もう気分は完全に日本画だったので、他に目ぼしい日本画の展覧会はないかと探してこちらを見つけたという次第です。
なんだか代替品みたいですが、結論をいうとこの展覧会は大当たりでした。
どういうところが大当たりだったのかというと、今まであまり興味の無かった作家やジャンルに面白みを見つけられたからです。
入場して最初に目に入ったのは東山魁夷の「春梢」でした。
十年くらい前にシャノアールで友人とお茶を飲みながらたまたま美術の話をしていたとき、近くにいた片山さつき似の女性(もちろん見ず知らずです)が帰りしなに突然「あげるわ」と東山魁夷展のチケットをくれました。
行こうと思ってはいたんですが、予定していた日に風邪を引いてしまい、結局行けずじまいでした。
それ以来なんだか縁遠い感じで、取り立てて興味を持つこともなかったのですが、この絵でそれが変わりました。
絵の中に湿気が感じられます。
それも日本独特の湿気です。
説明するのは難しいのですが、北野映画の中で唯一アメリカで撮影された「BROTHER」とその他の日本で撮影された映画とでは明らかに画面の中の湿気が違うので、その辺を比べてもらえればわかると思います。
日本の湿気がちゃんと伝わってくるという意味でもこれは日本画だなと思いました。
次は塚本快示の「青白磁大皿」です。
僕は陶磁器にはあまり興味がなく、興味があるのはせいぜい富本憲吉くらいです。
この展覧会も陶磁器に関していえば富本憲吉の作品(富本憲吉の白磁の壺は良かった)が目当てだったのですが、それ以上に気に入ったのがこの大皿です。
抜けるような青空とはまさにこのことで、目にした瞬間、頭の中の雲が一気に吹き飛ぶような、吹き抜けの清々しさがあります。
隣にあった同作家の青白磁の小皿より、こちらの大皿の方がツヤがなく、そこがまた良いと思ったのですが、小皿の方には説明文が添えられていて大皿の方にはなかったので、どうやら小皿の方が高評価のようなのですが、まぁ知ったことじゃないです。
あと陶磁器で良かったのは板谷波山の「彩磁桔梗文水差」です。
これはとにかく肌が綺麗。
青灰色を帯びた白磁は揺らめく湖面のよう。
まるで水が張り付いているみたいです。
地球を外から見たらひょっとしてこんな感じに見えるのかなと思いました。
良い展覧会だったので図録を買おうかと思ったのですが、中を見てちょっとがっかりしたので止めました。
どこにがっかりしたかというと、掲載されている「彩磁桔梗文水差」(前述)の写真があまり良くなかったからです。
初めは、実物をみた直後だから仕方ないかな、と思ったのですが、同じ売店内にあった出光美術館名品選という本の写真は、図録のそれよりずっと良く実物の良さが出ていました。
結局何も買わずにきたんですが、絵葉書に使われていた写真が名品選のものだと思い出して、あれくらい買っておけば良かったなぁとちょっと後悔しています。
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