世子に気付かずに、すぐ前の道を通り過ぎるまで息を殺してから、男はようやく手を離した。<br />「だっ、誰だ？」<br />「世子様。驚かないでください。私は禁府の都事です」<br />怯える世子に、チョンスがかしこまった。<br /><br />世子は無事にトンイと落ち合ったものの、自分１人だけで宮廷へ帰ると申し出た。<br />そんな世子をトンイは頼もしく思った。もし一緒に戻れば重臣らのあらぬ誤解を招き、トンイらに迷惑がかかることを世子は見越していたのだ。<br /><br />掌楽院のファンはヨンダルと一緒に、世子とクムの失踪について、歩きながら話していた。自分の家に戻ってみると、軒先に座り込んだクムが、ファンの名を呼んで飛び跳ねるように元気に駆けおりて来たのでびっくりしたのである。宮廷に知らせずに何とか世子を救出できないかと雲鶴の小屋を訪ねたが留守だったので、ファンのところへ来たと言う。<br />ファンは世子の無事がわかったので、クムを連れて宮中へ向かった。石ブロックのアーチ門には２人の兵士がいたが、クムのことは踊り子に使う子だと嘘をついた。そのうえ兵士に向かってわざと大きなくしゃみを浴びせたので、兵士はしぶきがかかるのを嫌がって、あっさりファンとクムをそのまま通過させた。<br />その晩はとりあえず、失踪騒ぎをさほど公に知られることなく、こっそり宮中へ戻ることができた。<br /><br />世子の帰宅はハン内官によって王様にも知らされた。<br />世子の護衛を担当する管轄である世子翊護司で護衛し、無事にお連れしたとのことであった。<br />しかし虚弱な体質なうえ、疲労が激しかったのだろう。世子は気を失い、急きょ医官が東宮殿へ呼ばれた。脈をはかった医官は、幸い休めば回復すると診断したものの、今回のようなことは以前からの病気に良くないことだとオクチョンに忠告をした。<br />翌日には失踪騒ぎを聞いた重臣らが便殿に集まり、主に右相が代表となり王様に決意を申し出た。<br />「すべては私家で育ったヨニン君様のせいでございます。世子翊護司の調査によりますと、ヨニン君様が足止めしたために、世子様がスリに疑われたとか。王様。これは世継ぎの命に関わることです。その罪を問うのに身分や年齢を考慮する必要はないものと存じます！」<br />クムにそれ相応の裁きが下されるまで南人、少論とも一歩も譲らないという考えだった。<br /><br />体の具合が落ち着いた世子は、不安にさいなまれた。自分の意志とは違う方向に事態は流れている。クムが処罰されるとは一体どういうことか。<br />「ヨニン君は世子の命を狙いました。なぜなら世子の座が欲しいからです。ヨニン君は弟ではなく敵だと言ったではありませんか！」<br />母もまた病み上がりの世子を前に、重臣らと同じことを言って、厳しく諭そうとする。<br />世子は母のこの考えに驚き、ひどくがっかりもした。<br />そうして言いたい事を吐き出すと、母はもう反論など聞くつもりもないから、早々に部屋を下がろうとする。その背中に世子は問いかけた。<br />「私の病気のせいですか？」<br />オクチョンはくるりと振りかえった。胸騒ぎを覚え、でもまさかそんなはずは絶対ないという確信もあって、その言葉の意味を確かめようと、見開いた目で世子を見つめた。世子はもっと詳しく言い直した。<br />「私が王位を継げないかもしれないから、ヨニン君を陥れるのですか？」<br />「それはどういうことですか？」<br />「私は自分の病を知っています。子が授からないかもしれないことを」<br />世子はついに言った。そうして悲しそうに目をふせた。逃げずに目を合わせ、母親が絶句しているのを見て、また目をふせた。<br />ショックのあまり青ざめていたオクチョンは、再び口を開いたとき、こう釈明した。<br />「それは間違いです。いいですか。わかりますか？　世子はただ病弱…」<br />「これは私の問題です。ですからもう嘘はやめてください」<br />世子はうんざりした様子で、自分の思いを今日こそは貫こうとする。その息子の態度に、オクチョンは一途の望みを失ったように、驚きと悲しみで胸が張り裂けそうだった。<br /><br />重臣らの訴えを聞いて、漢城府のムヨルがまた手を組もうとトンイを訪ねて来た。<br />「世子様の病を公にする。打開策はそれだけです。世子の病を知れば少論の重臣たちはオクチョンに背を向けるでしょう」<br />トンイは前回と同じくムヨルを引き取らせた。しかしこのままではヨニン君が裁かれるのですぞ、と言うムヨルの言葉は、トンイの苦しい心情を突いたものだった。<br />どうすればクムを救うことができるのか…<br />トンイ自身もまた厳しい決断を迫られていた。<br /><br />ムヨルのあとに訪ねて来た世子を、トンイは喜んで迎え入れた。<br />てっきりクムに用があるのかと思ったら、「淑嬪様に会いに来ました」と言う。<br />トンイは世子のために、森の中を舞う蝶の絵屏風を立てた上座を空けた。<br />世子はトンイに敬意を示したような口ぶりで、ここへ来たわけを丁寧に説明した。<br />「ヨニン君のことは心配いりません。私にはこの座を守る資格がないのです。ですからヨニン君を傷つけたりしません」<br />世子は早々に部屋を去った。だがよくよく考えてみると、トンイにはどうも世子の言葉が引っかかった。<br />もうちょっと話を聞いて確かめてみようと思いたって、急いで出掛ける用意をした。尚宮、女官を引き連れ、急ぎ足でレンガを長方形に積んだ門を出て石橋を渡り、花木のレリーフのついたデザインレンガのくり抜き門から、六角模様のレンガ塀のそばを通った。東宮殿に入ってからは、丸く刈った松と砂場のような芝生の庭を進んで、御殿の軒先に控える女官に世子の取次を求めた。<br />しかし女官はかしこまって会釈し、「大殿にまいられました」と言ったのである。<br /><br />その頃、おつきのハン内官は袖口に左右の手を通したまま、王様のデスクへ進み出た。<br />「世子様が至急お目にかかりたいと…」<br />王様は読みかけの書状を脚付きの盆へ置いて、続き部屋の方へ移動した。<br />そうして輝かしい未来を背負った背の高い世子を頼もしそうに見て、一緒に大きな円卓へついた。<br />「話したいこととは何だ？」<br />「父上、私は国を守る資格がありません。大病を患っているのです…」<br />世子は気弱な優しい声で、しかし責任を全うしたいとの思いから、言うべきことをしっかりと伝えたのだった。<br /><br /><br />2012/4/17更新<br /><a name="more"></a>

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            <category>トンイ（長いあらすじ）</category>
      <author>d_nose00</author>
          </item>
        <item>
      <link>http://blogs.dion.ne.jp/d_nose00/archives/10711264.html</link>
      <title>「トンイ」あらすじ　５１話　</title>
      <pubDate>Tue, 10 Apr 2012 00:51:14 +0900</pubDate>
      <description>クムは授業を受けるために、庭の楼閣で雲鶴と机を向かい合わせにしていたが、見慣れない書物が自分の書袋に入っているのを見つけて、不思議に思った。雲鶴は、内心これは大変なことになったぞ…と胸騒ぎがしたのである。表紙に昭鑑録とある。それは漢王朝歴代王の善政と暴政を記録し、世子だけが読むことを許された書物で、当然ここにあるべきものではない。すると待ってましたとばかり、赤衣と青衣の重臣らが武官や槍兵らを率いて姿を現し、とつぜんクムと雲鶴の周りを取り囲んだのだった。彼らは世子の書物を盗んだ..</description>
            <content:encoded><![CDATA[
クムは授業を受けるために、庭の楼閣で雲鶴と机を向かい合わせにしていたが、見慣れない書物が自分の書袋に入っているのを見つけて、不思議に思った。<br />雲鶴は、内心これは大変なことになったぞ…と胸騒ぎがしたのである。<br />表紙に昭鑑録とある。それは漢王朝歴代王の善政と暴政を記録し、世子だけが読むことを許された書物で、当然ここにあるべきものではない。<br />すると待ってましたとばかり、赤衣と青衣の重臣らが武官や槍兵らを率いて姿を現し、とつぜんクムと雲鶴の周りを取り囲んだのだった。<br />彼らは世子の書物を盗んだ侵入者を捜索していたというのである。<br />中でも最も威厳のあるひげを生やした年配が、雲鶴のちょうど手にしている昭鑑録を見て、怒鳴りつけた。<br />「なぜここに世子だけが読める書があるのか！」<br />「さぁ。書に足が生えたのですかな？」<br />雲鶴は皮肉を込めて反論した。変わり者の雲鶴が相手ではダメだと感じた赤衣は手っ取り早く白状しそうなクムに尋ねた。<br />「王子様は昨日の未の刻に東宮殿にいましたか？」<br />クムは口ごもったままだ。その時間はちょうど世子と一緒に内医院に忍び込んでいたので、打ち明ける訳にはいかなかったのだ。<br />赤衣の老官は、これはますます怪しいと思ったらしい。クムをかばおうと口を出しかけた雲鶴に向かって、「ここになくなった書があるのですぞ！」と表紙をバンバン手のひらでたたきつけた。<br />このおえらい男はこのあと王様の部屋へも参上し、「王子様は未の刻に何をしていたか答えられなかったのでございます…」と事の重大さを説明したのであった。<br /><br />一方、クムは未の刻のことについて、当然トンイ母さんにも尋ねられた。<br />クムはしょげかえりながらも、「私は書を盗んでいません。本当です！」ときっぱり弁解をしたのだった。<br />トンイはクムの無実をもちろん信じた。なにか話せない事情があるのだろう。<br />それより問題は、クムを陥れようとする手が宮中にうごめいているということだ。<br />世子の座をクムが狙うのではと警戒する者たちに、この事件は都合のいい根拠を与えることにもなりえる。<br /><br />便殿に重臣たちが集まるのを見ながら、西人のイングクは右相がまた何を企んでいるのかと苦々しい気分でいた。<br />案の定、右相が重臣らの代表となって王様に抗議を申し出たのであった。<br />「ヨニン君は世子の座を揺るがそうとしています。これは軽視すべきことではありません！」<br />重臣らの狙いは見え見えだった。<br />「いいか！　この書は世子がヨニン君にあげたと言ったのだ」<br />王様はかなり腹に据えかねたらしく、手にした昭鑑録を重臣らに見せながら、声を荒げた。<br />世子が自ら大殿へ足を運んで王様にそう釈明したという。これではさすがの右相もグウの根も出なくなった。ところが王様の真意はこれだけではなかったのだ。<br />そばに控えていたハン内官が、２本の巻き物をうやうやしく王様に差し出すのを、重臣らは何事かと見つめた。<br />そして巻き物の内容が発表された瞬間、「まさか…！」と口々に声をあげ、もはや書物の紛失事件など忘れたかのように狼狽した。<br />トンイを内命府の正１品の嬪にする王命だったのである。<br /><br />チャン・ヒジェはオクチョンの就善堂へ相談にあがった際に、書物の紛失事件のあらましを暴露した。ヨニン君を犯人に仕立て上げたのがヒジェであると知ったオクチョンは、しかしその効果を怪しんだ。<br />「ちょっとしたいたずらですよ」<br />ヒジェは澄まして言った。さらにしつこい目つきで声を押し殺し、<br />「あの内医女です…。あれだけ騒がれれば当分、内医女を証拠には使えません。いかにも世子を陥れているように見えますから。