2012年05月25日

since+現在完了形? フレンズ6-19その1

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シーズン6 第19話
The One with Joey's Fridge (やきもち焼きのロス)
原題は「ジョーイの冷蔵庫の話」


ロスは今、自分が勤務する大学の生徒エリザベスと付き合っています。
ロスの勤務する大学には、生徒と付き合ってはいけないという規則があることが判明するのですが、「禁じられた恋(forbidden love)」であることが、余計に二人を燃え上がらせてしまいます。
すっかりラブラブ状態のロスは、セントラル・パークでフレンズたちに、エリザベスを紹介します。
そのエリザベスが帰った後、
チャンドラー: So, why is she leaving? Is it a school night and she has a lot of homework to do? (それで、どうして彼女は帰ろうとしてるの? 登校日の前夜で[明日は学校で]、やらなきゃいけない宿題がたくさんあるの?)
ロス: Yes. Her molecular epidemiology paper is due tomorrow. (そうだよ。彼女の分子疫学のレポートが明日、締切なんだ。)
チャンドラー: Oh, tell her good luck with that. (あぁ、彼女に、幸運を祈る、って言っといて。)
ロス: Anyone else? Huh? Bring ‘em on! (他にも誰か(からかいたいやつは)いる? どう? からかうネタを出してこいよ!)
レイチェル: Oo! When's her birthday?! (あぁ! 彼女の誕生日はいつ?)
ロス: I don't know, Rachel, why? (知らないけど、レイチェル、どうして?)
レイチェル: Well, y'know it's just been so long since I've been to Chuck E. Cheese. (うーんと、ほら、チャッキーチーズ(チャック・E・チーズ)に行くのは、すっごく久しぶりだから。)

学生であるエリザベスが帰ったので、チャンドラーは「学生ネタ」でからかっています。
school night は、英辞郎では、
school night=登校日の前夜
と出ていますが、確かにそういう意味でしょうね。
school night を文字通り訳すと、「学校の夜、学校がある日の夜」ということになるでしょうが、「夜」のことを言っているので、「今日の昼に学校があった、その日の夜」というよりは、「明日、学校に行かなければならないという、前日の夜」を指すことになるだろうと思います。
ですからチャンドラーは、「明日は学校で、今夜はたくさんの宿題をしなくちゃいけないから、彼女は帰ったの?」と言っているのですね。

チャンドラーが、学生ネタでからかったのは明白なのですが、ロスはそれに動じる様子もなく、「そうだよ」とあっさりそれを認めています。
molecular epidemiology は「分子疫学」、paper は「論文」という意味でよく使われますが、この場合は「小論文、レポート」ということですね。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
paper : SCHOOL WORK a piece of writing that is done as part of a course at a school or college
例) When is your sociology paper due?

つまり、「学校や大学の過程の一部として行なわれる一つのライティング(書き物)」。
例文は、「君の社会学のレポートは、いつが締切なの?」

この LAAD の例文にも、due という言葉が登場していますね。
due は「期限が来て」という形容詞で、be due on Monday なら、「月曜日が締切、月曜日が提出期限」という意味になります。
フレンズ6-6その1 では、
ジョーイ: And when is that due? (で、(家賃の)支払期日はいつだ?)
というセリフもありました。
今回のセリフでも、LAAD の例文でも、paper と due が一緒に使われていますね。
それだけ、paper と言えば due、「レポートと言えば締切」という連想が働きやすい、ということでもあるでしょう。

「あぁ、ほんとに明日レポートの締切日なんだ」と言うので、拍子抜けしたチャンドラーは、「それじゃあ、彼女に、"Good luck with that." って言っといて」と言い、「面白くない」という顔をしています。
「ほぉ〜、宿題でもあるわけ?」と冗談めかして言ったら、本当にそうで、それが冗談にならなかったことと、ロスの性格からして「学生ネタでからかうのか?」とムキになるかと思いきや、全然動じていないことも、チャンドラーとしては気に入らなかったのでしょう。
ジョークを外したみたいになって、チャンドラーはご機嫌斜めなのですね。

強気のロスは、Anyone else? と聞いています。「他に誰かいるか?」というのは、「今のチャンドラーみたいに、学生ネタでからかいたいやつはいる?」という感覚ですね。
Bring ‘em on! の bring on は「話題を持ち出す」という意味。
言いたいことがあったら、そういうのを持ち出してみなよ!という挑戦的なセリフになるでしょう。

そこでレイチェルが突然、彼女の誕生日はいつ?と尋ねます。
「知らないけど、どうして急にそんなこと聞くの?」のようにロスが聞き返すと、レイチェルは、Chuck E. Cheese という名前を出したセリフを言っていますね。

まず、この Chuck E. Cheese について。
公式サイトは以下。
Chuck E. Cheese's - Where A Kid Can Be A Kid
ウィキペディアは以下。
Wikipedia 英語版: Chuck E. Cheese's

ちなみに、ここの名称は、Cheese's のように、-'s が付く形が正しいようですね。

ウィキペディアで、参考になりそうなところを以下に引用させていただきました。

Chuck E. Cheese's ... is a chain of family entertainment centers.
チャッキーチーズは、ファミリー・エンターテインメント・センターのチェーン。

The concept is a sit-down pizza restaurant, complemented by arcade games, amusement rides... (一部省略) ... - all mainly directed at younger children.
コンセプトは、着席式のピザ・レストランで、アーケード・ゲーム(ゲームセンター)や遊戯器具…(一部省略)なども付随している。全ては主に低年齢の子供をターゲットにしている。

The brand is represented by Chuck E. Cheese, an anthropomorphic mouse.
そのブランドは、擬人化されたネズミである Chuck E. Cheese に象徴されている。

その情報を総合すると、「娯楽施設を併設した、ピザ・レストランのチェーン店」ということですね。
食事をするだけのレストランではなく、低年齢の子供をターゲットにした遊具や遊び場もある、総合エンターテインメント施設、みたいな感じなのでしょう。

公式サイトに登場している、Chuck E. Cheese という名前のネズミくんが、ここのイメージキャラクターなのですね。
そのため、Chuck E. Cheese の店、という意味で、所有格の -'s がついた形の Chuck E. Cheese's が店舗の正式名称になっているわけでしょう。

公式サイトのタイトルにも出ているように、"Where A Kid Can Be A Kid" がこの店のキャッチフレーズのようです。
「子供が子供でいられる場所」みたいな意味でしょう。
そのサイトに、赤い王冠をかぶった女の子の写真が載っていて、RESERVE A BIRTHDAY と書いてあります。
つまり、誕生日にこの店でお誕生日会を開くための予約、ということですね。
Enter Zip Code つまり、郵便番号を入力すると、近所のチャッキーチーズで予約が取れる仕組みになっているようです。

ここで、再度、レイチェルのセリフを見てみると、it's just been so long since... を使って、「チャッキーチーズに行くのは久しぶり」みたいなことを言っていますね。
(この文の現在完了形のニュアンスについては、後でもう少し語ります。)

チャッキーチーズと言えば、サイトの説明にあるように、「子供がお誕生日会を開く店」というイメージがあるために、「エリザベスの誕生日には、チャッキーチーズに行くことになりそうね、もう、チャッキーチーズには長い間、行ってないわぁ〜」と言ってみせたわけですね。
そんなところでお誕生日会を開きそうな、お子チャマ(younger children)だと言って、彼女の若さをからかっているセリフになるでしょう。

ここで、It's just been so long since I've been to Chuck E. Cheese. という文章の「現在完了形」の時制について見てみます。
普通、「〜するのは久しぶり」というニュアンスの文章は、"It has been a long time since S+Vの過去形" の形になりますね。
「SがVした、という出来事以来、(今に至るまでに)長い時間が経っている」という感覚です。
だとすると、レイチェルのセリフも、It's just been so long since I (last) visited Chuck E. Cheese. 「(最後に)チャッキーチーズを訪れてから、随分、長く経っている」のように、since 以下が過去形になるのではないかなぁ?と思うのですが、DVDの英語字幕も、since I've been to と表記されているんですよねぇ…(have been to は「(ある場所)に行ったことがある」という意味でよく使われる形ですね)。

ロングマンやマクミランのような英英辞典の例文には、そのような「since+現在完了形」の文は登場していないのですが、自分で見た作品の中で、「since+現在完了形」が使われているセリフに出会ったことがあります。
それが、「デスパレートな妻たち」の 1-1 でのセリフ。
スーザンの娘(が母スーザンに): How long has it been since you've had sex?
DVDの日本語字幕では「最後のエッチはいつ?」と訳されていました。

そのDVDの日本語訳の通り、この英文の意味は、「最後にエッチして以来、どれくらいの期間が経ったの?」ということですよね。
「最後に、最近に」という意味の副詞 last を使えば、since you last had sex / since you had sex last のように、「最後にエッチをして以来」という意味の過去形になりますが、それと同じニュアンスで、since you've had sex という現在完了形を使っているようです。

まさに「最後のエッチはいつ?」という意味のセリフが、過去記事、フレンズ6-15その5 にも出てきましたが、それは、
フィービー: How long has it been since you had sex? (あなたが(最後に)エッチしてからどのくらいになるの?)
というように、「since+過去形」になっています。

今回の「since+完了形」については、あくまでノンネイティブの私のイメージに過ぎませんが、最初の完了形のイメージにつられて、since 以下も完了形にしてしまう、みたいなこと…なのでしょうか??

Google で "how long has it been since you've" のフレーズで検索してみると、結構な数がヒットしますので、こういう「since+完了形」を使う人は実際にいるようです。
ただ、上にも書いたように、ロングマンやマクミランなどの英英辞典の例文には、since+完了形は出てこないので、やはり、nonstandard 「非標準的」な用法だと思っておいた方が良い気はします。
DVDの英語字幕にこう表記されているので、「俳優の単なる言い間違い」とかではないし、そういう言い回しをする人も実際に存在するけれど、文法的には「?マーク」がつく類のものだろう、というのが、今のところの私の見解だということですね。


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Posted by Rach at 16:48  |Comments(0) | フレンズ シーズン6

2012年05月23日

汝より聖なり フレンズ6-18その6

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自分の生徒であるエリザベスとのデートは最高で、年の差も全く気にならなかった、とご機嫌のロスに、
モニカ: So it's okay to date a student? (それで、生徒とデートするのはオッケーなの?)
ロス: Well, not really. I mean, technically, it's-it's not against the rules or anything. But it is frowned upon, especially by that professor we ran into last night: "Judgy Von Holier-than-thou." (うーん、そうでもないんだ[オッケーってことでもないんだ]。つまり、理論的には規則違反とかではないんだよ。でも、ひんしゅくを買うだろうね、僕らが昨日の晩出くわしたあの教授、「ジャッジー・フォン・ホリアーザンザウ(”汝より聖なり”家の批判男)」からは特にね。)
モニカ: Well, Ross, you just be careful, okay? You don't want to get a reputation as y'know "Professor McNails-his-students." (そうねぇ、ロス、あなたも気を付けてね、いい? 「マクネイルズ・ヒズスチューデント(生徒をものにした)教授」って噂はあなたも欲しくないでしょ。)

生徒とデートしてもいいの?みたいに聞かれたので、ロスは「いいってわけでもないけど」と言いながら、デートしたらどうなるか、ということを説明しています。
Technically, it's not against the rules or anything. は、「厳密的・理論的には、ルールか何かに反しているわけではない」というニュアンス。
規則違反かどうか?と言われると、それには該当しない、という感覚ですね。

But it is frowned upon の、frown は、名詞では「(不賛成を表して)まゆをひそめること、しかめっつら」、動詞では「まゆをひそめる、顔をしかめる」という意味になります。
ですからその受動態なので、「まゆをひそめられる、顔をしかめられる」ということですね。
批判的、不賛成のニュアンスで、いやな顔をされる、ひんしゅくを買う、と同じような意味になります。

「まゆをひそめられる」と言った後、特にあの教授にそんな風に思われる、と、個人名(らしきもの)を挙げています。
昨日の晩、ロスとエリザベスがデート中に出くわした教授のことなのですが、特にその教授には、いやな顔をされるに違いない、と思っているわけです。

"Judgy Von Holier-than-thou" はその人の性格などを、名前風に表現したものですね。
judgy は「ジャッジー」という音からも何となく想像できますが、judge したがる judgmental な人、という感覚。
judgmental は、LAAD では、
judgmental : too quick and willing to criticize people
例) You're being too judgmental.

つまり、「あまりにもすぐに人を批判しようとする」。
例文は、「今の君はあまりにも批判的だよ」。

Von というのは、ドイツ語の前置詞で、英語でいう from や of の意味。
そのため、名前をフルネームで言う際に、姓の前に Von が使われている場合があります。

Wikipedia 日本語版: フォン (前置詞)
に詳しく書いてありますが、端的に言うと、「ドイツ語圏で、貴族などの姓の初めに冠する称号」ということです。

その後の、holier-than-thou は、「いかにも聖人ぶった」という意味。
研究社 新英和中辞典では、
holier-than-thou 【形】【A】 いかにも聖人ぶった、殊勝な (注:聖書「イザヤ書」から)
I don't like his holier-than-thou attitude. 彼の聖人ぶった態度が気に入らない。


英辞郎では、その形容詞の意味と並んで、
holier than thou=汝より聖なり
とも出ています。

holier は、holy 「神聖な」の比較級、thou は「2人称単数主格」で、「汝(なんじ)は、そなたは」という意味。宗教儀式や、シェークスピアなどにも登場する古語ですね。
ですから、まさに上の説明にあるような「汝より聖なり」 "(I am) holier than you (are)." という意味なのですね。

LAAD では、
holier-than-thou [adjective] (disapproving) : showing that you think you are morally better than other people (SYN: self-righteous)
例) a holier-than-thou attitude

つまり、「(非難のニュアンス) 自分が他の人々よりも、道徳的により良いと思っていることを示す。同義語 self-righteous 「独善的な」)
例は、「聖人ぶった態度」。

つまり、ロスは、「ジャッジー・フォン・ホリアーザンザウ」という名前にすることで、「批判的・フォン・聖人ぶった」、つまり、「”汝より聖なり”家出身の批判的(氏)」のような、名字=汝より聖なり、名前=批判的、という名前を、その教授にあだ名みたいにつけたわけですね。
「汝より聖なり」という言葉に、「私は下々の者とは違うのだ」というような貴族チックな部分も感じられるので、そういう貴族の姓の前によく用いられる Von もつけて、より「聖人ぶった」感を強調しているわけでしょう。

自分が嫌いな教授にそんなあだ名をつけてご満悦な様子のロスに、妹モニカは軽く注意しています。
You don't want to は「あなたは…したくない」で、「そうしたくないだろうから、そうならないように気を付けて」という感覚ですね。
これまでのフレンズでも、You want to = You should 「あなたは…したい」→「あなたは…すべき」というニュアンスになることを何度か説明しましたが、今回の否定形 You don't want to は、You should not、つまり、「あなたはそんな噂をゲットすべきではない、そんな噂が流れないようにしなくてはいけない」ということになるでしょう。
「あなたも人にあだ名なんかつけてないで、自分も変なあだ名の噂が流れないようにしてよ」という忠告になります。

そして、モニカがロスのあだ名として言った名前が、Professor McNails-his-students 。
マクネイルの Mc- は、「〜の息子(son of)」という意味で、スコットランド系、アイルランド系の姓によく使われます。
このあだ名のポイントは、nail ですね。
nail は「つめ、くぎ」で、動詞では「〜を…にくぎ付けにする」「…をつかまえる、取り押さえる」という意味があります。
そこから、「〜をものにする」という意味にもなります。

英辞郎では
nail=【他動-9】〈米俗〉〜をうまくやる、確実に物にする、〜で成功する
のように出ています。

LAAD では、
nail : (informal) to do something exactly right, or to be exactly correct
例) She nailed a superb jump.


つまり、「(インフォーマル) 何かを正確に正しく行うこと、または、正確に正しいこと」。
例文は、「彼女は見事なジャンプを成功させた[ものにした]」。

Macmillan Dictionary では、
nail : (mainly American, informal) to do something in a perfect way, expecially in sport

つまり、「(主にアメリカ英語、インフォーマル) 何かを完璧な方法で行なうこと、特にスポーツで」。

過去記事、nail ものにする、うまくやる フレンズ4-4その7 では、管理人のトリーガーと一緒に見事にダンスを成功させた後、
ジョーイ: That was amazing! I mean, we totally nailed it! It was beautiful. (さっきのは素晴らしかったよ! つまり、俺たちは完全にものにしたんだ! 美しかった。)
というセリフもありましたね。

今回のセリフでは、nail his students のように「生徒」が動詞 nail の目的語になっています。
ロスとその教え子エリザベスの関係を考えると、「生徒をものにした先生」というニュアンスで、「プロフェッサー・マクネイルズ…」という名前を付けたことが想像できますね。
ロスはまだ、エリザベスとデートを1回しただけではありますが、ロスが彼女に夢中のようなので、生徒に手を出した先生、みたいな噂が立たないように気をつけてよ、と言っていることになるでしょう。

ただ、「ものにした」という訳語を当てる場合、辞書に載っている意味では、「(スポーツなどで)何かをものにした」ということであって、日本語で言うところの「女性をものにした」ということにも通じるのかどうかは正直よくわかりません。
ロングマンやマクミランのような英英辞典には、そういう「エッチ系」の意味は載っていないのですが、スラングを多く扱っている Urban Dictionary では、have sex 系の意味がいくつも載っていました。
「いつものフレンズのノリ」で行くと、やはりモニカが言いたいのも、「生徒とやった」みたいな「エッチ系のニュアンス」なのでしょうね。

あまり深入りしすぎるのは危険と思いつつも(笑)、ちょっと考察してみますと…。
そもそも、「くぎ付けにする」ということから、「(相手を)動けなくする、取り押さえる」という意味にもなって、「(確実に)ものにする」(完全に自分の支配下に置いた感覚)に繋がるのだろうと思います。
「エッチする」という意味になる流れとしては、「相手を動けなくする」感覚が、男性が女性を押さえ込むような動作を連想させるからかなぁ?と個人的には思っていたのですが、Urban Dictionary の語義の中には、もっと具体的な行為を説明したものとして、penetrate 「貫く、貫通する」という動詞で説明してあるものもあります。
その場合だと、「くぎが何かを貫く、貫通する」ニュアンスが、エッチにおける具体的な行為を連想させていることになるでしょう。

また、そういう「行動・行為」からの連想ではなく、「うまくやった、ものにした」という何かに成功した感覚から、人を目的語にすると、「その人を征服した」という意味で「(女性を)ものにした」という意味になる、とも考えられるかもしれません。

いずれにしても、「生徒と不適切な関係になった先生」みたいなあだ名で噂を立てられないように気を付けてね、とモニカは警告しているわけですね。


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Posted by Rach at 16:26  |Comments(2) | フレンズ シーズン6

2012年05月21日

ロストオン+日食の話 フレンズ6-18その5

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[Scene: Joey's apartment, Ross is telling Monica and Joey about his date with Elizabeth.]
ジョーイのアパートメント。ロスはモニカとジョーイに、(自分の生徒)エリザベスとのデートについて話している。
ロス: We had such a great time! I mean, she's-she's incredible! I thought the-the age difference might be a problem, but it wasn't. It wasn't at all. Elizabeth is very mature for her age. (Joey makes the international sign for big boobies.) (To Monica) A concept lost on some people. (僕たちはほんとに素敵な時間を過ごしたんだよ。つまり、彼女は素晴らしいんだ! 年の差が問題になるかも、って思ってたんだけど、でも、問題じゃなかった。全く問題じゃなかったよ。エリザベスは年のわりにはすごく成熟してるんだ。[ジョーイは巨乳を示す万国共通の身ぶり(サイン)をする] [モニカに] ある人々には通じない概念の一つだね。)

ニューヨーク大学(NYU)で特別講師として講義を行なっているロスは、自分のファンだと言う生徒エリザベスとデートをします。
そのデート中に、同僚の教授に目撃されたりもするのですが、ロスは彼女のことを嬉しそうにフレンズたちに語っています。
「楽しい時を過ごした、彼女は最高だ!」と絶賛した後、the age difference すなわち、年の差が問題になるかなと思っていたけど、全然そんなことなかった、とも言っています。

Elizabeth is very mature for her age. の for は「〜にしては、〜の割(わり)には」。
He's young for his age. 「彼は年の割には若い」などが、このような for の典型例ですね。
エリザベスは学生で20歳だけど、その年齢の割には、すごく成熟してるんだ、と言っているわけです。

mature という言葉に反応(笑)したらしいジョーイは、手で、あるサイン、しぐさをしてみせています。
ト書きには、makes the international sign for big boobies と書いてありますね。
boobies は、フレンズでは、boobs と表現される方が多いように思いますが、「女性の胸、おっぱい」のこと。なので、big boobies [big boobs] はいわゆる「巨乳」です。
sign は「サイン、合図」ですが、このように「身ぶり、手まね」も意味します。
つまり、ト書きの意味は、「巨乳を表す国際的(万国共通の)身ぶりをする」ということですね。
万国共通のサインだと認定されているわけでもないでしょうが、確かに誰が見てもそれだとわかるサインではあります(笑)。
「年の割に成熟してる、って、胸とかがこんな感じってこと?」みたいに、言葉ではなく身ぶり手ぶりでロスに確認している感覚です。

あきれたロスは、ジョーイには答えず、モニカの方を向いて、A concept lost on some people. と言っています。
be lost on somebody は「(主語が)人に通じない」という意味。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
be lost on somebody : if something is lost on someone, they do not understand or do not want to accept it.
例1) The Joke was lost on Chris.
例2) All my warnings were completely lost on Beth.

つまり、「もし何かが誰かに be lost on だとしたら、その誰かが理解していない、またはそれを受け入れたくないということ」。
例文1は、「そのジョークはクリスに通じなかった」。例文2は、「私の警告はすべて、全くベスに受け入れられなかった」。

be lost on を無理やり直訳すると、「(人)の上で失われる」みたいな感覚になり、その人の上では、存在しないかのように意味のないものとなる、何の影響も与えない、みたいな感覚に繋がるのかな、と思います。

このように通常は、be lost on の形で使われるわけですが、今回のセリフは、A concept lost on some people. で、be動詞がない形になっていますね。
be動詞が省略されている、と考えることもできますが、どちらかと言うと、「ある人たちには理解されない概念(だね)」という感じの「名詞+後置修飾(過去分詞形の形容詞句)」のように私は捉えました。
mature 「成熟している」という言葉の概念には「精神的に大人である」という意味があるのに、そういう概念を理解しない人もいるようだ、成熟=ナイスバディという発想しかできない人もいるんだね、みたいな感覚で、「(mature は)ある人には理解されない概念の1つだ」と言っているように私は感じた、ということです。


(今日のおまけ)
金環日食、見ましたよ!

私は大阪在住で、金環日食の時間帯(7:29頃)は、雲もかなり広がっていたのですが、雲の隙間から金環日食を見ることができました!
その前後の、様々な形の部分日食も観測することができて、とても良い思い出になりました。
皆さまのところはいかがだったでしょうか?

