2010年03月19日

三面記事の有名人と同名 フレンズ4-18その3

フィービーは今、弟フランク夫婦の代理母になっています。
代理母として、みごもっている三つ子ちゃんの一人の名前を考えて欲しいと言われ、どんな名前にしようか考えているところ。
フィービー: So, I decided I'm definitely going to go with either Joey or Chandler. (それで、絶対にジョーイかチャンドラーかのどちらかでいこうって決めたわ。)
ジョーイ: Oh! Oh-oh, you gotta pick Joey! I mean, name one famous person named Chandler. (ああ! あぁ、ジョーイを選ばなくちゃだめだよ! だって、チャンドラーって名前の有名人の名前を一人、挙げてみてよ。)
チャンドラー: Raymond Chandler. (レイモンド・チャンドラー。)
ジョーイ: Someone you didn't make up. (でっちあげじゃない誰かだよ。)
チャンドラー: Okay, there are no famous Joeys. Except for, huh, Joey Buttafucco. (それじゃあ、有名なジョーイって名前の人間もいないぞ。あー、ジョーイ・バタフッコを除いてはね。)
ジョーイ: Yeah, that guy really hurt us. (ああ、あいつのせいで、俺たちは本当に傷ついたんだ。)
フィービー: Well, how about a compromise then, okay? What if it's like y’know, Chan-no-ey? (そうねぇ、それなら、歩み寄るのはどう? 例えばこういうのだとどうかしら? チャン・ノウ・イーとか。)

フィービーは、お腹の子供の名前について、ジョーイかチャンドラーかのどちらかにする、と言っています。
go with を直訳すると「…と一緒に行く」ということで、ここでは「…(の線)で行く」という感覚ですね。
それを聞いたジョーイとチャンドラーの二人は、やはり自分の名前をつけてもらいたくて、お互いに相手の名前より自分の名前の方が良いことをアピールしようとします。

Name one famous person named Chandler. は、最初の name も、後ろの named も、どちらも動詞として使われていますね。
最初の name の方は「名前を挙げる」という意味。
後ろの named は「人に…という名前をつける、人を…と名づける」という他動詞の過去分詞形で、person named Chandler は「チャンドラーという名前をつけられた人」という意味になります。
つまり、「チャンドラーという名前をつけられた一人の有名な人の名前を挙げてみろ」→「チャンドラーという名前の有名人を一人挙げてみろ」ということです。
ジョーイは、「チャンドラーなんてつまらない名前だよ。有名人でそんな名前のやついるか?」と言いたいのですね。

そこですかさずチャンドラーは、得意気な顔で「レイモンド・チャンドラー」と答えます。
レイモンド・チャンドラーは有名なアメリカのハードボイルド作家ですね。
Wikipedia 日本語版: レイモンド・チャンドラー
レイモンド・チャンドラーの作品 The Long Goodbye は、清水俊二さんが翻訳された「長いお別れ」の他に、あの村上春樹さんが「ロング・グッドバイ」というタイトルで翻訳されたものもあります。
ですから、レイモンド・チャンドラーは、日本人の間でも有名な作家だと言えるでしょう。
ちなみに、1973年に The Long Goodbye (邦題:ロング・グッドバイ)のタイトルで映画化もされています。
主人公の探偵フィリップ・マーロウ役はエリオット・グールド。フレンズで、ロス&モニカのパパであるジャック・ゲラーを演じている俳優さんですよね。

チャンドラーという有名人を挙げろと言われて、その通り、超有名人を挙げたチャンドラーですが、その後のジョーイの返しが面白いです。
make up は「作り上げる」ですから、この場合は「(ないものを)でっち上げる」という感覚。
Someone you didn't make up. を直訳すると、「お前がでっちあげたのではない誰か(だよ)」ということで、つまり、「レイモンド・チャンドラーだなんて、適当な名前をでっちあげないで、ちゃんとした実在の人物の名前を挙げろよ」とジョーイは言いたいのですね。
このセリフから、ジョーイは、超有名作家である、レイモンド・チャンドラーの名前を知らないことがわかります。

レイモンドを知らないと話にならないので、今度はチャンドラーが、「じゃあ、お前のジョーイって名前の方はどうなんだよ? ジョーイって名前の有名人もいないじゃないか。…を除いてはね」と言って反撃しています。
Joeys は、「ジョーイという名前の人」を複数形にしたもの。

ジョーイなんて有名人は、ジョーイ・バタフッコしかいない、というチャンドラーに対して、ジョーイは、Yeah, that guy really hurt us. と残念そうな言い方をしています。
これも直訳すると、「そうだな、あの男は本当に俺たちを傷つけた」ということで、us は自分と同じジョーイという名前の人々を指しています。
hurt は自動詞だと「痛む」で、他動詞だと「…痛める、けがをさせる」「(評判・感情などを)傷つける」「損害を与える、害する」という意味になります。
今回の hurt us は、物理的、肉体的に傷つけるのではなくて、ジョーイという名前の人たちを精神的に傷つける、という感覚ですね。

チャンドラーの挙げたバタフッコという人物がどんな人が知らなくても、チャンドラーが「ジョーイって名前の有名人はバタフッコくらいしかいないじゃないか」「ああ、そいつのせいで、俺たちジョーイって名前の人間は心を痛めてるんだよ、迷惑をこうむってるんだよ、いやな思いをしてるんだよ」というやり取りから、同名であることが名誉であるような人物ではない、ということがわかります。

英語の解釈としては、「同じ名前であることを名誉なこととして自慢できないような、そういう名前の有名人がいる」ということがわかればそれで良いわけですが、せっかくなので、その人物がどういう人かをここで紹介しておきましょう。
フレンズのセリフで名前が出てきて、観客が「ああ、あの人」とピンと来るぐらいの有名人ですから、やはり、ウィキペディアにありました。
Wikipedia 英語版: Joey Buttafuoco

ウィキペディアの最初の説明部分を以下に引用させていただきます。

Joseph A. "Joey" Buttafuoco (born March 11, 1956) is an American auto mechanic who made headlines in 1992 for his affair with then-underage Amy Fisher (born August 21, 1974), who subsequently shot Joey's wife, Mary Jo Buttafuoco (born May 15, 1955), in the face.