その間に我々はトンイとヨニン君を追い出す準備を進めるのです」<br />その日、便殿での会議が終わって表へ出ると、たちまちヒジェの周りに重臣らがたかった。王様の発表で、重臣らは一致団結し、オクチョンを王妃に推薦する気持ちを強めたようだ。<br />この風向きの変化をヒジェは歓迎した。<br />さっそく会合の約束をとりまとめ、晩には長屋つきの門まで重臣らを迎えに出た。<br />右相をはじめ６名ばかりが真新しい頑丈な組木の門をくぐったあと、とぎれずに別の重臣らも続々と中へ入っていった。<br />会合はトンイとヨニン君を消すという方向で幕を閉じた。帰り際、右相はオクチョンの決断を聞いたうえでまた連絡をくれるようヒジェに念を押して帰った。<br />計画はヒジェの思惑通りに動き出したように見えた。<br /><br />トンイの部屋には、とつぜん兵曹参判のムヨルが、ぜひ力になりたいと赤衣の姿で訪ねてきたのだった。<br />力になるとの意味がよくわからない。そう言い返したトンイに、ムヨルはまずオクチョンの陰謀を公にすることだと丁寧な物腰で説明した。<br />「何か勘違いしているようですね？　もちろん世子様の持病を隠ぺいするのは問題ですが、私は何も起こす気はありません。心通わせる兄弟の仲を壊したくないのです」<br />トンイが厳しい態度で突っぱねたので、ムヨルのこの訪問は、とりあえずは満足の行く結果とはいかなかったようである。<br /><br />雑用係が使う門は瓦レンガのアーチで、一人が通れるほどの幅しかなく、庭の隅にこじんまりしていた。世子はクムと一緒にこっそりそこから宮殿を抜け出した。<br />宮中の外で暮らしてきたクムの話によれば、もうすぐ中秋だから町で大道芸が見られるという。世子は未経験の事態にとても胸をわくわくさせた。風呂敷に庶民の着る粗末な服を変装用に忍ばせておいた。<br />年配のユン尚宮はそうとも知らずに、御殿の石段から緑色の格子ドアに向かって声をかけたのだった。<br />すると女官の一人が、夕講の時間までは誰も通さぬようにと世子様のご命令があったと言うので、そのまま女官らと東宮殿の軒先に控えた。世子は昼から護衛まで下がらせたらしい。<br />そのうち雨が降り始め、暗くもなってきたので、縁側に置いてある１メートルほどの燈籠に火を灯した。<br />日が暮れた頃、オクチョンが東宮殿を訪ねてきた。それでユン尚宮は、明かりの洩れる障子越しから再び世子に声をかけた。ところがやはり、いっこうに返事はなかった。<br />オクチョンはユン尚宮と部屋に乗り込んだ。屏風の前には寝床が敷かれていた。<br />布団をめくってみると、体の膨らみに見えたのはなんと肘置き枕であった。<br /><br />世子の失踪は宮中で大騒ぎに発展した。<br />禁軍と内禁衛、監察府までもが動員されたのである。<br />さらにクムも部屋にいないことが判明し、ポン尚宮が大慌てでトンイに知らせた。<br />世子とクムの失踪はいち早く監察府に伝えられた。監察府のチョン尚宮はヨンギ率いる内禁衛にクムの失踪について知らせるようチョンイムに命じた。<br />すべての禁軍と都の兵を動員させよとの王命を、都承旨が慌てて伝えに走った。<br />町のいたるところで兵士が似顔絵を片手に、しらみ潰しに聞き込み調査にあたった。<br /><br />トンイは無地の外出着に着替え、かんざしも飾りのない象牙にして、短い袖なし衣の前合わせのリボンを手早く結びながら、チョンス兄さんを呼んで来るようポン尚宮に頼んだ。<br />自分で心当たりの場所を捜した方が早い。宮中を抜けだしたとしても、バレる前に帰ろうとしたはずだ。それが戻ってないというのは、何か問題があったに違いない。<br />中秋が近いから大道芸を見に行ったのではないかと思って、若い女官らも引き連れ、チョンス兄さんと共に現場へ飛んだ。<br />昼にはイベントがたくさんあったらしく、夜の道端には相撲の土俵がひっそり残っていた。<br />人通りは減ったものの、まだどの露店も主婦か行商人らしき客が一人くらいはいて、店主と言葉を交わしながら品定めをしている。<br />雨が激しくなりトンイの衣の肩から胸に雨水が浸みた。市場の通りがはじまる橋の近くで、トンイは青いふっくらした巾着を、滴の落ちる手で拾いあげた。福の字の下に虹色の宝船で羽を休めた仲睦まじい小鳥、その周りに赤い花が刺繍してある。きらびやかな素材も縫いつけられ、クムのものに間違いなかった。<br /><br />捕盗庁では先に出発した槍兵に加え、さらに捜索隊の増員が決定された。<br />スリの少年を捕えたが、身分を明かさないので困っている。<br />そう部下に相談された上司は、世子の件で忙しい最中だった。それでろくすっぽ話も聞かずに、早々に処分を下すよう命じ、重要な世子捜索の任務に集中した。<br />まさかそのスリと間違われた少年が、世子だとは考えてもみなかった。<br /><br />もう夕講の時間だから帰らないといけなかったのに、クムが踏橋に参加したいというので、ほんの少しだけと思って、酉時まで帰宅を伸ばしたのが運のつきだった。<br />踏橋とは橋を踏んで、無病長寿を祈る遊びである。長い板橋を、線香花火を持つか、手足でリズムを踏むかして渡り、そのあと中に火を入れた燈籠を、願いを込め一斉に夜空へ放す。世子とクムも祈りを込めて燈籠を飛ばした。色とりどりの燈籠は高く舞い昇り、最後には光って星と見分けがつかなくなったが、ふわりふわり動くところが本物の星とは違った。<br />願いごとを何にしたのか世子に聞かれて、クムは「兄さんの病気が治るようにです」と張り切って答えた。<br />悲劇が起こったのはそのあとだ。橋を渡ったところで、ひげ面のいかつい男とぶつかった。<br />その男がぽろりと落として逃げて行った巾着を、用心棒を連れた裕福そうな若者が、世子の足元から拾いあげた。<br />２人は世子が犯人と決め付け、衣の肩が肌けるほど世子の袖を強く引っ張った。クムが必死に追いすがり、「この方を誰だと思っている！　この方は…」と言いかけたところに、宮廷には絶対に知らせるなと世子に口止めされたのだ。<br />そのまま世子は人ごみにもまれて、２人の男と共に橋の賑わいの中へと消えていった。<br /><br />拷問されてマゲがほどけた犯罪者らと、世子は一緒の留置場に投獄された。捕盗庁の敷地内にある吹きさらしの牢屋で、床にはわらが敷いてある。白い着物の上から赤い縄をかけられ、自由に身動きはできなかった。<br />扉は監視兵の頭の高さほどもあり、頑丈な錠がかかっていた。その格子扉へとおずおずとにじりより、世子は監視兵に声をかけた。<br />「外が騒々しいが何かあったのか…？」<br />すると短い房つきの小さな帽子をかぶった監視兵は、首だけこちらへ向け無愛想に答えた。<br />「そんなこと知ってどうする？　世子様が失踪したんだ」<br /><br /><br />2012/4/12更新<br /><a name="more"></a>

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            <category>トンイ（長いあらすじ）</category>
      <author>d_nose00</author>
          </item>
        <item>
      <link>http://blogs.dion.ne.jp/d_nose00/archives/10701970.html</link>
      <title>「トンイ」あらすじ　５０話　</title>
      <pubDate>Tue, 10 Apr 2012 00:50:22 +0900</pubDate>
      <description>高床式の熙政堂は水のない掘になっている。御殿に入るには、正面にかかるアーチの急な石橋か、堀からあがる左右の階段を使う。葬儀に必要な花、ござ、金の燭台などを持ち込む女官、役人らで階段や橋はごった返した。役人の茄子帽子や女官の後ろ髪に垂れるリボンもとにかく何でも白い。腰に垂れさがった役人のベルトが唯一黒であった。役人が竹にリボンで結わえた長旗を、石橋の手すりにかけている。墨で一行、文字の書かれたその旗は、葬儀の際に輿の後ろで掲げて歩くのに使われる。棺は朱色の布で覆い、房飾りの布を..</description>
            <content:encoded><![CDATA[
高床式の熙政堂は水のない掘になっている。御殿に入るには、正面にかかるアーチの急な石橋か、堀からあがる左右の階段を使う。<br />葬儀に必要な花、ござ、金の燭台などを持ち込む女官、役人らで階段や橋はごった返した。役人の茄子帽子や女官の後ろ髪に垂れるリボンもとにかく何でも白い。腰に垂れさがった役人のベルトが唯一黒であった。<br />役人が竹にリボンで結わえた長旗を、石橋の手すりにかけている。墨で一行、文字の書かれたその旗は、葬儀の際に輿の後ろで掲げて歩くのに使われる。<br /><br />棺は朱色の布で覆い、房飾りの布をかぶせたうえ、オレンジ色のリボンでしっかり縛られた。それを角材と板で組み立てたベッドのような輿にのせて運ぶ。<br />輿全体は赤、紋様や枠など彫り残した部分には金を塗っており、上側の縁を冠型にカットしている。<br />式の当日はイニョン王妃の部屋から白衣の役人らが、輿にのせて棺を運び出した。輿は御殿前の石台で一度くるりと方向転換し出発した。<br /><br />葬儀が終わり次第、王妃の御殿から生前使用した家具やお膳が片付けられた。<br />トンイは次々にそれらが運び出される様子を、クムと２人、庭に立ちすくみ見守った。<br />麻の生成りに袖なしの上着、しめ縄つきの帽子、黒いかんざしという姿だった。クムは少し光沢のある黄色い服を着た。<br />しとしと優しい雨が降り続いている。それがイニョン王妃の笑顔を思い出させる。<br />トンイはイニョン王妃の願い通り、必ず生き残って王子を守ろうと、このとき心に誓ったのである。<br /><br />夜には土砂降りに変わり、雷も激しくなった。<br />町ではちょうちんを提げた小間使いが、鋲のついた箪笥のような輿を先導していく。<br />輿を抱える麦わら帽の男らの先には、門まで出迎えに出た私服の上官たちの姿があった。<br />輿からおりたった年配の男の頭に雨がかからぬよう、おつきの男が袖の肌けるのを片手で押さえながら、竹柄の傘をかざした。<br />「ようこそ、右相大監様…」<br />漢城府のチャン・ムヨルが挨拶をしたとき、一緒に会釈する上官らの全身が、雷で明々と浮かびあがった。<br /><br />障子窓のある一室に集まったのは７～８名。室内でも皆、黒いつば帽子はかぶったままだ。<br />大監のいる文机を取り囲むように、話し合いは進められた。<br />これまで王妃を指示してきた西人、少論派も意を共にし、世子の母であるオクチョンを王妃に推し進めようという結論で、話はおおよそまとまった。<br />大監を見送りに出た際、部下がチャン・ムヨルにささやいた。<br />「ではあの内医女を処理しましょう」<br />オクチョンを王妃にする方針なら、当然そうすべきであろうと思ったのだろう。<br />「慌てない方がいい…」<br />ムヨル首を小さく横に振った。<br />表面上はああして皆の意見は一致している。しかしもうしばらく状況を見極めるまでは、心中は必ずしもそうとは言えなかったのである。<br /><br />翌日からさっそく重臣たちによる訴えがはじまった。<br />「一時も空けられないのが国母の席です。世子様の母親である禧嬪様を王妃にすることをお聞きいれくださいませ！」<br />右相は便殿へ集まった重臣を従え、口だけは死を覚悟したような勢いで、王様に決意を見せつけた。<br />便殿から執務室へ戻った王様は、ぐったり思い悩んだ。<br />イニョン王妃は王妃の座をトンイに任せるよう王様に頼んで逝ったのだ…<br />オクチョンが王妃になれば、トンイとクムが危険にさらされるだろう。だがトンイなら可哀そうな世子のことを大切にしてくれる。