2010年02月07日

パーフェクトペンシルの鉛筆を替えるとき


pp_black_old_new.jpg鉛筆には、「このくらいがちょうどいい」と感じる好みの長さがある。
使いはじめで長すぎるのは落ち着かないし、軸が持てないくらい短いのは書くのにも削るのにも困る。
短い鉛筆は、観賞用に良いが。

このパーフェクトペンシルのように通常の新品鉛筆よりも少し短くしてある使いはじめの長さから、鉛筆を持った時に手の中へすっぽり入ってしまうほど短くなる少し手前くらいの長さが、書いていて一番ぴったりくる。

最初はマットな黒だった軸表面は、使ううちにすっかりつるつるの光沢になり、ファーバーカステルの白刻印もずいぶんはげてしまった。
この鉛筆は、キャップ天冠部を引き出して使うシャープナーでいつも削っている。削り口が、この鉛筆についてはこの形がいいから。

それにしても、いつもファーバーカステルの鉛筆について思うことには、新品の最初に削ってある削り口がとても綺麗で、これと同じ風に削れるシャープナーは売られていないのかということ。
写真中央の新しい鉛筆の削り口がそれで、木軸にも芯にも縦に規則的な細かい削り跡がついている。ファーバーカステルの工場にだけある、なにか特別な凄い機械で削っているのだろうか。
鉛筆がひゅんひゅん吸い込まれては次々に削られて出てくる、瞬間削り器みたいな。
個人で使おうとしても部屋ひとつは簡単に場所をとるくらいの大きさで。
そんなとうてい無理っぽい空気の漂う、理想の削り口をしている。

この鉛筆を使い始める当初の予想を完全に覆したのは、消しゴムの素晴らしさだった。これはカステル9000深緑の方と同様に大変優れた消し心地で、ふだん鉛筆書きを消しゴムで消すことはしないのに、これについては率先して消している。
自分がこれまでに消しゴムで字を消すことを好まなかったのは、消すために鉛筆から消しゴムに持ち替える手間を面倒に感じていたのと、ふいに紙がザクッとよれて折り皺ができてしまうのが嫌なのと、鉛筆の尻軸に付いた消しゴムは消えないという諦めのせいだった。

ひっくり返せばすぐに「本当に消せる」消しゴムがある。
この便利さが絶大すぎて、ついには「鉛筆が短くなるかどうかよりも、消しゴムが短くなった時に新しい鉛筆に替えることにしよう」と考えるようになった。
消しゴムがなくなった時には、もう十分に鉛筆も短い。
そしてキャップに差して持ち歩くのをやめにすると、補助軸に入れて使うのに丁度良くなっている。もう消しゴムも使えないのだから補助軸に入れたままで構わない。

短くなった鉛筆の行き先が定まったところで、新しい鉛筆に替える。この新しい鉛筆の消しゴムがなくなって鉛筆がすっかり短くなる頃には、補助軸の鉛筆も引退して次の短い鉛筆が来るのを待っているだろう。
こうした一連の流れに、ひとりですっきりしている。
周りの人にそれを説明すれば「へえ。……で?」と、簡単な音声が返ってくるだけなのにはすっきりしないものの。

パーフェクトペンシルの鉛筆を新しくすると、キャップごと再び新品になったような気分で楽しい。
パーフェクトペンシルの鉛筆が古くなってくると、自分の身体の一部になったような気分で楽しい。
いずれにしてもいつも使っていて楽しいのが、パーフェクトペンシルの魅力だと思う。



これまでに記したパーフェクトペンシルについての記述はこちら▽

Faber-Castell/Castell Perfect Pencil

筆記具をリボンでペンダントにする

パーフェクトペンシル近況
 
Posted by ミケランジェロ at 08:50  |Comments(9)TrackBack(0) | 筆記具

2010年01月23日

プラチナ萬年筆/PLATINUM 300


platinum_300.jpg以前この万年筆についての所感を書く、とコメントに記しておきながら、ずいぶんと長い月日が経ってしまった。
他にも、そう言っていたものがいくつかあることを忘れてはいない。

これは、プラチナ萬年筆が70年代に作っていたポケットタイプの万年筆のうちのひとつ。
万年筆を「集める」という趣味はなく、知らぬ間に「集まる」のが常となっていて、傍から見ればどちらも同じことではないかという呆れ顔にももう慣れたが、未だなおこの二つには大いなる違いがあると思っている。
そしてこのプラチナ萬年筆のポケットタイプだけは自ら「集めている」と思う。

見つけたら決して素通りすることはできない。買おうかどうしようかと考える余地もない。買うのだ。と脳に直結する。
よって「巡り会った時が買う時」と、日々その出会いを待ちわびている。そしてその数も、人ひとりの手ではそろそろ使えないだろうという本数に及んできた。

このポケットタイプ万年筆の何に、これほど心惹かれるのか。

・持ち歩き時には短く、キャップを尻軸に差すことで筆記できる軸の長さになる。という、キャップに「キャップを尻軸に差す明確な理由」を加えてくれた点
・昭和40年代の車のデザインにも通じる、当時の日本らしい凛とした誇りをその外観から感じさせられる点
・自分の手の一部のような気分にさせてくれる、指の爪のようなペン先周り
・バネが仕込んであるようで、けっこう開くペンクリップ
・ボディの丸軸から、尻軸の終わりが四角くなっているのにかけて描かれる芸術的なカーブ

どこをとっても、眺めていて飽きない。
この万年筆には、子供の頃の友達のお母さんが持っていたっぽいPKR-2000や、近所のお姉さんが使っていたっぽいイチゴ柄のPKP-5000Eなどがあり、他にクローバー柄や花束柄のものも見つけて喜んできたが、とりわけ出会えて感激したのが冒頭写真のPLATINUM 300だった。
ステンレス軸の銀色で、グリップ部は黒色、18金のペン先で太さは中字である。

PLATINUM 300は「若くして亡くなった夫が使っていた形見っぽい」万年筆、というイメージでいる。

その夫は生前いつも私の文房具好きに寛大でいて、本人はとり立てて文房具に興味があるわけでなく、「君は文房具が好きなんだね」と優しく微笑んでくれ、しかしただ1本、このPLATINUM 300だけは肌身離さず胸ポケットに差していて、なぜ好きなの? と訊けば、「なんでかなあ。学生時代に買ってから、なんだかこれしかぴったりこなくて」とはにかむ。
そんな夫が突然亡くなって、私はたいそう悲しみ、夫の大切にしていたPLATINUM 300を手にした。
夫が生きていた頃には数回試し書きをさせてもらっただけだったが、こうして使ってみると、インクフローが豊かでペン先のしなりもやわらかく、確かに他の万年筆とは違う素直な描線を描くことができて、夫がこの1本の万年筆しか使わなかった理由が今になってよくわかる。

そんな心境で使いたい気分にさせられる万年筆が、PLATINUM 300なのだ。

というわけで、亡くした夫がいないどころか夫もいない私にとっては、夫より先に「夫の形見」と巡り会えたことになるが、順番などどうでも良い。
この万年筆を使っている時は、見たことのない亡き夫を今も愛する未亡人の気持ちでいる。そしてそれが、切なく優しい心を抱かせてくれていとおしい。

このPLATINUM 300には、プラチナ萬年筆の黒インクがぴったりと似合う。
中字でもさらりとしていてしつこくなく、涼しげで品のある黒。
ステンレス軸には重厚感があるのに、軽い。そしてほど良い重さもある。そんな銀色のボディから流れ出るインクは、この黒しかないと思う。
今日も「形見」をかばんに入れて、優しい想いを抱きたくなった時にこの万年筆を手にすることになるだろう。
 
Posted by ミケランジェロ at 07:09  |Comments(10)TrackBack(0) | 筆記具

2009年12月21日

趣味の文具箱 vol.15


bungubako_15.jpg先月の『ノート&ダイアリー スタイルブック vol.4』に続いて、今月は『趣味の文具箱 vol.15』が本日発売。
表紙のデルタ万年筆:ロス・ボラッチョスが美しい。そして『物欲全開! 極上ステーショナリー』の言葉に、またその気になりそうな予感がひしひしとする。

ページを開けば、巻頭の『Stationery Landscape〜筆記具のある風景』の日本橋榛原・店頭商品写真から見惚れてしまい。
丸善140周年記念萬年筆「漱石」の詳細や、特集ページ『五感に響くうっとり文具』の増太郎鋏、地球儀、ペンケース、コレクトの木箱、カーズの純銀小物など目移りしてしまう文具の目白押し。確かに、物欲指数が速攻で全開になる。

毎号眺めていてつくづく感心してしまうのは、なんといっても写真の美しさ。
その美しさは「実物よりも美しいのではないか」とさえ思うほどで、実際、私の使用筆記具を撮っていただいたことが以前あったが、それらについては実物よりも写真の方がずっと綺麗だった。
そして誌面で初めて知る文具アイテムの美しさに、なおのこと実物も見たくなり、結局店へ足を運んでしまうことになる。

今号で、榛原の紙製品を紹介した『榛原LOVE』、そして東京・青山のヴァルカナイズ・ロンドンで扱われているスマイソン製品の紹介記事を書きました。

『榛原LOVE』では色々な紙製品に手書き文字を記して、便箋だけでなく茶道の懐紙や小皿・置物に使う敷紙も用箋にしています。それらは普段行っていることで、周囲の人々になかなか好評なため記事内でも用いた次第。
誌面のスペースの関係から、それぞれのアイテムに使った筆記具の説明は割愛したので、覚え書きとして以下に記しておく。各アイテムの写真や製品詳細は、本誌を御参照下さい。