生年月日は省略した上で訳しますと、
「ジョセフ・A (ジョーイ)・バタフッコは、アメリカ人自動車整備士で、1992年に、当時未成年だったエミリー・フィッシャーとの情事で新聞をにぎわせた人物。エイミーはジョーイと関係を持った後、ジョーイの妻であるメアリー・ジョー・バタフッコの顔を銃で撃った。」

つまり、そのジョーイ・バタフッコという人物は、エイミーという未成年と関係を持っていて、そのエイミーがジョーイの妻を拳銃で撃ったために新聞に大きく取り上げられ、有名人になってしまった、ということのようです。
ウィキペディアでは、Incident として、その衝撃的な事件の内容が書かれています。
まとめさせていただくと、
「妻のメアリーは顔を撃たれたにもかかわらず、自分を撃った人物が着ていたTシャツがどんなものであったかを証言した。そのシャツは、バタフッコが情事の相手であるエイミーにあげたプレゼントだったので、妻を撃った狙撃者はエイミーであることがわかった」
ということだそうです。

そういうセンセーショナルな事件のため、夫であったジョーイの名前は一躍有名になり、その事件の後も、テレビショウなどのメディアに何度も登場しているようです。
そういう事件の中心人物である人と同名、ということは、自分たちジョーイという名前の人間にとっては、あまり嬉しいことじゃないよ、同名の人として彼の名前が出るせいで、俺たちは傷つくんだよ、とジョーイは言いたいようですね。

上のウィキペディアの下にある、Categories というところには、American people of Italian descent 「イタリア系アメリカ人」という記載があります。
Joe という名前は、典型的なアメリカ人男性Joe フレンズ3-12その21 でも触れたようにアメリカでよくある名前ですが、これが、イタリア系の Joey になると人数が少なくなってしまい、有名人を探すのが難しくなってしまう、という感じなのでしょうか?
Joey という名前の有名人は他にもいそうな気がしますが、今回のセリフではジョーイが聞いたら嬉しくない名前を、チャンドラーがわざと挙げた、ということなのでしょうね。
日本でも人気のアメリカのシットコム「フルハウス」(Full House)では、男性メインキャラ3人のうちの1人のコメディアンは、Joey という名前で呼ばれていますよね。(彼の正式な名前は、ジョゼフ・アルヴィン・グラッドストーン(Joseph Alvin "Joey" Gladstone)。)

ジョーイとチャンドラーがお互いの名前をけなし合うので、それなら a compromise 「妥協、歩み寄り」をしたらどう?とフィービーは提案しています。
そこで出した案が、Chan-no-ey。
文字を見てわかるとおり、Chandler と、Joey の名前を半分ずつくっつけた名前です。
二つの名前のどちらか決められなくて、二つを合体させた名前を考える、というのは日本語のコメディーでもありそうな発想ですが、発音が、「チャン・ノウ・イー」みたいな感じで、なんだか中国系の人にありそうな名前に聞こえるのも楽しいところです。


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Posted by Rach at 11:50  |Comments(1) | フレンズ シーズン4

2010年03月17日

私は何の料理を作ってる? フレンズ4-18その2

今夜はジョシュアと初めて過ごす夜、ということで興奮気味のレイチェル。
レイチェル: I'm so exited! I've been waiting for this for months. I got my hair colored. I got new sheets. I'm making him a very fancy meal. (私、とってもワクワクしてるのよ! この時を何か月もずっと待っていたのよ。髪の毛も染めたし、シーツも新しくしたわ。彼のために豪華な食事も作ってるし。)
モニカ: Um-hmm. (ふーん。)
レイチェル: What am I making him by the way? (ところで、私は彼に何(の料理)を作っているのかしら?)
モニカ: Well, you're making him a frisee salad with goat cheese and pine nuts, wild rice, roasted asparagus and salmon en croute. (そうね、あなたは彼に、ゴートチーズ(ヤギ乳で作ったチーズ)と松の実を添えたフリゼイ(カーリー・エンダイブ)サラダ、ワイルドライス、ローストしたアスパラガスに、サーモンのパイ包み(パイ皮に包んで焼いたサーモン)を作っているところよ。)
レイチェル: I thought I was making him filet mignon. (私は彼にフィレミニヨン(フィレ肉のミニステーキ)を作るんだと思ってたのに。)
モニカ: Yeah, you were, but you decided to make salmon because you had some left over at the restaurant. And then you realized if you (Points at Rachel) bitched about it, then you (Points to herself) would stop cooking, and you (Points at Rachel) would have to make your famous baked potato and Diet Coke. (そうね。そのつもりだったわ。でもあなたはサーモンを作ることにしたのよ。レストランで(いくつか)残り物(のサーモン)があったからね。それでその時、思ったんだけど、もしあなたが [レイチェルを指差す] そのことで(料理をフィレからサーモンに変えたことで)文句を言うのなら、その時はあなたが [自分自身を指差す] 料理を作るのをやめるでしょうね。そしてあなたが [レイチェルを指差す] あなたのお得意の[ご自慢の]ベイクトポテトとダイエットコークを作らないといけないでしょうね。)
レイチェル: Wow, I really get crabby when I cook. (まあ。私は料理する時、随分、気難しくなるのねぇ。)

