球体の蛇道尾秀介
角川書店
目の前で、すべてが逆さまになった。
私はいま、この景色の中にいるのだろうか。
それとも、外にいるのだろうか。
そっと、両手で抱えるように本を持ち重さをはかる。表紙カバーを外し、全体を眺め、表紙の内を開く。パラパラと、親指でページの角をめくり、本の手触りを確かめる。
ふっ、と軽くひと息「さあ、始めよう」。
私にとって本を読むことは、物語の世界への一人旅“心の冒険”。
本を読み始める前のワクワクとした感じがたまらなく好き。
時間が経つのは早くも遅くもない。
1日を数え、1年を数え、10年を数えて ―
もし ― 時間をさかのぼれるとしたら。
生まれる前に戻りたいと。
何かについて、人が最悪の想像をするとき、それはたいてい当たらない。
最悪の結果が待っているのは・・・
人の数だけある物語の、小さな1つだったのだ。
16年前の出来事・・・
「瞼(まぶた)を閉じても、目をそらすことができない」頭の内側で、いつも消えてくれない過去の思い出。
「私」友彦(トモちゃん)
中学2年生のときに両親が離婚、外資系巨大企業勤務の父の東京転勤をきっかけに白蟻駆除業を営む隣の橋塚家に居候することに。16年前(1992年)、当時17歳の高校生だった「私」は、週末の土日だけ橋塚家の主人乙太郎さんの手伝いとして白蟻駆除のアルバイトを始めた。
死には謎が残ります。
それがどんな死でも。
2009年刊行の道尾秀介作品4冊目『球体の蛇』は、これから葬儀に向かう主人公が葬祭場に行き着くまでの間に過去の出来事を振り返る回顧録タイプの長編作品で、現在30代前半と思われる主人公の一人称「私」が思い出を語るスタイルのストーリー展開となっています。
気になるのは・・・
主人公「私」は誰に?どうして?自分の過去を話しているのか?
“十二支シリーズ”の「巳(蛇)」が題名に使われている作品ですが、“球体の蛇”って、ちょっと不思議なタイトルです。
動画の作者インタビュー(web KADOKAWA)で道尾氏は「是非読んで・・・、“球体の蛇”の意味を知っていただければと思います」と語っていました。
私は読了後、胸の高さの宙に浮かんでいる、透明な球体の蛇が見えたような気持ちになりました。
重要なアイテムとして作品中に登場する、サン=テグジュペリ『星の王子さま(新潮文庫)』とガラス製のスノードーム。
スノードームがデザインされた表紙と表紙カバーの装丁がとても素敵です。
それにしても、道尾氏は床下収納庫を外して床下に潜るのが好きみたいですね。
☆星の王子さま公式ホームページ ← “うわばみ”の絵が見れます。
2009年に刊行された4冊の道尾秀介作品
・球体の蛇 / 角川書店
・花と流れ星 / 幻冬舎
・龍神の雨 / 新潮社
・鬼の跫音(おにのあしおと)/ 角川書店 *第141回直木賞候補作品
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