2011年03月14日
この国の明日。
平成23年3月11日午後2時46分、東北地方の太平洋沖を震源とするM(マグニチュード)9.0の巨大地震が発生。その後に襲った大津波では、さらに甚大な被害がもたらされました。同日には茨城県沖、翌12日には新潟県中越地方でも強い地震が発生しており、この地震に誘発されて起きたものと考えられます。
被災された方々に心からお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復興を願います。
このたびの地震を気象庁は、平成23年東北地方太平洋沖地震と命名しました。M9.0ともなると、将来の発生が予測されている東海地震・東南海地震・南海地震の三つが連動して起こった場合の想定規模(M8.7)をも上回る、世界最大級の巨大地震です。
東北地方太平洋沖地震では大津波による被害に加え、東京電力福島第一原子力発電所で原子炉の冷却が出来なくなる事故が発生し、予断を許さない状況となっています。東京電力圏内では電力供給の大幅な不足が予想され、計画停電が実施されることになりました。
今回は地震・津波による直接的な被害だけでなく、首都圏でも帰宅困難者の大量発生や電力不足といった問題が発生しています。今まさに「国土観」の刷新が求められているのではないでしょうか(国家観=政治・経済体制というよりは、地理観・インフラ観)。
・地震では地滑りなど土砂災害も起こります。今のようなスギばかりの山で良いのでしょうか。本来の自然な植生を取り戻すべきではないでしょうか。
・災害で交通網が麻痺すると、首都圏は大パニック。ネットワークを利用した遠隔会議や在宅勤務を促進すべきではないでしょうか。
・原発依存を見直すとなると、どのようなエネルギー体系が望まれるのでしょうか。また東西日本で異なる電力周波数は統一すべきではないでしょうか。
・原発の夜間余剰電力の活用を前提としたEV(電気自動車)の普及はどうなるのでしょう。世界の自動車メーカーのEV戦略は大きく変わるのでしょうか。
などなど、これらは個人の力ではどうにもならないほど大きな課題です。しかし私たちはインターネットを通じて世論を喚起したり、志を同じくする政治家に投票することができます。
ニッポンの明日のために…
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被災された方々に心からお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復興を願います。
このたびの地震を気象庁は、平成23年東北地方太平洋沖地震と命名しました。M9.0ともなると、将来の発生が予測されている東海地震・東南海地震・南海地震の三つが連動して起こった場合の想定規模(M8.7)をも上回る、世界最大級の巨大地震です。
東北地方太平洋沖地震では大津波による被害に加え、東京電力福島第一原子力発電所で原子炉の冷却が出来なくなる事故が発生し、予断を許さない状況となっています。東京電力圏内では電力供給の大幅な不足が予想され、計画停電が実施されることになりました。
今回は地震・津波による直接的な被害だけでなく、首都圏でも帰宅困難者の大量発生や電力不足といった問題が発生しています。今まさに「国土観」の刷新が求められているのではないでしょうか(国家観=政治・経済体制というよりは、地理観・インフラ観)。
・地震では地滑りなど土砂災害も起こります。今のようなスギばかりの山で良いのでしょうか。本来の自然な植生を取り戻すべきではないでしょうか。
・災害で交通網が麻痺すると、首都圏は大パニック。ネットワークを利用した遠隔会議や在宅勤務を促進すべきではないでしょうか。
・原発依存を見直すとなると、どのようなエネルギー体系が望まれるのでしょうか。また東西日本で異なる電力周波数は統一すべきではないでしょうか。
・原発の夜間余剰電力の活用を前提としたEV(電気自動車)の普及はどうなるのでしょう。世界の自動車メーカーのEV戦略は大きく変わるのでしょうか。
などなど、これらは個人の力ではどうにもならないほど大きな課題です。しかし私たちはインターネットを通じて世論を喚起したり、志を同じくする政治家に投票することができます。
ニッポンの明日のために…
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【不純総合研究所の最新記事】
2011年03月07日
平成22年度発掘速報展
3月7日、福井市文化財保護センターの平成22年度発掘速報展を見てきました。
(平成23年2月26日〜3月20日)
今回の目玉らしき展示は、新聞で報道された古墳時代前期の金属加工遺物。
古墳前期の金属加工遺物出土 福井の高柳遺跡
