2010年02月07日


LGS壁01工事は、だんだんと、
慌ただしさを増してきました...。


完成にむけて、
急ピッチで進んでいます。





LGS壁02室内の間仕切り壁の、
骨組みを組んでいます。


がらん、としていた室内を、
必要に応じて、
細かく仕切っていきます。




ところで、
壁というのは、なかなか便利な発明で、
これを設置するだけで、
ひとつの空間を、全く別のふたつの空間に、
仕分けることができます。


もしも壁というものがなかったら、
視線や、音、匂いなどが、伝わらないようにするためには、
ずっと遠くに離れなければならなくなり、
かなりの距離が必要になってしまいます。


その距離を、壁一枚で、代用しているわけですね...。


そういえば、
あの人とは壁がある、といった比喩的な表現も、
あの人とは距離がある、といった表現と、
似たような意味ですよね。


つまり、
壁というのは、
距離を短縮する装置なのかもしれません...。



アビラ01こちらは、
スペイン、アビラです。
市街は、
古い城壁に囲まれています。

元々、外敵から守るために、
街を外と隔てるための壁です。




アビラ02でも、今では、
その姿を現代まで残すことで、
過去と現在を結びつける役割を、
担っているようです。

今では、時間を短縮する機能も、
もつようになった、という感じですね...。




カセレス03こちらは、カセレスの市街です。










カセレス04家々の壁が、路地をつくりだしています。

その古い壁が、
時間を飛び越えて、
中世の雰囲気を伝えてくれています。


このように見てみると、
壁というのは、
時間、空間を飛び越える、
タイムマシンみたいな感じに見えてきますね...。
 
Posted by k_nakama at 13:20  |Comments(4)TrackBack(0)

2010年02月01日

ファサード

2月に入ったというのに、
こういった書き出しはどうかと思うのですが、
初詣に、浅草に行きました。


仲見世通り01お参りのついでに、
仲見世通りや、周辺の街を、
ぶらぶらと歩きました。









アメ横01その後、
アメ横まで歩いてから、帰りました。












で、
日本の街は、
内部のものが表に溢れ出しているのだな、と改めて思いました。



香港01そういえば、
ずいぶんと昔に訪れた香港の街は、
もっと、
溢れ出していたので、
東洋やアジアの特徴なのでしょうか...。










ミラノ06まったく違った感じの場所なので、
単純に比較しても意味がないとは思いますが、
こちらは、
ミラノのガレリアです。











ミラノ07ガラス屋根のかかったアーケードですが、
その街並をつくっている建物の外観も、
見事に統一されていて、
中の雰囲気が、外に溢れ出すのを、
シャットアウトしています。




ちょうど、
仮面をかぶっているような感じですね...。


ところで、
建築の用語で、ファサード、という言葉があります。


建築の正面の外観、といったような意味なのですが、
日本でも、最近では、わりと普通に使われるようになってきたようです。


ただ、本当のところは、
建物にかぶせる仮面、といった感じではないだろうか、と思っています。


それは、
建物の内容とは無関係であってもよく、
どちらかと言うと、
建物の一部、というよりも、
むしろ、
街の一部、といった方がいいような感じでしょうか...。


そして、西洋では、
魅力的な都市の風景をつくる上で、
そのファサードを、とても重要に考えているようです...。


バルセロナの、
有名なサグラダ・ファミリア教会は、
延々と、100年以上工事が続いています。



バルセロナ08ここでは、
3つのファサードが、計画されているのですが、
まだ、そのうちの2つが、
ようやく、ほぼ完成、といったような感じです。


教会を、先に、サッサとつくってしまって、
そのあとで、ファサードをつくればいいのではないか、
などと、せっかちなことを思ってしまうのですが、
延々と、ファサードをつくり続けているみたいです...。





バルセロナ03これなんか見ていると、
むこうの方々が、
ファサードを、
つまり、都市の風景を、
いかに重要に考えているのかが、
わかるような気がします。









サラマンカ05こちらは、
スペイン、サラマンカの、
とても美しい広場です。








サラマンカ06多くの人のドラマの、
完璧な背景をつくり出しています...。









サラマンカ07夜でも、
大勢の人で、にぎわっていました。









中のものが溢れ出しているような通りも、
親しみやすく、活気があって、
それはそれで、好きなのですが、
こういった、ドラマチックな舞台装置をもった、重厚な場所も、
あってもいいのではないかなあ、なんて思います...。
 
Posted by k_nakama at 16:31  |Comments(9)TrackBack(0)

2010年01月30日

オリンピック

もうすぐ、オリンピックが始まるようですね...。


普段は、それほど関心を持っていないような競技でも、
オリンピックになると、不思議と楽しめてしまうから不思議ですね。


ところで、オリンピックは、国の威信をかけて、みたいな感じがあるせいか、
競技場などの、建築の方も、とても面白いものを観られることが多いみたいです。


普段は、建築に関心がない方でも、不思議と楽しめてしまうかもしれませんよ...。



代々木国立屋内総合競技場01オリンピックの建築といえば、
まずは、やっぱり、これかな、と思います。

代々木国立屋内総合競技場。

1964年、東京オリンピックの時の、
競技場です。





代々木国立屋内総合競技場02巻貝のような屋根は、
ケーブルなどで吊り下げられているそうです。










代々木国立屋内総合競技場03一番上の、棟のあたりなどは、
まるで、巨大な神社みたいな感じで、
どこか、
日本の伝統的な美しさも、
漂わせているように見えますね...。







バルセロナ06こちらは、
1992年のバルセロナのスタジアムです。


女子マラソン、
有森選手とエゴロワ選手のデッドヒートで、
すっかり名前を覚えてしまった、
モンジュイックの丘にあります。



バルセロナ05かなりクラシックな感じですね。
それもそのはずで、
1929年に別の目的で建てられた施設の、
再利用だそうです。







バルセロナ07その横の、美しいアリーナの方は、
オリンピックの際に建設されたもので、
日本人の建築家による設計です。








アテネ01これは、
1896年、
近代オリンピックの第1回大会が開かれた、
ギリシア、アテネのパナシナイコ競技場です。


観客席が大理石でつくられていて、
とても美しい建築です。



アテネ03楕円形の端をカットしたような、
馬蹄形といった感じのかたちをしていて、
街の方から、中の様子がうかがえたり、








アテネ02建物の高さが低いせいか、
観客席から、
パルテノン神殿のある、
アクロポリスの丘を臨めたり...、
と、こういったシンプルな競技場もいいな、
と思えるようなものでした。





実際に観た時には、とても小さく感じられました。
ただ、
2004年に、もう一度、アテネでオリンピックが開催され、
ここが、マラソンのゴール地点となっていて、
テレビで観戦していたのですが、
大勢の観客が入っている中に、
野口みずき選手がトップで入ってきた時に、
コンパクトな会場であるために、かえって、
最近の巨大スタジアムとは違った、感動があったように思いました。