1. 蛇腹便箋:セーラー万年筆・70年代のスチールペン先・細字万年筆(エンジ軸をしている)×モンブラン・黒インク
2. 色染め懐紙:モンブランP163ローラーボール・M
3. 四方紅(小):佐瀬工業所のガラスペン・ラクト軸×ペリカン・ターコイズインク
4. 四方紅(中)を飾り折りにしたもの:2.と同じモンブランP163
5. 手摺り木版箋・青紅葉:モンブランP146・M×モンブラン・ロイヤルブルーインク

特筆すべき点は、3.の四方紅。通常敷紙に使われるというこの紙は、万年筆のインクが激しくにじむので(そもそも筆記用の紙ではないこともあり当然ではあるが)細かい文章を書くのには2.&4.と同様にローラーボールなどが向いている。
今回については、わざとたっぷりインクをにじませた筆跡にするため、四方紅に万年筆インクを用いてみた。ターコイズのインクは通常ペリカンM205に入れているのだが、そちらを使うと万年筆内部の部品を通過してインクが出てくるせいかいくぶんターコイズがくすんでしまい、またインクの出し加減も調節できないので(インクタンクがあると、にじむ紙にはとめどなくインクが出てきて調整が利かない。これは墨色の筆ペンにも同様のことが言える)、ナチュラルな本来のインクの発色を出せるガラスペンを用いた。
にじませた描線をしているため、ガラスペンのペン先の太さはここでは関係のない話だが、一応記すと「細字」である。

ヴァルカナイズ・ロンドンについては11月13日の開店から数回訪れたが、これまでサイト写真から想像していたスマイソン製品の実物を各種手に取って見られるのが何より嬉しい。
この革はこういう質感をしていたのだとか、こんな光沢があったんだとか、新たな発見がたくさんある。
中でも実物を見られて良かったのは、2009年秋冬コレクションの「Iris」と「Malachite」という革。この革が両方とも実に魅惑的で、サイトの写真だけではとうてい気付くことができなかった。
また骨董通りへ行く時には立ち寄ろうと思う。特にブルーノート東京へ行く足で寄るのに具合いい。

そんな思いを数々の文房具に馳せながら、年末年始を部屋で過ごすひとときにじっくり熟読するのが楽しい1冊です。
 
Posted by ミケランジェロ at 23:45  |Comments(6)TrackBack(1) | 書く場所

2009年12月17日

ノート&ダイアリー スタイルブック vol.4


note_diary_4.jpg2009年11月16日(月)に発売された、ノートと手帳の最新情報が満載の年次刊行誌。
今年で第4号を迎え、ノート&手帳好きにとってもはや盛秋の風物詩となっている。

発売からひと月が経ち、誌面もすっかり熟読して、ああ手帳選びもようやく目処がついたと安堵しているこんな時期に、ふと再びこのノート&ダイアリースタイルブックを手にしてぱらぱらページをめくっていると、必ずまた気になるノートや手帳ができてしまう。
そんなことを毎年繰り返しているような気がする。
いや、年中繰り返している。そしてそれが楽しい。
だから毎号思い立った時すぐ読み返せるように、すべて手の届くところに置いてある。こういうものを「保存版」というのだと思う。

Vol.4の表紙メインタイトルは「時を遊ぶ悦楽道具 手帳」。時間を管理する道具であるのと同時に、手帳を「遊ぶ・悦ぶ・楽しむ」というエッセンスで紹介しているのがこの本独特の毎号の持ち味で、私の記事にもその趣旨に合った読後感を抱いてもらえたら幸いに思う。
本誌の中で「巻頭エッセイ“手書きで綴る ありのままの自分”」と手帳&紙使い、ジョッター記事内の5×3カード書き込み例を掲載いただきました。

自分の手書き文字はいつも見ているので「私の字だ」と感じるにとどまるものの、公園のテーブルで書きものをしている写真には驚いた。
五割増に撮れているので!
その撮影の日、私は大いに焦っていて、転がり入るように地下鉄に乗り、駅を降りればiPodから流れるジューダス・プリーストの『Hell Bent for Leather[邦題:殺戮の聖典(バイブル)]』を聴きながら空に向かってわけもなく挑戦的な笑みを浮かべてみたりなどしてずっかずっかと歩いていたのに、あの写真の穏やかな姿といったら別人。
カメラマンの北郷仁さんと、セッティングをして下さった編集者の方のおかげです。

その写真を見て、『お気に入りの文房具と筆記具に触れていると、表情もよくなるのでは』と言ってくれた人があって、その言葉にとても嬉しく感じたが、ただ喜んでいる場合ではなく、それこそが本誌の趣旨の行き着くところなのだと今思う。
道具の機能に悦びや楽しみを抱きつつ選び、それらを使うひとときを遊ぶ心地で味わえば、自然と何か良いものが生まれてくるはず。
その「良いもの」とは、気分だったり表情だったり、人との関係だったり、仕事だったり。

そして何が自分の悦楽道具となるかはその人の志向や好みによってさまざま。
それを見つける「見本帳」がこのシリーズなのだと思う。
これまでの4冊をまた何度となく手に取り読みながら、来年の刊行も楽しみにしています。
 
Posted by ミケランジェロ at 09:19  |Comments(15)TrackBack(0) | 書く場所

2009年09月11日

ナガサワ文具センターのインク/摩耶ラピス

先日、神戸に行かれた知人からナガサワ文具センターのオリジナルインクをいただいた。
「Kobe INK物語」シリーズの「摩耶ラピス」という色である。
インクはセーラー万年筆による製造。ボトルなど全体像の写真や製品概要についてはこちらを御参照下さい。

この「Kobe INK物語」シリーズは、ナガサワ文具センターが店を構える神戸の街をイメージしたもの。
神戸と聞くだけで、物語が始まる予感が実にする。
「摩耶ラピス」は美しい夜景を望める摩耶山に、瑠璃色の石・ラピスラズリのきらめきを重ね合わせたインク。
物語が始まる予感に加えて、夜景・瑠璃色・きらめき。これはもう即映画のヒロイン気分で試すべし、と万年筆に注入した。

 敵国の諜報員と知りながら、私はあなたに愛を抱いた。
 今、私たちは摩耶山で輝く神戸の夜景を眺めている。
 あなたの背広の胸ポケットにさされた万年筆には、インクとは別の液体が入っているのでしょうね。
 今ならあなたに命を奪われても私は構わないわ。

…みたいな気持ちで試し書き。
こっくりと深みのある群青色が、ブルーにもブルーブラックにもない彩りを発している。
深いのに鮮やかで、暗いのに明るい。紙の上で乾いたあとの描線に、文字も読まずに見入ってしまう。


kobe_fine.jpg正面から見ると筆跡はこのような感じ。使用万年筆はセーラーのプロフェッショナルギア銀・細美研ぎ。
そのようなわけでこれは極細線を近距離から写してあり(罫線は7mm罫である)、筆跡は極細字でもくっきりと読みやすく、青インクと黒インクの良いところを兼ね備えているように思う。

それからしばし眺めていて気付いたことには、この描線は向きを変えるとキラキラと輝く。


kobe_fine_glitter.jpgこれが同じ紙面を傾けてキラキラいう様子。
光はタングステン、白熱灯を当ててみたもの。蛍光灯、自然光でもまた違ったきらめきを発するが、タングステンが最も夜の雰囲気。
このキラキラが、摩耶ラピスのとびきりの魅力だと思う。



kobe_bold.jpgさらに太字でもこの描線を見てみたい。正面から見たもの。川窪万年筆店のマイカルタ軸・太字の万年筆で書いている。
太字で使うとインクの濃淡が大々的に表れるのが面白く、このムラ感がまた夜空の闇に漂う薄雲のよう。




kobe_bold_glitter.jpgこれを傾けて光にかざすと、細字よりもずっとキラキラ度増大。
時にインクというものは、キラキラ目的とは別に「赤光り」を起こす場合があるが、このインクにはそうした赤光りの「テカっちゃった感」とは異なる、意義深い輝きがある。
意義深いというか、意味深というか。
その意味深な描線に、また夜を連想させられる。

このインクを使うようになってから、万年筆でものを書く楽しみがさらに広がっていくのを感じる。
夜景を眺めながら刹那な夢をみるように摩耶ラピスを。
ノートを傾け、星くずを散りばめたような文字を読むひとときが嬉しい。
 
Posted by ミケランジェロ at 09:09  |Comments(18)TrackBack(1) | 筆記具

2009年08月03日

パーフェクトペンシル 近況


perfect_pencils.jpg2008年3月に使い始めたファーバーカステルのパーフェクトペンシル。その購入に至った経緯と所感についてはこちらに当時記した。

その後、パーフェクトペンシルにリボンを結びつけて首に提げるようになったのが2008年4月のこと。なんでそんなことをしたのかについてはこちらを参照下さい。

あれから時は経ち。
2009年8月現在どうなっているのかというと、「パーフェクトペンシルを首に提げずに外に出てしまった日は一日中ずっと孤独感に包まれる」といっても過言ではないほどで、パーフェクトペンシルを身に付けるのを忘れたことに気付いた瞬間の心境を言い表すなら、

ぽつねん

の一言。これがないと一日が始まらないし終わらない。そんな近況です。

首に提げるリボンは、当初の菓子折に使われていたものからスマイソンの包装に使われている濃紺のグログレン織りのリボンに変えた。丈夫でシワにもならずパリッとしていて好ましい。
パナマサイズの箱に結んであるリボンが、私の首に提げるのにそのままの長さで使えて重宝している。
誕生日にパーフェクトペンシルを贈ったナイス・リーのものにも、同じリボンを無理矢理付けさせてもらった。使用感はいかがですかナイス・リー?