レイチェルはジョシュアとの初めての夜ということで、とても嬉しそう。
I've been waiting for this for months. は、現在完了進行形の「継続」で、何ヶ月もずーっと待っていた、待ち続けていた感が出ています。
I'm making him a very fancy meal. 「私は彼のために豪華な食事も作っている」と言うレイチェルですが、その後、キッチンで料理を作っているモニカに向かって、What am I making him by the way? 「ところで、私は彼に何を作っているのかしら?」と尋ねています。
このやり取りで、レイチェルの代わりにシェフであるモニカが、その a very fancy meal を作っていることがわかりますね。
手料理などほとんどしないレイチェルが、彼のために料理を作ってるなんておかしいなぁ、と思ったら、やっぱりこういうことだった、ということです。

「この料理は私が作ったのよ」とジョシュアに言うつもりのレイチェルは、私(レイチェル)が料理を作っている、という前提で話をするために、「私は何を作っているところかしら?」と言っているわけですね。
自分はレイチェルの代わりに作っていることを了承済み、納得済みのモニカは、「私はこういうものを作ってる」と説明するのではなく、you're making him 「あなた(レイチェル)は彼に、こういうものを作ってる」と、主語を you にして話しています。
あくまでも「ジョシュアのために今料理を作っているのは、”レイチェル”である」という前提で、ここでの一連の会話は進んでいるのです。
料理を作っているモニカが、料理人である主語のことを you と表現し、ただ見ているだけのレイチェルが、料理人である主語のことを I と表現している、という面白さがここのやり取りのポイントですね。

メニューを説明するモニカに、レイチェルは「”私”は、フィレ肉の料理だと思っていたのに、どうしてサーモン料理を作っているのかしら?」という疑問をぶつけます。
「確かに、”あなた”はフィレ肉にするつもりだったわ。でも…」と言って、モニカは、レストランでサーモンの残り物があったから、それを使うことにしたのよ、と説明します。

レイチェルが作ったということにして、豪華な料理をせっせと作ってあげているというのに、レイチェルはメニューにケチをつけたので、モニカは、もし文句を言うならどういうことになるか、ということを脅しのように言っています。

Yeah, you were 以降の文章は全て主語が you ですが、ト書きでモニカがレイチェルと自分を交互に指差していることからもわかるように、実際は、「もしあなた(レイチェル)がそんな風にメニューに文句を言うのなら、私(モニカ)は料理をやめるわよ。そしてあなた(レイチェル)は、あなたお得意のベイクトポテトとダイエットコークを出したらいいわ。」と言っていることになります。
それをすべて、you と表現しているところに、このセリフの面白さがあるわけです。
セリフとト書きだけを文字で追っている分にはわかりにくいところもありますが、実際に、映像としてこの場面を見ると、モニカの指差しが助けとなって、モニカのセリフの指している主語が明確に理解できます。
こういうセリフを楽しめるのも、映像付きのドラマでセリフを学ぶことの醍醐味ですね。

シェフとして凝った料理を作ってあげているのに文句を言うなら私はやめる。私が作らなければ、料理のできないあなたは、ベイクトポテトとコーラを出すしかないだろうけどね、と皮肉を言っているのです。

レイチェルが文句を言うのに怒ってそういう意地悪な返事を返したモニカに対して、レイチェルはまだ、主語に I を使って、「私は料理の時、えらく気難しいわね」と言っています。
もちろんそれはモニカのことを言っているのですが、料理を作っているのはレイチェル、という前提はまだ続いていて、「私ったら、いつもはご機嫌なのに、料理を作っているとなんだかイライラして、機嫌が悪くなって、友達にひどいこと言ったりするようになっちゃうのね」と感心しているかのようなセリフになっているわけですね。

英語では、自分の体験を人に話す時に、主語を you にすることがよくあります。
一例を挙げると、
フレンズ4-4その1 でのチャンドラーのセリフ、
Then they use all of these phrases and peppiness to try and confuse you. 「するとジムのやつらはあらゆるフレーズと元気いっぱいさを使って、俺を混乱させようとするんだよ」
などの you が 「自分、俺」を表す you ですね。

その you は「一般の人」を指し、回り回って「自分自身(私)」をも指す、という you ですが、上に挙げた今回のレイチェルとモニカの一連のセリフは、その you ではありません。
今回の場合はあくまでも、「レイチェルがジュシュアのために料理を作っている」という前提で話をしているために、実際に料理をしているのがモニカであっても、それをわざとレイチェルであるかのように表現している、ということですね。

上のセリフが通常通り、「あなた(モニカ)は何を作ってるの?」「私(モニカは)こういうものを作ってるのよ」のような事実を示す正しい主語で表現されていたら、ここのセリフはごく普通の事実を伝えるだけのやり取りになってしまいます。
さも自分が作っているように話を続けるレイチェルに、「あなたが怒らせるようなことを言ったら、”あなた(レイチェルとして料理を作っているモニカ)”はあなた自身(レイチェル)に反旗を翻(ひるがえ)すわよ」と脅しているのが面白いということですね。
ですから、今回のセリフでは、you と I はきっちりと「あなた」「私」と訳出した方が、セリフの面白さがより伝わるはずだと思います。


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Posted by Rach at 11:11  |Comments(0) | フレンズ シーズン4