確かにそれが世子もクムも無事でいられる唯一の方法だった。<br />「ですが王様…」<br />おつきのハン内官は、どう王様が決断を下すのか、内心とても不安そうであった。<br />ハン内官の言いたいことはわかっている。トンイを王妃にするのは難しいと。<br />トンイの前にまず世子の母であるオクチョンの存在が大きい。しかもトンイは賤婢出身なのである。<br />だからこそ、王様はもどかしくて心が潰れそうになるのだった。<br /><br />都承旨は部署に戻って、王様から受け取ったばかりの宣旨の巻き物を赤衣の部下に手渡した。<br />告知は３日後である。それまで徹底して秘密を厳守するようにと注意し、都承旨が部屋を去ると、青衣の１人がすっと外に出ていった。そうして辺りを警戒しながら漢城府の男に接触して、宣旨の内容をひそひそと吹き込んだ。<br />その情報はいち早く漢城府のチャン・ムヨルの耳に入った。その内容にムヨルは意表を突かれながらも、じっくり思案する必要を感じて、椅子に深く座り直した。<br />任命書は、トンイを嬪に昇格させよとの王命であった。<br />とつぜんこの時期にそれは何を意味するのか…？<br />ムヨルは考えたすえ、導いた一つの結論を部下に呟くに至った。<br />「王様は淑儀を王妃にする手順を踏んでおられる…」<br /><br />監察府のユ尚宮は職人の住む村へ聞き込みに行った。<br />短刀を見せられた職人は、確かにこれはチャン・ヒジェの注文で作ったものに間違いないと言った。確かかどうか聞き直すユ尚宮に、「ええ。捕盗大将だった頃に作ったものです」とはっきり頷いた。<br />一方、ヒジェの動きを見張っていたチョンスは、夜にはいったん部署へ戻り、チャン・ヒジェの部下が、あれからまた巫女に接触したこと、巫女の身柄をもしもこっちが確保できれば、短刀の証拠と合わせて起訴が可能であることをヨンギに伝えた。<br />しかし依然として内医女の行方は依然わからないままだ。<br /><br />ヒジェは漢城府へ足を運んだ際、ヨンギの部下である内禁衛の武官と赤鼻の男が、漢城府のムヨルと和やかに庭で立ち話しているのを見かけ、衝撃を受けた。<br />彼らはムヨルに案内されて、部署の建物へと入っていく。<br />しばらくし今度は、漢城府のムヨルの部下３人が庭を歩いていった。猿ぐつわをした女を無理矢理歩かせ、やはり建物内部へと消えていった。<br />なんと女は例の医女だ。<br />ヒジェが目撃したのはそこまでであった。が、どうも雲行きが怪しい。<br />医女を誘拐した犯人は漢城府のムヨルだった。<br />ソ・ヨンギ、漢城府、医女…<br />どうやらムヨルはソ・ヨンギへ医女を引き渡すことで、内禁衛と手を結ぼうとしているようである。<br />チャン・ムヨルは我々を裏切ったのだ。<br /><br />四角い風呂敷包をさげて、トンイはとつぜんオクチョンの部屋を訪ねたのだった。<br />文机にのせられたその風呂敷包を、オクチョンは訝しげに解いた。<br />中身は王妃を呪ったワラ人形の燃えさしであった。<br />「脅しに来たのではありません。ただこれを渡しに来たのです。私は何一つ王様に告げないつもりです。ですから世子は無事に王位を継げます」<br />オクチョンは狼狽し、体の力が抜け落ちそうになった。見えない恐怖に襲われ、緊張もした。<br />「世子とクムを兄弟として穏やかに過ごさせたいのです。私は決して過去のことを忘れてはいませんが、これが禧嬪様と私との最後の機会だと思っています」<br />トンイはオクチョンが怪しまぬよう気持ちを正直に話した。<br />しかしそう言われてもオクチョンはすぐには信じることはできなかった。騙そうとしている。何か狙いがあるのだと疑った。<br />それでもトンイが部屋を去り、あとから思い返すに、さっきのトンイの目は確かに本気であったと思った。<br />兄のヒジェからムヨルの裏切りについて知らされると、オクチョンはまた迷いはじめた。<br />どっちだろうか。<br />どうしてもトンイに直接、確かめたい気持ちにかられ、とうとうトンイのいる宝慶堂へと向かった。その途中でおつきの女官と鉢合わせになり、王様がトンイを嬪に任命するというニュースを知った。<br />オクチョンは、してやられたと思った。激しい怒りで胸が張り裂けそうであった。<br />女官の話によると、すでに宮中ではトンイが王妃になる噂まで立ちはじめているということだった。<br /><br />クムは世子が兄のように親しくしてくれるので、度々東宮殿へ遊びに行くようになった。勉強を一緒にしたり、庭で矢投げをしたりと楽しかった。オクチョンは世子の部屋でクムと鉢合わせるまで、このことを全く知らなかった。<br />クムはオクチョンの凍りついた顔を見たとき、てっきり雷が落ちるかと思い、亀のように首をすくめた。<br />しかしオクチョンは心底怒った目つきでクムを睨んだだけであった。その代わりオクチョンの吐き捨てた失望のため息が、すべてを物語った。<br />クムは東宮殿をすごすごと後にしたものの、世子が後で母親にひどく怒られるだろうことくらいは想像がついた。<br />そのときオクチョンが世子と少し言い争いになって、例の病のことを口にしかけたらしい。それで世子は今度こそ、自分の病名をつきとめようという気になった。<br /><br />世子がとつぜん内医院を訪問したことに、あごひげの医官は明らかに戸惑いを見せた。<br />何の用事で来られたかと不思議に思ったが、功労の栄誉を与えたいと言うので、しばらく立ち話をしている隙に、クムが回廊沿いの開け放たれた部屋へこっそりと飛び込んで、世子の住む東宮殿へ処方される木箱から当帰、桑白皮など薬剤を引っつかんで逃げていった。<br />あとは２人で書庫の棚から漢方の本を取り出し、現物の薬剤と比べるだけで良かった。<br />ウィジル（痿疾）と聞いて、世子はドキリとした。<br />病名はついにわかった。その意味も知っている。それだけにもう取り返しがつかないかのような暗い気分に襲われ、頭がもうろうとなった。<br /><br /><br />2012/4/5更新<a name="more"></a>

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            <category>トンイ（長いあらすじ）</category>
      <author>d_nose00</author>
          </item>
        <item>
      <link>http://blogs.dion.ne.jp/d_nose00/archives/10690442.html</link>
      <title>「トンイ」あらすじ　４９話</title>
      <pubDate>Tue, 10 Apr 2012 00:49:15 +0900</pubDate>
      <description>イニョン王妃が倒れたのは、真心痛（心筋梗塞）が原因だった。随分前から悪化していたらしい。重症の程度を探るようにとのオクチョンの指示に、尚宮は「承知しました」といったん部屋からさがり、まもなく知らせを持って戻った。意識不明の状態だという。オクチョンにとっては生きる道が再び開けたような心持ちがした。イニョン王妃に握られた証拠を隠し通すことができれば、世子の病状については今しばらく伏せておける。やはり例の医女を何としても口封じする必要があった。様子を探りがてら、オクチョンはイニョン..</description>
            <content:encoded><![CDATA[
イニョン王妃が倒れたのは、真心痛（心筋梗塞）が原因だった。随分前から悪化していたらしい。<br />重症の程度を探るようにとのオクチョンの指示に、尚宮は「承知しました」といったん部屋からさがり、まもなく知らせを持って戻った。意識不明の状態だという。<br />オクチョンにとっては生きる道が再び開けたような心持ちがした。<br />イニョン王妃に握られた証拠を隠し通すことができれば、世子の病状については今しばらく伏せておける。<br />やはり例の医女を何としても口封じする必要があった。<br />様子を探りがてら、オクチョンはイニョン王妃の見舞いへも行った。医官が王妃の脈をとる間、王妃の足元には２人の医女が控えた。<br />イニョン王妃は三つ編みを下ろして、白い内着で眠っている。<br />オクチョンは寝顔をじっと眺めているだけだったが、心の中では王妃に挑戦状をたたきつけた。<br />（おわかりですか？　世子の座は揺るぎません。そうなればこの中宮殿は結局私のものになるということを…！）<br />王妃に厳しい声は届いただろうか。呼吸のたびに王妃は眉間にしわを寄せ、辛そうな表情を見せた。<br /><br />オクチョンはヒジェを呼び出し、例の医女を探し出すよう指示を出した。<br />王妃の病状を聞いて、真っ先にヒジェの頭に浮かんだのは、巫女の言葉だった。<br />～王妃の命の灯は尽きています。ですがそう簡単には逝かないでしょう。最後に死力を尽くす姿が見えます～<br />巫女の予言は今から考えれば恐ろしいほど正確だ。死力を尽くすとは恐らく王妃が世子の座を下ろそうというのだろう。<br />ヒジェが再び相談に行くと、巫女は目の前に風呂敷包を差し出した。<br />「どうされますか？　最後のわらをつかみますか？」<br />あとは真っ赤な口をじっと結んで、返事を待っている。<br />包の中に何が入っているのか。身の毛もよだつような気分だ。それでも決心を固めると、ヒジェは震える手で風呂敷包の結び目をつかんだ。他に頼れるものはない。<br /><br />その晩にも作戦は決行された。オクチョン母、侍女、巫女が人目を忍ぶように、頭から外套をかけて、レンガのくり抜き門まで歩いた。<br />宮中の門番は、こんな遅い時間にオクチョンに会いたいという女らの要求に戸惑いつつも、ただならぬ気迫に押されるまま、行く手を開けた。<br /><br />王妃の危篤を受けて、警護は強化されている。ヨンギとチョンスの指令を受けた兵士らが、王妃のいる中宮殿へ駆け走り、周囲を取り囲んだ。<br />オクチョンの母親たちは、オクチョンのいる御殿は素通りし、回廊沿いのほのかな提灯を頼りに宮中の庭へ入ってヒジェと落ち合った。<br />「どうすればよい？」<br />暗闇の中に立つヒジェが、取り急ぎ聞いた。<br />すると巫女の低い声が、夜の空気に触れ不気味に揺れた。<br />「可能な限り中宮殿の近くに行きましょう…」<br />ヒジェは丁寧な物腰で巫女らを密かにイニョン王妃のいる中宮殿へと案内した。<br /><br />中宮殿の外塀まで着くと、ヒジェが中の様子を観察した。表の方はタイマツを手にした兵士の出入りが激しいので、裏庭へ回ることにした。<br />案の定、そこには闇が広がり、ひとっこ一人見当たらなかった。<br />ヒジェが見張りをするなか、巫女は茂みへしゃがみ込んで、いよいよ風呂敷包を解いた。<br />籠があらわれた。その中から呪いのセットが出た。まずはてん書体で書いた紙が２枚。朱色と黒の文字で書かれたものを地面に敷き、上へわら人形をのせた。<br />白布の顔の裏に後ろ頭の黒布を縫いつけた簡単な人形には、上等な絹の服を着せてある。黄金織の上着にスカートは蝶の赤い織物。真珠色の前掛を垂らしている。<br />巫女は最後に「驪興閔氏」と王妃の名を書いた表札をそばにのせた。手にした黄色のお札に火をつけ、スカートからのぞく２本のわら束の足と、呪いの紙へ順に炎を移した。<br />メラメラと燃え盛る炎のなか、巫女が鈴つきの棒を小刻みに鳴らしながら、呪いの術を読んだ。<br />「東西南北、四方八方　息の音を止めてくださいぃ～」<br />巫女の仕事がスムーズに運ぶようヒジェが辺りをしきりに警戒したおかげで、お経に熱の入った巫女は、鈴をいっそう掻き鳴らして天地神妙に祈りを捧げた。