そして冒頭写真の通り、以前に限定で売られていた黒のパーフェクトペンシルも抜け目なく購入。
これは去年の夏だったか秋だったかに限定発売されていた時に購入したのだが、今年の春あたりにまた再販されていてずっこけた。
そもそも深緑のパーフェクトペンシルも確か限定とうたわれていたように記憶しているので、もはや「限定」という言葉は話半分に聞こうと思う。

この黒のパーフェクトペンシルというのが、深緑のものと双璧をなすほどに良い。
商品説明には深緑のものと同じ『カステル9000のBを使用』と書かれているが、こちらの方が芯が硬くしまって感じる。私の使っているもので比較すると深緑の方が芯がやわらかく濃い。
ジョッターに入れた5×3カードに記した時に、深緑の方は「筆記面が他のものとこすれた時に多少描線が散る」のだが、黒の方の芯はこのようなことがない。
芯が硬いから長時間筆記した時に疲れるのかというとそのようなこともなくて、そのあたりの「鉛筆において望ましい硬さとやわらかさ」が両立されているところがファーバーカステルの鉛筆の優れた点だと感じる。

またこの黒のパーフェクトペンシルは「木軸まですべてが真っ黒」になっているのも良いところで、鉛筆然としておらず目立たないところがありがたい。
それまでは深緑のパーフェクトペンシルを首から提げているのを使うと、おもに若者女子から、

「やっだ〜、何ですかそれ。ミケさん笑う!」

などと言われ、こういうものでこう便利なのだと鉛筆削りまで出して説明した日にはますます笑いの種になるという悪循環を生んでいたところが、黒の方を身に付けると目立たないせいかすっかり嬢やたちの騒ぎもなりをひそめた。

黒と深緑をその日の服装や鉛筆使いの用途などに合わせて使い分けるのも有益で、スーツの日には黒の方を、「今日は外でなぐり書きのスピード筆記が多くなりそう」な日には深緑の方を選んだりしている。

首から提げていると、片手で鉛筆を抜きキャップはそのまま放っておいてすぐに筆記に入れるのが何より快適。
そしてこのカステル9000シリーズのパーフェクトペンシルは、首から提げても無感覚に近いほどに軽いのがいい。

パーフェクトペンシルの機能のひとつである「キャップが補助軸になる」というのは使っていない。そもそも首提げにしているという理由もあるし、補助軸にしてしまうと尻軸の消しゴムを使いたい時にキャップを抜かなければならない。
脇に単体の消しゴムが置いてある状態ならば、鉛筆も他のものを使っている。
というわけで短くなったらとっとと新しいリフィル鉛筆に替えている。
そのような状態でない時に、予備の鉛筆も用意していなくて、パーフェクトペンシルの鉛筆が筆記に耐えられないほどに短くなってしまったら、首からリボンを外してキャップを補助軸にすることはあるかも知れない。そしてその時には消しゴムは使うのを諦めるだろう。

残念だなと思う点は、黒のパーフェクトペンシルの鉛筆が未だリフィル売りしていないこと。
購入時に3本の黒軸鉛筆が付いていて、キャップと鉛筆を揃いで使うならこれらを後生大事に使うことになる。(おかげで黒は2つ買ってしまったよ涙)
もうひとつ残念なのは、この黒軸鉛筆が丸軸であることは譲歩するにしても、そこに刻印してある「FABER-CASTELL」のマークの色が白であること。この刻印がシルバーならなお良かった。深緑のパーフェクトペンシルの方は刻印がシルバーなのだから、できないことではないのじゃないか。
そのうちにリフィルを発売することにしたり、また「限定で」黒のパーフェクトペンシルを発売したりすることがあるようなら、ぜひあの刻印をシルバーにしてもらいたいものである。

ともあれ、毎日欠かせないパーフェクトペンシル。特に悠長でいられない時に大いに役立ってくれ、これの役立つことが多いと感じるのは私の毎日そのものが悠長でないということなのかも知れないが、いつも即筆記に入りたい時の助けとなってくれている。


【追記】
上の記事をアップしたところ、以前「ミサイルさんの手帳使い」に記したミサイル・クーパー氏から、

『にしても、ナイス・リーがリンクされてて、ミサイル・クーパーがリンクされてねーとはごあいさつですね。』

とのメールあり(笑)
わざわざリンク先を指定してきたので以下に引用します。なんとも笑えるパーフェクトペンシル記事です!▽

『かにクラブの「かにブログ」』より
FABER-CASTEL パーフェクトペンシル
 
Posted by ミケランジェロ at 09:29  |Comments(10)TrackBack(0) | 筆記具

2009年07月30日

日本橋はいばら追記

先日の記事「日本橋はいばら」で紹介した榛原の日本橋三越出店が、好評につき当初の2009年7月28日(火)までの会期をさらに2週間延ばしたのだそうです。
さらに2週間延長ということは、8月11日(火)までということになろうか。

それで上記に引用した先日の「日本橋はいばら」記事、ここ数日のあいだ特定の文字が正しく表示されていなかったようです。
なにげなく読み返したところ「和」「製」「美」などが「・」と表示され、「巻」の字は「卒」の字に変わっていた。
なぜなのでしょう。
それを元の文字に直しました。正しく表示されていない時にお読みいただいた方々、不可解な文章となっており失礼いたしました。

さて、榛原製品には心惹かれるアイテムが揃っており、今回そうした榛原アイテムの話を記そうと思っていたら、ブログ『ゆすらうめ』のゆすらうめさんが、まるごと書いて下さっていた。
しかもその記事に添えられたイラストまで、まさに写真に撮ろうと思っていたもの。

というわけでゆすらうめさんの許可をいただきイラストを転載させてもらおうという横着企画に急遽変更。イラスト、素晴らしいです!


yusuraume_haibara.jpgこの左下の文箱が蛇腹便箋や一筆箋がぴったり入るサイズで、今回の榛原の日本橋三越出店での新製品。
右のレターセット(420円)の外枠紙カバーから蛇腹便箋を外して箱に入れるもよし、蛇腹便箋のみがこのレターセットの5束分つながったタイプの単品蛇腹便箋(525円)のケースにするもよし。
文箱の色には赤と黒があって、価格は945円。

このイラストのゆすらうめさん記事はこちら
文中ミケブログのことも紹介いただいていて、あちらに行くとこちらのブログのリンクもあるという「行ったり来たり」状態になっていますが、イラストに添えられた文章がさらにイラストを引き立てる穏やかな相乗効果あり。ぜひ御覧下さい!

日本橋三越の榛原コーナーには、ミケの手書き文を今日新たに追加する予定です。
 
Posted by ミケランジェロ at 10:46  |Comments(6)TrackBack(0) |

2009年07月25日

パスポートカバーを、パスポートカバー以外に使おうという話


red_vianna_p.jpg使い途を決める前にそれを買ってしまうことの苦々しさといったらない。

その革の質感と、縦横比率のバランスに惹かれて通り過ぎることのできなかったものがこのパスポートカバーだった。

留め金は正直好きじゃない。社名が刻印してあるのがなお悪い。そこには上を覆い何かを貼ろうと思っているが丁度いいものがまだ見つかっていない。そのうちに必ず見つける。

ともあれパスポートサイズの縦横比率には心奪われるものがある。
天地に対して左右が多少幅広に感じるのが魅惑を誘うようで、日本国旅券本体は125mm×88mm。
それがパスポートカバーになると旅券本体よりもひとまわり大きくなって、さらに左右の幅広が映える気がする。
だからパスポートカバーというものが好きだ。

しかし、私は肝心のパスポートをパスポートカバーに入れない。
第一に、ある冊子を何かの革カバーに差し込んで使うことに親しんでいない。
そして、パスポートを大事にカバーで保護しようという気がない。これは今までに一度も顔写真がうまくいった試しがないことも一因で、その責任は自分の顔そのものにあるということを先刻承知はしているが、それにしても毎回あんまりな写真に仕上がるので、すっかり呆れてしまった。
出入国審査でカバーからパスポートをわざわざ取り出して渡すのがおっくうだというのもあり。

そのようなわけで、パスポートカバーをパスポートカバー以外に使いたいと思う。
こういう人はけっこういるのではないかと私は思っていて、たとえ海外への旅行中にパスポートを入れるために本来の用途として使っていても、日常生活でも使いたいほどにあの形状が好きで、旅行から戻ると中身のパスポートを外し、他のケースに使おうという人がいるだろうと想像している。
その中で考え得る自然な用途としては、ミドリのトラベラーズノートのパスポートサイズを入れてノートカバーとして用いることなのだろう。
私は前述の通り冊子をカバーに差し込むこともしないので、それはまだ試していない。


calfskin_wallet.jpgそれで今年の初めにやはり用途を決めずに買ってしまった左の写真のパスポートカバーというのがあって、これは財布にしている。
カバーを開くと、中は左がカードケースと内ポケット/右がブックカバーのような差し込み口になっており(差し込み口は面に対して斜めではなく、小口と平行にまっすぐになっている)、左側にカード類を、左の内ポケットにはカードケースに入りきらない他のカード類を入れて、右側には札を半分に折って位置をずらしつつ入れ、そこにレシートなども仮置きしている。小銭はそこには入れず、他の印鑑ケースを小銭入れにしている。

