2006年10月08日

北米旅行記1 ラスベガス

 もともと海外旅行は女房の趣味。どちらかというと出不精な私としては海外はおろか国内旅行もあまり積極的にする方ではなかったが、それでも女房と知り合ってからは渋々付き合うようになった。旅行するために無理をして仕事もし、日々倹約に努めているのだ、といわれれば反対するわけにもいかないだろう。加えてここ数年はうちのお袋も参加。予想外に喜んでくれたために、なるべく機会をみては行くようにしている。今時の平均的な年寄りは、困らない程度のお金もあるし、何か強烈に欲しいというような物欲もない。旅行にでも連れ出すのが一番の親孝行かと。いやもちろん旅費はきちんと負担してもらいますけど。
 今回は女房の母親も初参加。5歳の娘、3歳の息子を加えて計6人の旅である。

飛行機
 成田発バンクーバー行きの飛行機に乗る。当然のことながら乗客のほとんどが日本人で、リタイヤしたか、あるいはその寸前かといった人が多い。同世代とおぼしき乗客はあまり見かけない。たいていの場合、子供の嬌声が機内のそこここで聞こえるものなのだが、それもなし。まともな生産活動をしている大人はこんな時期にカナダになんて行かないのかな。遠い昔、日本が好景気に沸いていたころのフリーターといえば、責任ある仕事を回避して、短期就職でお金を貯めては海外に行き、金がなくなったら帰国してまた働くという、羨望を集める存在だった。特別なスキルがなくても、度胸ひとつで誰でも可能だったのだ。もちろんいくらでもバイト先があるし、飽きたりヤバくなったりしたらいつでも正社員としての就職が可能であるという前提があってのこと。それが今や、給料安い、保障ない、身分不安定、将来に展望ない、派遣会社に違法ピンハネされ放題と、ワーキング・プアの代名詞のようになっている。社会情勢で言葉の意味が変わってしまった例。

 航空券はHISで手配してもらった格安航空券。成田→バンクーバー→ラスベガス→トロント→成田のコースで大人ひとり約15万円ほど。まあ平均的な値段かと。航空会社は全便エア・カナダ。うちがよく使う大韓航空をはじめとするアジアの航空会社の飛行機に乗っていると、ホスピタリティーに満ちた、すなわち幾分鬱陶しい応対に、どこもサービス過剰だよな、たかがエコノミーの客にそこまですることないのに、と思ったりするが、たまにこういう飛行機に乗ると、やっぱ飛行機はサービスが信条だよな、と思ってしまう。(といっても、帰りの飛行機のサービスは比較的まともだった。でも女房は『もう二度と使わない』そうだ)

 バンクーバーで乗り換え。ラスベガスへ。その際にアメリカ入国の手続きで、写真と指紋をとられる。指紋をとる際にうちのお袋が、「Too dry」といわれておでこの脂を指先につけるように係官に指示される。
 先日のイギリスでのテロ未遂以降、またセキュリティが強化されていて、液体類一切持ち込み禁止。手荷物のX線検査の際には靴を脱がされ、ベルトを抜いて通す。そのうち身ぐるみ剥がされるようになったりして。心電図とられるみたいに。そういえば5年前の911テロの年、アフガニスタンでの戦争勃発直後にハワイに行った時もすごかったな。うちの当時生後9ヵ月だった娘までボディ・チェックされていたっけ。とにかく世界中がレジャーなんていう雰囲気じゃなくて、どこの観光地もキャンセル続出で頭を抱えていた。ハワイもどこへいってもすいていた(普段の1/3という話)。ラッキー。どこのヘタレテロリストがハワイ島の田舎町でテロなど起こすものか。

P1010938.JPG←機内からこんなものが見えた。
 「あの円グラフみたいなの、なぁに?」
女房「初めて見た? 飛行機乗ってるとよく見るよ」
 「で、なんなの?」
女房「そんなのわたしだって知ってるわけないじゃん」
 (あのな〜)

どなたかご存知の方いらっしゃいます?

