越後妻有・大地の芸術祭のまわり方
> 山手線は妻有の水で走っている
2009年02月14日

山手線は妻有の水で走っている

東京は、知らない間に知らないところで越後妻有と深くつながっています。
そしてそのことをほとんどの東京の人は知りません。

昨日夜のニュース。
JR東、社長処分へ 信濃川不正取水(朝日新聞)

簡単に説明すると、東京圏のラッシュ時の電車を動かす電気を作るために十日町付近の信濃川の水を利用していたJR東日本が、データを改ざんして許可された以上に水を取り込んでいたことなどがばれて、水の権利を国に取り上げられた、という話(正式な処分は後日)。

信濃川の水は、中里・黄桜の丘のそばにある宮中ダムで大部分が取り込まれ、地中のトンネルを通して、川西の妻有大橋近くにある千手発電所などで発電に使われてから、川に戻されます。
20年ほど前にJRが取り込む水が大幅に増えてから、その間の川の本流は水量が極端に減って、生態系が破壊され、昔のように漁ができなくなったのだそうです。そこで川の流量を多少回復させられないかと関係者間で協議をしている最中の不祥事発覚(経緯は朝日新聞の特集記事「水が消えた大河」に詳しい)。
結果的に、信濃川に豊かな流れが戻ってくることになりそうです。
一方JR東日本は、信濃川で失った電力量を他の方法で調達しないと、東京の電車がろくに動かせず、大変なことになります。でもこれはJRの自業自得なので、くれぐれも乗客が不利益を被ることのないようにすべきです。

東電の柏崎刈羽原発もそうですが、東京の都市活動を成り立たせるため遠い地方の人々に犠牲やリスクを負担させている事実を、東京側の人間は折に触れて心に留めておかなければなりません。
ちなみに、今回の件が東京のメディアで報道され始めたのはここ一週間ほどのことです。

いちばん長い川
大地の芸術祭作品「いちばん長い川」の奥に見えるのが宮中ダム。2003年8月撮影。

今回の一件で、筆者は2006年の大地の芸術祭で見たある作品を思い出しました。
松之山の坪野という山あいの集落の空き家で展開された、複数のインスタレーションからなる作品、潮田友子+東京芸大坂口研究室「ハピネス ストーン ハウス」の一つ。
(作品はたぶん現存しません)

2006年作品 ハピネス ストーン ハウス空き家の中にある2〜3畳ほどの小さな部屋。
扇風機が回り、窓が開け放たれたその部屋にはテレビが置いてあり、その小部屋で撮影した映像作品が映し出されていました。
映像作品中の部屋のテレビには、山手線の電車の中から見た景色が右から左へ(逆だったかも)流れており、合わせて電車の走行音や車内放送が響いています。
若い男(作品の作者?)が所在なげに窓の外の山村の景色を眺めていて、テレビの中で電車が駅に着くたびに、男は車掌のように、ドアの開閉操作や、窓から身を乗り出して安全確認を行うまねをします。
電車が駅を出発すると、男はまた所在なげに窓の外を眺め…

子供じみた行動を淡々と繰り返す男の様子や、都会の電車と山奥の風景が醸し出すギャップが面白かったのですが、この作者は、山手線を動かす電気がどこから来ているのか知っててこの作品を作ったのでしょうか?

東京は、知らない間に知らないところで越後妻有と深くつながっています。
そしてそのことを、ほとんどの東京の人は知りません。
 
Posted by T.S. at 11:47  |Comments(0)TrackBack(0)
カテゴリー:妻有全域

この記事へのトラックバックURL

http://blogs.dion.ne.jp/echigo_tsumari_2006/tb.cgi/8096272
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※半角英数字のみのトラックバックは受信されません。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。


 
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
※半角英数字のみのコメントは投稿できません。