Who’s the shadow?シャドウ
道尾秀介
東京創元社
第7回本格ミステリ大賞
小説部門受賞作品
人間は、死んだらどうなるの?
いなくなるのよ。
いなくなって、どうなるの?
いなくなって、それだけなの。
医科大学勤務の父、優しい母、そして僕。
大好きだった母の死。
これは夢?それとも・・・
なめらかに、僕の周囲は狂っていく。
後悔、自責、逃避、妄想、精神分裂、投影、シャドウ・・・
夢は、
脳内における記憶の転写作用によるものだ。
日常の出来事を一度大脳にインプットし、それを後に海馬という部位に転写して記憶化する。そのとき脳内に生じる断片的な情報の流れ。
つまり夢は、その人が考えたり体験した出来事の、断片的な再現。
わざとじゃないのよ。身体が勝手にそうしちゃったの。
「悪気はなかったんだ・・・」
無自覚な悪意。見えない悪意。負の連鎖。
何かを一生懸命に考えるのはいいことだけど、
絶対にこうだと思い込むのはよくない。
思い込むくらいなら、考えないほうがいい。
「よだかは、幸せだったのよね」
Dead-end(デッドエンド)
たとえそれが自然死だったとしても。
ニ度と本人からは語られることの無い「謎」が残ります。
遺された者には、たくさんの涙と深い「傷」が残ります。
謎の解明が傷の癒しに繋がるのなら・・・
もちろん、答えが見つかったからといって全ての傷が癒されるわけでは無いし、場合によっては傷を一層深いものにする可能性もあると思います。だから、
「ミステリ小説は救済小説であって欲しい。」
道尾秀介作品の第一印象は、「優しさ」でした。
その「優しさ」は、作品や登場人物が持っているもの・・・というより、書き手側から伝わってくるような「優しさ」。
今回偶然に見つけた本作品の「あとがき」を読んで、著者の道尾秀介氏との距離がとても身近なものに感じられました。
【ここだけのあとがき】
(抜粋)
僕は決して陰惨な出来事が好きなわけじゃない。善良な人を不幸に陥れたいわけでもない。実生活では根っからの平和主義者だし、人が泣いているのを見ると自分も泣きたくなるくらい不幸や不運というものが嫌いだ。
ただ、「ある感情」やそれに対する「救い」を小説で表現しようとしたときには、どうしてもそういった物語が必要になってくる。
・・・狂人だけがこの絵を描ける。
それは、誰の、「叫び」?
書けるだけ、書けばいいと思う。
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ミユウ