2011年07月30日

詩の本/「奈良少年刑務所詩集〜空が青いから白をえらんだのです」

読むたびに、涙が止まりません。

奈良少年刑務所の少年たちが、「社会性涵養ブログラム」の一環として、詩人・寮美千子さんの授業を受けて書いた、玉のような言葉たち。

純真な恋の場面、美しい童話、母を思う切なる想い。こんなにも真摯に、こんなにも心を打つ言葉を持っている、繊細な優しい子どもたち。

彼等がなぜ罪を犯してしまったのか。
社会は彼等をなぜ救えなかったのか。

彼等をそこまで追いつめてしまったものは何なのか。
誰もが、生まれてきたときは、まっさらな赤ちゃんだったはずなのに。

寮先生も最後に書かれていらっしゃるとおり、これは日本中、ひいては世界中の大人と社会の責任でもあると思います。

そしてまた、自分の心を言葉にすることでこんなにも変わっていく、目覚めていく子供たちの姿に「ことば」や「詩」の持つ力を改めて感じました。

もしも、すべての子どもたちが、彼等のような時間を幼いうちに持つことができたなら。世界は変わっていくのかもしれません。

すべての子どもたちに、「ことば」を。

私は私のできる事をしていきたいと、改めて思っています。


空が青いから白をえらんだのです ―奈良少年刑務所詩集― (新潮文庫)空が青いから白をえらんだのです ―奈良少年刑務所詩集― (新潮文庫)
寮 美千子

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2011年04月09日

エッセイ/「家族の歌〜河野裕子の死を見つめた344日〜」



いつまでも私はあなたのお母さんごはんを炊いてふとんを干して      河野裕子




昨年8月、乳がんのために亡くなられた、女流歌人・河野裕子さん。その偉大な存在が消えてしまったことは、私にとって、まるで山がひとつ消えてしまったかのような喪失感です。

その河野裕子さんの歌とエッセイを中心に、夫で歌人の永田和宏さん、お嬢様で歌人の永田紅さん、息子さんで歌人の永田淳さん、淳さんの奥様でやはり歌人の植田裕子さんが歌と文を寄せた、往復書簡のような一冊。

うたうこと=いきること。河野さんの大地のような歌を読むたびに感じていたことを、改めて確認したような気がします。

胸がぎゅっと痛くなるほど、あたたかく、いとおしい、家族の風景。今の日本で、いちばん大切なものが、ここにあります。

日頃あまり短歌を読まないという方も、ぜひ読んでみてください。

家族の歌 河野裕子の死を見つめた344日家族の歌 河野裕子の死を見つめた344日
河野裕子 永田和宏 その家族

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詩歌の本/「ねんてん先生の俳句の学校」



たんぽぽのぽぽのあたりが火事ですよ   坪内稔典



わぁぃ!

わたしのだい・だい・だいすきな、坪内稔典先生による、子どもたち向けの俳句の本が出ました!