個人的お目当ては、昨年7月の第25回福井県発掘調査報告会で紹介された南北朝時代の烏帽子の実物。保存処理を終えて展示されました。紙と絹で作られ、表面は漆塗りだそうです。
太平記でおなじみの新田義貞・脇屋義助兄弟が陣を構えた石丸城跡から出土しました。
速報展とは別に、弥生時代の土器の数々も展示されました。
弥生時代までの土器は装飾性豊かでローカル色が強く、古墳時代に入ると地域性が薄れてデザインが画一化するそうです。
この他、江戸時代から昭和にかけて使われていた民具を見ることができます。
【不純文学交遊界】
福井市文化財保護センター平成22年度発掘速報展
【不純文学交遊録・過去記事】
土の中の祈り
大陸をみつめた王たち
福井県発掘調査報告会

(平成23年2月26日〜3月20日)
今回の目玉らしき展示は、新聞で報道された古墳時代前期の金属加工遺物。
古墳前期の金属加工遺物出土 福井の高柳遺跡
個人的お目当ては、昨年7月の第25回福井県発掘調査報告会で紹介された南北朝時代の烏帽子の実物。保存処理を終えて展示されました。紙と絹で作られ、表面は漆塗りだそうです。
太平記でおなじみの新田義貞・脇屋義助兄弟が陣を構えた石丸城跡から出土しました。
速報展とは別に、弥生時代の土器の数々も展示されました。
弥生時代までの土器は装飾性豊かでローカル色が強く、古墳時代に入ると地域性が薄れてデザインが画一化するそうです。
この他、江戸時代から昭和にかけて使われていた民具を見ることができます。
【不純文学交遊界】
福井市文化財保護センター平成22年度発掘速報展
【不純文学交遊録・過去記事】
土の中の祈り
大陸をみつめた王たち
福井県発掘調査報告会
2011年02月27日
カリスマ・カマタリ
大化の改新でおなじみ藤原鎌足に始まり、平安時代には摂政・関白として我が世の春を謳歌した藤原氏。その血脈は現在に至るまで1400年も続いています。
日本の歴代総理大臣のうち、西園寺公望と近衛文麿は藤原氏の一門です(ちなみに家格は近衛家が上)。
天智天皇の治世を支え、その功績で藤原の姓を賜った中臣鎌足。日本最大の氏族である藤原氏の始祖として、鎌足は神格化されました。
聖徳太子と並ぶ理想的な王権の輔佐役。
乙巳の変で蘇我入鹿を誅殺した武威の象徴。
維摩居士になぞらえられる世俗の仏教者。
また出生をめぐる逸話や、天智天皇(当時は中大兄皇子)と出会った蹴鞠のエピソードなど、彼の周囲は脚色で満ちています。
時代とともに増幅する、鎌足のイメージ。
本書は藤原鎌足を通して、歴史上の人物が神格化する過程を辿っています。いわば虚像としての藤原鎌足を分析した社会史・文化史の研究書です。政治家・藤原鎌足の実像や、大化の改新の謎を解き明かす本ではありません。
それはそれで十分に面白いのですが、やはり古代史の真相も気になりますね。
※蘇我入鹿暗殺事件は「乙巳の変」、その後に行われた政治改革が「大化の改新」です。
(2月27日読了)★★★★
【不純文学交遊録・過去記事】
教科書は変わる
黒幕は誰だ?
日本の歴代総理大臣のうち、西園寺公望と近衛文麿は藤原氏の一門です(ちなみに家格は近衛家が上)。
【送料無料】藤原鎌足、時空をかける |
天智天皇の治世を支え、その功績で藤原の姓を賜った中臣鎌足。日本最大の氏族である藤原氏の始祖として、鎌足は神格化されました。
聖徳太子と並ぶ理想的な王権の輔佐役。
乙巳の変で蘇我入鹿を誅殺した武威の象徴。
維摩居士になぞらえられる世俗の仏教者。
また出生をめぐる逸話や、天智天皇(当時は中大兄皇子)と出会った蹴鞠のエピソードなど、彼の周囲は脚色で満ちています。
時代とともに増幅する、鎌足のイメージ。
本書は藤原鎌足を通して、歴史上の人物が神格化する過程を辿っています。いわば虚像としての藤原鎌足を分析した社会史・文化史の研究書です。政治家・藤原鎌足の実像や、大化の改新の謎を解き明かす本ではありません。
それはそれで十分に面白いのですが、やはり古代史の真相も気になりますね。
どうしても気になる「大化の改新」をめぐる謎
・中大兄皇子は、なぜ天皇になれなかったのか
・なぜ軽皇子が即位(孝徳天皇)したのか
・退位した皇極天皇は、なぜ重祚(再び即位)したのか
・皇族である中大兄皇子が、なぜ儀式に参列していないのか
・高貴な身分の中大兄皇子が、なぜ自ら暗殺の実行犯となったのか
・蘇我入鹿を暗殺した「韓人」とは誰のことか
・中大兄皇子の弟・大海人皇子が、全く関わっていない
・改新の詔には、当時まだ使われていなかった語彙がある
・大化の改新と同時に「天皇紀」「国紀」が焼失している
・大化の改新以外に、藤原鎌足の事績は不明…など
※蘇我入鹿暗殺事件は「乙巳の変」、その後に行われた政治改革が「大化の改新」です。
(2月27日読了)★★★★
【不純文学交遊録・過去記事】
教科書は変わる
黒幕は誰だ?
