2008年08月26日

マドンナ 奥田英朗 講談社文庫

madonna.gifMADONNA
マドンナ
奥田英朗
講談社文庫




ブックタイトル「マドンナ」で、女性が主人公の作品なのかな?と思っていたら、
社内恋愛、子供の進学問題、業者との癒着、女性上司、老後・・・
妻子あり、郊外の一戸建て、主人公は平均的な会社員。
会社で、家庭で、ありがちだけど当事者にとってはシリアスな問題、中間管理職と呼ばれる40代男性たちを描いた「職場小説」でした。
軽やかなストーリー展開、結構きわどい紙一重の出来事をハッピーエンドに仕上げた良質な5作品。
読了後、「ほっ」と安心感の短編集です。

平凡な日常生活の中の「危機一髪」。
人生の分岐点にもなり得る出来事をきっかけに、道を踏み外してしまうのか?
それとも・・・。

奥田英朗作品にはいろいろなタイプの会社員が登場します。
最悪」では、
セクハラスキャンダルで身も心もぼろぼろになってしまった都市銀行勤務の女性。
邪魔」では、
横領の末、会社に放火してしまった自動車部品メーカー勤務の男性。
両作品とも読み応えのある大作ですが、人生を転落していく登場人物たちに「やりきれない」想いが残りました。

勝手な推測ですが・・・
「最悪」 → 「邪魔」 → 「マドンナ」
この3作品は実は連作で、奥田英朗氏は「最悪」と「邪魔」で人生を踏み外してしまった登場人物たちを「マドンナ」で助けてあげたかったのでは?と。

過去で、未来で、現在の物語。

ブックタイトルと同名の「マドンナ」は、頭の中で恋愛物語を楽しむ夢想恋愛体質、部下の女性に片思いしてしまう課長のお話。
父、夫、課長・・・それぞれの役回りをきちんと演じていても中身は思春期?
恋愛モードの荻野課長にハラハラ&ドキドキ!
ただし、マドンナ(倉田知美)サイドに立って読むと、かなり危険。

印象的だった作品は「パティオ」。
定年後、妻(主人公の母)を亡くし一人暮らしの父。
疎遠になってしまった父を気遣いながらも電話連絡さえおっくうでなかなか行動を起こせない主人公は、仕事で管理しているビル内のパティオ(中庭)で見かける老紳士に興味を持つようになります。

照れもなく、気負いもなく、男性のリアルな心理&行動描写。
シリアスな作品からユーモア小説まで、
作品ごとにくるくると変わる作風はまるでビックリ箱。
奥田英朗作品に男性ファンが多いのも納得です。

「マドンナ」は第128回
直木賞候補作品とのこと。
受賞作品じゃないの?
<第128回直木賞候補作品>
石田衣良 『骨音』 平成14年/2002年10月・文藝春秋刊
奥田英朗 『マドンナ』 平成14年/2002年10月・講談社刊
角田光代 『空中庭園』 平成14年/2002年11月・文藝春秋刊
京極夏彦 『覘き小平次』 平成14年/2002年9月・中央公論新社刊
松井今朝子 『似せ者』 平成14年/2002年8月・講談社刊
横山秀夫 『半落ち』 平成14年/2002年9月・講談社刊
もの凄いメンバーの秀作揃いで、第128回直木賞は激戦だったみたいです。
残念ながら受賞作品は、「なし」。


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ミユウ
 

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