ところで常典(とも略す)は、4月から9月までは午前8時と夕方5時、そして10月から3月までは午前9時と午後3時に、天照大御神・豊受大神ら諸祭神に御饌殿(みけでん)でお食事を戴いていただく祭典である。前夜から精進潔斎した権禰宜さんが隣接した忌火屋殿で夏期は午前5時、冬期は6時から、忌火を起こすところから調理が始まる。調理に使う火である。その忌火もライターやマッチは使わずに、神宮創始の頃と同様に、木(檜と山びわ)を擦り合わせる火きり具の摩擦で発火させて火を起こす。それから3時間もかけて強飯・乾鰹・鯛・昆布・荒海布・ひじき・果物に御神酒などを用意し、唐櫃に納めて忌火屋殿から御饌殿に運び供進する。御饌殿は、神々の食堂である。これが毎日、雨の日も風の日も一年365日、1400年近くも続いている。聖武天皇の神亀6(729)年に、豊受宮の外院に御饌殿が再建されて以降、続いているということだ(※)。神宮における祭典の多くは、そのくらいの歴史があって、知らぬうちに国と民の長久と安寧が祈願されている。
(※)所功【伊勢神宮】講談社学術文庫、P.88
by HP【舞!組曲】www.photoland-aris.com/myanmar/
(添付写真は、昨日の撮影)