2011年02月14日
前略、道の果てより。
国道といえば、きれいに舗装された複数車線の幹線道路というイメージがあります。
ところが日本全国に張り巡らされた国道のなかには、険しく曲がりくねっていて今にも崖下に落ちそうになる道路や、階段になっている道路(もちろんクルマは走れません!)、さらには川が流れている道路まであるのです。
このような国道とは思えない過酷な道路を、酷道と呼ぶそうです。
前述の階段国道は、青森県の国道339号線にあります。
川が流れている道路とは、川の水深が浅いため橋を架けずに、そのまま道路が横切っているものです。洗い越しと呼ばれ、岐阜県の国道157号線、新潟県の国道352号線などに見られます。
道路の世界に酷道があるなら、鉄道の世界にも人の立ち入りを拒む秘境駅があります。
どちらも人里離れた山奥に多い点では共通していますが、酷道と秘境駅は意外と離れた場所にあります。鉄道は自動車ほど急勾配の坂を登れないからです。道路の勾配は%で表しますが、線路の勾配は‰です。
道路に鉄道、趣味の世界は幅広く奥が深いですが、本書の著者は仕事(本業は物書きではない)や家族サービスと両立しているそうです。
趣味と日常生活との間合いの取り方でも、参考になる一冊ではないでしょうか。
(2月7日読了)★★★★
【不純文学交遊録・過去記事】
その道路、必要ですか?
ところが日本全国に張り巡らされた国道のなかには、険しく曲がりくねっていて今にも崖下に落ちそうになる道路や、階段になっている道路(もちろんクルマは走れません!)、さらには川が流れている道路まであるのです。
【送料無料】酷道VS秘境駅 |
このような国道とは思えない過酷な道路を、酷道と呼ぶそうです。
前述の階段国道は、青森県の国道339号線にあります。
川が流れている道路とは、川の水深が浅いため橋を架けずに、そのまま道路が横切っているものです。洗い越しと呼ばれ、岐阜県の国道157号線、新潟県の国道352号線などに見られます。
道路の世界に酷道があるなら、鉄道の世界にも人の立ち入りを拒む秘境駅があります。
どちらも人里離れた山奥に多い点では共通していますが、酷道と秘境駅は意外と離れた場所にあります。鉄道は自動車ほど急勾配の坂を登れないからです。道路の勾配は%で表しますが、線路の勾配は‰です。
道路に鉄道、趣味の世界は幅広く奥が深いですが、本書の著者は仕事(本業は物書きではない)や家族サービスと両立しているそうです。
趣味と日常生活との間合いの取り方でも、参考になる一冊ではないでしょうか。
(2月7日読了)★★★★
【不純文学交遊録・過去記事】
その道路、必要ですか?
2011年02月13日
脳ドーピングの時代
動物実験によって驚異的な知能を獲得した、ネズミのアルジャーノン。知能に障害をもつ青年チャーリィは、この脳手術の被験者となることで、みるみる知能が向上します。
しかし彼は、これまで自分が周囲の人々から受けてきた仕打ちを知り、手術によって得られた知能はやがて失われることを悟るのでした。
受験シーズン真っ盛り。
スポーツの世界では、記録向上を狙って筋肉増強剤や興奮剤を用いるドーピングが禁止されています。では、試験の前に薬物を服用して集中力を高めたら、それは脳ドーピングと呼べるのではないでしょうか。
脳死は、果たしてヒトの死なのか。脳をスキャンして思考を解読できるようになったら、私たちのプライバシーは守られるのか。エンハンスメント(病気の治療のために開発された技術や医薬品)によって、知能を向上させることは許されるのか…
本書は最新の脳科学の動向を踏まえた、ニューロエシックス(脳神経倫理学)の入門書です。問題提起の書という感じで、正直言ってエンターテイメント性は皆無ですが、脳科学に関心のある読者なら、なにかしら興味を引かれる話題があるかと思います。
エンターテイメント性を求めるなら、マイケル・ガザニガ『脳の中の倫理』や、V.S.ラマチャンドラン『脳の中の幽霊』『脳の中の幽霊、ふたたび』が面白いですね。
ガザニガやラマチャンドランの議論は本書でも採り上げられており、本書の内容を理解するためには、彼らの著書を先に読んでおく必要があります。
(1月27日読了)★★★★
【不純文学交遊録・過去記事】
マイ脳リティ・リポート
ないものがあり、あるものがない。
しかし彼は、これまで自分が周囲の人々から受けてきた仕打ちを知り、手術によって得られた知能はやがて失われることを悟るのでした。
ダニエル・キイス『アルジャーノンに花束を』中編1959年、長編1966年発表。
【送料無料】脳のエシックス |
受験シーズン真っ盛り。
スポーツの世界では、記録向上を狙って筋肉増強剤や興奮剤を用いるドーピングが禁止されています。では、試験の前に薬物を服用して集中力を高めたら、それは脳ドーピングと呼べるのではないでしょうか。
脳死は、果たしてヒトの死なのか。脳をスキャンして思考を解読できるようになったら、私たちのプライバシーは守られるのか。エンハンスメント(病気の治療のために開発された技術や医薬品)によって、知能を向上させることは許されるのか…
