February 13, 2011
真昼なのに昏い部屋/江國香織
昨日は雪がたくさん降った。大雪の予報だったのに、積もらなくてちょっとつまらない気持ちになった。
どこか外にでかけたい、と突然思い立って、嫌がる夫―こういう日は温かな部屋でぬくぬくに限るんだよ―に申し訳なく重いながらもお寿司を食べにいくことにする。わたしたちがよく行く鮨屋は中野坂上なので、近場で探してみるとどうやら三田に美味しい店があるらしい。
行ってみたら、暖簾がでていない。休み。
仕方ないので、先々週の「天芝」に続きザ・プリンスパークタワーへ。「濱芝」は結構込み合っていて、かえってよかった。
カウンターには座りたいけれど、板前さんと会話するのはものすごく緊張するので。私の場合、お寿司が特に好きというわけではないので、余計に。
帰ってきてから、「真昼なのに昏い部屋」を読む。この人の本、たくさん読んだからもういいかなと思うのに、やっぱり読んでしまう。とんでもなく、怖い小説。装丁のゴヤの絵がすべてをあらわしているような。
読み終えて背筋が寒くなったのである。「です・ます」調の、おとぎ話のような柔らかな語り口なのに、描き出す結末の残酷なこと!現代の「あかずきん」みたいなお話。
他の江國作品でもよく見られるように、この作品でも、主人公・美弥子はつつましやかな自分なりの秩序を守りつつ、夫と幸せに暮らしている。夫は既に妻への興味をほとんど失っている―というよりも既に空気のような存在―になっており、彼女が何を考えているのか、とか、この暮らしが変わりなく続いていくことを疑いもしない。
美弥子は同じ町に住む大学講師のアメリカ人・ジョーンズとじょじょに親しくなっていき、気づいたときには、はるか遠く、もう元の暮らしに戻れないところにまで来てしまっているのだ。
ジョーンズの目に映る美弥子は、その時点で変わってしまっているのだけれど。
ね、怖い話でしょう。
誰かに恋をするということは、同時に誰かを「失いはじめる」ことにほかならないのではないか、と常々思っている。
終わらない恋はなく、恋をはじめたときの相手を、その関係を、恋が終わった後も同じように保つことなど、有り得ないからだ。だから自分には美弥子さんのようなことは起きない、と妙な確信を持ってしまうのだけれど。
どこか外にでかけたい、と突然思い立って、嫌がる夫―こういう日は温かな部屋でぬくぬくに限るんだよ―に申し訳なく重いながらもお寿司を食べにいくことにする。わたしたちがよく行く鮨屋は中野坂上なので、近場で探してみるとどうやら三田に美味しい店があるらしい。
行ってみたら、暖簾がでていない。休み。
仕方ないので、先々週の「天芝」に続きザ・プリンスパークタワーへ。「濱芝」は結構込み合っていて、かえってよかった。
カウンターには座りたいけれど、板前さんと会話するのはものすごく緊張するので。私の場合、お寿司が特に好きというわけではないので、余計に。
| 真昼なのに昏い部屋 | |
![]() | 江國 香織 講談社 2010-03-25 売り上げランキング : 7074 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
帰ってきてから、「真昼なのに昏い部屋」を読む。この人の本、たくさん読んだからもういいかなと思うのに、やっぱり読んでしまう。とんでもなく、怖い小説。装丁のゴヤの絵がすべてをあらわしているような。
読み終えて背筋が寒くなったのである。「です・ます」調の、おとぎ話のような柔らかな語り口なのに、描き出す結末の残酷なこと!現代の「あかずきん」みたいなお話。
他の江國作品でもよく見られるように、この作品でも、主人公・美弥子はつつましやかな自分なりの秩序を守りつつ、夫と幸せに暮らしている。夫は既に妻への興味をほとんど失っている―というよりも既に空気のような存在―になっており、彼女が何を考えているのか、とか、この暮らしが変わりなく続いていくことを疑いもしない。
美弥子は同じ町に住む大学講師のアメリカ人・ジョーンズとじょじょに親しくなっていき、気づいたときには、はるか遠く、もう元の暮らしに戻れないところにまで来てしまっているのだ。
ジョーンズの目に映る美弥子は、その時点で変わってしまっているのだけれど。
ね、怖い話でしょう。
誰かに恋をするということは、同時に誰かを「失いはじめる」ことにほかならないのではないか、と常々思っている。
終わらない恋はなく、恋をはじめたときの相手を、その関係を、恋が終わった後も同じように保つことなど、有り得ないからだ。だから自分には美弥子さんのようなことは起きない、と妙な確信を持ってしまうのだけれど。
この記事へのトラックバックURL