毎回毎回、
それぞれの国の、様々な歴史や事情を背負った建築が、
会場となっているところが、面白いところなのでしょうね。


このあたり、選手と同じなのかもしれませんね...。


今回のオリンピックでも、話を聞くと、
カナダならではの、木材を積極的に使った、
なかなか興味深い建築とのことです。


背景となる、競技場にも注目してみると、より、楽しめるかもしれません...。
 
Posted by k_nakama at 15:04  |Comments(2)TrackBack(0)

2010年01月28日

ケヤキ並木

東京の表参道は、今、
有名な建築家の方々による、建築博覧会の会場のようになっていますね。

先日、ずいぶんと久しぶりに、訪れる機会がありました。

ちょうど、15年ぐらい前に、近くに勤めていたことがあり、
当時は、この近辺をよく歩いていたのですが、
今ではすっかり、変わっています。

この辺りは、建物やお店の入れ替わりが激しくて、
当時から、風景が、どんどんと変わっていましたが、
その頃は、まだ、
関東大震災後に建った、歴史ある、同潤会青山アパートがあり、
それなりに、大人の雰囲気もありました...。


表参道ヒルズ02その同潤会青山アパートを建て替えて、
出来上がったのが、これです。


表参道ヒルズ。






表参道ヒルズ03以前の建物を一部保存するなど、
街の記憶を残すような配慮がされています。









表参道ヒルズ01また、
地下を活用することで、
建物の高さを抑えています。

クリスマス時期には、
ライトアップされることでも知られる、
ケヤキ並木を意識しているようです。




かつての建物にくらべると、やはりまだ、時間の経過が少ないせいか、
大人の雰囲気は、薄れてしまったような気がしますが、
昔から変わらない、ケヤキ並木と一体となった景色を、
重要なものとして、残していこうという、
さまざまな配慮がなされているようですね...。


他の建物でも、
この特徴的な景色を、どのように扱うか、ということが、
いろいろと模索されているようです。



TODS表参道ビル01原宿駅の方から、
表参道ヒルズを過ぎて、もう少し歩くと、
TOD'S表参道ビルが見えてきます。












TODS表参道ビル02ここでは、建物が、
樹のかたちのコンクリートのフレームで、
覆われています。


表参道のケヤキ並木の、
そのケヤキのかたちを、
抽象化したかたちだそうです。





建物は、実際に、
ケヤキの木が立っているのと同じように、
この樹状のコンクリートで建っているそうです。



TODS表参道ビル03本物のケヤキと重なって、
とても不思議な景色をつくり出していますね...。













ONE表参道01その先に、もう少し歩くと、
ONE表参道が見えてきます。










ONE表参道02ここでは、
前面のケヤキ並木に呼応するように、
本物の木が使われています。












ONE表参道03ケヤキ並木と、
建物表面に並ぶ本物の木、
そして、
それらを透かして見える、
建物の壁やガラス...。





これらが、一体となって、
その景色をつくり出している、というわけですね...。


高さを抑えることで、一体化した景色をつくろうとしてみたり...、
かたちを模して、本物のケヤキ並木と重なり合うことで、
不思議な景色をつくろうとしてみたり...、
本物の木を並べることで、その実際の素材で呼応させてみたり...。


同じように、ケヤキ並木を意識したとしても、
いろいろと、
解釈や表現が違うものですね...。


同じ素材を使ったからといって、
同じ料理になるわけではない、というわけですね...。
 
Posted by k_nakama at 18:34  |Comments(2)TrackBack(0)

2010年01月25日

この場所


ユニカビル01先日、新宿を訪れたら、
ユニカビルという、
新しい建物が出来ていました。


近いうちにオープンするようで、
曲面の壁に付いているスクリーンの、
テストをしているようでした。




スタジオアルタ01このすぐ近くには、
誰もが知っている、有名な、
スタジオアルタがありますので、
街に、また、
「テレビ」が建つことになるようです...。










スタジオアルタ02スタジオアルタなどは、
建物というよりも、
ほとんどテレビそのものという感じで、
夜になると、映像しか見えなくなります。











でも、
建築の外観で、何らかのメッセージなどを伝えようとすることは、
ずいぶんと昔から行われていたようです。



バリャドリード01スペインのバリャドリードにある、
サン・パブロ教会です。













バリャドリード02広場に面した壁は、
彫刻で埋まっていて、
メッセージやストーリーを、
伝えているようです...。








サラマンカ03こちらは、サラマンカにある、
サラマンカ大学。













サラマンカ04こちらも緻密な彫刻で埋まっています。


どのようなストーリーを語っているのか、
よくわからないのですが、
いくら見ていても飽きない、
何か伝わってくるものがありますね...。








どれも、建築の表面を使って、何かを伝えようとしているのは、
同じですね。


ただ、少し違っている点があるとすれば、
スクリーンによる映像は、建っているこの場所との関わりがない、
ということではないか、と思います。


次々と写し出される映像は、
別にこの場所だから、というものではなく、
どこででも見られるようなものばかりのように思います。


もしかしたら、
その場所ならでは、などというメッセージやストーリーは、
もう、ほとんど、ないのかもしれないですね...。


だから、その場所ならではの表現ではなく、
どこででも見られるメッセージを纏った建築が増えてきている...。
そんな風にも、感じました。


でも、なんとなく、
面と向かって会っている相手が、
携帯電話で別の人と話しているような感じで、
どうも、あまり面白くないような気もします。
最近では、よくある状況ですが...。


そんなわけで、
そもそも、
そこでしか出来ないものってなんだろうな、とよく考えたりしています...。


もっとも、このようなことを、誰かに面と向かって話すのではなく、
ネットで書いている、ということにも、少々矛盾を感じてはいますが...。
 
Posted by k_nakama at 14:51  |Comments(6)TrackBack(0)

2010年01月21日

ハイテク

事業仕分けの時に、ずいぶんと話題になったスーパーコンピューター。

いろいろな議論を、テレビのニュースなどで観ましたが、
実際のところは、あまりよく理解できませんでした。
最先端の話であればあるほど、
難しくて、理解ができなくなってしまいますね...。


時計のような機械は、開けてみると、
歯車が動いている様子がなんとなく、素人にもわかるのですが、
パソコンなどは、開けてみても、
なんのことやら、さっぱりわからないですものね...。


理解できないと、どうしても、
興味は、横道に逸れてしまうもので、
報道されていた、神戸に建設中の、
スーパーコンピューターの施設は、どんな建物になるのか、
ということが気になりました。


スーパーコンピューターにふさわしい、
ハイテクな感じの建物になっているのでしょうか。
報道された映像では、工事中のものなので、あまりよくわかりませんが、
姿を現すのを、楽しみにしています...。


ところで、建築でも、
今から20年以上前頃を中心に、
ハイテク・スタイル、といったものが、
盛んに言われ、建築されたことがあります。


それらは、機能や構法なども、
それまでよりも高度な技術を目指していたようですが、
そういったことは、
それほど決定的に、ハイテク、という感じではないような気がします。