そう言えば、1990年リリースのドリカム3枚目のアルバム「WONDER 3」に収録されている「時間旅行」に、「2012年の金環食」という歌詞が出てくることから、金環食関連のニュースのBGMで、何度も耳にします。
これって、私が大学生の頃の曲なんですよねぇ〜、すっごく懐かしいです。
その「太陽の指輪(リング)」を今日、この目で見られたのだと思うと、感無量ですね。

「日食」という非日常の単語は、今回のような特別な機会以外はあまり聞かない気がしますが、実はフレンズのセリフに登場したことがあるんですよね。
今日の「金環日食」記念に、そのセリフをご紹介しておきます。

過去記事、フレンズ3-13その20 で、フィービーのデート相手であるロバートが、短パンをはきながら脚を広げているために、隙間から彼の大切な部分が見えてしまっています。
その光景に動揺している、チャンドラーとロスの会話。
チャンドラー: What do we do? What do we do? (俺たちはどうすればいい? 俺たちはどうすればいい?)
ロス: Well, I suppose we just try to not look directly at it. (そうだな、それをただ、直接見ないようにしたらいいんじゃないかな。)
チャンドラー: Like an eclipse. (日食(を見る時)みたいに。)
(Ross nods his head.)
ロスは頷く。

ロバートの「大事な部分」を直接見ないようにしよう、という話を、「日食の際、目を傷めないように直接見るのは避ける」話に例えているのですね。
何だか内容的にも今日の「日食観測」に合っている気がしてタイムリーなので、改めてご紹介してみました。

日食の話題に触れついでに、eclipse という単語についてもいくつか解説します。
eclipse は「(日食・月食などの)食」という意味で、どちらの食かをはっきり言いたい場合は、日食であれば、solar eclipse、月食であれば、lunar eclipse と言います。
また、そのように「満ちていたものが欠けていく」という感覚から、「(栄誉・名声・影響力の)失墜」という意味もあります。

その意味については、LAAD では以下のように説明されています。

eclipse : [uncountable] (formal) a situation in which someone or something loses their power or fame, because someone or something else has become more powerful or famous
例) the eclipse of Europe's prestige after World War I
be in eclipse / go into eclipse : (formal) to be or become less famous or powerful than before


つまり、「誰かや何かが力や名声を失うという状況、他の誰かや何かがより強力に、有名になってしまったという理由で」。
例文は、「第一次世界大戦後のヨーロッパの名声・威信の失墜」。
be in eclipse, go into eclipse は、「以前よりも有名・強力ではないこと[ではなくなること]」。

その語義説明からは、「他のものの台頭で、以前ほどの力や名声がなくなること」というニュアンスが感じられますね。
日食・月食などのいわゆる「食」というのはやはり「食べる」ということから来たのでしょう。
「日蝕、月蝕」のように、「蝕」、つまり、「蝕む(むしばむ)」(=虫が食う)という字を使うことがあるのも、同じ理由でしょうね。
メルヘンチックに言うと、「お月さまが、おひさまを食べちゃう」みたいなことですが、「太陽という主役を、月という脇役が食ってしまった」みたいなニュアンスの「食う」だと考えると、「他者の台頭による、強者の失墜」のニュアンスも感じることができますね。

ちなみに、広辞苑では後者の「食う」については以下のように説明されています。

食う
10. 他の領分を侵す。くい入る。 「相手の縄張りを食う」
11. スポーツなどで強い相手を負かす。また、演技などで共演者などを圧倒する。「優勝候補のA校を食う」「子役に食われる」


日本語では、失墜に近いニュアンスで「落日(らくじつ)」とは言いますが、「日食」という言葉は使いません。でも、「(誰それ)に食われてしまう」とは言うわけです。
eclipse からちょっと話を広げてみましたが、そのように、日本語と同じ感覚、違う感覚、をそれぞれ感じてそれを楽しめることが、他言語を学ぶ楽しみの一つなんだろうと思いました。


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Posted by Rach at 16:10  |Comments(0) | フレンズ シーズン6

2012年05月18日

ネイチャーがコールする フレンズ6-18その4

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レイチェル: (entering from the bathroom) Hey, Mon? I'm gonna check my messages. ([トイレから部屋に入ってきて] ねぇ、モニカ。(留守電の)メッセージをチェックするわね。)
チャンドラー: You just thought of that in there? (あそこ[トイレ]でそのことを考えたの?)
モニカ: Sure, you know, nature called. She wants to see who else did. (もちろんよ、ほら、ネイチャー[生理的要求]がコールしたでしょ[便意を催したでしょ]。(だから)レイチェルは(ネイチャーの)他に誰がコールした[電話した]かを知りたいのよ。)
(Rachel dials her number.)
レイチェルは自分の番号をダイヤルする。
レイチェル: (on phone) Hello? (Shocked that someone answered.) Uh, Rachel. (To the gang.) Great, someone is in our apartment. Call the cops! ([電話で] もしもし? [誰かが電話に出たことにショックを受けて] あー、レイチェルです。 [フレンズたちに] 最高[最低]だわ、誰かが私たちの部屋にいる。警察に電話して!)
モニカ: You're on the phone! (あなたが電話中よ[電話してるのは、あなたでしょ]!)

トイレから出てきたレイチェルが、「(自分の家に電話をかけて)留守電をチェックするわね」と言うので、「トイレで留守電チェックしなきゃ、って考えてたの? そのことを思いついた場所はトイレなの?」みたいにチャンドラーが言っています。
トイレから出て来るやいなや、即座にそう言ったので、「トイレから帰ってきて開口一番がそれ? トイレと留守電って何か関係あるわけ?」みたいに、ちょっと茶化してみたわけですね。

それに対して、モニカが、call を使ったセリフを言っていますが、これは、call という単語を使ったジョーク、というか、ダジャレですね。

まず、nature called. ですが、この nature は「生理的要求」という意味。

研究社 新英和中辞典では、以下の例が挙げられています。

answer a call of nature 生理的要求 (大小便など)を満たす
Nature calls. 便意を催す
ease [relieve] nature 用便をする


また、英辞郎では、

Nature calls. Nature is calling me. 催してきた。/トイレに行きたい。

という例文が出ています。

その2つにはっきり書いてあるように、Nature calls. は「便意を催す、トイレに行きたくなる」という意味なのですね。

過去記事、nature's way of doing フレンズ6-15その4 で、nature's way of doing というフレーズが登場した時に、the call of nature も合わせて説明したのですが、nature にはそのように「身体が、生理的要求が」そう言っている、それを求めている、という感覚があります。

the call of nature は、LAAD では、
the call of nature : (informal) a need to urinate (= pass liquid from your body)
つまり、「(インフォーマル) 小便をしたいという(生理的)要求」。

つまり、the call of nature を一言で言うと「尿意」ということになります。

Nature calls. や、the call of nature の call は「呼ぶ(こと)」「呼び起こす」「喚起する」というような感覚でしょう。
自然の生理的要求が呼ぶ、求める、というニュアンスだろうと思います。

そんな風に、Nature calls. というのが「(トイレに行きたいという)便意・尿意を催す」という意味なので、モニカのセリフの前半は、「生理的要求が呼んだ、尿意を催した」と言っていることになります。

後半の、She wants to see who else did. について。
did は動詞の反復を避けるための did で、前半の文で使われていた動詞、called を意味します。
つまり、She wants to see who else called. と言っていることになりますね。
この文章の call は、今、電話の話をしていることからもわかるように、「電話する」という動詞。
「他に誰が電話してきたかを知りたい」という意味になります。
「誰が電話したか」ではなくて、「他に誰が電話したか」というニュアンスで、who else が使われているのは、すでにその前に、nature が call したからですね。
「nature 以外の誰が」という意味で、else を使っているわけです。

ですから、call をどちらも「コールする」と訳すと、「生理的要求(ネイチャー)がコールした。(だから)レイチェルは、ネイチャーの他に誰がコールしたかを知りたい」となり、どちらも同じ call という動詞を使っていることがより鮮明になるでしょうか。
そして、意味としては、「尿意を催した。(だから)レイチェルは他に誰が電話したかを知りたい(から留守電をチェックした)」と言っていることになります。
「尿意を催す」という意味の、Nature calls. と、「電話する」の call とで、call つながりのダジャレを言ったわけですね。
何となく、チャンドラーが言いそうなジョークにも思いますが(笑)、脚本的に言うと、そのジョークを言わせたいためだけに、トイレを出て早々に「留守電チェックするわね」とレイチェルに言わせた、ということになるでしょう。
なぞかけ風に言うと、「トイレとかけまして、電話と解く。その心は、どちらも、call するでしょう」みたいな感じでしょうか??(動詞の一致だけなので、いまいち、ピンと来ない例えではありますが…笑)
誰かが電話をする前に、とりあえずお約束のように電話ネタのジョークを一発挟んでおくところが、いかにもコメディーという感じで楽しいです。

そして、レイチェルは自分の家に電話をかけるのですが、留守電メッセージが聞こえるはずが、生身の人間が電話に出たらしく驚いています。

ちなみに、ト書きの To the gang の gang は、日本語の「ギャング」という響きから、「犯罪者一味」を想像してしまいそうですが、このト書きの gang は「フレンズたち」のこと。
レイチェルは、自分の留守中に部屋にいる電話の相手のことを「泥棒」のように思っているでしょうが、To the gang はその「ギャング(たち)」を指しているわけではない、ということです。
フレンズのネットスクリプトには、フレンズたちを指して、gang と書いてあることも多いので、ご承知の方も多いかもしれませんが、今回は「ギャングらしきもの」も登場している場面なので、念のため、再確認のつもりで説明させていただきました。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
gang : (informal) a group of friends, especially young people
例) She went out with Sarah and the gang.

つまり、「(インフォーマル) 友達のグループ、特に若い人々の」。
例文は、「彼女は、サラとその仲間たちと一緒に出掛けた」。

そういう gang の意味については、過去記事、ギャング フレンズ3-5その7 でも解説しています。

びっくりしたレイチェルは、フレンズたちに、Great, someone is in our apartment. と言っていますね。
この great は、怒ったように憤慨したように言う感覚の great で、本当は「最低、最悪!」と言いたいところをわざと、「もーぉ、これって”さいこう”だわ」みたいに不満そうに言ってみせている感覚。
文字として見ると「最高」という意味だけれど、言っている本人の口調を聞くと「最低」のニュアンスで言っているとわかる、という類のものです。

知らない人が自分の家にいる!とパニクったレイチェルは、Call the cops! と叫んでいます。
Call the police! とも言いますが、これは「警察を呼んで! 警察に電話して!」という決まり文句。
電話しながら、「電話して!」と言っているレイチェルに、モニカが「今、電話中なのは、あなたよ。あなたが電話を使ってるんじゃない」みたいに冷静なツッコミを入れているのも面白いですね。


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Posted by Rach at 17:05  |Comments(2) | フレンズ シーズン6

2012年05月16日

恩に着るよ+「レインマン」の話再び フレンズ6-18その3

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ジョーイは部屋に入ってくるなり、チャンドラーに「お前の大学時代の同級生で映画監督になった子(女性)がいただろ?」と尋ねます。
ジョーイ: Oh well listen, anyway she's directing a new Al Pacino movie. You gotta get me an audition! (なぁ、聞いてくれよ、とにかく、彼女が新しいアル・パチーノの映画を監督するんだ。俺のためにオーディションをゲットしてくれよ!)
チャンドラー: Oh, I don't know, man. I haven't talked to her in like 10 years. (あぁ、どうかなぁ。彼女とはもう10年くらい話してないんだ。)
ジョーイ: No-no-no, please-please, Chandler, I-I-I would owe you so much! (だめだめだめ、お願いだよ、チャンドラー。そしたら、ものすごく恩に着るからさぁ!)
チャンドラー: You do owe me so much. You owe me three thousand, four hundred.... (お前は(すでに、実際に)俺に恩があるんだよ。お前は俺に 3,400ドル借りてて…)
ジョーイ: Hey-hey dude. Why are you changing the subject? Why? Will you make the call or what? (おいおい、お前。どうして話題を変えてるんだ? どうして? 電話する気があるのか、どうなんだ?)
チャンドラー: Oh, okay, I'll-I'll try. (あぁ、わかったよ。電話してみる。)

direct は「…を指導する、指揮する、監督する」ということで、映画や劇の場合は「監督する、演出する」という意味。
ですから、director はカタカナの「ディレクター」というよりは、映画であれば監督、劇であれば演出家と訳した方がしっくりきますね。

You gotta get me an audition! は「お前(チャンドラー)は俺にオーディションをゲットしなくちゃいけない」みたいなことですが、この get は「手に入れる」のニュアンス。
get somebody something のように、2つ目的語を取って、「人にものを手に入れてやる」、つまり、「人のためにあるものを手に入れてやる」という感覚になります。
「お前の同級生がアル・パチーノの新作の監督をするんだから、俺の友人であるお前は、俺のために(お前のコネを使って)オーディションをゲットしてくれなくちゃいけないんだよ」という感じでしょう。

I haven't talked to her in like 10 years. は、「10年くらい、彼女と話していない」という現在完了形。
今に至るまでの10年の間、彼女とは一度も話してない、という感覚ですね。

長い間、話もしてないから、そんなこと頼めないよ、と言いたそうなチャンドラーに、ジョーイは、お願いだよ、と必死に頼んで、I would owe you so much! と言っています。
owe somebody は、「人に恩義などを負っている」で、「人に借りがある」という感覚。
owe you so much だと「君にずいぶん恩義がある、借りがある」ということになります。
ここでは、would がポイントなのですが、その説明は後にして、次のチャンドラーのセリフを見てみます。

ジョーイが、I would owe you so much! と言ったことに対して、チャンドラーは、You do owe me so much. と言っていますね。
would や do のニュアンスは別にして、owe me so much に関してのみ言うと、ジョーイの言った you を me に置き換えて、「お前は俺にずいぶん借りがある」とオウム返しのように言っていることになります。
その後、You owe me three thousand, four hundred.... と言っているのは、まさに「お前は俺に 3,400ドルの借りがある」と言っているわけですね。

ここで改めて、ジョーイのセリフの I would owe you の would について見てみます。
この would は、「もしお前が俺のためにオーディションを取ってきてくれたなら[ゲットしてくれたなら]、俺はお前にものすごく恩義を感じるだろう」という「仮定」のニュアンスが込められています。
ジョーイが would を使っているのは、「今、俺はお前にたくさんの借りがある」と言いたいのではなくて、「もし俺の頼みを聞いてくれたら、お前にたくさんの借りがあることになる」と言っているわけですね。

日本語で「恩に着る」という表現がありますが、これは広辞苑では「恩を受けたのをありがたく思う」と説明されています。
ジョーイが言いたいのもそういうことで、「もしオーディションを取ってきてくれたら、その恩をものすごくありがたく思うからさ」という感覚でしょう。それで上の訳では、「ものすごく恩に着るから」みたいに訳してみたわけです。

「そうしてくれたら、その恩は忘れないよ」みたいな意味で、ジョーイは「お前にいっぱい恩義を感じるよ、お前にたくさん借りができたと思うよ」と言ったのですが、チャンドラーはあきれたように、ジョーイの would の代わりに、owe を強調する do を加えて、「お前は(もうすでに今の段階で)俺にたくさんの借り・恩があるんだ」と指摘したのですね。
その借りを具体的に説明するために、「3,400ドル」という借りがすでにあるじゃないか、その金をお前は俺に返すことになってるんだぞ、と言いたいわけです。
そんな大金を俺に世話になっといて、まだ頼みごとをするつもり? さらには「そうしてくれたらものすごく恩に着る」だなんて、すでに俺にものすごい借りがあるのを忘れたのか?という気持ちから出た言葉でしょう。

そうやって、「お前は俺にすでにたくさんの借りがあるだろ」と説明しかけた時に、ジョーイが、「おいおい」と言って、「どうして話題を変えるんだ?」と怒っています。
Will you make the call or what? の Will you...? は「お前は…するつもりがあるのか?」みたいな、ちょっと挑戦的なニュアンスが感じられますね。
最後の or what? は、「〜か何か? それとも何だ?」みたいな感覚で、「電話する気があるのか、どうなんだ? まさか電話しないって言うつもりか?」みたいに食ってかかる感じでしょう。

チャンドラーは「ジョーイがチャンドラーに恩義を感じる」という話題に沿って、「ジョーイはチャンドラーにすでに大きな借りがある」という話をしたわけです。
つまり、まさにその話題をしていたのにもかかわらず、ジョーイは「お前は話題を変えるつもりか?」とプリプリ怒っている、その「状況をわかってない」具合が、ジョーイらしくて笑えるわけですね。
ジョーイとしては、オーディションを取ってきてくれるかどうかだけが問題で、「恩に着るからさ」と言ったのは、ただの「人にものを頼む時の決まり文句」程度の意識だったのでしょう。
その owe you so much という言い方にひっかかったチャンドラーが、「すでにお前は 3,400ドルも俺に借りてるのに…」とボヤいたところ、「今はオーディションの話をしてるのに、どうして金の貸し借りの話を持ち出す?!」みたいにジョーイが怒ったということです。
「まさにその恩義の話題をしてるんだろうが」と思いながらも、議論しても無駄だな、みたいなあきらめの表情で、「あぁ、わかった、やってみるよ」と言うチャンドラーにも笑えますね。


(今日のおまけ) 「レインマン」を見て気づいたことを3つほど…。

前回の記事で、映画「レインマン」について触れましたが、その映画を鑑賞している時に、過去に拙ブログで解説したことと「ちょっぴり関係ありそうなこと」を3つ発見しましたので、ご報告も兼ねて書かせていただきます。(あらすじに触れている部分もありますので、未見の方はご注意下さい。)

1. 「600万ドルの男」ならぬ「300万ドルの男」

兄レイモンドと弟チャーリーが、狭い電話ボックスに入っているシーンでのセリフ。
チャーリー: You know why there's a party for you? 'Cause you're the 3-million-dollar man. (どうしてレイモンドのためにパーティーがあるか知ってるか? それは、レイモンドが”300万ドルの男”だからだよ!)

二人の父が亡くなった時、チャーリーが受け取ったのは車とバラだけで、残りの遺産 300万ドルは、兄レイモンドの信託預金となってしまいます。
つまり、兄が父の遺産をほぼそっくり相続したことになるのですね。
そのことに腹を立てた弟チャーリーは、自閉症である兄の保護権を裁判所に申請し、その 300万ドルを手に入れようとしています。
弟に言わせると、レイモンドは「300万ドルの価値のある男」なので、「300万ドルの男」と言っているわけですが…。
この the 3-million-dollar man という言い方は、過去記事、600万ドルの男 フレンズ6-7その2 で取り上げた、海外ドラマ「600万ドルの男」(the Six Million Dollar Man)を意識した言い回しだと思います。
ただ「300万の価値がある男」という文字通りの意味だけではなく、有名なドラマのタイトルにひっかけて、あえてそういう言い方をした、ということだと思いました。
日本語字幕が「”300万ドルの男”を争う裁判だ」と引用符付きで表記されていたのも、それに似たタイトルをもじった言葉であることを示すためなのでしょうね。

2. カジノをしていたホテルは「シーザーズ・パレス」

レイモンドの数字の記憶の才能を使って一儲けしようと、チャーリーはレイモンドをラスベガスのカジノに連れて行きます。
DVD のチャプター・リストに「25. シーザーズ・パレス」と出ていたので気付いたのですが、そのホテル、シーザーズ・パレス(Caesars Palace)は、古代ローマがテーマのホテル フレンズ5-22その6 で、ジョーイがグラディエーターの恰好でバイトしていた、あのホテルですね。
さまざまな映画やドラマで使われている有名なホテルですが、「フレンズ」でも「レインマン」でも登場していたということです。

3. レイモンドが見ていた映画に「フレッド・アステアとジンジャー・ロジャース」が

止めたエレベーターの中で、スザンナがレイモンドとダンスを踊った後のシーン。
いつも持ち歩いているポータブルテレビをレイモンドが見ながら、
レイモンド : Fred Astaire and Ginger Rogers. (フレッド・アステアとジンジャー・ロジャース。)
スザンナ: Like us. (私たちみたい。)
レイモンド: Yeah, like us. (ああ、僕たちみたいだ。)

1つ前のエピソードである、フレンズ6-17その3 のコメント欄 で、チャンドラーがモニカに渡した音楽テープに入っていた The Way You Look Tonight という曲についてのコメントとして、
「映画「有頂天時代」(原題:Swing Time)で、フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースが The Way You Look Tonight に乗って踊るシーンがある」
ということを教えていただきました。
そこで名前が出ていたアステアとロジャースが、映画「レインマン」でも出てきた、ということです。
ネットで検索したところ、レイモンドが見ていた映画は「ブロードウェイのバークレー夫妻」(The Barkleys of Broadway)のようです。
フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースはゴールデンコンビとして、何作もの映画で共演しているので、レイモンドが見ていた映画は The Way You Look Tonight の「有頂天時代」ではありませんでしたが、その二人が躍っていたシーンなのは間違いありません。
「レインマン」でも、ダンスシーンの後に二人の名前が出てきたことから、やはり、アメリカ人にとっては、「ロマンティックなダンス」と言えば、この二人の名前が浮かぶ、ということなのかな、と思います。
少し前に話題に出てきたばかりだったので、タイムリーだと思って、ご紹介してみました。

…ということで、上に挙げた3つの件は、どれも、「直接、フレンズとレインマンを結びつけるもの」ではありません。
が、セリフで言及される有名なドラマのタイトル、ドラマの撮影でよく使われる場所、ダンスと言えば思い出す映画のシーンや俳優たち、ということですから、そういうことをちょこっとかじっておくのも、後々、何かの役に立つかなぁ、と。
そういう「ちょっとした知識」のあるなしで、作品をより楽しめるかどうかが決まるのかな、とも思いますし、私自身はそういういろんなことをひっくるめて、これからも英語学習を楽しんでいきたいなと思っています。


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Posted by Rach at 16:58  |Comments(0) | フレンズ シーズン6

2012年05月14日

突然ジョーイがレインマンに フレンズ6-18その2

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ニューヨーク大学(NYU)で特別講師として講義を行なっているロスは、「教師評価」の中で、ロスのことを、hottie (セクシーな人)だと言う生徒がいると自慢。
匿名なので残念ながら誰が書いたかわからないんだ…と言うロスに、
ジョーイ: Oh hey, do you still have their final exams? (なあ、ロスはまだ生徒たちの期末試験を持ってるか?)
ロス: Yeah. (ああ。)
ジョーイ: Oh, 'cause you can just match the evaluation to the exam with the same handwriting and boom, there's your admirer. (Ross is stunned.) (おぉ、だって、お前はただ同じ筆跡の試験とその評価をマッチ(一致)させることができるだろ、で、バーン![どうだ]、そこにお前の崇拝者がいるんだよ[崇拝者が見つかるんだよ]。 [ロスは驚く])
チャンドラー: A hot girl's at stake, and all of the sudden he's Rain Man. (セクシーな女の子がかかってると、突然、ジョーイはレインマンだな[レインマンになるんだな]。)

僕を褒めてくれたのが誰だかわからない、と残念そうに言うロスに、ジョーイは、「お前はまだ期末テスト(の答案)を持ってるか?」と尋ねています。
その後、その答案を利用して、書いた人を探し当てる方法をジョーイが説明していますね。
the same handwriting 「同じ手書き(文字)、筆跡」で、評価と試験答案をマッチさせることができる、と言って、and boom と言いながら、こぶしで手のひらを叩いて、there's your admirer と言います。
この boom は擬音語で、これまでのフレンズのセリフにも何度か出てきましたが、「ジャーン、ほらどうだ!」みたいな感覚が感じられます。
「そこに、お前の崇拝者がいる」というのは、筆跡で付き合わせをして、マッチするものが見つかったら、そこにあるその名前がお前のファンだ、マッチが完了したら、そこにほら、お前の崇拝者がいるんだよ、という感覚ですね。

それを見ていたチャンドラーは、あきれたように、Rain Man うんぬんのセリフを言っています。
a hot girl's at stake は、a hot girl is at stake ということで、at stake は「賭けられて、危機にひんして、問われて、懸かって」というようなニュアンスになります。
stake は元々、「賭け」のことで、stakes だと「(競馬などの)賭け金、賞金」という意味にもなります。また、stake には「利害関係」という意味もあります。
at stake は「賭けられて(いる)」というのが基本的な感覚で、そこから「危機にひんして、問われて」という意味にもなるのですね。

LAAD では、
be at stake : if something that you value very much is at stake, you will lose it if a plan or action is not successful
つまり、「人が非常に大事にしているものが at stake だとすると、もし計画や行動が不成功なら、それを失うことになる、ということ」。

今回のセリフだと、「セクシーな女の子のことがかかっていると」というニュアンスでしょう。

Rain Man は、ダスティン・ホフマン、トム・クルーズが出演していた、1988年の映画「レインマン」ですね。
これは邦題も「レインマン」なので、ピンときた方も多いかもしれません。