文面だとわかりづらいので、これはいずれ詳しく図で説明したいところだが、とにかく財布にするようにしたら大変に使いやすくて感動した。
やっと自分の扱いやすい財布に出会えたという清々しい気持ちで毎日使っている。

そんなことがあった経過で、今回のパスポートカバー。
あとから用途を決めるのは実に心苦しいものではあるけれど、それだけに燃える。
これは、開くと両側共に面に対して斜めの差し込み口が2つある。左側には「BOADING PASS」と書かれていて上が切れており、このカバーの天地よりも長い航空券なども差し込めるようになっていて、右側には「PASSPORT」と書かれていて旅券を差し込む造り。

あまり複雑な細かいものを入れられないので、結果5×3カードをここに入れることにした。
5×3カードは、コレクトなどの日本製のものが125mm×75mm、meadやスマイソンなどの欧米製のものが127mm×76mmのサイズで、共にパスポートカバーにぴったりと快適に入る。

ここですかさず言及されそうなことが「ミケは5×3カードをジョッターに入れてなかったけか」という件であるが、あちらに使っているのと、こちらに使っている5×3カードでは扱い方が異なる。と言い訳させてほしい。

ジョッターに入れる時は、主にこれから何かを書く時。
パスポートカバーに入れる時は、書き終わったカードを参照する時。

例えば、住所録である。
私は住所録というものにも財布同様にこれまでに紆余曲折を繰り返していて、なかなかうまくいっていなかった。
それを、5×3カードの紙色を変えたりなどして「仕事」「よく手紙を出す人」「かにクラブの人」などと分けて記し、パスポートカバーにはさんでおくようにしたら、参照するのがとても楽になった。
頻繁に参照するであろう人のものをそこに入れておいて、時には名刺も混ぜてしまう。
宛名を書く時に冊子が閉じてしまわないように何か重しを置く必要もない。
それを右側の「PASSPORT」の方に入れている。

左側の「BOADING PASS」の方には、ジョッターで5×3カードに何か記したものの中で最優先に次へ展開させたいものを。
真っ赤な革カバーを手にするのが楽しくて、良く開いて見返しては考えを次へ持っていこうとしている。

もう金輪際使い途を決めないまま何かを買うことはするまいと思いつつ、あとから用途を決めてそれがうまくいった時の「良いじゃん!」な気分というのもまた爽快なもので、これもまた未来永劫繰り返してしまいそうな予感も。
そんな危うい魅惑を持つアイテムのひとつが、パスポートカバーだと思う。
 
Posted by ミケランジェロ at 12:27  |Comments(12)TrackBack(0) |

2009年07月23日

日本橋はいばら

文化三年(1806年)に日本橋で創業した和紙の店・榛原。
その店は東京・日本橋駅からすぐ近くにあり、かれこれ20年ほど通いつめてはここの紙を使っている。
便箋・封筒・葉書・金封など優れたアイテム揃いで、純「日本風」をプライベートにも仕事にも気持ち良く味わうのにはここのものしかない。

和風ではなく、日本風。
江戸の趣きあふれる和風アイテムも好きだが、現代の日本に生きているという自負もある。
「和のテイスト」を前面に出さない方が具合いい場面もしばしば起こるという事情もある。
日本人として、過去現在ひっくるめた日本文化の中で生きることはなかなかに難しいことなのだ。
そのようなわけで日本の歴史文化と現代文化の頃合い良くまとまったものを「日本風」と私は考えていて、そのバランスが大変に良いのが榛原の製品だと思う。

その榛原が2009/7/22(水)から7/28(火)まで、日本橋三越本店本館5F「趣味雑貨倶楽部」コーナー(万年筆売り場横)に期間限定で出店しています。
日本橋の榛原から日本橋三越本店までは歩いて行ける距離ではあるけれど、こちらの三越コーナーには「木版刷りの原版」もショーケースに展示されていたりなどして榛原本店とはまた別の楽しみが。


haibara_box.jpgこの売り場に、榛原製品に記したミケランジェロの手書き文を置いていただきました。

写真の下の箱の中に添えられている葉書2点と、榛原のロングセラー・蛇腹便箋レターセットには旅日記や手紙、一筆便りを。
旅日記は文面がまだ途中なので書き足さねば。
手に取って気軽に見られるので、万年筆での描線など楽しんでもらえるかも知れません。

各商品を御覧いただきつつ、それぞれの使用万年筆/インクを記します。


haibara_box_red.jpg【葉書・赤罫】
・シェーファー・コノソアール/シェーファー・パープル

この赤罫葉書は新作。8行罫の葉書は短い文面で好意を伝えるのに適量。

箱の中にある赤枠の入った便箋・封筒も万年筆で快適筆記を楽しめて、それぞれ別個に使って洋物封筒や便箋と組み合わせてもうまく馴染む。
赤枠は手刷り木版で一枚一枚手作業で刷られいるのだそう。独特な赤の色味に魅せられてしまう。



haibara_box_turquoise.jpg【葉書・青罫】
・ペリカンM205/ペリカン・ターコイズ

青罫葉書も上の赤罫同様に新作。
夏の便りにぴったりな爽やかなターコイズブルーで、いっそ文字も同系色にしてみようとターコイズのインクにしてみた。

箱にある青枠便箋・封筒も上の赤枠と同じく手刷りの木版印刷。この青も鮮やかで心奪われる。
こちらの紙は赤枠のものとは異なり、万年筆ではにじむ。ただ紙は繊維に光沢があり大変に美しい。いっそ太字の油性ボールペンを使ってしまうのも潔いかも知れない。


haibara_letterset.jpg【蛇腹便箋】
・ラミー2000/モンブラン・ブラック
・セーラー万年筆(1970年代のもので型番はわからず)/モンブラン・ブラック
・モンブラン146/モンブラン・ロイヤルブルー

蛇腹に折り畳んであり、どこまでもつながっている便箋。この一折一枚ずつの折り目にはミシン目が入っており、好きなところで切り離せる。
一筆箋にも便箋にも使えて、縦書き筆記にも横書き筆記にもバランスがいい行間。
定番品は90枚綴りで封筒10枚の付いたカバー付きのレターセットになっている。
榛原本店に行くと、この90枚綴りが5束つながって450枚綴りになった便箋のみの「超長・蛇腹便箋」もあり。これは圧巻!

蛇腹便箋の手書き文は、上述の通りまだ書き足したいものなどあるので会期中ちょっとずつ手書き文が変わることもありそうです。

日本橋三越へお立ち寄りの際には、ぜひ榛原製品を見に本館5Fへ行かれてみて下さい。
定番の便箋・封筒類以外にも、蛇腹便箋や一筆箋がぴったり入る新製品の文箱や、桐箱入りギフトセットなど注目アイテムが満載。
もちろん日本橋交差点からすぐの榛原店舗へもぜひ!
 
Posted by ミケランジェロ at 02:25  |Comments(16)TrackBack(0) |

2009年07月19日

Smythson/Pocket Memo with Gold Corners


pocketmemo_3.jpgスマイソンで呼ばれているところのPocket Memoというのは、5×3サイズのカードを入れるジョッターを指すことについては以前に記した。

今年の初めにPocket Memoを、春には四隅にシルバーの金具が付いているPocket Memoを、そして今回「四隅にゴールドの金具が付いているPocket Memo」を加えた次第で、こちらのミケブログをかねてからお読みいただいている方々ならきっと、

「Pocket Memoは5×3ジョッターだという、この文面でまた始まったか」

と思っておられることだろう。
私も、またかと思う。
Pocket Memoやジョッターや5×3カードについてはこれからも所感を書き続けていくけれど、Pocket Memoを新たに加えたということを書くのはこれで最後にしたい。できることならば。


pocketmemo_3_pocket.jpgこのPocket Memoの裏面は左の写真の通り。社名ロゴは箔押しでなく刻印されており目立たずとても感じ良い。
以下に店での購入動機を記す。

・これまでの2つはBlack Pigskinだったが、今度のはBlack Calfskinである
・そのBlack Calfskinにゴールドコーナーを合わせてあるものは、このところとんと見かけなかったのに、あった
・使っている5×3カードのリフィルは数種類あるので、これまでの2つはリフィルを分けて同時使いをしていた。もうひとつあっても同時使いをするだろう

…という、同行相談者がいたら即「却下」な動機だったわけだが、ここの道具は使えば使うほどに新たな発見をさせられる。これはもう早く使ってみなければと包装箱に入れてもらうのもやめ、帰り道の地下鉄から使用。
その後毎日手にして新たに気付いたこと。

・Black Calfskinは軟らかいので、Pocket Memo自体が薄くても伸縮自在でけっこうな枚数のリフィルが入る
・四隅に金具付きは、金具なしのものに比べてサイズが幅狭なこともあり薄い紙のリフィルの抜き差しが少ししづらいと感じていたのだが、これは薄い紙でも抜き差ししやすい。四隅の革の抵抗をあまり受けないせいだと思う
・しなやかで軟らかいのに、台としては硬めで安定感がある。中に入れたリフィル、そして手となじんで一体化する感じ

