2007/10/13

「デス・プルーフ」(クエンティン・タランティーノ監督)
「プラネット・テラー」(ロバート・ロドリゲス監督)


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 海外では「グラインドハウス」の名で2本同時上映されたタイトルですが、こちらではそれぞれ単独上映という形式になっちまいました。
 まぁ、当然のようにどちらも観に行ったわけですが。

 場末の名画座で2本同時上映されてるような、いかにもな安物映画を再現しようという酔狂な企画。
 わざとセックス&バイオレンスが売りのエクスプロイテーション映画っぽく撮ってるのがミソ。
 いかにも古いフィルムみたいなエフェクト加工を施したり、素っ頓狂なボリューム変化する劇伴を被せたりする演出なんかは、「キルビル」なんかでも既にやってましたな。

 ボンクラ映画大好きな当方なんかは、色々と思い出と笑いのツボを押されまくりで愉快千万だったのですが、スタッフロールが始まった途端に超早足で上映会場から立ち去って行ったあのOLのお姉さんは、ひょっとしたら怒っていたのかもしれん。
 特に「デス・プルーフ」が、ああいう終わり方した後だったし。

■デス・プルーフ

 不気味な殺人スタントマンが耐死仕様(デス・プルーフ)のモンスター・カーを武器に、小生意気なビッチどもを片っ端から轢殺していくという典型的なスラッシャー映画。
 ただし、前半までは。

 劇中ほとんどが、女同士の心底どうでもいい会話に費やされているというのがスゴイ。
 これがまたやたらと生々しい会話だらけで、とてつもないビッチ感。
 タランティーノ監督は、やっぱりこの手のバッドガールズを描かせると抜群に上手いなー、と。

 スタントマン・マイクに敢えてあのカート・ラッセルを配役しているのも絶妙。
 おかげで後半からの展開が抱腹絶倒モノに。
 つーか、ぼくらのスネーク・プリスキンになんてことさせやがる!

 で、挙句の果てがあのエンディングですよ。
 思わず声出して笑ってしまったので、こちらの負けだ! くやしい! 

■プラネット・テラー

 こちらは軍事利用目的で開発された化学兵器の事故が原因で、田舎町がゾンビの巣窟に! という、これまた典型的なゾンビ映画。
 ただし、サバイバルする連中が揃いも揃って一筋縄ではいかない変人ばっかなので、どんどん素っ頓狂なアクション映画にシフトして行くというのが、いかにもロドリゲス風味。

 「デス・プルーフ」ではたいそう可哀想なことになってたローズ・マッゴーワン姐さんが、こちらでは片脚マシンガンの女傑になってて大爆笑。
 つーか、なんだその無理矢理な勇姿は! カッコよすぎる!

 あと謎の男エル・レイの正体に関する一連のやりとりが、いわゆるマクガフィンを使った高度なギャグになってて大変面白ろうございました。
 あれだけ犬猿の仲だった保安官が掌返したように謝りだすとは、一体何者だったのだろうか?
 くそー、あんな不幸な事故さえなければー(←限りなく棒読みで) 

 やっぱりロドリゲス監督の作品は、これくらい無茶やってこそ光り輝きますやね。
 久々の快作だったのではないでしょうか?

 でも正直言うと、偽予告編でやってた「マチェーテ」の方が万倍観たかったつーか、なんつーか。
 そして、今更あのワイルドな豪傑が「スパイキッズ」シリーズのマチェット叔父さんと同一人物だったと知って大驚愕。
 若い頃は随分とヤンチャしてらしたんですね、叔父様。

 しかし、やっぱアレですやね。
 多くの方々が指摘していた通り、何かと快適なシネコン施設なんかでこの映画を観てると、つくづく倒錯した楽しみ方してるなぁ、なんてしみじみと。
 こっちだと天六ホクテンザか新世界国際劇場なんかで観るのが、正しい鑑賞法のはずだよネ!
 

