2006年08月17日

ウルトラセブン   大きくなったらウルトラ警備隊になる

西の空に明けの明星が輝く頃、一つの光が宇宙に飛んでいく。それが僕なんだ。

皆さん、この言葉をご存知ですか?
そうです。モロボシダンがM78星雲に帰って行く時にアンヌ隊員に残した言葉です。

(石坂浩二のナレーション調でお願いします)

2週にわたる最終回「史上最大の侵略」ラストでのことです。ダンがウルトラセブンであることをカミングアウトします。ダンとアンヌの対峙するシルエットのシーンには、特撮ものに不必要なほどの詩情が溢れていました。バックに流れるのはシューマンピアノ協奏曲イ短調。子供ながら、ドラマにのめり込むという経験をしました。これが私にとって、はじめての映画的体験と言えるのかもしれません。

子供の頃は本気でウルトラ警備隊になるつもりでいたものです。スタイリッシュな制服、便利なビデオシーバー、高機能なホーク1号、2号、3号、すべてが素敵でした。特に、警察でいうところのパトカーにあたるポインターのデザインは、洗練されていて、とてもお洒落に見えました。売りに出されたら、即買いしてしまうでしょう。

そして、1番の決め手は男前が多いことです。モロボシダンは胸板の厚さで際立っています。アマギ隊員は飲みに行ったらモテそうな甘〜いマスクです。キリヤマ隊長は口数は少なく厳しいながらも、いざという時には身を挺してくれる日本のお父さんという感じがします。
そんな粒揃いの男子の中、紅一点のアンヌ隊員に対し「独り占めかい!」という嫉妬の念を抱いたこともあります。
ポストアンヌ隊員の座を虎視眈々と狙うようになった私は連日、ウルトラ警備隊で働く夢を見ました。街は怪獣によって壊滅状態。私はダンとアンヌと共に逃げ惑う人々を誘導します。地味な仕事ですが、あの制服を着ることができ、ダンやアンヌと一緒に働ける!それだけで胸が躍りました。

「ウルトラセブン」は明らかに、他のウルトラシリーズとは異質でした。勧善懲悪で物語が作られていないのです。そういうこともあり、子供の心に非常に強い印象を残しました。
たとえば、42話「ノンマルトの使者」のように、海底に身を潜めていた地球の先住民ノンマルトが人間の侵略に耐えかねて行った攻撃を制圧した後の不条理感はすさまじく、普段は頼りになる上司キャラのキリヤマ隊長がバカに見えてしまう程でした。ダンも「これでいいのか?」と苦悩し始め、それを最終話まで引きずっているようでもありました。

1番のお気に入りは8話「狙われた街」です。
実相時昭雄監督演出の伝説的なエピソードです。
地球防衛軍の会議のシーンなどは逆光で撮影し、会議室の密室性や空疎さを巧みに描き出し、ダンの顔、アンヌの顔、監視目標である窓の外の三点のフォーカスの移動によって撮られた張り込みシーンは、絶妙な緊張感を醸し出していました。まるでヌーベルバーグの作品のようで、アンナ・カリーナが出てきたとしても私は違和感を覚えないでしょう。
そして、なんといっても秀逸なのが、メトロン星人が潜伏している工場街のアパートで、ダンとメトロン星人がちゃぶ台を挟んで話すシーンから一瞬の静寂の後、夕日の戦闘シーンへとつながっていく一連の場面です。一瞬の静寂と言いましたが、この時、どこかの家の茶の間からのナイター中継の音が聞こえているのです。大人になってから観なおし、感心しました。生活音はいつも聞いているせいで意識に上っていない。だから静寂と感じたのです。そして、そのあまりに日常的な時間が壊される瞬間が描かれているのですから、その衝撃は洪水のような最先端SFXでも敵うわけがありません。


その後、そのまま特撮マニアになるか?と思いきや、「帰ってきたウルトラマン」にも「ウルトラマンA」にものれず、市川森一の脚本、実相時昭雄の演出などの方に私の興味は急カーブをきっていきました。「ウルトラマンタロウ」の代わりに「傷だらけの天使」を観るようになっていったのです。

そんな子供もいつしか大人になり、地球どころか、自分の家族の守るのにも四苦八苦。でも、幼少期に植えつけられたトラウマ?いや!・・・魂は今も持ち続けています!子供向けだからといって子供騙しに作らなかったスタッフの方々に感謝します!