それよりも、やはり、
未来をイメージさせる、その表現が重要だったのだと思います。



香港上海銀行01有名な代表例。
香港上海銀行です。













香港上海銀行02精密な機械みたいなイメージでしょうか。














香港上海銀行03すでに20年以上前に建った建物です。














香港上海銀行04それなのに、
いまだに、
近未来的な感じを受けるのが、
すごいですね。







香港上海銀行05SF映画に出てきても、
あまり違和感がないような感じです。













林原第5ビル01日本にも、
そういった流れのものが、
いくつかあります。












林原第5ビル02その一つ。
林原第5ビル。













林原第5ビル03新宿・歌舞伎町の、
ちょっと、
ゴチャゴチャしたところに建っています。












林原第5ビル04そのせいもあって、余計に、
ピカピカに輝く、
機械のようですね。








でも本当のところ、
実際のハイテクは、
コンピューターを開けた中身のように、
見てもよくわからないものなのでしょうね。


これらの、「ハイテク」建築は、
そのメカニズムが、はっきりと目で見てわかるようになっていて、
どちらかと言うと、
スケルトンにデザインされた時計のような感じです。


中身の歯車が、動いている様子が見えるような、スケルトンの時計は、
デジタル表示の時計などに較べて、
不思議と、ハイテクな感じがしませんか...。
実際には、デジタル表示の時計などの方が、
より新しい技術なのだろうな、と、わかっているにもかかわらず...。


実際にハイテクであるかどうか、
と、
ハイテクを表現する、
ということとは、別のことなのですね、きっと...。


わざと、事実とは違う表現をすることで、
事実そのものを提示するよりも、
ずっと、その事実を、表現できてしまう...。


矛盾ですね。
でも、それが、表現というものの、奥深さではないか、と思ったりもします...。
 
Posted by k_nakama at 19:02  |Comments(6)TrackBack(0)

2010年01月19日

自由の塊


上棟式01上棟式が行われました。


もともとは、木造の建物で、
一番上の部材にあたる、棟木を上げる時に、
行われます。






鉄筋コンクリート造の場合は、
木造のように、バラバラの部材を組上げる工事とは違って、
一番下の基礎から、一番上の屋根のてっぺんまで、つながっています。


そのため、独立した棟木のような部材はないので、
ちょっと、違和感はあるのですが、
主要な構造部分である、コンクリートの工事が終わった段階で、
行われました。



上棟式02ようやく、骨格にあたる、構造部分が出来上がり、
これから、肉付けにあたる、内外装の工事や、
内臓のような、設備の工事等が、
進んでいくことになります。











ところで、
バラバラの石やレンガ等を積んでつくる、組積造や、
バラバラの木材を組み合わせてつくる、木造などとは違って、
コンクリート造は、
型を組んで、
その中にドロドロとコンクリートを流し込んで、
ひとつの塊にしてしまいます。


そのため、
そういったバラバラの部材を組み合わせてつくるような方法では、
なかなか出来ないような、
彫刻的な塊を強調したかたちや、
コンクリートならではの、自由なかたちなどが、
いろいろと追求されています。



大隈記念館01佐賀県にある、大隈記念館。
大隈重信の記念館です。


重量感のある、コンクリートの塊が、
とても迫力があります。





大隈記念館02単純なように見えて、
曲面の壁は、微妙に曲率が変わっていて、
かなり、奥深い造形になっています。


型をつくるのも、一苦労だっただろうな、
と思います。




文京スポーツセンター01こちらは、
文京スポーツセンター。
スポーツ施設であると同時に、
災害時の避難場所ともなっているそうです。

コンクリートで、
とても複雑で、自由なかたちを、
つくり出しています。




文京スポーツセンター02尖塔があったり、
壁や屋根が様々な方向にカットされているのは、
災害で、視界が悪くなった時に、
目印になりうるという、
設計者の体験に基づいている、とも聞きます。


もっとも、そのような機能的な面を別にしても、
その、彫刻的で、自由なかたちは、
コンクリートならではの、大変な迫力です。





やはり、
バラバラのものを寄せ集めたのとは違って、
塊ならではの迫力と、
ドロドロしたものを固めてつくるため、
他の工法では出来ないような、自由なかたちが可能なことが、
コンクリートの面白いところなのかもしれませんね。


ただ、コンクリートを流し込むための型は、
結局、バラバラの部材をつなぎ合わせてつくることになるため、
出来上がりほどには、自由ではないみたいです。


そして、そのように苦労してつくった型は、
建物が出来上がってしまったら、壊してしまい、
跡形もなくなってしまうわけですね...。


見えない苦労に支えられて、こういった自由がある、
といった感じでしょうか...。
 
Posted by k_nakama at 20:14  |Comments(10)TrackBack(0)

2010年01月14日

荒削りなこと


ミコノス島01ギリシア、地中海の島、ミコノス島。


白壁に、原色の扉の家々が並ぶ、街並です。







ミコノス島02街路を歩くと、真っ白な世界で、
夢の国、みたいな感じですね。









ミコノス島03本当に、美しい街並なのですが、
その荒っぽい仕上げにも、驚かされます。


自分たちで、石灰や漆喰を塗るようなので、
仕方ないのかもしれませんが...。





ゴツゴツ、ガサガサ、ザラザラ...、って感じです。



ミコノス島04でも、その荒っぽい感じが、
あまり嫌な感じではありませんね。









アルコス01こちらは、
スペイン、南部の街、
アルコス・デ・ラ・フロンテーラ。


白い家々が、
山に張り付くように、並んでいます。





アルコス02これらは、
住人自らが塗っている、
というわけではない、と思うのですが、
やはり、日本人の目から見ると、
荒っぽい仕上げに見えます。


でも、強い日差しの下で、
荒っぽく塗られた白い壁が、
とても、味わい深く見えました...。





日本の街並は、古いものでも、もう少し繊細な仕上がり、という感じを受けます。



美馬市脇町03これは、以前にも紹介した、
徳島県美馬市脇町の「うだつの町並み」です。










美馬市脇町01格子や漆喰の壁が、
とても繊細で、きれいに並んでいます。









西洋の街並も、日本の街並も、どちらも美しいと思うのですが、
おそらく、仕上がりの感覚には、かなり違いがあるのだろうな、
と感じています。


そう言えば、
タイルの張り方で、
日本の家の場合には、きれいに、整然と張るのが当たり前なのですが、
西洋の方のお家を工事した時に、
とにかく、張ってあれば何でもいい、みたいな感じだったので、
本当に気持ちが悪かった、という話を、
現場の職人さんに聞いたことがあります。


このように、細部まで、きっちりとしておかないと、気持ちが悪い、
という感覚は、
日本人がものをつくる上で、とても大切なことだと思っています。


ただ、時折思うのですが、
このように、端正に、きれいにしておきたい、
あるいは、
ツルツル、ピカピカ、といった感じを好む、
こういった感覚が、
常に、きれいな新品を好む感覚へとつながり、
古い街並が、どんどんと建て替えられてしまったり、
手仕事を排して、既製品ばかりの家々へと、街並を変えていってしまっている、
といった面もあるのではないか、と...。