Wikipedia 日本語版: レインマン
Wikipedia 英語版: Rain Man

私も今回の記事を書くにあたり、この映画を見てみました。
(以下、未見の方には多少のネタバレになってしまいますのでご注意下さい。)
この映画は、ダスティン・ホフマン演じる自閉症(autistic)の兄レイモンドと、父の死後にその兄の存在を初めて知った、弟チャーリー(トム・クルーズ)とのお話です。
映画の中で、"Raymond has a problem communicating and learning. He can't even express himself or probably even understands his own emotions in a traditional way." と説明されていたように、レイモンドは人とのコミュニケーションや感情表現がうまくできない、という問題を抱えているのですが、記憶力や数字に関して、天才的な才能と能力を見せるシーンが、劇中、何度も出てきます。
電話帳を G の途中まで丸暗記したとか、落ちた爪楊枝の本数を瞬時に数えたとか、2,130の平方根を暗算で答えてみせる…というシーンもありました。
(ちなみに、「2,130 の平方根はいくつ?」という質問は、英語では、"Do you know how much the square root of 2,130 is?" となります。)

チャンドラーはそのレイモンドの天才的なイメージを持ち出して、「セクシーな女の子が関係するとなると、ジョーイは突然、レインマンみたいな天才になるんだよな」と言っているわけです。
普段のジョーイは、他の人が普通に気づくことにもすっと気付かないで、しばらく時間が経ってから、「あ〜あ、そうかぁ〜」みたいに遅れて反応することが多いですね。
それが、特にこういう女性関係の話になると、やたらと頭が回転するわけです。
そういう「ある限定された分野で、天才的な能力を発揮する」ジョーイの様子を、「普段は他人から見て理解不能な言動が多いけれど、自分の得意分野では素晴らしい才能を見せる」レイモンドになぞらえているわけですね。
all of the sudden he's a genius 「突然、彼は天才(になる)」に近い意味ではありますが、a genius の代わりに、Rain Man を使うことで、「得意分野においては、普段の言動からは想像できないような、天才的能力を発揮する」さまを表現できる、ということです。


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Posted by Rach at 17:14  |Comments(0) | フレンズ シーズン6

2012年05月11日

古生物学科のhottie フレンズ6-18その1

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シーズン6 第18話
The One Where Ross Dates A Student (ロスと教え子の禁じられた恋)
原題は「ロスが生徒とデートする話」


[Scene: Monica and Chandler's, Chandler, Rachel, and Joey are there as Ross enters.]
モニカとチャンドラーの部屋。チャンドラー、レイチェル、ジョーイがいて、ロスが入ってくる。
ロス: Hey! I just got uh, my teacher evaluations. Check out what this one student wrote. "I loved Dr. Geller's class. Mind-blowing lectures. Dr. Geller, you are definitely the hottie of the Paleontology Department." (やあ! ちょうど、自分の「教師評価」をもらったところなんだ。この生徒が書いてることを聞いてみて。「ゲラー先生(博士)のクラス、大好きでした。ぶっとんじゃうような(素晴らしい)講義。ゲラー先生、あなたは間違いなく、古生物学科の超セクシーな人[セクシーガイ]です。)
チャンドラー: Ahh, "Hotties of the Paleontology Department." There's a big-selling calendar, eh? (あー、「古生物学科のセクシーガイたち」。超売れてるカレンダー、あるよなぁ?)
レイチェル: Who wrote it? (誰がそれを書いたの?)
ロス: Oh, I wish I knew, but the evaluations are all anonymous. (あぁ、知りたいんだけど[わかるといいんだけど]、でも、評価は全部匿名なんだ。)

ロスは、my teacher evaluations をもらった、と言っています。
evaluation は「評価、査定」。
フレンズ6-4 で、ロスはニューヨーク大学(NYU)に特別講師として招かれ講義をすることになった…という場面が出ていましたが、彼はその後もそこで講義をしていて、生徒からの評価をまとめたものをもらった、という感じでしょう。

一人の生徒が書いたものを(読むから)聞いてくれ、みたいに言って、彼はその評価文を読み上げます。
I loved のように過去形になっているのは、学期が終わっての感想、だからでしょうね。
I loved you. みたいな過去形だと、「私はあなたを愛してたのに(今は愛していない)」のように、「今はそうじゃないけど、昔はそうだった」感が出ますが、ここでは別に「今は好きじゃない」と言っているわけではなく、上にも書いたように、「終わった学期の感想」だから、loved になっているだけ、ということです。
「(今学期の)ドクター・ゲラーの授業、私は大好きでした」という感じで、「ゲラー先生の授業、良かったです」と言っていることになります。

mind-blowing を文字通り訳すと、「心を爆発させる(ような)」という感じでしょうか?
意味としては、「幻覚を起こさせる、びっくりするような、ショッキングな」というニュアンスになります。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
mind-blowing [adjective] (informal) : very exciting, shocking, or strange
例) a mind-blowing experience

つまり、「非常にエキサイティング、ショッキング、奇妙である」。
例は、「非常にエキサイティングな経験」。

関連語として、something blows your mind というフレーズも示されているので、そちらも見てみると、

something blows your mind : (spoken) to make you feel very surprised and excited by something
例) Meeting her after so many years really blew my mind.

つまり、「何かによって、非常に驚いたり、興奮したりする気持ちにさせること」。
例文は、「長い年月の後で彼女に会ったことは、私を非常に驚かせた[興奮させた]」。

とにかく「心がぶったまげる(?)」みたいな感じのニュアンスなのでしょうね。
文脈によって、いろんな意味で解釈できそうですが、今回の場合は、「先生の授業、大好きでした」の後ですから、「すっごくエキサイティングな授業でした」と言っている感覚になるでしょう。
ロスの古生物学の授業はいかにも退屈そうな感じなのに(笑)、それを「ものすごくエキサイティング」なものであるかのように感想を述べている、そのギャップも楽しいですね。

賞賛の言葉はまだ続きます。
「ドクター・ゲラー、あなたは間違いなく、古生物学科の the hottie です」という感想ですが、hottie とは「セクシーな人」という意味のようですね。

英辞郎には、
hottie
【名-1】湯たんぽ
【名-2】強烈にセクシーな人


と出ています。(うーん、「湯たんぽ=ホッティー」というのは、なるほどという感じ…笑)

研究社 新英和中辞典では、
hottie, hotty 【名】《英》 =hot-water bottle

と出ており、「湯たんぽ」(hot-water bottle)の意味しか載っていませんでした。

英英辞典の LAAD や Macmillan Dictionary には、hottie という項目がなかったのですが、
Merriam-Webster には以下のように出ていました。

the Free Merriam-Webster Dictionary : hottie

hottie : a physically attractive person
Examples of HOTTIE
His girlfriend is a real hottie.

つまり、「身体的に魅力的な人」。例文は、「彼の恋人(彼女)は、実にセクシーな子だ」。

physically attractive というのは、sexually attractive ということですね。
実際、そこからリンクがはってある、Merriam-Webster LEARNER'S DICTIONARY では、
hottie [count] informal : a sexually attractive person
と定義されています。

内面が魅力的かどうかの話ではなくて、見た目の姿が(異性から見て)魅力的、という意味になります。
person とあることから、男性女性のどちらにも使えるようですね。
フレンズのセリフでは、ロスという男性のことを言っていますし、Merriam-Webster の例文では、彼女(女性)のことを言っていることからも、両方に使えることがわかります。

Merriam-Webster では、
First Known Use of HOTTIE
1990

とありますので、1990年頃に使われるようになった、比較的新しい言葉(当時の若者言葉)みたいですね。
大学生の書く評価文なので新しい言葉が使われているわけでしょう。

hottie という言葉を聞いて、さっそくチャンドラーが茶化しています。
"Hotties of the Paleontology Department." と言った後、there is 構文を使って、a big-selling calendar のことを言っていますね。
「よく売れてるカレンダーがある、よな?」みたいなニュアンスだと思われるので、売れ筋のカレンダーの中に、「古生物学科のセクシーガイたち」というようなタイトルのカレンダーがありそう、と言っているようです。
日本でも、「お天気お姉さんのカレンダー」(正式名称は「NHK気象予報士カレンダー」)があったりしますしねぇ。
そういう「カテゴリー分け」されたカレンダーのイメージで、「古生物学科の hottie たち」というカレンダーもありそうじゃん、と、ロスをからかっているわけでしょうね。

レイチェルが、「その文を書いたのは誰?」と尋ねるのですが、ロスは、I wish I knew, but... と言っています。
これは典型的な仮定法過去ですね。
実現不可能な願望を表し、「知っているといいんだけど、知ることができるといいんだけど(残念ながら知らない)」というニュアンスになります。
anonymous は「匿名の、無記名の」ですね。無記名アンケートなので誰が書いたかわからない、ということです。


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Posted by Rach at 16:52  |Comments(0) | フレンズ シーズン6

2012年05月09日

マイ・ファニー・バレンタイン フレンズ6-17その6

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チャンドラーとモニカが踊りながら聞いていた音楽テープには、ジャニスの声が入っていました。
「君のために俺が編集したんだ」と言ってチャンドラーがモニカにプレゼントしたはずのそのテープは「ジャニスがチャンドラーのために作ったもの」であったことが発覚してしまいます。
その後のシーン。
[Scene: Monica and Chandler's, Chandler is trying to explain himself to Monica.]
モニカとチャンドラーの部屋。チャンドラーはモニカに弁明している。
チャンドラー: I am so, so, so, so sorry! (ほんとにほんとにごめんよ。)
モニカ: (not buying it) Uh-huh. ([そのチャンドラーの意見を受け入れずに] ふーん。)
チャンドラー: And I will cook anything you want in here. (points to the kitchen) And do anything you want... in there! (Points to the bedroom.) (それに、俺は君の好きなものを何でも料理してあげるよ、ここで[台所を指差す]。それから、君の好きなことを何でもしてあげるよ、あそこで! [寝室を指差す])
モニカ: (pointing to the kitchen) Yeah, you will! (Points to the bedroom) And are you kiddin' me?! ([台所を指差して] ええ(もちろん)、そうしてもらうわ! [寝室を指差して] それから(そっちの件は)ご冗談でしょう?!)
チャンドラー: Come on, Monica, it's our Valentine's Day. Please? Please-please, please? (ねぇ、モニカ、俺たちのバレンタインデーなんだよ。お願いだよ、お願いお願い。)
モニカ: Okay. (わかったわ。)
チャンドラー: Okay. (They hug.) (よかった。 [二人はハグする])
音楽テープから、またジャニスの声が…。
ジャニスの声: (singing) My funny valentine, sweet comic valentine! You make me smile with my heart [or You make me high over my heart!] ([歌いながら]♪マイ・ファニー・バレンタイン[私の楽しいバレンタイン]、愛しのゆかいなバレンタイン! あなたは私を心から笑わせてくれる♪)
(Monica breaks the hug and starts for the bedroom.)
モニカはハグをやめ、寝室に向かう。
チャンドラー: So are we going in there? (それで、俺たちはそっち[寝室]に行くの?)
モニカ: I am!! (Enter her room and closes the door behind her.) ((私たちじゃなくて)私が行くの! [自分の部屋に入り、後ろ手にドアを閉める])
ジャニスの声: (singing) Your looks are laughable [or You're look for laughable...] (She does the now patented Janice laugh.) ([歌いながら] あなたの顔は笑えちゃうわ… [今や特許を得た例の”ジャニス笑い”をする])

最初のト書きの explain oneself to someone を直訳すると、「自分自身(のこと)を人に説明する」という感覚ですね。
「自分の考えや立場を明らかにする、弁明する」というニュアンスになるでしょう。
チャンドラーは「本当にごめん」とストレートに謝っているのですが、モニカの表情や態度からは、その謝罪を受け入れる様子は見えません。
ト書きの、not buying it の buy は「買う」の buy ですが、ここでは、「信じる、受け入れる」という意味で使われています。
まさに、チャンドラーの「ごめん」という謝罪を受け入れていない様子が、not buying it なのですね。

チャンドラーは「いいこと思いついた!」みたいな顔をして、I will cook... というセリフを言っています。
このセリフは、過去記事、望むものを何でも、こっちとあっちで フレンズ6-17その3 で、モニカが言ったセリフとほぼ同じですね。
「自分は手作りプレゼントのことを忘れていたのに、チャンドラーはちゃんとそれを用意してくれていた」ことに感動し、「こっち(台所)で好きなものを何でも作ってあげるし、あっち(寝室)で好きなことを何でもしてあげる」と言った、モニカの情熱的な(笑)セリフでした。

そのチャンドラーの嘘がバレてしまい、今度はチャンドラーが謝る番、埋め合わせをすべき番になったので、チャンドラーは「今度は俺が全く同じことを君にしてあげるよ、それで俺のやったことの埋め合わせをしたいんだ」という気持ちで、同じセリフを言ったのでしょう。
ここでもまた、台所や寝室という単語は使わずに、here と there を指差しながら言っているのも、「あの時と同じように、俺のことも許してね」みたいな気持ちが込められているように思います。

それに対するモニカの返答が面白いですね。
台所を指差して、Yeah, you will! と言っているのは、「台所で料理する件については、もちろん、あなたはそうする、あなたにはそうしてもらうわ!」という感覚。
そして、寝室を指差しての、And are you kiddin' me?! は、「そして(寝室の件については)、あなた私に冗談を言ってるの?」と言っていることになります。
「寝室で何でも好きなことをしてあげる、とかって…、今、あなたは私を怒らせてるのに、そんな状況であなたとエッチするわけないでしょう?」という気持ちから、「冗談言うのもいい加減にしてよ、あなた、ふざけてんの?」みたいなことを言っているわけですね。
そういう「気持ち」の部分はくどくどとは説明せず、「(台所の件は)当然そうしてもらいます! (寝室の件は)冗談はやめて!」みたいに、指差しに合わせて言っているのが、セリフとして非常に面白いなと思います。

今はあなたとそんな気持ちになれないわよ、みたいに言われたのですが、チャンドラーは何とかモニカの機嫌を直そうと頑張ります。
「今日は俺たちのバレンタインデーなんだよ。お願いだよ」と必死なチャンドラーに、しばらくの間があってから、モニカも、しょうがない、という感じで、Okay. と言います。
二人はハグし、これで仲直りできた…と思った時に、またもや(笑)テープから、ジャニスの声が聞こえてきます。(喧嘩の原因となったテープを、停止せずにずっと再生状態にしてたんかいっ!とツッコミたいところですが、そこはまぁ、コメディーということで…笑)

今度のジャニスの声は、ナレーション風のメッセージではなく、ジャニス自身が歌を歌っています。
この曲は、My Funny Valentine 「マイ・ファニー・バレンタイン(ヴァレンタイン)」ですね。

Wikipedia 日本語版: マイ・ファニー・ヴァレンタイン
Wikipedia 英語版: My Funny Valentine

ネットスクリプトには、ジャニスが歌っているその曲の歌詞がセリフとして書いてありますが、実際の My Funny Valentine の歌詞とは一部異なっている部分があります。
以下にそれを対比しておくと、

(ネットスクリプト)
You make me high over my heart
(実際の歌詞)
You make me smile with my heart

(ネットスクリプト)
You're look for laughable
(実際の歌詞)
Your looks are laughable

この曲の歌詞を知らない状態で、ジャニスの声だけを聴いていると、ネットスクリプトに書いてあるような音に聞こえる感じはするのですが、ジャニス独特のキツい発音のため、違う風に聞こえてしまうだけかもしれません。
私的には、別にジャニスは「替え歌」を作ろうとしたわけでもなく、通常の歌詞通りに歌っているけれども、音がやや不鮮明だったため、ネットスクリプトのディクテーションをした方が、聞こえた音から想像した歌詞を書いた、というのが、ネットスクリプトと実際の歌詞との違いの原因かな、と思っています。
なので、上のセリフでは、一応、その曲の本来の歌詞を書いた上で、カッコ書きで、ネットスクリプトの歌詞も合わせて記載しておきました。

この曲は、今や、ジャズのスタンダードになっていますが、元々は、Babes in Arms というミュージカルの曲だったようです。
ウィキペディア英語版の My Funny Valentine の History の項目では、歌について以下のように説明されています。

In the song, Billie pokes fun at some of Valentine's characteristics, but ultimately affirms that he makes her smile and that she doesn't want him to change.

訳させていただきますと、
「その曲の中で、ビリーはバレンタインの特徴のいくつかをからかうが、最終的には、彼(バレンタイン)が彼女(ビリー)を笑顔にしてくれること、そして、彼女は彼に変わって欲しくないと思っていることをはっきりと認めている。」

歌詞では、「あなたの顔は笑える」みたいな、一見ひどい表現が並んでいますが、これは、相手の欠点みたいなものをいくつかあげながらも、いつまでもそんなあなたのままでいて欲しい、というラブソングなんですねぇ。
相手を絶賛、賞賛する美辞麗句が並んだラブソングよりも、ある意味、よりロマンティックなのかもしれません。

ジャニスが「マイ・ファニー・バレンタイン」を歌うのを聞いたモニカはハグをやめ、一人寝室に向かいます。
何も言わずに歩いて行ってしまったモニカに、So are we going in there? とチャンドラーは尋ねています。
それに対して、I am!! と答えて、ドアをバタンと閉めるモニカに笑えますね。
これは、Are we...? 「俺たち二人が…するの?」と尋ねたことに対して、I am! 「(私たち二人じゃなくて)私ひとりがそうするの!」みたいに答えている形です。

チャンドラーとしては、いったんは仲直りできたので、仲直りがまだ有効なら、俺も一緒に寝室に入っていいのかな?と言ったわけです。
が、仲直りした後で、またジャニスの声が、それも今度は歌を歌っていて、さらにはそれが、My Funny Valentine だったので、モニカにしてみれば、仲直りしようという気持ちもどこかに吹っ飛んじゃった、という感じなのでしょう。
それで、we だなんてとんでもない、寝室に入るのは私だけ、私一人よ、と言う意味で、I am!! と叫び、ドアを閉めたわけですね。

ちなみに、My Funny Valentine という曲は、上でも説明したように、バレンタインという名前の男性(Valentine "Val" LaMar)に向けての歌であることから、元々、「バレンタインデーの歌」として誕生したわけではないと私は思っているのですが、やはり、Valentine という名前から、バレンタインデーに関連付けられる曲、バレンタインデーと言えば思い出す曲であるのは間違いないと思います。

シーズン1のバレンタインデーのエピソードである、フレンズ1-14(その4) では、
ジャニス: Hello, funny valentine! (はーい、楽しいバレンタインちゃん。)
チャンドラー: Hi, just Janice. (はーい、ただのジャニス。)
というやり取りもありました。
この funny valentine というフレーズも、やはり、My Funny Valentine という曲の歌詞を意識したものだと思えます。
このセリフでは、valentine のように小文字表記になっていますが、「バレンタインデーにカードを送る相手」という普通名詞の意味があるのですね。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
valentine [noun] [countable]
1. a card you send to someone on Valentine's Day
2. someone you love or think is attractive, that you send a card to on Valentine's Day
例) Be my valentine!

つまり、1. は、「バレンタインデーに誰かに送るカード」、2. は、「愛している、もしくは魅力的であると思っている人で、バレンタインデーにカードを送る人(相手)」。例文は、「僕のバレンタイン(恋人)になって!」

シーズン1のセリフで、チャンドラーを、funny valentine と呼んでいたわけですが、それがこのシーズン6では、My Funny Valentine をチャンドラーのために歌ってあげるジャニスの「声」が登場する、というのも、シリーズ物ならではの面白さだな、と思います。
そして、"Come on, Monica, it's our Valentine's Day. Please?" と、二人のバレンタインデーであることを必死に訴え、モニカの気持ちがほぐれたところに、ジャニスが歌う My Funny Valentine という「バレンタインデーを思い出させるラブソング」が聞こえてくる…という構成が、ちょっとベタすぎるかもしれませんが(笑)、コメディーの王道だと言える気もします。

最後のト書きの、She does the now patented Janice laugh. も面白いですね。
patented は「特許を得た、特許を受けた」ということなので、直訳すると、「ジャニスは、今や特許を取った”ジャニス笑い”をする」という感覚になるでしょう。
実際に、Janice laugh という名前で特許を取ったわけではないようですが(笑)、ジャニスの専売特許のようになっているあの独特で有名な笑い声が、テープに入っていることをト書きで表現しているわけですね。


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Posted by Rach at 16:14  |Comments(3) | フレンズ シーズン6

2012年05月07日

床に押さえつけて動けなくする フレンズ6-17その5

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護身術には「ウナギ」の極意が必要、などと適当なことを言っていたロスでしたが、レイチェルとフィービーを不意打ちしようとして、逆に押さえ込まれてしまいます。
そういうことがあってから、しばらく後のシーン。
[Scene: A women's self-defense class, the instructor is just finishing a class.]
女性の護身術の授業、インストラクターはちょうど授業を終わろうとしているところ。
インストラクター: Okay, ladies, that ends today's class. And let's remember, let's be safe out there. (よし、みんな、今ので今日の授業は終わり。それから覚えておいて、外では安全にね[気を付けてね]。)
(The women all clap and start to leave as Ross comes up to the instructor. Apparently he was hiding in the back.)
女性たちは全員拍手をし、部屋を出ようとする。その時、ロスがインストラクターに近づいてくる。どうやら彼は後ろに隠れていたようだ。
ロス: It's a great class. (素晴らしい授業でしたよ。)
インストラクター: Thanks. (ありがとう。)
ロス: Yeah, yeah, I was watching. (The instructor just nods and walks away.) Umm, hey, a couple of questions though. Umm, about that-that-that last move where the woman tripped you and then pinned you to the floor? What-what-what-what would you do next? (ほんと、ほんと、僕は見てたんですよ。[インストラクターはただうなずいて、歩き去る] あー、ねぇ、2、3、質問があるんですけど。うーんと、あの最後の動き、女性が君をつまずかせて、それから、君を床に押さえつけて動けないようにする、あの動きのことだけど。次はどうするのかな?)
インストラクター: Well, she would take the keys and try to jam them in your-- (そうだな、彼女は鍵を取り出して、それを押し込むだろうね、そいつ[犯人]の…)
ロス: No. No-no. No. What would YOU do next? (違う、違うよ。”君は”次にどうするの?)
インストラクター: Who? Me, the attacker? (誰だって? 俺、襲う[襲撃する]人間の方(ほう)?)
ロス: Yes, that's right. (そう、その通り。)
インストラクター: Why? (どうして(そんなことを聞くんだ)?)
ロス: I tried attacking two women. Did not work. (僕は2人の女性を襲おうとしたんだ。うまくいかなかった。)
インストラクター: What?! (何だって?)
ロス: No, I mean it's okay, I mean, they're-they're my friends. In fact, I-I-I was married to one of them. (いや、大丈夫なんだよ。だって、その二人は僕の友達なんだ。実際、僕はそのうちの一人と結婚してたんだよ。)
インストラクター: Let me get this straight, man, you attacked your ex-wife?! (ちょっとこのことを整理させてくれよ。君は自分の元妻を襲ったのか?)
ロス: Oh, no! No-no! No, I tried! But I couldn't. That's why I'm here. Maybe we could attack them together! (He glares at him.) That-that's a no. (ああ、違う、違うんだ。僕は襲おうとした(だけな)んだ。でも失敗した。だから僕はここにいるんだよ。多分、君と僕とが一緒なら、彼女たちを襲えると思うんだけどな! [インストラクターはロスをにらむ] それって、ダメだよね。)

インストラクターのセリフ、that ends today's class の end は「…を終える、…の終わりとなる」という他動詞。
最後に何かをやって、that 「それが、今のが」、今日の授業を終える、今日の授業の終わりとなる、なので、「今ので今日の授業は終わり、おしまい」という感覚になるのですね。

