2011年10月01日
「人質の朗読会」・・小川洋子
確かあれは「ブラフマンの埋葬」がきっかけだったか、「小川洋子を制覇しよう」と、昔懐かし「本プロ」で宣言し、新刊の傍ら読み始めた事を懐かしく思い出す。
あれはいったい、何年前の事なんだろう。
この頃、年齢とともに月日のたつスピードが異常に速くなり、去年の一昨年の区別がほとんどつかない・・・(≡д≡)
さて、この小川さんもいわゆる連作短編なんだけれど、この構成の潔さにはやはり感服。
南米あたりの山間部にある小さな村で、ツアーのマイクロバスが反政府ゲリラによって拉致された。
彼らの人数は8人。
その8人と通信人を含む9人がひとりひとり自分の思い出を書いて
・・それは必ずしも紙ではないようだった・・
それを朗読し合うというもの。
切羽詰まった遺言のような類でなく、まさに朗々と 語る。
一晩に1話。
その9晩分の話が、彼らの死後しばらくたって 盗聴テープから発見される事となった。
最後に、全ての朗読が終わり
それらを総括する文言が、一言もない。
その潔さと、それが成立してしまうこの文章力に感動する。
◆杖
〜勤続30年の長期休暇を利用してツアーに参加した53歳のインテリアコーディネーター
小さい頃、家の前に工場があった。
鉄鋼業であったそこは、いつも鉄の粉のオレンジに染まり、溶接の時にかぶるお面を付けた彼らがいつも夕焼け色に染まる姿を眺める少女。
その興味の対象が似つかわしくないと不信がられるのを承知していた彼女は、いつも道路に絵を描くそぶりをしていたが、ある日、一番下っ端の工員さんが公園でブランコに乗っていて足をけがして歩けなくなっている所に出会う。
◆やまびこビスケット
〜61歳の調理師専門学校製菓コース教授が研修旅行のオプショナルツアーにて参加した
創業以来、味は1種類、不味いわけではないが、取り立てて美味しいわけではないやまびこビスケット。
しかし、その型の種類は60種を超える。
アルファベットも大文字小文字、動物、キノコ、野菜、お花、楽器、スポーツ用品・・しかも動物には原生動物、爬虫類、腔腸生物、果ては空想動物・・・。
そのやまびこビスケットと、当時住んでいたアパートの大家さんとの話。
◆B談話室
〜連載小説のための取材旅行中だった作家42歳
見知らぬ外人に道を聞かれて案内したことから公民館のB談話室へ入った。
そこでは「危機言語を救う会」が活動していた。
危機言語。
誰も話すものがなくなってしまう恐れのある言語。
意味ではなく鼓膜で受け止めることをよしとする会。
インドネシアの小さな島出身の女の労働の話。
試写を見送る祈りの言葉。
ゴラン高原の遊牧民の言葉
ボヘミア地方の錬金術師のみに伝わる言語
雨乞いの呪文、早口言葉、寓話・・・。
そして、不意に彼の順番がきて・・・
◆冬眠中のヤマネ
〜国際学会に出席した帰りの医科大学眼科講師34歳
家業がメガネやであった彼が、中学生の頃に河原で出会った不思議なぬいぐるみ売りの老婆の話
そのぬいぐるみはどれも小汚く、薄汚れた布で出来ていた。
ある時、テレビの収録に遭遇し、その老婆を背負って河原を駆け上がるという競技に参加する。
老婆は、そしてヤマネのぬいぐるみを僕にくれた。
◆コンソメスープ名人
〜国際見本市に参加しその帰路であった精密機械工場経営者49歳
家で一人で留守番をしていた時に、隣の家のやや年老いた娘が、スープを作らせて欲しいとやってきた。
家には誰も入れてはいけないときつく母親に言われていたが、少年はキッチンのドアを開ける。
そしてその娘は、立派な肉の塊を非常に細かいミンチにする所から始め、黄金色に輝く絶品のスープを作り上げる。
◆槍投げの青年
〜姪の結婚式のために旅行中だった貿易会社事務員 59歳
通勤途中、異様に長い荷物を申し訳なさそうに持ち電車に乗り込む青年に出会う。
彼女はそれに興味を持ち、電車の乗る手助けを買って出る。勝手に。
そして彼のあとを付け、それが槍投げの槍である事がわかる。
◆死んだおばあさん
〜夫の海外赴任地からの帰途であった主婦
死んだおばあさんに似ている。
彼女はよくそう言われた。何もふけてる訳でもないし、しかもそのお婆さんのわかいころというわけでもなかった。
◆花束
〜このツアーのツアーガイド28歳
国道沿いを大きな花束を持って歩く青年は、目立った。
しかもそれが結婚の申し込みや彼女へのプレゼントではないので、彼へのプレゼントとしてはやはり迷惑であった。
彼がそれをもらった経緯は、彼が今まで勤めていた所をやめることとなりその顧客にもらったというもので、その彼の仕事は紳士服の量販店。
◆ハキリアリ
〜政府軍兵士、通訳のために
彼が初めて ガイジンを目にした時の話。
どこかの学術研究のためにハキリアリをさがしているという外国人たちが、自分たちの教授が何かの賞をもらうというそのラジオ放送を聞きたいが壊れてしまったために彼の家にラジオを聴かせてもらいにやってきた。