本書は最新の脳科学の動向を踏まえた、ニューロエシックス(脳神経倫理学)の入門書です。問題提起の書という感じで、正直言ってエンターテイメント性は皆無ですが、脳科学に関心のある読者なら、なにかしら興味を引かれる話題があるかと思います。
エンターテイメント性を求めるなら、マイケル・ガザニガ『脳の中の倫理』や、V.S.ラマチャンドラン『脳の中の幽霊』『脳の中の幽霊、ふたたび』が面白いですね。
ガザニガやラマチャンドランの議論は本書でも採り上げられており、本書の内容を理解するためには、彼らの著書を先に読んでおく必要があります。
(1月27日読了)★★★★
【不純文学交遊録・過去記事】
マイ脳リティ・リポート
ないものがあり、あるものがない。
タグ:生命倫理
2011年02月12日
この国のカタチ。(後編)
建国記念日に賛成であれ反対であれ、年に一度、2月11日は、この国のカタチを考える一日にしたいですね。
NHKの番組では、菅直人総理大臣が唱える「平成の開国」の是非を問うていました。
NHK 解説委員室双方向解説『どんな国を目指すのか?〜「平成の開国」の行方〜』
指導力がない、マニフェストが破綻しているなどと批判の多い菅総理ですが、中味はともかく「平成の開国」や「税と社会保障の一体改革」といった“この国のカタチ”を問う姿勢は、評価して良いと思います。少なくとも、日によってコロコロ発言が変わり、日米関係を壊しただけの鳩山由紀夫前総理よりはずっとマシです。
しかし、冒頭の挨拶から下を向いて原稿を読んでしまうのは、なんとかならないでしょうか…
(中華人民共和国の胡錦濤国家主席との会談)
巨額の財政赤字を抱える日本の国債の格付けが、とうとう引き下げられました。それでも長期金利が上昇しないのは、日本の消費税率が低い(増税による財政再建の余地がある)からでしょう。
ただし増税する前には、国会議員と国家公務員の給与削減はもちろん、高速道路の無料化、所得制限のない子供手当、農家の戸別所得補償といった無意味なバラマキを止めることが絶対条件です。
近い将来、消費税が10%になるのは必至でしょうが、生活必需品を非課税(または別税率)にするのは反対です。生活必需品と贅沢品の区別を、一体誰が決めるのでしょうか。二重の税率は、新たな利権の温床になるだけです。そもそも税制は、シンプルであることが第一。税制がシンプルになれば役所の仕事は減り、政治も経済も効率化されます。税の捕捉率も上がるでしょう。
消費税が10%になっても、食料価格を大幅に引き下げる方法があります。それは農林水産省を廃止することです。余計な農業保護がなくなれば、食料価格は下がり、財政支出を削減できます。これぞ最強の景気対策ではありませんか。
日本の食料自給率の低さ(カロリーベース40%)が問題にされますが、金額ベースでは70%あります。ただ、食料の安定供給が確保されているなら、自給率なんてどうでもいいです。
それでも不測の事態に備えて、コメだけは自給率100%を維持しても良いでしょう。専業農家に限ってなら、所得補償をしても良いと思います。それでも農林水産省は必要ありません。その仕事は経済産業省がすれば良いでしょう。
そもそも、これまで政府がやってきたことは農家の保護であって、農業の保護ではなかったと思います。「農家栄えて、農業滅びる」では本末転倒です。
TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加には、農業保護の立場から根強い反対があります。今朝のNHKの番組でも、農業と工業は違うとしてTPPに反対する視聴者の意見がありました。
農業とは、食料を生産する工業に他なりません。しかしながら、食は経済効率だけで語るべきものではなく、農業にノスタルジーを求める心情は理解できます。それならば、農薬や化学肥料を使わず、里山の風景を保全し、伝統的な農村社会の民俗を継承する農家を、農業としてではなく重要無形文化財として保護すれば良いのです。農業を神聖視する消費者は、どんなに高い作物でも買ってくれるでしょうから、税金を投入して保護する必要はないかもしれませんね(笑)
日本の高品質な農作物を輸出するチャンスとして、TPPへの参加を歓迎する農家もあります。TPPへの参加が良いのか、個別に二国間でFTA(自由貿易協定)を結ぶのが良いのかは、専門家の判断に任せます。
平成の開国によって、移民の受け入れの是非も問われるでしょう。
日本人でありながら反日的な言論人よりは、日本が好きで、日本語を話し、皇室の存在に理解を示す移民を、目の色・肌の色が違っても日本人として認めたいと思います。
【不純文学交遊録・過去記事】
この国のカタチ。(前編)
NHKの番組では、菅直人総理大臣が唱える「平成の開国」の是非を問うていました。
NHK 解説委員室双方向解説『どんな国を目指すのか?〜「平成の開国」の行方〜』
指導力がない、マニフェストが破綻しているなどと批判の多い菅総理ですが、中味はともかく「平成の開国」や「税と社会保障の一体改革」といった“この国のカタチ”を問う姿勢は、評価して良いと思います。少なくとも、日によってコロコロ発言が変わり、日米関係を壊しただけの鳩山由紀夫前総理よりはずっとマシです。