生徒たちが立ち去ろうとする中、ロスが手を叩きながら、軽やかなステップでインストラクターに近づいてきます。
great な授業だった、などとロスは言葉では褒めているのですが、インストラクターの方は、知らない男性が突然やってきて親しげに話しかけるので、あまり関わりたくないと思っている様子が伺えます。

そこでロスは、「2、3、質問があるんだけど」と言って、本題に入ろうとします。
about that last move where S+V は、「SがVする(という)あの最後の動きについて」という感覚。
where は関係副詞で、that last move の中で、SがVという行動をする、のように、that last move の内容を、後から詳しく説明していることになります。
ここでの trip は他動詞で「人をつまずかせる、転ばせる」。
pin は名詞だと「ピン、画びょう」で、それを他動詞として使うと、「…をピンで留める」ことから、「…を押さえつける、動けないようにする」という意味になります。
この場合は、「人を床に押さえつけて動けなくする」ということですね。
「人をピンで床に留める」というイメージからも想像しやすい動きだと言えるでしょう。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
pin : to make someone unable to move by putting a lot of pressure or weight on them
つまり、「多くの圧力や体重を上にかけることで、人を動くことができないようにすること」。

インストラクターが最後に示してみせた、「襲ってきた男性を転ばせて、床に押さえつける動作」についての質問なんだけど、と言ってから、次に you はどうするの?とロスは尋ねています。
インストラクターは、she would を使って、「襲われた女性は…するだろう」と説明しています。
jam は「詰め込む、押し込む」という動詞で、この場合は目的語が、in your-- で止まっているのではっきりとはわかりませんが、襲ってきた男の口や目(?!)などにキーを押しこんで、相手に痛い思いをさせ、ひるませる、みたいなことを言いたかった…のでしょうか?
ですがロスは、「違う違う」と言って、you というのは「君」のことだよ、と YOU を強調して、再度同じ質問をします。

このクラスはあくまで「女性の護身術」を習う授業なので、What would you do next? と尋ねた場合、護身術を行なっている女性が次に何をするのか?という質問だと受け取るのが普通ですね。
その場合の you は、一般の人を表す you で、そういう動きがあった後、「人は次にどう行動するか?」を尋ねているように聞こえるわけです。
それでインストラクターは、「男を押さえつけた後、その女性はこうする」と、女性の次の行動を説明したのですが、ロスは、you というのは、一般の人、このクラスで言うところの女性の受講者のことではなくて、「君自身」はその後、どうするの?と尋ねてるんだよ、と訂正しているということです。

そう言われて、「誰? 俺のこと? 襲う方の人間のこと?」とインストラクターは驚いています。
Why? と言っているのも、護身術のクラスなのに、襲う人間の次の行動を尋ねてどうするんだ? 何でそんなこと聞くんだ?という気持ちなのですね。

ロスは、「僕は2人の女性を襲おうとしたけど、うまくいかなかった」と言っています。
レイチェルとフィービーに「ウナギ」の極意を教えようと不意打ちしたけれど、逆に押さえつけられたことをそう説明しているので、確かに事実なのですが、その言葉だけを聞いたインストラクターにしてみれば、「女性を襲おうとして失敗した、だって?」と、「こいつは犯罪者、変質者なのか?」みたいな目で見てしまうのも無理のないところ。

相手が何か不審なものを感じていることに気づいたロスは、さらに詳しく事実を説明するのですが、「二人は友達で、一人は元妻」という内容だったので、「君は元妻を襲ったのか?」とまた驚かれてしまいます。
まるで、離婚後もストーカーのように付きまとう DV夫みたいに思われてしまったのですね。

attacked 「襲った」という過去形を使ったインストラクターに、ロスは、attacked じゃなくて、tried to attack 「襲おうとした」けど、I couldn't. 「できなかった、失敗した」んだと訂正しています。
インストラクターにしてみれば、襲ったという事実が実際に成功しようが失敗しようが、「元妻を襲おうとした男」のイメージは変わらないわけですが、ロスにしてみると、「実際に襲ったんじゃなくて、襲おうとしてそれがうまくいかなかった、と僕は言ってるんだよ」とあくまで「未遂」に終わったことを強調しているわけです。

That's why I'm here. は、That's the reason why I'm here. 「それが僕が(今)ここにいる理由だ」ということで、「襲おうとして失敗したから、どうすれば失敗しないで済むか、反撃することができるかを尋ねようとここに来たんだ」と言っていることになります。
護身術を教えている君なら、当然それを跳ね返す方法も知ってるんだろうから、とばかりに、「君と一緒なら、多分、彼女たちを襲うこともできそうだよね」と誘ってみるのですが、彼ににらまれて、「それって、ノー、ダメ、ってことだよね」とあきらめます。

このシーンは、ロスは確かに事実をそのまま述べているものの、事情を知らない人が聞くと、「こいつはどこまでアブないやつなんだ!?」とあきれかえってしまうようなことを言っている、という面白さにあるでしょう。
ロスが説明すればするほど、相手の不審感はどんどん高まっていく…という様子を、英語のセリフから感じ取っていただければと思います。


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Posted by Rach at 16:42  |Comments(0) | フレンズ シーズン6

2012年05月04日

今宵の君は、を入れたテープ フレンズ6-17その4

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[Scene: Monica and Chandler's, Monica is getting ready for Chandler's arrival. He enters and finds the place lit with candles and dinner on the table.]
モニカとチャンドラーの部屋。モニカはチャンドラーが帰宅するので(食事の)準備中。チャンドラーが部屋に入ると、その場所にはキャンドルが灯され、テーブルにはディナーが置いてある。
チャンドラー: Oh, my good God. (あぁ、なんてことだ。)
モニカ: Hey! Continuing the countdown of your favorite meals. Tonight, No. 3, macaroni and cheese with cut-up hot dogs. (はーい! あなたのお気に入りの食事のカウントダウンは継続中よ。今夜は、第3位、切り刻んだソーセージ入りのマカロニ&チーズよ。)
チャンドラー: Look, you have done enough! Okay? You have to stop this now. (ねぇ、君はもう十分してくれたよ、だろ? もうこんなことやめないといけないよ。)
モニカ: I will! But not tonight. For dinner music, I thought we could listen to that tape that you made me. (やめるわよ! でも今日はまだやめない。ディナーの音楽として、あなたが私に作ってくれた、あのテープを聞くことができるんじゃないか、って思ってたの。)
チャンドラー: Oh, the mixed tape. (あぁ、例の編集テープね。)
(Monica pushes play and The Way You Look Tonight starts to play.)
モニカはプレイボタンを押すと、The Way You Look Tonight が流れ始める。
モニカ: "The Way You Look Tonight" is on here! Dance with me? (ここに、The Way You Look Tonight が入ってるのね! 私と踊る?)
(He hesitates, then goes over to dance with her.)
チャンドラーは躊躇し、それから踊ろうとモニカのところに行く。
モニカ: You are just the sweetest. (They kiss.) (あなたって最高に素敵ね。[二人はキスする])
(Suddenly, a strange and familiar voice comes out of the tape player. Here's a hint, OH... MY... GAWD!! That's right, it's Janice!)
突然、奇妙で、また聞き覚えのある声がテーププレーヤーから聞こえてくる。これがヒント、オー、マイ、ゴッド! その通り、ジャニスだ!
ジャニス: I love the way you look every night, Chandler! (Monica breaks the kiss and Chandler freezes in terror.) That's why I made you this tape! Happy Birthday! Love, Janice! (毎晩のあなたの姿[様子]を愛してるわ、チャンドラー! [モニカはキスをやめ、チャンドラーは恐怖で凍りつく] だから私はあなたにこのテープを作ったの! お誕生日おめでとう! 愛してるわ、ジャニスより!)
チャンドラー: No! You're the sweetest! (He tries to kiss her but Monica backs away with a look that could kill on her face.) (いやいや! 君が最高に素敵だよ! [チャンドラーはモニカにキスしようとするが、モニカは殺しかねないような表情を顔に浮かべながら、後ずさりする]

チャンドラーが帰宅すると、部屋にはロマンティックなキャンドルが灯され、夕食の用意もされています。
モニカは、「あなたの好きな食事のカウンドダウンが続いてるのよ」と言いながら、今夜は第3位の、macaroni and cheese with cut-up hot dogs だと説明します。
cut up は「切り刻む」。
hot dog は日本語の「ホットドッグ」のように、パンにソーセージを挟んだものを想像しがちですが、その「パンにソーセージを挟んだもの」だけではなく、ソーセージそのものも、hot dog と言います。
今回は cut-up hot dogs なので、「小さく切り刻まれたソーセージ」を指しているわけです。

マカロニ&チーズは、フレンズ5-8その2 にも出てきたように、手軽に作れる料理の代表選手みたいなメニュー。
それに、切ったソーセージを加えただけなので、シェフであるモニカにしては、腕の振るい甲斐がないような料理なのですが、それを豪華な肉料理でも入っているかのようにものものしく、金属のドーム型の蓋をあけてジャジャーン!と見せているのに笑えます。そのギャップが面白い、って感じですね。

You have done enough. の完了形のニュアンスを出そうとすると、「君はもうこれまでに十分なことをしてきた」という感じになるでしょうか。
埋め合わせをすると言っていろいろとしてくれたけど、もう十分だから、もうこんなことはやめないといけない、やめてくれたらいいんだよ、と言っているわけですね。
自分の手作りではないものを、「君のために作ったテープだ」と言って渡したことが後ろめたくて、モニカが尽くしてくれればくれるほど、申し訳ない気持ちになっているわけです。

I will! But not tonight. は、「こういうことは(いつか近い将来)やめるわ、でも、今日はやめない[やめるのは今日じゃない]」という感覚。
そして、ディナーの音楽として、あなたが作ってくれたあのテープを聞くことができるかな、って思ってたの、と言います。

テープを再生すると、流れてきたのは、The Way You Look Tonight という曲。
Wikipedia 英語版: The Way You Look Tonight
を見ると、さまざまな人にカバーされているスタンダードだということがわかります。
邦題では「今宵の君は」というタイトルがつけられているようですね。

手作りのものが見つからず、寝室で見つけたカセットテープをとっさに手作りだと偽ってプレゼントした時、以下のようなやり取りがありました。
モニカ: Oh, what a great gift! Is "The Way You Look Tonight" on it? (まぁ、何て素敵なプレゼントなの! "The Way You Look Tonight" は入ってる?)
チャンドラー: (momentarily terrified) Maybe we'll have to listen and see! ([一瞬、怯えて] 多分、聞いてみたらわかるよ!)

モニカが、「このテープにその曲は入ってる?」と真っ先に尋ねた曲が入っていたので、モニカは感動しているわけです。と同時にチャンドラーも、「良かった、この曲、入ってて…」と安心しているだろうこともわかります。

ロマンティックなムードになって、二人はゆっくり踊り始めます。
You are just the sweetest. は、フレンズでよく出てくる、You're (so) sweet. の最上級の形で、「あなたってほんとに、最高に優しいのね、素敵ね」というニュアンス。
そんな感じでいい雰囲気になる二人ですが、次のト書きを読むと、笑ってしまいますね。
「奇妙で聞き覚えのある声がプレーヤーから聞こえてくる」という部分が、声が特徴のキャラ、ジャニスの説明として絶妙な感じ。

The Way You Look Tonight の曲の合間に、ナレーションのようにジャニスの声が入っており、「私は the way you look every night が好き、だから、"The Way You Look Tonight" というタイトルの、この曲をテープに入れたのよ」というようなメッセージが入っています。
改めてその曲のタイトル the way you look tonight を直訳してみると、「今夜、あなたがどのように見えているかという様子」みたいな感じになるでしょうか。
「今夜のあなたの様子、姿」みたいな意味なので、曲の邦題も「今宵の君は」と訳されているわけですね。
それと同じ感覚で、ジャニスは「今夜だけではなくて、毎晩のあなたの様子、あなたの姿を私は愛してる、だからこの曲を選んだの」と曲選択の理由を説明していることになります。

こういう the way は、ビリー・ジョエルの名曲、Just The Way You Are のニュアンスと同じですね。
この曲の邦題は「素顔のままで」ですが、原題のニュアンスが「君が今あるそのままの状態で」という感覚なので、そういう邦題になったわけです。
その「素顔のままで」の歌詞に、"I love you just the way you are" というフレーズがありますが、それは「そのままの君を愛している」ということになります。
the way you look や、the way you are などのフレーズは、そういう恋人同士でのロマンティックな会話によく登場するということですね。

「誕生日おめでとう、Love, Janice」というメッセージから、このテープはジャニスがチャンドラーの誕生日にプレゼントしたものであることも、モニカにバレてしまったわけです。
チャンドラーの手作りだと思って感激していたモニカは、真実を知って驚きあきれた顔をしています。
その様子に気づいたチャンドラーは、そのテープのナレーションなど聞かなかったかのように、さきほどの You are just the sweetest. と言ったモニカに返事する形で、「いや、(僕じゃなくて)最高に素敵なのは君だよ!」とごまかそうとするのですが、モニカは「もうだまされないわ」という怖い顔で、キスしようとするチャンドラーから逃げるように後ずさりするのにも笑えますね。

ジャニスの強烈キャラにはいつも笑ってしまいますが、絶妙なタイミングで登場した彼女の「声」だけでも、ここまでのインパクトを与えられるところに、見事にキャラ立ちしたジャニスというキャラの完成度(?)を見る気がして、面白いなと思いました。
こういうところが、シリーズものの醍醐味、というところですね。


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Posted by Rach at 08:43  |Comments(0) | フレンズ シーズン6

2012年05月01日

望むものを何でも、こっちとあっちで フレンズ6-17その3

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今年のバレンタインデー当日はモニカが忙しかったため、2週間遅れで祝うことにしたチャンドラーとモニカ。
それぞれが相手のために手作りの贈り物をする、と約束したのですが、チャンドラーはプレゼントを手作りすることができません。
二人の寝室で、適当なものを探していたチャンドラーは、a mixed tape (音楽や音声をミキシングした編集テープ)を発見し、それを手作りギフトとしてモニカに贈ることにします。
手作りカセットテープ(カセットテープ、って時代を感じさせますが…笑)に感動したモニカは、自分のプレゼントをチャンドラーに渡すのですが、
(He opens his present to find Phoebe's sock bunny from earlier.)
チャンドラーが自分へのプレゼントを開けると、先のシーンで出てきたフィービーの(手作り)靴下バニー(ソックスで作ったウサギ)であることがわかる。
チャンドラー: It's a sock bunny. (靴下バニーだ。)
モニカ: Yeah-yeah, remember how I call you bunny? (そう、そうよ、私があなたをバニーって呼ぶのを覚えてるでしょ?)
チャンドラー: Not really. (いや、あんまり。)
モニカ: Well, I did one time, and-and I want to start doing it more. See, that's what this is about. (そうねぇ、一度、そうした[あなたをそう呼んだ]わ、そして、もっとそうするように始めたいと思うの。ほら、これは、そういうことなのよ。)
チャンドラー: I see. Y'know umm, Phoebe makes sock bunnies. (わかったよ。ほら、うーんと、フィービーは靴下バニーを作るよね。)
モニカ: No! No, she doesn't. Uh Phoebe, what she makes- that's uh- they're sock rabbits. They are completely different-- Okay! Okay! Okay! I didn't make it! I'm sorry! I totally forgot about tonight and the fact that we're supposed to make the presents! (いいえ! いいえ、フィービーは作らないわ。あー、フィービー、彼女が作るのは、それは…靴下ラビットよ。それって全く違う…。わかった、わかった、わかった! 私はそれを作ってない。ごめんなさい! 今夜のことと、私たちがプレゼントを作ることになっていたって事実を、私はすっかり忘れてたの!)
チャンドラー: Oh, it's okay. I don't-- (ああ、いいんだよ、俺も…してないし…)
モニカ: No-no, it's not okay! It's not! I mean you were just.... You're so incredible! You went through all this time and effort to make this tape for me! Y'know I'm just gonna- I, I am gonna make this up to you! I will! I-I am going to cook anything you want in here (points to the kitchen), and I am going to do anything you want in there! (Points to the bedroom.) (いいえ、よくないわ! よくない! だって、あなたはただ… あなたってすごいわ! あなたはこんな時間と努力をかけて、私のためにこのテープを作ってくれたんだもん! ほら、私はあなたにこの埋め合わせをするわ! きっとよ! 私はあなたが望むものを何でも料理してあげるわ、こっちで[台所を指差す] そして、あなたが望むことを何でもしてあげるわ、そっちで[寝室を指差す]。)
チャンドラー: (thinking it over) Well, I did put a lot of thought into the tape. (They both run into the bedroom.) ([その件について思いを巡らせて] そうだな、そのテープのことはほんとにいろいろと考えたんだよなぁ。 [二人は寝室に走って入る])

部屋で偶然見つけた編集テープを「俺の手作りなんだ」とプレゼントしたチャンドラーでしたが、モニカからのプレゼントは、ソックスでできたウサギ(a sock bunny)。
これより前のシーンで、「何か手作りのものを持ってない?」と、チャンドラーがフレンズたちに相談していた時に、フィービーが見せていたのがこれと全く同じものでした。
だから、チャンドラーは、そのバニーを見て、唖然としているのですね。

モニカは自分の手作りだとごまかそうと必死で、「私があなたをバニーって呼ぶの、覚えてるでしょ?」と言います。
Not really. は「あんまり覚えてない、よく覚えてない」みたいなニュアンスで、完全否定ではありませんが、はっきり完全否定すると角が立つので、こんな風に軽く否定してみた、というところでしょう。
チャンドラーにバレているとも知らず、モニカはまだ、嘘を続けます。
I did one time. は、I called you bunny one time. 「私は過去に一度、あなたをバニーと呼んだ」という意味。
その後の文章を直訳すると、「あなたをもっとたくさんバニーと呼ぶことを始めたいと思っている」ということで、「過去に一度あなたをバニーと呼んだけど、これからはもっとそう呼びたいと思ってるの」という感じですね。
See, that's what this is about. の that は、直前のモニカ自身のセリフ、「あなたを過去にバニーと呼んで、これからもっとそう呼びたいと思っていること」を指します。
this は、チャンドラーへのプレゼントの靴下バニー、もしくは、「チャンドラーに靴下バニーをプレゼントすること」を指すでしょう。
日本語では、「ね、これはそういうことなのよ」と訳しましたが、それはつまり、「こんな風にあなたにバニーちゃんのプレゼントをあげたのは、あなたをこれからもっとバニーと呼びたいと思っているからなのよ」と言っていることになります。

ついにチャンドラーは、「フィービーが靴下バニーを作る」ことをモニカに告げます。
このセリフについては、makes という「現在形」が使われているのに注目すべきですね。
チャンドラーは、「モニカが作ったと主張している、その靴下バニーは、フィービーが作った(ものだ)」と言っているわけではありません。
目の前の靴下バニーの作者が誰かを言っているのではなくて、「フィービーが(フィービーも)、靴下バニーを作るんだ、作るよ」と言っているだけです。
いきなり、モニカのプレゼントを「それはフィービーの作ったもんだろ!? モニカは嘘をついてるんだろ?!」と否定するのではなく、「俺はフィービーがそれと同じような靴下バニーを作ることを知ってるんだけど」と先にやんわり伝えることで、「俺はそれがフィービー作だとわかってるんだけどな」と言外に示唆しているわけですね。
これまでのフレンズで何度も出てきたように、現在形は「習慣、習性」を表しますので、チャンドラーのセリフはあくまでも、「フィービーは靴下バニーを作る」という彼女が日常行う行為を語っているだけであって、決して、Phoebe made the sock bunny. 「フィービーが”その”靴下バニーを作った」と直接的にモニカの嘘を糾弾しているわけではない、ということです。

現在形を使ったチャンドラーに対して、モニカも現在形の否定文で、「フィービーは靴下バニーを作らないわ」と否定します。
その後も、「フィービーが作るのは靴下ラビットで、靴下バニーとは全然違うわよ…」みたいに、理由にならない理由を言っているところに、追い込まれてしまっている様子がよくわかりますね。
ついに意を決して、「私は靴下バニーを作っていない」と自分の手作りでないことをモニカは認め、「今夜のこと、プレゼントを手作りすることになってたこと、をすっかり忘れてたの!」と正直に謝ります。

チャンドラーも偶然部屋で見つけた音楽テープを「俺の手作り」と嘘をついて渡しただけなので、謝るモニカを見て、「いや、いいんだよ、俺もこのテープを作ってないんだ(I don't make this tape.)」と告白しようとしたのですが、I don't-- まで言ったところでモニカがセリフをかぶせてきて、「よくないわ! あなたはほんとに素晴らしいんだもの!」と言って、チャンドラーが自分のために手間をかけて音楽テープを編集してくれたことを賞賛します。

You went through all this time and effort to make this tape for me! の go through は「耐える、切り抜ける、終える」みたいな「やり遂げる」感覚ですね。
「私にこのテープを作るために、このすべての時間と努力をかけてやり遂げてくれた」みたいな感謝の気持ちです。
あなたは手間暇かけて私に手作りのプレゼントを作ってくれた、だから、(他人のプレゼントを使ってごまかそうとした)私にどうか埋め合わせをさせて、みたいにも言っています。

モニカは、I am going to 「私は…するつもりである」を使って、埋め合わせの内容を説明しています。
前半は、「あなたが欲しいものを何でも料理してあげる、ここで」と言って、here のところで台所を指差しています。
後半は、「あなたが(して)欲しいことを何でもしてあげる、あそこで」と言って、there のところで寝室を指差していますね。
シェフであるモニカが、「あなたの好きな料理を何でも作ってあげる」というのは、埋め合わせとしてまず想定される話ですが、in the kitchen の部分をあえて、in here と言って指で場所を示しているのがポイントですね。
同様に、後半では、「あなたの望むこと、何でもしてあげるわ、あっちでね」と寝室を指差すことで、「え? あっち、つまりベッドルームで何でも好きなことをしてくれるの?!」とチャンドラーが喜び、寝室とはっきり言うよりも「あそこで」と言う方が余計にエッチな雰囲気が増す、という効果があるわけです。
どちらも同じように、anything you want 「あなたが望むもの・ことを何でも」という表現が使われているのもポイントですね。
動詞は、cook と do のように異なってはいますが、場所に関しては、台所と寝室、という具体的な場所の単語は出さずに、here と there を指で示すことで、「こっちであなたの望むもの(を料理する)、あっちでもあなたの望むこと(をする)」と言っているところに、よりセリフとしての面白さが出ていることになるでしょう。

そのテープは自作じゃない、と告白しかけていたチャンドラーでしたが、「あっちで何でも望むことをしてあげる」と言われて、急に表情が変わるのも面白いです。
put thought into を直訳すると、「考え、思考を…に入れる、注入する」という感覚になるでしょうか。
今回は、put a lot of thought into ですから、「多くの考えを…に注入する」みたいな感じで、「…のことをいろいろとよく考えた、時間をかけて考えた」というニュアンスになるでしょう。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
put time/energy/work/enthusiasm etc. into something : to use a lot of time, energy etc. when you are doing an activitiy.
例) The kids have put a lot of energy into planning the trip.