そして、
西洋の街並が、長く残っている要因には、
そのような、荒っぽさ、そして、古さを許容する、
といった面も、また、あるのではないか、と...。


19世紀、イギリスに、ジョン・ラスキン、という、
美術・建築等の評論家がいました。
この人は、中世のゴシック建築を理想と考えていたそうです。
その理想のゴシックの特徴として、いくつかの点をあげている中に、
「荒削りなこと」という項目があったのが、印象に残っています。


荒削りなこと、
つまり、
不完全であることを、とても重視していたようです。


不完全であることは、進歩と変化の状態、
つまり、生命の本質である、といった感じのようです。


その考え方が正しいのかどうかは、わかりませんが、
荒っぽい仕上がりの街並が、どことなく味わい深い感じがすることとは、
符合するような気もします...。


端正な感じと、荒っぽい感じ...、
この両方の感覚、というのは、うまく両立できないものなのかなあ、
とよく思います。


端正なものをつくれる人が、あえて、荒っぽくつくる、
あるいは、
荒っぽいものを、端正につくる、
といった感じは、どうかなあ、なんて思うのですが...。
 
Posted by k_nakama at 18:04  |Comments(10)TrackBack(0)

2010年01月12日

見えない線

ちょっと前の話になりますが、
雑誌で、奈良県の纒向遺跡が、そこで見つかった建物跡などによって、
邪馬台国の有力候補地になっている、という記事を読みました。


その分野に全く詳しくない上、
まだまだ、いろいろと論争が繰り広げられているようなので、
それが正しいのかどうかは、よくわからないのですが、
その根拠としてあがっている話が、とても面白いお話でした。


見つかった建物跡が、3棟あるそうなのですが、
それらが、正確に、東西に方位を合わせて、きれいに並んでいるのだそうです。
当時の遺跡で、そのように計画的に建てられた例は、とても珍しく、
そして、卑弥呼が活躍していた邪馬台国の時期とちょうど一致するため、
これらは、卑弥呼の宮殿ではないか、という話になったようです。


このように、正確に方位を合わせて、整然と並べる、といったような、
建物を計画・設計する際の、知的な操作が、
そのはるか後の時代の人たちによって、読み解かれている、
ということが、とても面白いと思いました。


そして、
それとは別に、なるほどと、腑に落ちることもありました。。



広島計画01これを聞いて、思い出したのが、
戦後すぐに計画された、広島計画。


格子に覆われた箱は、
被爆時の様々な品が、
展示されている施設です。




この建物は、柱によって宙に浮かんでいるため、
道路から、その先を見通すことができます。



広島計画02そして、その先には、鞍型の慰霊碑が、
さらに、
その先には、原爆ドームが建っています...。








つまり、大通りから、宙に浮かんだ陳列館を通して、
慰霊碑、原爆ドームへと、軸線を想定し、一直線に並べられている、
ということですね。



広島計画03もともとは、
原爆ドームと関連させるということは、
要求されていなかった、
という話も聞きます。






しかし、この計画によって、それら全てが関連づけられるようになり、
現在からみても、
読み解く価値のある、メッセージが伝えられているように思います。


ちょっと、天才的な設計ですね...。


時空を超えたロマンや、天才的な設計の後に、
自分のチマチマした話を持ち出すのは、ちょっと、どうかと思うのですが、
話の行きがかり上、勘弁してください。


建物を設計していると、
実際には体感することも、外観としてみることも出来ないような部分、
図面でしか見ることが出来ないような部分が、とても気になることがあります。


実際に体感することも、見ることもできない所だけれども、
図面で見ると、どうもしっくりこない、といったような感じです。


別に、出来上がった建物で、見えるわけではないのだから、
割り切って、放っておけばいいのかなあ、とも思うのですが、
放っておくことができず、
なんとかしようと、いつも、いろいろと悩んでしまいます。


広島の軸線の方は、観に行けば、
その知的操作が、かなりはっきりとわかるのですが、
纒向遺跡の方は、別に、正確に東西に方位を合わせて並んでいなくても、
当時は、別に問題なかったと思います。


ただそこを、あえて、しっかりと合わせていたが故に、
彼らは意図していなかったとは思うのですが、
その1800年ぐらい後の私たちに、
何らかのメッセージを伝えることが出来たのではないか、と思います。


そんなことを思うと、
なんとなく、ちょっとオーバーな話になってしまって、申し訳ないのですが、
すぐに必要ではないことであっても、
気になる部分があれば、なんとかしようと、いろいろと考えることも、
やはり、必要なのかもしれないなあ、
という具合に、腑に落ちた、というわけです。
 
Posted by k_nakama at 16:24  |Comments(2)TrackBack(0)

2010年01月09日

未来を予測したい...

波瀾万丈の人生をおくっておられる方は、どうか、わかりませんが、
普通に暮らしていると、
それほどの事件もなく、そう大きな変化もないので、
この先も、ずっとこのままなのだろう、なんて思ったりします。


でも、何か大きな変化が起るときというのは、何の前触れもありません。
突然、ひょんなことから、
今まで見ていた景色が、ガラッと変わってしまうようなことも、また、
あるように思います。


そのような変化があるのか、ないのか、
それすらも予測できない...。


先のことを、予測するというのは、とても難しいことですね...。



静岡新聞・静岡放送001東京、新橋駅のそばにある、
静岡新聞・静岡放送東京支社。


木の幹と葉っぱのように、
真ん中の円筒形の部分に、
機能上必要なもろもろのものがおさまり、
それに、事務室がくっついています。







静岡新聞・静岡放送002構造的設備的に必要な部分を幹として、
この部分は、時間を経ても変わらない部分。


それに取り付く葉っぱとしての、事務室部分は、
時間の経過によって変化する部分。


というようなことを考え、
表現しようとしたのかもしれません。





もしも将来、建物を拡張したくなった時には、
幹の部分を上にのばし、葉っぱの枚数を増やしてやれば、
敷地を拡張しなくても、建物を拡張できる、といった感じでしょうか。



静岡新聞・静岡放送003実際に見てみると、
太い幹の樹木と、
そこにぶら下がるツリーハウスみたいで、
何とも言えない、迫力があります。











静岡新聞・静岡放送004また、
二つの道路に挟まれた三角形の敷地の、
角の部分が、宙に浮いていたり、
幹の横のエントランスホールは、
ガラス張りで、
向こうの道路まで、
視線が抜けていたりするため、
とても、開放感があります。




周囲の道路や、敷地の環境などを、とても入念に読み解いて、
計画しているように思います。


さて、ここでは、
幹の部分も、葉っぱの部分も、どちらも、
そう簡単には、取り替えることはできないので、
あくまでも、未来に対する考え方を、かたちで表現した、
ということだったと思うのですが、
この葉っぱ部分を、
実際に、取り替え可能にしようとした建物もあります。



中銀カプセルタワー001この建物のすぐそばにある、
中銀カプセルタワービル。


このトウモロコシみたいな建物の、
粒のひとつひとつが、住居になっています。


この住居は、真ん中の幹に、
ボルトで留められていて、
実際に交換可能、とのことです。




中銀カプセルタワー004この住居部分は、
1階にひとつ置いてあって、
中をのぞくことができます。

家具や設備もおさめられた、
カプセルホテルの部屋みたいな感じです。
かなり狭くて、ちょっと厳しいかな、
という感じはありますね...。




中銀カプセルタワー003将来、何らかの修繕が必要になったときには、
真ん中の、変わらない幹の部分はそのままに、
住居部分のみを交換すれば、
OKということのようです。











