2007年02月07日

思考の(政治)経済 完(対立の構図 序)

副題 『神州の泉』(管理人)高橋博彦さんへの手紙

(またはBLOG BLUESさんの「格差社会からレボリューション」に寄せて)


[前書き]

エエと、随分前に、タルコフスキーの『ストーカー』という映画のこと、書きました。『ゾーン』は何処にでも転がっている、っていうような話。これは、言い換えれば『悪党の時代』。つまり<既存の秩序が溶解している状態>です。そやから、こうに違いないと確信を持っていたことでも、どうも疑わしく思えてきます。で、なんか考えるたびに、また、あ、ちゃうちゃう、こうも考えられるわ、と『括弧付け』を外していかなあかん。フッサールはんが頭の中でやってはったように。何かにつけ実感があるようで、なくなり、不安に襲われ易いです。

魔、最近見かけンへんょうになった『焼肉のはや』さんのコマーシャル

『美味いもんは、美味い!』(鶴瓶さん)

のような確かさは、本当の確かさかどうか、それも意見が分かれるところです。何が大事かの優先順位のつけ方も・・。

というわけですので、何か喋るたびに、グルグル廻って、結局、何のことやら自分でもよくわからんようになることばっかりです。下に書いたお手紙も、そういう性格を有しています。
でも、折角、書いたので、コウカイします。

高橋博彦さん、今晩は。

ずっと気にはしていたのですが、お返事が遅くなってすみません。
何から書いたものものやら、整理がつきませんもので・・。

同じ保守系のブロガーの方々でも、小泉改革に対する評価は、割れていますね。御年配の三輪さんは、否定的ですし、もう少しお若い柳生すばるさんは肯定的です。経営者の若手の会の議論を観ていますと、どうも元気が無いですし、リベラル派の議論も錯綜としているように見えます。観光立国の行方、エコ路線も今後定着していくのか、世界的な(金融グローバリズム主導の)開発の渦にかき消されていくのか、予断を許しません。


ところで、ご存知でしょうか? 去年亡くなった経済学者、J.K.ガルブレイスの『不確実性の時代』、この本は色んな経済学者について、その学説と思想的生い立ちを紹介していますけど、なみいる経済学者に混じって、マルクスとレーニンが入っていることを。 哲学者(共産主義の創始者)と革命家(共産主義の実践者)が何故、理論経済学者と同列に論じられたのでしょうか? その問いに答えるには、マルクスの業績を大雑把にでも見れば、出るかと思います。

頼んない記憶を頼りに再現すれば、ガルブレイスは次のような内容のことを書いていたと思います。

マルクスは資本主義を高く評価し、その活動の隅々を「冷徹な論理」で、解剖し抽象化し、その運動原理を再構成して描いている。また、その(資本主義の)限界を抉[エグ]り出し、来るべき社会の中心にプロレタリアート(労働者階級)が立つべきことを謳い上げている。

まあ、別に、ガルブレイスがマルクスをどう評価しようと、また、マルクスがプロレタリアート(労働者階級)をどう評価しようと、どうでも好いんですけど。個別の人物や階級のことは、人それぞれが、その論理と心情と理念に基づいて判断すべきですから。どんなに命令しても、説き付けても『公式主義的な教え』は、人の考え方(広い意味での生きかた)には余り影響せず、頭から抜け落ちることの方が多いですから。何にせよ、よからぬ「思想」が取り憑いてしまうよりも、するりと剥がれてしまう方が望ましいとさえ、思えます。不安ですけどね、何も無い中にポツンと居る様で・・。

さて、このガルブレイスの本から抜き出したかったのは、『冷徹な論理』と『熱い心情』の方です。党派性ではなくて。

過去ログでも、他所のブログのコメントでも、僕は小泉前首相の『構造改革路線』を、どちらかと言えば批判しています。が、その一方で、小泉氏を高く評価してもいます。自分でも、しょっちゅうややこしくなるので、この際、その原因をクッキリさせたいと思って、これを書くことにしました。

さて、ご質問の『西村議員がダメなら、誰が好い政治家なのか?』についてお応えします。その判断基準は、ガルブレイスのマルクス評価に示されているのと同じです。そこで、もう少し具体的に幾人かの政治指導者について、述べてみることにいたします。

『誰が好い政治家なのか?』

誰でもいいです。もしかしたら、その西村真吾議員でさえも、もし『冷徹な論理』と『熱い心情』をお持ちなら、「好い政治家」と呼んでも差し支えはないと思います。判断するのは個々の有権者ですから、理詰め優先で選ぶ人もいるしょうし、情緒優先の方もまたおりましょう。

でも、僕が思うに、小泉氏に比して、西村真吾議員は小さ過ぎます。『冷徹な論理』の部分がね。社民党・辻元さんらを用いて旧・田中派を蹴散らした小泉氏の手腕については、過去ログで述べていますので、その意図がどこら辺にあったのか、間接的にですが、一考してみます。そこではとりあえず、アメリカ・ねおこんのシナリオの下、そういったパフォーマンスを小泉氏が見事に演じたと仮定していました。そう言い切って好いものかどうか、それが次に考えるべき課題です。

『独裁者』という「重し」

「フセイン独裁」なき後の『イラク』を見ても分かりますように、独裁体制を民主化するのは、困難を極めます。フセイン政権を潰しただけでは、『カオス』しか生まれませんでした。10数万人規模の米軍の駐留をもってしても、あるいは今後、増派が何度か行なわれたとしても、先行きは不透明です。しかも、裏でイスラム過激派をしていそうなイランやシリアへと攻撃対象を広げると仮定して、その戦費は何処から手当てされるのでしょう? お金持ちの産油国から? 或いは、財政赤字とはいえ、1000兆円を超える金融資産を有する日本国民からでしょうか? 