つまり、「何かの活動をしている時に、多くの時間やエネルギーなどを使うこと」。
例文は、「その子供たちは、旅行の計画に多くのエネルギーを費やした」。

ロングマンの英文では、「時間、エネルギー、仕事、情熱」などが使われていますが、今回のチャンドラーのセリフでは、thought になっているので、「そのテープを作るのに、あれやこれやといっぱい悩んで考えたんだ」みたいなニュアンスで使っていることになります。

少し前にモニカが、You went through all this time and effort to make this tape for me! と言ってくれたことを、別の表現で言い変えた感じです。
I did put のように、強調のための did が入っていますので、put a lot of thought をさらに強調した感じで、「そのテープ作成に当たっては、ほんと、いろんなことを考えに考えたんだよ〜」と、自分がそのテープを作るのにどれだけの努力をしたか、ということを主張しているわけですね。

そのまま、寝室に走って行く二人に笑ってしまいますが、最初は「俺も自作じゃない」と言おうとしていたのに、モニカのセクシーなお誘いにつられて、「いやぁ、それを作るのには、随分苦労したんだよ」と、ころっと変わる様子をセリフから感じていただければと思います。


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Posted by Rach at 16:19  |Comments(4) | フレンズ シーズン6

2012年04月28日

ケトル・オブ・フィッシュ フレンズ6-17その2

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護身術のクラスを受講して、すっかり安心しているレイチェルとフィービーに対して、不意の攻撃にも対処できないと意味がない、と説くロス。
ロスは、空手には、日本語で言うところの「ウナギ」という概念があるんだ…と説明するのですが、「それってスシネタ、淡水魚のウナギのことでしょ?とバカにされてしまいます。
ロス: Y'know, fine, get attacked. I don't even care. (ほら、もういいよ。襲われなよ。僕は構わないし。)
フィービー: (deadpan) Come on, Ross, we're sorry. Please tell us what it is. ([無表情で] お願いよ、ロス。ごめんなさい。それ[ウナギ]が何なのかを、どうか話して。)
ロス: Unagi is a state of total awareness. Okay? Only by achieving true unagi can you be prepared for any danger that may befall you! (ウナギは、完全な認識した状態(完全な気づき、の状態)のことだ。いいかい? 真のウナギを獲得することによってのみ、降りかかるかもしれないどんな危険に対しても、心構えできるんだ。)
フィービー: You mean in case someone is trying to steal your bamboo sleeping mat or your kettle of fish? (つまり、誰かが、ござとか、魚料理の調理容器(or それとは全く別のもの)を盗もうとする場合に、ってこと?)
(Rachel laughs and Ross mocks her.)
レイチェルは笑い、ロスはレイチェルの笑い声をばかにしたように真似る。

ウナギという言葉を使ったせいで、スシネタでからかわれてしまったロスは、すっかりすねてしまい、Fine. 「(それなら別に)いいよ」と言って、Get attacked. とも言っています。
get attacked は、「攻撃される(という状態になる)」という感覚で、それを命令形として使うことで、「(攻撃されたけりゃ)攻撃されてなよ、攻撃されちゃえよ」みたいなニュアンスで使っているのですね。
I don't even care. は「僕は構いさえしない」ですから、「君らが誰かに攻撃されても、僕は別に構わないし、どうでもいいし」みたいな感じです。
僕がせっかく有用なアドバイスをしてあげようとしてるのに、それを聞こうとしないなら、簡単に攻撃されちゃうよ、そうなっても僕は知らないからね、みたいなニュアンスでしょう。

そういう投げやりな言葉を返しているロスが、見るからに機嫌を損ねてすねている様子なので、フィービーは、「ごめんなさい、お願いだから、そのウナギっていうのが何なのかを話してちょうだい」と言っています。
言葉ではそのように「丁寧なお願い」を言っているのですが、ただ、ト書きに deadpan とあるように、「無表情で」そう言っているので、彼女たちの本音としては、「別に聞きたくはないけど、しょうがないから形だけ聞いてあげるわ」という気持ちが入っていることもわかります。

フィービーたちの表情や態度から、「ウナギ」にそんなに興味がないのはミエミエなのですが、ロスは、少しの間があってから、「そうか、そんなに聞きたいなら教えてあげる」みたいに身を乗り出して話し始めます。
こういうところが、いかにもロスらしいですね。

ロスの説明によると、Unagi is a state of total awareness. だそうです(笑)。
aware は「…に気づいている、知っている、承知している」、その名詞形の awareness は「意識、認識、自覚、気づいていること」という感覚ですね。
完全に何かに気づき、知っている、という状態、みたいなニュアンスでしょう。
「何もかもわかっている状態」みたいな感覚ですね。

Only by achieving true unagi can you be prepared for... という文章について。
文頭の、only by doing は「…することによってのみ」という意味ですね。
その後の文章が、can you be prepared for という語順になっていますが、これは「倒置」のようです。

間違った方と友達になっちまった フレンズ6-13その2 で、
"Boy, did we make friends with the wrong sister." (なんてこった、俺たちは(姉妹のうち)間違った方と友達になっちまったよ。)
というセリフが出てきた時にも説明させていただきましたが、大西泰斗先生の ハートで感じる英文法(会話編) の「倒置の呼吸」で語られている「感情を乗せる倒置」に近いものかな、と思います。

今回のロスのセリフの場合は、「…することによって」という副詞句を前に出し、さらに後の文を倒置にすることで、「より強調のニュアンスを出している」ということかなぁ、と。
ロスはここで、「概念」の話をしているので、「通常とは違う形」を取ることで、もったいつけたような感じを出しつつ、その概念に重みや高尚さを感じさせようとしているのかな、という気がしました。

その倒置になっている部分について。
be prepared for は「…に対して準備・用意ができている、心構えができている」、befall は「(災い・災難などが)(人)に起こる、降りかかる」。
つまり、「自分に降りかかるかもしれないどんな危険にも準備可能となる、心構えができる」ということになります。

大真面目に「ウナギ」の概念を語るロスに、フィービーはまた、からかうようなセリフを言っています。
You mean in case someone is trying to... は、「つまり、あなたが言う危険、っていうのは、誰かが…しようとするような場合のこと?」という感覚。
誰かが何をしようとしているかの例として、 steal your bamboo sleeping mat or your kettle of fish というフレーズが続いています。
まずは前半の bamboo sleeping mat は、「竹の眠る(睡眠用)マット」なので、日本の「ござ」のイメージのようです。
「ござ」は、竹製ではないですが、「竹」と付けることで、日本風、和風のニュアンスがより出るからそう言っている、という気がします。

そして、後半の (your) kettle of fish について。
kettle は一般的には「ケトル、やかん」なので、直訳すると「魚のやかん」みたいな意味になるのですが…。
ちょっとここから話が長くなるのですが、実は、kettle of fish というイディオムが存在します。
先に簡単に(私なりの)結論を言っておくと、レイチェルはそういうイディオムがあるのを踏まえた上で、そのイディオムとちょっぴり「かけてみた」感覚で、文字通りの kettle of fish という意味で使っている、という気がします。

まずはイディオム kettle of fish の話から。
研究社 新英和中辞典には、以下の意味が載っています。

a different kettle of fish=《口語》 別問題、別の事柄
a pretty [fine, nice] kettle of fish=《口語》 困った事、いざこざ、紛糾 (注:pretty, fine, nice は反語)


LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
a different/another kettle of fish : (informal) used to say that a situation is very different from one that you have just mentioned

つまり、a different/another kettle of fish は、「(インフォーマル) 人がたった今言及したばかりのこととは、状況が非常に異なることを言うために用いられる」。

Macmillan Dictionary では、
a different kettle of fish : (INFORMAL) a situation or subject that is not related to the one you are talking about
例) Of course their economic policy is a different kettle of fish altogether.


つまり、「その人が話していることとは関係ない、状況または話題」。
例文は、「もちろん、彼らの経済政策は、全く関係ないことだ」。

そういう形で使われるイディオムがあると頭に隅に置いた状態で、今度は、kettle の意味をもう少し詳しく見てみます。
上にも書いたように、日本語となっている「ケトル」、つまり、「やかん」の意味があるのですが、それ以外にも、「鍋、釜」みたいな意味もあるようですね。

LAAD では、
kettle : a large pot, used especially for making soup
つまり、「大きな鍋、特にスープを作るのに使われる」。

Macmillan Dictionary では、
kettle : a metal container, usually with a cover, used for cooking
例) a fish kettle

つまり、「金属の容器で、たいていは蓋付きで、料理に使われる」。
例は「フィッシュ・ケトル」。

上のマクミランの例に、a kettle of fish とよく似たニュアンスの、a fish kettle が登場していますね。
英辞郎には、
fish kettle=長円形の魚鍋
と出ています。

Wikipedia 英語版: Kettle の Similar devices の項目に、以下の説明があります。

A fish kettle is a long slim metal cooking vessel with a tight fitting lid to enable cooking of whole large fish such as salmon.
つまり、「フィッシュ・ケトルは、サーモンのような大きな魚全体を料理するために、かたくフィットする蓋の付いた、長い金属の料理容器」。

実際、fish kettle で「Google 画像検索」をしてみると、そういう金属製の蓋付き容器の画像がたくさんヒットします。

ということで、a different kettle of fish 「(話している内容とは)全く別の事柄」というイディオムがあることと、a fish kettle という「サーモンなどを丸ごと一匹調理するための金属製蓋付き容器」が存在するという2つのことを頭に置いて、再度、フィービーのセリフを見てみます。

different という単語はついていないものの、a kettle of fish が、a different kettle of fish の形でよく使われることを考えると、聞いた瞬間にそういうイディオムを頭に浮かべることを想定して、steal your bamboo sleeping mat or another stuff of yours 「あなたのござ、またはそれとは全く別のもの」という感じで使っている可能性もあるのかなぁ、と。
そして、そのイディオムには fish という言葉が使われているので、a kettle of fish と同じイメージの a fish kettle はそういう「サーモンなどを丸ごと調理するための料理器具」なので、そこでまた「魚ネタ」を出して、ロスをからかっている、ということなのかなぁ、と思ったのですね。

もしかすると、a (different) kettle of fish というイディオムはここでは全く関係なく、純粋に「魚用調理器具」の話をしているだけなのかもしれません。
ただ、どの辞書にもそのイディオムが載っていることから、ネイティブにはおなじみのフレーズだと言うことで、多少はそのイディオムの意味も「乗っけて」使っているような気が個人的にはするわけです。

イディオムの意味もかけている、込めているのかどうかは確信は持てませんが、いずれにしろ、「降りかかるかもしれないいかなる危険でも対処できる」みたいに大袈裟に言ったロスに対して、「その危険ってのは、(日本製の)ござを盗まれる、とか、魚の調理器具を盗まれるとか、そういう危険なのかしらねぇ」と言ってみせることで、「日本」「魚」をことさら強調し、「日本産の魚であるウナギ」ネタで、ロスが言う「ウナギ」という概念をここでもまたバカにしている、ということなんだと思いました。

また、仮にそのイディオムは今回のセリフに関係なかったとしても、英和にも英英にも載っている、a different kettle of fish というイディオムをこのタイミングで覚えておくことも、英語学習においては無駄ではない、という気がします(ので、しつこく説明させていただきました…笑)。


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Posted by Rach at 11:27  |Comments(4) | フレンズ シーズン6

2012年04月25日

来るとわかっている攻撃から身を守る フレンズ6-17その1

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シーズン6 第17話
The One With Unagi (バレンタインは手作りギフトで)
原題は「ウナギの話」


セントラルパークに、レイチェルとフィービーが帰ってきます。
護身術のクラスを受講してきたところで、これでもう不審者が襲いかかって来ても大丈夫、と自信満々の二人に、
ロス: Well, of course you can defend yourself from an attack you know is coming. That's not enough. Look, I studied kara-tay for a long time. And there's a concept you should really be familiar with. It's what the Japanese call (he holds two fingers up to his temple, and he does this every time he says this word) unagi. (そうだな、もちろん、来るとわかっている攻撃から自分の身を守ることはできるだろうね。(でも)それでは十分じゃない。ほら、僕は空手を長い間習ってただろ。それで、(空手には)知っておくべきある概念があるんだ。それは、日本人が言うところの… [ロスは2本の指を自分のこめかみに当てる、そして、ロスはこの言葉を言うたびに毎回こうする(このしぐさをする)] ウナギだ。)
レイチェル: Isn't that a kind of sushi? (それって、スシの種類じゃないの?)
ロス: No, it's a concept! (違うよ、概念なんだ!)
フィービー: Yeah it is! It is! It's freshwater eel! (そうよ(スシの種類よ)! 淡水魚の eel (ウナギ)だわ。)
ロス: All right, maybe it means that too. (わかったよ、多分、そういう意味もあるだろうけど。)
レイチェル: Ohh! I would kill for a salmon skin roll right now. (ああ! 今すぐ、サーモン・スキン・ロールをものすごく食べたいわ。)

護身術を学んだのでもうバッチリ!みたいに言う二人に、ロスは、of course you can defend yourself from an attack you know is coming と言っています。
an attack you know is coming は「これから来るだろうということがわかっている攻撃」というニュアンスですね。
来るとわかっている攻撃から身を守ることは当然できるけどね、ということで、その後、「それでは十分ではない」と言っていることから、不意の攻撃、思いがけない攻撃にも対処できないと意味がない、とロスが言いたいことがわかります。

ロスは「空手を長い間、習っていた」と言っていますね。
前のエピソード、6-15, 6-16 でも、ロスの空手の話が出てきましたが、その時と同じように、「カラーテイ」と発音しているので、ネットスクリプトも前回と同様に、kara-tay という表記になっています(普通は、karate という綴りになります)。

そして、君が be familiar with すべきコンセプト・概念がある、と言っていますね。
familiar with は「…をよく知っている、熟知している」なので、「よく知っておくべき概念がある」ということになります。
その次のセリフは、ロスのしぐさを表すト書きが長い文章で挿入されているのでわかりにくいですが、セリフそのものは、It's what the Japanese call unagi. となっています。
call は、「call+目的語+補語」の形を取った場合、「(目的語)を(補語)と呼ぶ、称する」という意味になりますね。
このロスのセリフでは、the Japanese call something unagi 「日本人が(…を)ウナギと呼ぶ」の目的語(この例では something に当たる部分)が、what として前に出た形になっており、what the Japanese call unagi は、「日本人がウナギと呼ぶもの」という意味になります。
知っておくべき概念がある、と言っておいて、その概念とは何かというと、「日本人がウナギと呼んでいるもの」だと説明しているのですね。

ウナギ、と言う時に、ト書きの説明にあるように、ロスは人差し指と中指を揃えてこめかみに当て、ちょっとひねってみせています。
そういうしぐさをすることで、何か高尚な概念の言葉っぽく見せようとしている感じですね。

ウナギという言葉を聞いたレイチェルは、それは a kind of sushi じゃないの?と聞き返しています。
アメリカでもすっかりポピュラーになった、スシ(寿司)の1つの種類じゃないの? スシネタじゃないの?ということですね。
「ウナギって、スシネタの名前じゃない」と言われたので、ロスは「違うよ、概念だよ」と必死に否定するのですが、フィービーにまで、「ウナギって、freshwater eel よ!」と言われてしまいます。
freshwater は「淡水の、淡水産の」、eel はまさに「ウナギ」という意味の英単語です。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
eel : BIOLOGY a long thin fish that looks like a snake and can be eaten
つまり、「ヘビのように見える長くて細い魚で、食べられる(食用可能)」。

ちなみに、一昨日の 4/23(月)の日経新聞夕刊の1面に、
「海外産ウナギ 新顔続々」「天然 NYから空輸」
という見出しが出ていました。
養殖用のシラスウナギの不漁により、ウナギの価格が高騰している、というニュースを最近よく耳にしますが、そのために、海外産のウナギを輸入する動きが起こっている、という話題です。
記事の中でも、「週に1度ニューヨークから空輸され、生きたまま樽に入れられた米国産ウナギ」のように言及されています。
ちょうど、今回、「ウナギの話」のエピソードを取り上げる時期に、米国産ウナギの話が新聞記事に出ていたのが、何だかとてもタイムリーだな、と思って嬉しかったので、ちょっと紹介してみました(笑)。

ロスは日本の空手という武術の概念の名前を言う時に、とっさに知っている日本語を口にしたのでしょうが、「それってスシよね、魚よね」とツッコミを入れられてしまい、「まぁ、そういう魚の意味もあるけどさ」と言わざるを得ません。
さらには、ウナギという名前から、スシを思い出したレイチェルが、「サーモン・スキン・ロール」という別のスシの名前を挙げてからかっています。

kill for は「…のためなら何でもする」というニュアンス。
オンライン辞書の、The Free Dictionary では、
kill for something
Sl. to be willing to go to extremes to get something that one really wants or needs. (An exaggeration.)
例) I could kill for a cold beer.

つまり、「スラング。人が本当に欲しい、必要だと思う何かをゲットするために、極端なことをするつもりがあること。誇張表現」。
例文は、「冷たいビールのためなら何でもする、冷たいビールがすっごく欲しい」。

「…のためなら何でもする」なので、「…が、ものすごく欲しい」というニュアンスとしても使われるわけですね。

フレンズ3-21その2 にも、
モニカ: I mean I would kill for this job. (この仕事のためならどんなことでもするわ。)
というセリフが出てきました。

ということで、ロスがウナギの名前を出したので、「ウナギで思い出したけど、私はスシのサーモン・スキン・ロールを、今、超〜食べたい気分!」と言って、引き続きスシネタでからかっている、ということですね。


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Posted by Rach at 18:00  |Comments(0) | フレンズ シーズン6

2012年04月23日

翌朝、友達の君がそばにいた フレンズ6-16その6

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少し前の記事、フレンズ6-16その3 で、「もしもの世界」のチャンドラーとモニカの間で「エッチをする、しない」のやり取りがあった後、結局、二人は一晩を共にすることになります。
お互い、相性がいいと思ったようですが(笑)、その後、「また今晩もどう?」と誘ってきたチャンドラーに、モニカは「今晩はロジャーが来るの。もう初体験をチャンドラーと経験済みだから、ロジャーとの初エッチも緊張しないわ」と、ロジャーとのエッチを楽しみにしている様子。
そのしばらく後のシーン。
[Scene: Monica and Phoebe's, Monica is blowing out a candle as Chandler enters.]
モニカとフィービーの部屋。モニカがキャンドルを吹き消している時に、チャンドラーが入ってくる。
チャンドラー: (sticking his head in the door) Okay to come in? ([ドアに頭を突き出して] 入ってもいい?)
モニカ: Yeah, come in, eat, whatever you want. Dr. Roger got beeped again. (ええ、入って、食べて、何でもあなたが好きなものを。ドクター・ロジャー[ロジャー先生]は、またポケベルで呼び出されたわ。)
チャンドラー: Yeah, I know. Guess who beeped him? (あぁ、知ってるよ。彼をポケベルで呼び出したのは誰だと思う?)
モニカ: What? (何ですって?)
チャンドラー: I'm the ruptured spleen. (Laughs.) (俺がその脾臓破裂(の患者)なんだ。 [笑う])
モニカ: Why would you do that? (どうしてそんなことしたりしたの?)
チャンドラー: Because you shouldn't be with him. (Pause.) You should be with me. (だって、君は彼といるべきじゃないから。[少しの間] 君は俺といるべきなんだよ。)
モニカ: Really? (ほんとに?)
チャンドラー: Yeah! When you were talking about Roger, that was killing me. Look, things like last night they don't just happen. Y'know? Or at least not to me. Or with the other two women, in the morning y'know I was just lying there and I couldn't wait to just go hang out with my friends, but with you... I was, y'know, already with a friend. (そうだよ! 君がロジャーのことを話している時、俺は死ぬほど苦しかった。ねぇ、昨日の晩のようなことって、ただ起こったんじゃないんだよ。だろ? もしくは少なくとも俺にはそうじゃなかった。他の2人の女性と一緒だった時は、その朝、俺はただそこに寝転んで、自分の友達と遊びに行きたくてたまらなかった。でも、君との時は、俺は、ほら、すでに友達といたんだよ。)
モニカ: Chandler! ([感動したように] チャンドラー!)

チャンドラーがひょこっと頭を出し、「入ってもいい?」と聞くので、モニカは「どうぞ入って、好きなものを何でも食べて」と言います。
beep は過去のフレンズに何度も出てきましたが、「ポケベルで人を呼び出す」という動詞。
ですから、Dr. Roger got beeped again. は、「ドクター・ロジャーは、またポケベルで呼び出された」という意味になります。
モニカとロジャーは現在、お付き合い中、ということなので、いつもは Roger と呼んでいるのですが、このようにわざわざ Dr. をつけたのは、「お医者様であるロジャー先生」みたいなニュアンスを込めているのでしょう。
医者である彼は忙しく、すぐに病院から呼び出しを受ける、それでいつもデートが中断されるのを残念に思うモニカが、「彼はお医者様だから、また呼び出されちゃった」という感覚で、Dr. をわざと付けた、ということになるでしょう。

「ロジャーのために用意した料理も無駄になっちゃったから、チャンドラーが好きなものを食べてくれていいわ」と説明したわけですが、チャンドラーは驚く様子もなく、「ああ、ロジャーが呼び出されたのは知ってるよ。誰が彼のポケベルを鳴らしたと思う?」と返します。
それを聞いて、観客から、歓声やざわめきが起こっていますね。
直後にチャンドラー自身のセリフからもわかるように、その呼び出しは、本当の病院からのものではなく、それを騙(かた)ったチャンドラーがしたことだった、とわかったからですね。

spleen は「脾臓(ひぞう)」、rupture は「破裂させる、破る、裂く」という動詞なので、ruptured spleen は「破裂させられた脾臓」、すなわち、「脾臓破裂」になります。

「どうして嘘のポケベルでロジャーを呼び出したりしたの?」と尋ねるモニカに、チャンドラーは自分の正直な気持ちとして、「君はロジャーといるべきじゃない。俺といるべきだ」と言います。

When you were talking about Roger, that was killing me. について。
kill は「殺す」ですが、この場合は「(死ぬほどの)ひどい苦痛を与える、苦しめる」という感覚ですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
kill : ANNOYED/SAD [transitive] (informal) to make someone feel extremely unhappy, tired, angy etc.
つまり、「人を非常に不幸にする、疲れさせる、怒らせること」。

LAAD の語義では、extremely unhappy にする、という感覚が、今回のセリフに一番近いと思います。
「君がロジャーのことを話している時、そのことが俺を死ぬほど苦しめていた、俺は不幸のどん底だった」みたいなことですね。

チャンドラーは、「昨日の夜のようなこと」、つまり、「モニカと自分がエッチした夜のこと」は、ただそういうことが起こった、ってだけじゃないんだ、みたいに言っています。
その後、「少なくとも俺にとっては、”ただ起こっただけのこと”じゃない」と言い変えていますね。
何となく流れでそうなっただけのささいな出来事じゃなくて、もっと意味のあることだったんだ、みたいなことです。

チャンドラーは、with the other two women, in the morning と言って、「俺が経験した他の2人の女性と一緒の時の朝には」みたいに話を続けています。
the other two women のところで、モニカが「ん?」みたいな顔をしていますが、それは「俺が過去に経験した女性は3人」と以前は言っていたのに、それがさりげなく(笑)「2人」に減っているからですね。
過去記事、フレンズ6-16その3 では、最初は「4人」と言っていたのに、それを「3人」と訂正した、というやり取りがありました。
今回はそれが「2人」になり…とだんだん減ってきているのに笑ってしまう、ということです。
今は2人となってしまった(笑)、過去の女性とエッチした翌朝の話として、チャンドラーは、「俺はそこ(ベッドの上)にただ横たわって・寝転んで、友達と遊びに行くのが待ちきれなかった」と説明しています。
can't wait to は「…するのを待つことができない」なので「…するのが待ち遠しい、待ちきれない、早く…したい」という意味になるんでしたね。

「でも君とは…」と対比の形を取って、「君と迎えた朝は、僕はすでに(君という)友達と一緒にいたんだ」と言っています。
昔の俺は、女性と寝た翌朝、すぐに友達と遊びに行きたくなったけれど、モニカの場合は、友達と遊びに行きたいって思わなくて済む、だって「ガールフレンド、かつ、友達」であるモニカがすでに俺と一緒にいるんだもん、ということですね。
友達から恋人に発展したカップルとして、こんな風に相手が思ってくれているのは最高!な気がします。
シーズン6の現実の話で、深い絆で結ばれたカップルとなっている二人なので、こういう「もしもの世界」において、こんなセリフが登場しても、それを観客もすんなり受け入れられるのかな、と思います。

正直な気持ちを言ってくれたチャンドラーに感動して、モニカは自分から抱きつき、キスをするのですが、その後にこんなセリフも出てきます。

モニカ: There was just one woman, wasn't there? ((過去に経験したのって)1人の女性だけだったんでしょ?)
チャンドラー: No, there were two. (違うよ、2人いたよ。)
モニカ: Including me? (私も含めて?)
チャンドラー: Oh yeah. (ああ、そうだ。)

「最初の話からどんどん数が減っていって、さっきは「2人」って言ってたけど、本当はたった1人いただけじゃないの?」とモニカは尋ねています。
チャンドラーは、「いや、2人いたよ」と、それを否定していますね。
モニカはさらに、「2人、っていうのは、私も含めて2人ってこと?」と問い返し、ついにはチャンドラーもそれを認めることになります。
結局、「今夜が初めての夜になるの」というモニカの発言にえらく驚いていたチャンドラーでしたが、結局チャンドラーも、過去に経験した女性は1人だけだった、お互い、数はそんなに変わらない似た者同士だった、ということがここでわかるわけですね。
そういうことも含め、何とも微笑ましいシーンだと思いました。


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Posted by Rach at 16:36  |Comments(0) | フレンズ シーズン6

2012年04月20日

それを見るたびに思い出して フレンズ6-16その5

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前回からの続きです。
「私は既婚者でありながら、ジョーイと関係を持つためにこの部屋にやってきた…」と自己嫌悪に陥っているレイチェル。
ジョーイは、ドラマに登場した指輪のことを話した後、
ジョーイ: Wow! Uh okay, well uh... (He gets up, opens a drawer, and pulls out the ring.) (わぉ! いいや、それで、その… [ジョーイは立ち上がり、引き出しを開け、指輪を取り出す])
レイチェル: (seeing the ring and gasping) Oh, my God! They let you keep that stuff?! ([その指輪を見て息を呑み] なんてこと! スタッフはそんなものをあなたに持たせてるの?)
ジョーイ: Sure! As long as they don't find out, you can keep whatever you want! And I want you to have it. (もちろん! 彼らが気付かない限りは、欲しいものを何でも持っとけるんだ! それで、俺はそれを君に持ってて欲しい。)
レイチェル: No! No-no-no... (だめよ! だめだめだめ…。)
ジョーイ: Yes! Yes!! And every time you look at it, I want you to remember that you are a good person. Okay, now, you had the chance to cheat, and with me. But you didn't. And that's what this ring stands for. (いいんだよ! いいんだ! そして君がそれを見るたびに、君に思い出して欲しいんだ。君はいい人間だってことを。いいか、ほら、君には浮気をするチャンスがあった、それも俺とだぜ。でも君は(浮気)しなかった。そしてそのことを、この指輪が象徴してるんだ。)
レイチェル: But I thought that ring stood for Capri's undying love for her brother. (でもその指輪はカプリの、兄への不滅の愛を象徴するものだと思ってたけど。)
ジョーイ: Look, you want the ring or not?! (なぁ、その指輪を欲しいの、それとも欲しくないの?)
レイチェル: Yeah! (欲しいわ!)