中銀カプセルタワー002未来を予測し、
建物を新陳代謝させることで、
時間の経過というものを建物に採り込んでいる、
という感じでしょうか。











この建物、近年では、度々、取り壊しの話が出ているようで、
週刊誌などで騒がれたりもしていました...。


実際に、新陳代謝、
つまり、
住居部分の交換、ということは、まだ、行われていないみたいですね...。


いろいろな噂を聞いてみると、
やはり、予測した通りの未来にはなっていないようで、
新陳代謝だけでは、なかなか乗り切るのが困難なことも、
いろいろとあるようですね...。


やはり、
先のことを、予測するというのは、とても難しいことですね...。


でも、
将来の予測は不可能だから、と諦めて、今がよければいい、というのも、
どうかと思いますよね...。


人間は、やはり、未来を見ようとするものなのでしょう。


未来を見ようとして、結果、裏切られ、また見ようとする...。


このような、イタチゴッコこそが、未来なのかもしれませんね...。
 
Posted by k_nakama at 16:29  |Comments(8)TrackBack(0)

2010年01月06日

完成は、いつになるのか...


東京スカイツリー01今建設中の、
東京スカイツリーの姿が見えました。

完成すると、
自立式電波塔としては、
世界一の高さになるのだそうですね。


現在、250メートルぐらい、とのことだったので、
まだまだ半分にも届いていないのだそうです。





このまま工事が進み、計画通り、634メートルに達し、
完成となるのは、2011年の末になるようです。


ところで、
この塔は、来年末に工事を終え、次の年の春に開業した時に、
ひとまず完成、という事になるのだと思うのですが、
その後も、利用されながら、微細な変更は行われていくのでしょうし、
いろいろなメンテナンスも必要となります。


ということは、建物の完成、というのは、一体なんなのでしょうね...。


当初の計画通りの工事を終えた、ということなのかもしれませんが、
実際には、
その当初の計画には、当然、
その後の変化や、発生するであろうメンテナンス等も、
織り込み済みだろうと思うので、
本当の意味での、当初の計画というものは、終わりがないんですよね...。


さらに、建物は、当初の計画を超えても、生き続けていきます...。



ローマ01ローマにある、有名なコロッセオ。
円形闘技場です。









ローマ02といっても、勿論、
今では、闘技場ではなく、
遺跡として、
当初の計画とは別の意味をもって、
建ち続けています。






ローマ03こちらも、ローマの、
フォロ・ロマーノ。









ローマ04このような、
廃墟かと思うような遺跡が、
現代の街の真ん中に、
当たり前のように建っている事に、
驚かされます。











これらの建物は、
当初の計画と全く別の意味をもって、建ち続けているわけですが、
現代の街というものは、今あるものが唐突に出来上がったのではなく、
歴史の中にある、ということを語り続けている、と考えると、
未だ、その役割は終えていない、ということなのでしょうね。


そして、
今でも、調査が続きながらも、風化も進んでいく、
つまり、ずっと変化し続けているわけで、
建築としては、未だ、完成していないのかもしれませんね...。


そう考えてみると、
建物の完成というのは、一種の区切り、みたいなものかもしれません。


「完成」し、一区切りつけた、と思っていると、
いつのまにか、
当初の計画では、想像もしていなかったような、
新しい意味が、すでに始まっている...、という感じでしょうか。


というわけで、
年末で、一区切り、と思っていたら、あっという間に、
新しい年が、すでに始まって、6日になってしまいました...。


遅くなりましたが、
新年、明けましておめでとうございます。


本年も、どうぞよろしくお願い致します。
 
Posted by k_nakama at 14:53  |Comments(8)TrackBack(0)

2009年12月30日

連続と断絶


ロカ岬02ポルトガル、リスボンに近い、ロカ岬は、
ユーラシア大陸最西端の岬だそうです。









ロカ岬01石碑が建っています。


「ここに地果て、海はじまる」
と書かれています。
勿論、読めませんが、
そう書かれているのだそうです。




ロカ岬03確かに、
地面が断絶するのだな、
という感慨があるのですが、
この海を挟んで、
北米大陸と向かい合っているのだな、
という感慨もあります。





空間の、連続と断絶は、その感じ方次第なのですね。



コンスエグラ01スペイン、コンスエグラの有名な風車。


実際には、
「ドン・キホーテ」に登場する、
風車のモデルではない、
という話も聞きます。




コンスエグラ02しかし、
それをイメージすると、
小さな風車が、
16世紀と現代を、繋いでくれます。







コンスエグラ03また、この風車が、
そのような想像をさせる力のある建物だ、
ということも言えるのかもしれません。








考え方次第で、
空間や時間が、
連続しているようにも、断絶しているようにも、
イメージすることができます。
そして、面白い風景、面白い建物は、
そのようなイメージを、
呼び覚ましたり、促したりする力があるのかもしれませんね...。


よいことは、連続するように、
悪いことは、断絶するように、
年の変わり目も、そのようにイメージしたいものですね...。


皆様、今年はありがとうございました。

来年も連続していきたいと思っております。

引き続き、どうぞよろしくお願い致します。
 
Posted by k_nakama at 20:51  |Comments(14)TrackBack(0)

2009年12月26日

通過点ですが...


屋根配筋01工事は、
一番上の、
屋根にあたる部分をつくっています。

なんとか、年内に、
建物の骨格にあたる、
コンクリートの部分の工事を、
終えることができそうです。




まだ、通過点ではありますが、一段落という感じです。



屋根配筋021階の店舗部分は、
部屋の外形が、
わかるようになってきました。


奥に長い建物は、
一番奥が行き止まりにはならず、
その奥の、屋外空間へと、
トンネル状に、
続いていくように計画しています。





一番奥へと向かう視線が、その先へと抜けていき、
全体の空間が、伸びやかに感じられるように、と考えました。


その先に、まだ何かあるように感じられるといいな、と思っています。
その先の何かへの、通過点、という感じですね。


ところで、
通過点ではなく、行き止まりという場合には、
その場所に何か意味がなければいけないように思います。


もっと先に行けると思ったら、行き止まりだった、というのは、
なんとなく、がっかりですよね。


行き止まり地点は、目的地であってほしい、と思います。



ミラノ03こちらは、イタリア、ミラノの駅です。

ヨーロッパの大きな終着駅は、
このような、
行き止まりの駅に、
なっていることが多いそうです。





ミラノ04頭端式駅と呼ばれるそうですが、
大きくガラスで覆われ、
旅の終わりになっても、
始まりになっても、
何となく、
ドラマチックな感じがしますね。





ミラノ05日本の駅は、
終着駅であっても、
多くの場合、通過式駅になっていて、
目的地になりきれていない感じで、
ちょっと、つまらない感じがします。






やはり、目的地には、それなりの、姿が必要なのでしょう。
苦労してたどり着いてみたら、なんか、がっかり、というのでは、
目的地の重責は果たせませんよね。



サンティアゴ01こちらは、
スペインの、
サンティアゴ・デ・コンポステーラ。








サンティアゴ03カトリックの、有名な巡礼地だそうです。











サンティアゴ02長い長い、巡礼の旅の、目的地にふさわしいような、
重厚な建築で迎えてくれています。



しっかりとした目的地がひかえているために、
そこに到るプロセスもまた、光るのかもしれませんね。








工事中のお店は、
リラックスして楽しむために、気軽に立ち寄ってもらいたいので、
もちろん、通過点、ということですね...。


その先にある何かが、目的、というわけです...。
 
Posted by k_nakama at 17:50  |Comments(10)TrackBack(0)

