2010年07月15日

「最後の証人」・・柚月 裕子

〜プロローグ 
男と女がホテルにいて、女が男にナイフを持って飛びかかる。男は言う「やめろ!」
女は言う「あの子の復讐よ!」 うげ。

〜本編
佐方弁護士は、かつて検察庁の検事。
しかし、過去に身内をかばった事件を目にして、それを機に退職。弁護士になった。
最近、「身内をかばって事件隠匿」の風潮はかなりかなり減ってるし、どちらかというと反動で、「そこまで出さなくても!」的な方向にすらあると思うので、かなり古臭い印象。

弁護士になっても、事件を担当するかしないかは、その事件の持つ面白みのみで決める。
金額でも、有名事件の如何でもなく。

で、この佐方弁護士が引き受けた事件が、ホテルで起きた不倫の末の殺人事件。
どうみても被告に99%不利なこの事件を、佐方は直感で、「これ」と思って引き受ける。

さあ、この事件を佐方は逆転無罪に持ち込めるのか!!?
・・・・・「そりゃ持ち込むんでしょうよ・・」って読んでて思っちゃうんですけどね。


時間は7年前にさかのぼる。
ある医師の夫婦、光冶と美津子。そして一人息子の卓。幸せを絵にかいたような一家。
その卓がある時、交通事故で死亡。
運転手は飲酒の上の信号無視。もちろん起訴されて実刑判決、と夫婦は確信していた。
しかし、運転手は不起訴。
交通安全委員であった土建業の社長であった加害者の島津邦明が、身内に守られての調書ねつ造。

医師の夫婦は、悔しさをにじませながらも日々を幽霊のように生きていた。
しかし7回忌の頃、妻 美津子の癌が発覚。
余命半年。
そこで妻は、身を呈しての復讐を誓い、夫もそれを幇助する形をとる。

土建業社長でもある島津は実は陶芸も趣味で、陶芸教室をしていることを知り美津子はそこに通い始める。
夫婦で計画して男をたらしこんで、ホテルに誘われた日に、ディナー用のナイフで・・・。

ディナー用ナイフなどで、人が殺せるのか?
医師である夫は、それで十分だと言う。
肋骨のこことここの間、そこを狙えば、心臓に達すると。
何度も繰り返し練習する妻。

裁判の進行は、
まず、美津子の服装や行動が派手になった事を近所の主婦に証言させ、
陶芸教室の生徒に二人の不倫関係を証言させ。

「被告人、島津邦明」
・・・・・この言葉が実は、どんでんその1になってて、というのも、ここまでの所で読者は犯人は美津子の方だと思わされてる設定。ですが、私は、読んでて、そんな風には思わなくて、どっちが死んでるのかなあと最初から思ってたから。
だって、プロローグのホテル風景ですでに刺そうとして失敗して美津子は床に転がってるから。

このまま、島津有罪で結審かと思われた時に、最後の証人が出る。
(これが題名ですから、題名がもはやネタばれ)

その証人とは。
7年前、島津が起こした交通事故のねつ造調書に当たった、丸山と言う検事。

あの時、島津はろれつも回らないほど酔っていた。しかし、上からの指示により不起訴の調書を作成した。
当時、死んだ少年と一緒にいた目撃者の少年を丸めこんでも。

死んだ被害者と、加害者 島津の関係が明るみになる。
その証人を証言台に引きずり出すことが困難だったわけで。
そこが、弁護士の佐方の手腕・・・ってことなんですか?

・・・そのあたり(かつての自分の過ちを証言台で証言するかつての検事)の、心理描写も含め、
医師である夫の苦悩、死を迎えて復讐を誓う妻の心情もなにもかもが浅い。

本の帯の横山秀夫の「こんな女になら殺されてもいい」は、かなり惹かれるキャッチになってるかなと思いますが。
読んだものは皆「こんな男殺されろ」と思うだろうなと。


横山秀夫は、最近全然面白くないのでもちろんのこと、帯の裏で絶賛してた書評家
茶木則雄、川出正樹、杉江松恋、千街晶之という方々、実在するのか知らないけど、
彼らの推するものは読まないという指針にはなりました。


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小説「最後の証人」を読みました。 著者は 柚月 裕子 法廷ミステリーといえばいいのか 日本の小説で法廷ものは初かも がっつり 裁判劇で とはいえ スラスラ読め 文量としても長くなく やはり ..
証人によって・・・【笑う学生の生活】 at 2011年11月19日 09:10
この記事へのコメント
確かに面白いと言えば面白いのですが、絶賛するような内容か?と思いました。
被害者と被告が実は逆だったというこの作品最大の仕掛けは、バレバレでした。
それから丸山が7年前の事件の加害者が島津だったと証言して法廷内にどよめきが起こる場面ですが、その直前に佐方とのやりとりで「島津被告人は危険運転致死傷罪に問われるべきだった…」というセリフがあってすでにバレちゃってるという間抜けなミスもあります。校正段階で気付かなかったのでしょうか。
Posted by コージ at 2011年06月11日 16:30
コージさん。

コメントありがとうございます♪
ちょうど一年近く前に読んでいたらしく、詳細はあまり憶えてはいないのですが、話のまわし方もネタも古いし、いまどき、もっともっと優れたミステリーがたくさん出てる中、眉間に一本皺が寄る感じで読み終えたと言う記憶だけがあります。

その間抜けなミスのこと、よく覚えてなくて・・それは非常に残念ですね。
斜めに読んじゃったかな・・・・。

もともと、ミステリは、得意分野ではないのですが、これは特にダメでした。
そう言えば、最近読んだ中にミステリの「当たり」がないです。
っていうか、ここのところ、ミステリを読んでないんだった・・・。

またよければ、お越しください。
Posted by あしか at 2011年06月12日 15:17
 
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