指輪の話をした後、ジョーイは引き出しからその指輪を出してきます。
They let you keep that stuff?! の they は、番組制作者、スタッフを指すでしょう。
本来の管理者である彼らが、あなたにそれを keep させている、つまり「あなたにそれを持たせている」の?と驚いた顔で尋ねていますね。
keep は「(ものを)(ずっと)持っている、持っておく」という意味ですね。
「君がこれを持っとけよ」と何かを手渡す時に、Keep it. と言いますし、「おつりは取っといて」とチップ代わりに渡す時には、Keep the change. と言いますよね。

ジョーイは Sure! 「そうさ!」と言いながら、「彼らが気付かない限りは、なんでも好きなものを持っておける・取っておけるんだ」と言っています。
そのセリフから、実際には、「スタッフがジョーイにその指輪を持たせている(持つことを許している)」のではなくて、「ジョーイがこっそり黙って指輪を持ち去って、今のところ誰も気付いてないだけ」なのだということがわかります。
as long as は「…である限りは、…であるならば」ですから、後に否定文が続けば「…しない限りは、…でないならば」ということになりますね。
you can keep whatever you want の you は、これまでのフレンズに何度も出てきた、「一般の人を表し、回り回って自分をも示す you 」です。
「スタッフに知られることがなければ、君も、誰でも、もちろん俺も、好きなものを取っておくことができる」という感覚になります。
I can keep whatever I want だと自分の場合だけを言っている感じに聞こえますが、一般の人を表す you を使うことで、相手に共感を持って聞いてもらうことができる、という効果があるわけです。

ジョーイは、I want you to have it. と言って指輪を手渡そうとします。
つまり、I want you to keep it. ということですね。
every time you look at it, I want you to remember that... は「君がそれを見るたびに、…だということを君に思い出してほしい」。
恋人同士の会話でも使えそうな便利なフレーズだと思います。

You had the chance to cheat, and with me. But you didn't. というセリフが面白いですね。
cheat はここでは「浮気する」という意味で、「君は浮気するチャンスがあった、それも俺と。でも君は(浮気を)しなかった」と言っていることになります。
「浮気するチャンスや可能性もあったのに、君はそれをこらえた、だから君はひどい人間なんかじゃない、いい人間なんだよ」と言っているわけですが、and with me には「浮気のチャンスがあった、それも”この俺様”との浮気だぜ」みたいなニュアンスが感じられますよね。
「有名俳優の俺、こんなにイイ男の俺との浮気のチャンスがあったのに誘惑に負けなかった君は、a good person なんだよ」と言っているのが、プレイボーイのジョーイらしいセリフで笑ってしまいました。

stand for は「…を表す、…を象徴する」。
that's what this ring stands for の that は、その前にジョーイが言った内容「君は俺との浮気のチャンスがあったのに浮気しなかった」ことを表していて、「それが、この指輪が象徴することだ」という意味になります。
この指輪が、「君が俺と浮気しなかったこと、君はいい人間だってこと」を象徴してるんだよ、ということですね。
ジョーイにしては、なかなかシャレたことを言っているのですが(笑)、番組のファンであるレイチェルは、「でもその指輪は、カプリの兄への不滅の愛を象徴するものだと思ってた」と言います。
undying は前回の記事に出てきた dying に否定の接頭辞 un- がついたもので、「不死の、不滅の、永遠の」という意味になります。
ですから、undying love は「死なない愛、不滅の愛、永遠の愛」ということですね。
カプリが自分の兄に誓った永遠の愛、指輪はそれを象徴してたんじゃなかったっけ?と、番組のファンであるレイチェルは、ストーリーを思い出しながら言ったわけです。
ジョーイは「カプリが俺にその指輪を渡した」と言っていましたので、恐らく、カプリは(ジョーイ演じる)兄のドクター・ラモレーに「あなたへの永遠の愛を誓うわ」と言いながら死んでいった…というようなストーリーであっただろうことも想像できます。
いかにもソープオペラにありそうな設定で、クスっと笑ってしまえる感じですね。

ジョーイとしては、落ち込むレイチェルを励まそうと、「これを見て自分が浮気しなかったことを思い出してくれ」と言いながら指輪を渡そうとしているのに、レイチェルが「でもこれは、カプリの愛の証でしょ?」などと、いかにもファン的なツッコミを入れてくるので、いらいらしたように、You want the ring or not?! と問うています。
「で、その指輪をいるのかいらないのか? ごちゃごちゃ言ってないで受け取ったらどうだ」という感じで、レイチェルも慌てて受け取ることにします。
この一連のシーンでは、ソープオペラの人気俳優っぽい言動のジョーイと、昼メロファンの典型みたいな主婦レイチェルという、「もしもの世界では、ほんとにこうだったかも」と思えるようなやり取りが、ファンとしてとても楽しいと思いました。


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Posted by Rach at 16:34  |Comments(2) | フレンズ シーズン6

2012年04月18日

彼女が瀕死の状態の時 フレンズ6-16その4

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「もしもの世界」ではバリーと結婚して主婦になっているレイチェル。
俳優のジョーイのファンであるレイチェルは、ジョーイのアパートに招かれ、お酒を飲みながらいい雰囲気になるのですが、キスした後、飲み過ぎで吐き気を催してしまいます。
翌朝、ジョーイの部屋で目覚めたレイチェルは、昨晩ジョーイとは寝なかったことを知るのですが、自己嫌悪に陥っています。
レイチェル: God, I'm just a horrible person. (なんてこと、私はひどい人間だわ。)
ジョーイ: Wh-why? (どうして?)
レイチェル: Because I'm married. That's right, I am a married woman! And I came to a TV star's apartment to have an affair! Uck! (だって私は結婚してるのよ。そうよ、私は既婚者なのよ! そして(既婚者でありながら)私は関係を持つためにテレビスターのアパートメントに来た! あー!)
ジョーイ: That's ridiculous! I'm not a "star." Just a regular famous actor. (そんなのばかげてるよ! 俺は”スター”じゃない。普通の有名な俳優ってだけさ。)
レイチェル: Yeah and I'm a horrible, horrible person. (そうね、そして私はひどい、ひどい人間よ。)
ジョーイ: Rachel, would you stop saying that?! Hey-hey, look. Remember on the show when-when Capri was dying? And she gave me-- (レイチェル、そんなこと言うのやめてくれよ。ねぇ、ほら。番組でカプリが死にそうになっていた時のこと覚えてる? そして彼女は俺にくれたんだ…)
レイチェル: The ring from the cave, yeah. (あの、洞窟の[洞窟で見つけた]指輪ね、ええ。)

レイチェルは自分のことを、a horrible person だと言っています。
前回と前々回の記事、フレンズ6-16その2、その3 でも、horrible は「ひどい」という意味で使われていました。
レイチェルは「私は結婚してる、私は既婚者(既婚女性)なのよ」と言った後、And I came to a TV star's apartment to have an affair! と言います。
And は前の「自分は既婚者である」ということを受けて、「そして私は既婚者でありながら」というニュアンスが感じられる気がします。
to have an affair は「性的関係を持つために」という目的を表します。
「私は既婚者なのにエッチするためにテレビスターのアパートにやってきた」ということを悔いて自己嫌悪に陥っているわけですね。
その発言を聞いたジョーイは、「そんなのばかげてるよ」と言って、「俺は a star じゃなくて、a regular famous actor なだけだ」と言っています。
star を「スターーァ」と大げさに発音しながら、ジョーイは両手の指をチョキにしてちょっと曲げていますね。
このしぐさは、これまでのフレンズにも何度も登場しましたが、" "= double quotation marks (クオーテーションマーク、引用符)を表しています。
まさに言葉を引用符やかぎかっこでくくったようなニュアンスで、「いわゆる…ってやつ」みたいな感覚になります。
このジョーイのセリフも、「レイチェルは俺のことをテレビスターだと言うけど、俺は世間一般で言われてるような「スター」なんてもんじゃない」と言っていることになるでしょう。
それでセリフが終わっていれば、ジョーイなりに謙遜したんだなぁ…ということになるのですが、その後にもセリフは続いていて、Just a regular famous actor. だと言っています。
Just a regular actor. なら「普通の俳優なだけだ、ただの普通の俳優だ」ですが、そこに famous が挟まれているのが面白いですね。
「俺はスターなんかじゃないよ」とか言いながら、「有名な俳優だ」とは言っているわけで、最初は謙遜しているようで、「有名だということは自分で認めてるんかいっ」とツッコミたくなるところです。
(まぁ、この「もしもの世界」では、レイチェルがジョーイを見た時、大喜びしていたわけですから、確かに famous と言ってもいいわけですが…)
謙遜のようで謙遜でないセリフがジョーイらしい、ということですね。

「俺はただの普通の有名な俳優さ」と言うジョーイに、レイチェルは続けて「そして私はひどい、ひどい人間よ」と言います。
「そう、あなたは俳優、そして私は最低の人間」と対比することで、自分のしたことへの嫌悪をより強めている感じですね。
ネガティブなことばかり言うので、ジョーイは「そんなこと言うのはやめろよ」と言い、「覚えてる?」と言いながら、ドラマのシーンを思い出させようとしています。

Capri was dying について。
dying は、動詞 die 「死ぬ」の現在分詞形ですね。
die と dying は見たところ、全く別の単語に見えてしまいそうにも思うので、-ing 形を作るのに注意したい単語の一つと言えるでしょう。
そして、be dying は「死にかかっている、瀕死の状態である」という感覚になります。
be doing という現在進行形は、まずは最初に「…している(ところである)」という日本語訳で習いますが、この場合は、die という行為が進行中である、die する状態に向かっている、という感覚になるでしょう。
コナン・ドイル原作の「シャーロック・ホームズ」シリーズに、「瀕死の探偵」というタイトルのものがありますが、この原題は、The Dying Detective (The Adventure of the Dying Detective) です。
このように形容詞として名詞の前につけると、dying は「瀕死の」という意味になるわけですね。
a dying swan なら「瀕死の白鳥」になります。

「番組(ジョーイが出演している Days of Our Lives)で、カプリが死にそうになって、俺に渡そうとしたのを覚えてる…?」と言いかけると、レイチェルはすかさず、"The ring from the cave, yeah." と答えます。
ジョーイが Wow! と驚いているのは、エピソードの内容を事細かに覚えているファンのレイチェルに驚いているわけですね。
「ああ、あの指輪ね!」と瞬時に答えてしまえるところに、主婦レイチェルがソープオペラ(お昼のメロドラマ)にどっぷりハマっていることがわかるということです。
the ring from the cave を訳すと「洞窟からの指輪」ですから、おそらく「洞窟で見つけた指輪」みたいなものなのでしょう。
なぜに洞窟?と思いたくもなりますが、ちょっとリアルとはかけ離れた感じの内容が、ソープオペラっぽさを醸し出しているのかな、とも思います。


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Posted by Rach at 16:04  |Comments(0) | フレンズ シーズン6

2012年04月16日

比較対象がないからわからない フレンズ6-16その3

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[Scene: Monica and Phoebe's, continued from earlier. Monica and Chandler are still discussing the previous question.]
モニカとフィービーの部屋、少し前のシーンからの続き。モニカとチャンドラーはまだ先ほどの問題(自分たち二人がエッチするかしないか)について議論中。
チャンドラー: We can't do this. (私たち、こんなことできないわ。)
モニカ: No! (They both laugh.) Oyster? ((そうよ)できないわ! [二人とも笑う] オイスター(いる)?)
チャンドラー: Yeah! (Takes it.) If-if-if we did do this, there would be a lot of pressure on me, y'know? Because you've been waiting a very long time and I wouldn't want to disappoint you. (ああ! [オイスターを取る] もし、もし、もし、俺たちがこんなことをするとしたら、俺にものすごいプレッシャーがかかるだろうね。だって君はものすごく長い時間待ってたし、俺は君を失望させたくないからね。)
モニカ: Yeah but see I have nothing to compare it to. So even if you're horrible, how would I know? (ええ、でもほら、私には比較の対象になるものがないから。だからたとえあなたがひどかったとしても、どうやってそれがわかるっていうの?)
チャンドラー: I do like that. (それっていいねえ。)
モニカ: It's harder for me! I have those four other women to compete with! (私にとっての方がもっと大変よ! 私には争うべき、そういう他の4人の女性がいるんだもの!)
チャンドラー: Well, if it helps, there were only three. So it would just be for tonight, right? (うーんと、もし気が楽になるのなら、(他の女性っていうのは)3人いただけなんだ。それで、今夜だけだよね?)
モニカ: Absolutely! It would just be one friend (Points at Chandler) helping out another friend. (Points at herself.) (もちろん! ただ、一人の友達が [チャンドラーを指差す] もう一人の友達[モニカ自身を指差す]を助けるってだけのことよ。 )
チャンドラー: Stop it! We're not doing this! Let's do it! (やめろよ! 俺たちこんなことしないぞ! よし、やろう!)
モニカ: Noo!! Okay!! (だめよ! オッケー!)

「私とエッチしたい?」「いいよ」「冗談で言ったのよ」「俺もだよ」という前回のやり取りの後、二人はまだ「エッチするかしないか」という問題について引き続き話し合っています。
We can't do this. に対するモニカの、No! は、No, we can't (do this, of course). みたいな感覚ですね。
チャンドラーの言ったことを「いいえ違うわ」と否定するノーではなく、チャンドラーの否定文に同意する感覚になります。
モニカが「オイスターでも食べる?」と食べ物をすすめてみたりしているのも、きまずい空気を変えたいため、という感じですね。

お互いに「できないよね」と言いながらも、その話題をやめないところに二人の気持ちがすでに出ているわけですが(笑)、チャンドラーは、if we did... there would be... という仮定法を使って、「もし…したら…だろう」と言っています。
「友達同士なのにエッチなんかできない」という大前提の元で話しているので、「二人がエッチすることは、現実的にはあり得ない」という感覚から、if we did という「仮定法過去」が使われているのですね。
「もし…したら、〜だろうね」という、あり得る軽い仮定なら、if we do... there will be... になるでしょうが、ここで仮定法過去を使っていることで、チャンドラーは「そういうことが起こり得るとは思ってないけど、もし仮にそういうことになったと仮定すると」と、実現の可能性がかなり低いことを前提に話している感じが出るわけです。

there would be a lot of pressure on me を直訳すると、「たくさんのプレッシャーが俺の上にあるだろう」になるでしょうか。
つまり、「ものすごいプレッシャーが俺にのしかかる」みたいなことですね。
その理由として、「君はものすごく長い間、初体験を待っていたんだし、俺は君を失望させたくないから」と言っています。
理想の人を長い間待っていた、その期待を裏切ることになるのは避けたい、ということですね。

モニカの気持ちを気遣うチャンドラーの言葉に対して、モニカは「そんなことにはならない」ということを説明しています。
I have nothing to compare it to. は「それを比較する(対象となる)ものが私にはない」。
compare A to B は「AをBと比較する」。
上のセリフは、compare it to B の B に当たる部分が前に出た形で、it (チャンドラーとのエッチ)と比較すべきものがない(nothing)と言っていることになります。
to の後ろに付くべき部分が前に移動したので、to は文の最後に残ります。
What are you talking about? の about などと同様に、こういう文尾に残る前置詞は、ノンネイティブは忘れがちになることが多いので注意したいところです。

モニカは「私は未経験だから、比較する対象がない。だからもしあなたがひどかったとしても、どうやって(あなたがひどいってことが)わかるっていうの?」みたいに言っています。
これが初体験になるから、それがいいものか悪いものかわからない、ということですね。

I do like that. の do は強調の do で、つまり、I like that. 「それっていいよね、その意見・考えは好きだ・気に入った」をさらに強調した形になります。
チャンドラー自身、あまりモテないキャラで、そういうことには自信がない、だから「君を失望させたくない」と自ら言っているわけですが、「比較対象がいないから、良い悪いがわからないわよ、私なら」みたいなモニカの意見を「それって(俺にとっても)すごくいい、比較されないで済むんなら」と喜んでいる感覚です。

It's harder for me! の比較級 harder は「より大変・困難・難しい」という感じ。
さきほどは、I have nothing to... でしたが、今度は、I have those four other women to... という形になっていますね。
前の文は「…すべきものがない」だったのが、今度は「…すべきものが他に4人もいる」という感覚になります。
compete with は「…と張り合う、競争する」。
compete の名詞形は competition 「競争」「試合、コンペ」「競争相手」ですね。
「私には競争すべき・張り合うべき、そういう他の4人の女性がいる」と言っているわけですが、これは少し前にチャンドラーが、過去の経験を聞かれて、Four different women! 「4人の違う女性(とした)!」と言ったことを踏まえて、「その、あなたが言っていた別の4人の女性」と表現しているわけですね。
私は比較対象がない、逆にあなたには比較対象が4人もいるわけだから、プレッシャーを感じるとしたら私の方よ、と言っていることになります。

if it helps の help は「助けになる、役に立つ」という自動詞なので、it if helps は「もし何かの役に立つのなら、何かの助けになるとしたら」というニュアンス。
そう言って、「(4人じゃなくて)(過去にいたのは)3人だけだったんだ」と言います。
「4人じゃなくて、3人に減ったら、ちょっとは気が楽になる?」みたいなことですね。

「今夜だけだよね?」と確認するチャンドラーに、モニカも「一人の友達がもう一人の友達を助けるってだけのことよ」と言います。
ちなみに、one friend helping out another friend は動名詞で、one friend が helping という動名詞の意味上の主語になります。
フレンズでは何度も登場していますが、このように口語では、動名詞の主語は所有格(one friend's)ではなくて、目的格(one friend)になることが多いですね。
ですから、直訳すると、「それはただ、”一人の友達がもう一人の友達を助けること”になるだけである」という感じになるでしょう。

その後の、チャンドラーとモニカのセリフは、どちらも同じパターンになっています。
ひとまずは「こんなことできない」と否定しておいて、すぐさま「やろう、オッケー」と正反対のことを瞬時に言う、という構成になっています。
一応、口では「やめよう」と言っておいて、その直後、特に何の葛藤も見せずにあっさり(笑)「よしやろう」と言うのに笑える、ということですね。

上の会話の流れをずっと見ていると、「だめだよな、無理だよな」と口では言いながらも、お互いに「でもこういう風に考えたら問題ないんじゃない?」みたいに、二人で前向きな解決策を考えている(笑)様子がよくわかりますよね。
「何だかんだ言いながら、する方向に話を持って行ってるじゃん」みたいな二人の様子を、英語のセリフから感じられるようになれば「いい感じ」かなと思います。


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Posted by Rach at 16:17  |Comments(0) | フレンズ シーズン6

2012年04月12日

die+補語「〜として・の状態で死ぬ」 フレンズ6-16その2

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前回の続きです。
今夜、人生初めてのエッチをするはずだった、と言うモニカ。
驚くチャンドラーに、今日までエッチをしなかった理由をモニカは説明しています。
モニカ: I was just waiting for the perfect guy. (私はただ、理想の(完璧な)男性を待っていただけよ。)
チャンドラー: Well good, good for you. You really think that Roger is the perfect guy? (そうか、良かったね。モニカは本当にロジャーが理想の男性だと思うのか?)
モニカ: No. He's not a horrible guy. (いいえ、(でも)彼はひどい男じゃないもの。)
チャンドラー: Hey, that's what I tell girls about me. (ほら、それって俺が自分について女の子に言ってることだよ[俺も自分のことを女の子にそう言ってる]。)
モニカ: Chandler, I'm gonna die a virgin! (チャンドラー、私はバージンのまま死んでいくんだわ!)
チャンドラー: No, you are not! You are sweet and wonderful and this is gonna happen for you. (違うよ、そんなことないよ! 君は優しくて素敵なんだから、こういうことが君にも起こるよ。)
モニカ: Oh, really? When? Do you wanna do it with me? (あら、ほんと? いつ? あなた、私と(エッチ)したい?)
チャンドラー: Okay. (They both realize what he just said.) (いいよ。 [チャンドラーが言ったこと(の意味)に、二人は気付く]
モニカ: I was kidding. (私は冗談で言ったのよ。)
チャンドラー: So was I. (俺もだよ。)

the perfect guy は「完璧な男性」なので、「理想の男性」ということですね。
とすると、ロジャーがその「理想の男性」なわけ?とチャンドラーは尋ねています。
本当なら、Yes!! と答えたいところでしょうが、やはりモニカにとってもロジャーはそれほど魅力的な男性ではなかったらしく(笑)、はっきり、No. と否定した後、「でも彼は、a horrible guy ではないもの」と言っています。
horrible は「ひどい、ぞっとするほどいやな」というニュアンス。
名詞 horror 「恐怖、嫌悪、ぞっとするもの」から来た形容詞であることを考えると、その「ぞっとする感」は想像できますね。
ロジャーは理想の男性ではないけど、「ぞっとするようなひどい男」ではないから、毛嫌いする理由もないの、みたいな、消極的選択だったことがわかります。

次のチャンドラーのセリフ、Hey, that's what I tell girls about me. について。
that は、その直前にモニカが言った、(He's) not a horrible guy. を指すでしょう。
what I tell girls about me を直訳すると、「俺について、俺が女の子に言うこと」になるでしょうか。
つまり、「ひどい男じゃない」という発言を受けて、「あぁ、俺も自分のことを女の子に言う時に、「俺はひどい男じゃないぞ」と言ってるよ」と言っていることになると思います。
今モニカが言った言葉は、俺が自分のことを女の子に語る時に言っているフレーズとおんなじだぁ〜、と言っている感覚になるでしょう。
「あ、それ、俺のキャッチフレーズ(と同じだ)!」みたいな感覚にも繋がるようにも思います。

チャンドラーが自虐的なジョークを言っても、モニカの嘆きは収まる様子がなく、I'm gonna die a virgin! と叫んでいます。
die a virgin は「バージン・処女(のまま・の状態)で死ぬ」。
このように、die という動詞(自動詞)は、後ろに補語を取って、「(補語)の状態で死ぬ」という形を取ることができます。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、そのような補語の例として、以下のものが出ています。

die young/happy/poor etc.
例) Franklin died young, at only 32.