2007/10/11

「パンズラビリンス」(ギレルモ・デル・トロ監督)


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 スペイン内戦下、過酷な現実に耐えながら、不思議な幻想世界に誘われる少女、オフェリアの物語。
 どこまでも哀しく、故に美しい異形のおとぎ話。

 メキシコ出身の気鋭、ギレルモ・デル・トロ監督による、大人のダーク・ファンタジー。
 デル・トロ監督というと当方にとっては「ブレイド2」を監督した我が心の現人神の一柱であらせられるわけですが、ハリウッドでのメジャーな仕事としては「ヘルボーイ」なんかの方が通りがいいのかしらん?
 そういったエンタメ系アメコミ映画職人としての側面とは別に、スペイン内戦下の孤児院を舞台としたもの哀しい幽霊譚「デビルズ・バックボーン」みたいな叙情性あふれる作品をも手がけてしまう才気も見せていたデル・トロ監督、ここに来て素晴らしい傑作をモノにした印象。
 海外ではほぼ1年前に公開されて、その噂だけは方々で聞いていた為、こちとら観たくて観たくて仕様がなかったわけですが、やっと日本でも上映されたよ!

 デル・トロ監督お得意のフェティシズム溢れる映像美とエグさ満点の怪奇性は今作でも健在。
 オフェリアが試練の過程で受ける様々な仕打ち……キモい虫やらエグい怪物やらゲロい粘液やらが織り成す悪夢のような地獄絵図と、それらに健気にも立ち向かう美少女の画はまさに倒錯美の極み。
 いやはや、ホントにいい趣味してますよね、デル・トロさんってば。

 ですが、それら幻想世界の怪物などより、オフェリアの義父・ビダル大尉の方がよっぽど残酷で恐ろしいという、このアイロニーに満ちた構図。
 拷問大好きなサディストにして、自らの正義を信じて疑わないファシスト軍人。
 オフェリアの世界を脅かす恐怖と現実の権化にして、残酷な大人の世界の体現者。
 彼女が夢見ていた平穏は、この怪物的な義父によって、徹底的に破壊されていくのであります。
  
 が、しかし。
 時として美しい幻想は、どんな醜い現実をも凌駕する。
 デル・トロ監督はパンフレットに記載されたインタビューの中ではっきりとこう答えています。
 幻想と現実は等価値であり、結局、最後に勝利したのはオフェリアの方だった、と。

 どんなに辛く無情な現実も、ついに彼女の内に咲く小さな白花を散らす事はできなかったのだ。
 いや、ホント、美しいフェアリーテイルだ。
 

2007/03/26

「Highlander:The Search for Vengeance」国内リリース決定?

 当方、一番好きなアニメをひとつだけ挙げてみろと問われれば、まずなんのためらいもなく「獣兵衛忍風帖」と言い切れてしまうくらいには川尻善昭監督作品ラバーな人間なので、先日行われた「東京国際アニメフェア2007」東北新社のチラシに掲載されていたという「Highlander」2007年国内リリースの知らせにはもう男泣きに泣いたっつーかね!

 当方が初めてこの作品の存在を知ったのが確か2005年の初夏くらいのことだったので、すわ「獣兵衛忍風帖2」と同じくもはや企画そのものが凍結でもしてしまったのかしらん? などと大変失礼な不安すら覚えていたのですが、あにはからんや、バッチリ作ってらっしゃったのですね、監督!
 そうこなくっちゃな!

■Highlander: The Search for Vengeance Trailer


 原作にあたる映画「ハイランダー 悪魔の戦士」も大好きだった当方としては、まさに夢のコラボレーション作品。あー、早く観たい。
 海外での公開は2007年6月頃を予定している様子なので、一刻も早い国内公開を望みたいところ。

 ちなみにこの予告編中でも真っ先に監督の代表作として「Ninja Scroll」(「獣兵衛忍風帖」の英題)と出てくる辺り、北米市場で累計80万本以上は売り上げたという、かのタイトルの偉大さが伺い知れますやな。
 

2007/03/17

ダニー・トレホ兄貴の総身に漲る漫画ゴラク度は異常

 もうすぐ全米で公開予定の「GRIND HOUSE」って映画があるんですが、これがロバート・ロドリゲス監督の撮ったゾンビ映画「PLANET TERROR」とクエンティン・タランティーノ監督の撮ったスラッシャー映画「DEATH PROOF」をわざわざ二本立て同時上映するという、またもや70〜80年代エクスプロイテーション・フィルムへのオマージュたっぷりのたまらん企画でして。

■Tarantino/Rodriguez's GRINDHOUSE full theatrical trailer!


