2009年11月24日

製鉄天使と映画芸術

桜庭一樹「赤朽葉家の伝説」の姉妹小説という立ち位置なのか「製鉄天使」が上梓された。
ページを開き、時代錯誤の族の話に鼻じらむかと思いきや、グイグイッと読ませる力強さ、展開が楽しみである。

映画芸術No.429。
エイゲイを買うのは久しぶりのこと。
表紙を飾った「ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ」の素敵なスチールに手が伸びたわけではなく「追悼 長谷部安春」と「平岡正明、残像」の二本の特集であった。
野蛮で危険で、作品を観ることが、作品を読むことが共犯と思えてしまう、危うい記憶が喚起されて読む気になった。
映画を書物を、共に暗がりで行う、隠さなければいけない行為に加担するかの如き感覚、作品と対する微妙な姿勢、そんなあからさまにできないような楽しさを知らしめてくれた作家の魅力に引きつけられた。

「製鉄天使」においても、その魅力を引き継ぐ。
「鏖(みなごろし)」という一文字に於いて、物語はとんでもなく飛躍して、共犯関係を読者に強いる力強さが感じられてワクワクと気持ちが弾む。

ピカレスクは止まらない。

 

この記事へのトラックバックURL

http://blogs.dion.ne.jp/kita_kanzin/tb.cgi/8969937
※半角英数字のみのトラックバックは受信されません。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。
 
※半角英数字のみのコメントは投稿できません。