<br /><br />トンイはイニョン王妃に仕えるアン尚宮を問い詰め、ようやく王妃が抱えていた諸事情を知った。<br />オクチョンらに狙われる前に、例の医女を保護することが最優先の課題だった。しかしイニョン王妃は女官チョングムの他は、重臣やおつきの者さえ居所を漏らさなかったのだ。<br /><br />この事実にトンイが気付くより一足早く、ヒジェ側が白昼堂々、中宮殿の女官チョングムを連れ去った。<br />兵士はいったん内医院に寄り、アゴひも付きの頭巾をかぶった４人の役人らに交代した。４人の役人は薬剤をのせたリヤカーに、猿ぐつわをしたチョングムをのせると、むしろをかけて見えなくし、わら束を数個のせた。<br />門には武官が立っていた。<br />役人は木札証を武官に渡し、外出の理由を「キバナオギと当帰を間違えたようです。王妃様に使う薬剤なので…」と説明した。<br />ふと横を見ると、ヨンギの兵士がバタバタと敷地内を駆けている。チャングム失踪が発覚し、騒がしくなっているようだ。ヨンギは直ちにすべての門を遮断するよう赤鼻の武官らへ指示を出した。<br />しかし門にいた武官は木札証を、役人へ黙って返した。まだヨンギの指令がここまでは届いていなかったためである。<br />４人の男らはリヤカーを勢いよく走らせ、一目散にブロックアーチの門から外へと逃げて行った。<br /><br />ヒジェは捕えたチョングムから、医女の居場所を聞き出すなり、雨の中を手下たちに交じって、蛇駱山のふもとにある隠れ家へと直行した<br />手下どもは小屋の扉を次々に開け放して、中を見まわした。だがチョングムの姿はどこにもない。<br />辺りを見渡すと、おかしなことにチョングムを守っていたイニョン王妃の護衛兵が、庭の隅や縁台の上にぐったり倒れていた。何者かが先回りし、チョングムを連れ去ったようであった。<br />あ然と立ち尽くすヒジェに、部下が急を知らせた。<br />「内禁衛の兵士たちがこちらへ駆けて来ますっ！」<br />これでは医女を捜すどころでは無くなり、大慌てでその場を立ち去ったが、そのときヒジェの衣からぽろりと短刀が落ちたのには、とうとう気付かないままになった。<br />現場へ到着したチョンスの帽子から、滴がどんどん垂れ落ちた。小屋は何者かに荒らされて、もぬけの殻だ。<br />チョンスは庭のぬかるみに落ちた短刀入りのケースを拾いあげた。<br />黒塗りに貝殻細工の模様がほどこされている。ピンクにも青にも緑にも輝いた上等なものだった。<br /><br />菖蒲で花輪を作れば病気が逃げていくと聞いて、クムは王妃にプレゼントしようと思いついた。それで階段状の石積みの庭へ行って、菖蒲を熱心に探したのだった。<br />稲のような葉を掻き分けながら、根元から刈り取ろうとカマで土を掘っていると、奥の草の中に人形の燃え残りと、すすで黒ずんだ表札が見えた。<br />監察府では直ちにイニョン王妃を呪った容疑者の捜査を開始した。表札に付着した土がやわらかかったことから、そう時間は経っていないはずだ。まずは１日か２日かのうち入宮した者の名前を調べてみることにした。<br /><br />医女は誰が連れ去ったのか？<br />ヒジェや内禁衛より先に医女を捕えたのは、実は漢城府であった。<br />ここ最近、世子の婚姻について理由をつけて引き伸ばしたり、何かと秘密主義な動きが見られたりと、オクチョンやヒジェの様子が奇妙に映った。<br />捕えた医女から事情を聞き出し、ようやくそのワケを知ることができたのである。世子に世継ぎができない可能性があると知った今、このままオクチョンの味方につく事が果たして良いのか、考え直さなければならなくなった。<br />事は急を要する。医官の話では王妃の病状は、すでに手遅れの状態であるという…<br /><br /><br />2012/3/27更新<a name="more"></a>

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            <category>トンイ（長いあらすじ）</category>
      <author>d_nose00</author>
          </item>
        <item>
      <link>http://blogs.dion.ne.jp/d_nose00/archives/10680048.html</link>
      <title>「トンイ」あらすじ　４８話</title>
      <pubDate>Tue, 10 Apr 2012 00:48:26 +0900</pubDate>
      <description>こうなるとヨニン君の侍講院への入学は王様も王妃も積極的になった。これに対し、世子の座を脅かす可能性があるとして、重臣らはこぞって抗議を表明したのである。たかが入学くらいで考え過ぎではないか…？　そう首を傾げる者がいたのも事実。しかしオクチョンには一大事だった。王妃は恐らく世子のことで何か勘付いているようだ。一体どこまで知っているのかはわからなかった。考え様によってはイニョン王妃が、クムを世子にしようと早くも準備をはじめたようにも思えた。仁政殿では世子とクムが王様に謁見中だった..</description>
            <content:encoded><![CDATA[
こうなるとヨニン君の侍講院への入学は王様も王妃も積極的になった。<br />これに対し、世子の座を脅かす可能性があるとして、重臣らはこぞって抗議を表明したのである。<br />たかが入学くらいで考え過ぎではないか…？　そう首を傾げる者がいたのも事実。<br />しかしオクチョンには一大事だった。<br />王妃は恐らく世子のことで何か勘付いているようだ。一体どこまで知っているのかはわからなかった。<br />考え様によってはイニョン王妃が、クムを世子にしようと早くも準備をはじめたようにも思えた。<br /><br />仁政殿では世子とクムが王様に謁見中だった。大きな丸テーブルには中庸、大学など書物が重ねてある。<br />王様は試験の結果を褒めるだけでは飽き足らず、書物のページをめくってはその意味をクムに尋ねた。<br />「これは前書きです。子思（中庸の著者）が、教えを伝授するために書いたとあります」<br />クムの正確な解答を聞いて、ハン内官と都承旨はすっかり感心した。２人がどれほどすごいかを改めて思い知った。<br />王様は小踊り出したい気分であった。優秀な息子の姿を見るのは楽しいものだ。<br />高らかに笑う王様を見て、クムも一緒に嬉しくなったが、隣の席の世子はなぜかうつむいている。悩み事でもあるようだった。<br /><br />世子はナム医官と医女の目の前で、薬をきっちり飲み干し、器を短い脚付きの丸盆に返した。<br />自分の部屋の中で世子は紫の茄子帽子をかぶったままでいる。立派な金龍の刺繍が黒衣の肩で暴れ、その一方で空色の屏風絵の中では、白い桜の枝がひっそりと垂れていた。<br />「では数時間後にまた湯薬を持ってきます」<br />と帰ろうとするナム医官を、世子は引きとめた。<br />「私の飲んでいる湯薬は何だ？」<br />薬は内医院のものでなく、わざわざ私家から取り寄せたものだ。<br />母にも医官からも病状は知らされていない。このままでは不安ばかりが膨らんで落ち込む一方なだけに、思い切って今日は直接、医官に聞いてみることにした。<br />ところが医官は言葉を詰まらせたまま、やはり何も答えようとはしない。そうまでして隠さねばならない病とは何なのか。<br />世子はさらに思い悩んだ。<br /><br />重臣らはとうとう抗議のため便殿に集まったらしい。<br />王様はクムに才能に見合った教育をさせてやりたいだけだ。しかしどうも侍講院というのが問題だった。<br />これはもう雲鶴先生にクムの師匠を引き受けてもらうしかなくなり、トンイは雲鶴に煙たがられながらも、毎日クムを一人、雲鶴のもとへと通わせた。<br />雲鶴だって強引に山里まで押しかけてられてまで、放り出しはしまい。<br />王様はトンイのこの作戦に懸念を持ちながらも、可愛いクムのために一肌脱ぐことにした。雲鶴の住む山里まで出掛けていったのである。<br />どうやら留守のようなので待っている間に、家の前にある菜っ葉畑の固い土をクワでこつこつと耕すことにした。<br />しばらくして、平たい籠バックを肩にさげ、ノラ仕事から戻ってきた雲鶴は、人の畑を勝手に耕す男を見て、何をしているか！　とやかましく叱りつけた。<br />「余はヨニン君の父親である。畑を耕しゴマをすっていたところだ。そなたを口説きに来たのだよ」<br />王様は悪びれもせずに言い、これが噂の雲鶴かと感慨深そうにした。<br />あっけに取られた雲鶴は、そくざに地面へひざまずくと、自分の無礼を詫びたうえで、しかし意外なことを口にしたのだった。<br />「私はすでに、王子様の師匠となることに決めていました」<br />ではわざわざ王様が今日ここへ来たのは、骨折り損ということになる。<br />雲鶴はこの数日間、そばでクムを見るうち、掃除や畑仕事もいとわない謙虚な姿勢に心を動かされたらしい。そういう人柄に見事クムを育てあげたトンイの教育方針にも、心通じるものがあったようだ。<br /><br />もう一ついいニュースが飛び込んできた。<br />トンイとヨニン君を守るために、王様が流刑地からチョンスを呼び戻したのだった。かつての従事官から義禁府都事への昇進である。<br /><br />オクチョンの母親は腕のいい占い師の住む神堂へ行った。<br />トンイ親子が宮廷に返り咲く名分を、自分が与えてしまったことを悔みに悔やんだ。すべては放火が発端だった。<br />その女は５０～６０代くらいで、５色の服を着て祭壇の前に座っていた。<br />ワラをもすがる思いのオクチョンの母親をちらりと一目見るなり、勝ち誇ったような顔で一言告げた。<br />「もうすぐ死ぬのに、占ってどうするのです」<br />オクチョンの母親は、みるみる青ざめた。<br />さらに女はまるで見て知っているかのように、こう予言した。<br />「少し前に奥様が行った火遊びですよ。そのせいで就善堂に災難が起こります」<br />これは尋常ではない。何も教えてないのに放火のことまでお見通しとは。<br />オクチョンの身に一体何が起こるというのだろう…？！<br />帰宅したオクチョンの母親は、いてもたってもいられず、とうとう息子のヒジェに放火犯の黒幕が自分であることを告白するに至った。<br />するとヒジェはすぐその足で、占い師の舌を引っこ抜いてやろうと神堂へ乗り込んでいった。<br />ところが刀の刃を首にあてても、女は顔色一つ変えやしなかった。それどころかざまあ見ろとでも言うように、ねっちりと口を曲げてヒジェにも忠告してやった。<br />「王妃が頭の上にいますよ。こんな夜は動かぬ方がいいのに。もっと利口な部下を持つべきでした」<br />ヒジェには心当たりがあった。今の時間はちょうど部下が世子の病状を知る例の医女の家を見張っており、見つけ次第、口封じのため始末する手はずになっていた。<br />では王妃が頭の上とは…？<br />「皆を生かすも殺すも、王妃様しだいということです」<br />女はよほど自分の占いに自信があるらしく、協力的に答えた。<br />「では王妃を殺せば生き残れるのだな？」<br />「はい…。そうです」<br />女の三日月眉が高くあがった。すでに未来が見えているような目つきだった。<br /><br />予言はずばり的中した。<br />部下がおとり捜査にハマって捕まったのである。罠を仕掛けたのはイニョン王妃だった。<br />医女の命を狙った理由を追及されれば、世子の病状について言い逃れはできまい。尻尾をつかまれたのだ。実にまずい状況になった。<br /><br />トンイはこの頃、イニョン王妃にクムの今後について考えを聞かれることに戸惑いを感じていた。<br />なぜ今それを聞きたがるのか、トンイには理由がよくわからなかった。ただイニョン王妃はある事情を知っていて、何かをとても急いでいるように見えた。<br />どうも前々から心臓の具合があまり良くないらしい。トンイは王妃の状態を確かめるために、内医院まで足を運んだ。<br />薬剤の調合は庭の外で行われているようだ。台の上に種類ごと乾燥した薬草を木箱に入れ、並べてある。それを医官が少しずつ取り分け、医女たちがウチワであおぎながら、急須で煎じていた。フタにかぶせた紙の隙間から煙が漏れ、辺りに煙った。<br />医官の話では、王妃の心臓は最近になって、随分と悪化したとのことであった。<br /><br />再びトンイを部屋に呼び出した王妃は、病状の悪化と感情の高まりを抑えるのに苦労しながらも、決死の覚悟をみなぎらせた。<br />「もうすぐ宮廷が今までにない大きな騒動に巻き込まれるだろう。だからこそ約束して欲しい。どんな瞬間が来ても、生き残って必ずヨニン君を王にすると…！」<br />その言葉は衝撃的だった。王妃様は世子を差し置いてクムを王にするおつもりなのか。トンイには王妃の指し示すものがすごく怖い事のように思えてならなかった。<br />しかも王妃は今、トンイにも同じ覚悟を求めようとしているのだ…<br /><br /><br />2012/3/20更新<a name="more"></a>