2010年03月15日

初対面で意気投合する会話 フレンズ4-18その1

シーズン4 第18話
The One with Rachel's New Dress (レイチェルのセクシードレス)
原題は「レイチェルの新しいドレスの話」


ロスがイギリス人女性エミリーと自分の部屋で過ごしている時、キャロルとスーザンがやってきます。
キャロルとスーザンは、エミリーと初対面なので、挨拶を交わした後、
キャロル: Ohh, y'know, Susan's gonna be shooting a commercial in London next week. (ああ、ほら、スーザンは来週、ロンドンでコマーシャルを撮影する予定なのよ。)
スーザン: Oh yeah, I'm so excited, I've never been there. (ええ、そうなの。とってもワクワクしてるわ。イギリスには一度も行ったことがないから。)
エミリー: Oh, well, I'll show you around. (まあ、そうなの。私がその辺りを案内するわ。)
スーザン: That would be great! Also, uh, I was hoping to catch a show so if you can make any suggestions.... (そうしてもらえると最高だわ! それに、あの、舞台も見たいなと思っていたのよ。だから、もしお勧めがあるのなら…)
エミリー: Oh, there's tons of terrific stuff. I'll go with you. (ああ、すばらしいものがゴマンとあるわよ。私があなたにご一緒するわ。)
スーザン: Ahh! (まあ!)
(Ross accidentally, on purpose, bumps into Susan.)
ロスは、偶然を装って故意に、スーザンにぶつかる。
ロス: Look at you two bonding. Making us late for the airport so.... (君ら二人の仲良くなる様子と言ったら。僕らが空港に行くのが遅くなるから(だからそろそろ)…)
エミリー: Are you all right? ([ロスの様子が妙なのに気づいて] あなた、大丈夫?)
スーザン: Oh, he's fine. He's fine. It's just that us getting along is difficult for him, because he doesn't like me. (あぁ、彼は大丈夫。大丈夫よ。ただ、私たちが仲良くなることが彼にとってはつらいだけよ。だってロスは私のことが好きじゃないから。)
ロス: Oh, come on! That's.... It's true. (ああ、よしてくれよ! そんなの…事実だ。)


shoot は「撮影する」なので、shoot a commercial は「コマーシャルを撮影する」。
shoot a film なら「映画を撮影する」ですね。
I've never been there. は「そこ(ロンドン)に(これまで)一度も行ったことがない」。
have never been は「be 動詞の現在完了形(have been)を never で完全否定した形」です。
be 動詞のニュアンスを出して訳すと、「(そこに)いたことがない」ということですね。

イギリスは初めて、というスーザンの話を聞いて、エミリーは、I'll show you around. と申し出ています。
ロンドンのその辺りを私が案内してあげるわ、ということですね。
それを聞いてスーザンは、That would be great! と答えています。
この would は、「もしあなたが私を案内してくれるのなら[案内してくれるとしたら]、それはとても素晴らしい」という「仮定」の意味が入っています。
直接的な That's great! 「それって最高だわ!」ではなく、That would be great! (That'd be great!) と would を挟み込むことで、「もしそうしてもらえたら嬉しい、ありがたい」という気持ちが込められるのですね。

英語の助動詞は、そういう細かいニュアンスを出すために英語で頻繁に使われますが、ノンネイティブの日本人には使いにくい部分でもあります。
自分で英語を発信する場合、would や could などを自然に使いこなせるようになれば、ある意味、一人前とも言えますね。
まずはこういう決まり文句である、That would be great! などから使ってみるように心がけ、そういう気持ちを表す助動詞 would などのニュアンスを掴んでいくようにすべきかな、と思います。


エミリーが好意的な提案をしてくれたので、スーザンはさらに、自分が思っていたことを口にします。
ここでも、I was hoping to... のような「過去進行形」を使い、「私はこう願っていたんだけど」という「距離感」を出して、自分の希望を遠回しに述べています。
こういう過去進行形のニュアンスは、I was wondering if you could... などと同じですね。
今回初対面で、まだ親しくない間柄のスーザンとエミリーなので、スーザンはエミリーに対して失礼にならないように、そのような表現を使っているということです。

そういうスーザンの希望を聞いて、「それじゃあ私が…するわ」という場合に、エミリーは、I'll show you around. I'll go with you. のように will を使っていることにも注目しましょう。
これは、スーザンの話を聞いて、今、そうしようと思った、ということですね。
will と be going to は、日本人英語学習者の間では同じような意味として認識されることも多いですが、ここで、be going to を使ってしまうと、元々そうするつもりであったニュアンスになってしまいます。
電話やドアホンが鳴って、I'll get it. 「私が出るわ」と言うのと同じで、今、聞いたことに対して、自分がそうしようと思う意思を示す場合は、必ず will でなければいけないのですね。

ト書きの、accidentally, on purpose は「偶然を装って(その実、)故意に」。
うっかり壊してしまう フレンズ1-1(その5) でも説明しました。
スーザンがエミリーと意気投合しているのを見て面白くないロスは、何かのはずみでぶつかったように装いながら、二人の会話を止めようとしたのです。

Look at you two bonding. を直訳すると、「君ら二人が結びついている[絆(きずな)を深めている]のを見てよ」ということで、「君らがそんな風に、絆を深め合っている様子と言ったら(すごいよね)。君らは今すっかり、意気投合中だよね」のように、二人が bond している様子に感心しているニュアンスです。
エミリーを空港に送っていかないといけない、という理由を使って、「そんな風に長々とおしゃべりしてたら、僕とエミリーが空港に遅刻することになるから」と言って、二人の話を切り上げさせようとしています。
スーザンたちが来る前は、「まだ17分あるから2回は(エッチが)できるよ」(笑)などとエミリーに言っていたのに、今は空港に行くのを急き立てるので、エミリーは何か変だなと思ったようです。
それで、Are you all right? 「ロス、あなた様子が変よ。大丈夫?」と言っているのですね。

スーザンはロスの気持ちをわかっていて、「ロスは別に変じゃなくていつも通り。私たちが仲良くなるのが気に入らないだけなのよ」と説明しています。
It's just that... は「ただ…なだけである」。
us getting along is difficult for him は、「私たちが仲良くなることは、彼にとって困難である[難しい、つらい]」。
us は、動名詞 getting (along) の意味上の主語ですね。
書き言葉では動名詞の主語は所有格(our)になることが多いですが、口語の話し言葉では、このように目的格(us)を使うことが多いです。
フレンズのセリフでも、動名詞の主語はたいてい目的格ですね。

