2007年03月21日

受取人不明:きびしい現実と見たくもない結果 ユーロスペース

受取人不明

夜の9時過ぎからのレイトショーなのにほぼ満席。
キム・ギドクは韓国では不人気らしいが、日本では人気あるね。

タイトル:受取人不明
監督:キム・ギドク
出演:ヤン・ドングン、パン・ウンジョン、チョ・ジェヒョン
製作:2001年韓国

米軍基地の近くの田舎に、赤い壊れたバスが止まっている。黒人米兵と韓国人の母の間に生まれたチャングク(ヤン・ドングン)はここで母(パン・ウンジン)と暮らしている。
チャングクの母は自分たちを置いて本国に帰ってしまった夫に手紙を出し続けているが、手紙はいつも受取人不明で帰ってくる。そんな母をチャングクは疎ましく思っている。

受取人不明-3

混血児は差別を受け、就職もままならない。しかたなく人の嫌がる犬商人ケヌン(チョ・ジェヒョン)の手伝いをしているが、人が飼っていた犬を買い取り、殺して解体するのはたまらなくいやだ。ケヌンは、そんなチャングクに現実を受け入れろとわざと犬を殺させる。

チャングクはやり場のない怒りを母親にぶつける。無抵抗の母を殴り、母が大切にしている父の写真を破り捨てる。そこに母の愛人のケヌンがやってきて、今度はケヌンがチャングクを殴りつける。腕力でケヌンにかなわないチャングクは立てなくなるまで殴られた。
こんな毎日が繰り返していた。

女子高生ウノク。幼い頃兄が撃ったおもちゃのピストルで、右目が白濁してしまっている。この目のせいで差別を受け、かたくなになった彼女は、いつも心を閉じて長い髪で右目を隠している。彼女に好意を示すジフムに対しても最初は彼をこばんでいた。

受取人不明-4

同級生は高校に行ったのに、学校にも行けず画廊で働くジムフ。体の弱い彼は目下の高校生に目の敵にされて、給料日のたびにかつあげに会っている。そんなジムフをたまたま居合わせたチャングクが助けてやる。
そんなジムフの唯一の希望が、いつも陰気に歩いている女子高生のウノク。ジムフは彼女の肖像画を描いてプレゼントするが、彼女に捨てられてしまう。
ジムフの肖像画には彼女の両目がきれいに描かれていた。

こんなかんじで3人の生活が淡々と描かれていくが、ここでおきることは残酷な現実ばかり。

ジムフとウノクがいい関係になって、ビニールハウスでエッチしようとするが、ジムフをいつもいじめている二人組みがやってきてウノクはレイプされてしまう。
ジムフの飼い犬は親に売られてしまい、チャングクが助けようとするが犬はケヌンに弓で射られてしまう。チャングクはケヌンに殴られて手錠でバイクにつながれる。
行方不明のウノクの父親の消息がわかった。父親は北朝鮮に脱北し、スパイの疑いが家族にかけられる。

米兵ジェイムズがウノクに、お前の目は手術で直せると誘う。目の手術のためにジェイムズの女となったウノク。手術の結果ウノクの目は直り、見えるようになった。

おもしろくないジムフ。ジムフは父の趣味の弓を持ち出し、ジェイムズを脅す。
ウノクに裏切られたと思ったジェイムズはウノクを殺そうとする。
・・・

3者3様の希望のもてない暮らし。何をどうしようが彼らはここから抜け出せない。
犬殺し、かつあげ、拳銃、弓、ナイフ、報われない暴力の繰り返し。
とうとう彼らの感情は爆発する。その結果は前よりも悪い暮らしを引き起こす。

これを笑ってごまかすわけでもなく、真面目に冷静な目で淡々と見せていく。
この映画のテーマはなんだろう、諦念なのか。
起こるべくしておきた結末に、運命の残酷さを感じればいいのか。

★★★/5


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