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            <category>トンイ（長いあらすじ）</category>
      <author>d_nose00</author>
          </item>
        <item>
      <link>http://blogs.dion.ne.jp/d_nose00/archives/10669454.html</link>
      <title>「トンイ」あらすじ　４７話</title>
      <pubDate>Tue, 10 Apr 2012 00:47:22 +0900</pubDate>
      <description>トンイとクムを乗せた２台のコシが、内官、槍兵、武官、青衣の役人と共に、宮中へ入った。それを監察府の女官、赤服の重臣らが総勢で出迎えたのであった。クムの黒頭巾と衣の縁どりには金の文様が入っている。トンイの方は、鳳凰の金のかんざしに、腕全体に金銀の草花模様がほどこされた羽織姿だった。スカートのすそには模様入りの帯が入り、スリットの入った前衣が長いうちわのように垂れていた。親子は石畳の中央の道を、手をつないで歩いた。内官らが道の両側で頭を垂れて見守った。王様はクム王子をヨニン君に、..</description>
            <content:encoded><![CDATA[
トンイとクムを乗せた２台のコシが、内官、槍兵、武官、青衣の役人と共に、宮中へ入った。それを監察府の女官、赤服の重臣らが総勢で出迎えたのであった。<br />クムの黒頭巾と衣の縁どりには金の文様が入っている。<br />トンイの方は、鳳凰の金のかんざしに、腕全体に金銀の草花模様がほどこされた羽織姿だった。スカートのすそには模様入りの帯が入り、スリットの入った前衣が長いうちわのように垂れていた。<br />親子は石畳の中央の道を、手をつないで歩いた。内官らが道の両側で頭を垂れて見守った。<br />王様はクム王子をヨニン君に、トンイを従２品の淑儀にするよう都承旨に手続きを命じたのであった。<br /><br />念願だった宮中に来られて、クムは最初、夢見心地になった。<br />ところが王様の人柄が虎より怖いというエジョンの話を、真に受けたのだった。<br />もしも王様が自分を見て失望したらどうしようかと心配にもなってきた。<br />トンイ母さんが王妃の部屋に挨拶へ行っている間、クムは心細そうに眉を八の字にさげて待っていた。<br />すると「坊や、坊や！」とお洒落なレンガのアーチから、例の判官が嬉しそうに庭の石段を駆けて下りて来る。外出着に長ビーズのヒモの垂れた黒帽子をかぶっていた。<br />「ちょうどそなたのことを思い出していたところだ」<br />弱気になっていたクムは嬉しそうに顔を輝かせた。<br />王様はうやうやしくクムにひざまずいて挨拶をした。そしてクムの不安を聞かされると、身ぶり手ぶりで、調子良く舌をまくし立てたのである。<br />「考えてみるとあり得ますな。王子様はあれこれ無礼を働きましたから。一国の王にまわしを着けさせ、相撲をとらせたのです」<br />クムはその意味がわからず迷ったような顔になった。そこにイニョン王妃と積もる話を終えたトンイが庭へ出て来て、親しそうに声をかけてきた。<br />「王様、そんな服装でどうされたのですか」<br />王様はようやく正体を明かしてやる気になった。<br />「王子様。余がこの国の王、王子様の父でございます」<br />と少々大げさな言い回しで告白した。<br />その途端、クムは大きく口を開けて、肩を飛び上がるように縮ませたのだった。<br />ショックが効きすぎたのだろう。泣いてその場を逃げ出してしまい、ポン尚宮と女官たちが慌てて探しに行くはめになった。<br />トンイに説明を求められた王様は、今度ばかりは大いに反省したようだ。<br />「それがだな…。あの子がとてもかわいくて。こんなつもりではなかったんだ」<br />と、しどろもどろに口を濁した。<br /><br />翌日、トンイとクムの任命式が小さめの中庭で行われた。<br />朱色の柱が並んだ御殿の軒先にベルベットの布をかけたテーブルを置いて、壇上とした。<br />そこへ内官、ポン尚宮と女官のエジョンが控え、庭の通路の両側に楽師、内官、女官、武官、監察府の仲間が揃った。その背後で兵が警備を担当した。<br />重臣たちの衣装は式典用のものだ。背中に鶴が８羽並んだ刺繍が、化粧まわしのように垂れている。鶴は白と黒だが周囲はすべて金刺繍という贅沢な仕上がりだった。衣用の白帯の他に、硬い金ベルトを腰からリヤカーの持ち手のように引っかけてあった。<br />王妃は屋根のように外へ反り返ったかつらをかぶった。トンイのかつらも頭の周囲に沿わせ幾重にも編まれた大きなものだ。中央に赤い布玉が１つと、銀や宝石を使った小花の毬飾りが左右に２個ずつくっ付いている。<br />イニョン王妃の手から、トンイへ刺繍織りのピンクの巻きものが渡された。トンイはそれを３色の帯状の袖の中へ手を隠したまま受け取って、王妃と一緒に２人掛けのテーブルに着席した。<br />クムが黒革のポックリブーツに赤衣と茄子帽子で石畳を歩いてきた。石畳は濡れたような色をしている。<br />胸の刺繍は一匹の金龍、その背景に広がる図柄は雲である。<br />クムは壇上へ上がると、金冠をかぶった都承旨から王様の宣旨を受け取った。<br /><br />トンイのかつての住まいには、立ち入り禁止のロープが張られたままだ。ロープにオレンジのリボンがいくつも付いており、遠めにもすぐ事件の調査中だとわかる。<br />草屋根の門前には、警備兵がうろうろし未だ警戒が厳しい。<br />捜査員は数名いた。官服の上に白い前掛けをしている。母屋と離れと、調査は手分けして進められた。<br />一人の捜査員が窓枠の隙間に差し込まれた竹竿を手に取った。布の燃えさしが巻きつけてある。<br />トンイとクムの寝室の焼け痕が、わら屋根まで達して一番ひどいようだった。格子の半分より下がすっぽり焼け落ちていた。<br />捜査員がハケで窓枠のすすを落として、持ち手がチョウチョになった虫眼鏡で丹念に痕跡を調べた。<br /><br />捜査の様子を高台から眺めていた男は、すぐその足でオクチョンの実家へ向かった。<br />母親に会い、しばらく都を離れる必要があるので資金を貸して欲しいと申し出た。<br />オクチョンの母親は、渋々ながらも承知せざるを得なかった。王様とトンイの復縁を恐れて、男に放火を依頼したのは自分だからであった。<br />船を調達することを約束し、すぐに男を屋敷から追い払った。一緒にいるところを誰かに見られてはまずい。<br />男とすれ違いに訪ねて来たヒジェを、母親は何事も無かったかのように笑顔で迎えた。<br />オクチョンはどんな様子でいるかと心配する母に、ヒジェはもんもんとした表情を隠しはしなかった。<br />「煮えくりかえっているはずですよ。煙たい女と王子が入宮したのですから…」<br />事態はそうとう深刻になっているようだった。<br /><br />その頃、イニョン王妃の部屋に、一人の医女が呼び出されていた。<br />医女は世子の病状を診ているナム医官に仕える者だ。<br />本当のことを話せば生きてはいられないと、医女は怯えて涙を流すばかりだった。<br />イニョン王妃は薬剤の記されたメモを眺めながら、頭をめぐらせた。<br />記されているのは、世子の湯薬に使われた薬剤である。オクチョンがわざわざ私家から持ち込んだものらしい。<br />オクチョンはなぜ、この薬剤を世子に飲ませているのだろうか…？<br />いずれにしろ薬剤の成分から、世子の病状を予測できるであろう。<br /><br />宗学とは王族の教育をする官庁で、そこにクムも通うことが決まった。<br />ずっしり瓦屋根の張り出した楼閣である。１階は高床式の石柱で、講義は２階でする。すぐ目の前に山が迫り、後ろは池岸だった。<br />書堂と違うところは、先生の服装が赤衣だと言うことと、青衣の内官がそばに数名、控えている点くらいで、授業風景はほぼ同じだ。<br />生徒は背中まで垂れた金の刺繍入りのずきんをかぶっており、思春期の子供はすでに役人の茄子帽子に、えんじ色の官服を身に付けていた。<br />「二十歳になれば冠礼し、毛皮と絹の服が着れ…」と先生が言うのを生徒は繰り返した。<br />ここでもクムは退屈で眠くなった。船を漕いだり、伸びをしたりするのを見つけた先生は、舌打ちでもするかのような顔をして、わざと大声で句を読み上げた。<br />クムが小学どころか千字分もままならないという噂は、すぐオクチョンの耳にも入った。<br />聡明な世子とは比べ物にならないと、これで少しは安心したのだ。<br />世子はわずか１３歳で大学の講義を終え、３日後には侍講院(世子の教育を担当する部署)での冊札が控えていた。修学を終えて開かれるお披露目の宴である。<br />それが侍講院教授の要請により、クムたちの中間試験と一緒に行われることが決まった。世子が手本を見せることで、生徒たちにも良い刺激を与えられるだろうと、王様は納得した。<br />そういうわけで、当日は王様も楽しみに見学にやって来たのであった。<br />世子が見事すらすらと暗唱するのを聞くにつけ、赤衣の重臣はこの国の未来がいかに明るいかを、王様にお世辞を込め述べた。<br />次にはクムの試験の番になった。おみくじを引いて書かれた句節を暗唱するのだと先生が説明してくれた。<br />クムが引き当てたのは、“小学”立教編５章だった。もちろんクムなら簡単だ。<br />ところがクムはふぅと重いため息をついた。トンイ母さんとの約束を思い出したのだ。<br />詳しい理由は知らないが、皆の前では小学を知らないふりをするよう厳しく言われてある。<br />口づまっているクムを見て、重臣の一人が王様に向かってうやうやしく頭を垂れた。<br />「王様、淑儀様が賎婢の出身なのでヨニン君の教育ができなかったのでしょう…」<br />かえって嫌味にも聞こえるような慰めだった。<br />「もしそのままだったら小学すら覚えられなかったはずです」と先生でさえまるで自分が被害者のような顔つきで言った。<br />クムは心の中で歯をむき出しにして悔しがった。知らないふりをしろというのが何と辛いことかを思い知った。何とか良い解決方法はないものか知恵を絞るうち、上手い具合にアイデアが浮かんだ。<br />「小学はダメですが、中庸か大学ではダメでしょうか…？」<br />とつぜんの声に、赤衣の重臣はもちろんのこと、生徒たちまでが一斉に驚いて一番後ろの席にいるクムの方を見た。<br />皆の視線を浴びて焦りを感じたクムは、手のひらを必死にふり、ばか正直に言い訳をした。<br />「中庸か大学なら暗唱できるんです。それなら知らんぷりをしろとは言われてませんので」<br />皆はクムの今の発言を、聞き間違いではないかと思ったのである。それとも恥をかいたあまり、動揺してワケも分からず口走ってしまったのではないかと…<br />ところがそんな重臣や生徒らの反応が落ち着くのを待たずして、その場にクムの声が流れだし、皆の顔色が変わった。<br />「博学之　審問之　慎思之　明辯之、篤行之。ひろくにこれをまなび、つまびらかにこれをとい、つつしみてこれをおもい、あきらかにこれをべんじ、あつくこれをおこなう」<br />クムは早口言葉のようにスラスラと暗唱してみせた。<br />思わず絶句した王様は、次の瞬間、息を吹き返したように青衣を急きたてた。そして青衣が手渡した難しい書物を開いて、自ら句を次々に読み上げては、その意味をクムに尋ねた。<br />クムはそのたび水を得た魚のようにハキハキと答えた。周囲はざわめきたち、優秀な世子までもがすっかり感心して長いため息をついた。<br />疑いを晴らせたクムは、自信を取り戻した。<br />「わかっています。お父様。私は大学と中庸を全てわかっているのです！」<br /><br /><br />2012/3/13更新<br /><a name="more"></a>