季節の名句、季節の言葉が、美しいイラスト入りで、わかりやすく解説されています。

子どもたちなら、これを読んだだけで、すらすらと行くをつくっちゃうだろうなぁ、と思います。

シリーズ全三冊。
これも、学校の図書室にあると、よいですよね。

小学校向けだけど、中学でも、いいんじゃないでしょうか。

国語の俳句の授業に。

ねんてん先生の俳句の学校〈1〉季節のことばを見つけよう 春夏ねんてん先生の俳句の学校〈1〉季節のことばを見つけよう 春夏
坪内 稔典

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2010年10月10日

詩の本/心に深くしみいる、美しい絵本 「長田弘 詩ふたつ」



何もないところに、
木を一本、わたしは植えた。
それが世界のはじまりだった。



敬愛してやまない、詩人・長田弘さんの詩二編に、グスタフ・クリムトの画がつけられた、美しい絵本。

詩と志

心と言葉

生と死

哀しみと喜び

人と人

大きなめぐりの中に生かされている自分

自分では決して到達しえない深遠に、耳をすませることができる。

そんな一冊。静かな金色の秋の午後、そっと開いてみてください。

詩ふたつ詩ふたつ
長田 弘 グスタフ・クリムト

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2010年08月19日

詩の本/遠藤由季 歌集 「アシンメトリー」

2010081913350000.jpg




ひっそりと星が感光していたるシーツ取り込む青きゆうべに

溶けたいと願うきみではなくなって胸元の雪ほつりと溶かす

奪われた涙腺のようゆうぐれの水槽に餌をつつくらんちゅう

あおあおと夕闇は来て赤い服着たわたくしは燃えさしとなる




お友だちが、歌集を出しました。

短歌研究社刊行「アシンメトリー」です。

作者は、短歌結社「かりん」所属の遠藤由季さん。

第一回「中城ふみこ賞」を受賞されていらっしゃいます。

お友だちと言っても、私よりずっとお若くて、とても可愛らしい美しい方なんですよ。

由季さんの詠まれる、せつなく美しい恋歌が、ぎゅっと詰まった、素敵な歌集。

ぜひ★






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2010年07月01日

詩の本/くどうなおこの「のはらうた」英訳版「えいご・のはらうた」

みんながだいすきな、あの「のはらうた」が英語に!

うさぎふたご、こぶなようこ

へびいちのすけ、 かまきりりゅうじ

おがわはやと、けやきだいさく・・・。

のはらみんなオールスターが、

英語で詩をつぶやきます。

あたりまえのことですが、

日本語として美しい詩は、

英語にしても美しいんですね。

ことばのリズム、ひびき、日本語との対比が、とっても面白いです。

家庭で読むのはもちろん、英語の教材になんてどうでしょう?

きっと、楽しいと思うのですが。

えいご・のはらうたえいご・のはらうた
くどう なおこ William I. Elliott

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2010年06月18日

詩の本/98歳の詩人 柴田トヨさん 「くじけないで」

明治44年生まれの98歳の詩人・柴田トヨさん。
詩を書き始めたのは何と平成15年から!

そのトヨさんの詩集「くじけないで」が、このたび刊行されました。

産経新聞「朝の詩」に掲載された35編の他、下野新聞に掲載された3作品、未発表作品4作を収録。

「朝の詩」の選者である、詩人・新川和江先生が序文
を寄せていらっしゃいます。

齢をかさねてきたトヨさんの、優しく、温かい言葉たち。

「日本のお母さん」のやさしさ、あったかさが、そこにはあります。

人間、その気になったら、いくつになってからでも、何かを始められるんだ・・・。

そう思わせてくれる。力づけてくれる。

トヨさんの生き方、考え方もすごく素敵。
きっと、勇気がもらえますヨ。

くじけないでくじけないで
柴田 トヨ

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2010年01月25日

詩の本/絵本作家・内田麟太郎「ぼくたちはなく」


ぼくたちは いきているだけで
きっと えらいのだとおもう

かなしみを こらえて いきているのだから
おいおい なきながら いきているのだから

それだけで じゅうぶんに


素敵な詩集が出ていまするんるん

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2009年06月25日

詩の本/長田弘「世界はうつくしいと」


うつくしいものの話をしよう。
いつからだろう。ふと気がつくと、
うつくしいということばを、ためらわず
口にすることを、誰もしなくなった。
そうしてわたしたちの会話は貧しくなった。
(以下、略)

長田弘「世界はうつくしいと」より



ひさびさに、心を揺さぶられる詩を読みました。

わが敬愛する長田弘さんの詩集、「世界はうつくしいと」です。

すべてをやさしくつつみこむ、それでいて力強い、高い精神性に満ちた言葉たち。ほんとうに、ほんとうに素晴らしい詩集です。

読んでいくうちに、しんと静かな池の面に自分を映しだしているような、己と向き合っているような気持ちになってしまいます。

表題の詩の他にも、「グレン・グールドの9分32秒」「窓のある物語」「一日の静、百年の忙」「なくてはならないもの」などなど、題をたどるだけでも、読みたくてたまらなくなりますよね。

これは、ぜひぜひ皆さんに、手にとって読んで頂きたい。そのために、今回は全編の引用は控えさせて頂きました。続きは、ぜひぜひ、その目で!

ああ、それにしても、これはできるなら声に出して読みたい。耳で聞きたい詩集だと思います。きっと、読み手も聞き手も、胸が打ち震えるような詩ばかり。

大人の方や、中学生・高校生に読み聞かせる機会があったら、ぜひとも朗読してみたい一冊です。

世界はうつくしいと世界はうつくしいと
長田 弘

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2009年06月11日

詩の絵本/お父さんって、すごい!「パパがやいたアップルパイ」


これはパパがやいたあまくとあつあつアップルパイです

パパが焼いてくれたアップルパイは、とってもすごい!