つまり、「若死にする(若くして死ぬ)、幸せに死ぬ、貧しく死ぬ」。
例文は、「フランクリンは若くして死んだ、わずか32歳で」。

die a hero/martyr/pauper etc.
例) Windrich died a hero in World War II.

つまり、「英雄として死ぬ、殉教者として死ぬ、貧困者として(貧乏なまま)死ぬ」。
例文は、「ウィンドリッチは、第二次世界大戦で英雄として死んだ」。

die young のように、補語に形容詞が来る場合と、die a hero のように補語に名詞が来る場合がある、ということですね。
そして、今回のモニカのセリフは、die a virgin と名詞が補語になっているパターンだということです。
「英雄として死ぬ」を英訳しようとする時に、日本人の感覚だと何となく、die 'as' a hero のように、as を入れたくなってしまう気がするのですが(私だけ?)、そういう前置詞は不要で、die の後ろに直接、死ぬ時の状態を補語として置けば、それで完璧な形になる、というところが、個人的には面白いなと思います。

「私は誰ともエッチしないまま、死んでいくのね!」みたいに嘆くモニカを、チャンドラーは必死に慰めています。
「こういうことが君にも起こる」というのは、将来的には、誰かと恋愛して、そういう関係を結ぶようになる、という意味ですね。
せっかく慰めてくれているのに、モニカは「あら、そう。いつか、っていつよ!?」みたいに挑戦的な態度を取っています。
「他人事だと思って、無責任なこと言わないでよ」とでも言いたげに、「(じゃあ)あなたは私とエッチしたいと思ってる?」と、流れと勢いでそういう質問をチャンドラーにぶつけてしまうのですが、チャンドラーは反射的に、それもすごく軽い感じで、Okay. と答えます。
その返事にモニカは驚き、チャンドラーの方もしばらく経ってから、自分自身の発言に驚いているのが面白いですね。
現実の世界ではカップルになっている二人が、「もしもの世界」でもそんな風に「いい感じ」になりかけているので、観客からは軽い拍手と歓声も起こっています。
チャンドラーの何気ない発言に、凍りついたようになっている二人ですが、モニカは何とか冷静さを装い、I was kidding. 「私は冗談を言った、冗談で言ったのよ」と言っています。
So was I. は、I was kidding too. ということで、「俺の方がオッケーと言ったのも、もちろん冗談だよ」ということです。
お互いに言ってはいけないことを言ってしまった時のフォローとして、"I was kidding." "So was I." (「冗談よ」「俺もだよ」)と言ってアハハと笑ってごまかす、というのは、よくあるパターンだと言えるでしょう。


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Posted by Rach at 16:32  |Comments(4) | フレンズ シーズン6

2012年04月10日

way more times フレンズ6-16その1

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シーズン6 第16話
The One That Could Have Been Part 2 (空想世界でつかまえて Part 2)
原題は「こうだったこともありえた話 パート2」


前回のエピソードに続き、今回も「もしもの世界」でのお話です。
「もしもの世界」では激太り状態のモニカ。
モニカは、今付き合っている彼氏のロジャー(職業は医者)にごちそうを作り、セクシーなことを言って誘おうとするのですが、病院から呼び出しがあり、ごちそうも食べずにロジャーは帰ってしまいました。
その残ったディナーを、モニカがチャンドラーと一緒に食べているところ。
彼氏ロジャーのことを茶化すチャンドラーに、「やめてよ、そんなの面白くないわ」と言った後、
モニカ: I'm sorry, okay? It just... tonight was supposed to be y'know, it was supposed to be a big deal. (ごめんなさい。ただ…今夜は、ほら、大切なものになるはずだったから。)
チャンドラー: What was tonight? (今夜は何だったの?)
モニカ: You don't want to know what tonight was. (今夜が何だったかなんてあなたは知らない方がいいわ。)
Chandler: Okay. (Pause.) What was tonight? (わかった。 [間があって] 今夜は何だったの?)
モニカ: Well, tonight was, was going to be my first time. (うーんと、今夜は、私の初めて(の夜)になる予定だったの。)
チャンドラー: With Roger? (Monica shyly looks away.) Not just with Roger?! (Monica shrugs.) Oh, my God! (ロジャーとの? [モニカは恥ずかしそうに視線をそらす] ロジャーとだけじゃなくて? [モニカは肩をすくめる] なんてこった!)
モニカ: All right, relax, Mr. I've-Had-Sex-Four-Times! (ねえ、大騒ぎしないでよ。「俺は4回エッチした」さん!)
チャンドラー: Four different women! I've had sex way more times! (4人の違う女性とだ! 俺はもっとずっとたくさんの回数エッチしたぞ!)
モニカ: How many? (何回?)
チャンドラー: Nine. (9回。)

モニカは、 it (tonight) was supposed to be a big deal. と説明しています。
be supposed to は「…することになっている、…するはずである」で、フレンズ頻出フレーズですね。
今回は過去形の was supposed to be の形なので、「…であるはずだった」という感覚になります。
a big deal は「大ごと、一大事、大事なこと、重大なこと」ですから、「(予定では)今夜は、大切な大事な重大なことになるはずだった、重大なものとなるはずだった(のに、実際にはそうならなかった)」というニュアンスになります。

a big deal になるはずだったのに…とだけ説明するモニカに、チャンドラーは、その内容を詳しく聞こうとして、What was tonight? 「今夜が何だったわけ?」と質問します。

モニカは、You don't want to know を使って、「あなたは今夜が何かなんて知りたくないわよ、知りたいとは思わないわ」みたいに言っています。
この You don't want to... は「あなたは…したくない」と表現していることになりますが、暗に「あなたには教えない、教えたくない」と言っている感覚になるでしょう。
「そんなことあなたには興味がないでしょ、きっと」みたいに言って、「それ以上は聞かないで」と答えを拒んでいるニュアンスになると思います。

フレンズによく出てくるのは、You want to... のパターンで、これも「あなたは…したいでしょ」というよりも、「あなたは…すべきだ」というニュアンスですね。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
want : SHOULD
ought or should
you (may/might) want to do something
You might want to install antivirus software.

つまり、「…すべき」という意味で、例文は「君はアンチウイルスのソフトウェアをインストールすべきだ」。

you want to が「君は…すべきである」という意味であるならば、今回の you don't want to は「君はすべきではない」という意味になる、と考えられるでしょう。
「どうせあなたはそんなこと知りたくないわよ」と「相手の意向を話者が一方的に決めつけるような感覚」が、「あなたは…を知るべきじゃない」という感覚に繋がるわけでしょうね。

You don't want to know... つまり、You shouldn't know と言われたので、いったんは、Okay. 「わかった」と言って引き下がるのですが、しばらくの沈黙の後、また、What was tonight? と尋ねてくるチャンドラーも面白いです。
「今夜は重大なものになる予定だったの」とまで言われて、その後の説明がなしでは、確かにチャンドラーでなくても追及したくなるところではあります。
モニカ自身も、そのことを追及して欲しいような、でもそれを言うのは恥ずかしいような、そういう複雑な気持ちから、断片的な情報を小出しにしている、という感じもしますね。

2度も聞かれたので、覚悟を決めたらしいモニカは、 tonight was going to be my first time と説明しています。
「今夜は私の初めて(の時)[1回目、初回]になる予定だった」ということですね。
「今夜が初めて、初めての夜」となると、日本人でも「初めてのエッチ」を指すことは想像できる気がします。
モニカの発言に対して、「ロジャーと初めての夜になるはずだったの?」と聞き返したチャンドラーですが、モニカは恥ずかしそうに視線をそらしています。
それですべてを悟ったチャンドラーは、Not just with Roger? と驚いた顔で再度聞き返します。
「ロジャーと初めて、ってだけじゃないのか?」みたいな感じで、「ロジャーとだけじゃなくて、人生初めてってこと?」と問い返していることになります。

驚くチャンドラーに、モニカも負けじと、「(そんなに驚いてみせてるけど)落ち着いてよ。”ミスター・俺は4回エッチした”さん!」と返しています。
かつて、何かの話の流れで、I've had sex four times. とチャンドラーが言ったことがあったのでしょう、それを持ち出して、「私が未経験なのを驚いたように言うけど、あなただって4回だけじゃない!」みたいに言い返しているのですね。
それを聞いたチャンドラーは、いやそうな顔をして、「(回数が4回なんじゃなくて)、4人の違う女性とエッチした、って言ったんだ!」と言います。
I've had sex way more times! の way は「道、方法」の名詞 way ではなく、副詞の way です。
この副詞の way は、前置詞や他の副詞を強める働きがあり、「ずっと、うんと、はるかに」という意味になります。
フレンズでは、way too 「あまりに…すぎる」という形で出てくることが多いですが、今回は way more で「ずっともっとたくさん」というニュアンスになります。

LAAD では、
way [adverb] (informal) : by a large degree

LAAD では、その副詞 way を使ったフレーズの例として、way above/below/over etc. や、way too much/long/early etc. などの例が挙げられていますが、今回と同様に比較級が続いた、以下の形も挙がっています。

way heavier/smarter/bigger etc.
例) Tickets were way more expensive than I thought.

例文の意味は、「チケットは私が思っていたよりも、もっとずっと高かった」。
想像をはるかに超えた、想定外の高額だった、みたいな感じですね。

ちなみに、エッチ体験・経験を語っているわけなので、やはり時制は現在完了形の「経験」が使われているところも(当然と言えば当然ですが)意識しておきたいところです。
way more times と強調の way までつけて、「4回とは比べものにならないほど、よりもっとたくさんの回数」みたいに言ったので、モニカは「(具体的には)何回?」と尋ねます。
それに対して、Nine. と答えるチャンドラーに笑ってしまいますね。
それで、'way' more times と言えるのかぁ?とツッコミを入れたいところです。


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Posted by Rach at 16:45  |Comments(3) | フレンズ シーズン6

2012年04月06日

ブレイク中だったなら良かったのに フレンズ6-15その6

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「もしもの世界」では、ジョーイは Days of Our Lives のドクター・ラモレーを演じ続けているという設定になっています。
そして、バリーと結婚しているレイチェルは、そのソープオペラの人気俳優ジョーイの大ファンで、ジョーイがモニカの友人と知って、撮影セットを案内してもらったりするのですが…。
[Scene: Central Perk, Monica is there as Rachel enters.]
セントラルパーク、モニカがそこにいて、レイチェルが入ってくる。
レイチェル: Oh Mon, listen, I have to ask! Okay, Joey Tribbiani invited me back to his apartment. Now does he do this with a lot of girls? (あぁ、モニカ、聞いて、質問があるの! えーっと、ジョーイ・トリビアーニが彼のアパートに私を誘ったのよ。それで彼は他のたくさんの女の子とこういうことをするの?)
モニカ: Yeah, a lot. A lot, a lot! (ええ、たくさん(の女の子)とね、たくさん、たくさんよ!)
レイチェル: Ohh! And I'm one of them!! Wow! Oh, I just cannot believe this! I mean, Joey Tribbiani! (まぁー! それで私はそのうちの一人なのね! まあ! ただこんなこと信じられないわ! だって、ジョーイ・トリビアーニよ!)
モニカ: Well, y'know it's none of my business, but aren't you married? (うーんと、ほら、私には関係ないことだけど、でも、あなたは結婚してるんじゃないの?)
レイチェル: Yeah. Oh, I wish we could just not be married for a little bit! Y'know, I just wish we could be, like, on a break! (そうね。あぁ、私と夫とが、ほんのしばらくの間、結婚してないってことが可能ならいいのに! ほら、私たちが、ほら、ブレイク中だったらいいのに、って。)

レイチェルは「ジョーイにアパートに誘われた」ことをモニカに告げて、Now does he do this with a lot of girls? と尋ねています。
does he do...? という「現在形」は、これまで何度も出てきた「習慣・習性」を表す現在形ですね。
「彼は日常的に・習慣的に、たくさんの女の子とこういうことをする?[自分のアパートに誘うことをする?]」というニュアンスになります。
彼ってたくさんの女性を、自分のアパートに誘ったりするタイプの人?みたいな感じですね。

モニカは「そうよー、ジョーイはプレイボーイだから、たっくさんの女の子とそういうことをしてるわよー」という感じで、a lot を繰り返しています。
あなただけを誘ってるんじゃなくて、ありとあらゆる女の子を誘ってるんだから、気を付けた方がいいわ、という友人としての警告ですね。

そのモニカの答えを聞いて、レイチェルは、Ohh! と驚いた声を出していますが、それを聞くと「まぁ、私だけじゃなく、他にも女の子をいっぱい誘ってるなんてショック…」とでも続くのかと思いきや、And I'm one of them! 「そして、私はその(アパートに誘われた)女の子たちの一人なのね!」と喜んでいる様子。
意外な反応にモニカが驚いた顔をしているのも面白いですね。

Oh, I just cannot believe this! I mean, Joey Tribbiani! は、「まぁ、こんなこと信じられないわ。だって、あの(有名なソープオペラ俳優の)ジョーイ・トリビアーニなのよ!」という感覚。
私はあの有名な彼に誘われた女の子のうちの一人なんだわ!と感激しているセリフです。

あのジョーイに誘われちゃった!と大喜びしている主婦のレイチェルに、モニカは友人として苦言を呈しています。
none of one's business は「…の知ったことではない」ですね。
business は「関係・干渉する権利・筋合い」で、(That's) none of your business! は「それは君の知ったことではない、君には関係ない!」という決まり文句ですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
your/somebody's business : (spoken) private information that concerns only a particular person and no one else
例) My personal life is none of your business.


つまり、「ある特定の人にのみ関係し、他の人には何も関係がない個人的な情報」。
例文は、「私の私生活は、あなたには関係ないことだ」。

今回のセリフでは my が使われていますので、「私が干渉すべき権利・筋合いはないけれど、私には関係ないことだけど」という意味になります。
「他人の私がごちゃごちゃ言うことじゃないってわかってるけど」という前振りで、ちょっと個人的な問題に首を突っ込むようで悪いけど、ちょっとプライベイトに立ち入るようで悪いけど、みたいな気持ちが込められています。
そのような前置きを付けることで、None of your business! 「あなたには関係ないでしょ!」と言われるのを予防しておこうという気持ちが見えます。

Are you married? なら「あなたは結婚していますか?」という感覚ですが、Aren't you married? は「あなたは結婚しているんじゃなかったっけ?」みたいなニュアンスの否定疑問文。
ジョーイにアパートに誘われたって大喜びしてるけど、あなたは既婚者じゃなかった? 既婚者だわよねぇ?みたいな感覚です。

そんなことを言われて多少は良心の呵責があるのかと思いきや、全く罪悪感のかけらも見せず、「ええ、確かに結婚はしてるけど」みたいに、Yeah. と答えるレイチェルもすごいですね。
その後、I wish we could... という「事実とは異なる願望を述べる仮定法」を使って、we すなわち、私と夫(レイチェルとバリー)が…じゃなかったら or 〜だったらいいのに、と願望を述べています。
最初の文は、「ほんの少しの間だけ結婚してない状態ならいいのに」。
ジョーイに誘われたその時だけ、自分が既婚者じゃなかったらいいのに、みたいなことですね。
その後、「少しの間だけ結婚してない状態」を別の言葉で言い表していますが、それが「私たち夫婦が、ほら、on a break 状態ならいいのに」。

on a break は「ブレイク中」みたいなことですが、この on a break は、フレンズにおけるキーワードですね。
レイチェルがファッション業界で働き始めるようになってから、ロスとレイチェルの二人はすれ違い状態になり、ブレイクをとる フレンズ3-15その14 で、レイチェルは、"maybe we should just take a break!" 「多分、私たちはただ、ブレイク(break)をとるべきだと思うの」という言葉を口にします。
その break という言葉にショックを受けたロスは動揺し、その後、自分に好意を持っていたコピー屋のクロエと寝てしまうのですが、後のそのことで口論になった時に、お互いの break の認識が異なっていたことが判明するのですね。
レイチェルの方は(自分の中でもはっきりしないながらも)「一時的に離れる」という感覚で break という言葉を出した、それに対してロスは break を「決定的な別れ」だと捉えていたことが、breakupとon a break フレンズ3-16その16 のセリフを見るとわかります。
その後も何かにつけて皮肉っぽく、「他の女と寝た」ことをレイチェルが持ち出すたびに、"We were on a break!" 「僕たちはブレイク中だったんだ!」と叫ぶのが、フレンズのお約束みたいになっているので、その on a break というキーワードを「もしもの世界」のレイチェルが使ったことで、ファンは大喜び、みたいな感じになっているわけです。
「もしも」エピソードならではのお遊びみたいなものですね。

現実世界でのレイチェルは、on a break 中に他の女と寝るなんてありえない、裏切り行為だ、と思っているわけですが、「もしもの世界」のレイチェルは、夫バリーと何らかの形でブレイク中、例えば、大ゲンカで家庭内離婚状態だとか、一時的に別居中だとか、そういう be on a break であれば、ジョーイのアパートに誘われて、その流れで寝てしまうことになっても、許されるのに…と思っているらしいことがこのセリフからわかるわけです。

フレンズファンにとってのキーワード、on a break を使って、もしもの世界のレイチェルは、ロスと同じ意見を言っているのを見せることで、ファンを楽しませる仕組みになっているのですね。
観客も、このレイチェルの on a break 発言を聞いて歓声を挙げていますが、「レイチェルがそれを言うかぁ?」みたいな驚きが「もしもの世界」のお話をより面白くしているという感じで、シリーズものならではのファンサービスだと言えるでしょう。


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Posted by Rach at 16:35  |Comments(0) | フレンズ シーズン6

2012年04月03日

日照り続き フレンズ6-15その5

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心臓発作を起こしたフィービーに、不適切なジョークを言ってしまったチャンドラー。
気まずそうなチャンドラーをモニカは病室の外に連れ出し、部屋の中はフィービーとロスだけになります。
フィービー: (To Ross) So what's going on with you? ([ロスに] それで、あなたはどんな感じなの?)
ロス: Well, umm, I've been doing a lot more of my kara-tay. (えーっと、カラーテ(空手)に前よりもっと励んでる。)
フィービー: Still going through that dry spell with Carol? (キャロルとの例の日照り(続き)状態はまだ続いてるの?)
ロス: Yeah. (ああ。)
フィービー: How long has it been since you had sex? (あなたがエッチしてからどのくらいになるの?)
ロス: Well, last weekend... (うーんと、先週末…)
フィービー: Oh, that's not so bad. (まぁ、それならそんなに悪くないじゃない。)
ロス: ... will be two months.... (…で2ヵ月になるかな…)
フィービー: Oh.... (あぁ…。)
ロス: ... since I stopped trying. (…トライするのをやめてから…。)

What's going on? は「何が起こってるの?」というニュアンスで、 So what's going on with you? は「あなたに何が起こってるの?」→「あなたはどんな感じ? (最近)どうしてる?」と、相手の近況や様子を尋ねる挨拶になります。

I've been doing は現在完了進行形で「ずっと…をしている」。
kara-tay とは、karate 「空手」のことですが、ロスはなぜかそれを「カラーテイ」と発音するので、ネットスクリプトではわざと kara-tay という綴りで書かれています(DVDの英語字幕は、karate と表記)。
本来の英単語としての発音は、「カラーティ」のように語尾の te は軽く「ティ」と発音するようですが、それを「テイ」と大げさに発音するのがロスの特徴のようで、このエピソードの冒頭シーンでも、その発音をチャンドラーにからかわれたりもしていました。
go through は「体験する、経験する」「耐える、切り抜ける」。

dry spell は「日照り続き、乾期」。
研究社 新英和中辞典にも、
dry=<天候など>雨の降らない, 日照り続きの
a long dry spell 長期の日照り続き

という用例が出ています。

spell という名詞には、「綴り、スペル」「呪文、まじない」という意味もありますが、この場合の spell は「ひと続き」という意味で、同じく、研究社 新英和中辞典では、
spell=(天候などの)一時, ひと続き
a spell of fine [hot] weather 晴天[暑気]続き

と説明されています。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
spell [noun] : a period of a particular type of activity, weather etc., usually a short period
a cold/wet/dry spell
例) We had another cold spell last month.