2009年12月24日

シンメトリー

絵や写真の構図を決める時でも、
お部屋に何かをレイアウトする時でも、いいのですが、
あまりにも整然と、ものが並んでしまうと、
どことなくおさまりが悪いような気がしませんか。


何となく、安定しすぎていて、動きがない感じ...、
その配置が強すぎるために、
どこか居心地が悪いような気がしてしまいます。


建築の場合でも、
あまりにも、かっちりと左右対称なものをみると、
その強すぎる感じに、居心地の悪さを感じてしまうことがあります。


でも、その、
強い感じ、安定しすぎな感じ、動かない感じ...、
というのは、権威や権力を表現する場合には、
わりと適しているような気もします。


スペインを旅行した際に、3つの、王家の宮殿をみました。



マドリード宮殿01マドリードにある宮殿。










マドリード宮殿02今現在でも、
国の行事に使われているそうです。









マドリード宮殿03やはり、左右対称を基調とした、
とても、どっしりとした構えです。









アランフェス01こちらは、アランフェスの宮殿。










アランフェス02クラシックギターの曲で有名な、
アランフェスですね。









アランフェス03これも、左右対称の、
かっちりとした表現です。









エル・エスコリアル01そして、マドリードの近郊にある、
エル・エスコリアル。

宮殿だけではなく、修道院、等々、
様々な用途の入った複合施設だそうです。






エル・エスコリアル02個人的には、これが一番面白かったのですが、
装飾がほとんどない、
簡素で、直線的なかたちをしていて、
その幾何学的な感じが、
現代の建築に近いような感じがしました。






エル・エスコリアル03でも、やはり、これも、
重厚な、左右対称形で、迫ってきていますね。









どれも、
とても静的で、安定しているのに、どこか落ち着かない気分にさせられる。


不思議ですね。


強い秩序を感じさせられるからでしょうか。


そういえば、
動かずに、黙って、じっと座っているのは、結構しんどいですからね。
とても、じっとしていられません...。
 
Posted by k_nakama at 15:10  |Comments(8)TrackBack(0)

2009年12月21日

離れて立つ

働くための建物などは、様々な機能がなるべく近くにある方が、
便利で、都合がいいことが多いようです。


住宅の家事動線なども、なるべく短い方が便利ですよね。


でも、場合によっては、
離れていた方がいいものもあるかもしれません。


美術館や、公園のような施設では、
すべてが一箇所に集約しているよりは、
ぐるぐると散策しながら、いろいろなところを巡り歩いた方が、
楽しい場合もあるのではないでしょうか。



石川県能登島ガラス美術館01こちらは、石川県能登島ガラス美術館。










石川県能登島ガラス美術館02様々な、不思議なかたちをした建物を、
巡り歩くことになります。









能登・門前ファミリーイン01同じ設計者による、
能登・門前ファミリーイン、
ビュー・サンセット。









能登・門前ファミリーイン02リゾートホテルだそうです。















能登・門前ファミリーイン03いろいろなかたちのコテージなどを
つなぐ廊下を、
眺めを楽しみながら、
歩き廻ります。








なのはな館01今度は、
鹿児島県指宿にある、
なのはな館。








なのはな館02高齢者交流施設だそうです。










なのはな館03それぞれに機能をもった建物は、
一箇所に集約されてはいません。









なのはな館04広い敷地の中に、
いろいろな不思議なかたちで、
散りばめられています。








なのはな館05そして、それらの建物を、
回廊が繋いでいます。









なのはな館06回廊を歩くにつれて、
様々なかたちが現れて、
その景色を変えていくわけですね。








これらの建物は、
一つに集約せずに、バラバラに分けて、わざわざ離して建てられています。
そして、そのバラバラの建物のかたちは、
どれも、違ったかたちをしています。


やはり、同じものが並んでいるだけでは、
巡り歩く楽しみがないからかもしれませんね。
歩くたびに、景色が変わっていく、というのが楽しいところですから。


そして、それぞれが不思議なかたちをしているからこそ、
そこまで歩いていこうという興味が湧いてくるのかもしれません。


不思議なかたちをしたものが、離れて建っているため、
あれは何かな、と興味を持って歩いていく、
そして、
歩くたびに、その景色が変わっていき、歩くのが楽しくなる、
といったような相乗効果で、
その環境全体を楽しむことが出来るようになっている、ということですね。


でも、これって、少し考えさせられますね...。


つまり、
群れずに、独立していたいと思ったら、
これらの建物のように、
とても個性的でいなければならない、ということかもしれないですから...。
 
Posted by k_nakama at 16:26  |Comments(14)TrackBack(0)

2009年12月18日

頭一つ上の世界


R階床配筋01工事は、
屋上となる部分をつくっています。










R階床配筋02街中に建つ建物では、
庭を確保することが難しかったり、
あるいは、
もしも庭があっても、
背の高い建物に囲まれていて、
あまり快適ではなかったり、
といったことがよくあります。




そういったときには、
屋上の方が、かえって気持ちがいいかもしれませんね。



カサ・ミラ02屋上といえば、
以前にも紹介しました、
バルセロナにある、
有名な、ガウディのカサ・ミラ。











カサ・ミラ03屋上には、
煙突などが、
たくさん並んでいるのですが、
それぞれ、
綿密にデザインされています。






カサ・ミラ04それらを巡り歩くように、
波打つような回遊路となっていて、
とても不思議な屋外空間となっています。








グエル邸01こちらもガウディの、グエル邸。


街路から見る姿は、とても重厚な感じです。







グエル邸02でも、屋上には、
どれ一つ同じものがないというように、
デザインされた、
煙突などがたくさん、並んでいます。







グエル邸03街路から見るのとは違った、
カラフルな、不思議な世界になっていますね。


満員電車などでも、頭一つ上に出すことができれば、
かなり気持ちのいい空気を吸えたりするものですが、
街の中に建つ建物も同じなのかもしれません。


頭一つ上に、
個性的な空間がつくれる場所があるのかもしれませんね。
 
Posted by k_nakama at 18:38  |Comments(4)TrackBack(0)

