2009年03月29日
生真面目で実直だけれど、大胆で破天荒:映画『ホルテンさんのはじめての冒険』を見る

渋谷のBunkamuraル・シネマで映画『ホルテンさんのはじめての冒険』を見る。
ベント・ハーメル監督作品 映画『ホルテンさんのはじめての冒険』公式サイト
http://www.horten-san.jp/
ホルテンさんというのは、ノルウェーの鉄道の運転手。67歳となり、定年を迎える。そしてホルテンさんには様々な出会いがあり、様々な出来事が起こる。
チラシやwebサイトを見ていた限りでは、ホルテンさんが色々なことに巻き込まれるコメディー映画なのかと思っていたが、ちょっと違う。なんとも不思議な雰囲気の漂う映画。
ネタバレを含む可能性もあるので、続きは下記で。
*以下、ネタバレを含みます。
「ホルテンさんが色々なことに巻き込まれるコメディー映画なのかと思っていた」理由は、チラシやwebサイトにホルテンさんが最後の勤務日に遅刻する、と書かれていたから。そこから色々な騒動が雪ダルマ式に起こるのかな、と思ったのである。
しかし、そうではなかった。むしろ、色々な出会いや出来事を通じて、最後にはホルテンさんが行動を起こす(それは彼にとって冒険でもある)という内容だった。
しかし、ホルテンさんの人物像は独特。オープニングは彼の出勤風景なのだが、そこからは非常に実直で真面目な人という印象を受ける。しかし、実はなかなか大胆で破天荒な人でもある。例えば、送別会の二次会の会場である同僚のアパートに行こうとしたホルテンさん。入口は番号錠だが、教えられた番号を押してもドアは開かない。そこで、工事中で足場が組んであるのをいいことに、それを上っていく。しかし、足場は最上階の同僚宅までは届いていなかった。ということで、ホルテンさんは一階下の部屋に入り、そこから室内を抜けて行こうとする! このあたりから、「あれ、この映画変で面白くなりそうかも」と思い始める。
その後も、友人を探して空港の中をうろうろしたり(挙句不審人物として取り調べられる)、深夜のプールで全裸で泳いだりと、(本人の意思とは別に)色々な冒険をしていく。
後半は、シッセネールという男性と偶然出会い、ホルテンさんが自らの意思で冒険をしようとする。彼から「人生はいつも手遅れだけれど、いつだって間に合う」(だったかな?)という言葉を聞いて。
そして、映画の前半に出てきたあるシーンが、ラストにうまく生きてくる。シャイそうなホルテンさんにとっての冒険であり、その冒険が生んだほのかな幸せが残る。この構成はうまいと思ったなあ。
その他興味を持ったところをいくつか。
・オープニングをはじめ登場する、最初の雪国を走る列車の風景、そして全編に流れるコーダ(カーダ、Kaada)の音楽が印象的。
・画面を人がすべるように動くシーンがいくつかあり(カートに乗せられて動くホルテンさんとか、凍る坂をすべる人々とか)、これが唐突に、何気なく出てくるので、余計おかしい。
・ニッサンとかウィスキーの響とか、日本の固有名詞や小道具がちょっと出てくるのが「おっ」と気になった。
・67歳にして新たな一歩を踏み出すホルテンさんと、劇中で登場する「死」や「老い」に、「人は挑戦できる限りは挑戦しなければ」という思いを抱く。

この記事へのトラックバックURL
http://blogs.dion.ne.jp/konohamoero/tb.cgi/8231402
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※半角英数字のみのトラックバックは受信されません。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。















