世間様では遺伝子組み換えが危険だ、農薬の害が云々なんて話がいろいろなされておいでですが、どっこい危険なのは天然物なんです。栽培作物は安全を重視して改良されており、定期的に食べ続けたとしても、明確な害を示さないものがそろえられて店頭に並んでいるのですね。
一方、天然物についてはその辺の安全管理が不十分であったりします。基本は自己責任ですからね。けれども、希には毒性をもつ天然物の食品が監視の目を免れて流通されてしまうことが起こったり、今まで知られていなかった毒性が明らかになったりすることが有るのです。自己責任とは言えないような事例もあることも知っておいて欲しいと思います。
下記の表をご覧下さいませ
![]() |
この表は平成12年から平成20年までの食中毒発生状況を基にどらねこが纏めた物です。(データに間違いがあればどらねこのセイです)
左側はきのこの種類別食中毒事件数で、右側が食中毒による死亡者の内訳です。
この間の食中毒死亡者を見て気がつくのは、細菌性食中毒による死亡者は全体の1/3に過ぎないということです。化学物質による食中毒死亡者はこの間一名も報告されておりません。そして、一番多いのはフグによる食中毒です。
・基本フグを食べない
・食べるときはしかるべきお店でたべる
・肝を食べたりしない。
大多数の人はこれらのウチどれかに当てはまることでしょう。だからそれは自業自得だ、と。だけどこれってBSE問題よりも深刻な気がするんですけどねぇ。適切な処理方法によって食べれば安全というのは同じだけれど、処理を間違ったときの危険性は段違いです。伝統と文化がでてくるとみんな目が曇ってしまうのかしら、それともこの水準くらいは本当は問題ないのではあるまいか・・・なんとなく不安なものに対する過剰な反応のような気もいたします。(もちろん、過小評価も良くありませんが)
じゃあ牛肉と同じくらいの頻度で食卓にあがる食品はみんな安全なのでしょうか?
ジャガイモの芽にはソラニンという毒が含まれているという事はご存じかと思います。その事は殆どの人は知っているから、芽をちゃんと取り除いて食べているわけです。ところで、この毒性分は芽だけに含まれているのではなく、日光に当たって緑色になった皮の部分にも存在していることは知らない人は案外多いように思います。日本の食品添加物基準を遵守した加工食品においては、この毒物と同程度の危険性を持つものは無いと考えて良いでしょう。もちろん、ジャガイモが危険だと言っているわけではありません。食品のもつ危険性を過小評価してもいけませんし、必要以上に恐れる必要はないのです。大切なのは正しい情報と、知識を適切に用いることだと思います。
話が横にそれすぎてしまいました・・・フグの次に危険なのはきのこさんです。
当ブログはきのこブログなので、この危険性についてもしっかり書かないといけません。
種類が明らかになっているキノコではニセクロハツを食べて亡くなった方が一番多く、3名です。
京都新聞web記事より
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2009052500036&genre=G1&area=K00
ニセクロハツの強毒原因物質を解明
“謎の毒キノコ” 京薬大准教授ら
強毒性が確認されたニセクロハツ(橋本貴美子京都薬科大准教授提供)
中毒死が近年続いたキノコ、ニセクロハツの毒物を、橋本貴美子京都薬科大准教授、中田雅也慶応大教授らの研究グループが突き止め、強毒性を確認した。ニセクロハツが生えるツブラジイ(コジイ)の林は京滋に多く、注意を求めている。英科学誌「ネイチャーケミカルバイオロジー」で24日に発表した。
ニセクロハツ中毒は2005年から07年にかけて大阪、愛知、宮崎などで報告された。手足のしびれや筋肉硬直、心不全、腎臓などの臓器不全を引き起こすが、原因物質は不明で「謎の毒キノコ」とされていた。
橋本准教授らは、キノコを浸した水をそのまま分析するなど化学反応しないよう工夫した。中毒を引き起こすのが「シクロプロペンカルボン酸(C4H4O2)」であることが分かった。生物が作る毒物でこれほど小分子の有機物はないという。
マウスにこの毒物を投与すると、身体を動かす骨格筋の組織が溶けるとともに、その溶解物が臓器を障害することが分かった。極めて少量でマウスは死んだ。人だとキノコ2、3本で致死量という。
こんな低分子有機化合物をつくるなんてきのこさんって凄いのね、なんて感想はともかく。このニセクロハツは相当に危険なキノコです。毒性の強さは勿論なのですが、本当に食用のクロハツによく似たキノコなんですよ。クロハツやニセクロハツはベニタケ属のキノコで、この属のキノコは見分けるのが大変に難しい物が多いのです。そして、未だ同定されていない亜種が存在しております。よっぽどの自信が無い限り、クロハツを食べることは控えていただきたいと思います。どらねこはベニタケ属のきのこは食べないことにしております。
その他、今までは安全と考えられていたきのこが実は毒を持っていた、なんて事は本当にザラです。十分に注意していただきたいところです。死者はおりませんが、事件数のトップはツキヨタケです。いかにも旨そうな毒キノコらしくないキノコです。毒キノコに共通する外見的特徴は無いと覚えておいていただきたく思います。
終わりに
自然毒による食中毒は自己責任だから仕方ないじゃない、という意見があるかも知れません。しかし、本人にとっては自己責任でも、振る舞われた人たちはもちろん責任はありません。それにもし、親が食中毒で亡くなってしまったら残された子供達はどうなるのでしょう。子供達も自己責任ですか?
集団食中毒を防ぐことは勿論大切ですが、こういった家庭でおこる食中毒についてなるべく多くの方に理解を持っていただきたいなぁ、そう思います。