スーザンとエミリーが仲良くなるのが面白くないのは、ロスが私(スーザン)を嫌いだからよ、とスーザンは自分で説明しています。
ロスの元妻キャロルの現在の(レズビアン)パートナーであるスーザンは、ロスにとっては天敵で、自分の妻を奪った女性(!)が、現在の恋人であるエミリーと意気投合しているのは面白くない、ということです。
ロスは、「なんてこと言うんだよ、そんなこと言うのよしてくれよ!」みたいに、Come on! と言っていますが、結局、It's true. 「それはほんとだ。ほんとのことだ」とあっさり認めているのもロスらしいですね。


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Posted by Rach at 07:05  |Comments(0) | フレンズ シーズン4

2010年03月12日

空港免税店のトブラローネ フレンズ4-17その6

ロスはエミリーに会うためにイギリスに行ったのですが、エミリーはアパートにいませんでした。
ロスの電話でそのことを知った後、モニカの部屋にそのエミリーが現れます。
エミリーもロスに会うために、またアメリカに戻ってきたのですね。
ロスが自分のアパートのそばにいると知って、エミリーは自分の電話(留守電になっている)に電話をかけ、その音声がロスに聞こえることを祈りながら、ロスへのメッセージを話しています。
エミリー: Ross, are you there? Ross, I don't know if you can hear this, but.... (Ross has moved to the window, apparently so that he can hear better.) I'm gonna talk anyway, uh, I'm in the States with your sister and your friends. And it's all over with Colin. I came here to tell you that and to tell you-- what. Yes, Joey, you can have all the chocolate you want, just take it! Uh, I came here to tell you that I love you. (ロス、そこにいるの? ロス、あなたがこれを聞くことができるのかどうかわからないけど… [ロスは(エミリーの部屋の)窓のところに移動する。どうやら(電話から聞こえるエミリーの声を)もっとよく聞こえるようにするためらしい] とにかく話すわね。あの、私はアメリカにいるの、あなたの妹さんや友達のところにね。それから、コリンとは完全に終わったわ[別れたわ]。私はそのことを言うためにここ(アメリカ)に来たの。そしてあなたにこのことを言うために… 何? いいわ、ジョーイ。あなたが欲しいだけそのチョコレートをあげるわ。いいから持って行って! あの、私はここに来たのはあなたにこう言うためなの、あなたを愛してる、って。)

留守電へのメッセージが音声として聞こえることを利用して、エミリーは、そこにいるかもしれないロスに向かって話しています。
今、アメリカのモニカの部屋に来ていること、コリンという彼と別れたことなどを話します。

そういう大事な話をしている時に、...what. Yes, Joey, you can have all the chocolate you want, just take it! という関係のないセリフが入っています。
チョコレートとは、アメリカの空港で売っていた大きなチョコレート菓子 Toblerone 「トブラローネ」のこと。(英語の発音は、「トウブラローン」という感じ。)

Wikipedia 日本語版: トブラローネ
Wikipedia 英語版: Toblerone

日本語版ウィキペディアの説明では、「スイスのチョコレート菓子」で、「免税店などでよく見かける」「日本国内では見かけないが巨大なサイズのものも存在する」とあります。
その「巨大なサイズのもの」が今回フレンズで登場しているものです。
英語版にも、It is well-known for... (中略) ...its ubiquity in airport duty-free shops.
つまり、「空港の免税店でよく見かけることで有名である」と書いてあります。
今回のエピソードは、アメリカとイギリスを何度も行き来し、空港を使う機会が多かったので、「いかにも空港で買いました」的お土産として、トブラローネが使われているわけですね。

今回のエピソードでは(解説では省略しましたが)、トブラローネが何度も登場します。
1つ目。イギリスに帰ろうとするエミリーが空港でロスに別れを告げる時、そのトブラローネの長い箱を持っていました。機内に持ち込める手荷物は1つだけだから、と言って(それくらいこの箱が大きいというジョークでもある)、最終的にその箱をロスに渡していました。
2つ目。エミリーを驚かせるためにイギリスに行くことに決めたロスに、ジョーイが "If you're going to the airport, can you pick me up another one of those Toblerone bars?" 「もしロスが空港に行くのなら、あのトブラローネ(バー)をもう1つ俺に買ってきてくれる?」と言っていました。
3つ目。イギリスからアメリカに戻ってきたエミリーがモニカの部屋に入ってきた時、彼女のバッグからトブラローネが突き出ているのを見て、ジョーイが「おお、これは! 俺が食べたいと思っていた、あのトブラローネ!」みたいな顔で目を大きくしていましたが、その時はエミリーには欲しいと言えませんでした。

そういう一連の流れがあって、エミリーが電話でロスにメッセージを伝えているという大事な時に、ジョーイが「このチョコ、もらっていい?」と尋ね、「欲しかったらどうぞ」とエミリーが言っているこのセリフになるのですね。

エミリーもジョーイもこのチョコが大好きらしく、何度もアイテムとして登場するのが、いろんな伏線の張ってあるフレンズの脚本の面白さでもあります。


電話のメッセージで、ロスに I love you. と伝えたエミリー。
ロスはそれを聞くことができたので、公衆電話からモニカの部屋に電話をかけてきます。
ロスへのメッセージを話している時に、キャッチホンが入ったので、そのキャッチホンに出てみたエミリーが聞いたのは…
ロス: Hi. (はーい。)
エミリー: Ross, I love you! (ロス、愛してるわ!)
ロス: Ohh! Thank you. (ああ! ありがとう。)

やっと直接、電話で話すことができた二人。
エミリーは、あの時、空港で言えなかったメッセージを、直接言うことができました。
雨の降る中、イギリスの公衆電話から電話をかけているロスはそれを聞いて、本当に嬉しそうに Ohh! Thank you. と言っています。
フレンズ4-17その2 で解説したように、「僕が I love you. と言ったのに、エミリーは Thank you. と答えただけだった」と絶望していたロスでしたが、今度はロスが同じ返事を返すことになった、という面白さですね。
もちろん、この場合は、エミリーに対するお返しのつもりで、軽くイヤミなセリフを言ったのではなく、一人寂しくイギリスに残されたロスにとっては、そのエミリーの言葉が本当に嬉しくありがたいものだった、ということでしょう。
「I love you. と言ってくれて、ありがとう」としか言えない、エミリーの一言でとても救われたロスの気持ちがよく表れているし、それが同時にオチにもなっているという、面白いエンディングだと思います。