 ラスベガス着。
 家を出てから22時間の行程。直行便ならもっと早いのだろうが、それでも遠い。

P1010943.jpg
空港玄関前の道路。青い空。南国らしい木。赤いコンバーチブルが絶妙なコントラスト。
(クリックで拡大)



 レンタカー会社のオフィスへ。ハーツのサイトで日本から予約しておいたのだ。車種の指定もしておかないと、「日本人なんだから、トヨタ・エスティマでもあてがっておけ」なんて判断されかねない。だれがアメリカまで来てあんなちまちまごてごてした車に乗るものか。でも指定しておいた車種フォード・エクスペディションがなく、GMCユーコンに。(『ちょっとでかくなるがいいか? 値段はエクスペディションと同じにしておくが』『いい。でかい分には全然かまわない』)
 よろよろと道に迷いながらホテルへ向かう。久々の左ハンドル、右側通行。ちょっと緊張。女房が助手席で「みーぎ、みーぎ」と歌い続ける。
 「どっちの方向に行くの?」
女房「こっち」・・・と、自分の膝に置いた地図の一方を指差す。
  (あのな〜、地図上で示したってわからんだろ〜が〜)

 夕暮れ時のラスベガス繁華街。既に視界いっぱいにありとあらゆる色の電飾が輝いている。人出もすごい。道は幾分渋滞気味。
 ホテルに入る。本当は到着後、みんなで市内をうろつこうと考えていたが、丸一日の移動で疲れていたために断念する。まあいい。今見てきたとおり、この街は巨大なゲームセンターだ。質素なストイシズムを愛する私としてはあまり見るべきものはない。だいたいが、ギャンブルってどこが面白いのかさっぱりわからないんだ。明日は朝から一路、グランド・キャニオンまで運転だ。熱いシャワーを浴びて寝よう。

時差ぼけ。
 熱いシャワーを浴びて寝よう、と思ったはいいが、そうはいかない。
 女房と5歳の娘が寝息を立てている部屋に3歳の息子の絶叫。
 「眠れなーい、つまんなーい、おなか空いたー」
 しかたない、こいつは生まれた時から幾分睡眠障害の気があったからな(父親譲り)。時差16時間の場所にいきなり連れて来られて、寝ろったって無理だ。

 とりあえず何かを食べさせよう。街に出ようかとも思ったが、夜も遅い。いくら観光振興のために治安維持を最優先させているとはいえ、酒に酔った白人至上主義でお爺ちゃんを太平洋戦争で亡くしたという過去を持つ失業中のジャンキーが、カジノで有り金ぜーんぶすって暴れているかもしれない。自分ひとりならともかく、子連れで出掛けるのはちょっと気が引ける。
 宿泊しているホテル「サーカスサーカス」は、この街の他のホテル同様、一階はカジノになっている。とにかく巨大。無論子連れでの入場は厳しく制限されているが、ショッピング・モールもあるのでドーナツくらいは買える。いってこよう。俺もビールでも飲もうかな。
 買い物中、事件発生。陳列してあったワインにデジカメのレンズ部分がひっかかって落下。ビンが木っ端みじんに割れて、床に赤ワインのガラス和えを作ってしまったのだ。凄い音がして、現場を見た従業員が即座に電話、すぐに清掃作業員がモップとちり取りを持ってきてささっと片付けた。
 けっこう混んでいる店内で注目を浴び、なおかつ凄惨な現場に責任を感じて大いにヘコむ。「悪いから、ワイン代くらい払うよ」と言ってみたが、「No problem」とのこと。でも考えてみると、そんな簡単に落ちる場所に割れ物を陳列しておいた店側にも責任はあるぞ。それに割れたワインの仕入れ値なんて、この電飾だらけのホテルの電気代の何秒分だ? 原因を作っておいて、こんなことをいうのはナンだけどさ。

 部屋に戻り、息子にドーナツを食べさせて牛乳を飲ませ、私はプリングルスをつまみにビールを飲む。
 ラスベガスという世界を代表する歓楽街のホテルの一室、女房と娘の寝顔を横目に、口の周りをチョコだらけにしながらドーナツにぱくつく幼い息子ととめどない会話を交わしつつビールを飲む男がひとり。自分がこんな立場にいようとは、10年前には想像さえしていなかった。
 自分は今、幸せなのだろうか、不幸なのだろうか。

 夜中の2時になり、ようやく就寝・・・・・・明日からがまた思いやられるな。


P1010955.JPGホテル「サーカスサーカス」の夜の玄関。ちょっとピンボケ。本文にもあるとおりこの街の大きなホテルは全てカジノを併設しており、そこで利益を上げるために宿泊の料金は格安に設定しているそうだ。
 




続きはまた、近々更新・・・・・の予定。

Posted by kaeru_piano at 00:41  |Comments(0)TrackBack(0) | 旅行 , 北米旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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