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Posted by curious mama at 11:21  |Comments(10)TrackBack(0) | TV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
みんなやっぱりトラウマじゃなくて、ウルトラの子でしたよね。
子供の頃、駄菓子屋でプロマイドを一枚5円で売っていて「ウルトラマン」や「ウルトラセブン」のプロマイドを集めてた。
3才上の姉ちゃんはグループ・サウンズのプロマイドを集めてた。
「狙われた街」の映像のインパクトは、ぼくも強烈でしたよ。
大人が本気で作ったものは子供にも判る、ということなんでしょうね。
Posted by 5011 at 2006年08月18日 15:54
<5011さん

当時は大人文化でしたから、子供になんの迷いもなく「大人の世界」を「どうだ!」という感じで見せつけて(強要?)きました。「怪奇大作戦」も岸田森や勝呂誉が主演だったりして、今、思えば配役の段階で「子供番組ですよね?」とつこみどころ満載です。でも、ませガキの私は一人前扱いされたようで、嬉しかったりしました。

プロマイド!めんこもありましたよね!確か、生まれて初めてのマイレコードはウルトラセブンのソノシートだったと思います!
Posted by curious mama at 2006年08月18日 21:30
うっわ〜〜〜っ!懐かしい。
詳しいですね〜(^^)私も兄と一緒に見ていたはずなのに、
よく覚えていないんです。
curious mama様の今回の記事、夫のほうが「うんうん、そうそう!」
と読んでいました・・・。(^^ゞ
傷だらけの天使も見ていましたよ〜。本当に懐かしい。
今日はビデオ屋にでも行って借りてこようかな?
観たくなっちゃった。(^O^)
Posted by at 2006年08月20日 10:03
<泉さん

夜遅い番組なのに、みんな観てますね〜(笑)「傷だらけの天使」や「キーハンター」や「Gメン75」を観る為に居間で寝たふりをしてました。抱っこされて子供部屋に連れていかれそうになると、「実は狸寝入りでした!どうか観せてください!」と拝み倒したりして。

ご主人もご覧になっているとは・・・
<ご主人
いつもお世話になっております。(正座)
Posted by curious mama at 2006年08月20日 10:41
こんにちは、はじめまして。
あまりの懐かしさに、5011さんのところからお邪魔。(^^;

歴代のウルトラシリーズの中でもウルトラセブンはかなり異色でしたね。どちらかというと「Q」のような感じでしょうか。
怪獣らしい怪獣も出ず、宇宙人との会話だけだったとか、またストーリーもさることながら影が非常に効果的に使われていて、子供のころに観た私は、かなり怖かったイメージがありました。

最終回である「史上最大の侵略」(前後)だけは以前再放送していた時に録画してあります。(^^; って今じゃDVDが出ているんですけどね。
Posted by 白くじら at 2006年08月27日 14:35
白くじらさん、こんにちは。

脚本家たちの裏話で「戦闘シーン」を書き忘れるということもあったそうです(笑)今でいうなら深夜枠のような、やりたい放題ぶりが目が浮かびますね。
DVD買おうか?買うまいか?悩んでいます。たまに借りてきて観ててもいいんですが・・・セブンを買うとQも怪奇大作戦も買ってしまいましそうで、一体幾らかかるんだ!という(笑)おこづかい少ないもので(涙)
Posted by curious mama at 2006年08月27日 15:08
こんばんは。

ぶっ!そんな脚本家たちのおちゃめな面があったんですね。なんだかいろいろなしがらみもなく皆楽しんで使っていたんでしょうかね。そういう時の方がいいアイデアがでたりするんですよね。

DVDだと…4、5話構成(かな?)なので結構な枚数になりそうですね。
「Q」「怪奇大作戦」(^^;そういえば「シルバー仮面」の第1シーズンも暗くって怖かったようなイメージがあります。「キャプテン・ウルトラ」も見たいなー。とさらに増やそうとしていたりして。(^^;


最新の記事を読んでいるとご病気だとか。
暑い時に大変でしょうが、お大事に…。(_ _)
Posted by 白くじら at 2006年08月28日 23:03
白くじらさん、こんばんは。

きゃー!「キャプテン・ウルトラ」!!!忘れてましたよ〜。言っちゃダメ!レンタル屋にもないし。でも観たい!あの切り株みたいなキモい怪獣!まずはこれから買わなきゃならないじゃないですか!(くやし泣き)
お気遣いの言葉、ありがとうございます。
具合悪いのにネットはやってしまいますね。(恥)
Posted by curious mama at 2006年08月29日 00:03
♪月も火星も遥かに越えて〜えぇ〜、
 宇宙に飛び出すシュピーゲル〜ウゥ〜♪

横からすみません。
たまらず歌ってしまいました。
Posted by 5011 at 2006年08月30日 12:45
ぷっ〜〜〜〜っ!!!
5011さんはネットシンガーですから!(笑)なんでも唄おうとしますね〜。でも、本当に懐かし過ぎですよね。罪作りな白くじらさん!
Posted by curious mama at 2006年08月30日 16:30
 
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