 で、この監督2人、図抜けてマニアックな作風で有名な悪ノリ全開コンビなんで、劇場公開の予告編にもわざわざありもしない偽映画の予告編まで作って混ぜたりする始末。

 この最新予告編の冒頭の方に出てくるごっつい山鉈(マチェット)片手にガトリング砲付きバイク(シビれるぜ、その永井豪センス!)に跨るワイルドな豪傑、その名も「Machete」さんは当然のように本編には登場しないということが判明して以来、ダニー・トレホ大好きっ子の当方としては滂沱の涙で枕を濡らしておったわけですが、やっぱりこのキャラ、よっぽど捨て難かったのかして、これとは別にビデオスルー作品として本編撮るかもしんないってな企画があがってるそうで。
 実現すれば、なんともドリーミー・ドリーマーなお話。

 あとこの「GRIND HOUSE」、どうやら偽予告編コンペティションみたいなプロモーション企画もあったみたいで、ネット上で調べているうちにその優勝作品含む優秀作3作を発見したので、以下にご紹介。

 あ、ちなみにどれも思いっきりグロ描写満載作品ばかりなので、そういうのが苦手な方はご注意を。

■THE DEAD WON'T DIE


 どうやらゴアゴアな内容のゾンビものらしいことくらいまではわかるんですが、結局どんな話なのかはさっぱりわからーん!
 特にトップレスでゾンビに向かって二丁拳銃乱射してるアバズレ姉さんは何事?!

■HOBO WITH A SHOTGUN


 件のコンペの優勝作。
 正義の浮浪者がショットガン片手に街の悪党どもを処刑する!
 悪逆非道な強盗どもはおろか、か弱い娼婦に暴力を振るう悪徳警官も、いたいけな子供を狙うロリコン野郎も問答無用でぶっ殺すゼ!
 Yes,I do! 俺が正義だ!
 ちょっと頭の足りないポール・カージー(「狼よさらば」の主人公)みたいな主人公がたまらなく素敵。
 あといちいち入るおっさん声のタイトルコール最高。

■MAIDEN OF DEATH


 悪党に惨殺されたロックバンドの女性ギタリストが、悪魔(?)と契約して現世に復活。
 斧刃付きエレキギター片手に行くところまさに屍山血河、地獄の復讐行が始まる!
 エレキギターで車を一刀両断するシーンからラストシーンまでの流れが大変に美しくてイカス。
 

2006/04/17

「柳生十兵衛七番勝負 島原の乱」 第2話「涙の剣」


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 今回十兵衛と斬り結ぶ相手は鈴鹿真太郎。
 侍として、人として、愚直なまでに正しくあろうとしたが故に、すべてを失ってしまう悲劇の男。

 山口馬木也氏が哀しいまでにストイックな剣客を好演。
 山口氏自身が凛とした肉体と所作の持ち主である為、最後の殺陣に漲る緊張感が尋常ではなく、前シリーズを含めても1、2を争うカッコよさでした。
 さすがは「剣客商売」シリーズで秋山大治郎役を演じておられた山口氏、実に時代劇映えする風格の持ち主であります。

 今シリーズもまた、十兵衛と斬り結ぶ剣客はひとかどの人格者揃いなんですな。
 それゆえに最後の対決はいつも熱く、悲しい。
 もつれた綾を断つ十兵衛の剣。その孤剣に宿る哀しみ、誰が知るや。 

 また今回は柳生但馬守の政治家としての冷酷非情な側面がモロに表現された回でもあったわけですが、この事件の顛末が十兵衛に落とした陰は、今後の親子関係にも大きな影響を与えそう。
 前シリーズでも剣と政(まつりごと)の葛藤は大きなテーマの一つだったわけですが、今回はそこから更にもう一歩踏み込んだ内容になって行きそうで、期待大であります。
 
