November 23, 2011

PHENOMENA:BLIND FAITH 

 こちらが先日ちょっとだけ触れた、トニー マーティンが1曲だけ参加したPHENOMENAプロジェクトの新作です。
 このプロジェクトはもともとメル ギャレーとトム ギャレーの兄弟が始めたプロジェクトで、過去に3枚の作品をリリースした後、15年ほどの休止期間を経て2006年にPSYCHO FANTASYをリリースして(以前と色あいは多少異なるものの)復活していました。
 3年前にメルが死去した事で「プロジェクトは終わったのかも?」と思っていましたが、本作はそれを乗り越えて2010年にリリースされたもの。メルの遺産といえる楽曲も採用されていて、ファンは聴く価値のある一枚です。

PHENOMENA / 「BLIND FAITH」
<b>PHENOMENA / 「BLIND FAITH」</b>

  このアルバムの収録曲目は以下の通り。

1. The Sky Is Falling
2. Blind Faith
3. Fighting
4. Liar
5. It's Over (I Was Gonna Tell You Tonight)
6. Angels Don't Cry
7. If You Love Her
8. House Of Love
9. Don't Ever Give Your Heart Away
10. One More Chance


 今回は先に名を挙げたマーティンのほか、FMのスティーヴ オーヴァーランドや、'90年にDEEP PURPLEへ入りかけた事がある(ジョー リン ターナー加入前の候補)テリー ブロック、さらには女性ソロシンガーのロビン ベックと、(例によって派手さとはあまり縁が無いものの)確かな力を持つメンバーが集まっています。しかし今までPHENOMENAに常連のように名を連ねていたグレン ヒューズは不参加。メルへの追悼と言う意味でも、この作品には参加して貰いたかったですが・・・。

 作風は今まで同様に地味ながら味わい深いハードロック作品。音の出で立ちは現代的ですが、オープニングの「The Sky Is Falling」から、どっしり落ち着いたミッドテンポの楽曲に全体を包む雰囲気やメロディは、前作「PSYCHO FANTASY」はもちろん、過去の作品にも通じるようなムードがあります。バイオリンをイントロにフィーチャーした「Blind Faith」は、小気味良さを持った展開や耳に馴染むメロディがいい感じ。ボブ モラッティのヴォーカルもパワーあるハイトーンが心地よく、タイトル曲らしく印象に残るナンバーです。トニー マーティンが歌っている4曲目の「Liar」も前作と趣きを異にするスピードナンバーで、厚いギターに荘厳なコーラスが耳に残る。奇をてらったように転調する中盤で聴けるヴォーカルがまたマーティンらしくてイイ。ロビン ベックがちょっと枯れた感じで、色気のある歌を披露する「It's Over」は、前4曲のダークなイメージからカラッと明るくなり、アルバムの中でアクセントになっています。

 「Angels Don't Cry」からの後半はまたミッドテンポの曲が21世紀型のPHENOMENAらしい曲想を歌います。しかしダークな色合いでもコーラスの歌メロディは適度にキャッチーなので、極端な重苦しさにはならないのが好印象ですね。続くドラマティックな「If You Love Her」は、歌っているクリス オージィがもろにグレン ヒューズ風の声色と歌いまわしで魅せてくれます。2曲目でも良いヴォーカルを聴かせてくれたボブ モラッティが爽やかでおおらかな曲でも魅力的な所をみせる「House Of Love」も後半の特徴でしょうか。ラストの「One More Chance」はヘヴィながらキャッチーなアメリカンテイストのある曲。テリー ブロックはさすがの巧さで、パワーとややハスキーな感じのある声もバッチリ曲へ似合っています。

 本作でメル ギャレーの曲としてクレジットされている曲は3曲目の「Fighting」と「Don't Ever Give Your Heart Away」の2曲(後者はグレン ヒューズも共作者として名前があります)。前者はキャッチーなアップテンポナンバー。前作では無かったようなタイプの曲で、ラルフ シーパーズのヴォーカルがまたハマっています。8曲目の「Don't Ever Give Your Heart Away」はスティーヴ オーバーランドが(「If You Love Her」のクリス オージィ以上に)グレン風味のヴォーカルを聴かせてくれて、ファンをニンマリとさせてくれます。
 マニアな方はピンと来るかも知れませんが(・・・って、どんだけマニアよ)、この2曲はメルがWHITESNAKE脱退後の'85年に再結成TRAPEZE用の楽曲として作曲したマテリアルが元になっていて、メルがバーニー マースデンやニール マーレイと'87年に組んだ"MGM"のライヴでも演奏されていたもの。 '85年のTRAPEZEのデモは(当然ですが)グレンが、またMGMのデモはトニー マーティンが歌っていたので、このメンバーでのPHENOMENAにも通じます。この2曲が四半世紀を経てきちんとした楽曲になり、ここで聴けるのはとても感慨深い。やっぱりグレンを呼んで欲しかったなぁ・・・。

 確かに大きな話題になるような作品ではありませんし、華やかさも控え目(・・・というか、ぶっちゃけ地味)ですが、過去作からのファンやメロディアスなハードロックが好きな人の期待には充分以上に応える作品です。CDでの入手が難しくても、iTunesなどのダウンロード販売ならば簡単確実に手に入るので、興味がある人にはぜひ聴いて欲しい作品です。
タグ:2010年
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この記事へのコメント
YoutubeでHouse Of Loveを聴いて感動しました。
しかし、MGMとは……よく気がつきますねぇ。
さすがです。
Posted by Voice of SIREN at November 24, 2011 06:38
>Voice of SIRENさん
こんばんわ。
曲目を見た時に「見覚えがある曲名だな」と思い、聴き始めて「聴き覚えがある」と直感はしたのですが、MGMを思い出したのは偶然でした。
この2曲に限らず他の楽曲もなかなか良質ですし、作品そのものがもう少し知られていても良いような気はするのですが・・・。
Posted by 船橋所属 at November 25, 2011 21:53


 
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