July 16, 2011
国をつくるという仕事/西水 美恵子
| 国をつくるという仕事 | |
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2月、出産直前に参加した西水美恵子さんの講演会は、想像を遥かに超えて素晴らしく、私にとって忘れられない体験となった。本書はその直後に読んだので、レビューは本の内容よりも講演内容に引っ張られていることをご容赦ください。
前・世界銀行副総裁である西水氏が、貧困のない世界を創るという夢の実現のために、本気で闘い続けた過去の日々を振り返った内容である。といっても、少しも小難しくなく、一話完結のエッセイのような形で綴られているので大変読みやすい。貧困地域のリーダーを支援することにより、自立と貧困解消を促進するのが彼女の使命であり、ブータンやバングラデシュでの実際の体験が生々しく綴られる。
世界銀行の仲間たちを率いるにあたり、まず彼女は貧しい村の家庭に自らホームステイし、大反対する部下たちにもそれを求める。南アジアの女性は、いまだに水汲みだけのために1日6〜7時間を要する。そんな地域である。ある部下は、生活してみてこう言ったと言う。
This is not a life. This is just keeping body alive.
一緒に生活することで、貧しい人々は「助ける対象」から「家族の一員」となる。そして、家族のために働きたい、という素晴らしいチームになっていき、いつしか「働き甲斐」が「生き甲斐」に一致する。
西水氏は、世界銀行の組織改革も成し遂げた人である。彼女曰く、国も企業も、改革はすべては「リーダーの本気に尽きる」。リーダーは、人を惹き付ける本物の情熱と、「上に立つ者こそ下にいる」という謙虚さを持ち合わせることが必要とも。彼女がメンターと仰ぐブータンの雷龍王4世―GNH(国民総幸福量)の推進者―はまさにそういう人だと言う。
そして、何より彼女は部下の幸福を追求することを忘れない人である。「月曜が待ち遠しい職場と、休日が待ち遠しい家庭」の両方を実現するため、例えば出張に家族の同行を認めたり、残業しない風土を推進する。職員と家族の幸せを追求することが、人間の生産性を今般的な変化が起きると知ったのだそうだ。
西水さんに実際お会いして感じたのは、華奢で、けして声の大きい女性ではないということ。彼女の体験のスケールの大きさや、信念・意思の強さは、単に声の大きな人のそれではなく、魂の奥底からにじみ出るようなものである。他人や他国のために本気で心血を注いだ人だけが持ちうる、とてつもない大きさなのだということに、強く感銘を受けた。
この本を読んでいると、巷に溢れるリーダー論がなんだか霞んでしまう。それはいったいなぜか。
人間としての夢―単なる自分の野心のためではなく、他人のための―夢なら、導いてもらえる、という彼女の言葉がまさにその答えだろうと思う。
心洗われる本です。
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この記事へのコメント
こんばんは。お忙しい中、新しい記事をアップして頂き大変嬉しいです。
「国をつくるという仕事」面白そうな本ですね〜!すぐに読みたいと思ったのですが、あいにく今2冊の本を同時に読み始めたところなので、あとの楽しみに取っておくことに致します。
一冊は最近精神的にちょっと辛い日々だったので、軽い何気ない本を読みたいと思い、「東京バンドワゴン」を購入。時同じくして会社の読書家仲間からこれ読んだらどう、と渡された宮本輝の「ここに地終わり海始まる」を読んでいます。どうもこれを貸してくれた彼は宮本輝のかなりのファンらしいです。ので、多分これを読み終えるとまたお薦めを半ば強引に渡されそうです。
そして私の座右の本は下村湖人の「論語物語」です。言わずと知れた孔子の教えを説いた一冊ですが、これは中学生の時に読んで、面白かった!と言う印象だけが残っていて、大人になってからあらためて買い直し、それから何度と無く繰り返し愛読しております。恥ずかしながら私五十にして今だ惑ってばかりの日々を送っております。
「国をつくるという仕事」面白そうな本ですね〜!すぐに読みたいと思ったのですが、あいにく今2冊の本を同時に読み始めたところなので、あとの楽しみに取っておくことに致します。
一冊は最近精神的にちょっと辛い日々だったので、軽い何気ない本を読みたいと思い、「東京バンドワゴン」を購入。時同じくして会社の読書家仲間からこれ読んだらどう、と渡された宮本輝の「ここに地終わり海始まる」を読んでいます。どうもこれを貸してくれた彼は宮本輝のかなりのファンらしいです。ので、多分これを読み終えるとまたお薦めを半ば強引に渡されそうです。
そして私の座右の本は下村湖人の「論語物語」です。言わずと知れた孔子の教えを説いた一冊ですが、これは中学生の時に読んで、面白かった!と言う印象だけが残っていて、大人になってからあらためて買い直し、それから何度と無く繰り返し愛読しております。恥ずかしながら私五十にして今だ惑ってばかりの日々を送っております。
Posted by atonce at July 24, 2011 00:30
atonce様
早速コメントありがとうございます。
私も「論語物語」は大好きな本のひとつです。いつか論語そのものを読みたいと思い、何度かチャレンジしたものの挫折しています。歳をとってからの楽しみにしようかしらとも思う今日この頃です。あ、もう充分な歳なのかもしれませんが(笑)
このようなのんびりペースの更新ですので、どうぞ思い出したときにまた遊びに来てください。(けしてコメントしないと・・と思わないでくださいね)
早速コメントありがとうございます。
私も「論語物語」は大好きな本のひとつです。いつか論語そのものを読みたいと思い、何度かチャレンジしたものの挫折しています。歳をとってからの楽しみにしようかしらとも思う今日この頃です。あ、もう充分な歳なのかもしれませんが(笑)
このようなのんびりペースの更新ですので、どうぞ思い出したときにまた遊びに来てください。(けしてコメントしないと・・と思わないでくださいね)
Posted by kaname at July 29, 2011 23:40