 あと荒木又右衛門の吹っ切れた悪人ぶりがすんごかった。
 さすが前回で「人間を捨てる」「鬼になる」と発言しただけのことはある。
 もはや彼も後戻りできない修羅の道に入ったというべきなんでしょうか。
 いずれ待ち受けるであろう十兵衛との対決が楽しみであります。
 

2006/04/10

「柳生十兵衛七番勝負 島原の乱」 第1話「訣別の剣」


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 以前、当Blog内記事でも取り上げた痛快剣豪活劇「柳生十兵衛七番勝負」
 その待望の続編が「NHK木曜時代劇」第1弾として堂々の開幕!

 「島原の乱」に隠された朝廷の陰謀に立ち向かう柳生十兵衛。
 だが朝廷側が対幕府の刺客として差し向けるは、十兵衛のかつての兄弟子にして「鍵屋の辻の仇討ち」で名高い剣豪・荒木又右衛門!
 各地の反乱勢力を島原に集結せんとする又右衛門と十兵衛の暗闘が始まる!

 今回は天草四郎、荒木又右衛門などといった十兵衛と同時代に実在した有名人たちが夢の競演。
 前回も事件の裏で暗躍した由比富士太郎(後の由比正雪)や、従僕の伊賀同心・佐山寛平&西岡大次郎コンビらの再登場も嬉しいところ。

 相変わらず重厚な殺陣をメインに据えた渋い作劇もナイス。
 俳優陣も主役である村上弘明氏を筆頭に、濃厚な男のドラマを支えるに相応しい面子が勢ぞろいであります。

 中でも荒木又右衛門役の高嶋政宏氏と、円条寺業平役の杉本哲太氏の濃さはあらゆる意味で超ド級。
 よっしゃ、よっしゃ! やっぱこういうお芝居はそうでなくっちゃね!
 特に杉本哲太氏の公家演技は、「柳生一族の陰謀」の烏丸少将(演ずるは成田三樹夫氏)を彷彿とさせるものがあって最高。
 あと、どうやらこのおじゃる丸も剣豪っぽいよ、ママン! 面白すぎる!

 ちなみに「島原の乱」というと、かの剣豪・宮本武蔵も豊前小倉藩・小笠原忠真の指揮監として参陣していたはずですが、こちらのドラマでも千葉真一氏演ずる老武蔵の再登場などがあるのか否か、気になるところであります。
 

2005/05/11

剣客・十兵衛ここにあり! 「柳生十兵衛七番勝負」


20050511db5a4cb1.BMP柳生十兵衛。
幕府総目付、柳生但馬守の嫡男にして、その剣、天下に並ぶものなし。

流浪の旅にあった十兵衛が10年ぶりに再会した父から聞かされた、天下転覆の大陰謀。
陰謀の首魁は、恐るべき剣客、戸田勘解由(とだかげゆ)。
諸国に蠢く陰謀の根を断ち切らんが為の旅が始まる。

十兵衛の前に、今日も新たな敵が立ち塞がる。

(オープニング・ナレーションより)


先日、最終回を迎えたNHK金曜時代劇「柳生十兵衛七番勝負」

人情時代劇が幅を利かす昨今のTV時代劇情勢において、久々に本格志向の剣豪時代劇を見せてくれて、やたらと痛快至極でございました。

しかし、あまりにひっそりと始まりひっそりと終わってしまった為、ひょっとしたら世間はこの面白さに気付く暇すらなかったのではないかしらん? このまま何事もなかったかのように知る人ぞ知る作品として忘れ去られてしまうのではないかしらん? と、妙に不安な気持ちが群雲の如く湧き出してきたのも、また事実。

よって以下、ネタバレ上等・著作権違反の危険を冒してでも、この時代劇の面白さをなんとか当Blogでも布教しておこうと余計なお世話もいいところな決心をした次第。
一応今後DVD化も予定されている作品ですが、気になる方はさぁさお立会い!
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