つまり、「特定のタイプの活動、天気などの期間、たいていは短い期間」。
例文は、「先月、また日照り(乾期)があった」。

使用例にあるように、a cold spell なら「寒さ続き、寒い時期」、a wet spell なら「雨期、雨の多い時期」ですね。

フィービーのセリフを直訳すると、「キャロルとのあの・例の乾期(日照り状態)をまだ経験しているところ? 乾期にまだ耐えてるところ?」みたいになるでしょうか。
直接的には言っていませんが、「夫婦間の営みがない状態」を a dry spell と表現しているのは、日本人にもわかる感覚かなと思います。

How long has it been since...? は期間を尋ねる現在完了形。
「…して以来、どのくらいの期間になりますか?」ということですね。
ここでは、a dry spell などという遠回しな表現ではなく、since you had sex とダイレクトに尋ねています。
その質問に対して、ロスが、「先週末」と答えたので、フィービーは「先週末からエッチしてない、つまり、先週末にエッチしたのなら、別に日照り続きでもないじゃん」と思ったのでしょう、that's not so bad 「それって・それなら、そんなに悪くない」と返します。
ですが、ロスの話には続きがあって、last weekend will be two months 「先週末で2ヵ月になるだろう」と言っています。
「先週末でもう2ヵ月エッチなし、って話か…」とわかって、フィービーは残念そうな声を出すのですが、ロスの話にはさらに続きがあって(笑)、since I stopped trying 「トライするのをやめてから」だと説明を付け加えています。

try という動詞は「試しにやってみる」ということですが、I tried, but... 「僕はやってみたんだ、だけど…」のように、「頑張ってやってみたけど、だめだった」という文脈が続くことが多いですよね。
ですから、ロスのセリフの try も、「キャロルとエッチしようと頑張ってトライしてみた」という感覚で、「トライしたけどダメだった」というニュアンスが感じられるわけです。
その時に実際にエッチが行われたなら、since I had sex with her と表現するはずで、そこをあえて、since I stopped trying と言うことで、「2ヵ月ほど前にキャロルとエッチしようとしてみたけれどダメだった、そのトライから先週末で2ヵ月になる」と言っていることになるわけですね。

「どのくらいエッチしてないの?」
「先週末」(→なーんだ、そんなに悪くないじゃん)
「(先週末)で2ヵ月になる」(→そうかぁ、2ヵ月かぁ…)
「トライするのをやめてから」(→2ヵ月前はトライしただけで、その時も実際にはしてないの?)
のように、オチが2回来る仕掛けになっているのですね。
2ヵ月前にキャロルとエッチしようとして失敗したことがこのセリフからわかるので、実際にキャロルと最後にエッチしたのは、もっとずっと前になるだろうこともわかります。
先週末、という単語で答えは始まっていましたが、実はかなりの間ごぶさたなんだということが、セリフを聞けば聞くほどわかってくる、という仕組みです。
英語のセリフを聞いて、その2段オチに気付けるようになると、「いい感じ」かなと思います。


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Posted by Rach at 17:55  |Comments(2) | フレンズ シーズン6

2012年03月30日

nature's way of doing フレンズ6-15その4

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「もしもあの時…だったら、こうなっていた可能性もある」という「もしもの世界」で話が進行しています。
その世界では、フィービーはメリルリンチで働くバリキャリになっているのですが、株取引で大損を出したショックで、心臓発作を起こしてしまい入院中。
[Scene: A hospital, Phoebe is recovering from her heart attack as Ross, Monica, and Chandler are there to comfort and support her.]
病院、フィービーが心臓発作から回復しているところ、フィービーを慰め、サポートするために、ロス、モニカ、チャンドラーがそこにいる。
ロス: Come on, Pheebs, it's not that bad! Y'know most people would be excited if they didn't have to work for a couple of weeks. (ねぇ、フィービー、そんなに悪いことじゃないよ! ほら、たいていの人なら、2、3週間働かないで済むとしたら、大喜びだよ。)
フィービー: Most people don't like their jobs. I love my job! I've been not working for three hours, and I'm already going crazy. I miss Joan. (たいていの人は自分の仕事が嫌いなのよ。私は自分の仕事が大好きなの! 私は(もう)3時間も働いてない状態で、すでに頭がおかしくなりそう。ジョアンに会いたいわ。)
モニカ: Honey, having a heart attack is nature's way of telling you to slow it down. (ハニー、心臓発作が起きるのは、自然が、あなたにのんびりするようにって言って[告げて]くれてるのよ。)
チャンドラー: I always thought having a heart attack was nature's way of telling you to die! (Phoebe glares at him.) But you're not gonna die. I mean, you are going to die, but you're not gonna die today. I wish I was dead. (心臓発作が起きるのは、自然がその人に死ぬって言ってるんだって、俺はいつも思ってたけど。 [フィービーはチャンドラーをにらむ] でも君は死なないよ。ほら、君は(いつかは)死ぬけど、今日は死なない。[いたたまれなくなって] 俺、死んじゃいたい。)

most people would be excited if they didn't... の文は、仮定法過去。
たいていの人、多くの人は、もし2、3週間働かないで済むとしたら、わくわくするだろう、大喜びするだろう、ということですね。
2、3週間も仕事を休める、ということは(よほどの理由がない限り)現実的にはあり得ないので、仮定法を使っているわけです。
普通は、たいていは、大手を振って仕事を休めるなら大喜びするもんだ、だから、今の状態ってそんなに悪くないだろ、とロスは励ましているのですね。

それに反発したフィービーは、Most people... I... という対比を使って、「たいていの人は…だけど、私は〜なの!」と、自分はそういう大勢の人たちとは考え・感覚が違うと主張しています。
みんなは自分の仕事が嫌いだから、休めると嬉しいけれど、私は自分の仕事が大好きだから、ちっとも嬉しくなんかないのよ!ということですね。

I've been not working for three hours は、継続を表す現在完了進行形。3時間、not work の状態がずっと続いている、という感覚。
3時間働いていないだけで、すでにクレイジーになりかけてる、と言っています。

I miss Joan. の Joan は、メリルリンチでのフィービーの部下の名前ですが、この人物に関しては、エピソードの前半で以下のセリフがありました。

携帯が鳴るのですが、フィービーは、まずはタバコに火をつけてから電話に出ます。
フィービー: Hang on! Hang on! Hang on! (Answering the phone.) Go!! Who's this? (Listens) Oh okay, you're gonna like working for me. What's your name? (Listens) What kind of name is Brendy? I... Whatever... Stop talking! All right, from now on your name is Joan. You can pick your own last name. (ちょっと待って! ちょっと待って! [電話に出る] ゴー! これは誰? [電話を聞いて] あぁ、わかった、あなたは私の下で働きたいのね。あなたの名前は何? [電話を聞いて] ブレンディってどんな名前よ? 私は…何でもいいわ。話すのをやめて! いいわ、今からあなたの名前はジョアンよ。名字はあなたが選んでいいわ。)

つまり、この人の本当の名前は Brendy なのですが、フィービーはその名前が気に入らなかったらしく(笑)、勝手にその人の名前を Joan にしてしまったのですね。
そういうセリフが先に出ていたために、ここで「あぁ、Joan がいなくて寂しい、Joan に会いたい」と言われても、「それは、フィービーが勝手につけた名前だろっ」とツッコミを入れたくなってしまう、という仕組みです。
忘れた頃にその話題が再登場する、というお笑いの王道ですね。
もしもの世界のフィービーは、忙しいビジネスパーソンになっているので、携帯がよく鳴るのですが、そのたびに、なぜかまずはタバコに火をつけて、さぁ、話せるわよ、という時には必ず、Go!! と言うのには笑ってしまいます。

モニカは友人らしく、フィービーをなだめるようなことを言っています。
having a heart attack is nature's way of telling you to slow it down を直訳すると、「心臓発作になるのは、あなたにのんびりするようにと nature が言う方法だ」みたいになるでしょうか。
「心臓発作が起こるのは、nature があなたに slow it donw しなさい、って言ってるのよ」みたいなことですね。

この nature's way of doing というのは決まり文句のようで、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) にも出ています。
LAAD では、
something is nature's way of doing something : used to say that something is a nature process that achieves a particular result
例) Disease is nature's way of keeping the population down.

つまり、「何かが特定の結果を達成する自然の過程・成り行きである、と言うために用いられる」。例文は、「病気は人口を低く抑えるための自然の方法・過程である」

主語が自然にそのような結果を引き起こす、という感覚でしょう。

また、nature つながりの表現として、the call of nature という言葉もあります。これは「生理的要求、尿意」のことですね。
LAAD では、
the call of nature : (informal) a need to urinate (= pass liquid from your body)
つまり、「(インフォーマル) 小便をしたいという(生理的)要求」

どうして、the call of nature も同時に説明したかと言うと、nature's way of telling you to... には、「(尿意などと同じような)肉体的・生理的要求があなたにそう言っている」という感覚も感じられる気がしたからです。

心臓発作を起こしたのは、心臓が赤信号を出している、心臓がちょっと休ませてと言っている証拠よ、みたいな感覚で、身体の機能という nature が、あなたにそう教えてくれているの、と言っているニュアンスを感じられるように思うのです。
自然、というのは、緑がいっぱいの自然、というよりも、「自然の摂理」とか「人が生物として生きている仕組み」みたいな感覚に近いのでしょうね。
今回は特に、nature's way of telling you to という形なので、「自然の摂理がそうしろと言っている」、つまり、「自然のお告げ」みたいなニュアンスなんだろうと思います。

nature's way of doing something というお決まりフレーズを使って、モニカはフィービーのワーカホリック状態をいさめるのですが、チャンドラーは同じフレーズで、別のことを言っています。
「モニカはそう言うけど、俺はずっと、心臓発作は、nature が、お前は死ぬよと言っているんだと思ってた」みたいな感覚ですね。
nature が教えてくれる兆候、サインだと言うならば、心臓発作は心臓がもうすぐ止まるってサインじゃないのか?みたいな、ブラックなジョークですね。
今は元気にしゃべっているとは言え、心臓発作を起こした直後の人間に言う言葉ではありませんから、フィービーはチャンドラーをにらんでいます。
それにビビったチャンドラーは、何とかフォローしようとしますが、どんどん深みにハマっていく様子がチャンドラーらしくて面白いです。
「心臓発作は、もうすぐ死ぬっていう自然のお告げだろ」みたいに言ってしまったので、「いや、別に俺はフィービーが死ぬって言ってるわけじゃないぞ、フィービーは死なないよ」と慌ててフォローしたのですが、「死なないって言っても、不死身の身体じゃないから、やっぱりいつかは死ぬんだけどね」と言い直し、「いつかは死ぬけど、今日は死なない、って言ってるんだ」と付け加えます。
いろいろ表現を言い変えてみたところで、die という言葉を連発するのは、心臓発作後の患者には不適切な発言ですから、どんどん泥沼にはまっていく感じです。
die という単語を何度も言って、もうこれ以上フォローできないとわかった後に、I wish I was dead. と言うのがチャンドラーらしいです。
これも仮定法で、「現在の事実に反する願望」ですね。
今自分はピンピンしているけれど、不適切発言をしちゃって窮地に立たされてる、俺、死にたい、死んじゃいたい…みたいな感覚です。

フレンズ1-2(その1) でも、I wish I wad dead. というフレーズが出ていました。
紙を丸めてその辺に捨てたことを冗談交じりに説明していたら、親が来るのでピリピリしているモニカが激怒したので、最後には、I wish I was dead. と言うしかなかった、みたいなセリフでした。

どちらの場合も、みんなの視線が冷たくて居心地が悪いので、「もう、俺、消えちゃいたい」みたいな感じですね。


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Posted by Rach at 18:39  |Comments(2) | フレンズ シーズン6

2012年03月27日

もしもの世界を押韻で語る フレンズ6-15その3

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前回の続きです。
自分の顧客に「株の才覚がある」と言われたのに、そういう仕事に就かなかった理由を問われたフィービーは、その理由を説明します。
フィービー: Because at that time, you see, I thought everything that rhymed was true. So I thought y'know that if I'd work with stocks, I'd have to live in a box, and only eat lox and have a pet fox. (だってその時は、ほら、韻を踏むもの全てが真実だと思っていたから。だから私は思ったの、もし私が株(ストックス)の仕事をしたら、箱(ボックス)に住んで、スモークサーモン(ロックス)だけを食べて、ペットのキツネ(フォックス)を買わないといけないだろう、って。)
ロス: Hey, do you guys think if all those things happened, we'd still hang out? (ねぇ、今言ったこと全部がもし起こったら、僕たちはまだ(こうやって)一緒に過ごしてるかな?)

理由を問われたフィービーは、Because を使ってその理由を説明しています。
長いセリフが続きますが、それを聞いた後のチャンドラーが、「は? なんじゃそりゃ?」と言いたそうに、眉をひそめて怪訝な顔でフィービーを見ていますので、いつもの「フィービーっぽい、よくわからない理由」だと言うこともわかります。
フィービー自身が言っているように、フィービーの語る言葉が韻を踏んでいます。
「あの当時は、韻を踏む(rhyme)もの全てが真実だと思っていた」と言って、その後、stocks, box, lox, fox という、最後が、-ks 「クス」の発音で終わる言葉を4つ使っていますね。
脚本的には、株(ストックス)繋がりで、クスのつく言葉を探して文章を作ってみた、という感じですが、その単語で「住むところ、食べるもの、飼っているペット」を言い表したのはお見事と言えるでしょう。
「衣食住」と完全に一致しているとは言い切れませんが、ほぼそれに当たるような事柄を全部、押韻させたところが、なかなかやるじゃん!という感じで、観客にとっては、大爆笑というよりは、ほぉ〜、なるほどぉ〜、うまくまとめたね、みたいに感心させるタイプのセリフになるように思います。

ちなみにこの中で日本人に知名度が低い(?)単語は、lox でしょうね。
lox は「鮭の燻製、スモーク・サーモン」。
LAAD では、
lox [noun] [uncountable] : salmon that has been treated with smoke in order to preserve it
つまり、「保存するために、煙で処理された鮭(サーモン)」。

辞書にあるように不可算名詞なので、eat lox のように不定冠詞 a をつけずに使われているわけですね。
a box, a pet fox がそれぞれ a がついているのと比べてみると、よりそれがはっきりするように思います。
鮭・サーモンを表す salmon という単語は、可算名詞 a salmon だと「鮭(という魚1匹)」を指し、無冠詞 salmon で使うと、「(食用としての)鮭(の肉)」という意味になります。
lox は「食用として燻製したサーモン」なので、食用の salmon としての意味しかない(魚という生物としての個体を表す意味がない)ので、常に不可算名詞扱い、ということなのでしょう。
フレンズ2-23(その14) でも、lox という単語が出てきたのですが、その時も、pox という単語との押韻で使われていました。

ロスは「もし…なら、僕たちは〜だと思う?」とみんなに尋ねています。
if all those things happened の all those things は、フレンズのメンバーそれぞれが「もし自分があの時…したなら」と仮定した事柄のこと。
hang out はフレンズ頻出フレーズで、「(…と一緒に)時間を過ごす」。
大人の彼らが友人たちと一緒に遊んで時間を過ごす、という感覚です。
そういう仮定がすべて現実に起こったとして、僕たちは今でもこんな風に hang out してると思う?という問いかけですね。
どうなってるだろう?と顔を見合わせるフレンズを映して、オープニングシーンに突入します。

今回のオープニングクレジットは非常に珍しいパターンで、いつもの噴水の前にいるフレンズのメンバーは今回のテーマとなる「もしも…だったら」の世界の姿をしています。
劇太りのモニカを筆頭に、それぞれの違った姿が見られるのが楽しいですし、噴水以外のシーンも、「もしも」の姿の映像が次々と映ります。
今回のエピソードのタイトルは、The One That Could Have Been ですが、この、could have been も、「もしも(あの時)…だったら、〜だったこともありえただろう、〜だったという可能性もあっただろう」というニュアンスですね。
SFで言うと、枝分かれしたパラレルワールドでの、もう一つの現実、みたいな感じになるでしょう。
オープニング後は「もう1つのありえた世界」の話が始まります。
このエピソードは2話連続になっていますが、ドラえもんの「もしもボックス」を連想させるような、こういう「もしも」ネタはやはりファンには人気が高いようですね。


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Posted by Rach at 18:02  |Comments(1) | フレンズ シーズン6

2012年03月23日

もしも〜だったらどうなってただろう フレンズ6-15その2

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元婚約者のバリーが離婚するというニュースを持ってきたレイチェルは、「もし私がバリーと結婚していたら、私の人生はどれくらい違っていたかしら?」と言います。
それに応えるように、フレンズのメンバーそれぞれが、「もし自分が…していたら」という話を始めます。
チャンドラー: What if I had had the guts to quit my job? I'd probably be writing for the New Yorker, being paid to be funny. But my job's fun too. I mean, tomorrow, I-I don't have to wear a tie. (もしも俺に自分の仕事を辞めるガッツがあったならどうなってたかな? 俺は多分、ニューヨーカーに(記事を)書いているところだろうね、面白いということで給料をもらいながら。でも、俺の(今の)仕事も楽しいよ。ほら、明日、俺はネクタイを締めなくていいんだ。)
フィービー: What if I'd taken that job at Merrill Lynch? (もしも私がメリルリンチのあの仕事に就いていたらどうなっていたかしら?)
ロス: What?! (何だって?)
レイチェル: Merrill Lynch? (メリルリンチ?)
フィービー: Yeah, I had a massage client who worked there and-and he said I had a knack for stocks. (ええ、私のマッサージのお客さんにそこで働いている人がいて、彼は言ったのよ、私には株の才覚があるって。)
レイチェル: Well, why didn't you take the job? (じゃあ、どうしてあなたはその仕事に就かなかったの?)

have the guts to は「…する勇気・根性・ガッツがある」。これは日本語でも「ガッツ」と言うのでわかりやすいですね。
New Yorker は雑誌の名前。
Wikipedia 日本語版: ザ・ニューヨーカー
Wikipedia 英語版: The New Yorker

write for the New Yorker は、その雑誌のために記事を書くライターの仕事をする、という感覚になります。
後半の being paid to be funny は分詞構文で、直訳すると、「funny であることにお金を支払われながら」という感じでしょう。
つまり、面白いことで給料がもらえる、金儲けができちゃう、みたいなことですね。
ジョークや面白いことが好きなチャンドラーとしては、雑誌に記事を書くという職業は、面白いということでお金が稼げちゃう、最高に楽しい仕事のように感じるということです。

その後、「まぁ、俺の今の仕事も楽しいんだけどね」と言って、その仕事の内容を説明するのですが、それが「明日、俺はネクタイをつける必要がない」。
明日はオフィスがノーネクタイデーで、ネクタイをしなくていい日なんだ、ということですが、楽しいことってそれ?みたいに聞いている方は思いますよね。
ノーネクタイデーが楽しいと思えるくらいに、実に面白くない職場であり仕事であると言っていることになるでしょう。

ちなみに、チャンドラーのセリフの時制に注目してみましょう。
What if は「もし…だとしたらどうなるだろうか?」という頻出フレーズで、ここでは、What if I had had the guts のように、「had+過去分詞形」が使われています。
これは「過去の事実に反対の仮定」を示す、「仮定法過去完了」ですね。
「もしも(過去に実際に起こった事実に反して)あの時、…だった/…していたなら」という仮定になります。
仮定法過去完了の典型的な形としては、
条件節 If I had+過去分詞 「もしあの時…だったなら」
帰結節 I would have+過去分詞 「…しただろうに」
の形が挙げられます。
その場合は、「(過去に)…だったなら、(その過去では)…しただろう」と言っていることになりますが、今回のチャンドラーのセリフは、「過去に仕事を辞めるガッツがあったなら、今頃俺は…しているだろうね」というように、「"過去が"今とは違っていたら、"現在は・今は"こういうことをしているだろう」という、条件節と帰結節の間に時制のずれがあります。
そのため、条件節は、If I had+過去分詞の「仮定法過去完了」、帰結節は、I would (be writing) の「仮定法過去」が使われている、という仕組みです。
その後のフィービーのセリフの、What if I'd taken that job も、'd は、had の略、つまり、if I had taken という「仮定法過去完了」だということですね。

チャンドラーの「もしも…だったなら」の言葉を受けて、フィービーも自分の話をしています。
take a job は「仕事を(引き)受ける、仕事に就く、就職する」。
フィービーが「メリルリンチのあの仕事に就いてたら…」と言うので、みんなはびっくりして、「メリルリンチですって?」みたいに聞き返しています。
今はマッサージ師をしているフィービーと、そういう金融業界との接点が見当たらない、金融業に携わっているフィービーがイメージできないからでしょうね。

knack は「こつ、技巧、要領、才覚」。
have a knack for で、「…のこつ・要領を心得ている」という意味になります。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
knack [noun] [singular] (informal) : a natural skill or ability that you have to do something well
a knack for (doing) something
例) a knack for languages
例) Keller has a knack for explaining technical concepts simply.

つまり、「何かをうまく行なうために持っている生まれながらの技能または能力」。
例は、「言語の才覚」。「ケラーは専門的概念をシンプルに説明するこつを心得ている」。

自分のマッサージの顧客にメリルリンチの社員がいて、その彼が「フィービーは株のこつを心得ている、株に才覚がある」と言ってくれたとフィービーは説明します。
ちなみに、Why didn't you take the job? は「どうしてその仕事に就職しなかったの?」と理由を尋ねる文章ですが、これが現在形の Why don't you take the job? だと「その仕事に就職したらどう?」と「提案」する文章になる、ということも思い出しておきたいところです。
その後、フィービーが理由を説明するのですが、続きは次回にいたします。


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Posted by Rach at 10:06  |Comments(5) | フレンズ シーズン6

2012年03月20日

もう少しで結婚するところだった人 フレンズ6-15その1

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シーズン6 第15話
The One That Could Have Been Part 1 (空想世界でつかまえて Part 1)
原題は「こうだったこともありえた話 パート1」


[Scene: Central Perk, everyone is there as Rachel enters.]
セントラルパーク。フレンズたちがそこにいると、レイチェルが入ってくる。
レイチェル: Hey, you guys. Guess what? Barry and Mindy are getting a divorce. (ねぇ、みんな。何だと思う? バリーとミンディーが離婚するのよ。)
モニカ: Oh, my God! (まあ、なんてこと。)
フィービー: Wow! (わぉ。)
ジョーイ: (To Ross) What is the matter with you?! ([ロスに] お前は一体どうしたんだよ?)
フィービー: No! Barry and Mindy. (違うわ! バリーとミンディーよ。)
ジョーイ: Oh, sorry. I hear "divorce," I immediately go to Ross. (To Rachel) Who-who's Barry and Mindy? (あぁ、ごめん。「離婚」って聞くと、すぐにロスに行っちゃうんだ[意識が向かっちゃうんだ]。 [レイチェルに]バリーとミンディーって誰?)
レイチェル: Barry was the guy that I almost married and Mindy was my best friend. (バリーは私がもう少しで結婚するところだった人で、ミンディーは私の親友だった人よ。)
ジョーイ: Ohh-oh, wasn't he cheating on you with her? (あぁ、彼は君を裏切って彼女と浮気してたんじゃなかったっけ?)
レイチェル: Yeah, but that just means that he was falling asleep on top of her instead of me. (ええ、でもそれはただ、私の代わりに彼女の上で眠り込んでいたってだけのことよ。)

レイチェルがニュースを持って、セントラルパークに入ってきます。
Barry and Mindy are getting a divorce. の「現在進行形」は、「すでに決定していて確実な予定」を表すニュアンスですね。
「バリーとミンディーが離婚する」と聞いた途端、ジョーイはロスに、What is the matter with you? と怒った顔で言っています。
フィービーに指摘され、謝るジョーイですが、「離婚と聞くと、またロスのことかと思っちゃって」という理由がフレンズっぽくて面白いですね。
I hear "divorce," I immediately go to Ross. を直訳すると、「俺が「離婚」(という言葉)を聞く、俺は即座にロスに行く・向かう」みたいな感じになるでしょうか。
「離婚」という言葉を聞いた途端、ロスに意識が向く、ロスのことだと考えてしまう、みたいな感覚でしょう。

バリーとミンディーって誰?と尋ねるジョーイに、レイチェルは説明をします。
the guy that I almost married は「私がもう少しで結婚するところだった人」。
これまでのフレンズでも何度か出てきましたが、almost+過去形で、「もう少しで…するところだった」(実際には…しなかったけれど、その直前までいっていた)という意味になるんでしたね。

Wasn't he cheating on you with her? について。
cheat on A with B は「A を裏切って、B と浮気する」。
A が妻や正式な(?)彼女で、B が浮気相手になります。
つまり、「彼は、あなたを裏切って、彼女と浮気していた人?」と尋ねていることになるのですね。
ジョーイは、バリーとミンディーって誰だっけ?と名前をすっかり忘れているわりには、過去の人間関係はしっかり覚えていたようで(笑)、「結婚寸前まで行った人と、親友」と聞いて、「あぁ、元婚約者が親友と浮気して結婚したっていうあのカップルか」とピンと来たようです。
レイチェルは、「親友と浮気された」ということをあまり言いたくなかったので、わざと「浮気」の部分は言わずにただ「彼女は親友」と表現したのでしょうが、その「浮気」の部分をダイレクトに聞き返されてしまった、ということですね。

かと言って、そういうことを言われたから、ショックを受けたり悲しんだりしている様子もなく、レイチェルはさばさばした感じで、「私を裏切って彼女と浮気した、っていうのは確かにそうだけど、それはただこういうことを意味しているだけよ」みたいに言っています。
それが何を意味するかは、その後、語られていますが、「彼(バリー)が私の代わりに彼女の上で fall asleep していた」ってことを意味するだけ、みたいな発言をしていますね。
fall asleep は「眠り込む、寝入る、寝てしまう」で、asleep 「眠っている」+fall 「状態になる、陥る(おちいる)」という感覚。
ちなみに、sleep 「寝る、眠る」という動詞は、sleep with someone = have sex with someone のように、「エッチする」という意味で使われますよね。
ですから、ここでレイチェルが、He was sleeping with her./He slept with her. と表現したのなら、まさに「彼は彼女とエッチしていた/エッチした」と言ったことになるのですが、レイチェルはそこをわざと、he was falling asleep と表現することで、「彼ってエッチの後、すぐに女の子の身体の上で、グーグー眠り込んじゃうのよね」と言いたかったのかな、と思います。
親友とエッチされていやだった、とかの意識は今のレイチェルにはあまりなく、「私の上でグーグー寝るか、彼女の上でグーグー寝るかの違いだけよ」みたいに、エッチの後の余韻やその後の雰囲気を楽しむこともなく、あっという間に(それも自分の身体の上で)疲れて寝てしまうバリーのことを、「ことが済むやいなやとっとと寝てしまう、ロマンティックのかけらもない人だったのよね」みたいに、ちょっとバカにしたような発言をしているように感じました。


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Posted by Rach at 08:55  |Comments(0) | フレンズ シーズン6