EU誕生ねぇ... 日記
つれづれ なるままに


2006年02月04日

「脅威」は作られるもの

アメリカ国防総省が「四年毎国防政策見直し(QDR)」を発表した。その中身は、案の定というか何というか、「テロの脅威」と「中国の脅威」が前面に押し出されているようだ。QDRは「テロ」との戦いを冷戦の並みの労力と時間を必要とする長期戦であるという。そして従来型の戦力ではない、非正規戦を戦う能力の拡充が必要だと主張している。このブログの読者なら、僕がこれに対して何が言いたいかは直ぐに分かるはずやと思う。そう、「テロ」というものは主観的・政治的に定義されるものである。したがって「テロ」との戦いが「長期戦である」というのは、正確に言えば、「長期戦にする」ということだ。一定以上の国防支出を確保するためには、長期的に存在してくれる「敵」の存在が必要となる。そのような「敵」として、「テロ」というのはうってつけの存在だ。

それと同じようなことは、中国の脅威にも言えると思う。確かに中国は国内にウイグルやチベットという不安定性要因を抱えており、国外に対しても石油や天然ガスといったエネルギー資源を求め、かなり積極的な行動をとっている。しかしながら、アメリカが「中国の脅威」というものを本当の意味で懸念しているとは思えない。これまたこのブログの読者なら容易に想像がつくと思うが、アメリカと中国の関係は特別な関係であり、両国が全面的な戦争状態になるなんてありえない。

時事通信の報道「『米中戦争』の危険は大幅に減少=米統参議長」によれば、アメリカ軍のペース統合参謀本部議長がソウルのアメリカ軍基地で講演し、「中国に関しては将来を楽観している。両国が共有する事柄の方が共有していない事よりはるかに多」く、さらに「われわれが経済的な架け橋を両国間で築き続け、両国が繁栄のためにますます相互依存するようになっており、そういう時は軍事的に面倒な事態になる可能性は大幅に低くなる」と述べた。僕は、このような考え方がアメリカにおいて支配的であると考えている。

国防関係文書で、「これからの世界は以前にもまして平和的になるだろう」なんて書いている文書など絶対にない。軍隊にとって「敵」の存在は絶対に必要なものやからね。だからアメリカ軍は「中国の脅威」を宣伝する必要がある。本音のところでは全然「敵」とは思っていなくてもね。だいたい最新型の原子力発電システムを、アメリカは中国に売り込もうとしているくらいなんやから。

アメリカが想定する「脅威」には、当然のようにアメリカの「国益」が大きく繁栄されている。アメリカの「国益」と日本の「国益」が一体化するはずはなく、もちろんその「国益」によって誰もが幸せになるなんてこともない。アメリカがなぜ「テロ」を脅威とするのか、そして中国を「脅威」とするのかを、日本はよく考えなければならない。そしてもちろん、われわれもその「脅威」の中身をよく考えなければならない。
 

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