2010年02月06日

数えずの井戸 京極夏彦 中央公論新社

kazoezu_no_ido.jpg数えずの井戸(かぞえずのいど)
京極夏彦
中央公論新社





『この世には不思議なことなど何もないのだよ』

今、この瞬間、
ここに存在していることを、ラッキーだと思う。
文字を読むことができて、読みたい本を自由に読めることの幸せ。

私は、本を読むのが大好きです。
京極夏彦氏は1番大好きな作家で、大好き度MAX、ダントツに好き。京極作品を読むと、癒されて、励まされて、元気になります。
京極作品から受ける印象は、物語(文字)を読む「読書」作業という感覚より「対話」している感じ。本という形で物語を語っている京極夏彦氏の「お話」を横で静かに聞いている、そんな感じがします。

こわいものとはなんなのです?
『数えずの井戸』は「番町皿屋敷」の幽霊お菊の物語で、2008年2月より上毛新聞はじめ地方新聞6紙で連載された京極夏彦氏初の新聞連載小説を、書籍化にあたって構成を変更し、修正を加えられた作品とのこと。
また、『数えずの井戸』は『
嗤う伊右衛門』や『覘き小平次』と同様に、幽霊が登場する古典(怪談)のリライト版です。京極夏彦先生は大きな物語に取り組んでいて、古典リライトシリーズは御行(おんぎょう)の又市(またいち)が登場する「巷説百物語」シリーズの番外編的なサイドストーリーにもなっています。

夜な夜な。
井戸より亡霊出でて。
数を数える―。
それは、そうした噂であった。

「一枚、二枚・・・」と九枚まで皿を数え、「一枚足りない」と嘆く幽霊お菊。
巷間で語られている番町怪談の真相は?

在るだけで全てだというのに。

読み始めの印象は、『嗤う伊右衛門』や『覘き小平次』のようなラブストーリーなのかな?
と思っていましたが・・・
口碑伝承、お芝居、浄瑠璃、小説など、全国に散らばっている「菊」と「播磨」の物語を分解し再構築。新聞連載小説がベース作品とのこと、それぞれの登場人物をパートに分けて物語が進行していく群像劇スタイルの構成ですが、小分けにされた個々のストーリーの牽引力の強さに目が離せなくて、物語の世界に引き込まれます。
さて、「家宝の皿」の所在は?
個々で語られていたそれぞれの登場人物が一同に集まったとき、物語が大きく動きます。
ラストシーンでは菊の声が聴こえたような気がして、リアルに涙が出ました。

kazoezu_no_ido_back.JPG『数えずの井戸』の装丁は、本当に綺麗!
カバー表紙(雲のかかった満月)と本体表紙(雲の晴れた満月)、是非井戸の中を覗いてみてください。
あと、世に二つとなき神品「姫谷焼十枚揃の色絵皿」、やっぱり見てみたいです。

空は数えられぬから。

確かにそこにありました。


『数えずの井戸』 特設公式サイト / 中央公論新社
=数えずのお告げ=
「井戸の縁」に隠された秘密。
「10まで数えて」ごらんください。
・皿屋敷について
・登場人物相関図
・著者インタビュー / 既刊紹介
・書店員さんコメント
等、盛りだくさんのスペシャルサイトです。

「確固たる自分」なんてありませんから、探すだけ無駄なんだけど、それに気づくと怖くなるので、「自分はこうなんだ」と思い込みたくなるもんですね。その思い込み方に差が出るというだけで、みんな、根っこはそんなに違いないもんでしょう。
(特設公式サイト「著者インタビュー」より)


京極夏彦リスト


ミユウ
 

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分厚いわりに読みやすい。 それは何故かとたずねたら ベンベン 改行が多いのだ。 1ページにみっしり文字が詰まっているのではないのです。 そして、最初の方は1篇ずつ主人公と言うか主なる人物が..
数えずの井戸 京極夏彦:著【クラムボンの蹄】 at 2010年03月27日 22:26
この記事へのコメント
こんばんは〜。

京極さんの作品を、実はまだちゃんと読んだことがありません。
今回の作品だけをとってもかなりおもしろい和風娯楽作品のようですし、今度きちんと読んでみます。
しかしじっくり腰を落ち着けて読むべきでしょうね。
時間が〜。
Posted by オムライス at 2010年02月07日 00:21
オムライスさま

おはようございます。
今朝はめちゃくちゃ良いお天気です!

「巷説百物語」シリーズと「百鬼夜行(京極堂)」シリーズは、
もの凄く大きな作品で、(多分)いつかひとつの物語につながるんだろうな・・・と。
京極夏彦作品は、どれも完成度が高くて均一な質感を受けますが、
それでも、確実に作品レベルが上がっていて、
今回の『数えずの井戸』は、現在までの既出作品中、最高の作品だと思いました。

>しかしじっくり腰を落ち着けて読むべきでしょうね。
京極夏彦作品は分厚くてページ数が多い印象を受けると思いますが、
読み始めると、「あっ」と言う間に読み終わってしまいます。
何回でも読みたくなる作品です♪

ミユウ
Posted by ミユウ at 2010年02月07日 10:04
TB、ありがとうございますO(≧▽≦)O
こちらからも送りました。

京極さんの本にしては読みやすい本でした。
これって新聞連載したヤツなんだ。
こちらでは読めないような新聞だったので忘れてた(^▽^;)>゛

私は何気に仙が好きでした。
播磨様のためと言いつつも自分の片想いだもんな。
確かに吉良はあまり良い嫁ではないもんね。
姫谷焼十枚揃の色絵皿ってどんなんだろう?
Posted by Crambom、 at 2010年03月27日 22:38
Crambom、さま

おはようございますっ♪

『数えずの井戸』は京極作品らしくもあり、でも、
新感覚「読みやすさ」がプラスされた感じの作品でしたよね。
大好きな作品です。

身分制度や「家」とか、恋愛や結婚とか、
時代的な背景の影響が大きいと思いますが、
極端な個性で描かれた登場人物たちでしたね。

特設公式サイト「著者インタビュー」の中で、
実は、仙も吉良も菊も同じ人物から分裂(分離)させたキャラクターとのことでした。

「姫谷焼十枚揃の色絵皿」見てみたいです〜!

ミユウ
Posted by ミユウ at 2010年03月28日 10:20
 
   
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