しかし、冒頭の挨拶から下を向いて原稿を読んでしまうのは、なんとかならないでしょうか…
(中華人民共和国の胡錦濤国家主席との会談)
巨額の財政赤字を抱える日本の国債の格付けが、とうとう引き下げられました。それでも長期金利が上昇しないのは、日本の消費税率が低い(増税による財政再建の余地がある)からでしょう。
ただし増税する前には、国会議員と国家公務員の給与削減はもちろん、高速道路の無料化、所得制限のない子供手当、農家の戸別所得補償といった無意味なバラマキを止めることが絶対条件です。
近い将来、消費税が10%になるのは必至でしょうが、生活必需品を非課税(または別税率)にするのは反対です。生活必需品と贅沢品の区別を、一体誰が決めるのでしょうか。二重の税率は、新たな利権の温床になるだけです。そもそも税制は、シンプルであることが第一。税制がシンプルになれば役所の仕事は減り、政治も経済も効率化されます。税の捕捉率も上がるでしょう。
消費税が10%になっても、食料価格を大幅に引き下げる方法があります。それは農林水産省を廃止することです。余計な農業保護がなくなれば、食料価格は下がり、財政支出を削減できます。これぞ最強の景気対策ではありませんか。
日本の食料自給率の低さ(カロリーベース40%)が問題にされますが、金額ベースでは70%あります。ただ、食料の安定供給が確保されているなら、自給率なんてどうでもいいです。
それでも不測の事態に備えて、コメだけは自給率100%を維持しても良いでしょう。専業農家に限ってなら、所得補償をしても良いと思います。それでも農林水産省は必要ありません。その仕事は経済産業省がすれば良いでしょう。
そもそも、これまで政府がやってきたことは農家の保護であって、農業の保護ではなかったと思います。「農家栄えて、農業滅びる」では本末転倒です。
TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加には、農業保護の立場から根強い反対があります。今朝のNHKの番組でも、農業と工業は違うとしてTPPに反対する視聴者の意見がありました。
農業とは、食料を生産する工業に他なりません。しかしながら、食は経済効率だけで語るべきものではなく、農業にノスタルジーを求める心情は理解できます。それならば、農薬や化学肥料を使わず、里山の風景を保全し、伝統的な農村社会の民俗を継承する農家を、農業としてではなく重要無形文化財として保護すれば良いのです。農業を神聖視する消費者は、どんなに高い作物でも買ってくれるでしょうから、税金を投入して保護する必要はないかもしれませんね(笑)
日本の高品質な農作物を輸出するチャンスとして、TPPへの参加を歓迎する農家もあります。TPPへの参加が良いのか、個別に二国間でFTA(自由貿易協定)を結ぶのが良いのかは、専門家の判断に任せます。
平成の開国によって、移民の受け入れの是非も問われるでしょう。
日本人でありながら反日的な言論人よりは、日本が好きで、日本語を話し、皇室の存在に理解を示す移民を、目の色・肌の色が違っても日本人として認めたいと思います。
【不純文学交遊録・過去記事】
この国のカタチ。(前編)
【送料無料】「食料自給率」の罠 |
2011年02月11日
この国のカタチ。(前編)
本日は、皇紀2671年の紀元節です。
紀元前660年、カムヤマトイワレヒコノミコトが、大和国橿原で天皇に即位した故事に基いています。
神武天皇は架空の人物だったかもしれませんし、実在したとしても、紀元前660年の即位に歴史学的・考古学的な裏付けはありません。しかしながら、私たちが日頃なにげなく使っている西暦にも科学的な根拠はありません。ナザレのイエスが生まれたのは紀元前4年です。世界中が納得できる科学的な暦を作るならば、ビッグバン紀元にするしかないでしょう。創造論者の猛反発は必至ですが(笑)。
日本の歴史を科学的に解明することは重要であり、建国記念日を批判するのは自由ですが、たとえ科学的根拠はなくとも、なんらかのカタチで国民が日本の歴史に思いを馳せる記念日はあるべきだと思います。
日本国の起源をめぐって避けて通れないのが、邪馬台国論争です。
私は歴史学で飯を食ってはいないので、邪馬台国が畿内でも九州でも(はたまた岩手県でも架空の国でも)構いませんが、3世紀の日本列島で一番大きな遺跡が邪馬台国であるとは限らないと考えています。
奈良県桜井市の箸墓古墳を卑弥呼の墓だとする説がありますが、やはり古代史の真相は古墳を調査しないと解らないでしょう。天皇陵でなくとも、陵墓参考地とされた古墳には立ち入ることができません。
発掘は、必然的に遺跡の破壊を伴います。ましてや天皇陵の発掘となれば、皇室の聖性を侵すものとして批判は避けられません。しかし、発掘しなくても出来る調査はあります。
宮内庁による陵墓指定には異論が多く、是非とも最新の歴史学の成果による見直しをお願いしたいものです。
その一方で私は、王権の聖性や祭祀の由来に、合理性や科学的な根拠は不要だと考えています。ですから仮に科学的調査の結果、皇室の祖先が渡来系だったり、皇位継承が万世一系でなかったりしても、私の皇室に対する敬意は変わりません。