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            <category>トンイ（長いあらすじ）</category>
      <author>d_nose00</author>
          </item>
        <item>
      <link>http://blogs.dion.ne.jp/d_nose00/archives/10657807.html</link>
      <title>「トンイ」あらすじ ４６話</title>
      <pubDate>Tue, 10 Apr 2012 00:46:12 +0900</pubDate>
      <description>クムは書堂の石段をあがろうとして、力強く後ろから手をつかまれた。昨日、ハンカチを貸してくれた王様が、クムの体をくるりとこちらに向け、しーっと唇に手をやり、門の上をこっそり指さした。クムが見あげると、なんと門と屋根の隙間に土が盛ってある。木戸の裏ではいたずらっ子たちが、クムの頭に土が降りかかるのを楽しみに待っていた。王様が長い竿で扉をちょいと突くと、観音開きの木戸が押され、どさりと土が子供らに落ちた。自分らの仕掛けた罠にかかった子供らは、一斉に悲鳴をあげたのだった。王様はクムの..</description>
            <content:encoded><![CDATA[
クムは書堂の石段をあがろうとして、力強く後ろから手をつかまれた。<br />昨日、ハンカチを貸してくれた王様が、クムの体をくるりとこちらに向け、しーっと唇に手をやり、門の上をこっそり指さした。<br />クムが見あげると、なんと門と屋根の隙間に土が盛ってある。木戸の裏ではいたずらっ子たちが、クムの頭に土が降りかかるのを楽しみに待っていた。<br />王様が長い竿で扉をちょいと突くと、観音開きの木戸が押され、どさりと土が子供らに落ちた。<br />自分らの仕掛けた罠にかかった子供らは、一斉に悲鳴をあげたのだった。<br /><br />王様はクムの手を引いて、市場の中を逃げ出した。幼いクムに大人の足のスピードが早く感じられたのも束の間、王様がすぐ息を切らしはじめた。<br />育ちのせいか、少しひ弱過ぎると、チッチと舌を鳴らしてあきれるクムに、王様は、「王子様も同じことをおっしゃる…」と何か昔を思い出したらしく、しみじみと言った。<br />一休みした王様は、肩膝を地面にたて、うやうやしくクムに頭をさげた。<br />「私は漢城府の判官です。王子様にご挨拶いたします」<br />すでに授業は始まっている頃だ。書堂の門には鍵がかかっているし、戸を叩けば先生に怒られる。<br />「サボればいいではありませんか。私も塀の上を飛び回ったものです」などという王様のホラ話を真に受け、クムは王様のことを、意外と男らしいと見直したようだ。<br />王様はクムを連れ、まずは書店へ寄った。<br />低学年向けの教科書である「小学」と一緒に、店で一番上等な書袋を選んだ。お茶のような色で、絹地に薄っすら細かな花と葉の刺繍が浮かんでいる。白い着物姿の店主は銭を受け取り、王様にうやうやしく頭を下げた。<br />小学を贈られたクムは少し困った顔になった。小学はすでに暗唱できる。貰えるなら大学や中庸の方がいいと思ったのだった。<br /><br />トンカラトンカラと鐘や太鼓が鳴り響いて、町の通りに花紙の赤い傘帽子をかぶった大道芸の行列がやって来た。<br />皿を天高く放り投げ、棒でキャッチしたり、糸で渡した２本の間で、コマを行ったり来たりさせたり、クムは王様と一緒に見物するのがとても楽しかった。<br />綱渡りの男は、扇子を頭の後ろでひらひら泳がせながら、つま先立ちでぴょーんと高く飛びあがったと思ったら、今度はすとんと股のところまで一気に落ちて、再びぴょーんとロープにつま先で立った。<br />相撲観戦は一番多くの人だかりができていた。<br />もっぱら一人の巨漢が活躍し、今まで何人もの挑戦者が投げ飛ばされたらしかった。<br />「次に相手になるやつはいないかぁ」<br />行司が観客の顔を見回した。あんな巨漢を相手では、もう誰も名乗りをあげる者もいないようだ。巨漢の男は自信たっぷりにニヤニヤして対戦相手を待った。<br />「ここにいます！　ここでーす」<br />クムが急に張りきって手をあげた。そして王様の手を引っ張って土俵へと連れ出した。<br />「どうかおやめ下さいっ」と、すがりつくハン内官をよそに、王様は自分の活躍を見せてやろうと意気込み、帽子をさっと脱ぎすてた。<br />外出着の上から、まわしの帯をつけるのを行司が素早く手伝った。後ろにたくしあげた着物がまるで鶏の尾のようで、お世辞にも強そうには見えない。<br />案の定、王様は巨漢の男にあっと言う間に投げ飛ばされ、卒倒寸前になった。２度目の挑戦でも片足を取られ、すぐ投げ倒されて終わった。<br />ムキになった３度目の挑戦で、ようやく相手のまわしを取ることはできたものの、いざ引っ張り上げようとしても、巨漢はびくともしなかった。<br />そのうち巨漢の方も王様のまわしに手がかかり、がっぷりよつになった。王様の細い体は軽々と持ちあげられた。が、王様は何とか耐えた。そのとき、やわらかい砂に足を取られたのも手伝って、巨漢が突然ひっくり返ったのだった。大きな腹を丸出しにし、まるで浜に打ち上げられたくじらのようであった。<br />波乱の幕引きに人々の大歓声が起こった。クムは土俵を走り回って大喜びし、王様はそのクムを腕にかついで肩にのせ、雄たけびをあげた。<br />見る人が見れば、王様の顔はわかる。<br />王様が未だ密かに淑嬪と会っていて、クム王子と親しくしている…と、偶然にも王様をその辺りで見かけ、誤解する関係者がいたとしても、そうおかしくはない状況だった。<br /><br />「書堂にも行かないでどこにいたの？」<br />クムが家に帰ってみると、トンイ母さんとポン尚宮、女官のエジョンが庭まで出て心配していた。<br />クムはしどろもどろに頭を掻いた。母さんは怒っているようだ。<br />それでも今日１日あったことを正直に話し、風呂敷包をほどいて、判官だと名乗った男に買って貰った新品の小学と袋を見せた。<br />トンイは急に首を傾げた。<br />その親切そうな判官とは、一体何者だろうか…？<br /><br />武官が４人の兵士を連れて現れ、町のかわら版にビラを貼って歩いている。<br />兵士らが次の場所へと立ち去ったのを見計らって、そこらの野次馬がビラを読もうと近づいた。<br />１０代前後の女の婚礼を禁じると書かれたそれは禁婚令であった。<br />その目的は世子のお妃選びにある。お達しはイニョン王妃より出された。<br />禁婚令のことが耳に入るやいなや、オクチョンは慌ててイニョン王妃に面会に行った。世子の結婚延長を要求したのであった。<br />「なぜ母であるそなたが伸ばそうとする？　それがわからぬ。何か伸ばさねばならない理由でもあるのか。今は世子の嘉礼より重要なことはない。すでに婚礼の歳は過ぎているのだ」<br />オクチョンは思わず黙り込んだ。<br />イニョン王妃の言い草は、何かまるでオクチョンの事情を察しているかのようだった。<br />例の病気のことを勘付かれたのだろうか…？<br /><br />クムの今後の教育について相談するため、トンイはヨンギとシム・ウンテクの２人に家まで来て貰った。<br />書塾の先生の話では、とうてい自分では力不足だが、現在この国でクムを教育できる者を１人だけ知っているとのことだ。<br />「キム・グソンには、殿下が何度も声をかけたが、政治とは無縁の学者だけを弟子にしたのだ」<br />ヨンギが深刻に言った。その名前を耳にしたとき、一風変わったその男が、王子の教育を承諾するとは、ヨンギには到底、思えなかったのである。<br />当面、クムの飛び抜けた才能の件は、周囲に伏せておくことで意見は一致した。<br />それでなくても、状況の具合ではトンイ親子を狙いたがる敵は多いように思えた。<br /><br />報酬百両の小袋を受け取った男は仲間を集め、その晩、トンイの住む小屋へ忍び込んだ。<br />縁側や縁石にわら束を置いて、タイマツの火をつけると、扉の金具へカマの柄を差し込み、素早く退散した。<br />布団をめくり、クムの隣で寝ようとしていたトンイは、障子を見て驚いた。<br />障子の隙間から煙が立ち込めている。<br />クムを急いで揺さぶり起こすと、煙を吸わないよう口布をあてさせた。クムは息苦しいと言いながらも、言う通りにした。<br />ドアは何かがストッパーになって開かなかった。<br />その間に、障子ドアの向こうでみるみる炎が燃え上がっていった。クムがいつの間にか意識を失って倒れている。煙を吸い込んだのだ。<br />金輪の取っ手が高熱になり、すでに触れなくなっている。トンイは仕方なくポン尚宮とエジョンの名を叫んだ。でも離れで寝ている２人が小屋から出て来るような物音はなかった。<br />そのとき突然、扉がこじあけられ、武官が部屋に突入して来たのである。武官はぐったりなったクムを背負って、トンイと一緒に部屋を脱出した。<br />庭まで出て見ると不思議なことがあった。そこら中に兵士がいて、棒のついたハタキで屋根や壁の火を消し、別の小屋で寝ていたポン尚宮とエジョンの２人を庭へ連れ出してくれている。<br />宮中から長い間、見放された身だ。それが火事になった途端、監視していたかのように、たちまち武官や兵士が駆けつけて来たのは一体どういうワケなのか…？<br />トンイにこの点を尋ねられた武官は、素直にこう認めた。<br />「はい。淑嬪様と王子様のことは、どんな時も我々が見守っていました。６年前に宮廷を出られたときから、そうするよう王様の密命があったのです…」<br /><br />王様はその晩、ハン内官から放火の一報を受け、いよいよ動き出した。<br />大臣らの前で誓った王命を破ってトンイに会いに行ったのである。<br />翌日には王様がトンイに会ったとの噂が、大臣らの間にも広がった。<br />本当なのか…？　いや、あり得ないことだ。事実を確認するまでは王様を擁護しようとする重臣もいた。<br />御前会議の席で、王様は皆に言っておくことがあると前置きをしたうえ、トンイの家の扉の金具に挟み込んであったカマを手に握って見せた。<br />「皆に問う。余はトンイを死刑にすると言った覚えはない。王の血を次ぐ王子と、その母である淑嬪の命が、再び危険にさらされることがあった場合、そなたたちに命を持って責任をとれるのか」<br />王様の厳しい問いに、答えられる者は誰もいなかった。<br />その場で王様は、トンイとクムを宮中に呼び寄せる宣言をしたが、その独断についても反対意見を言い出せる勇気のある者は一人もなかった。<br />王様は何年もの間、トンイとクムを一瞬たりとも忘れたことがなかった。そこまで長く待ち続けたのは、このチャンスが来るのを、辛抱強く待っていたからであった。<br /><br /><br />2012/3/4更新<a name="more"></a>