あれはいったい、何年前の事なんだろう。
この頃、年齢とともに月日のたつスピードが異常に速くなり、去年の一昨年の区別がほとんどつかない・・・(≡д≡)
さて、この小川さんもいわゆる連作短編なんだけれど、この構成の潔さにはやはり感服。
南米あたりの山間部にある小さな村で、ツアーのマイクロバスが反政府ゲリラによって拉致された。
彼らの人数は8人。
その8人と通信人を含む9人がひとりひとり自分の思い出を書いて
・・それは必ずしも紙ではないようだった・・
それを朗読し合うというもの。
切羽詰まった遺言のような類でなく、まさに朗々と 語る。
一晩に1話。
その9晩分の話が、彼らの死後しばらくたって 盗聴テープから発見される事となった。
最後に、全ての朗読が終わり
それらを総括する文言が、一言もない。
その潔さと、それが成立してしまうこの文章力に感動する。
◆杖
〜勤続30年の長期休暇を利用してツアーに参加した53歳のインテリアコーディネーター
小さい頃、家の前に工場があった。
鉄鋼業であったそこは、いつも鉄の粉のオレンジに染まり、溶接の時にかぶるお面を付けた彼らがいつも夕焼け色に染まる姿を眺める少女。
その興味の対象が似つかわしくないと不信がられるのを承知していた彼女は、いつも道路に絵を描くそぶりをしていたが、ある日、一番下っ端の工員さんが公園でブランコに乗っていて足をけがして歩けなくなっている所に出会う。
◆やまびこビスケット
〜61歳の調理師専門学校製菓コース教授が研修旅行のオプショナルツアーにて参加した
創業以来、味は1種類、不味いわけではないが、取り立てて美味しいわけではないやまびこビスケット。
しかし、その型の種類は60種を超える。
アルファベットも大文字小文字、動物、キノコ、野菜、お花、楽器、スポーツ用品・・しかも動物には原生動物、爬虫類、腔腸生物、果ては空想動物・・・。
そのやまびこビスケットと、当時住んでいたアパートの大家さんとの話。
◆B談話室
〜連載小説のための取材旅行中だった作家42歳
見知らぬ外人に道を聞かれて案内したことから公民館のB談話室へ入った。
そこでは「危機言語を救う会」が活動していた。
危機言語。
誰も話すものがなくなってしまう恐れのある言語。
意味ではなく鼓膜で受け止めることをよしとする会。
インドネシアの小さな島出身の女の労働の話。
試写を見送る祈りの言葉。
ゴラン高原の遊牧民の言葉
ボヘミア地方の錬金術師のみに伝わる言語
雨乞いの呪文、早口言葉、寓話・・・。
そして、不意に彼の順番がきて・・・
◆冬眠中のヤマネ
〜国際学会に出席した帰りの医科大学眼科講師34歳
家業がメガネやであった彼が、中学生の頃に河原で出会った不思議なぬいぐるみ売りの老婆の話
そのぬいぐるみはどれも小汚く、薄汚れた布で出来ていた。
ある時、テレビの収録に遭遇し、その老婆を背負って河原を駆け上がるという競技に参加する。
老婆は、そしてヤマネのぬいぐるみを僕にくれた。
◆コンソメスープ名人
〜国際見本市に参加しその帰路であった精密機械工場経営者49歳
家で一人で留守番をしていた時に、隣の家のやや年老いた娘が、スープを作らせて欲しいとやってきた。
家には誰も入れてはいけないときつく母親に言われていたが、少年はキッチンのドアを開ける。
そしてその娘は、立派な肉の塊を非常に細かいミンチにする所から始め、黄金色に輝く絶品のスープを作り上げる。
◆槍投げの青年
〜姪の結婚式のために旅行中だった貿易会社事務員 59歳
通勤途中、異様に長い荷物を申し訳なさそうに持ち電車に乗り込む青年に出会う。
彼女はそれに興味を持ち、電車の乗る手助けを買って出る。勝手に。
そして彼のあとを付け、それが槍投げの槍である事がわかる。
◆死んだおばあさん
〜夫の海外赴任地からの帰途であった主婦
死んだおばあさんに似ている。
彼女はよくそう言われた。何もふけてる訳でもないし、しかもそのお婆さんのわかいころというわけでもなかった。
◆花束
〜このツアーのツアーガイド28歳
国道沿いを大きな花束を持って歩く青年は、目立った。
しかもそれが結婚の申し込みや彼女へのプレゼントではないので、彼へのプレゼントとしてはやはり迷惑であった。
彼がそれをもらった経緯は、彼が今まで勤めていた所をやめることとなりその顧客にもらったというもので、その彼の仕事は紳士服の量販店。
◆ハキリアリ
〜政府軍兵士、通訳のために
彼が初めて ガイジンを目にした時の話。
どこかの学術研究のためにハキリアリをさがしているという外国人たちが、自分たちの教授が何かの賞をもらうというそのラジオ放送を聞きたいが壊れてしまったために彼の家にラジオを聴かせてもらいにやってきた。
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