そういったわけで、このPocket Memoには100g/平方メートル以下の薄口の5×3カードを中心に使うことにした。
現在使っている5×3カードは、meadやスマイソンの厚口のもの、コレクトのアイテム(旧型の罫線がキャラメル色のもの)やスマイソンの薄口のもの。これらを記す内容に合わせて選んでいて、Pocket Memoも複数使いするのがとても快適なのだと気付いた。
なんて書けば書くほど言い訳めいてくるのでこのくらいにしておく。
5×3カードの話はまた別の機会にじっくりと。

そして、前々からしつこく書いている通り「黒には銀を合わせたい」と考えているというのに、このBlack Calfskinについては金が良く合っていると感じる。同じことをモンブランの149にも思う。
黒の色のせいなのか、金の色のせいなのか。
その双方のバランスの合ったところで見事に調和の保たれていると感じる黒と金には滅多に出会うことがないので嬉しい。

同じく店頭にあったTan Cervo(薄茶色)のPocket Memoは、手触りは良かったが5×3カードの台にするのには軟らかすぎると感じた。
よってセールだったけれどやめた。よくやった。
そんな葛藤と言い訳の渦巻く試練が、文具選びを充実したものにしてゆくのだろうか。
そうでありますように。
 
Posted by ミケランジェロ at 23:57  |Comments(6)TrackBack(0) |

2009年07月06日

スマイソン香港店


hkg_smithson_after.jpgスマイソンのアジア地域唯一の直営店・香港店に今日行きました。

香港島側・地下鉄の中環(セントラル)駅からG出口を上ったショッピングモール「The Landmark」内のハーベイ・ニコルズの2階にある。
ちょっとややこしいのだが、ランドマークという商業施設内にハーベイ・ニコルズ百貨店が入っていて、その中にスマイソンはある。
想像していたよりも小ぶりな店舗で、体感的な広さにして伊東屋の1階入口右手の特設エリア〜インフォメーションデスクくらいだろうか。
とはいえ、アイテムはかなり充実している。
特に私のようなネット購入中心の者にとっては、実際の現物を見て検討できるところが大変にありがたい。

いや、ありがたいと言うべきなのかどうか。
スマイソンのサイトではすでに品切れになっていたり、私の記憶が確かならばサイトでは見た覚えのない製品などもあって、「そんなはずでは!」なアイテム多し。

おまけに、一部大々的なセールをやっていた。
そのラインナップはこのシーズンのサイトでのセールとかぶるところあるが、あのセールにも泣いたのにこのセールにも泣く羽目に陥るとは。

死む。

特に、サイトのセールには掲載されていなかった旧製品(ロゴが昔のもの)の半値には参った。
私は言いましたよ店員に。

「また明日会いましょう」と。

そんな中で「これだけはなにはともあれ」と思い避けて通れなかったものは、5×3カードのホルダーにするポケットメモ(通称ジョッター)のブラック・カーフスキン&四隅にゴールドの金具が付いているもの。
これは惜しくも定価だったのだが、他のどの割引品を差しおいても激しく心奪われるものがあった。
仕方がないんです。

そして初めて手にした店舗の紙袋というのも大変に良かった。冒頭写真がそれです。
封はテープでとめるのではなく、紙袋には穴が開けられていて、そこにリボンを通して結ぶ。
紙質もしっかりしていて素晴らしい紙袋だった。

高揚感と疲労感のあまり、店舗の写真を撮るのを忘れる。
明日また行ってしまったならば、撮ってこよう。
 
Posted by ミケランジェロ at 03:42  |Comments(18)TrackBack(0) | 書く場所

2009年07月05日

旅先ノート


hkg_door.jpg香港に来ている。
違う土地に来ると小さなことも目に留まり、書きものがますます楽しくて仕方ない。
だからいつも使っている文房具をあれこれかばんに詰めて出かけることになる。
とはいえ、いつも通りの文具量では行動するのに多すぎるようにも思うので、最小限に選んで持ってきた。

今回かばんに入れたのは、文房具万年筆数本とボールペンとローラーボール、ノートと5×3カード&ジョッター。
最小限にしたつもりなのに、万年筆は6本になってしまいうなだれる。

外を出歩いている時には、5×3カードにメモを。
ちょっと落ち着いたすき間時間ができたら、ペンを選んでノートに記録。
そのすき間時間がほんのわずかなら、すぐにインクが乾く細字の万年筆を使い、少し余裕があったら中字の万年筆を使う。日の光の下で、好きな色のインクが乾いていく様をしばし眺めるのも欠かせない楽しみなのだ。
ホテルの部屋では細字〜太字にかかわらずその時の気分で。

香港の街を歩いていると、看板などの手書き文字に思わず見入ってしまう。
壁の落書きや、冒頭写真のような「看板など用意しないで直接書きした注意書き」も秀逸。
ここの土地の人たちは、どのようにして文字センスを磨いているのだろうか。

そんな彼らの感覚を知りたくて、あちこち文字を眺めては心に留まったものをノートに記したり写真にしたりする。
今日もいろいろ見てこよう。
 
Posted by ミケランジェロ at 11:50  |Comments(7)TrackBack(0) | 書く場所

2009年06月03日

ライオン事務器/ボール用箋挟♯111


lion_clipboard.jpg先日、東映映画『劔岳 点の記』完成披露試写会に行きました。
新田次郎原作の、明治時代に日本地図を完成させるため「前人未踏の」劔岳に登った測量手たちの物語。主演は浅野忠信・香川照之。木村大作監督作品です。

それとこのライオン事務器の用箋挟にいったい何の関係があるのかというと、

浅野忠信扮する主人公・柴崎芳太郎の文房具使いに目が釘付けになってしまって!

柴崎芳太郎は参謀本部陸地測量部(現・国土地理院)の測量手。劔岳の測量を命じられ現地へ赴くのだが、道中その一連の記述やスケッチを常にノートや用箋に書き綴っている。
MOLESKINEのような黒ハードカバー無地ノートには行程記録を。用箋にはメモを。筆記具を栞代わりにしたり。山で目にした植物を描いたり。
そんななかで用箋を茶色いクリップボードに挟んでいた。

そういえば私も、その用箋のような200字詰めの原稿用紙をメモやネーム作りに使っている。
それが台紙のない天のりで綴じられた束で単体ではぺらぺらしており、ああいうクリップボードに挟めばより使いやすくなるのではと豆電球。翌日さっそく文房具店へ。

そこで「これがいいな」と思ったのが写真のライオン事務器の用箋挟だったわけである。
映画では長方形のクリップボード短辺にクリップが付いているタイプだったが、持ち方によって紙束がばさっと裏返ってくるのを軽減させるために長辺にクリップが付いている方にした。

また、紙を破り取る時に毎回クリップから束ごと外して戻すのも怠け者の私にはおっくうで、長辺にクリップが付いている方なら破る紙1枚だけクリップから抜けばいい。
短辺にクリップの付いている方でも、天のり部分を律儀にクリップ側にはさまずに、天地逆にして綴じてない方をクリップ側にすれば良いのだけれど、私の使っている原稿用紙の余白がそちら側は短くてクリップが筆記エリアにかぶる。
そんなこんなを文房具店で思い巡らせ選んだ。価格は441円也。

そして使い始めているわけだが、とても快適。クリップ上部に付いている吊下げ金具に紐を通し、仕事のスチール机の足の入る内壁にあるマグネットクリップに引っ掛けたら手を伸ばせば即取り出せてさらに快適。
クリップボードひとつ加えるだけでこんなに変わるなんて。ああ楽しい。

映画では、柴崎芳太郎の自宅書斎部屋シーンにも興味津々。
壁面の書棚や積み上げられた本、壁を背にして部屋内部を見渡せるように置かれた小さな文机、そしてその文机にところ狭しと広げられた書物やノートなど。
やはり自宅机は窓や壁を背にして内側に向けたいと意を新たにした。
このシーンもあらためて劇場で目を皿のようにして観ようと思うし、DVDになった暁には一時停止三昧で詳細をチェックしよう。

『劔岳 点の記』は2009年6月20日(土)全国ロードショーです。
 
Posted by ミケランジェロ at 08:49  |Comments(6)TrackBack(0) |

2009年05月09日

ステーショナリーマガジン No.005


stationery_magazine_005.jpg文房具の愉しみを存分に味わえるムック『ステーショナリーマガジン No.005』(エイ出版社刊)が5月8日に発売されました。

いつも発売日が待ち遠しいこのステーショナリーマガジンであるところに、今号も書店でレジへ向かう前にひとまず一読したくなってしまう。
会計を済ませ、書店を出て、そこから最も近い喫茶店に即入り熟読することになるわけだが、そこへ至るまでの移動時間すら惜しい。
すぐに読みたいのだ!

