2012年01月13日

「感染遊戯」・・誉田哲也

思えば、この誉田さんも随分とメジャーな作家さんになられました。
ひとえに、映像化のおかげなんだろうなとつくづく思う。

今連ドラ中の「ストロベリーナイト」も随分好調の様子だし。

さて。
この本は、あの貴子さんが脇に回った連作短編。
内容のほとんどが、国家公務員に対する糾弾、でしょう。
厚生省、外務省、社保庁などなど。
読んでると、かなり憤りを感じるのは日本国民なら誰しもで、殺されちゃってもそれなりの理由がありましたね、と言いたい訳ではないとは思うけれど、途中にはそういうニュアンスも感じたりもする。

実際にあった事件をモチーフにしてある部分もあり、だからと言っていろいろと周りに気を使いながら本は書けない、と思うのでこのような路線もあるのだということで頑張ってくださいと、思う。

ただ・・・・
「ストロベリーナイト」の時のような、目をそむけたくなるような荒削り感満載の青さみたいなものが消え、そして勢いも消えて。

もともと「武士道〜」シリーズのようなものも書く人なんだからいろんな方向の作風を持つ人なんだろうと想像は出来ていた訳だけれど。
と言ってもこの本の内容は、警察事情に相当詳しい人の書いた事件ものであってそういうのんびりほんわか系路線じゃないのは題名通り。

なので、なんだか横山秀夫みたいになっちゃった。





▲感染遊戯/インフェクションゲイム

三軒茶屋会社員殺人事件。
その捜査本部で、ガンテツは姫川に15年前の話を披露する。

15年前、長塚淳という25歳の青年が自宅玄関先でめった刺しで殺された。
濱中製薬と言う大手製薬会社に勤めるエリート。父親と二人暮らし。
しかし事件の解決は早く、犯人自らが出頭し、殺害は父親と息子を間違えたものと判明。
その父というのは
薬害エイズの大元であるミドリ十字(もちろん作品内では病名も製薬会社の名前も変えてあるけど)と深い関係にあった厚生省役人。
そりゃあもう、憎いと言ってそんなに憎いやつはいないだろうってくらいの悪人に見えても仕方ない。

で、その父親の方が今回の被害者、と言う話。


▲連鎖誘導/チェイントラップ

男は元警察官の刑事。
しかし自分の息子が殺人事件を起こし、退職した。

だが、その息子の事件発生当時、彼は殺人事件を担当しておりその事件解決までは刑事として従事した。
その事件と言うのが、麻布の路上での女性殺害事件。およびそばにいたらしき男の刺傷事件。
男は外務省官僚。殺された女性とは一面識もないの一点張りだが、それは非常に不可解。
そのなぞを解くべく奔走する男。
その捜査途中で、二課から待ったがかかる。それ以上さわるなと。
つまり別件での捜査が進行中だった。
国家公務員の裏金プール作り。

その後、退職した彼は元外務官僚の入院する病院の庭である男に会う。
かつて、官僚の裏金作りを暴くための記事を書こうとしていた男。
そして電車内で痴漢として訴えられた男。
メディアにも取り上げられて全てを失った男。
殺された女性はその時の痴漢被害者。
そして入院している男に囲われていた。

元刑事の彼は、元事件記者の彼に、ある事を耳打ちする。


▲沈黙怨嗟/サイレントマーダー

▲推定有罪/プロバブリィギルディ


年金絡みの事件と、そしてもとの長塚父子に戻り、この短編集が連作である事が明らかになり終わる。





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