http://blogs.dion.ne.jp/kanch0625/tb.cgi/9985273
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※半角英数字のみのトラックバックは受信されません。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。
この記事へのコメント
Posted by ユダ at February 24, 2011 06:45
はじめまして。
随分以前からこちらのブログを覗かせて頂いておりましたが、最近更新なさらなくて少し寂しい気持ちでおります。
どこからどう飛んでこちらに寄せて頂くようになったのか、今となっては全く分かりませんが、忙しい毎日のなか読書の楽しみを思い出させていただき本当に感謝しております。大学を卒業してから程なく結婚して子育てに追われてここまで来てしまいました。ふと気付けば子ども達はそれぞれ自分の道を見つけ一人で歩き出し、母の役目も一段落となり、こちらでお薦めになられている本を買い求め読むようになったのですが、本当に素敵な本ばかりで失礼な言い方をすればとても相性があうと言う感じでしょうか。
きっと私などが思いも及ばないような立派なお仕事をなさっておられる素敵な女性で、責任あるお仕事を任せられてお忙しい毎日をお過ごしなのだろうとお察し申し上げます。と言いながら、大変勝手なことを申し上げますがまた時々新しいお薦めの本など載せて頂ければとても嬉しいです。
今年の夏も暑くなりそうですが、どうぞお身体ご自愛の上、充実した毎日をお過ごし頂きますようにお祈り申し上げております。
随分以前からこちらのブログを覗かせて頂いておりましたが、最近更新なさらなくて少し寂しい気持ちでおります。
どこからどう飛んでこちらに寄せて頂くようになったのか、今となっては全く分かりませんが、忙しい毎日のなか読書の楽しみを思い出させていただき本当に感謝しております。大学を卒業してから程なく結婚して子育てに追われてここまで来てしまいました。ふと気付けば子ども達はそれぞれ自分の道を見つけ一人で歩き出し、母の役目も一段落となり、こちらでお薦めになられている本を買い求め読むようになったのですが、本当に素敵な本ばかりで失礼な言い方をすればとても相性があうと言う感じでしょうか。
きっと私などが思いも及ばないような立派なお仕事をなさっておられる素敵な女性で、責任あるお仕事を任せられてお忙しい毎日をお過ごしなのだろうとお察し申し上げます。と言いながら、大変勝手なことを申し上げますがまた時々新しいお薦めの本など載せて頂ければとても嬉しいです。
今年の夏も暑くなりそうですが、どうぞお身体ご自愛の上、充実した毎日をお過ごし頂きますようにお祈り申し上げております。
Posted by atonce at July 02, 2011 01:41
atonceさま
はじめまして。
コメント、そして、温かいメッセージと過分なお言葉をありがとうございます。いつも読んでくださっていたとのこと、本当に感激です。
実は、2月末に出産し、既に復職もしているため、なかなか自分の時間がとれずにおります。趣味らしい趣味もない私にとって、本ほど身近な存在はなく、本を読んでいないわけではないのですが、文章にまとめるには至っていません。
でも、このような励ましのメッセージをいただいたので、また、少しずつでもアップしていきたいと思います。
読んでくださる方がいるとわかっただけで、心から嬉しく、感謝の気持ちでいっぱいです。
夏の暑さを忘れるような、ステキな本をご紹介できるよう、また読書に励みたいと思います。
はじめまして。
コメント、そして、温かいメッセージと過分なお言葉をありがとうございます。いつも読んでくださっていたとのこと、本当に感激です。
実は、2月末に出産し、既に復職もしているため、なかなか自分の時間がとれずにおります。趣味らしい趣味もない私にとって、本ほど身近な存在はなく、本を読んでいないわけではないのですが、文章にまとめるには至っていません。
でも、このような励ましのメッセージをいただいたので、また、少しずつでもアップしていきたいと思います。
読んでくださる方がいるとわかっただけで、心から嬉しく、感謝の気持ちでいっぱいです。
夏の暑さを忘れるような、ステキな本をご紹介できるよう、また読書に励みたいと思います。
Posted by kaname at July 02, 2011 08:42
早速のコメント、ありがとうございます。
ご出産なさったとのこと、おめでとうございます。
お仕事をなさりながらの子育て、さぞかし大変でしょう!