そして読めば新たに欲しくなる文房具がわんさか。
その中に、これまで文具店で目にしたり手にとったりしたものがあったとしても、今度ばかりは絶対買うべしと決意させられるのはなぜなのか。
その理由は、その製品の利点や具体的な活用法がきわめて明確に記事から把握できるという徹底した誌面作りにあるのだと思う。

今回のNo.005の表紙タイトルは「いますぐ欲しい文房具1251」。
冒頭の分度器ドットコム店舗にはじまって、SEED「レーダー」消しゴムの工場見学、三菱鉛筆「クルトガ」の内部構造解説、ファイリング用品・スクラップツールのアイデアなど内容満載で実に「いますぐ欲しい!」という気持ちが盛り上がる。

特に印象的だったのが「ロング&ベストセラー文具の愛される理由」ページ。
三菱鉛筆uni、ステッドラーの芯ホルダー、コクヨ測量野帳、ミドリのダイヤメモ、ラミーサファリの5アイテムの歴史を辿りつつそれらの人気の秘密が紹介されていて、あらためて良いなと実感する。こうした優れたものが、いつまでも身近に売られ続けていてほしい。

メモツールのひとつである「ジョッター」の記事では、私の文章を掲載いただきました。
以前にこのブログで記したスマイソンのPocket Memoについての所感をもとに、広義でのジョッターとしての使い始めた印象や使用感をまとめたものです。
このメモツールは相変わらず大変に役立っていて、毎日の登場頻度がますます高し。今後も追究してブログに状況を記していきたいと考えています。

誌面中盤のシャープペンシル芯の徹底紹介は圧巻。各社からこれほど多くの芯が発売されているのだと知りつつ、様々な芯径を試してみたくなる。
この週末も文房具から目が離せなくなる一冊です。
 
Posted by ミケランジェロ at 09:31  |Comments(32)TrackBack(2) | 書く場所

2009年05月05日

ナイス・リーが文具好きになったわけ


nice_fountainpens.jpgロックバンド「かにクラブ」には、「かにクラ文具部」と自らを呼ぶ文房具好きメンバーがいるという話を以前した。
再度書くと、その部員はかにメンバー5人のうちの3人。ミサイル・クーパー、ナイス・リー、そして私ミケランジェロ・ペスカトーレがその構成員で、ボーカルのミサイルについては「ミサイルさんの手帳使い」にその様子を記した。

折しも来る2009年5月10日(日)夜はかにクラブのライブ(東京・東高円寺ロサンゼルスクラブにて)。
加えてゴールデン・ウィークというまとまった時間のあるこの時期、今回はもう一人のかにクラ文具部部員・ギターのナイス・リーの文具使いを少々じっくりめに紹介します。

そもそも文房具に特別な興味があるわけではなかったナイス・リー。
趣味はギター、レコーディングそして釣り。またギターと並行して練習を重ねる二胡演奏に日々打ち込んでいる。
その模様は彼のブログ『ナイスの部屋』からもうかがい知れて、内容は音楽機材や二胡練習、バンドの話がほとんど。そのプロフィール欄にはこうある。


ロックバンド「かにクラブ」のギター弾きです。釣りやカヌーなどのアウトドアが大好き。最近は、二胡に夢中。
5月20日生


文房具に触れた記述まったくなし。

そんなナイス・リーのかねてからの悩みは「自分の字が“アホ字”であること」で、ある日ナイスから一通のメールが届いた。
『ミケさん、僕でも読みやすい文字を書ける筆記具はありますか?』


sutadon_jacket_kanicrab.jpg
ナイスが自称「アホ字」というその自筆文字は、これまでにボールペンで書かれたものが中心。しかし、墨を用いた筆文字ならとても味わい深い筆跡を書く。
たとえばこの画像のかにクラブCD『スタ丼のテーマ』ジャケットのタイトル文字はナイスの字によるものだ。のびのびとした力強い文字が小気味いい。
ひょっとしてナイスにとっては「ペン先が紙に着地した時に平らな面を持つ筆記具」が扱いやすいのではないかと思い、万年筆を使ってみてはどうだろうと提案した。すると『万年筆は使ったことがないので、ぜひ試してみたい』とのナイスの返事。

後日、私の手持ちの万年筆をすべて持参して試し書き大会を行うことになった。
初めて万年筆を手にするナイス。
「ペン先はどっちに向けて書くんでしたっけ?」なんて言いながら、ペン先を表裏にするナイス。
万年筆メーカーの名前など知る由もないナイス。
そんなナイスがあれこれ試し書きをした結果、「これが一番いいですね!」と1本の万年筆を選んだ。

モンブランの149だった。

「こやつ、できる……」
じりじりと後ずさりをするミケをよそに、「これなら僕のアホ字も読めるようになるなあ」とナイスは万年筆の筆感がいたく気に入った様子。
そののちに、ナイスが初めて買った万年筆はペリカンのペリカーノジュニアだった。

「これは良い」と知ると一気にのめり込むのがナイス・リーの特徴である。
次々と文房具にかんする質問メールが届いた。

『万年筆を使うと文字を書くのが楽しいです。楽しいと、それを書くためのノートが欲しくなります。薄くて丈夫で持ち運びしやすいノートはありますか?』
→コクヨの測量野帳をおすすめ。

『ペリカーノジュニアではロイヤルブルーという色を使っているのですが、測量野帳の方眼の罫線にインクがはじかれてしまいます。あの罫線ではじかないインクはありますか?』
→はじくインクとはじかないインクを調べて伝える。

『ペリカーノジュニアは少し線が太いので時々不便に感じることがあります。MDのラベルに曲名を書く時などに、細字の安価な万年筆が欲しいです』
→プラチナ萬年筆のPKR-2000をおすすめ。

そうこうするうちに、いつしか文具店巡りを続けていたナイスは「良いペンケースが見つからない」と自ら裁縫してペンケースを自作。


nice_pencase.jpgそれが冒頭写真にもちらと見られる、このフェルト製のペンケースである。ペリカーノジュニアとプラチナ萬年筆のポケットタイプ2本がちょうど入る大きさで、ナイスの大好きなギターのケース型。ファスナーで開閉する造りになっており、「ギターケース」にはちゃんとポケットも付いている。たまげた!




nice_yachou_ink.jpg使い始めた測量野帳を見せてもらうと、上述の方眼罫線にインクをはじかない・はじくの一件もちゃんと表にまとめてある。
下の方にはまだ追記できるように空欄も設けてある。ええ、また調べて報告します。



nice_yachou_setting.jpgさらに、測量野帳ノートの中身はこんな風に使われていた。
ギターアンプのツマミ調整やレコーディングのセッティング計画、ライブの持ち物、レコーディング時の持ち物、リハでの演奏所感、二胡のレッスンで教わったこと、釣れた魚の話や絵など。
インク色を駆使して、視覚的にも読みやすく記述されている。充実のノート内容にびっくり。

そののち、「あとから読むのにはっきりしたインク色がいい」とペリカンのターコイズを購入。ターコイズの色合いが爽やかとか美しいとかそういう話ではなく、筆跡がくっきりしていて読みやすいのが気に入ったのだそうで。
現在、ナイスのペリカーノジュニアにはターコイズインクが入っている。

そして先日、今年のナイスの誕生日プレゼントにと、ファーバーカステルのパーフェクトペンシル・カステル9000を贈った。
二胡のレッスンの時など楽譜に書き込みをするのに、扱いやすい鉛筆があると重宝するだろうと思ったのだ。ナイスはかねがね、ひびの入ったプラスチックの透明キャップを鉛筆につけて持ち歩いていた。
「おもしろい筆記具ですね。鉛筆削りまで付いているんですか!」と興味津々のナイス。
しかし、ナイスの真の関心はそのコンセプトのおもしろさやファーバーカステルの伯爵がどうとかいうところにはない。

「このキャップは、どのように鉛筆をホールドする構造になっているのですか」

眼光鋭く訊ねるナイス・リー。来た来た。
内側に金属製の弓状に曲げられた板が4枚あり、それらが鉛筆をホールドする造りになっていること、他社の鉛筆を使うとわずかに軸径が太い場合もあるので板の曲がりがゆるむこともあるが飛んでも跳ねても鉛筆が外れないキャップである旨などを伝えると、「それは3,000円という価格も納得だ。消しゴムもよく消えるし、これは使えますね」と試し書きしながらいたく感心するナイス。…あ、値段知っていたのね。さすがに文具店巡りしてるだけあります。

そんなわけで「本当に自分にとって役に立つ」から文具を好きになり、役に立つものだけを選び、ますます充実の文具使いを重ねていくナイス・リー。今後のさらなる活用を知ることを楽しみにしています。


※ナイスのブログ『ナイスの部屋』のほとんどが趣味の話であると述べたが、文具にかんする記事もわずかにある。それらについてはこちらを参照下さい▽

ペリカーノジュニアを買った時の「万年筆は楽しい。」

自作ペンケースを完成させた時の「はじめての手芸」
 
Posted by ミケランジェロ at 11:09  |Comments(10)TrackBack(3) | ノート , 筆記具

2009年05月02日

絹の服


thomas_pink_silk.jpg何か心に留まるものとたまたま出会ってしまい、それをどうにか買わずにやりすごそうとしている時に、誰しも「これだけはどうしてもスルーできない」という弱味にも似た勘所があるようで、それが私にとっては絹100%のものだったりする。

とにかく絹が100%がいい。
そこに綿や麻などを含ませて布地にさらなる利便性を加えようというねらいについては理解できる。
しかし私の肌は明らかに絹100%を望んでいて、他の素材と混在してほしいと感じていない。
同様に綿や麻もそれぞれに100%が好きなのだ。
その素材の良さが身体にストレートに伝わってくる気がするから。結果、頭も冴えて良い仕事ができるように思う。その「仕事」というのは人生におけるあらゆる出来事にたいする所作のことを言っている。