2009年12月16日

リマスター

ちょっと前の話になってしまいますが、
ビートルズのリマスターCDが発売されて、
ちょっとした騒ぎになっていたことがありました。


内容については、ここで何か語るほど詳しくはないのですが、
その時に、リマスターという作業は、どういったものなのかな、
という興味をもちました。


そんな頃に、
実際に、今回のビートルズのリマスターCDを手がけた、
エンジニアの方のインタビューや、
リマスターの作業を多く手がけているエンジニアの方の、
解説インタビューなどが、雑誌に掲載されていたので、読んでみました。


やはり、技術的なことはよくわからないのですが、
具体的には、
ノイズを除去するなどして、
音をクリアにするというような作業なのかな、と思いました。


それらのインタビューの中で、
ノイズ除去を優先しすぎると、全体が別のものになってしまう、
とか、
リマスター作業とは、録音時の状態に戻すことである、
といった話があり、とても面白いと思いました。


録音時に戻す、と言っても、
そのエンジニアの方が、実際に、そこにいたわけではないので、
それを想像しながら、行うのだそうです。


これって、確かに、行き過ぎると、
全く別のものにしてしまう可能性もある作業ですよね。
絵画の修復などにも近い、微妙な作業なのかもしれません。



ガスミュージアム01話は、急に飛びますが、
仕事場の近くに、
ガスミュージアムという施設があります。


明治時代に建った、
東京ガスの社屋であった建物二つが、
移設復元されています。



ガスミュージアム02ヒマな時によく訪れるのですが、
何よりもいいのは、
入場無料であることと、
ほとんど人がいないことです。







ガスミュージアム03あまり流行っていないのか、
大通りに面していながら、いつ訪れても、
別世界のように、静まり返っていて、
結構、気に入っています。







ガスミュージアム04気に入っているのですが、
気になっていることもあって、
それは、
ちょっと、建物が、きれいすぎることです。








確かに、出来上がって間もなかった、明治や大正の時代の姿は、
こんな感じに近かったのだろうな、と思うのですが、
どうも、その後の時間を感じさせないことに、違和感を感じてしまいます。


これって、リマスターの作業の、
行き過ぎに近いようにも思うのですが、どうでしょうか...。


ここを見ていると、
なんとなく、
こういったものを思い出してしまいます。



ハウステンボス01長崎にある、ハウステンボスです。









ハウステンボス02これらは、
ずいぶん昔に撮影した写真なので、
今は、もう少し、
雰囲気が変わっているかもしれませんが、
どことなく、非現実感が漂っています。





ハウステンボス03多分、
これらが建っていたであろう時代からの、
時間を感じさせないからだろうと思います。








ハウステンボス04もっとも、どちらも遊びの施設なので、
非現実的でいいのですけどね...。








考えてみると、
良心的な、リマスターという作業が、
オリジナルの状態に近づけようとすることだとすると、
音楽はともかく、建築では、
オリジナルから、現在までの時間の経過は、
ノイズとして除去されてしまう、ということかもしれません。


リマスター版の建築や街をつくる、ということ、
つまり、
建築や街を、保存・修復の対象にするということは、
もしかしたら、
オリジナルから、自然に時間を経てきたものと、
時間の経過を無視して、現在の技術で、直接過去を再現したものと、
二通りの時間の流れを作り出してしまっているのかもしれませんね。



そういえば、東京駅は、今、
戦災以前の丸屋根に戻す工事を行っているそうですね。
これにより、オリジナルの状態には近づくのだと思うのですが、
その作業の中で、
この60年ほどの時間は、ノイズとして除去されてしまいます。
ここには、なかなか、単純に答えが出せない問題が、
含まれているようですね。


東京駅の例などは、
オリジナルの丸屋根でも、その後の屋根でも、
それなりにいいので、このような議論が成り立ちますが、
日本橋の例などは、どうでしょう。


日本橋の上空に、高速道路がかかっているのは、
景観上、よろしくないのではないか、という議論が、
時の首相などもかかわって、少し前に起ったことがありました。


確かに、見ると、とても美しいとは言えないような状態なので、
取っ払ってしまいたい、と思うのですが、
それでも、この状態が積み重ねてきた四十数年を、
後の価値観で、簡単にノイズとして、除去してもよいものでしょうか。
そもそも、そこまでに経てきた時間・歴史というものを、
その時代時代の評価によって、
簡単に、裁くようなことをしてよいのだろうか、とも思ってしまいます。


まあ、
このように、ああでもない、こうでもない、などと書いていくと、
結局、どっちなんだ、という声が聞こえてきそうですが...、
でも、あえて言うと、
すべての状況に当てはまる、確実な正解なんて、
ないんですよね、結局のところ...。


だから、いろいろと、試行錯誤しながら、考える、というわけです。
 
Posted by k_nakama at 16:38  |Comments(16)TrackBack(0)

2009年12月14日

斜に構える


内子町八日市護国01愛媛県内子町の町並みです。


木蝋の生産などで、
江戸時代後期から、
明治にかけて栄えた地域だそうです。






内子町八日市護国02とても重厚な町家が並んでいます。

ここで、
とても面白くて、特徴的なのが、
なまこ壁、と言われる部分です。

45度に傾いた感じで、
格子模様になっている部分ですね。



これは、蔵などで、よく使われるそうですが、
壁に並べられた平瓦の継ぎ目部分に、漆喰を盛り上げて塗っています。



丸亀市塩飽本島町笠島04こちらは、
香川県丸亀市生ノ浜の海岸近くの夫婦倉。
なまこ壁に覆われていて、
とても面白い姿ですね。







ところで、急に話が飛ぶようですが、
幕末から明治にかけて、
日本の職人が、西洋建築を真似てつくった、擬洋風建築というのがあります。
勿論、当時は、ほとんど西洋建築の情報がなかったでしょうから、
全く、正統な西洋建築ではないのですが、
それ故にか、とても独創的で、面白い建物が残っています。



旧新潟税関庁舎01こちらは、
新潟県の、旧新潟税関庁舎。









旧新潟税関庁舎02とても不思議なデザインですが、
なんとなく味わいがあります。









旧新潟税関庁舎03ここでも、なまこ壁が使われています。

なまこ壁は、擬洋風建築に、不思議と、
よく用いられています。







宮崎神宮旧徴古館01こちらは、
宮崎県の宮崎神宮徴古館旧館 。









宮崎神宮旧徴古館02これは、
擬洋風という括りとは、
ちょっと違うのかもしれないのですが、
なんとなく、面白くて、
忘れ難い建物だったので、
ここで、強引に紹介してしまいます。





宮崎神宮旧徴古館03なまこ壁に覆われています。









でも、なぜ、
擬洋風建築に、多く、なまこ壁が使われたのでしょうね。

なまこ壁自体は、蔵などの壁として、
西洋建築が入ってくる前から用いられていた、と思うので、
別に、洋風でもなんでもないと思います。

にもかかわらず、
見たこともない、洋風建築を表現したいと思った時に、
この壁を多く採用したというのが、とても面白いと思っています。


これは、単なる推測なのですが、
多分、その理由は、
そのデザインが、斜めだったからではないか、と思います。


考えたら、日本の建築には、
屋根以外に、斜めの部分がほとんどないんですよね。


その屋根も、中の骨組みは、水平垂直の部材ばかりで、
斜めの部分が全然ありません。
斜めの部材を使う、屋根の骨組みのことを、
洋小屋組み、と呼ぶぐらいです。


日本の職人が、全く知らない西洋建築をつくるにあたって、
自分たちが常々作っているものから、一番遠いものを、
知っている手の内から探してきた結果、
斜めのデザイン、なまこ壁になった、
と思うのですが、どうでしょうか...。