だって、パパが育てたりんごが入ってるんだもん。

しかも、そのりんごは、大地とおひさまと雨の恵みすべてからできているんだから。

雨もおひさまも地球も、このパイにぜーんぶ詰まってるんだよ!

と、ひとつのパイから、世界のすべてを見せてしまう。

楽しくて、胸のすくような、スケールのでっかい絵本です。

これはね、「パパがやいた」というところが、最大のポイントです。

「ママがやいた」パイでは、きっと違った展開になるでしょう。

額に汗して働き、私たちを食べさせてくれる、そんなパパならではの「大地の」パイ。

いやぁ。

お父さんって、カッコイイですね!

パパがやいたアップルパイパパがやいたアップルパイ
ジョナサン ビーン Lauren Thompson Jonathan Bean

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学校での読み聞かせにも、ぴったりです★







2008年10月30日

詩の本/阿久悠「凛とした女の子におなりなさい」


自由に生きなさい
強く生きなさい
自由で強くてやさしい子を
凛としていると言います
凛とした女の子になりなさい

日本が生んだ偉大な作詞家・阿久悠さんが、雑誌・暮らしの手帖に寄せた詩。

それが、一冊の本になりました。

《日本人らしいひと》というタイトルで書かれた九編の詩を中心に、直筆原稿やエッセイも収録。

「少年はみなはにかみだった」「かつてあったやせがまん」「窓辺で本を読む親」などなど。

どの詩も、読んではっとさせられたり、深くうなずかずにはいらない、心にしみいる詩ばかり。

こんな素敵な詩を書かれていたのだなあと、今回初めて知りました。

ファンの方も、そうでない方も。
ぜひぜひ。

凛とした女の子におなりなさい―日本人らしいひと凛とした女の子におなりなさい―日本人らしいひと
阿久 悠

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凛とした女の子・・・。
なりたいなあ。

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2008年08月25日

詩の本/くどうなおこさんの「のはらうた5」

 くどうなおこさんとのはらみんなの詩集「のはらうた」も、ついに五巻め!

のはらうた (5)のはらうた (5)
くどうなおことのはらみんな

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 あいかわらず、おちゃめでピュアな、のはらの仲間たちの詩が満載です。

 今日は、そのなかから、特に私が共感〈笑〉しちゃった詩をご紹介します。

 癒されますよ〜♪

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Posted by みどり at 17:43  |Comments(6)TrackBack(0) | 詩歌の絵本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月01日

シュールな絵本/あのロアルド・ダールの詩が一挙に「脚韻ソング」

「オーガスタス・ブクブトリー!
 オーガスタスの脳なしめ!
 でっかい図体食い意地ばかりは底なしめ!
 いつまでこんなでぶ豚を飼い
 がつがつ食わせてがぶがぶ飲ませておけるかい」


あの「チョコレート工場の秘密」など、多くの傑作児童文学を世におくりだした作家ロアルド・ダール。
実は彼の作品には、たくさんの詩が登場します。
「その詩を集めて本にしたら面白いんじゃない?」
という企画で実現したのが、この本。

なんてったってこの本で凄いのは、豪華なイラスト陣。ダールの作品では最もお馴染みのクェンティン・ブレイクをはじめ、未来を嘱望される若手人気イラストレーターたち、そしてヘレン・オクセンバリーやデイビッド・マッキーといったベテラン人気作家も参加。ダールのブラックでシュールな詩の数々に、思う存分「ぶっとんだ」挿絵をつけてくれています。

もちろん、ダールの「ブラック」や「シュール」の根底に流れるものは、すべて子供たちへの愛情です。ダールが徹頭徹尾「子供の味方」であったことを、改めて感じる一冊。ダールのファンはもちろん、挿絵・イラストに興味のある方も必見です。

脚韻ソング脚韻ソング
クェンティン・ブレイク 柳瀬 尚紀

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2008年05月16日

詩の本/石垣りん「レモンとねずみ」


「こどもさん
 こどもさん
 夢を上げよう。」

おとなはきげん良く声をかける。
気をつけなくちゃネ
このごろは何だって商売だ。
国の政治も
持っているのはそろばん一丁。

2004年12月永眠された、詩人・石垣りんさん。
その未刊詩集の出版を、生前からりんさんご自身によって委託されていらしたのが、童話屋の田中和雄さんです。

りんさんの未刊詩は、かつて新聞・雑誌等に掲載されながら、詩集に収録されていなかったものがおよそ350編、大学ノートなどに書かれた掲載不明のものが約100編ほどあるそうです。