絹を身につける時、身体中が果てしない幸せに包まれる。
幸せになれるから絹がいい。その一言に尽きるわけで、絹に贅沢感や豪華な雰囲気などは必要としていない。
だから人の目に晒すことになる外側の服よりも、自分の肌に触れる服素材が絹であればあるほどいいと思う。

絹といえばよく見かける布地表面の美しいサテンの光沢加工も、そうなっているものしかなければそれはそれで構わないが、自分にとってはそれほど大切なことではない。
そんなことより夏に涼しく冬にあたたかい、体温と外界との間を丁度良く保つあの快適な着心地がかけがえがない。

最近出会った絹の服の中では、冒頭写真のカーディガンが秀逸だった。
トマス・ピンクで見つけた地味めなダークグレーのカットソー。これを製品にする時に、化繊を用いても一見大差ないようであるのに絹100%としてくれたところに感激。
身体のラインに沿いながらデザインを生かしたドレープを描き、ウエストを通して結ぶリボンの結び目もきっちりと豊かに決まる。その風合いは絹にしか出せない。
トマス・ピンクはシャツ作りを専門としていて、その縫製と綿の布地選びには定評があり長いこと好んで着ているが、絹の服もこれほど優れた品を作っていたとは知らなかった。まじで良いです。

絹というとどこか気が引けてしまう一要因が、その手入れの難しい印象だろう。
でも気にしていない。万年筆の手入れでも同じ「面倒」を苦もなく行っているのだから。
絹といえどもあらゆる製品があり和服着物などは専門の業者に頼むのが賢明だが、私の着るような洋服通常着の手入れについては自分でも行える。その際に必ず守っていることは以下の通り。
・手洗いをする。
・中性洗剤を使い洗う。
・洗いもすすぎも同じ水温のぬるま湯にし、温度を急に変えない。
・水分を含んだ布地は絶対にこすったりもんだりしない。中性洗剤とぬるま湯の中を泳がせるように洗う。
・絞らず干す。直射日光に当てない。
大した手間ではないものの、洗濯機にガッと入れてガッと洗うのとは大いに異なる。
しかしこのひと手間を守ることであの快適な着心地が変わらず味わえるのだ。楽なものです。

万年筆使いで繰り広げられる一連の手入れの手間というのも、あの書き味を維持するためなら率先してやりましょうという心境。それと同じ感情を絹にも抱き、その手間が喜びですらある。
今度はあの色を、今度はあの質感をと少しずつ買い足してゆく愉しみも同じだ。あまり増やさないようにせねばというブレーキがしばしば利かないという困った点も両者同じではあるが。

ときに、絹の服がシビアな効力を発揮するのは体型を見せてくれること。
不摂生がたたると「ちょっとまずいっすよ」と体型要改善をシルエットで知らせてくれる。
痩せすぎていてもよくなく、ほどよい肉づきが望まれるようで、「これが自分に最も適したサイズ」と決めたものが着るのに問題なければよしとして、体重計に乗ることはない。
そうした体型確認を兼ねる服というのが他の素材にもいくつかあって、それぞれから改善を促される日々ではあるのだが、とりわけ絹は容赦なく、そんなところも気に入っている。
 
Posted by ミケランジェロ at 11:03  |Comments(10)TrackBack(1) | 書く場所

2009年04月22日

BiC オレンジボールペンのこのごろ


bic_orange.jpg子供の頃に出会ったBiCのオレンジ軸ボールペン。
この書き味に魅せられて、今も変わらず手の届くところにはいつもこのオレンジがいる。

本当にどこにでもいる。
机の引き出し、かばんの中、玄関のペンスタンド、ソファーのクッションの間など。たいていの筆記具はひとつの製品1種につき1本を心がけているのに、これについては何本あっても後悔がない。
単体で84円と安価なことも後悔しない一要因だろうが、いくら求めやすくても何本も同じのを買うものではない。なのにこのオレンジボールペンについては、とにかくいつも自分の行動範囲にある場所それぞれにたたずんでいてほしい。そこで何本もあたりに撒いておくことになる。

それで撒きながら思うことには、このごろこれのフランス製のものを店頭であまり見かけなくなっていた。
冒頭写真の上のものには表書きに「France」とあり、下のものにはその表示がなく、六角形の対面裏側にオレンジ軸を立体に用いて「CHINA」と記されている。

あらためて店を色々と見に行ったら、単体で売られているものも10本パックで売られているものもCHINAの方で、Franceの方は日本市場から姿を消すゆくえなのかも知れない。

なくなるのなら、欲しいじゃない。
そんなあさましい思いを抱きさらに調べを進めたところ、BiCボーイのペンスタンドに2本のオレンジボールペンが付いているセットについてはFranceのものが入っていた。
BiCボーイは愛らしいが、正直彼のペンスタンドは別に必要としていない。
そこで店の人に「この中身のボールペンだけ、単体で売られているもの扱いで購入することは可能ですか」と訊ねたところ、色々調べてくれ、最善を尽くそうとしていた様子ではあったが「できないのです」との返事。
ではBiCボーイペンスタンド付きのものにします。
と、店頭に置いてある3セットを購入。Franceボールペンは6本入手できたことになる。このくらいあれば十分であろう。

しかし、BiCボーイが3体。
ただでさえ必要のないものが3匹。どうしたものか。
現在のところ、これらはかにクラブのかにクラ文具部部員3名で分けることにしようと考え中。今度のリハに持ってゆきます。

そしてオレンジボールペンのFranceとCHINAの違いについて。これが確かにある。
共になめらかではあるものの、Franceの方はよりなめらかですべるような筆感。一方CHINAはわずかに紙との摩擦を味わいながら「ボールの球体を感じる」筆感がある。
どちらが好みかというと、球体を感じつつもなめらかなCHINAが良いじゃん! と思うのだが、子供の時分に味わい魅せられた書き味はFranceの方であった。とにかくなめらかで驚き、らくがき帳に無心で描線をひいた記憶がこれを使うと甦る。

そんなわけで両方好き。何はさておき1961年の発売当初からまったく変わらぬデザインで製品を作り続けているその継続力に感服する。
そして今日も手を伸ばせばこのオレンジがどこにでもある。そのことがいつも嬉しい。
 
Posted by ミケランジェロ at 20:37  |Comments(17)TrackBack(0) | 筆記具

2009年04月15日

Smythson/Pocket Memo with Silver Corners


pm_silver_corners.jpgPocket Memoは5×3カードを入れて使う平たいホルダーで、こうしたものは通称ジョッターと呼ばれている。
スマイソンでこれにジョッターという名を用いないのは、他に1920年代から発売しているジョッターという名の商品があるためで、そちらは表紙付きの革ホルダーのメモでシャープペンシルが付いている。
写真のPocket Memoにもシャープペンシルが添えられているが、これは商品には付属していない。ペンホルダーもない。とにかくただの平たいホルダーである。

こういうものが、何の役に立つのだろうか。
そう思い、試しにPocket Memoを使い始めた時の所感はちょっと前にここへ書いた。その舌の根も乾かぬうちにもうひとつのPocket Memoを加えた次第で、これには深いわけがある。

初めに買ったPocket Memo(以下、Pocket Memo1と記す)は革を縫製したのみのシンプルな造りで、四隅にあるカードの差し込み口は革に切り込みが入れられているタイプ。
今回の新しいPocket Memo(以下、Pocket Memo2)は差し込み口が異なり三角形の別革が四隅に縫い付けられている造りで、それに加えて、

四隅にシルバーの金具が付いているのだ!

黒に銀。この組み合わせに魅せられた者は主にヘヴィーメタル界に大勢いるかと思われるが、文房具界にもやはりいる。
上の記事にコメントいただいたsoniaさんがこの黒革にシルバーコーナーのPocket Memo2を探しておられ、私もPocket Memo1を使いつつもsoniaさんの望まれるのと同じものが心からずっと離れず、サイトからは姿を消していたそのPocket Memo2に店頭在庫ありと知らせて下さったのだ。
これはもう運命であろう。soniaさん、誠にありがとうございました。

黒には銀を合わせたい者にとって、これほど理想のPocket Memoがあるだろうか。
そして黒には銀を合わせたい者にとって、もしもこれが理想のPocket Memoではないのなら、それはその者がPocket Memo自体に関心がないということなのだと思う。


pocketmemo_silver.jpg裏面に、今回初めて刻印を入れた。
「M.P.」とは、バンド・かにクラブでの私の役名ミケランジェロ・ペスカトーレによるものです。
この刻印が、しっかりエンボスの付いた風合いがあって指でなぞると心地いい。

手に持ってみて気付いたことには、Pocket Memo1と2とで大いに違いがある。まずサイズと重さと厚さが違うのだった。
このPocket Memo2の寸法は、長辺143mm×短辺86mm。重さは紙を入れない状態で約30g。
紙は140g/平方メートル厚の5×3カードの場合、表面に最大4枚、裏面のポケットに最大6枚入る。個人的には入れるのは表面3枚、裏面5枚くらいにしておきたい感じ。


pocket_memo_holder.jpg一方こちらのPocket Memo1は、長辺143mm×短辺92mm。短辺が6mm多い。重さはやはり紙なしで約35g。5g重い。
入る紙の量は、上と同じ紙条件で表面に最大5枚、裏面ポケットに最大9枚。とはいえ表面4枚/裏面8枚くらいが適当かなと思う。それでもPocket Memo2の適切量より4枚多く入れられることに。