まあ、それが当たっているかどうかは、ともかくとして、
まっすぐではなく、斜めというのは、
どこか不安定で、動き、躍動感を感じさせるところがあるようです。


擬洋風建築に、なまこ壁が多いのも、
いつものものとは違う、どこか不安定なものを表現したかった、
ということもあったのかもしれませんね。



坂本龍馬記念館01ここで、また、強引に、
現代の建築に話をもってきてしまいますが、
高知県の坂本龍馬記念館。








坂本龍馬記念館02海に突き出すように浮かぶガラスの箱に、
赤い斜めの箱が取り付いています。


浮かんでいるガラスの箱だけでも、
かなり不安定な感じがしますが、
斜めの箱との連なりで、
躍動感を出しているようです。



坂本龍馬記念館03坂本龍馬には、
あまり安定した表現が、
似合わないようにも思うので、
こういった不安定な感じも、
あり、なのかもしれませんね。






やはり、斜めの表現というのは、
いつも通りの安定したものとは違うものを、目指した表現なのかもしれませんね。

まさに、斜に構えている、というわけです。
 
Posted by k_nakama at 17:01  |Comments(4)TrackBack(0)

2009年12月11日

町並みは、100年後に見ても美しいか

ここ数十年間につくられた町並みでも、
100年後、200年後の人たちが、そこを訪れた時に、
面白いとか、美しいとか、思うのでしょうか...。


古い町並みを訪れると、どこか統一感を感じるのですが、
それは、全く同じものが並んでいる、というのとは違うみたいですね。


今の住宅街などは、
似たような建物ばかりが並んでいるところも、たくさんあるのですが、
少しも、面白いとか、きれいとか、思わないんですよね、
個人的には、ですが...。



美馬市脇町01徳島県美馬市脇町の「うだつの町並み」。
江戸時代に、阿波藍で栄えた、商家町です。









美馬市脇町02特徴的な「うだつ」は、
隣家との境に付いた、一種の防火壁で、
設置には、結構な費用がかかるため、
これがつくれないことを、
「うだつがあがらない」と言ったそうです。






美馬市脇町03そこで、競って、
立派なうだつを、設置していった、
ということのようです。


このようなことが、
特徴的な町並みをつくり出していった、
というのが、とても面白いですね。



川越04商家町をもう一つ。
埼玉県の川越。
こちらも、
江戸時代以来、舟運などで栄えた地域です。


黒漆喰で塗られた、蔵造の商家が並んでいて、
独特の雰囲気です。



川越05明治の大火をきっかけに、
このような町並みとなっていったそうです。









川越06先ほどの、うだつといい、
こちらの蔵といい、
防火という、必要から始まって、
特徴ある町並みをつくり出していった、
ということですね。






丸亀市塩飽本島町笠島01こちらは、港町。
香川県丸亀市塩飽本島町笠島の町並み。









丸亀市塩飽本島町笠島02塩飽水軍の本拠地とのことで、
外敵を防ぐために、見通しのききにくい、
ちょっと迷路のような町並みを、
つくり出しています。







丸亀市塩飽本島町笠島03やはり、必要が生み出したものなのですね。














南砺市相倉01こちらは、山村集落。
言わずと知れた、世界遺産。
富山県南砺市相倉、五箇山合掌造り集落です。








南砺市相倉02豪雪地帯特有の、急勾配の屋根。


屋根は、
大工だけではなく、
村人が自分たちでつくったそうですね。





南砺市相倉03周囲の環境と相俟って、
ちょっと信じられないくらい、
美しいですね...。








こうしてみてみると、

まず、
その地域の特徴とも言える、産業があり、
集まって暮らすようになります。

そして、
そこに集まって暮らすにあたっては、
当然、
解決しなければならない問題もあります。

そこで、
そのような問題を、その地域特有の手法や材料によって、
独創的に、解決していく...。

こんな感じで、
今に残る、魅力ある町並みができ上がり、
その特徴的な町並みに、住んでいる人たちが愛着をもち、残していく...、

という感じでしょうか。


現在のように、隅々まで、均質になっていっているような世の中で、
以上のようなことが、可能でしょうか...。


やはり、
少々、強引でも、
なんらかの仕掛けがいるのでしょうね。


それとも、
もっともっと、均質になっているに違いない、
100年後の世界から見れば、十分面白いのかな...。
 
Posted by k_nakama at 17:32  |Comments(12)TrackBack(0)

2009年12月09日

和風って、何でしょう

和風って、何でしょうか。


衣、食、その他の分野でも、よく使われているように思いますが、
はっきりした定義はあるのでしょうか。


建築では、こうならば、和、などというキマリは、ありません、多分...。


今でも、追求されている最中、といっていいのかもしれません。


だから、和風と、「風」の字が付いているのかなあ、と思っています。
要するに、和っぽい感じ、ですね。



偕楽園好文亭01こちらは、
水戸の偕楽園内にある、好文亭です。








偕楽園好文亭02これなんて、
結構、
和のイメージって感じがするのですが、
どうでしょうか。






偕楽園好文亭03でも、こうなっているから、
和、とは、
やはり、なかなか説明できない感じがします。







東京国立博物館01では、これはどうでしょうか。
上野にある、東京国立博物館。

鉄筋コンクリート造の建物に、
瓦屋根が乗っかっています。

帝冠様式と呼ばれるスタイルです。



東京国立博物館02昭和初期という、時代のため、
海外の新しい建築の、
よい部分を採り込みながらも、
なおかつ、
日本的な建築とは、
あるいは、東洋的な建築とは何だろう、
ということが、追求されていたのですね。



ここでの結論は、
瓦屋根があれば、和だ、ということだったのでしょうか。



盈進学園01それでは、
今度は、これはどうでしょう。


埼玉県にある、盈進学園東野高等学校。






盈進学園02この建物の設計者は、アメリカ人です。


教職員等、関係者の意見を、
採り入れる独特の手法で設計された校舎です。






盈進学園03個別の要素を見ると、
正式な日本的デザイン、
という感じではないようですが、
全体を見ると、なんとなくノスタルジックな、
昔の日本、みたいな感じが漂っています。






盈進学園04不思議な、
ちょっと妖しい魅力のある建物ですね...。









こちらは、これがあれば、和だ、というのではなく、
イメージや雰囲気で、和を捉えたものなのかもしれません。


結局、
和風という考え方は、
和、ではないものが現れたときに、初めて出てきた考え方なので、
和ではないものと比較して、初めてわかる、曖昧な感じのようです。

でも、だからこそ、
いろいろな可能性があって、面白いのかもしれませんね。
 
Posted by k_nakama at 15:35  |Comments(4)TrackBack(0)