どんな形の独裁国家のであれ独裁者を糾弾するのが、民主主義諸国の基本理念であることは、いうまでもありません。でも、その民主社会が時々、独裁者を正当な選挙で選んでしまうとは、何たる皮肉でしょう。その典型がワイマール共和制下でのヒトラー政権の誕生でした。今日でも、似たような独裁国家が生まれる素地が増えていますね。

選挙に不正があったのだ。金権腐敗、情報操作、恐怖政治。そういったバイアスが掛かっていたから、独裁者が選ばれた。

そういった分析、評論をよく目にしますが、果たしてそうでしょうか?
お隣の軍事・資源大国ロシアを「ど臭い」政治の1例[ケーススタディー]として、一瞥してみます。

プーチンを選んだロシアは確かに、
情報統制が行き届いています。チェチェン戦争での過剰な破壊=非人道性が[チェチェンの首都・グロズヌイは99‐2000年の空爆で、全ての建物が破壊されました]、ロシア国内で正確に報道されていないという面はあります。が、それらが正確に伝えられたとしても、大多数のロシア国民はやはりプーチンを選んだと、僕は感じます。有力なライヴァルの不在が主な原因です。ロシア国民が血も涙もない破壊主義者かどうかという判断は、ここでは措いときます。それが証明されることも否定されることも、「定義上」不可能でしょうから。

では、プーチンの有力なライヴァルとなるためには何が必要でしょうか? 
テロリストと目[モク]されそうな人々に対する、効率的でより多くの虐殺? 欧米、イスラム諸国等とのより多くの対話外交? 巨大資源会社への課税強化等による国民生活の向上のための施策? より安定的だったソ連時代への郷愁の喚起? プーチン大統領はそのいずれも行なっているように思えます。

さて、ロシア国内の話に拘[コダワ]ってばかりもいられません。日本の一有権者として政治家をどう選択すべきかが主題ですから、話を戻しましょう。

では、西村真吾氏にこのプーチン大統領に対抗するだけの『冷徹さ』がありますか? いえいえ、日本の有権者はプーチン大統領のような『独裁者』を選ぶでしょうか? 確かに先の総選挙では、(年金問題を最優先の政治課題と掲げた)岡田民主党ではなく、(郵政民営化で刺客を放った)小泉自民党を選択しました。(反中・核武装論者の)西村真吾氏が代表[あるいは党の幹部]だったら、民主党は小泉氏に勝てたでしょうか? 
おそらく無理だったでしょう。そもそも民主党の中で、対抗馬にさえ選ばれませんでした。民主党が軟弱だからでしょうか? それとも小泉氏を選んだ日本の有権者が軟弱だからでしょうか? 

言葉足らずな部分も、もしかしたらあるかもしれませんが、今、感じ、考えるところは、以上の通りです。高橋さんのご意見もお伺いしたいので、次の質問でもって、このお手紙を締めくくらせて頂きます。

この夏の参議院選挙で、或いは党首が代わっているかもしれませんが、(改憲優先主義の)安倍自民党に勝てるのは誰でしょう? 
或いは何故、昨春、横路グループは菅直人氏ではなく、小沢一郎氏を党首に推したのでしょうか? 

ちなみに僕は、個々の政策は分かりませんが、(他にも好きな議員はたくさんいますが)民主党の中では、岡田元党首が直感的には一番好きです。小泉氏にはテンで歯がたちませんでしたが、問題群が多すぎるので基本政策を練り上げていく中で、成長していければと願っています。

では、今日は、これにて失礼いたします。

07・02・06                     ivanat (三介)

追伸。

ええと、これは、あくまで僕の個人的意見ですので、高橋さんが変わらず西村議員を支持なさることに、抵抗感はありません。むしろ、僕の意見も、参考にして下さって、議論を活性化してくださることを望みます。特に核武装の是非の議論さえ封殺する言論状況には、反核の立場から憂慮しています。もちろん、僕は核武装を「非」とする者ですが、何故「非」とするのかの議論は、「是」とする論者とこそすべきものだと思っています。そこで議論の質を高めてこそ、核保有国への批判力も高められるでしょうから。被爆国・日本においても、必ずしも『核武装=非』と一枚岩である必要はないと思っています。活発な議論の末、そういう合意に行き着いてはじめて、辛酸を極めたであろう被爆者の思いも、今後、継承していけるでしょうから。




[本文と間接的に関係ある あとがき]

エエと、最近、色んなブログを読んでて、面白いなあと思うのは、保守系のブロガーやのに、保守を批判する人、左派系やのに、リベラル派を批判的に論じるブロガーが増えていることです。その橋渡しを買って出る諸々の庶民派もおったりして、中々「ソウカン」です。

で、感想を言えば、

まだまだでんな〜。

とはいえ、大いに期待できます〜。

ほなまた〜。

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