2011年10月08日
心にくきもの
枕草子 第百八十九段 心にくきもの【奥ゆかしいもの】
夜の、なにやら艶(つや)っぽい情景をえがきます。
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(略)
よう打ちたる衣(きぬ)の上に、騒がしうはあらで【乱れた様子ではなくて】、髪の振りやられたる、長さ推し量らる。
いみじうしつらひたるところの、大殿油(おほとなぶら)はまゐらで、炭櫃(すびつ)などにいと多く熾(お)こしたる火の、光りばかり照り満ちたるに、御帳の紐などの、つややかにうち見えたる、いとめでたし。
【立派な調度の部屋で、灯火はつけず、炭櫃にたくさん熾こした火の光が満ちて、御帳台(みちょうだい:貴夫人のベッド)の紐などが艶やかに見えるのも素晴らしい】
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内裏(うち)の局などに、うちとくまじき人のあれば、こなたの灯は消ちたるに、
かたはらの光の、もののかみなどより透(とほ)りたれば、さすがにもののあやめは仄(ほの)かに見ゆるに、
短き几帳ひき寄せて、いと昼はさしも向かはぬ人なれば、几帳のかたに添ひ臥して、
うちかたぶきたる頭(かしら)つきの善さ悪しさは、かくれざめり。
【近くの女房の局に、事情のある男が来ているので、こちらの灯は消したけれど、
掛け灯台などの光が、透けて上から差し込むので、ものの輪郭が仄(ほの)かに見える。
短い几帳を引き寄せて、昼は公(おおやけ)に会わぬ者どうし、几帳の影に添い寝して、
寄り添う髪かたちの善し悪しも、隠しようもない】
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直衣(なほし)・指貫など、几帳にうちかけたり。
六位の蔵人の青色もあへなむ。
緑衫(ろうそう)はしも、あとのかたに掻いわぐみて、暁にも得さぐりつけで、まどはせこそせめ。
【男の脱いだものが、几帳に掛けてある。
六位の蔵人でも青の袍(ほう)を着る身分の男なら、まあ良かろう。
緑衫(ろうそう)を着る身分の男だったら、その緑衫を足元に丸め込んで、明け方でも探し出せぬようにして、困らせてやるといい】
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ううん、短い几帳の影で、あんなことや、こんなことをしちゃうのでしょうか。
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