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2010年03月10日

リラクシーキャブ フレンズ4-17その5

フィービーは新しい仕事を考えています。
バンの後部にテーブルを据え付けるのよ、と説明した後、
フィービー: It's a taxi that people take when they need to relax. (人がリラックスする必要がある時に乗るタクシーなの。)
レイチェル: (interrupting) It's a Relaxi-Taxi! ([フィービーが言おうとするのをさえぎって] リラクシー・タクシーよ!)
フィービー: The name was my favorite part! (その名前が私のお気に入りの部分だったのに!)
レイチェル: What, what, I came up with it. (何、何よ? その名前は私が思いついた[考え出した]のよ。)
フィービー: You did not! Oh! No! You came up with Relaxi-Cab! That's not good. (あなたが思いついたんじゃないわ! あぁ、もう! あなたが考えたのは、リラクシー・キャブよ! そんな名前、良くないわ。)
レイチェル: Well, I.... (えぇ、私は…)
(The phone rings and Monica answers it.)
電話が鳴り、モニカがそれに出る。
モニカ: Hello. (もしもし。)
ロス: (on phone) Hey. ([電話で] やあ。)
モニカ: Oh, my God! Ross, are you in England? Was Emily surprised? (まあ! ロス、あなたはイギリスにいるの? エミリーはびっくりした?)
[Cut to Ross in one of those British phone booths.]
イギリスの公衆電話ボックスにいるロスに画面がカットする。
ロス: No, because she hasn't come home yet. And she hasn't been home all night. She's obviously staying with that other guy. I'm the stupid moron who spent the whole night outside her apartment. (いいや。だって彼女はまだ家に帰ってきていないんだ。それに彼女は一晩中家に戻ってないんだよ。彼女は明らかに、その別の男のところにいるんだよ。僕は彼女のアパートの外で一晩を過ごした愚かなバカ者さ。)
モニカ: All right. When is, when is the next flight out? (わかったわ。いつ、次のフライトはいつ出るの?)
ロス: About four hours. (4時間(後)くらいだな。)
モニカ: Okay, just stay there a couple more hours and if she doesn't show up by then, then just come on home. (わかった。そこにあと2、3時間いて、もしその時までに彼女が現れなかったら、その時は家に帰って来なさいね。)
フィービー: Hey, tell him about Relaxi-Taxi. And-and ask him if he thinks that's better than Relaxi-Cab. (ねぇ、ロスに、リラクシー・タクシーのことを話して。それから彼に、リラクシー・タクシーは、リラクシー・キャブよりも良いと思うかどうかを尋ねて。)
レイチェル: Okay, it's not Relaxi-Cab. It's Relaxicab. Like taxicab. (いいわ、ねぇ、リラクシー・キャブじゃないのよ。リ・ラクシーキャブなの。タクシーキャブみたいに。)
フィービー: Oh, that is better. (ああ、その方が良いわね。)

車にテーブルを取り付けてマッサージの仕事をするというフィービー。
その名もなんと…と説明しようとした時に、レイチェルが先に Relaxi-Taxi という名前を言ってしまいます。
The name was my favorite part! 「その名前が私のお気に入りの部分だった(のに)」というのは、その名前を皆に披露するのを楽しみにしていたのに、どうしてあなたが先に言っちゃったのよ!という感じです。
みんなが「わあ!それステキ!」と言ってくれるおいしいところを、レイチェルが持って行ってしまった、ということですね。
Relaxi-Taxi は、「マッサージでリラックスできるタクシー」という意味で、laxi と taxi が韻を踏んでいます。

come up with は「(アイデアなどを)思いつく、考え出す」。
だってその名前を考えたのは私なんだから、私が言っても構わないでしょ、というのがレイチェルの言い分。
それを聞いてフィービーは、You did not! 「あなたがその名前を考えたんじゃない!」と叫んでいます。
レイチェルが考えたのは、Relaxi-Cab で、Relaxi-Taxi は私が考えたのよ、私が考えた Relaxi-Taxi は -axi の部分が韻を踏んでいて良いネーミングだけど、あなたが思いついた Relaxi-Cab は韻も踏んでないし、ダメダメじゃん、と言いたいようです。

何か言おうとするレイチェルですが、その時電話が鳴ります。
ロスは実際にイギリスに行って、イギリスの公衆電話から電話してきたことが画面からわかります。
エミリーを驚かそうとイギリスまで行ったロスでしたが、エミリーは一晩中アパートに帰って来ませんでした。
どう見ても、明らかに、そのもう一人の男コリンのところに泊まってるに違いないよ、とロスは言っています。
アパートの外で一晩を過ごした、僕は大バカ者だよ、とも言っていますね。
そんな悲惨な話をしているのに、フィービーはまだ、名前の話の続きを言っています。
ロスにその名前の話をしてやって。リラクシー・キャブよりも、リラクシー・タクシーの方が良いと思うかどうか聞いてみて、と言っています。

Relaxi-Cab という名前はダメだわ、と言われたレイチェルは、そのネーミングの意味を説明します。
フィービーは、リクシー・キャーブ と2つにアクセントを置いて発音しているけれど、正しくは、リクシーキャブ よ、という感じ。
ラクシーの la の音にアクセントが来て、「ラクシーキャブ」と一気に言う感じです。
フィービーは、ラクシーとキャブじゃあ、韻を踏んでないとか言うけど、韻を踏ませるネーミングじゃなくて、taxicab に re- を付け、t を l に変えることで、taxicab を relaxicab にした名前なのよ、という説明になります。

