December 23, 2007
橋下弁護士 府知事の資格
来年1月27日に行われる大阪府知事選挙に大阪弁護士会所属の橋下徹弁護士が立候補するという。自民党から擁立の話しがあった当初は「100%出ない」といっておきながらいつの間にか前言をひるがえしての出馬表明。会見では府民ではなく、出演しているテレビ局の関係者に向けて謝罪するなど、どこまでもテレビ離れのできない言動は、こんな人が府知事になる資格があるのかな、と思ってしまう。
それだけではない。橋下氏は人気タレントになって奢りがでたのか、テレビを利用して弁護士の懲戒処分を視聴者に呼びかけた。それは、山口県光市で99年発生した少年による母子殺害事件の差し戻し裁判をめぐってのこと。
橋下氏は自ら出演の番組で、新たに事件を担当することになった被告人弁護団が「これまでの主張を変え、元少年の殺意や強姦目的を否認し死刑の回避を訴えているのは弁護士の信用を害する」として「この番組を見ている人が弁護士会に懲戒請求をかけてもらいたいんですよ」と呼びかけた。
この結果、弁護団のそれぞれの弁護士が所属する弁護士会には合わせて7700件もの懲戒請求が舞い込み、弁護士はその対応に忙殺されたという。このうち4人の弁護士は業務妨害だとして橋下氏に1人300万円の損害賠償を求めて提訴した。
弁護士が他弁護士の弁護方針を批判するのは、いけないことではなかろう。だが、テレビの番組の中で視聴者に懲戒処分を請求するようけしかけるのは問題ではないか。第一、視聴者には弁護の仕方のどこが懲戒にあたるのかわからないだろう、それを「これまでの1審2審と違う」というだけで懲戒請求を呼びかけるのは粗雑・乱暴ではないか。
このような思いを抱きながら、テレビでの橋下氏の弁護士らしからぬ無責任な言動、それを面白半分で煽っている番組の進めかたを見ていたのだが、12月16日ブログ『弁護士阪口徳雄の自由発言』で、これが弁護士氏の「適正な判断」と思える意見を聞くことが出来た。
阪口弁護士は、橋下氏のいう弁護団に懲戒が成立するためには「被告人の元少年が捜査段階やその後に供述していない事実を、あえて死刑を免れるために虚偽の事実を法廷で主張した場合でしか成立しない」という。ところが橋下氏は「元少年が捜査段階で何を供述していたのか一切調査しないで、テレビなどの情報をもとに懲戒請求を呼びかけた」ようだ。
弁護団が法廷で主張している事実が、「以前の裁判の記録にあったり、被告人・元少年の供述どおり」であれば、つまり「殺意や強姦目的の否認」などが出ていれば、いかにそれが世間の常識と違っても弁護の仕方などで懲戒処分になることはない。
むしろ逆に、橋下氏が「事実を十分調査せず懲戒を呼びかけたとすれば」これこそが懲戒に該当するとしている。阪口弁護士の判断だと、橋下氏処分は軽い場合には戒告だが、懲戒申し立てを煽動したとされると業務停止になるかもしれないといっている。
この阪口弁護士の思いを裏付けるように、12月17日には、全国各地の市民ら350人が「刑事弁護の正当性をおとしめたことは、弁護士の品位を失うべき非行だ」として橋下氏の懲戒処分を大阪弁護士会に請求した。
一方、橋下氏に対する4人の弁護士の損害賠償請求(民事訴訟)は、橋下氏の負けが濃厚らしい。橋下氏がこの訴訟に勝つには、「自分の呼びかけで、懲戒請求したのではない、市民が勝手にやったのだ」といって「逃げるか」、「弁護団が虚偽の事実を主張していると誤信した相当の理由を立証しなければならない」としている。
案の上、橋下氏は、この訴訟の最初の法廷で「今回の請求は一般市民が自発的意思で自ら得た情報に基づいて懲戒事由を検討し請求しており、テレビ発言と懲戒請求の因果関係はない」との書面を出している。
逃げである。テレビ番組に乗っかって視聴者を煽動したくせに、立場が悪くなると逃げの一手。このような政治家はもういらないというのが私たち国民の今の気持ちだ。
また、裁判の履歴さえ十分調査検討せずにおこなった煽動は弁護士とも思えない悪質さである。こうした人物が大阪府知事選挙に、立候補するのは自由だが知事になる資格があろうとは思えない。
