2008年09月25日

平成20年問9枝3の訂正、My枝問 平成20年問10枝(イ)〜(ホ)

平成20年問9枝3について、M.O.V.Eさんから指摘があり、解答を見直し、訂正します。
市町村を表示する標章を地理的表示(3条1項3号)として理由づけをしましたが、市町村を表示する標章は地方公共団体を表示する標章(4条1項6号)に該当するので、4条1項6号に基づいて理由付けを再構成しました。


まずは、平成20年問9枝3の訂正

平成20年問9枝3
問:
市町村を表示する標章と同一又は類似の商標は、商標登録されることはない。ただし、マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。

答:×誤り
市町村を表示する標章は、地方公共団体を表示する標章である(商標審査基準 4条1項6号)ので、それが著名なものであれば、それと同一又は類似の商標は商標登録を受けることができない(4条1項6号、4条1項)が、著名でなければ、それと同一又は類似の商標は他の登録要件を満たせば商標登録を受けることができる。従って、商標登録されることはないとする本枝は誤り。


次に、今日のMy枝問 平成20年問10枝(イ)〜(ホ)

平成20年問10枝(イ)
問:
特許権者は、その特許権について地理的範囲をある地域に限定して専用実施権を設定してその登録がされた場合、その地域においては、当該特許権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その特許権に基づく差止請求権を行使することができない。

答:×誤り
特許権について専用実施権を設定したときは、専用実施権者がその特許発明の実施をする権利を専有する範囲については、特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有することができない(68条)が、これは、実施を制限するものであって、権利行使は制限されるものではなく、専用実施権の設定行為で定めた範囲内であっても、特許権者は権利行使を妨げられるものではない。従って、その特許権に基づく差止請求権を行使することができないとする本枝は誤り。


平成20年問10枝(ロ)
問:
特許権侵害訴訟において、対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情がないことは、当該対象製品等が、特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして、特許発明の技術的範囲に属するものとされるための要件の一つである。

答:○正しい
最判平成10年2月24日の判決によれば、均等の要件の1つとして、対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情がないことが挙げられる。従って、当該事項が、均等なものとして、特許発明の技術的範囲に属するものとされるための要件の一つであるとする本枝は正しい。


平成20年問10枝(ハ)
問:
特許権侵害訴訟において、当該特許が特許無効審判により無効にされるべきか否かが争われた場合に、審理を不当に遅延させることを目的として提出された攻撃又は防御の方法については、裁判所は、特許権者の申立てがなければ却下の決定をすることができない。

答:×誤り
特許権の侵害に係る訴訟での攻撃又は防御の方法については、これが審理を不当に遅延させることを目的として提出されたものと認められるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、却下の決定をすることができる(104条の3)として、裁判所の職権による却下の決定を認めている。従って、特許権者の申立てがなければ却下の決定をすることができないとする本枝は誤り。


平成20年問10枝(ニ)
問:
特許権者が故意又は過失により自己の特許権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、当該侵害者がその侵害の行為により受けた利益の額は、特許権者が受けた損害の額と推定されるが、特許権者は、自己が受けた損害の額が侵害者の受けた利益の額を上回っているときは、当該自己が受けた損害の額の賠償を請求することができる。

答:×誤り
特許法102条4項は、前項の規定はとして、同条第3項について、同項に規定する金額を超える損害の賠償の請求を妨げないとしており、同条第2項については規定していない。従って、特許法102条2項の損害額についても適用するとする本枝は誤り。


平成20年問10枝(ホ)
問:
特許権侵害訴訟において、損害が生じたことが認められる場合において、当該損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるときに限り、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができる。

答:○正しい
特許権の侵害に係る訴訟において、損害が生じたことが認められる場合において、損害額を立証するために必要な事実を立証することが当該事実の性質上極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができる(105条の3)と限定的に定めているが、これ以外の場合に相当な損害額を認定することは認めていない。従って、極めて困難であるときに限り裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができるとする本枝は正しい。


 本日(9/24)の学習時間:
  My枝問訂正と解答;1時間30分
   計:1時間30分

Posted by hitkaz2 at 02:31  |Comments(3)TrackBack(0) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
平成20年問10枝(イ)の解説ですが、王道だと思います。青本に忠実で、論理の組み立て方もパーフェクトだと思います。
自分自身は、この考え方が思いつかず((特)68条が出ませんでした)、(特)100条で回答しました。
(特)100条は、「特許権者又は専用実施権者は、」となっており、特許権者に差し止め請求権を禁止することは規定されていません。
よって、×としましたが、いかがでしょう?
Posted by M.O.V.E at 2008年09月25日 19:13
M.O.V.Eさん
コメントありがとうございます。
100条を引いての理由付けですが、本問の狙いを考えると、そぐわないのではと思います。
本問は、68条のただし書の意味を確かめる問題だと思いますので、100条の反対解釈を持ってくるよりは、68条ただし書の趣旨からどう解答を導き出すかということに抑えたほうが良いと思います。
論文で聞かれそうな問題のような気がします。
Posted by 9度目の正直 at 2008年09月27日 02:34
回答ありがとうございます。
てっきり、判例を聞いているのかと思っていました。
条文の理解を聞いている問題だったんですね。
Posted by M.O.V.E at 2008年09月27日 19:33
 
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