DVD字幕では、
It's not Relaxi-Cab. It's Relaxi-Cab. Like Taxi-Cab. と表記されていたのですが、これだと、2つの発音の違いがわかりにくいですね。
ネットスクリプトでは、
Okay, it's not Relaxi Cab. It's Relaxicab, like taxicab.
となっていて、このハイフンの入らない、Relaxicab, taxicab の方が、キャブにはアクセントを置かず、「クシーキャブ」のように「リクシーキャブ」と一気に発音したレイチェルの言い方をよく表しているように思います。
ですから、上に書いた英語セリフは、ネットスクリプトの方を参考にしてみました。

taxicab 「タクシーキャブ」は taxi のことですね。フレンズの映像でもよく映っているアメリカのタクシーは、Yellow Cab 「イエローキャブ」と言いますね。

フィービーはちっとも韻を踏んでない名前、とバカにしていたのですが、taxicab に re- をつけて、relax と taxicab をかけた名前が Relaxicab なのだ、とわかって、「そっちの方が、(自分が考えた) Relaxi-Taxi よりもいいわ」とあっさり負けを認めているのが面白いですね。


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Posted by Rach at 07:31  |Comments(0) | フレンズ シーズン4

2010年03月08日

こぶしが壁を突き抜ける フレンズ4-17その4

[Scene: Monica and Rachel's erm, Chandler and Joey's, Ross is relating his recent conversation with Emily to the gang.]
モニカとレイチェルの、えーっと(そうじゃなくて)チャンドラーとジョーイの部屋。ロスはフレンズたちに、エミリーとの最新の会話のことを話している。
ロス: She doesn't know which one of us she wants. Me or this "Colin" guy. (エミリーは、僕たちのうちのどちらを欲しているか[愛しているか]わからないんだ。僕か、その「コリン」ってやつか。)
モニカ: This isn't how it's supposed to go. I mean, there can't be another guy. (これは、予定されている展開とは違うわ。ほら、もう一人の別の男性なんているはずないのに。)
ロス: Well.... (そうだね…)
モニカ Of course, there's another guy! This is even more perfect. Now you have to prove your love! ([突然考えを変えたように] もちろん、他の男がいるのよ! これはもっとさらに完璧だわ。今あなたはあなたの愛を証明しないといけないのよ!)
ロス: I'm not proving anything. Okay, I'm done listening to you. If I hadn't let you talk me into going to the airport in the first place, I never would've put my fist through the wall. (僕は何も証明したりしないよ。いいか、モニカの話を聞くのはもうおしまいだよ。もし、そもそも僕がモニカに言われて空港に行ったりしなければ、自分のこぶしが壁を突き通すこともなかったのに。)
チャンドラー: You put your fist through the wall? (ロスのこぶしは壁を突き抜けたのか?)
ロス: No, I missed and hit the door. But it opened really hard. (いいや。的がはずれて、(こぶしは)ドアに当たったよ。でも、ドアはほんとに激しく開いたんだ。)

エミリーとの会話の内容を、フレンズたちに話して聞かせるロス。
エミリーは、僕(ロス)と、イギリスにいるコリンという男との二人の間で迷っているんだ、と言っています。
モニカは、「他の男性がいたなんて、そんなこと、私のシナリオにはなかったわ」みたいなことを言っていますね。
This isn't how it's supposed to go. の go は「(物事が)進行する、進展する」というニュアンスで、コリンという別の男性がいる今のこの状況は、本来そうなるはずだった進展の様子とは異なる、という感覚です。
フレンズ4-16その4 にも、
This is not how this is supposed to happen. (これはこんな風になるはずじゃなかったのよ。)というセリフも出てきましたね。

二人の恋愛が成就するためには、そんな「別の男」の存在など、あってはいけないのに、という感じで、 There can't be another guy. 「別の男なんかいるはずがない、いてはいけない」と言っています。
自分でそう言っておきながら、モニカは何かひらめいたように、「他の男がいて当然よ。もちろんそういう男はいるものよ!」と正反対のことを言い直しています。
恋愛ドラマでもよく登場する「恋敵(こいがたき)、ライバル」の存在はあって当然よ、そこでロスは自分の愛を証明すればいいのよ、とモニカは言いたいのですね。
ロスは、「また、女のロマンチックな連想が始まったよ」みたいな顔をしています。

If I hadn't let you..., I never would've put... という文章は、had not let と never would have put が使われていて、教科書に出てきそうなくらいの「きれいな仮定法過去完了」の文章になっています。
in the first place は「そもそも」。
let you talk me into going to the airport は使役動詞 let が使われています。
talk someone into doing は「人を説得して…させる」。
ですから、直訳すると、「僕を説得して空港に行かせることをモニカにさせる[許す]」、つまり、モニカが僕に空港に行くように説得して、僕もその説得に折れて行くことにした、モニカのそういう説得を拒まずに、モニカの言ったとおりにした、ということです。
If 節は、hadn't という否定形になっていますので、「モニカの言う通りにしていなければ」という意味になります。

put my fist through the wall は「自分のこぶしを壁に通らせる」。自分のこぶしを壁を通り抜けた状態に put する、という感覚ですね。
これはよく映画やドラマであるようなシーンのイメージでしょう。
やりきれない怒りをぶつけるために、男性が自分のこぶしを壁などに打ちつけて、壁がへこんだり、穴が開いたりして、本人のこぶしも血で真っ赤になっている、というようなシーンをよく見かけますよね。
自分の手が痛くなっても構わない、爆発する怒りのやり場がない様子をそういう描写で表現しているわけです。
ロスの仮定法過去完了のセリフも、文字通り受け止めると、「モニカに言われるまま空港に行ったりしなければ、こぶしが壁を突き抜けること(そして自分のこぶしを痛めること)もなかった」ということになります。
あまり暴力には訴えないタイプのロスが、そんな激しいことを言うので、チャンドラーはびっくりして聞き返していますね。
するとロスは、「実際のところは、壁を打つはずが的が外れてドアに当たってしまった」と言っています。
「ドアに当たってしまったけれど、僕のこぶしの勢いが強かったから、ドアは、それはもうすごい勢いで開いたよ」とも付け足しています。
やはりみんなの想像通り、いくら怒りを抱えていても、壁をこぶしで打つようなことはしなかったのだ、とわかるオチなわけですね。
ちょっとドラマの主人公風に、「壁を突き破ることもなかったのに」と言ってみたけれど、実際はドアを思い切り開けただけだった、怒りでドアをバーン!と開けただけなのを「こぶしが壁を突き抜けた」と大げさに言ってみた、ということです。