つづく
紀元前660年、カムヤマトイワレヒコノミコトが、大和国橿原で天皇に即位した故事に基いています。
神武天皇は架空の人物だったかもしれませんし、実在したとしても、紀元前660年の即位に歴史学的・考古学的な裏付けはありません。しかしながら、私たちが日頃なにげなく使っている西暦にも科学的な根拠はありません。ナザレのイエスが生まれたのは紀元前4年です。世界中が納得できる科学的な暦を作るならば、ビッグバン紀元にするしかないでしょう。創造論者の猛反発は必至ですが(笑)。
日本の歴史を科学的に解明することは重要であり、建国記念日を批判するのは自由ですが、たとえ科学的根拠はなくとも、なんらかのカタチで国民が日本の歴史に思いを馳せる記念日はあるべきだと思います。
日本国の起源をめぐって避けて通れないのが、邪馬台国論争です。
私は歴史学で飯を食ってはいないので、邪馬台国が畿内でも九州でも(はたまた岩手県でも架空の国でも)構いませんが、3世紀の日本列島で一番大きな遺跡が邪馬台国であるとは限らないと考えています。
奈良県桜井市の箸墓古墳を卑弥呼の墓だとする説がありますが、やはり古代史の真相は古墳を調査しないと解らないでしょう。天皇陵でなくとも、陵墓参考地とされた古墳には立ち入ることができません。
発掘は、必然的に遺跡の破壊を伴います。ましてや天皇陵の発掘となれば、皇室の聖性を侵すものとして批判は避けられません。しかし、発掘しなくても出来る調査はあります。
宮内庁による陵墓指定には異論が多く、是非とも最新の歴史学の成果による見直しをお願いしたいものです。
その一方で私は、王権の聖性や祭祀の由来に、合理性や科学的な根拠は不要だと考えています。ですから仮に科学的調査の結果、皇室の祖先が渡来系だったり、皇位継承が万世一系でなかったりしても、私の皇室に対する敬意は変わりません。
つづく
【送料無料】邪馬台国はどこですか? |
2011年01月31日
生命は宇宙で誕生した?(後編)
ピラミッドやナスカの地上絵を見て、人類の文明は宇宙人によってもたらされたとか、人類は宇宙人が類人猿に遺伝子操作をして生まれたのだと主張する人がいます。そんな人には是非とも「その宇宙人に文明を教えたのは何星人?」と聞いてみたいですね(笑)
パンスペルミア説にも同様の批判があります。最初の生命が誕生した場所を、地球上から宇宙空間へ先送りしたに過ぎないと。
生命の起源として有力視されているのが、深海底の熱水噴出孔です。熱水噴出孔の周辺には、酸素を必要としない嫌気性生物の生態系が存在します。
しかし、パンスペルミア説にも可能性を感じます。生命が宇宙で誕生したのではなくとも、生命の素となった有機物が宇宙空間で生成されて、彗星や隕石によって地球に飛来したのかもしれません。アミノ酸のホモキラリティー(分子の偏り)が、宇宙に由来するとの説もあります。
昨年12月には、リンの代わりに砒素を栄養とする細菌(GFAJ-1)がNASAによって発表され、地球外生命の可能性を示唆するものとして話題になりました。
1990年、ホイルとウィックラマシンジはイギリスの科学雑誌『Nature』に、インフルエンザの流行と太陽黒点の周期が連動しているとの説を発表しました。太陽活動が活発化すると地球に飛来する紫外線やガンマ線が増加し、ウイルスの遺伝子が突然変異します。人類は新しいウイルスに対する免疫がないので、インフルエンザが流行するというのです。
宇宙線の放射が生物の遺伝子に変異をもたらし、進化の原動力になったとするヘンリク・スベンスマルクや丸山茂徳には、先人がいたわけです。こちらは逆に、太陽活動が低下する(太陽風が弱まる)ことで、地球に到達する宇宙線の量が増えるとの説明ですが。
著者の長沼毅は、深海や極地などの極限環境に生息する生物を研究する学者です。NHK総合テレビ『プロフェッショナル』にも出演しました。
本書は(学界でまともに相手をされない?)パンスペルミア説を信仰する、異端者の告白のように始まります。版元は化学同人という理工系出版社ですが、まるでトンデモ本を手に取ったかのような気分になりますので(笑)、先にNHKブックスから出ている『生命の星・エウロパ』を読んだ方が安心かもしれません。
木星の衛星エウロパは、表面を氷に覆われていますが、その下に海があると考えられており、地球外生命探査の候補のひとつです。
(1月22日読了)★★★★
【不純文学交遊録・過去記事】
生命は宇宙で誕生した?(前編)
資源大国ニッポン
泰平の眠りを覚ます宇宙線
タフな奴ら。
世界は〇〇で出来ている
【関連サイト】
NHKプロフェッショナル仕事の流儀
パンスペルミア説にも同様の批判があります。最初の生命が誕生した場所を、地球上から宇宙空間へ先送りしたに過ぎないと。
【送料無料】生命の起源を宇宙に求めて |
生命の起源として有力視されているのが、深海底の熱水噴出孔です。熱水噴出孔の周辺には、酸素を必要としない嫌気性生物の生態系が存在します。
しかし、パンスペルミア説にも可能性を感じます。生命が宇宙で誕生したのではなくとも、生命の素となった有機物が宇宙空間で生成されて、彗星や隕石によって地球に飛来したのかもしれません。アミノ酸のホモキラリティー(分子の偏り)が、宇宙に由来するとの説もあります。
