
できのいいロードムービー。
タイトル:逃亡くそたわけ―21才の夏
監督:本橋圭太
出演:美波/吉沢悠/木下ほうか/吉野公佳/我修院達也/ガッツ石松
製作:2007年日本
福岡の病院でハナちゃん(美波)はどこからか声を聞いた。
「亜麻布二十エレは上衣一着に値する」
この言葉の意味はわからないけど、この言葉を聞くととたんに調子が悪くなる。
「ここはプリズンよ。こんなところから逃げなくちゃ。」
そう思ったハナちゃんは駆け出した。途中で、頼まれたら嫌とは言えないなごやんを見つけて、車を運転させることにした。
「ちょっとだけだぞ、気が済んだら帰るんだぞ」
なごやんはそう言ったけど、ハナちゃんは帰る気なし。
二人して病院を脱走して、車で南に走り出した。
博多弁のハナちゃんと、名古屋出身のくせして標準語のなごやんの道中。
神社で寄り道して願い事をする。
「ハナちゃんが早くもどろうって思いますように」
なごやんはこっそり祈る。
「ぜったいプリズンにはもどらんけんね」
ハナちゃんにはなごやんの思いは届かない。
ハナちゃんは、ときどきへんな声が聞こえたり、人が見えたりする。
なごやんは、出身地の名古屋にコンプレックスを持っている。名古屋から念願の東京に転勤になって一生懸命標準語を話して東京人になりきっていたのに、福岡に転勤になった。それから何かがおかしくなった。
ハナちゃんは免許がないのに運転させろという。運転を教えたけど、僕を帰らせて、一人でどこかにいくつもりらしい。でも、僕はハナちゃんに一緒に行くって約束したしな。
ハナちゃんに運転させて山の中に入っていった。行き止まりになって車から降りたら山ビルが落ちてきた。ヒルなんてとっても耐えられない僕はハナちゃんを置き去りにして車で逃げた。
置き去りにされたハナちゃんは道を歩いていて幻覚に襲われる。大きなトラックとウエスタンのような運転手。トラックはハナちゃんをめがけて突っ込んでくる。幻覚が私を殺そうとしている。ふらふらのハナちゃんのところになごやんが帰ってきた。「ごめんよ」
それから熊本に入って阿蘇山を走る。ハナちゃんは逃げれば逃げるほど追い詰められていく。物理的なものから逃げてるわけじゃないんだからね。頭の中に人が見える。
やくざみたいな木下ほうか、眼帯の女吉野公佳、トラック運転手榊英雄、プロレスラーみたいな坊主、我修院の猟師。濃い連中が現れて死ね死ねと追い詰める。
なごやんはそんなハナちゃんが心配になって医者に薬をもらいに行く。
どちらが患者かわからないような変な医者大杉蓮。
「いっぺんに薬を飲んで死のうとしたでしょ。だめですよ」
「病院に戻ろう」なごやんが言う。
「つきあうって言ったのに、うそつき」
そう言ってハナちゃんがいなくなった。なごやんは必死であたりを捜す。
ハナちゃんが道を歩いている。
我修院の猟師が追ってくる。どこに逃げても追ってくる。
疲れたハナちゃんは明るいコインランドリーで寝た。
なごやんがハナちゃんをやっと見つけて旅館で一泊。
ハナちゃんが話す。
「頭がおかしいってことは悲しいね」「精神病とわかると恋人も友達も逃げていった」
次の日河原に車を止めて、屋根で昼寝。
どうせ私は行きずまって押しつぶされる。
ハナちゃんは思う。
日が暮れて彼女と歩いていた。気がふれても彼女と歩いてた。
本気なんだか冗談なんだか。
最後にハナちゃんは追いつめられて死に神6人と対決する。
ハナちゃんは死神から逃げきれるのでしょうか・・・
なんかいいかんじのロードムービー。
なごやんのやさしさに包まれて、ハナちゃんは走り続ける。
自分がどこかおかしくなったら、こんなことを思うのかなあ。悩んでも悲しんでもしょうがない。そのまま現実を受け入れるしかないのさ。
そんな気分になった。
最後に現れた神はスゴイよ。
★★★★★/5