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            <category>トンイ（長いあらすじ）</category>
      <author>d_nose00</author>
          </item>
        <item>
      <link>http://blogs.dion.ne.jp/d_nose00/archives/10649324.html</link>
      <title>「トンイ」あらすじ　４５話</title>
      <pubDate>Tue, 10 Apr 2012 00:45:02 +0900</pubDate>
      <description>清のおえらいの歓迎行事で、世子はガイド役を務めたのだった。「朝鮮の名物を紹介して頂き、さらには詩も一句、賜りました。聡明な世子様で、朝鮮はますます安泰ですなぁ」清の男はすっかり満足し、おべっかを言った。褒められた王様の方もまんざらでない。世子はと言うと、恥ずかしがっているのか少し顔色が悪いようだった。テーブルには棒状の揚げ餅、平餅、桃、梨、なつめ、栗の実、焼鳥などの御馳走が並ぶ。６名の踊り子は天女のように舞い、楽師らの木笛や琴の演奏が鳴り響いた。会場が盛り上がりを見せるなか、..</description>
            <content:encoded><![CDATA[
清のおえらいの歓迎行事で、世子はガイド役を務めたのだった。<br />「朝鮮の名物を紹介して頂き、さらには詩も一句、賜りました。聡明な世子様で、朝鮮はますます安泰ですなぁ」<br />清の男はすっかり満足し、おべっかを言った。褒められた王様の方もまんざらでない。<br />世子はと言うと、恥ずかしがっているのか少し顔色が悪いようだった。<br />テーブルには棒状の揚げ餅、平餅、桃、梨、なつめ、栗の実、焼鳥などの御馳走が並ぶ。<br />６名の踊り子は天女のように舞い、楽師らの木笛や琴の演奏が鳴り響いた。<br />会場が盛り上がりを見せるなか、世子が苦しそうにこめかみを押さえのには、誰も気付かなかった。<br />危うく清国のおえらいの体へ倒れかかる寸前のところで、ハン内官に慌てて受けとめられたのである。<br />直ちに控えの内官らがバタバタと壇上へ駆けあがった。武官らは混乱を治めようと、やはり壇上前へ集まり、兵士たちはバタバタと広場を横切って移動した。<br />６名の踊り子はオロオロ立ちすくみ、テーブル席の重臣らは皆、椅子から立ちあがって壇上の様子に息をのんだ。<br /><br />世子の診療にあたっては、なぜ主治医を断り、それより格下のナム医官に任せたのか？<br />西人チョン・イングクの話では、ここ数カ月の間、ナム医官が東宮殿によく出入りしているとのことだ。<br />イニョン王妃はこの点をまず奇妙に思ったのである。<br />一方、診察を終えたナム医官は、オクチョンへ報告に寄った際、単なるめまいだっと告げたうえで、いよいよ本題に入った。<br />「世子様のお体は元来弱く、あらゆる煎じ薬を試していますが効果が見られません。まだ断念は致しかねますが、このまま好転することがなければ恐らく、世継ぎを望まれるのは難しいかと…」<br />まるで医官自ら責任を取るかのように、恐縮して深々と頭を垂れた。<br />医官を玄関まで見送ったヒジェが再び部屋へ戻ってみると、オクチョンが清から今すぐ薬材を取り寄せると言う。<br />まぁそう焦ることはあるまいと、ヒジェはたしなめた。<br />今や世子の座を脅かす者はいない。トンイは王様に７年もの間、見捨てられたままだ。<br />オクチョンもあるいはヒジェの言う通り、とり越し苦労ではないかという気もした。<br />だがこんな状況下で唯一、わかっていることがある。<br />それは世子の病状を誰にも知られてはならないということだ。<br />王様が知ったらどうなるのか。もしも王子が世継ぎを産めないと知ったら…？<br />その場合、王様はどうなさるだろう。果たして世子の座は…<br /><br />クムが産まれてすぐ、ソ・ヨンギは王様からの手紙をトンイに届けた。<br />半紙いっぱい温かみのある「吟」と書かれたその太い文字は、明るい光となるよう王様が願いを込めて付けた名であった。<br />細かな毛が頭にきれいに揃った子だ。話しかけると小さなとがった口を開け、潤んだ目でちゃんとトンイを見返した。<br />あれから７年が過ぎ、その子が近所の書堂へ通いはじめた。板間のムシロの上に机を３つずつ並べ、机の左には硯箱を置き、右側へ教科書を開いた。そして先生の言う通りに音読する。<br />生徒は絹の羽織に紋入りの垂れ頭巾をかぶった裕福な子がほとんどだ。庶民と見分けのつかない格好のクムが、最も質素な方だった。<br />クムは授業の間、いくらまじめに聞こうと思っていても、退屈で眠くなってしまい、首がぐらりと一周するほど大きな船をこいだ。ハッと目が覚め一番後ろの席から慌てて皆の暗唱に加わったところが、どうやらワンテンポ遅れてしまったらしい。<br />皆はわざわざ振り向いてクムをバカにしたように笑った。<br />「まったく。お疲れなら他の部屋で寝ますか。王子様は模範となるべきではありませんか」<br />先生はすっかりあきれて渋い顔だ。クムは本当に申し訳なく思って頭を掻いた。<br />先生が授業の続きを始めた隙に、生徒の１人がこっそり嫌味を言いはじめた。<br />「王子ったって母親は賎民で、罪を犯して宮廷から追い出されたんだ。イヒヒヒ…」<br />周りの子も数人、一緒になって笑った。クムは自分のことはともかく、立派な母さんのことを悪く言われて、歯をむき出しにするほどに悔しかった。<br /><br />床の拭き掃除をしていたポン尚宮は、トンイがさっきから何かを探しているのに気付いて声をかけた。<br />「中庸と大学を見なかったか？　ここに置いたはずなのだが…」<br />トンイは文机の下棚の本も全部出して１冊ずつ表紙を調べはじめた。<br />「ああ、その書でしたら王子様のお部屋で見ましたよ」<br />ポン尚宮はくったくなく答えた。<br />そしてポン尚宮の言う通り、本はクムの部屋の文机に置いてあった。<br />「エジョンが持って来たのではないと思います。私でもありませんから王子様がお持ちになられたのでしょう。いくら何でもまだ読むのは難しいでしょうに。枕ですか？」<br />中庸と大学は学者たちでさえ理解が難しい本だ。トンイはクムが枕にしたとは思わなかったが、少し気にかかることがあった。クムが大人でも難しいことわざを、以前にすらすらと口にするのを聞いたからだ。<br />先生に自宅まで来て貰って、このことを尋ねたところ、意外な返事がかえってきた。<br />「王子様は小学をすべて暗記されておられます。それだけではありません。確認しましたところ、すでに中庸と大学も理解しておられるのです」<br /><br /><br />クムは父上には一度も会ったことはない。でもトンイ母さんからいろいろ話を聞いていた。母さんの話はレパートリーが豊富でクムも楽しみにしていたのだ。<br />共通しているのは、王である父上のことを決して悪く言わないことだ。<br />クムはときどきトンイ母さんが、父上を恋しがって一人で寂しそうにしているのを見かけることがあった。そういうのを目にすると、父上はもう母さんのことを忘れてしまったのかなと心配になった。<br /><br />しかし上手い具合に、それを確かめるチャンスが巡ってきた。<br />塾の帰り、たまたま鉢合わせた顔見知りの貧しい子供らがクムに教えてくれたのだ。<br />「毎年、王様が賎民の村の子供たちを宮殿に呼んでくださるんです」<br />前歯の抜けた子は御馳走が食べられるとあって、とても嬉しそうだ。<br />クムも早速その子らについて行って、ブロックアーチ門の前に列に並んだ。<br />内官は子供らの数を把握するのに必死だ。怖そうな門番が両側に立っていた。<br />クムはこっそり顔を墨で汚して、なるべく賎民らしく見えるようにした。<br />まもなく入場がはじまり、最初のブロック門を抜けたところにいた内官が、次は短い石段をのぼるように指図した。<br />クムも皆と同じように、きょろきょろ眺めて歩いた。いよいよ父上のいる宮殿に来たという感じがじわじわと沸いてくる。<br />朱色の柱と門の中央の扉をくぐってからは、クムだけ皆と離れた。<br />目指すは王宮殿だ。赤い柱の宮殿や石の回廊を抜け、軒先に煕政堂の額をかけた建物を見つけたので、とうとう王宮殿に入ったのだとわかった。<br />見るとちょうど金の草花模様のベルベット靴を履いた王様らしき人が、回廊の橋を渡って行く。衣の肩から袖にかけて足の指の開いた龍金の刺繍がほどこされていた。<br />間違いない。クムは確信して、「父上ーっ、父上ぇーっ！」と駆け出した。<br />「こいつ、何様のつもりかぁー！」<br />行く手を阻んだのは武官だった。<br />だが声はどうやら王様に届いていたらしい。龍の衣がくるりとこちらに振りかえると、武官が慌ててうやうやしく頭を垂れた。<br />その顔を見た途端、クムはガッカリした。王様と思ったその人は成長期の少年だったからだ。きゃしゃな体だが背は、武官よりもうんと高かった。<br />「申し訳ありません。この子が騒いでおりましたので追い出そうと」<br />武官の説明を受け、世子はわかったという風に軽く手をあげた。そして今度は小さなクムの目線に合わせてひざを曲げ、親しげに言った。<br />「私を父上と呼んだか？」声変わりしたばかりの甘く細い声だ。人違いされたことを別に悪くは思ってないようだった。<br />「幼い賎民だから知らぬのだな。この国で王様のことを父上と呼べるのは王の子だけだ。罪に問われるから気をつけろ」とまるで可愛い弟に言うように笑った。<br />「私はちゃんと知っています！」<br />クムは即座に言い返した。一瞬、戸惑いの表情を見せた世子は、後ろの気配に気付いて、すっと背筋を伸ばし、丁寧に会釈した。<br />世子の母、オクチョンがお供を引き連れやって来たのだった。<br />「恐れ多くも賎民の子供が世子様を足止めしたのでございます…」<br />武官が状況を説明すると、オクチョンは訝しい目つきでクムをじろりと見下ろした。粗末な格好から賎民であると信じ込んだようだ。<br />これは厳しい罰を下さなければならないと言うのを、世子が別に何事も無かったのだから、さっさと御殿へ戻りましょうと上手い具合にオクチョンの気をそらせた。<br />それで武官は首根っこを引っつかんで、クムを宮殿から最初の入口のブロックアーチ門へ放り出したのだった。<br /><br />虫の音の鳴く夜、外出着で散歩へ出掛けた王様は、小さな子が道端にしゃがみ込んで泣いているのを見つけた。<br />悲しくて声がかすれるほど泣くとは、理由は何かと王様がハンカチを差し出すと、その子は黙って目を拭ってから、一粒まだ目の端に涙の残る目でじっと王様を見つめた。そうして王様が親切に差し伸べた手に、幼い小さな指をかけて立ちあがった。<br />王様がもっとよくこの子の顔をよく見ようとしたとき、とつぜんその子は暗闇の方へと走りだした。そのまま、まっしぐらに飛び込んだのは、なんとトンイの胸の中であった。<br />偶然だとしても鉢合わせはまずい…。王様はハン内官と一緒に情けないほどあたふたし、木の影に隠れた。<br />トンイは今までクムをさんざん探し回っていたらしい。その動揺は相当なものであった。<br />ヨンギたちはもちろんのこと、監察府のチョン尚宮やユン尚宮らにまでお願いして捜索して貰っていたところだ。<br />ようやく大きく胸をなでおろしたトンイは、両手でクムの涙を丁寧に拭き取り、どこにも怪我はないか、無事でなによりだったと涙を流した。王様がすぐそばにいるなど知る由もない。クムも母さんをどれだけ悲しませたか初めて知って、急にまた泣きじゃくりはじめた。<br />王様はみるみる蒼白になった。肩から全身が震えた。<br />７年ぶりに見るトンイの姿に、どれだけ自分が辛く耐え忍んできたのかを今さらながらに思い知った。心の中であれだけ会いたがっていた我が子が、あそこにいるクムなのだった。<br /><br /><br />2012/2/28更新<br /><a name="more"></a>