でもお子さまも5ヶ月になられてそれはそれはかわいらしいことでしょう。
これからもっとかわいくなっていきます。親の喜びを存分に噛み締めてくださいね。
それではブログにまでなかなか手が回らないのは当然のこと、よくぞ私ごときのコメントに気付いてお返事を頂きました。心より御礼申し上げます。
いつかブログアップして頂ける日が来るのを気長にお待ちしております。
私事ですが子ども達はそれぞれ横浜、品川に住んでおり、今まさに3人目の子どもも大阪を離れ東京に仕事を求めて闘争中です。
子育てはなかなか大変ではありますが、でもこれほど素晴らしいことは他にはないかもしれません。とはいっても死ぬ日まで心配のし通しなのです、きっと。
同じ親となられたこと、何だか嬉しいです。
お子様の健やかなご成長を心よりお祈り申し上げております。
ありがとうございました。
ご出産なさったとのこと、おめでとうございます。
お仕事をなさりながらの子育て、さぞかし大変でしょう!
でもお子さまも5ヶ月になられてそれはそれはかわいらしいことでしょう。
これからもっとかわいくなっていきます。親の喜びを存分に噛み締めてくださいね。
それではブログにまでなかなか手が回らないのは当然のこと、よくぞ私ごときのコメントに気付いてお返事を頂きました。心より御礼申し上げます。
いつかブログアップして頂ける日が来るのを気長にお待ちしております。
私事ですが子ども達はそれぞれ横浜、品川に住んでおり、今まさに3人目の子どもも大阪を離れ東京に仕事を求めて闘争中です。
子育てはなかなか大変ではありますが、でもこれほど素晴らしいことは他にはないかもしれません。とはいっても死ぬ日まで心配のし通しなのです、きっと。
同じ親となられたこと、何だか嬉しいです。
お子様の健やかなご成長を心よりお祈り申し上げております。
ありがとうございました。
Posted by atonce at July 04, 2011 09:21
atonceさま
こんにちは。早速のコメントありがとうございます。お返事が遅れて申し訳ありません。
atonceさまは、成人されたお子様がいらっしゃる、大先輩なのですね。おっしゃるとおり、子育ては本当に楽しいです!新たな幸せを神様からプレゼントされたような気持ちです。新米ゆえ、うまくいくことばかりではありませんが、これまでとは違うフェイズに足を一歩踏み出すことで、自分も子どもと一緒に成長していきたいと思っております。
atonceさまのおすすめの本などございましたら、ぜひ私にもご教示くださいね。
こんにちは。早速のコメントありがとうございます。お返事が遅れて申し訳ありません。
atonceさまは、成人されたお子様がいらっしゃる、大先輩なのですね。おっしゃるとおり、子育ては本当に楽しいです!新たな幸せを神様からプレゼントされたような気持ちです。新米ゆえ、うまくいくことばかりではありませんが、これまでとは違うフェイズに足を一歩踏み出すことで、自分も子どもと一緒に成長していきたいと思っております。
atonceさまのおすすめの本などございましたら、ぜひ私にもご教示くださいね。
Posted by kaname at July 16, 2011 14:17