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Posted by Rach at 11:48  |Comments(2) | フレンズ シーズン4

2010年03月05日

想う気持ちが強すぎて怖い フレンズ4-17その3

ロスが愛してると言ったのに、エミリーはありがとうとだけ言ってイギリスに帰ってしまったんだから、それで終わりだよ、というチャンドラー。
モニカはそれに反論します。
モニカ: It is not over because she is going to call you and tell you she loves you. And the reason why she couldn't, is because her feelings were so strong that it scared her. You go home and wait for her call. She could be calling you from the plane! Come on now go! Go! (Tries to push Ross out the door.) (終わりじゃないわ。だって、彼女は(これから)あなたに電話してきて、あなたを愛してるって言うんだから。そして、彼女がそのことを空港で言えなかった理由は、彼女の気持ちがとても強くて、そのことが彼女を怖がらせたからよ。あなた(ロス)は家に帰って、彼女の電話を待つのよ。彼女は飛行機から電話してくるかもしれないわ! さあ、行って! 行って! [ロスをドアの外へ押し出そうとする])
ロス: Okay! Okay! But if she doesn't call, it is definitely over! No, wait. Wait. Unless, eventually, I call her, y'know just to see what's going on, and, and she says she'll call me back, but then she doesn't. Then it's over! (わかった、わかったよ! でももし彼女が電話してこなければ、それで完全に終わりだよ! いや、待って。待って。こういう場合は話は別だけどね。結局、僕が彼女に電話して、ほら、それはただ今どういう状況なのかを知るためだけだよ、そして、彼女が僕にまた電話する、と言って、それから彼女が電話して来なければ。その時は、終わりなんだ!)
(Joey holds his fist up, and Chandler gives him two thumbs up.)
ジョーイはこぶしを高く掲げ、チャンドラーは両手の親指を立てる。
ジョーイ: Way to be strong, man! (その調子で強く頑張るんだ、ロス!)
(Ross leaves, and after the door closes, Joey gives him the loser sign.)
ロスは立ち去る。そしてドアが閉まった後、ジョーイはロスに負け犬サインをする。

モニカは、「まだ終わっていない。エミリーはきっとロスに電話してきて、愛してると言うはず」と言っています。
愛しているのに、空港で愛していると言わなかったのは、her feelings were so strong that it scared her だからだ、と説明していますね。
これは、学校文法でも習った、so... that 〜 の構文。
直訳すると、「彼女の気持ちがとても強かったので、(そのことが)彼女を怖がらせた」。
ロスのことを想う気持ちがあまりにも強かったために、彼女は愛してるとあなたに言うのが怖かったのよ、ということです。
いかにも女の子が考えそうなロマンチックな理由ですね。

そのような理由をつけて、とにかく家で彼女の電話を待つのよ、と説得するモニカ。
ロスもその後押しを受けて、家に帰ることにします。
去り際にロスが長々と述べているセリフが面白いですね。
ロスも内心、もうダメかな、と思っているのがわかります。
「エミリーが電話してこなければ終わりだ」といったんは言うのですが、ただ待っていても、電話がかかってこないかもしれない可能性が高い、とロスは思っているのですね。
それで、unless 「ただし、こういう場合は話が別だけど」と言って、ただロスが電話を待つだけではなく、別の行動を起こすことを続けて述べています。
まずは僕が電話して、と言った後、自分から電話するなんてみっともない、もしくは未練がましいと思われたらいやなのでしょう、just to see what's going on 「ただ、何が起こっているかを知るためだけに、ただ状況がどんな様子か知るためだけに」まずは僕から電話をかけるんだ、と自分から電話をかける理由を説明しています。
エミリーは無事にイギリスについたか、元気にやっているか?という状況を知りたいためだけに電話するだけで、彼女の気持ちを確かめたくて電話するんじゃないんだよ、という言い訳です。
そしてそういう電話をした後、エミリーが「また私から電話するわね」と言って、それで結局彼女がそれ以降かけてこなければ、そこで正真正銘、二人の関係は終わりってことになるんだよ、とロスは言っているのですね。
「ありがとう」と言われて気まずく別れた後、勇気を振り絞って僕が電話したのに、それでも結局、納得のいく返事がもらえないのならば、さすがに僕もその時はすっぱりあきらめるよ、というところです。

ジョーイとチャンドラーは、そのロスの宣言を聞いて、頑張れよ!と激励しています。
こぶしを高く掲げたり、親指を立てたサムアップをしているのは、「いいぞ! その調子で頑張れ!」というニュアンスですね。
ただ、ロスが出て行った後、ジョーイはその高く掲げていたこぶしの指をエル字形にして、おでこにくっつけています。
これが、ト書きにある、the loser sign のようですね。
loser の最初の文字エルを指で示したもののようで、「あぁ、きっと、ロスとエミリーの仲はもうダメだろうな」とジョーイが思っていることがわかります。
ロスが「もし僕が電話して、それでも彼女が電話してこなかったら」と譲歩に譲歩を重ねたのを見て、もうすでに負けを見越したような敗者の言葉だと感じたのでしょう。


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Posted by Rach at 10:15  |Comments(3) | フレンズ シーズン4