昨年12月には、リンの代わりに砒素を栄養とする細菌(GFAJ-1)がNASAによって発表され、地球外生命の可能性を示唆するものとして話題になりました。
「ヒ素で生きる細菌」の発見が生命の定義を覆した
(月刊化学2011年2月号)
1990年、ホイルとウィックラマシンジはイギリスの科学雑誌『Nature』に、インフルエンザの流行と太陽黒点の周期が連動しているとの説を発表しました。太陽活動が活発化すると地球に飛来する紫外線やガンマ線が増加し、ウイルスの遺伝子が突然変異します。人類は新しいウイルスに対する免疫がないので、インフルエンザが流行するというのです。
宇宙線の放射が生物の遺伝子に変異をもたらし、進化の原動力になったとするヘンリク・スベンスマルクや丸山茂徳には、先人がいたわけです。こちらは逆に、太陽活動が低下する(太陽風が弱まる)ことで、地球に到達する宇宙線の量が増えるとの説明ですが。
このアイデアの先駆的な例は、マイクル・クライトンの小説『アンドロメダ病原体』(1969年)でしょう。
著者の長沼毅は、深海や極地などの極限環境に生息する生物を研究する学者です。NHK総合テレビ『プロフェッショナル』にも出演しました。
本書は(学界でまともに相手をされない?)パンスペルミア説を信仰する、異端者の告白のように始まります。版元は化学同人という理工系出版社ですが、まるでトンデモ本を手に取ったかのような気分になりますので(笑)、先にNHKブックスから出ている『生命の星・エウロパ』を読んだ方が安心かもしれません。
木星の衛星エウロパは、表面を氷に覆われていますが、その下に海があると考えられており、地球外生命探査の候補のひとつです。
(1月22日読了)★★★★
【不純文学交遊録・過去記事】
生命は宇宙で誕生した?(前編)
資源大国ニッポン
泰平の眠りを覚ます宇宙線
タフな奴ら。
世界は〇〇で出来ている
【関連サイト】
NHKプロフェッショナル仕事の流儀
2011年01月30日
生命は宇宙で誕生した?(前編)
生命は、約40億年前に誕生しました。
無生物から生命が誕生したのはそのときだけで、現存する生物は原初の生命の子孫であると考えられます(生命の誕生が一度きりで、たった一個の細胞だったとは限りませんが)。
生命の誕生を再現しようとした試みとして、ユーリー・ミラーの実験が知られていますが、未だ生命を化学的に生成することに成功した科学者はいません。
地球上で生命が発生するのは極めて稀な確率であり、地球の誕生から生命の誕生までの時間は十分ではないとする意見があります(もちろん、数億年もあれば十分だとする反論もあります)。
そこで原初の生命は宇宙で誕生し、隕石や彗星によって地球に飛来したのだとする説が生まれました。これをパンスペルミア説と呼びます(パン=汎、スペルミア=胚種)。
教科書的な常識を打ち破る新説・異説を好む私が、中学生の頃に読んで衝撃を受けた本が、フレッド・ホイルとチャンドラ・ウィックラマシンジによる『生命は宇宙から来た』(光文社カッパサイエンス)でした。特に面白かったのが昆虫に関する記述で、ショウジョウバエは地球上に存在しない波長の紫外線を見ることが出来るといいます。
昆虫は地球上で最も種類が多く、繁栄している生物です。卵→幼虫→蛹→成虫と劇的な変態を遂げる昆虫が、実はエイリアンなのだと言われると、つい信じたくなってしまいます(蛹を経ないで不完全変態する昆虫もいます)。
ホイルはイギリスの天文学者で、ビッグバン宇宙論に対抗する定常宇宙論の提唱者でした。彼はビッグバンの命名者であり、またSF作家としても知られています(つまりビッグバンとは、論敵側から付けられた蔑称なのです)。
『生命は宇宙から来た』の訳者は、科学雑誌『サイエンス』(現『日経サイエンス』)編集長の餌取章男。NHK総合テレビの児童向けニュース番組『600こちら情報部』の人気コーナー「なんでも相談」で、科学分野の回答者だった方です。
また、古い話になってしまいました…(笑)
つづく
無生物から生命が誕生したのはそのときだけで、現存する生物は原初の生命の子孫であると考えられます(生命の誕生が一度きりで、たった一個の細胞だったとは限りませんが)。
生命の誕生を再現しようとした試みとして、ユーリー・ミラーの実験が知られていますが、未だ生命を化学的に生成することに成功した科学者はいません。
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地球上で生命が発生するのは極めて稀な確率であり、地球の誕生から生命の誕生までの時間は十分ではないとする意見があります(もちろん、数億年もあれば十分だとする反論もあります)。
そこで原初の生命は宇宙で誕生し、隕石や彗星によって地球に飛来したのだとする説が生まれました。これをパンスペルミア説と呼びます(パン=汎、スペルミア=胚種)。