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            <category>トンイ（長いあらすじ）</category>
      <author>d_nose00</author>
          </item>
        <item>
      <link>http://blogs.dion.ne.jp/d_nose00/archives/10628719.html</link>
      <title>「トンイ」あらすじ　４４話</title>
      <pubDate>Tue, 10 Apr 2012 00:44:17 +0900</pubDate>
      <description>トンイが自ら出頭したとの知らせを受け、馬を飛ばして漢城府へ駆けつけた王様に、ムヨルは、すべてを自白された後だと伝えた。今までトンイが身分を隠していたこと、コムゲとの関係、ケドラを逃がそうとした事実、それらはすべて記録に残され、どうにもならないとのことであった。その点を説明したうえで、どうかご理解くださいとムヨルは詫びた。自白と引き換えに、無実のチョン尚宮、チョンイム、ポン尚宮、おつきの女官たちが釈放された。漢城府の門の前でヨンギが王様を待っていた。王様の失意の表情を見て、ヨン..</description>
            <content:encoded><![CDATA[
トンイが自ら出頭したとの知らせを受け、馬を飛ばして漢城府へ駆けつけた王様に、ムヨルは、すべてを自白された後だと伝えた。<br />今までトンイが身分を隠していたこと、コムゲとの関係、ケドラを逃がそうとした事実、それらはすべて記録に残され、どうにもならないとのことであった。<br />その点を説明したうえで、どうかご理解くださいとムヨルは詫びた。<br /><br />自白と引き換えに、無実のチョン尚宮、チョンイム、ポン尚宮、おつきの女官たちが釈放された。<br />漢城府の門の前でヨンギが王様を待っていた。王様の失意の表情を見て、ヨンギはとても痛ましく思ったが、王様はトンイを守るためなら何だってやってやると息巻いてみせた。<br />ところが一夜明けてみると、実際にはそういうワケにはいかなかったようである。<br />まずシム・ウンテクが王様に厳しい状況を説明した。トンイに厳しい処罰がなされるまで重臣と位の高い官吏、儒生たちもが登庁や受講を拒んでいるとのこと。さらにはその波紋が下級官吏にも広がって、各種業務がマヒ寸前となって民衆に支障をきたしているらしかった。<br />辞職して風呂敷包や書物を手に、宮中を去る者もあらわれはじめた。<br /><br />処罰が下るまでトンイはとりあえず住まいへ戻り、もとの生活を続けた。<br />どうも赤ん坊の顔色がおかしいようだと思ったものの、このくらいの時刻はいつも眠くてそうで、乳を飲めば落ち着かれるでしょうから乳母を連れて参りますと、若い女官が答え部屋をあとにしたので、乳母が来るまでの間、トンイは赤ん坊をあやした。<br />ところが泣くのがぴたりと止んだかと思うと、またすぐにぐずりだす。やっぱりどうもおかしいと思って袖をめくってみると、赤ん坊の小さな手に赤い斑点があった。<br />すぐに医官と医女２名が部屋に呼ばれた。医官の診立てはハシカだった。<br />熱を下げるために、赤ん坊にしては強すぎる薬草の処方を医官は決めた。<br />トンイはひよどり花を使ってはどうかと医官に聞いてみたが、庶民療法では試すわけにはいかず、ひよどり花もすぐには入手できないと医官は答えた。<br />それでトンイは庭の奥へひよどり花を自ら探しに出ていった。女官たちにも手分けして探すよう、紫色で細かい毛の特徴などを伝えた。<br />草の中に埋もれて必死に探し回っていたところ、ようやく１本の背の高い草を見つけ、上から根元まで触ってみて、葉がぎざぎざで、茎から分かれた枝先に小花の塊が頭を垂れているのを確認した。確かにひよどり花であった。<br />「見つけたわ！」<br />すぐに土掻きで根元を掘り起こし、ひよどり草を引き抜いて、嬉しそうに女官たちに作業の中止を知らせた。<br />そのひよどり草を手にして御殿へ近づくにつれ、人の泣き声が大きくなっていくのに、どうしても気付かないわけにはいかなかった。嫌な予感にトンイの足取りは早く早くなっていった。<br />御殿の前の石台には、王様と一緒に駆けつけたハン内官や、王宮殿の尚宮、女官が大勢控えていた。なんと泣いているのは彼らだった。トンイのおつきの女官たちや、医官までもが声をあげて泣いている。<br />王様がすっかり青ざめた様子で部屋から庭へふらりと出てきた。<br />かわいい坊やが先ほど亡くなったのだった。<br /><br />出棺の儀式が終わり次第、係の男たちや女官によって、赤ん坊の部屋から家具が引き揚げられた。<br />鶴の絵のついた観音開きのから、一番下が引き出しになった４段棚など、金具つきの朱色の家具が、石壇を下りた地べたへ仮置きされていく。女官らは荷物を風呂敷袋に入れ外へ次々に持って出た。<br />王子が亡くなって、もう一つ別の影響があった。<br />王子を守る必要がもはや無くなり、ヨンギが束縛から解放されたのだ。<br />「淑嬪様に関する事実は私も知っておりました」<br />と告白し、ヨンギは王様に辞職願を提出した。<br />トンイやチョンスと共に処分を受ける覚悟だった。<br />ところが困ったことに、これでは王様の心労が増すらしい。<br />大切なものの多くを失った今、これを受け取る気にはなれないと、王様は辞表を突き返した。<br />王様にはまだこれからトンイに対する辛い処分が待っていた。現実から目をそむけたくとも、これ以上はもう許されないのだった。<br />「わかっている。それではいけないと。だが自信がない」<br />王様はヨンギにこぼした。<br /><br />王様の発表した処分は以下の通り。<br />コムゲの首謀者ケドラは打ち首。それに賛同したもの流刑。<br />トンイの父チェ・ヒョウォンが頭だった当時、コムゲの犯行とされた両班殺害事件は、判決を無実と改める。<br />親衛隊のチャ・チョンスは身分を偽った罪で流刑。<br />身分を隠したうえコムゲをかくまったトンイは、王子を亡くした悲しみを考慮して側室の地位は残されるものの宮殿から追放となった。<br />最期に今をもって二度とトンイに会わないことを、王様は重臣らの前で誓ったのである。<br /><br />ポン尚宮と女官のエジョンがお供を申し出て、トンイについて行くことになった。<br />２人の決意が固いようなので、トンイもとうとう断れなかったのだ。<br />見送りの場には監察府のチョン尚宮、チョンイム、シム・ウンテク、ヨンギの顔ぶれがあった。<br />出発のとき、トンイは住まいである寶慶堂を向いて地べたに座り込み、お辞儀をした。<br />飾りのないヒスイのかんざし、ブルーに紺のリボンの衣と光沢のあるグレーのスカートはどれも無地で質素なものだ。<br />布張りの黒いコシが宮中を通り抜ける間、トンイの人柄を慕った役人らが、建物から回廊まで出て来て、敬意を払うように見下ろした。<br />コシはその回廊の下をくぐり抜けた。<br />トンイに命を救われた監察府のユ尚宮や女官ら、赤鼻の武官、大勢の内官、尚宮、女官が道の両側で深く頭を垂れた。<br />影のように去るコシを、宮中の道筋に立ってひっそりと見送る人の列が途切れることはなかった。<br /><br />ポン尚宮と女官のエジョンが井戸のそばに座り込んで洗濯をしている。エジョンのボウルの水がこっちにかかったと言って、ポン尚宮は板にのせた洗濯物をわざと棒で激しくたたき、水を跳ばしてやり返した。<br />トンイは近所の草原で、ふきのとうのような食べられる草を収穫していた。土掻きで根を堀り起こし、土を払い落してから、ざるへ入れる。夜には衣服の繕いをして過ごした。<br /><br />ある夜、すっかり困り果てた様子のハン内官が、ぐてんぐてんに酔っ払った王様をトンイの小屋へ連れてきた。大臣らの前で言った誓いを酔ってすっかり忘れてしまったのか、王様のわがままに仕方なく付き添ってきたようだった。<br />黒帽子を背中にずり落とし、王様はうつろな目で懐かしそうにトンイの両手を握りしめた。そうしてトンイに話があると、しきりにうわごとばかりを言った。<br />体を支えられ部屋に転がりこんだあとは、そのまま床へ突っ伏してしまった。<br />ところが蜂蜜水を持って来ようと部屋を出ようとしたトンイは、いきなり強い力で手首を引っ張り寄せられたのだった。王様はこのときばかりは酔いが冷めたような悲しい目をして、いっそこのまま逃げようとトンイに言ったのである。<br />そう言いつつも、あきらめ苦しんでいるように見えた。王様はトンイなしでは、どう生きたらいいのかわからなかった。そなたが憎い。恋しくてならならいと、それを言いに来たのだと涙をこぼした。<br /><br />一夜明け、鳥のさえずりと辺りに白さの残る朝は、王様の酔いを完全にさました。<br />空はこのまま青空になると思われた。<br />じりじりと土を踏みしめ、帽子が引っかからないよう少しかがみがちに、わら屋根の門をくぐりぬけた。<br />門を出たところで護衛３名が王様に会釈した。<br />「二度と余をここには連れてくるな…」<br />王様はハン内官に厳しい声で呟き、小屋を去った。<br />そしてそれ以降、本当に二度と小屋を訪れることはなかった。<br /><br />なんとも不器用な手つきでポン尚宮が切った瓜は、輪切りというより、ぶつ切りになった。<br />力が入って真っすぐ切るつもりがどうも斜めになってしまう。<br />女官のエジョンの帰りが遅いのもイライラの原因だった。<br />すでにかまどの鍋ブタの隙間からしゅんしゅんと煙が立ち昇りはじめている。<br />エジョンがようやく、まるまる太った魚を３匹吊った縄を持って、息せききって帰ってきた。桟橋で手に入れたらしい。<br />数か月ぶりの魚にポン尚宮は目を丸くした。<br />せっかくの魚を台無しにしてはもったいないと、トンイが自ら調理をかって出た。ポン尚宮の料理はまずいというのがエジョンとトンイの一致した意見だった。<br />ところが魚を受け取ろうとしたトンイが、急に生魚の臭いにうっと来て庭へ逃げて行った。<br />胸をたたいて一息つき、今日は何日かとポン尚宮に質問した。<br />ポン尚宮は８月６日だと答えながら、トンイの妊娠に気付いてハッとしたのだった。<br /><br /><br />2012/2/14更新<a name="more"></a>

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            <category>トンイ（長いあらすじ）</category>
      <author>d_nose00</author>
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