伊藤忠太による旧梅田駅コンコースのヴォールト空間もそろそろ見納めになるかも知れない。ここには保存を望む声も上がっている。
参考ブログサイト「旧阪急梅田駅コンコースを残したい…」
この旧コンコース、駅にしては面積も天井高さもさほど大きなものじゃ無い。この空間を保存・移設したとして、そんなに膨大なお金がかかるものだろうか?関西圏の人なら誰もが知っている、大阪の歴史にしっかりと根付いた空間である。伊藤忠太設計ということで文化的価値もある。保存の費用対効果は非常に高いものに思える。東京の丸の内なんかで実践された近代建築のファサード保存なんかと比較しても、もう、遥かに意味があるのでは?保存すれば阪急に対する世間の好感度もアップするだろうし、なんでわざわざ壊しちゃうの?と逆に不思議に思う人も多いのではないか。
俺が想像するに、あの空間の価値を良く知っているはずの日建設計が、基本計画の段階でこのコンコースの保存を阪急に提案しなかったわけが無いと思う。コストダウンのために泣く泣く却下したというのが真相ではないか。ぶっちゃけた言い方をすると、不況で深刻なダメージ受けた関西の企業が、公共空間の充実に奉仕的な投資をするだけの余裕を、もう、どうしようもなく失ってしまっているのだ。あの阪急といえども、我々の想像する以上に。
このことは、長く大阪の街行く人にニュースを発信してきた、大阪丸ビルの電光掲示板の設備更新が見送られた時にも感じたことであったが。
建築業界では阪急百貨店立て替え工事の事業費は大変厳しいものであると噂されている。今まで、梅田の街並みは阪急と設計部も含めた竹中工務店ががっちりスクラムを組んで創り上げてきたはずなのだが、今回の事業からは竹中が脱落してしまった。やはり、どうしようもない低予算だったのではないか。
旧コンコースの北側は阪急百貨店の仮設店舗が設けられたために、吹抜けのアトリウムが今までの半分のボリュームのコンコースとなった。ここの造りが、なんとも安っぽくてがっかりする。いくら仮設建築とはいえ、あと何年かは大阪の最も目立つ中心部に店構えを持つ一流の商業施設なのである。もう少しなんとかならなかったのか。仮設だからこそ実現出来る提案だってあるだろうに。天井ものっぺりしていて、せめてリブのついた化粧ボードくらい採用できなかったのかと思う。
表参道ヒルズなんかは、仮設フェンスのデザインにクライン・ダイサム・アーキテクツを起用して、工事中であっても街並みに配慮していたんだけどなあ。ケチだケチだといわれる大阪にあっても阪急だけは余裕あると思っていたんだけどなあ。
東京では赤字受注が噂された六本木ヒルズの事業を底にして、ゼネコンは収益の回復に動いているといわれているのだが、大阪の景気回復は東京から一歩も二歩も遅れている感じがするよ。


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