2008年04月12日

ファンタジー/現代のアラビアンナイト「漂泊の王の伝説」


よく聞け。われわれはみな、自分のすることに責任がある。よい行いにも悪い行いにも。そして、人生はかならず、おまえのした文だけ返してよこす。忘れるなよ。人生は、そのつぐないをさせるということを・・・。

砂漠の国キンダの王子ワリードは、美しく勇敢で賢く、そのうえ詩人でもありました。

ワリードは、父王に自分の詩を認めてもらうがため、国をあげての詩のコンクールを開くきます。

しかし、こともあろうに、一介の名も無き絨毯織りが創った詩が優勝をさらってしまうのでした。

高名な詩人に、「あなたの詩には心がともなっていない」と諭されるワリード。

嫉妬と屈辱に苛まれるワリードは、絨毯織りにとんでもない難題を言い渡します。

それは「人類の歴史すべてを折り込んだ絨毯」を織り上げることでした。

故郷を遠く離れ、家族からも引き離された絨毯織りは、長い長い年月の末、ついにその絨毯を織りあげるのですが、絶命してしまいます。

一方、絨毯織りに復讐したつもりが、逆にだんだんと心を病んでいくワリード。

国があれ、民の心はすさみ、部下にも裏切られたワリードの行く先は・・・。

砂漠の国。王子と盗賊。嫉妬と裏切り。世にも不思議な力を秘めた絨毯。

アラビアン・ナイトのような美しく不思議な物語ですが、ただそれだけではありません。

ワリードを通して人の魂の堕落と再生を。

人類の歴史を織りこんだ絨毯のなかに、人類の傲慢への警鐘が描かれている、とってもスケールの大きなファンタジーです。

あたかもこの本こそが一枚の華麗なペルシャ絨毯のよう。

読みごたえありますヨ。
漂泊の王の伝説漂泊の王の伝説
ラウラ・ガジェゴ・ガルシア 松下 直弘

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