そしてここが一番の印象の違いなのだが、Pocket Memo1の方が持った感じが厚くしっかりしている。
カードの差し込み口が切り込み式のため、その分全面に革1枚多いのかも知れない。内部構造が革+シルク裏地で何層になっているのかちょっと推察がつかないが、とにかく持った感じPocket Memo1は「手に合わせて面がしなろうともしない」硬さで、Pocket Memo2には「基本平面を保ちますけど、なんならしなってみせますよ」という軟らかさがある。

これらの違いはどちらが良いとは甲乙つけがたく、双方に使う者の好みや筆記状況に応じた利点がある。
差し込み口の違いについても同様で、どちらが優れているというわけではなく共にそれぞれの良さがある。
そういったわけで、シルバーコーナーのPocket Memo2と出会えて感涙しつつも「Pocket Memo1があるのにもうひとつ持つのは人としてどうなんだろうか」と懸念していた当初の悩みは払拭された。
よって両方同時進行で使い続けることができる。クックック(-ι_- )

Pocket Memoを使うと、それにかかわる筆記具や5×3カードの楽しみも広がっていく。そして洋服のポケットやかばんについても。そうしたことは他の文房具でも変わらぬ思いを巡らせているのに、これについてはさらに飽くなき工夫欲が湧いてくる。
つまるところ一見何の役に立つのかわからないものほど実際に使ってみた時に良いと感じたら喜び倍増で、その差異の魅力に捕えられてしまう類いの文房具がこれなのだと思う。
 
Posted by ミケランジェロ at 09:15  |Comments(45)TrackBack(0) |

2009年04月05日

ミサイルさんの手帳使い


pelikan_souveran_01.jpg私の参加するバンド「かにクラブ」には自分を含めちょっとした文具好きが3人いて、それらのメンバーで「かにクラ文具部」などと自らを総称しては文具の情報交換をしている。
しかし、そのかにクラ文具部の「部員」それぞれに好みは異なり、ギターのナイス・リーは実用本位でこれが良いと決めたものを使い込む一筋型、私ミケランジェロ・ペスカトーレは文具店通いを続けては何かを見つけようというローラー作戦型、そしてボーカルのミサイル・クーパーは「幸せになる文房具」をテーマに安価でシンプルな文具使いを好む詩人型、という構成。

文具使いに「詩人型」なんてあるのかどうかという件はさておき、このミサイルさんは文房具の話題を中心とした『かにクラブの「かにブログ」〜しあわせでいるために〜』を更新していて、そのブログタイトルにある補足文が次の通り。

スーパーロックバンド「かにクラブ」のボーカル、ミサイル・クーパーが、しあわせでいるためのブログ。

みんなの幸せじゃなくて、あなたの幸せのことだったんですか。
とのっけから脱力させられる羽目に陥るわけだが、ブログ記事では愛用のLAMYへの想いMOLESKINE 評そしてRHODIA 大好きっぷりなど読んでいて独自目線が大変に興味深い。

そんなミサイルさんが以前私の使うスマイソンを見て言いました。
「馬鹿馬鹿しすぎて使う気もしねえ」
なのに、去年の年末に言いました。
「来年の手帳にしてみようと思う、そのスマイソンとやらを」

どういう風の吹き回しなのか。その心情変化は未だ明らかでないのだが、とにかく使うというのでPanama Diaryのダークブルーをおすすめ。
スマイソンに何の思い入れも感動もないミサイルさんが、どのような手帳使いをしてくれるのか半ば実験感覚で観察することに。

そしてかにクラブのミーティング時やスタジオ練習の際に使用経過を見せてもらっているのだがその手帳使い、かなり充実しています。
見開き一週間のスケジュール欄には、その日の予定に加えてやることを箇条書きで記述。箇条書きの冒頭には□も付記してチェックボックスにし、その用事が済んだらチェックを書き込み。
それまで携帯電話のスケジュールメモや自宅の冷蔵庫に貼ってある(らしい)カレンダーに分散していた予定なども、すべてその手帳に一本化し記してもらうようにした。
使用筆記具は三菱鉛筆・ジェットストリームの4色ボールペンが中心とのこと。愛用のLAMYサファリやペリカン・スーベレーンM600も使っている。冒頭写真がミサイルさんの手帳とスーベレーンです。

私にとっては手帳が軽いのが何よりありがたいのだが、ミサイルさん曰く「手帳って、ある程度の重さも必要だよね」との意外な発言も。立ったまま書き込む時に表紙革が重厚な方がいい台になるのだそうで。
さらに、厚手のオイルスキンなどを容赦なく使い倒して傷がついてもそれが風合いになる、といった雰囲気が総じて好きなんだそう。
Panama Diaryのラムスキンも、ポケットや鞄にがさつに突っ込んで酷使するとそれが風合いになり、ミサイルさんの好みに合うのではと思う。もっとも、酷使してもしゃきっとした姿を保つのはミサイルさんには物足りないのかも知れないが。
いつも鞄に入れているとのことなので、今後はジャケットの胸ポケットやジーンズの尻ポケットに入れるなどしてどんどん「使い倒して」みてほしい。
そんなミサイルさんの手帳使い。4月を迎えてこれからどのように展開していくのか楽しみです。


【追記】
ミサイルさんが自身のブログにスマイソン記事をアップしました▽

スマイソン パナマ・ダイアリー その1
スマイソン パナマ・ダイアリー その2
スマイソン パナマ・ダイアリー その3
スマイソン パナマ・ダイアリー その4
スマイソン パナマ・ダイアリー その5
href="http://kanicrab.way-nifty.com/kanicrab/2009/08/6-3202.html" target="_blank">スマイソン パナマ・ダイアリー その6
 
Posted by ミケランジェロ at 10:57  |Comments(23)TrackBack(1) | 手帳

2009年04月01日

PTM/Fabriano Vergata リフィル


ptm_fabriano.jpgバイブルサイズのシステム手帳リフィルに欠かせなかったPTMのファブリアーノ紙(Fabriano Vergata)が、製造を終えてしまったらしい。
左の写真がそれで、白とクリーム色の2色があり、無地。上部に日付欄、下部に小さくPTMの社名が印刷されている。
1冊25枚入りで420円という価格は一般的リフィルとしては少々割高だが、とにかく抜群に紙質が良い。いや、良いというより「自分の好みに合う」と言った方が適切かも知れない。良質なリフィルは他にもたくさんあるわけで、それが「良い」かどうかはめいめいの好みの問題なのだ。

ともあれこのリフィルは伊東屋の手帳売り場の中で最も気に入っていた。また、これまでに使ったバイブルサイズのリフィルの中でも自分にとって唯一「完璧な」紙だったと思う。

そのPTMファブリアーノ紙をこのごろ伊東屋で見かけなかったのを不吉に思い訊ねたところ、その時の国内在庫は白とクリーム色の数冊。それらを取り寄せつつ、イタリアのPTMに問い合わせてもらうことにした。
その後伊東屋より「もう作らないようだ」との返事があり大ショック。
とりあえずPTMの在庫分をあるだけ取り寄せてもらったら、白20冊・クリーム色20冊が届いた。
それを先日受け取りに行ったわけなのだが、我にかえって思うに。
25枚入り×20冊×2色分=リフィルが1,000枚というのは、

買いすぎだろ。

もう一生分、バイブルサイズのリフィルには困らないのではないだろうか。いずれにしても今後さらにあれこれ探すことになるのだろうし。製造中止で慌てて入手しておくのもたいがいにしておいた方がいい。


ptm_fabriano_refill.jpgこのリフィルは賽の目の透かしが入ったレイド紙で、細くてびっしりと入った横線と間隔の置かれた太い縦線がほんのり透けて見える。どこか畳のような感じ。この賽の目が、無地の用紙へ書く時に方眼のような水平・垂直位置の補助的役割を担ってくれて具合いいからレイド紙は好きだ。

システム手帳のリフィルとしては紙は厚め。手持ちの似たものではRhodiaのメモ用紙→スマイソンのリフィル→PTM ファブリアーノの順に厚くなる感覚で、90g/平方メートルくらいなのではないかと漠然とイメージしている。
そうなのだ、日々持ち歩く前提であるシステム手帳のリフィルは薄紙が主流なところにきてこの厚さは効率的ではない。そんなこともあり、かつファブリアーノ用紙をこの価格で使えるのもちょっと意外なことで、PTMでは「もうよそうか」という話になったのかも知れない。

万年筆で書く筆感とインクの筆跡は美しいの一言。鉛筆での書き心地にもはっとさせられて、使うのがいつも嬉しい。至福疲れを起こしてしまう気すらする。
こういう製品が作られなくなってしまうことは大変に口惜しい。

ファブリアーノ紙以外でも、PTMのリフィルは全般大好きだ。
紙色のチョイスには時おり「なんでまたこのような色を」と感じることはあるし、罫線の行間は狭くて日本語記述にはどうかと思うし、あと以前書いた穴の位置の問題もあるわけだけれど、なんというか紙質が良い。そしてまたその「良い」というのは「好みだ」ということで、一口で言うなら80年代頃のfILOFAXリフィルのような質感があるところに魅せられているのだと思う。
 
Posted by ミケランジェロ at 08:49  |Comments(12)TrackBack(0) | 手帳