2005年05月05日

Teen's編 chapter7

俺は、この彗星のことを知ったとき、ある人にまた会えるんじゃないかって期待で、嬉しくなった。
ある人っていうのは、修(しゅう)兄さん。
俺より10歳年上の修兄さんは、いつでも、どこへでも、俺を連れてって、いろんなことを教えてくれた。
俺が、それはそれは、尊敬してる人なんだ。
本当の兄弟なんかじゃないけど、それ以上に付き合いは深いと思うよ。
俺、いっつも修兄さんの後を追いかけてばっかりいたけど、兄さんは全く迷惑がらずに、毎回 毎回、新しいこと教えてくれたっけ・・・・。
そうだよ、去年までは、仕事もそんなに忙しくないからって、暇を見つけちゃ、あっちこっち連れまわされたよな・・・・。
夏にはさぁ、
「おい、ナオ。流れ星、観に行くぞ」
って、俺の予定なんて、全くおかまいなしに連れてかれたっけ。
まぁ、そんなとこが、修兄さんのいいとこなんだけどね。
とにかく、そんなわけで、ペルセウス座流星群を観に行ったんだ。

そりゃあ、半端じゃなかったゼ!
キラキラ輝いてる光が、空のあっちこっちから、こぼれるように降ってくるんだ。
兄さんと二人で、草原に寝転がって、時間が経つのも忘れて、空を見つめた。
時々、
「あっ・・・・、今の観た?」
「あぁ。・・・・・・! また、流れたな」
って、ポツリポツリと会話が聞こえる以外は、何も聞こえない。
自然のプラネタリウムは、見飽きることなんて全くなかったんだ。

そうだよ。
だから、今度の彗星は今世紀最大のビッグイベントなんていうから、もしかしたら、修兄さん、誘ってくれるんじゃないかって楽しみにしてたんだけどなぁ。
こっちから連絡しても、忙しくって全く連絡なんてとれやしない。
仕方ないからさ、一人で夜空を見上げてた。
俺、天体望遠鏡なんて持ってないから、肉眼のみで見るしかなかったけどね。
それに、自慢にもならないけど、俺、星のことはよく知らなくって、どれが木星なんだか、金星なんだか、わかりゃしない。
俺がわかるのって、月ぐらいなんだ。
だから、木星を見るつもりが、いつの間にか、月を見ることになってしまっていた。
その日の月は満月に近くて、でも、すこ―し欠けてるように見えた。
真っ白くて大きな月は、とてもきれいだった。
あんまりずっと見つめていたせいで、真っ白の月は、俺の眼にはだんだんと青く・・・・、いや、藍(あお)く映るようになった。

藍い月・・・・・・。

きれいな藍い月を、俺はずっと見上げていたかった。

――― この月がなくなってしまったら、どうなるんだろう・・・・・・。
ふいにそんな思いが浮かんできた。
・・・・・・なくなるわけないよな・・・・。
月がなくなる前に、俺の方がいないだろうからね。
俺は、そんな考えを自嘲しながら、飽きることなく、月を見つめてしまった。
この記事へのコメント
ペルセウス座流星群・・・・。
ホントにきれいだったな。
しゅいくや、仲の良いみんなと一緒に平○台に行って、草っぱらに寝転がって、ビール飲みながら観ました。
「こぼれてくる」っていう表現が一番当てはまるって思った。

また観に行きたいな。
今度は、しえくも一緒にね。
Posted by 杜子 美甫 at 2005年05月05日 14:50


 
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