(この問題では、発端となった元少年の母子殺害事件で、元少年が犯した罪が、裁判でいかに正確にとらえられるか、という刑事弁護の問題、さらには煽情するテレビメディアの問題も見つめていく必要がある。)
それだけではない。橋下氏は人気タレントになって奢りがでたのか、テレビを利用して弁護士の懲戒処分を視聴者に呼びかけた。それは、山口県光市で99年発生した少年による母子殺害事件の差し戻し裁判をめぐってのこと。
橋下氏は自ら出演の番組で、新たに事件を担当することになった被告人弁護団が「これまでの主張を変え、元少年の殺意や強姦目的を否認し死刑の回避を訴えているのは弁護士の信用を害する」として「この番組を見ている人が弁護士会に懲戒請求をかけてもらいたいんですよ」と呼びかけた。
この結果、弁護団のそれぞれの弁護士が所属する弁護士会には合わせて7700件もの懲戒請求が舞い込み、弁護士はその対応に忙殺されたという。このうち4人の弁護士は業務妨害だとして橋下氏に1人300万円の損害賠償を求めて提訴した。
弁護士が他弁護士の弁護方針を批判するのは、いけないことではなかろう。だが、テレビの番組の中で視聴者に懲戒処分を請求するようけしかけるのは問題ではないか。第一、視聴者には弁護の仕方のどこが懲戒にあたるのかわからないだろう、それを「これまでの1審2審と違う」というだけで懲戒請求を呼びかけるのは粗雑・乱暴ではないか。
このような思いを抱きながら、テレビでの橋下氏の弁護士らしからぬ無責任な言動、それを面白半分で煽っている番組の進めかたを見ていたのだが、12月16日ブログ『弁護士阪口徳雄の自由発言』で、これが弁護士氏の「適正な判断」と思える意見を聞くことが出来た。
阪口弁護士は、橋下氏のいう弁護団に懲戒が成立するためには「被告人の元少年が捜査段階やその後に供述していない事実を、あえて死刑を免れるために虚偽の事実を法廷で主張した場合でしか成立しない」という。ところが橋下氏は「元少年が捜査段階で何を供述していたのか一切調査しないで、テレビなどの情報をもとに懲戒請求を呼びかけた」ようだ。
弁護団が法廷で主張している事実が、「以前の裁判の記録にあったり、被告人・元少年の供述どおり」であれば、つまり「殺意や強姦目的の否認」などが出ていれば、いかにそれが世間の常識と違っても弁護の仕方などで懲戒処分になることはない。
むしろ逆に、橋下氏が「事実を十分調査せず懲戒を呼びかけたとすれば」これこそが懲戒に該当するとしている。阪口弁護士の判断だと、橋下氏処分は軽い場合には戒告だが、懲戒申し立てを煽動したとされると業務停止になるかもしれないといっている。
この阪口弁護士の思いを裏付けるように、12月17日には、全国各地の市民ら350人が「刑事弁護の正当性をおとしめたことは、弁護士の品位を失うべき非行だ」として橋下氏の懲戒処分を大阪弁護士会に請求した。
一方、橋下氏に対する4人の弁護士の損害賠償請求(民事訴訟)は、橋下氏の負けが濃厚らしい。橋下氏がこの訴訟に勝つには、「自分の呼びかけで、懲戒請求したのではない、市民が勝手にやったのだ」といって「逃げるか」、「弁護団が虚偽の事実を主張していると誤信した相当の理由を立証しなければならない」としている。
案の上、橋下氏は、この訴訟の最初の法廷で「今回の請求は一般市民が自発的意思で自ら得た情報に基づいて懲戒事由を検討し請求しており、テレビ発言と懲戒請求の因果関係はない」との書面を出している。
逃げである。テレビ番組に乗っかって視聴者を煽動したくせに、立場が悪くなると逃げの一手。このような政治家はもういらないというのが私たち国民の今の気持ちだ。
また、裁判の履歴さえ十分調査検討せずにおこなった煽動は弁護士とも思えない悪質さである。こうした人物が大阪府知事選挙に、立候補するのは自由だが知事になる資格があろうとは思えない。
(この問題では、発端となった元少年の母子殺害事件で、元少年が犯した罪が、裁判でいかに正確にとらえられるか、という刑事弁護の問題、さらには煽情するテレビメディアの問題も見つめていく必要がある。)

