2011年08月12日

「ロマンス」・・柳広司

時代は第二次世界大戦の少し前。

治安維持法が最も勢力をふるっていた頃。
華族制度もまたその地位を保っていた頃。

明治維新後に形作られた華族制度というのは、学校の教科書にはあまり登場しない。
それまでの士農工商という身分制度が四民平等になったということしか、習わない。

ので、よくわからないながらも、西欧の本からのつたない知識的判断で、なんとなく
「男爵って下の方」
「その上が子爵?」
「で、一番上が侯爵?伯爵?どっち?」
といった程度の知識のみ。

これに登場するイケメン風の若者の
一人は、ロシア人とのクオーター麻倉清彬子爵。

日本社会に馴染めなかった父と母が海外に追い出された形で住んでいたためにパリ生まれ。
数ヶ国語に囲まれて育ったためにそれらを自由に操る。

もう一方は陸軍軍人の多岐川嘉人。伯爵家の長男。
そして妹の万里子。


かつて清彬は、万里子に結婚を申し込むつもりでいた。
しかしその朝、万里子の父の多岐川伯爵が麻倉を訪ねてきて、野蛮な血の混じる結婚は絶対に許し難い、そしてその事を一切公言してはならないと言った。

この物語の出だしは、麻倉が嘉人に呼ばれて上野のカフェーに行き、そこで死体を発見した嘉人を殺人の容疑者から救い出す場面。

その男は誰か。
そしてなぜ殺されたか。

容疑者は本当に嘉人ではないのか。
まさか、清彬でもない?
では誰?

といったようなサスペンス色もあるにはあるが、あまり上質とは言えない。
というか、お飾り程度。

その後、万里子との結婚を頑なに拒否していた伯爵が訪ねてきて
「万里子を助けてくれ」と懇願する。

なんと、万里子は逮捕されていた・・・。
共産思想という容疑で。


あの時代に、華族の階級が何を思っていたのか。
そういう物語を読んだことはなかったので、その意味では私にとっては新しいものだった。

しかし、二人のあまりに理想的な姿に、アニメチックで滑稽な気持ちになるのも否定できず。








Posted by honnoasica at 12:06  |Comments(4)TrackBack(2) | 柳広司 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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1716「ロマンス」 柳広司   文藝春秋   ★★★★ 昭和8年。混血の子爵・
ロマンス【読み人の言の葉】 at 2011年08月20日 11:28
小説「ロマンス」を読みました。 著者は 柳 広司 明治初期を舞台にした 華族社会を描いたミステリー 舞台設定、軍も絡んできたりと やはり「ジョーカー・ゲーム」シリーズを思い出しますね とはいえ..
華族社会の舞台に【笑う学生の生活】 at 2012年01月23日 22:35
この記事へのコメント
お久しぶりです。お元気ですか?

私はこの時代設定がけっこうツボで。
華族というのもツボで(笑)
なので、楽しく読みました。
ただ、途中で危険な行動に走ろうとする清彬にはちょっとついていけないものを感じましたが。
Posted by まゆ at 2011年08月20日 11:27
こんにちは、(私も)お久し振りです。この本は読んでませんが。

私は公候伯子男(こうこうはくしだん)って、頭にしみついてます。
いつ教えてもらったのかは全く記憶がないのですが、学校以外に考えられません。

読みが同じ上の二つは何とかならなかったものかと大変不満でした。
どうやら中国から来ているらしいので、中国語では発音が違うんでしょうね。

Posted by ときわ at 2011年08月22日 16:34
まゆさん。

私もこの時代はかなり好きです♪
なんですけど、この人のあの架空のスパイ養成所の話が強烈に良くて、その後あれらを超えるのはなかなかないんですよね・・・。

なので設定は嫌いじゃないけどストーリーがね・・・と、そういう感想になってしまいました。

でも、まだまだ注目の作家さんである事は間違いないです。
Posted by あしか at 2011年08月23日 02:26
ときわ姫さん。

そんなの、習わなかったですよ・・・・私は(笑)

今も誰も習ってないと思う・・・。
だって、歴史を学校で学ぶ時、元老院すら言葉としては出てこないです。
藩閥政治としか・・・。

「こうこうはくしだん」ですか。これで私も覚えられます!
Posted by あしか at 2011年08月23日 02:30
 
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