おにたのぼうし(文)あまんきみこ
(絵)いわさきちひろ
ポプラ社
★1970年度青少年読書感想文全国コンクール課題図書<小学校>
★全国学校図書館協議会 第22回選定「よい絵本」
ふくはー うち。
おにはー そと。
まことくんの家の物置小屋の天井に、去年の春から、「おにた」という名前の小さなくろ鬼の子どもが住んでいました。「おにた」は、とても気のいい鬼でしたが、恥ずかしがり屋だったので、家の人たちに姿を見られないようにとても用心していました。
節分の夜、まことくんの豆まきの音を聞きながら、「おにた」は思いました。
にんげんって おかしいな。
おには わるいって、きめているんだから。
おににも、いろいろ あるのにな。
にんげんも、 いろいろ いるみたいに。
「おにた」は、角を隠すための古い麦わら帽子をかぶり、音をたてないで物置小屋を出ていきました。
粉雪が降っていました。
次の家を探して、はだしで雪の中を歩く「おにた」。でも、今夜や節分。どの家も鬼の目を刺すひいらぎの葉を飾っているので「おにた」は家の中に入ることができません。
ある一軒の家の前まで来ると、ひいらぎも飾っていないし、豆の匂いもしません。
こりゃあ、まめの においが しないぞ。
しめた。ひいらぎも かざって いない。
開いたドアから、「おにた」がそろりと家の中に入ると・・・
病気で寝ているお母さんと、お母さんを看病している少女がいました。
やんちゃで健気だけど、ちょっと淋しげな雰囲気の小さなくろ鬼の「おにた」。
表紙にも描かれているように、「おにた」は冬なのに角を隠す大きな古い麦わら帽子をかぶっています。恥ずかしがり屋で人前に姿を見せることがないので、誰も「おにた」のことを知りません。でも、気の良い「おにた」は、いつもこっそり家の人の役に立つことをしています。
病気のお母さんの看病をしている少女の役に立ちたいと思った「おにた」。
この「あかご飯と煮豆」を用意するのに、「おにた」はどれほどの苦労をしたんだろう?
人間の男の子のフリをして女の子の前に現れた「おにた」の姿を見た瞬間、「おにた」のいじらしさに胸が締め付けられるような思いがしました。
もちろん、あまんきみこさんの「おにた」のお話があったから、いわさきちひろさんが「おにた」を描くことができたと思いますが、いわさきちひろさんのすばらしい「おにた」が物語の世界を一層魅力的なものに引き立てています。
せつない「おにた」の物語。節分にぴったりの素敵な絵本です。
→ きつねのかみさま / ポプラ社
ミユウ