教科書的な常識を打ち破る新説・異説を好む私が、中学生の頃に読んで衝撃を受けた本が、フレッド・ホイルとチャンドラ・ウィックラマシンジによる『生命は宇宙から来た』(光文社カッパサイエンス)でした。特に面白かったのが昆虫に関する記述で、ショウジョウバエは地球上に存在しない波長の紫外線を見ることが出来るといいます。
昆虫は地球上で最も種類が多く、繁栄している生物です。卵→幼虫→蛹→成虫と劇的な変態を遂げる昆虫が、実はエイリアンなのだと言われると、つい信じたくなってしまいます(蛹を経ないで不完全変態する昆虫もいます)。
ホイルはイギリスの天文学者で、ビッグバン宇宙論に対抗する定常宇宙論の提唱者でした。彼はビッグバンの命名者であり、またSF作家としても知られています(つまりビッグバンとは、論敵側から付けられた蔑称なのです)。
『生命は宇宙から来た』の訳者は、科学雑誌『サイエンス』(現『日経サイエンス』)編集長の餌取章男。NHK総合テレビの児童向けニュース番組『600こちら情報部』の人気コーナー「なんでも相談」で、科学分野の回答者だった方です。
また、古い話になってしまいました…(笑)
つづく
2011年01月25日
人虎は災厄を招く
平凡な官吏で生涯を終えることを潔しとせず、職を辞し、詩人として身を立てることを決意した唐の役人、李徴。しかし夢破れた李徴は、発狂し、行方不明となり、獰猛な人食い虎へと姿を変えてしまいました。
国語の教科書でおなじみ中島敦の『山月記』は、人虎伝と呼ばれる支那の怪異譚をモチーフとしています。
第44回メフィスト賞を受賞した丸山天寿『琅邪の鬼』の続編が刊行されました。
戦国時代を制して天下を統一した、始皇帝こと秦王政。彼の残された野望は、不老長寿の仙薬を手に入れること。秦王は、神仙の地への入り口とされる山東半島の港町・琅邪を優遇し、12年間免税としました。おかげで琅邪は急速に発展しましたが、ひと稼ぎしようと各地から人々が流入し治安は悪化。琅邪の求盗(今でいう警察官)・希仁の前に、ふたたび難題が立ち塞がります。
琅邪山の虎が里に降りて人となり、神木の下で連続殺人が起こり、始皇帝の観光台が崩壊する…これらは古代の琅邪王の祟りなのか。紀元前が舞台の作品なので、たとえ超常現象的な事件であっても許せてしまうのですが、そこはミステリらしく合理的に解き明かされます。
本作のもうひとつの魅力である、痛快なアクションシーンも健在。小剣使いの狂生、その妻で馬術に優れた桃、上海雑技団もビックリの身軽な飲み屋の女主人・蓮。三人の武術は人間離れしていますが、事件はフェアに解決されるのでご心配なく。
最後に事態を収束させるのは、狂生の兄・無心。秦に滅ぼされた韓の出身で、国家転覆を目論んでいます。私が最も好きな登場人物です。
次回作は『咸陽の闇』と予告されています。いよいよ秦の都が舞台です。
著者は邪馬台国研究をライフワークとし、日本人のルーツを探るうちに小説の構想へと至りました。徐福たちは始皇帝と対決し、琅邪の船団を率いて日本列島を目指すのでしょうか。徐福伝説と日本建国について、著者の壮大な仮説が披露される日を楽しみにしています。
(1月17日読了)★★★★
【不純文学交遊録・過去記事】
ミステリに中国人が登場したっていいじゃない
棄てられた神
【関連サイト】
丸山天寿生存日記
国語の教科書でおなじみ中島敦の『山月記』は、人虎伝と呼ばれる支那の怪異譚をモチーフとしています。
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第44回メフィスト賞を受賞した丸山天寿『琅邪の鬼』の続編が刊行されました。
戦国時代を制して天下を統一した、始皇帝こと秦王政。彼の残された野望は、不老長寿の仙薬を手に入れること。秦王は、神仙の地への入り口とされる山東半島の港町・琅邪を優遇し、12年間免税としました。おかげで琅邪は急速に発展しましたが、ひと稼ぎしようと各地から人々が流入し治安は悪化。琅邪の求盗(今でいう警察官)・希仁の前に、ふたたび難題が立ち塞がります。
琅邪山の虎が里に降りて人となり、神木の下で連続殺人が起こり、始皇帝の観光台が崩壊する…これらは古代の琅邪王の祟りなのか。紀元前が舞台の作品なので、たとえ超常現象的な事件であっても許せてしまうのですが、そこはミステリらしく合理的に解き明かされます。
本作のもうひとつの魅力である、痛快なアクションシーンも健在。小剣使いの狂生、その妻で馬術に優れた桃、上海雑技団もビックリの身軽な飲み屋の女主人・蓮。三人の武術は人間離れしていますが、事件はフェアに解決されるのでご心配なく。
最後に事態を収束させるのは、狂生の兄・無心。秦に滅ぼされた韓の出身で、国家転覆を目論んでいます。私が最も好きな登場人物です。
次回作は『咸陽の闇』と予告されています。いよいよ秦の都が舞台です。
著者は邪馬台国研究をライフワークとし、日本人のルーツを探るうちに小説の構想へと至りました。徐福たちは始皇帝と対決し、琅邪の船団を率いて日本列島を目指すのでしょうか。徐福伝説と日本建国について、著者の壮大な仮説が披露される日を楽しみにしています。
(1月17日読了)★★★★
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