いずれ童話屋さんのほうから「石垣りん未刊全集」が刊行予定とのことですが〈ファンとして本当に待ち遠しい限りです〉、今回まず前者の350編の未刊詩のなかから40編を選りすぐってつくられたのが、この詞華集「レモンとねずみ」です。

冒頭に引用させていただいたのは、「まぶたの下に」という詩の一節。鋭い社会性を持つまなざしの深さは、まさに「石垣りん」そのものと言えるのではないでしょうか。

さて、この詩は、このあとどう「まぶたの下」へ続いていくのか。ぜひぜひ、読んでみてください。

他にも、素晴らしい詩がぎゅっと詰まった、まさに「詞華」ということばにふさわしい一冊です。

こんな時代だからこそ読みたい、読んでもらいたい珠玉の一冊です。


レモンとねずみレモンとねずみ
石垣 りん

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2008年03月05日

可愛い絵本/リズムにのって読んでね「ほっぺのすきなこ」


ほっぺの すきなこ だれですか
はーい!
てをあげたのは
はるの かぜ
はなの ほっぺを さわっていくよ

詩人・木坂涼によるリズミカルな文章が楽しい、小さな子向けの言葉遊び絵本。

動物や子供がたくさん登場、めくるたびに「ほっぺのすきなこ だれですか」と問いかける。

幸せいっぱいの温かな絵本なので、ちっちゃい子のおやすみ導入の絵本としても、とってもグーなのでは。

みんな
だいすき
ほっぺっぺ

このラストが、何度読んでもいいんだなぁ。
挿絵も、すんごく可愛いの。

ウン、ちったい子に読んであげてたら、絶対ここでほっぺをくっつけっこするよね〜。はぁ〜〈陶然〉。

えぐえぐ、でも、ウチにはもうそんなかわゆい子はおらんとです〈涙〉。そんなことしてくれたのは、遠い遠い過去のお話〈またまた涙〉。

小さい子のいるお母様、ぜひぜひこの本で、お子さんと「ほっぺた くっつけっこ」してくださいね。
ほっぺのすきなこ (レインボーえほん 15)ほっぺのすきなこ (レインボーえほん 15)
木坂 涼 杉田 比呂美

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2007年07月28日

写真の本/詩の本/あの夢枕獏が詩を! 美しい雨の情景 佐藤秀明・写真集「あめん法師」

見えたよ
虹だ
カミサマのやくそく
太陽に背を向けないと
見えない
希望

面白い本を見つけました。

「陰陽師」の夢枕獏さんが詩を書き、「雨の名前」の佐藤秀明さんが写真を撮った、コラボレート写真詩集「あめん法師」です。

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2007年07月11日

詩歌の絵本/韓国のあったか言葉遊び「しろいはうさぎ」

読み聞かせで私達がよくやる言葉遊びのなかに、「いろはにこんぺいとう」という歌があります。
♪いろはにこんぺいとう
 こんぺいとうは あまい
 あまいは おさとう
 おさとうは しろい
 しろいは うさぎ
 うさぎは はねる
 はねるは カエル・・・

というふうに、どんどん続いていくもので、こんな歌を《積み上げ歌》と呼んだりもします。

この「しろいはうさぎ」は、この日本の積み上げ歌「いろはにこんぺいとう」に少し似てもいますが、やはりそこは韓国独特の味わいがあります。
日本バージョンは最後に笑いがオチ(♪光るはオヤジのハゲ頭)であるのに対し、韓国のこれはほのぼのとあったかーい気持ちになれる終りかたとなっています。終わりかたは、ぜひぜひ読んでみてくださいね。

 訳者のチョン・ミヘさん、彼女が選んで訳すものには、はずれがありません。温もりを感じさせつつも、どこか前衛的な匂いのする画も素晴らしいです。韓国のことがもっと知りたくなる、好きになる。韓国がもっと身近になる絵本たち。次回作も、楽しみです。

しろいはうさぎ.jpg


以下、「いろはにこんぺいとう」の歌詞、追記しました。続きを読む